真剣で衛宮士郎を愛しなさい!   作:Marthe

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皆さんこんばんにちわ。今期見たいアニメの多い作者でございます。

今回は御前試合!本編ではちょろっとしかやりませんでしたが、こちらでは規模を大きくしてやりたいと思います。

それでは!


御前試合(前編)

場所は前に士郎と燕が決闘をした川神スーパーアリーナ。今日ここではオニュクス王国国王を招いての御前試合が開催されていた。

 

『大会はトーナメント式!参加者は勝ち上がり形式で戦いを行います。実況は私、九鬼家従者部隊序列三位、クラウディオ・ネエロと』

 

『おじさんこと宇佐美巨人でお送りするぜ』

 

「くぅー!ついに来たな!」

 

「トトカルチョの方もいい塩梅だぜ!」

 

「キャップの奴またやってんのかよ」

 

「誰か止めてやれよ」

 

士郎は半目でそう言うが、

 

「いつものこと」

 

「うむ。賭け事の対象にされるのはあまりいい気持ちじゃないが、キャップだからなぁ・・・」

 

「あたしは逆に燃えるわ!あたしに賭けたことを喜ばせてやるんだから!」

 

「ワン子も燃えてるなぁ・・・」

 

「だなー。でもこの御前試合で川神の端から端まで熱気が上がってるぜ?」

 

キャップの言う通り、今川神は非常にホットな状態になっており、あちこちから声援や、エールが届いている。

 

『出場者は32名。予選を潜り抜けた強者が揃っています』

 

『一応、川神院の方々に結界を敷いてもらってる。客席への攻撃は飛来しないだろうが、一応注意してくれ』

 

「川神院の人らも大変だな」

 

「こういうイベント事には常に担ぎ出されているみたいね」

 

「凛、もうそこまで調べたのか?」

 

呆れた声音で言う凛に士郎は驚いて聞く。

 

「あんたねぇ。私達がこの世界に来てどのくらい経ってると思うのよ。このくらいは常識」

 

「・・・。」

 

なんだか自分の情報収集能力が甘いと言われているようで複雑な士郎。

 

「それで、参加メンバーは、と・・・」

 

まずは風間ファミリーの切り込み隊長、一子。トトカルチョでも中々に人気の高い一人だ。最近、

 

『ねぇ士郎。前に話してたクー・フーリンさんのことなんだけど・・・』

 

『ああ。あいつがどうした?』

 

一子は、ゴクリと生唾を飲み込んで、

 

『その・・・その人の模倣も出来るのかなぁって・・・』

 

『出来ないことはないけど本人のようには行かないぞ。もしかして戦ってみたい、のか?』

 

『う、うん!長槍使いって言ってたし、あたしも参考になるかなぁって』

 

『・・・。』

 

『だ、ダメかなぁ・・・?』

 

『・・・しょうがないな。言っておくけど本当にそこそこだからな。奴の獣の如き敏捷性は、俺の目をもってしても閃光にしか映らない。かなり戦力的にはダウンする。それでもいいか?』

 

『うん!ありがとう!』

 

なんてことがあり、かなり実戦向きに仕上がっている。次期、川神院師範代としても人気が高い。

 

「今日こそは負けないぞ犬」

 

クリスもトーナメント出場者の一人だ。

 

一子には負け越しているものの、彼女のレイピア捌きは一段と鋭いものになっている。

 

「お嬢様、頑張ってください」

 

「うむ!それにしても意外だ。マルさんがトーナメントに参加しないなんて」

 

「丁度任務が予選と重なってしまいましたから。今回はお嬢様の応援係です」

 

マルギッテは特に悔しがることもなく、嬉しそうに言った。

 

「他には・・・」

 

京も参戦している。目当ては賞金で、大和とのハネムーンを計画しているそうな。

 

その他、義経、弁慶、与一も参戦。

 

「最近出番が無かったからね」

 

「メタな発言すんな」

 

「しかし、本当の事だ。義経達も張り切って行こう!」

 

