今回は大規模な戦いも終えたという事でまず十勇士が西に帰ります。何だかんだ馴染んでいた彼らも一時見納めですね。
では!
御前試合が終わり、十勇士の留学も終わろうとしていた。
『えー、十勇士が来て間もなく二カ月じゃ。ついては彼らの滞在も終わりとなる』
御前試合明けの月曜日。全校朝礼で鉄心はそのように語った。
『東と西のまたとない機会じゃったと思うが折角の縁じゃ。最後まで彼らとの交流を楽しんでくれれば幸いじゃ』
そう言って鉄心は一度下がり、鍋島が前に出た。
『天神館の鍋島だ。うちの奴等が世話になった!俺からも礼を言わせてくれ。一年生から三年生まで、うちの十勇士と切磋琢磨してくれてありがとうよ。来年も東西交流戦を考えてるからまたよろしくな』
鍋島はそう言って挨拶を締めくくった。
「来年度か・・・俺達や十勇士はもういないからどうなるのか楽しみだな」
「今年度は無しになっちゃったからね」
「マスター達が居なくなろうと私は川神学園に残りますからな!実力を落とさぬよう訓練せねば!」
「訓練て・・・この脳筋は・・・」
頭が痛そうにカクリと肩を落とす士郎に、まぁまぁ、と周りが声をかけた。
「西の人達にまた舐められるのも嫌でしょ?だからレオニダスさんの訓練はありがたいじゃない」
「チカちゃんの言う通りです!来年も、レオニダスさんが勝利に導いてくれますよ!」
「まぁ俺らにできて後輩が出来ないのも問題だろ。その辺は何とかしてもらわないとな」
スグルがニヤリと笑って言った。
彼もハッキングなどで交流戦で競っていたのだ。武闘派でなくとも戦いの場はあるという事だろう。
『では最後の一日じゃ。双方悔いの無いようにのう』
そんな朝礼の後F組の教室では。
「なんだか物寂しくなるなー長曾我部との力比べも出来なくなるとなぁ・・・」
「ガクト!お前なら俺は大歓迎だぞ。四国に来い!」
「嬉しい誘いだぜ。また今度な!」
と口々に別れを惜しみながら十勇士は帰り支度をしていた。
「晴ちゃん、焔ちゃん!二人も一度帰るんですか?」
「うん。これでも色々ある家だからさ。その辺整理したら士郎の家にいくよ」
「大友もぞ!花火職人なのでな。色々と引継ぎやらなにやらしなくてはいかんのだ!」
それでも士郎の元に行くことは決定事項らしく、二人は笑っていた。
「衛宮。それがしの刀は・・・」
「昨日できたぞ。留学中に間に合わせる約束だったからな。鞘も拵えも完璧だ」
「ぬぬ!では今日、早速受け取らせてもらおう」
「いいぞ。というかうちのリーダーがな・・・」
「ようし!今日は士郎んちでお別れパーティだ!」
「賛成ー!何気に衛宮君の家初めてね」
「うちもチカリンと同じ系。話には聞いてたけど行くのは初めて系」
「僕も衛宮君の家は初めてかな。食材、持って行かないとね」
クマちゃんもいつもの笑顔でうんうんと頷いていた。
「はっは。それがしだけでなく皆集合か」
「そういうこと。S組の連中にも大和達が広めてるはずだ。中々な来客になると思うぞ」
「我らの為にそこまで・・・これはなにか恩返しを考えなければなりませぬな。御大将」
「出世街道を行く俺にはピッタリな祝宴だな。何か考えてやらなくもない」
「そう言いながら嬉しいくせに。椎名にうちの秘伝のキムチご馳走したろ」
「え。宇喜多、あれ持ってきたの・・・?」
「なんや。ニンニク入ってないんやから大丈夫やろ?」
「そうじゃなくて辛さが・・・」
「うちと椎名だけが食べるんやからいいの。もちろん食べたい奴はウェルカムやで」
京と宇喜多だけが食べれるとか尋常じゃない辛さのような気がする士郎。
「ま、まぁ何はともあれ今日はうちで宴会らしいからな。最後くらいぱっといこう」
「うむ。衛宮には世話になりっぱなしだな。何かあれば呼んでくれ。初回はタダで働こう」
