今回は無事結婚も済んだという事でまた十勇士について書いていきたいと思います。
もちろん嫁達も出していきたいのでよろしくお願いします。
では!
大きな結婚式を終え、今日も平和に過ごす士郎。学園長からの緊急依頼も済ませいつもの様に変態の橋を狙撃していた。
「士郎、誰か来る」
「ん?」
林冲の一声で士郎は弓を下した。直後ばーんと屋上のドアが開かれ、
「士郎、おはよう」
「おはようなのだ!」
晴と焔がやって来た。
「おはよう。二人とも早いな」
見れば、十勇士は今ようやっと登校しているくらいである。鉢合わせしたキャップ達と何やら話している。
「旦那様が朝早く仕事してるのに私達だけのんびりしていられないよ」
「大友も砲撃するか!?固そうなやつが居たら任せるがいい!」
「焔はここから橋が見えるのか?」
林冲が頭が痛そうに言うと、
「まったくだな!」
「ダメだよほむ。ただでさえ砲撃の威力上がったんだから・・・」
そう。件の機構を取りつけた大筒は、爆発こそ変わりないが衝突の衝撃が著しく向上していた。
なので、鍋島監修の元、必要と判じられた時のみこの機構を使わせてもらう事となっていた。
「しかしだな・・・折角新調した大筒が使えなくて大友はうずうずしておるのだ!何処かに、気にせず撃ち込める相手はいないかな・・・」
フンス!と鼻息荒く言う焔に苦笑して、
「そんな相手いないに越したことはないんだけどな」
「士郎までそんなことを言うのか!むぬぬ・・・」
「焔の砲撃はシャレにならない怪我になる。武器に呑まれないことも修練の一つだぞ」
そう言いおいて士郎は新たに狙撃を開始する。すると、
ゴンゴン
「衛宮はいるか?」
「小島先生。どうしたんですか?」
「うむ。今日のHRなのだが緊急の全校集会となることが決まった。狙撃を終えたら校庭に集合だ」
「わかりました。わざわざありがとうございます」
「なに、お前の狙撃で被害にあう生徒が激減している。このくらいなんでも無い」
「私達も変質者が出た時目の前で昏倒させられてたもんね」
「うむ。御大将が刀を抜く前にあっさりとだったな」
「そう言ってもらえるなら嬉しい」
そう言って士郎は微笑みを浮かべ、
「では皆の登校が終わったら合流します」
「うむ。今日も頼むぞ」
そう言って梅子は去って行った。
「士郎の狙撃はもうないといけないものになってるね」
「それはそれで問題なんだがなぁ・・・」
士郎としては地元の警察とかもっと迅速に動いてほしい所である。
「さて、俺は登校を見届けるのに遅くなる。林冲と焔達は先に行っててくれ」
「そうだね・・・いこっか。ほむ」
「うむ。待っているぞ、士郎」
晴と焔も教室に戻って行った。
「・・・林冲?」
しかし林冲は何処かむくれ顔で腕を組んでいた。
「士郎はいつもそうだ・・・」
ぶつぶつと自分に対する愚痴を言っている。仕方なく士郎は、
「林冲」
「・・・チュ」
とキスを交わして士郎はお願いした。
「ここなら大丈夫だから。何かあればみんなを呼ぶよ」
「・・・絶対だからな」
「ああ」
顔を赤くする林冲にハグを求められてそれに応じる士郎。
「さ、遅れないうちに、な?」
「・・・うん」
それで満足したのか、林冲も教室に戻って行った。
「さて、もうひと踏ん張り、かな」
最後の生徒が遅刻間際に駆けこむのを見送って士郎は屋上から降りた。
士郎が校庭に来ると既に全校集会は始められていた。
「おはよう。みんな」
「おはようさん」
「おはよう」
『十勇士が来て一月と半。もう間もなく彼らは西へと帰るが・・・』
「「「・・・。」」」
彼らはどんな気持ちで今を過ごしているだろうか。鉢屋に忍者刀を渡した時は、
『何だかんだそれがしらも慣れ親しんだからな。離れがたいと思う者も多いようだ』
と、そんなことを言っていた。
しかし彼らには重要な役目がある。ここでの成果を持ち帰り、後輩たちを育成する義務がある。
