アグネスじゃないタキオン   作:天津神

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『パクパクですわ!のキャラに転生したんだけど、何か違いますわ……』とのコラボ作品ですの。


コラボ編(『パクパクですわ!のキャラに転生したんだけど、何か違いますわ……』編)
CNo.1


 

 

 人生とは、困難の連続である。

 誰がこんなこと言ったのだろう。

 今、私の目の前に広がるこの地獄とも言えるべき困難は、人生の枠組みを外れていた。

 

「………」

 

 誰もいない。木と草と川しかない。

 どこ、ここ。

 

 

 時は数時間程前まで遡る。

 

 

「4月か……」

 

 そろそろアプリ版としては因子継承の時期。てか、いろんなウマ娘達が一気に強くなるのもこの時期だ。

 

「皐月賞とか桜花賞はきつかったなー。身体がまだ慣れてない状態で走らなければならないからなー」

 

 過去を振り返って、時間を潰す。

 だが、例にも漏れず、私はまだシニア級のウマ娘。そう、まだ因子継承ができるのだ。

 

「気がついたら女神像前とかありそ」

 

 そう呟きながら歩いていた。

 

「………いや、なんか多いな」

 

 廊下にはウマ娘が多数。虚な目で歩いている。

 いや、何があった。

 

「怪奇現象か……?」

 

 ふと、そのウマ娘達の中に、よく見る姿があった。

 

「お?なんだなんだ?なんの騒ぎなんだ?このゴルシちゃんを置いてけぼりにする騒ぎか?」

 

 ゴールドシップ。破天荒天才的最強ウマ娘とでも言ってみたいウマ娘。

 

「にしても、なんで目のハイライト消えてる奴多いんだよ。不思議にも程があるぞ」

 

 ハイライトどころか生気を感じないのだがなぁ……てか、もしやこれがかの有名な因子継承の裏側なのか?

 

『ゴールドシップ。ゴールドシップよ』

「お?誰だい、アタシの名前を呼んだのは!?そっちか!?そっちだな!!ゴルシちゃん、抜錨!!」

 

 ゴールドシップがどこかへと走り去っていく。

 てか、あの声私にも聞こえるんかい!!

 

「てか、トレーナー室に行かなければならないんだが……」

 

 道が塞がれてるな。

 仕方ない……遠回りするか。

 

 

「おや?ここに来るはずではなかったのだが……仕方ないか」

 

 トレーナー室を目指していたら、女神像の前にいた。

 うん。因子継承だ、これ。

 大人しく、目を閉じて、その時を待つ。

 周りの木々の音が消え、風も止む。

 目をひらけば周囲は闇。遠くに輝く光があるくらいだ。

 多分、誰かが私の両隣を駆け抜けていくんだろうな。

 お、きたきた。足音が近づいてきて……。

 白衣を着た2人のウマ娘が私の両隣を駆け抜けていった。

 

「…………」

 

 …………。

 は?

 

「いや、おいちょっと待って待てこらおい待てやぁぁぁぁぁ!!」

 

 そして、暗闇が消えていくと……。

 

「どこ……ここ……」

 

 トレセン学園ではなく、どこかの河川敷にいた。

 以上、回想終わり。

 ため息しか出ない。

 服は、最初に提出した勝負服のデザインの没になったものに近い。制服は?どこいったの?

 持ち物としては、財布がいくつか(数十万は常に持ち歩いてる)、スマホ(残り50%)、学生手帳と学生証。

 

「夢であってくれ……」

 

 川岸に近寄って、顔を水で濡らしてみる。

 ………。

 夢じゃない。なんなら、水面に反射した自分の顔がわかる。しかも、それが余計に残酷だ。

 

「前の姿に戻ってやがる……」

 

 虹彩の色は変わらなかったが、顔の造形は完全にアグネスタキオンだ。

 と、いうことは……。

 

「学生証……使えない……」

 

 学生証の写真と今の顔が違う。

 困ったな。家も借りられん。

 野宿上等。

 舐めんなそこらへんの草食べれるんやぞ。

 