「タダより高いものはないぞ。鉢屋」
そう言って互いに笑って最後の授業を受けるのだった。
学園の授業も終わり、士郎は林冲を連れて足早に帰宅していた。
「「ただいま」」
「おかえり」
「おかえりー!」
落ち着いた声の史文恭と天衣がパタパタとやって来た。
「天衣・・・さん。準備は?」
「あはは!夫婦なんだから名前呼びでいいだろう?・・・粗方準備は出来てるぞ。事前に教えてくれたから史文恭の車で業務用スーパーに行ってきたんだ」
恥ずかし気にさんつけしてしまう士郎を笑って、天衣は準備してあるものを紹介する。
焼肉は各種つけダレに付けておいたし焼き鳥もこのまま解凍しておけば大丈夫だろ?あとはホイル焼きを準備して・・・
一体何人前だと思う士郎だがF組全員とS組の一部、それに由紀江や紋白も招待しているので数はいくらあってもいいだろう。
「残ったらうちで食べればいいわけですし。ありがとうございま・・・あはは・・・ありがとう、天衣」
「うん!さ、忙しくなるぞう」
テキパキと紙皿や紙コップ。ジュースに酒と色々準備する天衣。
「中は天衣に任せて大丈夫そうだから、俺たちはBBQコンロとかテーブルの準備をしよう」
「了解だ」
林冲の手を借りて士郎も準備に勤しむ。そんな折、
「「ただいま」」
「ただいま帰りました」
凛と桜、セイバーも帰ってきた。
「シロウ?これは・・・」
「見たとこ宴会ね」
「先輩!手伝えることはありますか?」
「凛とセイバーは土蔵からテーブルを持ってきてくれ。桜は中で天衣が色々準備してるから手伝ってやってほしい」
「わかったわ。いくわよ、セイバー」
「わかりました!天衣さーん」
などなど、そうこうしている内に日が傾いてくる。
「お邪魔します・・・衛宮は居るだろうか」
「ああ、十勇士か。士郎は今外で色々準備をしている。中庭の方に回れ」
「了解した」
鉢屋は目礼を史文恭に返すと、玄関から中庭の方へ向かった。
「衛宮」
「鉢屋か。先に来たのか?」
「うむ。愛刀が恋しくてな。それと、宴の準備も手伝えるだろう」
どこかウズウズとした雰囲気を出す鉢屋に、士郎は笑みを浮かべて、
「今取ってくる。凛、ここを任せて良いか?」
「いいわよ。早く渡しちゃいなさい」
「縁側から居間に入って座っててくれ」
「了解した」
行儀よく正座で待つ鉢屋を見て士郎も地下の武器庫からオーダー品を取ってくる。
「待たせたな」
「いや・・・依頼から今日までの期間を考えれば短いくらいだ。しかし・・・」
余程の事が無い限り心情を表に出さない鉢屋がらしくなくウズウズとしているのを見て士郎はケースを開けた。
「どうぞ」
「痛みいる・・・ぬう・・・」
鞘から抜き、色々な角度から眺め、鞘の方も実戦に耐えうるか確認する。
「流石、衛宮だ・・・これほどのものをそれがしは見たことが無い」
「それはどうも。喜んでくれて嬉しい。ただ、ルールはわかってるな?」
スゥっと冷たい空気を漂わせる士郎。しかし鉢屋は怯えることなく頷いた。
「お前が信頼し、預けてくれたこの刀を邪なことでは扱えん。それがしは一度道を踏み外した身だが・・・もう大丈夫だ」
腰に挿して感触を確かめる。
「うむ・・・まさに鋼の匠のなせる技か。全く違和感がない」
「試し切りはどうする?畳と木偶人形、あとできるなら鉄板も用意したが」
「もちろんだ。させてもらおう」
その後彼は何度か畳を切り木偶人形を跡形もなく切り伏せ、いよいよ鉄板に向き合った。
「内に込めるようにだったな」
「ああ。刀に鉢屋の気専用の通り道が作ってある。そこに流し込むんだ」
チキ、と刀を構え、そのまま目を閉じる鉢屋。
瞬間、
キン、と鉄が鳴った。地面には切られた鉄板。そして息を荒げ、膝をつく鉢屋。
「これがこの刀の威力か・・・信じられん」
