お待たせして申し訳ありません。どうにも熱が出たりくしゃみが止まらず寝不足など非常に辛い環境です。しかし、何とか続けて行ければと思っています!
今回も引き続き御前試合です。どうぞよろしくお願いします。
「一子殿、素晴らしい太刀筋だな」
「うん。相手のモードさんも、負傷してなかったら分からなかったかもね」
ヨシツグと田中がそうコメントする。彼らもここまで勝ち抜いた強者同士、意見が合うようだった。
「クリスと鉢屋の戦いも見事だね。クリス、上手く鉢屋に合わせてる」
「晴がそう言うのならそうなんだろうな。俺には未だに不利に見えるが・・・」
「もうそろそろじゃないかな」
晴の言葉にVTRに目を向けた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
疲れを見せるクリスに鉢屋は攻撃を仕掛ける。
「・・・ッ!!!」
しかしそれもあっさりと防がれてしまった。
(ぬう・・・クリスティアーネ殿、見事なり)
一見余裕を持っている鉢屋だが、実際はそうではなかった。
ジジ・・・ジジジジ・・・
分身が明滅している。分身術とは言え本当に人が増えているわけではない。技を維持するには膨大な体力を必要とする。
彼が初手からこの技を出したのはそうでもしなければ危ういと睨んだからだ。
あれから長時間分身を展開しているが、さしもの鉢屋もスタミナ切れを起こしていた。
「はぁ・・・ん!鉢屋。分身が維持できなくなっているぞ。このままでいいのか?」
「・・・。」
このまま同じ戦法を取っていても互いに消耗するだけ。クリスはそう言っているのだ。
「次の試合もあるんだこれ以上は付き合えないぞ」
「!!!」
鉢屋は忍者らしからぬ挑発に乗った。クリスの言う通り、鉢屋としても次の試合の為に体力は温存したい。そこで賭けに出た。
「来るか」
それまで無数にいた分身が消え、一瞬の静寂が訪れる。
次の瞬間、
「鉢屋流忍術、三身一体」
三人の鉢屋がクリスに向かってきた。
「・・・。」
クリスは今一度精神を集中する。
(本体は一体に分身は二体・・・)
そうクリスは安直に考えてしまった。
「せい!」
しっかりと当たりをつけた一撃はするりと虚構を刺し、
「残像だ」
「なに・・・!?ぐあっ!」
鋭い鉢屋の蹴りが炸裂した。
「クリス!!」
「お嬢様!!」
大和とマルギッテの心配そうな声にクリスはもう一度立ち上がる。
(違った。分身を作るために鉢屋は高速で三体の間を移動してる。それを捉えるには――――)
ヒュっと、今度は中央の分身にレイピアを突き立てた。
「残像・・・「知っている」!?」
ドカンと、本物の鉢屋が蹴り上げられた。
「なぜ見破った!」
「簡単なことだ。三人の分身だったのが誤りだったな」
クリスも飛び上がり、
「ライジングクリスストラーイク!!!」
「ぐあああ!」
強力な跳び蹴りが炸裂した。
「そこまで!勝者クリスティアーネ・フリードリヒ!!」
激しい声援が巻き起こる。
「俺ちょっと行ってくる」
「長居するなよ」
うん、と言葉少なく返して大和はクリスの控室へと走って行った。
「しかし何ともまぁ手に汗握る試合だぜ」
「今回クリスは何で鉢屋に勝てたんだ?」
首を傾げるキャップに士郎が補足する。
「分身ていうのは本当に数が増えたわけじゃない。定位置を高速で行き来することで、あたかも何人にも増えたように見せる幻術の一種だ」
士郎ほどの眼力なら分身術のからくりも見えてしまうのだ。
「定位置を高速移動・・・三体の分身・・・あ!」
「お。モロがなんか気付いたぞ」