彼女達も魔剣を正しく扱うことの出来る強者だ。特に義経は士郎からの気の供給訓練を受けていた(試合中は無し)ので気のコントロールが恐ろしいほどに上達。こちらも油断がならない相手となっている。

 

「まゆっちは出ないの?」

 

「わ、私はそのう・・・」

 

「まゆっちはねー、シロ坊を魅了するのに忙しいんだって」

 

「松風余計なこと「またこの子ですか・・・」ひゃいー!?桜さん!?」

 

「この、この!少しキャラが被ってるんですよ!ちょっとは自重しなさい!」

 

「そ、そそそんなこと言われても―!」

 

「まぁ・・・確かにまゆっちと桜さんは似てるかもな」

 

「怒らせたら怖い所とかもね」

 

「ガクガクブルブル・・・ガクガクブルブル・・・」

 

「あー・・・ここにも居たか。怒らせたの」

 

「?桜はちょっとやそっとの事じゃ本気にならないと思うが・・・」

 

クリスが不思議そうに首を傾げる。

 

「あれはだな・・・」

 

実はつい最近なのだが、

 

『一子。風邪ひいてるのにそんなに食べて大丈夫か?』

 

『うん!しっかり食べて治さないとね!』

 

『・・・それでも食べ過ぎのような気がしますけど・・・』

 

結局、士郎と桜の懸念は当たり、

 

『うー、お腹痛いよう・・・』

 

『だから言っただろうが』

 

『・・・いう事を聞かない子にはご飯作ってあげませんよ』

 

ゾル・・・と黒い影を出して威嚇する桜に、子鹿のように震えながらお説教される一子なのだった。

 

「ていうことがあってな・・・」

 

「なんだ、結局ワン子の事心配してくれたんじゃないか」

 

「そうなんだけど・・・怒り方が、ね・・・」

 

あれには凛も暗い顔をする。なにせ盛大に姉妹喧嘩(命賭け)した仲なのだから。

 

その他にも、西方十勇士全員で10枠。残りはその他生徒とオニュクス王国の兵士だ。

 

その他の生徒も油断ならない相手だ。しっかりとレオニダスに訓練された生徒の中で随一の評判を得ている者だ。

 

「えっと名前なんだっけ?」

 

「田中さん・・・だったかな」

 

「田中・・・普通だな」

 

「普通ね」

 

「普通だわ」

 

「こら。人様の名前にケチをつけるもんじゃない」

 

揃って普通普通言う皆にぴしゃりと言って士郎は大型モニターを見る。

 

『改めてルールの説明をいたします』

 

ルールは源氏大戦の時と同じだ。そこに刃引きされた武器を扱う事、という注意事項が付く。

 

『ないとは思うが、ギブアップした相手への追加攻撃、レフリーの指示を無視した場合には退場だからな』

 

「まぁレフリー、ヒュームさんとモモ先輩だからどっちみち逆らえないだろうけど」

 

今回は二面使っての大規模トーナメントなので、会場が二つに分かれている。

 

実況や各試合は中継され、全国放送となっている。

 

「しっかし、また派手にやるもんだな」

 

「この手のイベントはみんな協力的ね」

 

「戦いはあんまり・・・」

 

士郎も桜も戦いに関してはそれほど肯定的ではないためなんとも苦い顔だ。

 

「そう言えば士郎は出ないの?」

 

「士郎は武神枠だから・・・」

 

「・・・別にその枠じゃなくても俺は出ないぞ」

 

またもや武神呼ばわりされて、ますます苦虫を嚙み潰したような顔になる士郎。

 

「セイバーさんも、だよね」

 

「私としては是非出場したかったのですが・・・」

 

ちらりと士郎とアイコンタクトするセイバー。

 

「まだまだ、私が本気になれるステージには届きませんね」

 

「セイバーさんも姉さんクラスだからな・・・」

 

うんうんと頷く一同。

 

「そろそろ時間だな。行くぞ犬」

 

「あ!待ちなさいよクリ!」

 

出場予定の二人も控室に行った。

 

しばらくして。

 