 

 

「…………腹減った」

 

 舐めてたのは自分でしたすんまへん。草苦ぇ……。

 あ、たんぽぽ。

 

「………味しねー。味覚変わったかー?」

 

 堤防の草むらに寝転がりながら、夕焼けを眺める。

 おうちほしい。

 てか、口が寂しい。何か入れておきたい。お、なんかの花咲いてんじゃん。

 花をちぎって、蜜を吸う。

 ちょい甘ー。ほぼにがー。

 はー、どこかに何かないですかねー。

 ここらへんの草が美味しくないことは確認済みですし、どこかからか果物手に入れるのは難しいですしおすし。寿司食べたくなってきた。

 暇ですわー疲れましたわー考えるのやめてーわー。

 

「えっと……大丈夫、ですの……?」

 

 ふと、影が私の体を覆う。

 頭上からかけられた特徴的な声。そして、キャラとしてはかなりわかりやすいお嬢様口調。

 声の主に目を向ける。

 

「………?」

 

 そこには、異様に困った顔をしたメジロマックイーンが。

 

「………」

「えっと……」

「………?」

 

 待て。どこかおかしい。メジロマックイーンか?

 

「………」

「あの……私の顔に何かついておりますの……?」

「………ゴールドシップ?」

「人違いですわ!!」

 

 

 

 メジロマックイーン(原案)side

 

 ありえないですわ!!

 折角、買おうと思っていた『オーディンMKII』と『ペルセウス』が、パッケージの傷や凹みで半額で買えましたというのに、帰り道にたんぽぽの葉を探しにきてみたら、シオンがいると思って声をかけてみると、全くの別人でしたわ!!そして、あのゴールドシップと間違われましたわ!!シオンじゃありませんわ!!

 

「いや、すまない」

 

 素直に謝ってくるアグネスタキオンに似たウマ娘の方。

 寝転がりながらだと気持ちがこもってない気がしますわ。

 

「とりあえず、私は空腹と絶望感と虚無しかないだけだから、大丈夫だ」

「それは大丈夫と言いませんわ」

 

 栗毛、青い瞳、些細な違いはあるけど、アグネスタキオンに違いない。

 

「それで、アグネスタキオンさん、どうかしましたの?」

「アグネスじゃない!!」

「はい?」

 

 アグネスじゃない……?

 

「私は、ライネルタキオン。アグネスタキオンじゃない」

「あら、そうでしたの……すみませんでしたわ」

「それで、君の名前は?」

 

 名前……。

 

「アーr……メジロマックイーンですわ」

「………最初言おうとしてたのは?」

「…………アーリースタイルですわ」

「アーリースタイル……」

 

 ボソボソと呟きながら、考え込むライネルタキオンさん。私、何かやりましたの……?

 

「アーリースタイルなんて、いたかぁ……?いや、聞いたことも記録で見たこともない……それに、あの容姿はどう見てもメジロの天皇賞と宝塚2連覇の赤い船降りろさんにしか見えないのだが……」

 

 ウマ娘だから、全部丸聞こえ。ハッキリと『ウマ』とおっしゃいましたわ。

 この方、何者ですの。

 

「アーリー……あ、earlyか。早い……まぁ、確かに、おしるこパックイーンの初期はこんな感じでマックイーンしてたけど……んなことあるか……?」

 

 完全に聞こえてますわ……バレてますわ。

 私が普通のメジロマックイーンではないことを気がつかれてる。

 

「ま、どうでもいいか」

「どうでも良くないはずですわ!!」

「え……?」

 

 ポカン……といったような顔をして、首を傾げてこちらをみるライネルタキオンさん。

 こっち見んな、ですわ。

 

「それで、この後、どうするつもりなのですか?」

「うーん。どうするも何も、何も出来ない。この万札が使えるかわからないからね」

 

 ひらひらと万札が振られる。

 ん?万札!?

 

「どうにか出来ますわよ!!それさえあれば!!」

 

 というか、どうやってその万札を手に入れたのですか!?