声を上げたモロは、
「反復横跳びだね!」
「「反復横跳び?」」
キャップとガクトが首を傾げる。対して、士郎の隣にいる凛はくすくすと笑っていた。
「確かに!師岡君が言う通り三人ならそうね」
「忍者の技が反復横跳びなんて、んなことあるんか?」
「ああ。モロの言う通りだぞ。横に増やそうが、縦に増やそうが、三体分出すなら同じ場所を繰り返し行き来するという点で反復横跳びだろう?」
「確かにそう言えなくもないけど・・・」
「ちょっとユニークな表現ね」
くすくすと凛と桜に笑われたモロは顔を赤くした。
「でもそれならクリスが最初攻撃食らったのはなんでなんだ?」
「あの技を見て最初に思いつくのは三体の内一体が本物だということだ」
「しかしそれは誤りです。常に高速移動で残像を生み出しているのならば、どれか一つではなく
「なーるほど。だからクリスは真ん中にレイピアぶっ刺したのか」
「反復横跳びである以上、必ず真ん中を通過する。そこを遮ってしまえば右か左に鉢屋がいることになるな」
「そういう事だ。一度の失敗で確実に攻略法を見つけたクリスの観察眼の勝利だな」
「多面的に分身を展開されたんじゃまずいと思ったのも良かったわね。流石にあの状態じゃ勝ち目は薄かったでしょ」
「なるほどなぁ・・・終始鉢屋が押してるのかと思ったけどそうじゃなかったんだな」
うんうんと頷くキャップ達。しかしふっと、
「そういやワン子はどうなったんだ?」
「あの調子だ」
士郎は真剣に様子を見る。そこには泥臭い、死に物狂いの様子が映し出されていた。
剣を振るう。避けられた。再度振るう。薙刀に防がれた。もう一度―――――
剣を振るい、その度に息を荒げ立ち止まり、また次の剣を振るう。誰の目にもモードは限界だと見て取れた。
この勝負、敗北はモードだろう。だが彼は、意識の続く限り歯を食いしばって次の一刀を繰り出すようになっていた。
もはや意識も朦朧としている。それでも彼は一歩ずつ前進していた。
「・・・。」
一子は思う。まるでいつかの自分のようだと。
血反吐を吐きながら一歩でも前進しようと剣を振るう。
同じだ。士郎が来る前の自分と。
なんと誇り高い一刀か。彼は持ちうるすべてをかけて剣を振るっている。
その剣に一子は昔の――――扱える気もわずかだった頃を思い出す。
(忘れちゃダメ)
一子は本能的に自分を戒めた。この光景を、この剣を忘れた時、自分は失墜するのだ。
「川神流奥義――――」
だからこの男性に感謝を込めて。
「青龍落とし」
最後の一撃を絡めとり、舞い上げて――――
トン、と首に薙刀を落とした。
『・・・あれ?モード選手が止まった?』
『あれは・・・』
悩む巨人の声を背に一子は、
「担架をお願いします!」
と大きく宣言した。
『あ、あー・・・マジでこういうことする人いるかね』
『武蔵坊弁慶にも劣らない仁王立ちでしたねぇ・・・』
折れた右腕に触らないようゆっくりとモードは担架に乗せられていった。
「勝者!川神一子!!」
パチパチパチと拍手が送られる。
最初から決まっていたような試合だった。しかしモードは意識が無くなっても最後まで戦い抜いた。
その姿は誰の目にも熱く刻まれたことだろう。
『モード氏は九鬼の最新鋭の病院で治療を受けるので安心してほしい』
『モード氏に限らず、各選手にも手厚い看護が約束されています。どうか、最後まで勇敢に戦ったモード氏に拍手をお願いします』
パチパチパチと再度拍手が鳴り一子は控室へと去って行く。
「・・・すげぇ試合だったな」
「最初こそワン子の技受けたりしてたけど限界だったんだな」