『では第一試合始めるぞ。対戦カードは――――』

 

「みなさん!始まりますぞ!」

 

レオニダスの声に皆が大型液晶パネルをみる。

 

対戦第一試合のカードは、

 

第一会場、川神一子VSオニュクス王国兵

 

第二会場、田中VS武蔵小杉

 

「早速一子の出番か」

 

「頑張れー!ワン子ー!」

 

「切り込み隊長を自負してるんでしょ?いい滑り出しじゃないかしら」

 

「一子さん頑張ってくださーい!」

 

「第二会場は早速の田中さんか」

 

「彼女は私が調練した者の中で随一ですぞ」

 

「レオニダスがそこまで言うんだ、期待しておこう」

 

3……2……1……レディ、

 

会場が静まり返る。今か今かとタイミングを待ち、

 

GOッ!!!

 

ワアアアア!という応援の声が響き渡る。

 

ファミリー達も気合を入れて、

 

「「「ワン子ー!!!」」」

 

「「「頑張れー!!!」」」

 

と、風間ファミリーも応援する。

 

舞台では、

 

「いくぞ!」

 

ガッチャガッチャと鎧を鳴らしながらオニュクス王国兵が走り、

 

「スゥ・・・フウ・・・」

 

一子は深く息を吸い、

 

「川神流――――」

 

「はぁッ!」

 

「雷光一閃ッ!」

 

雷光の如き鋭い太刀筋がオニュクス王国兵に直撃した。

 

「あ・・・ありえ・・・」

 

ドサ!

 

一撃で勝敗を決めてしまった。

 

「勝者、川神一子!」

 

ワアアア!!!という怒号が響き渡る。

 

「っしゃあ!まず一勝!」

 

「一撃って・・・ワン子もやるなぁ」

 

ガクトが勝利にガッツポーズを決め、モロも素直に驚いていた。

 

「あれはシロウの技ですね」

 

「ああ。どうしてもって言われて教えた」

 

「ワン子は士郎に強い憧れみたいなのあるからなぁ」

 

「でも聞きかじった技じゃなくてちゃんと昇華できてるね」

 

と京も満足そうに言う。

 

「あれ?京は控室に行かなくていいのか?」

 

「私は午後の部。だから大和を独り占め」

 

「あ、あはは・・・」

 

困り顔の大和。だが、まずは一子が次の戦いに進出という事で安心し、第二会場の方を見た。

 

「このこの!盾に隠れてないでプッレミアムな私の攻撃を――――」

 

「そこ」

 

「うごえ!?」

 

ズドン、という音が槍の先(先は布で包まれている)から聞こえ、武蔵小杉が吹っ飛んだ。

 

「あれは田中さんの勝利ね」

 

「まだ武蔵小杉さんも立ち上がるだろうが・・・」

 

「強者としてのレベルが違いますね」

 

基本に忠実な、盾で防ぎ、できた隙を槍で突くという戦法で、無難に次にコマを進めた田中。

 

「スパルタ仕込み入ってんなぁ・・・」

 

「俺様もあの子に予選で負けてなぁ・・・先生の教えはやっぱりすげぇぜ・・・」

 

それからも、

 

クリスVSオニュクス王国兵も無難にクリスが勝ち、

 

十勇士達も一回戦は完勝。どれもが一撃の下に下される鋭き一閃の試合となり、

 

『予定より早いが昼休憩にするぞ』

 

『午後の部出場の皆さまは遅れずに控室にお越しください』

 

予定より幾分早い昼となった。

 

「みんなー!勝ったわよー!」

 

「おう!おめでとう」

 

「おめでとうございます」

 

「おめでとう、ワン子!」

 

「自分も無難に勝ったぞ」

 

「無難なんてものじゃなかったじゃないか」

 

「一段と鋭い突きだったと義経は思う!」

 

「そう言う義経も鋭い太刀筋だったぞ」

 

「そ、そうかなぁ?」

 

「ああ。腕を上げたな、義経」

 

「えへへ・・・」

 