 

「それ、何枚持ってますの?」

「んー、手持ちはかなりあるが」

 

 かなり!?

 

「と、とりあえず、そこで寝転ぶのははしたないですわ。ちょっと付いてきてくださいまし」

 

 

 

 

「今帰りましたわー」

「おや、おかえり。アーリ」

 

 ライネルタキオンさんを連れて家に帰ると、返事をしてくれたのはシオンだけ。ナナは今はいないようですわね。

 あぁ、あと、帰り道にライネルタキオンさんと話していたら、転生者だとわかりましたわ。というか、そう言いましたわ、ライネルタキオンさんが。

 

「ナナはどこに行きましたの?」

「アーリを探しに外に出た。後で連絡しとくよ。ところで……後ろのそのフードを被ったウマ娘は誰なんだい?」

「新しく住んでもらうことになったウマ娘ですわ」

「「えっ?」」

 

 あら?ライネルタキオンさんにはいってませんでしたっけ?

 

「こちら、ライネルタキオンさんですわ」

「ライネルタキオンだ。よ、よろしく頼む、アグネス」

 

 フードはもう取っても大丈夫だと思いますわ。

 

「それで、顔が良く見えないのだが」

「あぁ、すまない」

 

 ライネルタキオンさんがフードを取ると……アグネスタキオンが2人いますわ。

 そっくりどころか、ほぼ同じですわ。

 あれ?これって……会わせてはいけなかったのでは……?

 

「世の中には同じ容姿をした者が3人いる、と言われていたが、まさか本当だったとはねぇ」

「本来なら、こうなることはなかったのだがな」

 

 口を見ていないと、どちらがしゃべっているかわからないほど、声も似ていますわね……。

 

「ん?その言い方だと、君は本来、そのような容姿ではない、ということかい?」

「まぁ、そうなんだが……今は面倒ごとが増えた。後にしよう。誰か来た」

 

 玄関を睨みながら、ライネルタキオンさんがフードを再び被る。

 

「ただいま……」

「おかえりなさい、ナナ」

「あれ?シオンが2人いる……?」

 

 

 

 

「へー……」

「えぇ。それで、一緒に住むことにしましたわ」

 

 ナナにことの顛末を全て話し終えた頃になると、時刻は18:00。

 

「そろそろご飯にする時間ですわね」

「ちゃんと量は考えないといけないよ、アーリ」

「分かってますわ」

 

 “ヒト”ではなく、“ウマ娘”として食べる量を覚えないと、前みたいに倒れてしまう。

 それは絶対に避けなければなりませんわ。

 

「……ところで、ライネルくんは、こちら側なのかい?」

「どう言う意味だ?」

「いや、私の姿を見て、何か違和感を感じたりだとか思ったりしなかったかい?」

「感じはするが……その姿は別に普通だろ。私は今目の前にいるアグネスの容姿を過去に見たことがあるし、この世界のアグネスの姿も見たことがある。とだけ言えばわかるか?」

「なるほど。君はこちら側に近いのだね」

「その“こちら側”というのはわからないが、多分そうだろう。あと、アーリースタイルとかなり近い、とも言っておこう」

「ふむ。つまり、君は知っているわけだね。彼女、アーリースタイルが、元人間である、と」

「まぁ、ね」

 

 楽しそうな声が聞こえてきますわね。

 私も後で混ぜて欲しいですわ!!




コラボ元の作品のリンクはこちらです↓
https://syosetu.org/novel/274158/

今回、このコラボ作品は複数話投稿となっておりますの(クレナイハルハさんには感謝しかございません)

次回、乞うご期待!!ですの(内容は未定です)

感想、お待ちしております
あ、財布に数十万入ってるのは、主にアグネスタキオンが原因ですのよ(材料が足りんちょうど外に出ているから買ってきてくれ等のお願いで簡単に吹っ飛んでいくことが多いため)

アグネスじゃないタキオンの裏話(設定とかそうゆう系の考え等)を別の場所で

  • 読みたい(リンクは貼ります)
  • 読みたくない
  • ハーメルンの活動報告でしてほしい
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