『彼らは半月で帰る。じゃが、折角磨いた力を試せないというのも酷な話じゃ。そんな折――――』
オニュクス王国の国王が来日し御前試合をすることが話題として挙がった。
「オニュクス王国?」
「何処だそれ」
「・・・南半球にある絶対王政の国」
京が補足した。
「絶対王政かー。民主主義の俺らからすればおっかねぇ国だな」
「戦争とか起こしそうだもんね・・・」
『御前試合は一週間後。十勇士も含めて行う。出場する予定の者は備えておくように』
「・・・。」
士郎はなにかきな臭いものを感じていた。
(オニュクス王国は地下資源が豊富だと聞く。なぜ今頃になってけしかけて来たのか・・・)
理由が不足しているのである。はたまた理由などないのかとも思えるが・・・
(絶対何かあるな)
士郎はそう判じたのだった。
――――interlude――――
川神のある工場では。
「イムベル将軍。首尾はどうか?」
「はい。戦力の50%が運び込まれています」
その言葉に男は笑い、
「如何に川神の人間が強くとも、これだけの戦力を前にしては意味も無かろうよ」
自信あり気に運び込まれる木箱にニヤリとする男。
「引き続き頼むぞ?イムベル」
「はっ」
そう言って彼は一言、ウィクトールオニュクス、と言って立ち去って行った。
――――interlude out――――
「御前試合か。川神ではよくあるのか?」
「まさか。士郎と姉さんのエキシビションなんかはあるけど、こんな大掛かりなのはないよ」
不思議そうにS組から来ていた大和に聞く石田。
「しかし面白そうなイベントですな」
「磨きに磨いた技のお披露目会と考えれば胸躍るな」
西の子らも大分仕上がっており。獰猛な表情が伺える。
「まだ時間はあるからその顔はひっこめておけよ。ったく、血の気の多い奴等だぜ」
「しかし源殿。私達も訓練の成果を披露することが出来なくて物足りなく感じていたのです」
「そうぞ!大友の国崩しも強くなりすぎてそこいらの者には撃てなくなってしまったからな!」
「ほむは結婚してもほむのままだね」
「う・・・」
晴は笑顔で言うが焔の表情は固まってしまった。
「やっぱり、こう、おしとやかな方が良いだろうか・・・?」
焔は難しい顔をして近くで修理に勤しむ士郎に問う。
「いや?無理におしとやかにする必要なんかないだろう?焔は焔らしくいればいいと思う」
その言葉にパァっと表情を明るくして、
「それならば大友の好きにやらせてもらうぞ!」
「士郎は心が広いな」
「そんなことないぞ。どうした、急に」
「その・・・俺よりも遥かに嫁さんが多いのに士郎はどっしり構えてるから・・・」
大和は恥ずかし気に言った。
「きっと、その時が来れば大和も同じようになるさ」
遠い目をして士郎は言った。それ即ち、あきらめという。
「あはは・・・」
「ま、俺が好きになったのはみんなの飾らない面であって、覆い隠したものじゃないのは確かだな」
「ヒュウ。言うねぇ・・・」
ガクトが口笛を鳴らして褒め称かした。
「士郎ーお客さんよー」
「ん?」
一子の言葉に顔を上げるとそこにいたのはあずみとマルギッテだった。
「私達も衛宮夫妻なのですが・・・」
「まぁ学校ではしゃあねぇだろ」
二人は既に衛宮の名を苗字に入れていた。
忍足あずみは衛宮あずみに。
マルギッテは、マルギッテ・
それぞれ衛宮家の姓を名乗っている。
「どうしたんだ、二人とも」
「お前の事だろうから気づいてるとは思うが・・・確認をな」
「・・・オニュクス王国か?」
士郎の言葉に二人は頷いた。
「近頃、主に海上で不審な船が見受けられています」
「このタイミングなら、十中八九オニュクス王国に違いねぇ。できる限り潰してるが、どうやらロボットを運び込んでいるみてえだ」
「ロボットか・・・クッキーの情報は既に漏れてるんだったな?」
過去に奪われたクッキーISシリーズは、情報が洩れているであろうという事も考慮され、作り直されていると聞く。