「無駄にカップル感出すな!」

 

「そう言えば南さんは?」

 

「『ガクト君が出場しないなら有給はお預けかな』って言われてよう・・・シクシク」

 

「まぁ学校の先生・・・教育実習生だからな」

 

「うちの学校もそうだけど、先生達っていつ休んでるんだろうね」

 

「モロ。休めるように仕事をするのも大事なことなんだぞ」

 

「そっかぁ・・・士郎が言うと現実味があるなぁ・・・」

 

「なにせこのバカはオールシーズン鉄を鍛えてるからね」

 

「バカは無いだろう?立派な仕事だ」

 

「普通ならね。魔術の秘奥を一般公開してるからバカなのよ」

 

「むむむ・・・」

 

凛の言葉に考え込む士郎。

 

「でも、士郎君が創り手として認めた人達って少ないんじゃないかなぁ?」

 

「そうよね。あたしも、まだまだこの子に追いつけてる気がしないわ」

 

「犬の薙刀も義経の刀も、士郎の魔剣製だったな」

 

「まゆっちの刀もね」

 

「こう見ると士郎の縁者はみんな持ってるな」

 

「・・・いいなぁ」

 

ポソっと言うクリスだが、

 

「クリスは突きがメインだろう?」

 

「峰打ち出来ないじゃない」

 

「そ、そうだが・・・」

 

「クリスのは士官学校に入る時にな。それまで楽しみにしててくれ」

 

いずれは戦場に出るクリスに士郎はそう告げた。

 

「ほ、本当だな?」

 

「ああ。むしろフランクさんからも作成依頼が来てる。今は技を磨け」

 

「!うん!楽しみにしている!」

 

「良かったですね、クリスさん」

 

「シロ坊も甘いなぁ・・・」

 

「・・・これでも易々とは作ってないんだが」

 

「それでも確実に増えてるよね」

 

「まぁ・・・一流の担い手には一流の武器を提供したいからな」

 

「ほらもう」

 

「仕方ないだろう?それが俺の想いなんだから」

 

「それで追っ手なんか差し向けられたらキリがないでしょうに」

 

「それでもだよ。だから、俺なりに正しく使える人たちを選んだつもりだ」

 

「義経は嬉しい。士郎君ほどの人に認めてもらえて」

 

「あたしも!士郎は世界最高の鍛冶師だもの!」

 

「確かに、シロウを越える刀匠はいないでしょう」

 

「義経!一子も・・・せ、セイバー。そんなに持ち上げないでくれ」

 

一子達ならまだしも宝具を身に宿すセイバーにまで言われるのは過分だ。しかし、

 

「シロウ。誰もが私と同じ神造兵装を持っていたわけでは無いのですよ?」

 

「そうよね。セイバー配下の騎士達だって、信頼する鍛冶師に頼んで作ってもらっていたんですものね」

 

「レオニダス王がよく言っていますが我らの時代にも居て欲しかった。シロウのそれは神代の鉄を使えば十分に神代でも通用します」

 

「そ、そうかぁ?」

 

そこまで言われては士郎も悪い気はしない。

 

「俺の事はその辺でな?何食べる?」

 

「この人数でずらずら歩いてても、ろくに食えんだろ」

 

「ガクトの言う通りだな。一度散開して各々食いたいもの買って集まろうぜ」

 

「そうだな。じゃあ、解散!」

 

パラパラと散って行く風間ファミリーだが、

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

「「「・・・。」」」

 

衛宮ファミリーは結局ずっと士郎と一緒だった。

 

 

――――interlude――――

 

「こちら林冲。異常なし」

 

林冲や史文恭はこの御前試合の警護を担当していた。

 

『まだ油断は出来ねぇ。よろしく頼むぜ』

 

「了解」

 

インカムでの通信を終えて林冲は近場にいた史文恭に話しかける。

 

「そっちはどうだ?」

 

「問題ない。だがあのオニュクス王国の王・・・気に食わんな」

 

「・・・。」

 

「まるで自分が唯一絶対の王であるかのようなニタニタした顔。気に入らん」

 