「川神一子の成長は目覚ましいものがあります。今回のモード氏も師範代クラスの人物でしたが、負傷していたとはいえ彼を下すとは・・・」
「え?ワン子、余裕だったんじゃないの?」
「そんなわけないだろう。みんながクリスと鉢屋の試合に集中している間、猛烈な攻防があったんだぞ」
「なにぃー!?やっちまったぜ!!」
「二会場だとこういうことが起きるから怖い・・・というか不便だね」
「まぁそこは出場者の人数上仕方ないだろう」
「さ、次は誰かしら」
第一会場、源義経VS田中
第二会場、椎名京VS大村ヨシツグ
「まじかー!」
「京不利だな」
近接戦を得意とするヨシツグに遠距離戦の京では分が悪い。
一方の義経、田中戦は接戦となりそうである。
「京は戦闘の領域をどう操るかが見ものだな」
「義経と田中さんも見ものだぜ!」
「お互い怪我しないと良いね・・・」
モロは先ほどのモードの事を心配しているようだ。
「大丈夫でしょ。多少の怪我は認められてるんでしょ?」
と、凛が言った。
「そうだけど・・・」
「なら平気よ。完全に取り締まった方が危険だしね」
「そうですね。完全に怪我を取り締まってしまうと返って起きやすいものです。モード氏も腕の骨折ですから二、三日大人しくしていれば楽になるでしょう」
「ほら!騎士王様のお墨付きだ!モロも京応援しないとな!」
「う、うん・・・京ー!頑張れー!!!」
「田中さん。貴女と戦えることを誇りに思います」
「・・・こちらこそ。源義経さんと戦えて光栄です」
義経は刀を、田中は盾と槍を。互いに油断なく構えて感謝をのべる。
「椎名京さん。俺も全力で行かせてもらう」
「いいよ。じゃないとこっちも張り合いないから」
第一会場も第二会場もメラリと重厚な闘志が滾る。
『では試合――――』
『開始です!』
GOッ!!とモニターに表示された。
「・・・。」
「・・・。」
まずは義経、田中戦だ。二人とも武器を構えながらピクリとも動かない。
「・・・膠着状態か?」
いい加減ハイレベルな戦いにも慣れて来たガクトがそう呟く。
「ああ。相手は盾があるからな。迂闊に踏み込めば義経は隙を晒すだろうし・・・」
「あの田中って子は義経のスピードに追い付けないんじゃないかしら」
士郎と凛が互いに感じた感触を伝える。
「田中さんは堅実に盾で防いでたからな。立ち回りが重要そうだぜ」
キャップも手に汗を握って様子を見る。
膠着はしばらく続いたが、このままでは埒が明かぬと思ったのか義経が動いた。
「はあ!!」
「ッ!」
ギャリン!とそれに合わせた田中の盾が鳴る。
「・・・やっ!」
ズン、と体重を乗せた突きが迫る。それを、
「てやああ!」
ピイン!と金属が空気を叩く音と共に田中の槍の矛先が切られた。
「見事・・・」
『おおっと田中選手、槍を失ったか!?』
『大会規定ではそのままでは戦えません。ですが・・・』
「!?」
驚いたのは義経だった。
「まだまだ始まったばかり・・・」
彼女は腰に帯びた剣を抜いた。もちろん刃引きがなされているものだ。
「ふぅッ!!」
「クッ!?」
早さで翻弄しようとした義経だったが相手が剣に切り替えたことで機動力を得て逆に防ぐ側となってしまった。
「マジか。田中ちゃん剣も使えたんか!」
「ここまで一度も見せなかった隠し玉か。流石レオニダスの弟子」
「はっはっは!田中嬢は強くなりたい、と私の訓練の中でピカ一の粘り強さを見せた方です。槍が無くなったくらいでは終わりませんぞ」
ギャリン、と何度も盾が鳴り、その度に鋭いカウンターが義経の身体を掠める。
(やっぱりこの人、やり手だ!)