「まだまだ本調子じゃないけどな。でも中々やるじゃないか。最初から第一段階に到達する奴はそうはいないぞ」
「己の未熟を恥じる・・・この刀は、まだこんなものではないと確かに訴えかけているようだ」
スッと腰の鞘に忍者刀を納めて鉢屋は改めて礼をした。
「この世にまたとないものを、感謝する」
「ありがたく受け取っておくよ。末永く使ってやってくれ」
「うむ」
満足気に頷く鉢屋を見て士郎も安心したようだ。
「士郎ー!」
「おっと。客が来た。今日は鉢屋も飲んで食べて行ってくれ」
「ありがたい。して、それがしは何を手伝えばいい?」
「そうだな・・・あ」
よく見ればBBQコンロが一台しか出ていない。
「新しく新調したBBQコンロを出すのを手伝ってくれ。炭は心配ないけど、少し大きめのをもう一台買ったんだ」
「あいわかった」
鉢屋は頷いて士郎の後についていく。
「これだ。よっこいせ・・・鉢屋そっち持てるか?」
「問題ない」
もう最初のBBQコンロに火を入れている中庭に持っていく。
「あら?もう一台あったの?」
凛が珍しそうに言った。
「ああ。うちは何かと来客が多いからな。買っておいたんだ」
「なるほどね。風間君達と十勇士?だっけ。その人達も来たようよ」
「わぁ・・・二台もBBQコンロあるわ」
「これならく食いっぱぐれねぇな」
「士郎せんぱ・・・士郎、さん!北陸の幸をお持ちしました!」
「おお?俺様も四国の名産品を準備したぜ!」
どうやらキャップはある程度の人物にこの送別会ともいえる催しを事前に伝えていたようだ。
「気が利く奴だ」
「あれでもうちのリーダーだからな」
「マジで川神幽霊屋敷?」
「幽霊何て微塵も感じない系。昔はもっとやばかった系」
「チカちゃん!まずは家主さんに挨拶しないと・・・」
「?ここにいるぞ?」
「え?衛宮君がですか!?ご両親の方は・・・」
「あー・・・流行り病でとっくに・・・」
「はう・・・ごめんなさい」
「気にしないでくれ。それより委員長も今日は楽しんで行ってくれ。折角の送別会なんだから、な?」
「・・・わかりました。これでもみんなよりおねーさんですからね!任せてください!」
フンス!と気合を入れる彼女に苦笑を漏らし、
「おうい衛宮君!」
「わりぃな遅れちまった!」
「館長!遅いのだ」
「わりぃわりぃ。乾杯には間に合ったか?」
「ギリギリ、ですけどね」
ヨシツグが笑って言った。
「飲み物はそこにあるからなー。学園長と鍋島館長は縁側まで取りに来てください」
「士郎くーん!」
「私らも来たよぉ」
「いでででで!にこやかに挨拶してないで手を離してくれ!耳が千切れる!」
「ふははは!九鬼英雄!降臨である!」
「ふっはは!九鬼紋白!顕現であるぞ!」
「衛宮君。遅くなったけどはいこれ。少し遠くから仕入れたから遅くなっちゃった」
「何気に俺らまで呼ばれるのは珍しいな」
「勢いで野球拳とかしねぇかなぁ!」
「・・・誰かそこの猿を捕らえとけ」
「送別会だろー!?ちょっとはめを外してもいいじゃねぇか!」
「やかましい!テメェはそこで大人しくしてろ!」
何処からともなく縄を取り出してヨンパチを縛る忠勝。
「源君、ナイス!」
「てか縄どっから出て来た・・・?」
「ん?ああ、今のは・・・」
「ここが衛宮の家か。立派な家だな」
「梅先生!」
「ささ、もう準備も出来てるみたいですし、座りましょう」
「宇佐美先生も!」
「ワタシ達だけ除け者なんて言わないよネ?」
「ルー先生も・・・」
「これは大祝宴だなぁ」
「ま、仕込みもしてるし大人の皆さまは飲むのが主だろうから問題ないさ」
パン、と士郎は手を叩き、
「さあみんな!飲み物は持ったか!?つけダレは十分か!?」
おー!と歓声を上げる皆。
「じゃあ乾杯するぞ!カンパーイ!!」
「イエー!」
ジュー!ジュー!