「一応自国ではそうだからな・・・だが、他国でもそうした態度を取るのは・・・」

 

やはり何かあるのではないか。そう考えてしまう。

 

「豹子頭の考えは的を射ているだろうよ。あの男、何かを推し量っている」

 

「!じゃあ・・・」

 

「十中八九、何かしかけてくるな」

 

「・・・。」

 

戦いの火の粉が降りかかるなら払うまで。と林冲は一層警戒を強くする。

 

「そう急くな。獲物はこちらの手のひらの上。機会を待て」

 

「・・・士郎に何かしたらぶっ飛ばしてやる」

 

「はっはっは!女しているな林冲よ」

 

からかわれた林冲は拗ねるように、

 

「史文恭だってそうだろう?」

 

「もちろんだ。もう私の戦の時代は終わった。それでも尚噛みついてくる愚か者には――――」

 

一般人が見たら裸足で逃げ出す獰猛な笑みを浮かべて、

 

「叩き潰す。それだけだ」

 

そう、言った。

 

 

――――interlude out――――

 

 

『さぁ、午後の部の開始だ。存分に食ったか?戦士諸君』

 

『エネルギー切れでは興ざめですからな』

 

午後の部も暑い熱気に覆われている。

 

『それでは第二試合のカードを発表するぞ』

 

第二試合、第一会場、川神一子VS島右近

 

第二会場、クリスティアーネ・フリードリヒVS石田三郎

 

「あちゃー・・・御大将とクリスさんかー」

 

「島も一子さんとだね」

 

焔と晴が液晶パネルを見ながら言う。

 

「おう。二人は見学か?」

 

「士郎!」

 

「うむ。大友達はまだ時間があるのでな。いずれ戦う敵の視察と言った所ぞ」

 

「大事だね。試合、始まるよ」

 

3……2……1、レディ……

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

「「「・・・。」」」

 

GOッ!!!

 

「川神流奥義、顎!!」

 

「ぬッ!」

 

一子は東西戦で一撃で島を仕留めた技を繰り出す。が、無難に受け止められてしまった。

 

「ああ!?」

 

「ワン子!」

 

「ぬう・・・東西戦よりも遥かに重い一撃・・・ですが、その技は見切りましたぞ」

 

キィン!とはじかれ合い、互いに距離が開く。

 

「川神流――――」

 

「む!来るか!」

 

「雷光一閃ッ!!」

 

「ぬん!」

 

ガイン!と互いが交差する。受けきったように思えた島だが・・・

 

「ぬう・・・穂先を持っていかれましたか・・・」

 

布に包まれた槍の先の部分がカラン、と転がっていた。

 

「タイムだ。お互いまだあきらめんな?」

 

「当然よ」

 

「しかり。それがしも穂先を潰されては元より棒術のようなもの。まだまだ、勝負を捨ててはいません」

 

二人とも目には闘志が溢れていた。

 

「では島右近の棒に布を巻く。それまで休戦だ」

 

川神院の若い衆が走ってきて手早く島の棒に布を巻く。

 

「・・・これは武器の差が出たわね」

 

「だな。ワン子のは刃引きされてるとはいえ士郎の魔剣製だろ?」

 

「そうなるな。一応気の強化はしてないみたいだが・・・それでもそこいらの槍じゃ相手にならんのは自負してる」

 

「島さんも大変な人と当たったな・・・」

 

弘法筆を選ばず、とはいかなかったようだ。選んだものにこそ勝利が輝きかねない事態だ。

 

そんな話をしている内に第二会場のクリスの方で動きがあった。

 

「光龍覚醒2ッ!」

 

ぶわりと石田の髪が気に覆われ長髪のようになった。

 

「!?」

 

「これぞ俺の行き着いた先!多少の事では傷もつかんぞ!ドイツの!」

 

「・・・。」

 

しかしそれを見てもクリスは冷静に相手を見ていた。

 

「いつものクリスさんなら多少は驚いていそうですが・・・」

 