再度弾かれ、カウンターを紙一重で避けた義経は盾を蹴り、大きく距離を取った。
「義経がんばれー!」
「!!」
観衆の中のほんのわずかな、しかしはっきりと士郎の声援を聞き取った義経の目に更なる闘志が宿る。
「スゥ・・・」
義経は深く息を吸い、
「・・・シッ!」
「無駄・・・!?」
それを今までように盾で防ごうとした田中はその強烈な一太刀にたたらを踏んだ。
(なんて衝撃・・・真剣だったら盾ごと切り裂かれてたかもしれない)
「はあぁぁぁ!!」
ギャリン!!と再度音がする。が・・・
―――――ピシッ
「!?」
盾が、絶望的な悲鳴を上げた。
「源氏流、一点痛打!!」
「くっ・・・」
盾にヒビが入る。これ以上彼女の攻撃は受けれない。
「盾は限界。でもまだ、剣がある・・・!」
田中は諦めなかった。槍を折られ、盾が砕けようとも義経の乱舞にその剣で立ち向かった。
しかし加速を得た義経に瞬く間に劣勢になる。
そして遂に、
キイン!と、甲高い音を立てて。
「田中ちゃんの剣が・・・」
「半ばから切れちまったぜ・・・!?」
田中の剣も鋼製だったろうに、バッサリと切られてしまった。
「義経の・・・!」
「それは甘い」
勝ちだ、とは続かなかった。
「スパルタ式・・・牙城崩し」
ゴオッ!と罅だらけの盾が迫る。
「無駄なことを・・・!?」
義経は容赦なく盾を粉砕した。元よりひび割れていた品。彼女にすれば当然の結果だった。
「まだまだ・・・!」
「!?」
砕けた盾の裏から両手が伸びてくる。
「あっ!」
「とっ!」
伸びきった刀を持つ義経の腕を絡めとり一回転。
「これで詰み」
「ぐあ!?」
『これは・・・!?』
『腕挫十字固だ!』
――――
格闘技界では有名な技で誰もが腕十字、など呼称は様々であるが聞いたことのあるであろう技である。
「・・・降参して。これ以上は関節が外れる」
「くうっ・・・こっちだって・・・!」
ギリギリと締め上げられる腕に義経は脱出を試みる。
「ダメ」
「くっ・・・」
パンパンと地べたを義経は叩いた。
「そこまで!勝者!田中朱美!」
「よ、義経ちゃんが・・・」
「負けた・・・!」
最後まで諦めなかった田中の勝利であった。
「最後の盾は目くらましか」
「そのようね。それにしても何あれ。本場のスパルタ人じゃない」
「彼女は私の下でスパルタを学んだ者です。徒手空拳となっても諦めないことだけは叩き込みましたので」
「それで関節技か・・・まぁ、殴る蹴るにならなくて良かったと喜ぶべきか・・・」
「まさかまさか。彼女は虫も殺せぬ優しき心の持ち主です。そうなったら潔く負けを認めていたでしょう」
「まぁ、相手を降参させるのが関節技の神髄だからな・・・」
「しっかしこりゃあとんだダークホースだぜ。次の試合も見ものだな!」
鼻息荒く言うガクトも誇らしげだ。
「ガクトも槍と盾持つか?」
「え?いや、俺は・・・」
「それはいいッ!ガクト殿ならば裸で豹退治も可能でしょう!是非一考してもらえれば!このレオニダス最高のものを授けましょう!」
「・・・それ作るの俺なんだろう?金とるぞ」
「ま、マスター・・・」
「あはは!聡明なレオニダス王も形無しね」
「遠坂嬢、それだけマスターの作品は秀逸なのです!」
「ま、解析ができるんだから、士郎以上の鍛冶師はそうはいないわね」
「シロウの作品は素晴らしい。義経は今回負けてしまいましたが、あの刀を見てください。曲がりも、歪みすらしていません」
「あれだけ盾に叩きつけて無事とか・・・」
「士郎の作品はすげぇな」
うんうんと頷く一同。確かにあの頑健さは賞賛に値するだろう。
「さてさて、こっちは田中ちゃんが勝ったとして京の方は・・・」
「奥義!月光砕き!」
「おっとっと」
素早い突き技をトントンと、リズムを踏むように避ける京。そしてお返しとばかりに矢を放つ。
「くっ・・・」
狙いは正確で全部ヨシツグの頭狙いだ。今回の試合では弓矢も非殺傷になっているので相手を降参させるか、急所に10回ヒットさせたら勝利になる。
前の試合のように火薬の使用も認められているが、事前に決められた火薬量とされている。その辺は焔の大筒と同じであった。
「参ったな。ここまで躱されると俺も参ってしまう」
「大村君のは一撃必殺。避けないと即退場」
相変わらずトントンと地を蹴る京。その目に油断は無い。
「なんか初めて見る戦い方だな」
「リズムを刻む・・・まさか、ガン・カタか・・・?」
「士郎何か知ってるの?」
「あ、ああ。知っていると言うか心当たりがあると言うか・・・」
「ガン・カタと申されましたな。どのような戦い方なのですか?」
ガン・カタとは主に敵に近づき、体術と銃撃を組み合わせて戦う銃を主軸とした戦い方なのだが・・・
「あれって架空の武術じゃないの?」
「遠坂の言う通りだ。本当にやってる奴なんか見たことない。それに京は弓矢だし・・・」
「ガトリング・クロゥ!!」
「ほいさ」
連撃をさらりと躱し、また矢を放つ。今度はヨシツグの額に連続ヒットした。
「ぬう・・・(これで5回目か・・・半分を過ぎてしまった)
「・・・。(後5回。大村君は強敵。焦らず行く)
互いにヒット数をカウントしている京のガン・カタは完成形に近い。これを突破しなければヨシツグに勝ち目はない。
(ならばこちらも!)