「ああ。ムカつく話だけどな。最上の奴が流したって証言だ」
「大量の戦力に降って湧いた御前試合。間違いなく繋がっているな」
「はい。我々も同意見です。ですので――――」
マルギッテの案は御前試合を利用して相手を油断させること。
「不名誉なことを感じるかもしれませんが・・・士郎」
「いや。構わない。俺は御前試合なんてものに欠片も興味はない。むしろ好都合だ。奴らが侮ってさえくれればやりようはいくらでもある」
士郎は冷たい表情で言った。
「・・・おい。分かってるとは思うが」
「もちろんだ。誰にも話さんよ」
この作戦は誰にも明かせない。西の十勇士などが聞いたら憤慨ものだろう。鉢屋あたりは違うだろうが・・・
そうして、秘密裏に動いていくことにした衛宮ファミリーは団結して事に当たることを決めたのだった。
今日の体育は生徒の希望が多いため、戦闘訓練となっていた。
「槍の扱いはリーチを生かし相手の接近を許さないことが肝要ですぞ」
「はい!」
「おっと浮畑嬢。懐に入られたからと言って諦めてはなりません。腰に帯びた刀だけでなく鞘も使えばまだまだ粘れますぞ」
「は、はい!」
等など、かなり実戦的に指導が入っている。
「君はまだ拳が出来てないネ!間違っても殴り掛かったらダメだヨ」
「はい!」
戦闘訓練という事もあってルーも生き生きとしている。
「よろしくお願いします!」
中にはレオニダスと手合わせをしている生徒もいる。
一子もそんな中の一人だった。
「一子殿!貴女はまだまだギアを上げられます!薙刀の鼓動を感じるのです!」
「押忍!」
「薙刀の鼓動ってなんだ・・・?」
「流石、士郎謹製の薙刀は一味違うな」
大和達、拳が出来ていない組は一応木刀を持って指南を受けている。相手は・・・
「右側ががら空きです」
パシン!
「ぐっは・・・」
セイバーだった。
セイバーは数多の挑戦者を一刀のもとに下す凄腕の剣士として名を馳せている。今回緊急対策としてセイバーは各体育の時間に技術顧問的な立場で参加していた。
一方の士郎はと言うと。
「――――」
座禅を組んで瞑想していた。
「隙あり!」
ヨンパチが後ろから切りかかるが、
ピタリと。他でもないヨンパチの手で木刀は止められていた。
「――――」
「ひぃ!」
ついっと目をヨンパチに合わせる。それだけで彼は気を失ってしまった。
「まったく。いつでも挑みかかってきていいなんて言って、速攻で殺気ぶち当ててきやがって」
「すまない。忠勝」
「構わねぇぜ。他の面倒は俺が見る」
「忠勝も鍛錬しないのか?」
「俺は・・・まぁ、この機会に腕を上げるのも悪くねぇかもな」
「瞑想も飽きた所だ。一手、やるか?」
「加減しろよ」
「俺は百代じゃない」
「じゃあ――――いくぜ!」
ドンガンゴン!と激しく肉体がぶつかり合う。
そんな体育を遠目に見る集団がいた。今日の見学者だ。
「士郎の奴も、レオニダスも容赦ないわね」
「あはは・・・あのルー先生も中々ですよ」
「凛さん、桜さん。見学ですか?」
やって来たのは由紀江だった。
「ええ。由紀江も来ていたのね」
「士郎先輩が心配で・・・」
もじもじとする由紀江に真剣な眼差しで士郎の動きを追う桜。
「まったく、似た者同士なんだから・・・」
「誰がまゆっちに似てるって!?」
「反応するとこそこなの?そこは素直に本人が反応しなさいよ。この駄馬」
「だっ・・・」
「忠勝!動きが鈍ってるぞ!」
「うるせぇ!こっちはずっとトップギアなんだよ!」
とにもかくにも激しい戦いが繰り広げられていた。
もちろん十勇士も、
「鉢屋流忍術――――」
「忍足流忍術――――」
忍者は忍者同士お互いを高め合い、
「よ、っと!」
「いいぞ卓也!反応速度が上がってる!」
「舞踏だと思ってやってるよ!」
「それはいい。何事にもリズムはある。それを読み取ることが出来れば・・・」
ヒュゴ!