「実際驚いてるだろうさ。顔に出さないだけで」

 

「なんだかんだクリスも士郎の戦闘スタイルに似て来たね」

 

あれは士郎を彷彿とさせる姿だった。どんな状況もその観察眼で突破口を見つける。

 

士郎のような泥臭さは無いが、あれは天然の才能が持ち得るものだろう。

 

「クリスも仕上がってるな」

 

「あれでまだまだ成長途中です。シロウのように経験を積めば、いずれ心眼へとたどり着くでしょう」

 

セイバーは真剣な顔でクリスを見ていた。

 

「今の俺に大抵の攻撃は通じんぞ。諦めて去るがいい」

 

「・・・フッ!!!」

 

石田の言葉に応えず、クリスは突進した。避けがたい連続の刺突を繰り出すが・・・

 

「見える!俺にも見えるぞ!」

 

素早い動きと剣さばきでクリスの刺突を防ぐ石田。

 

「おいおい!あれはやべぇんじゃねぇのか!?」

 

「だがクリスは諦めていない」

 

「そうね。あの子はプライドが高い子だし・・・何か狙ってるんじゃないかしら」

 

凛の言う通り、クリスはいくら弾かれ、躱されようとも突きをやめることは無かった。

 

「貴様、馬鹿か!?このように無駄な攻撃を――――」

 

「無駄かどうかはまだ分からない。現にお前は攻撃に移れていない」

 

「このッ・・・!小娘が!!」

 

ぐわりと石田が俊足の踏み込みでクリスに迫る。

 

その時クリスは――――

 

『なぁ士郎。士郎はよく戦いの最中よそ見をしているが・・・』

 

『よそ見?そんなことするわけないだろう?』

 

士郎は不思議そうに言った。

 

「そ、そうなのか?いつもこちらを見ないことが多々あるから」

 

「・・・クリス。戦いでもっとも恐れなければいけないのはなんだか、知ってるか?」

 

「え?相手の技・・・だろうか」

 

クリスの答えにゆっくりと士郎は首を振った。

 

『自分自身だ』

 

『自分・・・自身?』

 

『そうだ。相手を恐れる自分。無理かもしれないと囁く心。それらすべてを打倒する。敵の存在なんて、自分自身と戦っている間に居なくなるよ』

 

『・・・。』

 

あの時、その言葉が胸にストンと落ちた。そう。士郎はいつだって、自分自身を打倒するために動いていたのだ。

 

だから納得がいった。彼はよそ見をしているんじゃない。ほんの僅かでも相手を恐れ迷う自分を打倒するために――――

 

 

 

 

「その動きを、待っていた」

 

「なん・・・」

 

ピィンとレイピアが軽やかな音を立てる。レイピアの先は・・・

 

「御大将の心臓・・・」

 

石田は振り上げモーションの最中。対してクリスのレイピアは既に心臓を捉えており、どちらが優勢かは歴然だった。

 

「勝者!クリスティアーネ・フリードリヒ!」

 

オオオオオ!!!と会場が興奮の渦に巻き込まれる。

 

「最後まであきらめなかったクリスの勝利、だな」

 

「誰に似たのかしらあの目。誰かさんにそっくり」

 

「あはは・・・皆さん士郎先輩の弟子ですね」

 

「弟子は一子だけなんだけどなぁ・・・」

 

「うちらの女子はみんな士郎に影響されてるよな」

 

「うん。姉さんですらそうだからな」

 

「本物の武神じゃん」

 

「おいキャップ。やめろって」

 

士郎は気まずそうに言う。

 

「そう言えばキャップ。キャップ自身は誰が勝つと思うの?」

 

トトカルチョを開催しているキャップだ。きちんとその辺を把握しているだろう。モロが問うた。

 

「正直三人の中から絞れてねぇから三人に分配だな」

 

「三人て?」

 

「ワン子にクリス。あと田中さんだ」

 

「キャップが決め切れないなんて珍しいね」

 

「でも確かに、三強ではあるな」

 

「義経や弁慶には賭けないの?」

 