ヨシツグは何かを決心し、
「!?」
「奥義、ゴースト歩法とでも言おうかな?」
鉢屋のように分身を生じさせるのではなく、常に残像を発生させながら移動している。
「鉢屋の真似か?」
「リスペクトはしているんだろう。中々に厄介だぞ」
「すごい動き。でも当てられないと意味はない」
「当然だな。さあ一勝負行くぞ!」
そう言ってヨシツグが残像を纏いながら攻撃を繰り出してきた。
「グランフォール!」
「よいさ」
また躱し、矢を放つ。しかし、
「ちぃ・・・」
思わず舌打ちする京。残像に気を取られて外してしまった。
「ゴースト歩法にはまだ続きがあるぞ」
「!?」
これを体感したのは京だけだろう。まるで反響音のように四方八方から声がしたのだ。
『おっと、これまで余裕を持っていた椎名選手が劣勢だ!』
『あのゴースト歩法という体捌き。まだまだ奥があると見ましたがさて』
「惑わせても無駄。大村君は目の前にいる」
「そうだろうか?残像が生じているという事はそこではない何処かにいる可能性もあるぞ?」
「・・・。」
反響する声に京は言い返せなかった。
(確かに・・・残像拳の類ならそれも無きにしにもあらず・・・でも)
トントンと床を蹴って変わらず京は弓を構えた。
「挑発はいい。私があと五回ヒットさせるのが先か、大村君の術に負けるか二つに一つ」
「強情なお嬢さんだ。ではいくぞ!」
そこからは怒涛の技の連続だった。上空からの蹴り下し、鋭い突きに連続攻撃。全てが洗練され本来なら躱すのも困難な技の連続を、京は額に一滴の汗を浮かばせながら避け、反撃していく。
もはや会話する余裕もない無い戦いだったが、最後に制したのは・・・
「10回目の急所ヒットを確認!勝者、椎名京!」
「やっぱりダメだったか」
「うん。多分、開発途中の技でしょ。所々粗が見えたよ」
「そうか。ここまで勝ち上がったんだがな・・・次も頑張ってくれ」
「そうだね。大村君の分まで戦ってくるよ」
互いに握手していい試合だったと互いを褒め称えた。
『んーおじさんには椎名が不利に見えたんだがな』
『弓兵である彼女には我々では見通せないものを見通していたのでしょう。とにかく接戦だったことに変わりはありません。両者、素晴らしい戦いぶりでした』
オオオオ!と歓声が上がる。
『続いての試合は、第一会場でやるぞ』
尼子晴VS武蔵坊弁慶
「まじで?晴ちゃん大丈夫?」
「ううーん・・・」
「士郎が返答に困ってる!」
「あの子じゃ弁慶には勝てないわよ。腕の差が違い過ぎるもの」
「遠坂さん厳しいね・・・」
「勝てないのに勝てるかも?なんて言う方が酷いでしょ?」
不思議そうに凛は言った。
「・・・その割に遠坂さん聖杯戦争では・・・」
「そこ。余計な事言わない。」
ビシ、と余計なことを言おうとしたモロにチョップを落として試合に目を向ける。
「お、出て来たぞ」
「弁慶も闘志全開って感じだな」
「両者、構え!」
「どうなるんだ・・・?」
「始め!!」
ドン!と弁慶が地を蹴るそれと同時に棒を・・・
「ギブアーップ」
「!?」
開始直後、晴はギブアップを宣言した。
「なん・・・」
「なんでも何もないよ。私に戦闘力特化の弁慶の相手が務まるはずないじゃないか」
はぁ、とため息を吐く晴。
「弱気過ぎるんじゃない?」
「私はもう一人の身体じゃないからさ。怪我負うと旦那様が悲しむからね」
「むむ・・・そういう考え方もありか・・・」
「という事で審判のお爺さん、私の負けで」
「いいだろう。勝者!武蔵坊弁慶!」