「わぁ!?」
「この通り、躱せてしまう」
「い、今のは危なかった・・・」
「これでも壁越え一歩手前なんて言われてるんだぞ?すごいじゃないか」
「ヨシツグが手加減してくれるからだよ」
「確かに手加減はしているが・・・仕留められそうな時はそうしているぞ」
「え?じゃあ・・・」
「ああ。確かに仕留めずらくなってきている」
「僕にも・・・大和みたいに回避能力つくかなぁ?」
「直江大和がどの程度かは分からないが、回避だけなら十分に追いつけると思うぞ」
「・・・!ヨシツグ、もう一回!」
「わかった」
「みんな盛んやなぁ・・・」
「宇喜多」
「わかっとるて。これでも強くなったはずなんやけどなぁ・・・」
京がせかす声に尻もちを付いていた宇喜多が立ち上がる。
「うおおお!最高のオイルレスリングを見せてやるぜ!」
「見せてみな!お前の成長具合をな!」
長曾我部とガクトも激しくぶつかっている。
「御大将」
「俺の雷神丸は血に飢えているぞ。かかってこい!」
特訓により寿命を削ることのなくなった光龍覚醒で、黄金の闘気を立ち上らせて言う石田。
「それがしも遅ればせながら・・・参る!」
石田と島も刀と槍を手に舞う。まさにそこかしこで戦いが起きていた。
そんな中、医療班はというと、
「はい、包帯巻き終わりっと」
「チカちゃん、手当てが早くなりましたね!」
「そりゃあこんだけ捌いてればね。マヨも指示が的確じゃない」
「お姉さんだって成長するんですよっ!」
えっへん。とする小さき委員長に千花は笑って、
「さぁ治療が終わったらすぐに戻りなさい!いつまでもうじうじしてない!」
そう言って喝を入れるのだった。
激しい体育が終われば癒しの昼。今日は三年生がヘロヘロなのもあって、二年生や一年生が多く衛宮定食に並んでいた。
「衛宮定食!大盛で!」
と元気にやって来たのは一子。彼女は疲労のすごい鍛錬をしているが、回復力も凄まじく、いい具合に鍛錬の成果が出ていた。
「はいよ。大将!大盛一丁!」
おーうと返事が返ってくる。
本来大盛はやっていなかったのだが、どうにも大盛希望の生徒が多いので、もうメニューに加えていた。
「まだかなーまだかなー!」
フリフリとポニーテールを尻尾のように揺らして出来上がりを待つ一子。
「はいはい。もうすぐできるからね。次の方ー」
「衛宮定食をお願いします」
「おお、黛の妹さん。久しぶりだねぇ」
「いつも一生懸命走ってるんですけど全然間に合わなくて。何かコツとか無いですか?」
問われた弁慶は不思議そうに、
「昼飯前は全部放り投げてここだけに限る!くらいかなぁ」
「予習とかしないんですか?」
「しないわけじゃないけど、昼だけは絶対空けてるね。何せ看板娘だし」
ゆら~りとしたその動きからは想像もできない。
「まだまだ精進、ですね」
「急がないと大将卒業しちゃうよ?」
「!そうでした!」
沙也佳は今島津寮に姉の由紀江と一緒に住んでいる。結婚した彼女だが、士郎が卒業してしまっては彼の食事にありつく機会がとんと減ってしまう。
これは引き締めて行かねばと沙也佳は感じた。
「沙也佳と一子?妙な取り合わせだな」
その声にピコンとポニーテールが反応した。
「士郎~」
「なんだなんだ。ほらほらこっちだぞ~」
「ワン!ご飯ご飯!」
定食を遠ざける士郎を追うように右へ左へ動く一子。
「もう。あなた。後ろがつっかえてますよ」
「沙也佳ちゃんそれはやめ・・・」
「・・・(ぶっすー)」
今更だが。結婚してから、彼女は“ちゃん”付けで呼ばれると機嫌が悪くなる。
それもそうだろう。晴れて夫妻となったのに子供扱いなどされては誰だって機嫌を損ねる。
「さ、沙也佳!今のはちょっとした拍子に、な?」
「あなたは随分と楽しそうで何よりです!」
フン!とそっぽ向く沙也佳に士郎は困り顔。おまけに、
「おうおうおう!夫婦漫才はよそでやれー!」
「衛宮定食はよー!」
「お、おう!じゃあこれ、一子の大盛と沙也佳の普通盛な!」
「逃げたわね」
「逃げました」
「あっはは!面白いよねぇ大将」