「仮にだけどよう、決勝戦でワン子と義経がぶつかったとして、義経に勝ち目はあるか?」

 

「うーん・・・そう言われると・・・」

 

身内贔屓(みうちびいき)抜きにしてもワン子かなぁ・・・」

 

一子は、いや、一子も、壁越え一歩手前まで来ている。義経は確かに強い。だが成長の爆発率が他の誰をおいても凄まじい。

 

この試合で壁を超えるかもしれないと密かに言われているくらいだ。確かにこのまま行けば義経に黒星をつけることになるだろう。

 

「クリスはくじ運がな。ほら、あんまり消耗しなさそうな相手と当たってるだろ?」

 

「石田と当たってたじゃないか」

 

「あいつはまだワン子やクリスの敵じゃねぇよ。実際、あっさり決まったろ?」

 

「うーん。風間君の言うとおりかしらね。番狂わせがないとあの子の不利にはならないかも」

 

トーナメント表を見て言う凛。ただし、勝敗次第では準決勝で田中に当たる可能性がある。

 

そんな考えを巡らせているとき、また熱い声援が響いた。

 

「田中さん、勝ったな」

 

「相手は宇喜多だったのに盾で防いで槍で一撃だ。あのハンマーにも負けない膂力、異常だぞ」

 

「やっぱ可能性があるとしたら田中さんかワン子かなぁ・・・クリスのレイピアは田中さんのいいカモだし・・・」

 

「そうとも言い切れないんじゃないか?そもそも、一瞬の隙を突くのがレイピアの基本だ。あんなにゴリゴリの突きを放つのはクリスくらいのものだぞ」

 

クリスは素早さだけでなく正確性と強靭性を持っている。今の彼女ならレイピア抜きでも戦えるだろう。もちろん、あるに越したことはないが。

 

 

鉢屋壱助VS長曾我部宗男

 

「当たっちまったな」

 

「うむ。我ら十勇士は比率が多い。一回戦で他はほぼ打倒されたとなれば当たるのは必然」

 

「じゃあ・・・負けても恨むなよ」

 

「そっちこそ。それがしはまだまだ負けるつもりはない」

 

開始の合図と共に鉢屋が消えた。

 

「鉢屋式・分身術」

 

ブワッと鉢屋の姿が無数に増え、長曾我部を驚かせる。

 

「おいおいマジか。前は5人くらいが精々だったじゃねぇか!」

 

「それがしも成長しているという事だ。本気を出せ。長曾我部」

 

「おうよ。この戦・・・負け戦じゃねぇことを知らしめるぜ!」

 

ドン!ドン!と長曾我部の足がステージを踏みしめる。

 

「やぁってやるぜ!!!」

 

「ゆくぞ!」

 

鉢屋が数で長曾我部を円形状に包囲する。

 

「はぁ!」

 

「ぬん!」

 

ガツン、とまたもや肉体同士がぶつかったようには思えない音が響く。

 

「長曾我部は防御の構えか」

 

「ああ。だがそれだけじゃない」

 

(落ち着け!分身と言っちゃいるが本当に数が増えたわけじゃねぇ。防御を固めつつ・・・)

 

(と、思っているだろうな)

 

((なら)ば)

 

「「ここだ!!!」」

 

ガツン!と一際大きい音が鳴った。

 

鉢屋の蹴りと長曾我部のパンチが衝突した音だ。

 

「ぬう!」

 

「オラァ!」

 

力比べでは長曾我部に利がある。そのまま押し込まれると、誰もが思った。

 

「鉢屋流忍術――――蜃気楼」

 

「ぬお!?」

 

それまで鉢屋の足と衝突していた拳が不自然に揺らぎ、手ごたえを失った。

 

「なん――――」

 

「鉢屋流体術・・・意志砕き」

 

スパン!と鉢屋の一撃が長曾我部にクリーンヒットし、意識を刈り取った。

 

「勝者!鉢屋壱助!」

 

オオオオ!!!と会場が湧きたつ。

 

「あれが噂の忍術か!」

 