パチパチパチと拍手が送られた。
これで残るは5名。一子、クリス、京、田中、弁慶。
『5名が絞り込まれたな』
『では厳正なるくじ引きで決勝進出を決め・・・』
「まて、クラウディオ」
『・・・どうしたのですか?ヒューム』
審判だったヒュームがまったをかけた。
「このまま運ですんなり決勝戦ではしらけるだろう。なのでこうするのはどうだ?」
ヒュームが提案したのはシード権を引いたものはヒュームが相手をし、合格点を貰えたら無事決勝進出というものだった。
「あの審判九鬼の零番だろ?」
「合格なんかできるのか?」
ザワザワと観客席はざわめくがそれを断ち切る声が響いた。
「はい!アタシはそのシード権取り参加したいです!!」
それは一子だった。シード権とは到底言えない挑戦に彼女は自らの意思で立ち向かった。
「ほう・・・?楽が出来るとは思ってないだろうな、赤子よ?」
「もちろんよ!ヒュームさんと戦えるなんて光栄だわ!」
『厳正なくじ引きとしたかったですが・・・希望者がいるとなると・・・』
『残り四人はどうする?あの爺さんと戦いたい人いる?』
巨人の言葉に一子を除く四人は顔を見合わせ、
「「「・・・。」」」
異論を唱える者はいないかのように見えた。
「はい。自分もシード権を希望します」
クリスがぴしりと手を上げた。
「クリス!」
「お嬢様・・・」
大和は悲鳴のような声で呼び、マルギッテは何処か納得したように頷いていた。
「いいだろう!この俺が通すのは二人に一人!もしくは両方退場だ!」
『ヒュームさん二人とも落とされると人数が・・・』
「この赤子らは自分の意思で俺と戦う。本人達の意思を尊重したい!観客はどうだ!!」
ウオオオオ!!!と熱い声が響く。それはつまり賛同という事だった。
『ではこちらはくじ引きで勝負を・・・いえ、くじ引きでは成立しませんね三名による総当たりとしましょう』
『いいですね。シードの二人が敗退しても残り三名で優勝者を決められる。いいと思います』
『では急遽変更いたしまして、川神一子選手とクリスティアーネ選手のシード権挑戦と、椎名選手、田中選手、弁慶選手による総当たり戦とします!』
「まじかー!こりゃ波乱だぞう!」
「クリス、むきになってなきゃいいけど・・・」
「直江大和。こちらに来なさい」
ポンポンと彼女の隣の席を叩いた。
「え?あ、はい・・・」
言われた通り座ると『クリスお嬢様ファイトッ!』と書かれた、うちわが大和に手渡された。
「クリスお嬢様は川神一子と同じ舞台に立ちたいのです。貴方も応援しなさい」
「は、はい・・・」
驚きを隠せないと共に、細かくデフォルメされたマルギッテとクリスが書かれているうちわに、細かッ!とツッコミを入れる大和であった。
『ではシード権の方の戦いを始めてください』
「うむ。俺達は第一会場だ」
第一会場、ヒューム・ヘルシングVS川神一子VSクリスティアーネ
第二会場、田中VS椎名京VS武蔵坊弁慶
『では双方・・・』
『始め!』
と試合は急展開を繰り広げていた。
はい。お久しぶりでございます見てくださっている皆さん。作者です。
やっとこさ書けましたましたが中編パート2になってしまいました。理由は簡単で戦闘描写が苦しくなってきたのと、皆さんをこれ以上お待たせしたくないという思いからです。
総当たり戦はさらりと済ませ、対ヒューム戦に力を入れていきたいなと思います。
本当にお待たせして申し訳ありませんでした!次回もよろしくお願いいたします!