意外と沙也佳も子犬系なのかもと弁慶は笑った。
「さぁ定食受け取ったら退いた退いた!お客さん捌かなきゃいけないからね!」
「「はーい」」
楽し気に会話しながら二人は去って行った。
「今日も繁盛繁盛だねぇ」
いつも通り、50人目の客を見送り、十勇士にも定食を出して自分の昼を準備する弁慶。
と、
「俺と食べたい?いいぞ。屋上だな。わかった」
「・・・。」
何やら中空と会話している士郎を見て、
「ボケ、あ痛!」
「すっとぼけてないで義経のとこに行くぞ」
「へーい。(見た目はボケちゃってるんだけどなぁ)」
などと思いながら弁慶は士郎の言う通り屋上へと向かうのだった。
屋上に着くと、義経と与一それに心が居た。
「あ!来た来た士郎・・・君」
「主はまだその癖が抜けないねぇ」
義経も結婚してからは士郎と呼ぼうとしているのだが生真面目な義経はどうしても君付けが直せないでいた。
「あはは・・・無理しなくていいんだぞ。義経」
「むー・・・義経はちゃんと呼びたいのに」
「クソ真面目だからなぁ・・・「おっとぉ?」ヒィ!」
調子に乗る与一をいつもの様に弁慶が威嚇する。
「食事の時くらい大人しくできんのか・・・」
「そうは言ってもねぇ・・・こいつはすぐに調子に乗るから・・・」
「お、俺はコイツの真面目さをだな・・・」
「はいはい。からかいたかったんでしょ。お見通しだっつうの」
「・・・。(チーン)」
「あ、これ美味しい!心、これどうやって作るのかなぁ?」
「此方も知らぬ。じゃが、良い味付けじゃな」
「なんだ、おかずを交換してるのか?混ぜてくれ」
一人寂しく論破されてしまった与一をほったらかして士郎達は料理談議に花を咲かせた。
「し、士郎くん・・・士郎!あーん!」
「お、何だ、くれるのか?あーん・・・」
「こ、此方も特別におかずをやろう!あーんなのじゃ!」
「まったく。こっちまで恥ずかしくなっちゃうよ」
「自力でハーレム作る奴だからな・・・」
「与一は興味なさげだね」
「女子供は光に当たっていればいい。俺は深淵を見張るのみだ」
「・・・こっちもいい加減にしてほしいんだけどなぁ」
弁慶の悩みは尽きない。だが、
「あ。弁慶川神水の吟醸水が・・・」
「もらえるならもらいますとも!」
あんまり気にしなくてもいいのかもしれなかった。
「ただいまー」
「おかえり、士郎」
「先輩お帰りなさい!」
「お、お帰り」
「お帰りなさい、シロウ」
今日も今日とて放課後の依頼を済ませた士郎が帰宅する。
「セイバー。体育はどうだ?」
「順調です。皆剣や槍に特化しているのが伺えますね。最近では拳立て伏せで拳を作り始めた生徒もいますし、概ね備えは出来ているかと」
「そうか。・・・すまないな、手伝ってやれなくて」
「いえ、士郎も油断せず鍛錬を重ねているのですから気になさらず。今日も依頼ですか?」
「ああ。ヒューム爺さんも学園長にも免許皆伝の言葉を貰ったからな。あとは俺がどう工夫していくかだけだし、それなら少し息抜きもいいかなって」
彼の言う通り、士郎はもはや免許皆伝とされていた。何せ、
『わしの技まで模倣とか・・・悔しくてたまらんわい』
『九鬼家の奥義ならず、俺の技まで習得するとはな・・・腕を落としたら承知せんぞ』
という言葉まで頂いたのである。残るは自己流という事で、放課後の鍛錬からも解放され、士郎は鍛錬と依頼を交互にこなすようになった。
「今日は依頼の日ってわけね。それより士郎、例の御前試合、中々にきな臭くなってきたわよ」
「えっと・・・凛。本当か?」
「本当よ。・・・ていうか、ドモらないでよ。こっちが恥ずかしいじゃない」
ほんのり顔を赤くして凛が言った。
「まだ慣れなくてな・・・それより経過観察は?」
「使い魔で偵察している限り、どんどん運び込まれてるわね。警察も何やってるんだか」
ほとほと呆れた、という風に凛は肩を竦める。
「それだけロボットを送り込んでくるという事は、しかけてくるのは御前試合後かな・・・いずれにせよ、引き続き警戒を頼む」
はいはい、と言って凛は去って行った。
「オニュクス王国・・・一体何を考えているのでしょうか」