「体術もすごかったぞ!」

 

「アイエェェ!?ニンジャナンデ!?ニンジャコワイ!」

 

反応は様々だが鉢屋が勝利した。

 

「今のなんだ!?」

 

「本当に幻みたいに・・・」

 

ガクトは目を擦りモロは呆然とその様子を見ていた。

 

「体捌きだ」

 

士郎は言った。

 

「ぶつかるのではなく、一瞬で体の位置を入れ替えた。後は意識を刈る一撃、だな」

 

「鉢屋ってあずみさんと同じ忍者なんだろ?」

 

「らしいな。あずみが言うには随分と差があるらしいが・・・」

 

ありがとうございました、と頭を下げ去って行く鉢屋。

 

(これは、あずみも油断ならないだろうな)

 

そう士郎は思った。

 

「では大友達も控室に行こう」

 

「士郎、またね」

 

そう言って二人は去って行った。

 

そして二回戦、毛利とぶつかった京だが・・・

 

「勝者!椎名京!」

 

「・・・あれ?なんか京強くね?」

 

「多少は苦戦するものだと思ってたんだが・・・」

 

皆一様に首を傾げる。

 

そんな中、

 

「あら?あの子・・・」

 

凛が声を上げた。

 

「遠坂さん何かわかったんですか?」

 

「んー・・・いや、気のせいみたい。ごめんなさいね」

 

パッと凛は笑顔を浮かべた。

 

(・・・それで。あの強化状態は何なんだ?)

 

解析で得た情報を皆には聞かれないように聞く。

 

(そこの直江君に聞いたらいいんじゃないかしら。まさかあんな古典的な強化をものにする子がいるなんてねぇ・・・)

 

(?)

 

士郎は聞きたい好奇心に襲われたが、今はやめておくことにした。

 

「あ、ワン子も勝ったみたいだよ」

 

液晶を見ると棒をこぶし大まで細切れにされた島と、薙刀を突き付ける一子が居た。

 

「ひえ~。あれで刃引きされてるんだろ?」

 

「ああ。本物は川神院だからな」

 

「俺様普通にあれで叩き切られそうなんだけど」

 

「これからはワン子も怒らせないようにしよう・・・」

 

「それが懸命だな。ガクトは一般人から外れたけど、一子ほどじゃない。大和も回避力こそ上がってるが、今の一子じゃ無理だよ」

 

「ぬう・・・そう言われると対抗心が・・・」

 

「じゃあルー先生の拳、避けられるのか?」

 

「無理」

 

大和は即答した。

 

「ワン子もそんなレベルかぁ・・・」

 

「なんだか感慨深いねぇ」

 

風間ファミリーは、ほうっと息を吐く。それだけ、彼女の夢が目前に迫っているという事なのだから。

 

「次の試合、大友さんだよ」

 

「相手は・・・オニュクス王国騎士団長か・・・」

 

「どんな人なんだろう」

 

出てきたのは二メートルを超える偉丈夫だった。

 

「デケェ!?」

 

「ガクトよりもでっかい人が居るなんて・・・」

 

「流石外人・・・」

 

彼もまた一回戦を乗り越えた強者下手な油断は出来ない。

 

「・・・。」

 

「士郎?」

 

黙する士郎に不思議そうに声をかける大和。

 

「いや・・・嫁が負ける姿は見たくないものだなと思ってな」

 

「ええ?まさか、あの騎士団長・・・」

 

「強い、のか?」

 

ガクトの言葉に士郎は沈黙で返した。

 

――――波乱に満ちた御前試合はまだまだ続く。オニュクス王の思惑はわからずとも、舞台で戦う彼女等は一層輝き、舞台を舞うのだった。

 

 




はい。今回はこんな所です。投稿遅れてしまいすみません。

プラスディスクではちょろっとしかやらなかった御前試合、楽しんでもらえたら嬉しいです。

ご感想、誤字報告いつもありがとうございます!とても励みになりますゆえ、いつも感動しながら読ませていただいています。

これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします!
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