「ホフホフ!」
「グッグッグッグ・・・プハー!」
「こりゃいいのう・・・」
「最高の送別会だぜ」
「ただいまー!」
「お、清楚も帰って来たか」
「ああっ!?モモちゃん!もう始まってるよ!」
「そんなこと言ったって仕事だったんだもん・・・」
「武神も仕事を苦に感じるっと」
「てい!」
「いったー!」
「モモ先輩遅いなと思ったら清楚先輩と一緒だったんだね」
「はいそこー。押しかけ納豆は禁止だぞー」
「はう!旦那様の目は厳しい・・・」
ヨヨヨ、と泣き崩れる真似をする燕。
「大和、心は?」
「うん?なんか仕事で遅くなるってさ。この調子だと夜までやってるだろ?そのうち来るよ」
「なるほどな。みんな逞しくなって・・・」
「一番は士郎だろうー」
「そうだね、この場の半分くらいは嫁さんだもの」
「そこは突っ込まなくていいんだよ!直江くんちの大和君!」
「あはー大和が三人いるー」
「弁慶、飲み過ぎだぞ」
「そういや飲み比べセットとか当たってたっけ」
「あれのみ比べられてるのか?」
「・・・純粋に楽しんでるだけっぽいな」
とこちらも中々カオスな状態に。対して大人陣営は、
「んっんっん・・・はぁ・・・まさか生徒の家に来てビールまで準備されているとは思わなかった」
「私達も飲むことがあるからな」
「ん、貴女が史文恭か」
「そうだ。お前が家主の担任の小島先生だな。よしなに」
トクトクトクっとビールを梅子のコップに注ぐ史文恭。
「んっんっん・・・はぁ。よろしく頼む」
大人の方も実に楽しそうだ。
「旦那様ーお肉をください!」
「よ、義経も士郎君に取ってほしい!」
「まてまて。こりゃBBQコンロ二台にして正解だったな・・・」
ひっきりなしに肉が焼かれては持っていかれるので、士郎はひたすら焼くことに集中していた。
「はい。焼けたぞ」
「わーい!まぐまぐ!まぐまぐ!」
「わー・・・士郎君に取り分けて貰えて義経も嬉しい!」
「そんなオーバーな。定食の時もそうだろう?」
恥ずかし気に言う士郎に凛は、
「大切な人によそってもらうご飯は格別なのよ?士郎」
「そっか・・・そうだよな。よし!ジャンジャン焼くぞ!」
「それじゃあ貴方が食べられないじゃない。変わるわ」
そんなこんなで騒ぎながら日が完全に落ちた頃。一台の車がやって来た。
「心かな?」
「恐らくな。あの車番は間違いねぇ」
スッと士郎の横に立ったのはあずみだ。
「英雄の護衛はいいのか?」
「護衛も何もねぇだろ・・・悪意ある奴が近づいただけで警報が鳴る屋敷だ。学園や九鬼ビルよりも安全だぜ。ここはよ」
よく見れば英雄と紋白は居間の方で仲良く横になっていた。
疲れがピークなのだろう。楽しい喧騒を子守歌にすっかり寝入っているようだ。
「使ってなさそうな部屋から布団借りたぜ」
「ああ。構わないさ。疲れが取れると良いな」
そう言って車から出てくる心を待つこと数分。
「お、遅くなったのじゃ・・・」
「心・・・!」
「なんだ、気合入ってんな」
いつもの着物姿だが、お団子ヘアーではなく、豪華なかんざしで髪を後ろで止め、口に紅をさした、いかにも気合入ってます!と言った風の心だった。
「いらっしゃい心。待ってたぞ」
「う、うむ・・・仕事故、遅くなってしまったがまだやっておるか?」
「まだまだ宴は終わっちゃいねぇよ。それより護衛はどうした?」
「うむ?必要ないじゃろ?此方は旦那様の家に来たのだから・・・」
恥ずかし気にそっぽ向く心。かんざしに付けられた飾りがシャラン、と鳴った。
「へぇへ。いつもボッチのお嬢様からしたら正念場ってことね」
「誰がボッチじゃー!少なくとも今は友達が沢山なのじゃ!」
「そうだな。心も随分と変わったもんな。さ、入ってくれ中庭でやってるんだ。着物を汚さないようにな?」
「うむ・・・エスコート・・・「はいはいお嬢様が通るぜー」にょ、にょわあ!?」