「地下資源が豊富だって話だから大方、商品価値でもつけようってんじゃないか?今の川神の人間を圧倒出来たのなら、確かに商品価値としては破格だな」
「なるほど・・・しかし奴等の思い通りにはさせません。ここはもう、私達の住む場所でもあるのですから」
メラリと怒りを燃やしてセイバーは何かを掴むしぐさをする。
「まてまて!今からセイバーの剣を持ち出しても大元は叩けないよ。今はまだ潜伏するのみ。だろ?」
「そうですね・・・まぁ、雑兵がいくら来ようがこちらは英霊が三騎いますから。余程の事が無い限り問題ないでしょう」
川神の人間を頭数に入れないのは恐らく、何かしらの対策を講じているだろうからだ。
川神の人間、特に学園生徒は重火器が相手でも平然と戦う。それも不可思議な力、気のおかげなのだろうがそれに抵抗するようなものが出てきたら一般人と変わりが無くなる。
なのでセイバーは川神の人間を頭数には入れない。守るべき民として数に入れている。
「エキシビションも組まれるようですね」
「そっちは主にOB陣に頼むことにしたよ。今はまだ、表舞台に立つべきじゃないからな」
狙うはカウンターのみ。相手が油断して挑んできたところを一網打尽にする。
幸い、急速に力をつけた士郎や、一騎当千の力を持つセイバーとランサーはまだ表立って力を発揮していない。
百代がよく憤慨しているが、衛宮士郎は偶然が重なり武神に土をつけただけ、などと言われていたりする。
だから百代は武神の座を士郎に譲ろうとするのだが、そこはいつもの通り、言いたい奴には言わせておけばいいというスタンスの士郎なので、一向に武神の座には着かない。
それが先ほどの噂に信憑性を持たせている。士郎としては理想的な環境だ。
「監視はとう・・・凛がしてくれているし、九鬼や川神院もいる。あとは生徒に自衛の手段を持ってもらうだけだ」
何十にも整えられた布陣に死角はない。いざ敵が動いたならば。瞬く間に殲滅してくれんと士郎は思うのだった。
「いただきます」
「「「いただきます!」」」
士郎が帰ってきて少しすれば夕ご飯だ。今日も美味しくいただく。
「そう言えば家の改築の話、どうなったの?」
清楚が唐揚げを皿に取りながら言う。
「それがな、二階建てにする案も出て来ててな・・・」
土地を追加で買うよりも二階建ての方がおさまりがいいのではないか、という案が揚羽から出ていた。
「なるほど。道理だな。今の我が家も十分に大きい。横に広げるよりも縦に広げた方がいいか」
「士郎、その、お金は・・・」
「大丈夫だ。揚羽がかなり出資してくれるらしいから俺の貯蓄で十分だそうだ」
「蔵のものを売ればよいのではないか?」
「んーそれもそうか。揚羽ばかりに出してもらうのも忍びないし放出するか」
後に無限流の大放出で剣豪や武術家が一気に買い求める事件になるのは別の話。
「楽しみね。天蓋付きのベッドも置けるかしら?」
「・・・その辺は揚羽に要相談ってことで・・・他に希望は無いか?」
「うーん。書斎はこれ以上広げるのもいけないし・・・ベッドは置きたいかな」
「私は布団でもいいが・・・ベッドにしてみるのもいいな」
「あと士郎君の部屋の拡張だね」
「だな」
さらりと自分の部屋の拡張を言い渡された士郎は苦笑いで、
「い、今以上に広くする理由なんか「「「ある!」」」そ、そうか・・・」
一人部屋としては十分に広いのだが彼女等の圧力にたじたじの士郎。
「部屋のサイズは・・・」
「キングサイズのベッドをだな・・・」
「・・・高級ホテルみたいにされても寝辛いんだが・・・」
結局士郎の部屋の要望は通らず。鍛冶場の拡張だけが唯一通ったのだった。
はい。今回はこの辺で。結構詰め詰めだったかなぁと思います。
体育でセイバーが持っているのは竹刀です。でないと大怪我どころか死の危険もありますからね。
オニュクス王国はどんな対応をしてくるのでしょうか?今から妄想が止まりません。
沢山の感想、お祝いのお言葉ありがとうございます!まだまだ頑張って行く所存なのでよろしくお願いします!