エスコートして欲しかったのだろうが、あずみがさっさと連れて行ってしまった。
「今のは空気読むべきだったかな・・・」
とはいえ、あの調子だとあずみが嫉妬するので結果的には良かったのだろうが。
「士郎ー!」
「何してんだよー」
「ああ、今行く!」
そうして今日という一日が騒がしく終わりに近づいていく。十勇士も川神学園側も悔いの無い一日となったようだ。
翌日、川神駅前で。
「世話になったな」
「みな悔いなく過ごせたのも皆様のおかげです」
石田と島が代表して言う。そして、
「風間」
「んー?」
「受け取れ」
そう言って渡されたのは石田のメダルだった。
「・・・ありがとうよ。代わりにこれやるぜ」
そう言ってキャップが渡したのはトレードマークのバンダナだった。
「キャップ・・・!」
「いいの?」
「ああ。これにぴったりのお返しだろ?」
「お前の魂か・・・受け取らせてもらう」
恥ずかし気にそっぽ向きながら石田は受け取り、皆はその様子に暖かい笑顔を向けていた。
「おっと。それがしも・・・一子殿」
「ふえ?」
島もメダルを一子に贈った。
「いいの!?」
「もちろんです。更なる飛躍を期待していますぞ」
「わーい!島君、ありがとう!」
「これで俺たち十勇士の全てのメダルを手にしたな」
「そいつは数少ない本物の信頼の証だぜ。大切にしてくれよ」
風間ファミリーが、はい!と返事をする。
「よっしゃ。じゃあ帰るぜ」
「またな卓也」
「ヨシツグもまたね」
「ガクト、一度は四国に来いよ」
「わかってらぁ。彼女連れて行くからよ」
「椎名もこっちにくるんやで?」
「・・・いくよ」
「衛宮、また会えることを楽しみにしている」
「ああ。鉢屋。怪我するんじゃないぞ」
「それはこちらのセリフ、だな。美しく邁進してくれ」
「ハーレムを大事にするんだぞ」
「あはは・・・」
龍造寺の言葉に苦笑をこぼす士郎。
「ほらほむ、シャキッとしないと」
「そう言う晴だって涙を流しているではないか・・・」
「二人とも」
一時の別れに涙を流す二人に士郎は、
「これ、作ったんだ。どうか持って行って欲しい」
「うむ・・・これは、剣・・・?」
「私のもだ」
それは小さな白の短剣と黒の短剣のアクセサリーだった。
白が晴、黒が焔に渡された。
「こいつは互いに引き合う。俺の持つペンダントとも引き合うから持っていてほしい」
そう言うと二人の短剣がふわりと浮いた。
「ホントだ・・・」
「神秘ぞ・・・」
くしくしと目元を擦ってその不思議な光景を目に焼き付ける。
「九州まで届くかは分からないがこちらで言う川神市内なら確実に引き合う。また再会できることを願って」
「・・・うん。必ず士郎の所にいくから」
「だな!大友も早く衛宮を名乗りたいぞ!」
士郎は透き通った笑顔を浮かべて、
「ああ。待ってるよ」
「いいねぇ・・・絆の証じゃねぇか」
「鍋島館長も息災でいてくださいね」
「あったりめぇよ!俺は最強の男だぜ?そんなやわじゃねぇよ」
「はいはい。これじゃいつまでも帰れないでしょ?」
凛がパンと手を鳴らしたのを合図に彼らは改札口の向こうへと歩いて行った。
その姿が見えなくなるまで見送り、
『発車します』
特徴的な音楽と共に彼らは西へと帰って行った。
――――西との交流はこうして幕を閉じる。確かな絆で結ばれた彼らはきっと再会を果たすだろう。たとえ困難がやって来たとしても彼らは絶対に会う。そう信じて送り出したのであった。
はい。十勇士との別れでした。作者もなんだか寂しくなるなぁとズルズル書いてしまっていたのですっぱり切ることにしました。
次はイチャコラ回ですかねぇ……誰にしようかな。よければリクエストなどお待ちしております。こんなつたない作者ですが希望に添えるならそうしたいと思うので。
DM機能、感想にてお待ちしております。では次回!