今回はみんなでスポーツ!という体でやっていきたいと思います。ファミリー+嫁達の絡みがかけていければいいなと思います。
では!
そろそろ夏かと思う今日この頃。学生服も夏服に変わり、一層の暑さを感じる。
そんな中、金曜集会では暑くなってきたという事で土日何して遊ぼうか、と話が盛り上がっていた。
「夏だし、キャンプとかいいんじゃね?」
というキャップに、
「うーん・・・普段からキャンプぽいことできてるからなぁ・・・BBQとか」
と士郎が返す。この所、宴三昧な気がしてもっと別なことは無いかと思案する。
「ワン・・・一子の旅館招待券は一年余裕があるし、夏より秋か冬が良さげだね」
「と言うか、最近旅館行ったしな」
士郎のデザートを堪能しながら言うクリス。
「それもそうだね。はいクリスーこっちこっち」
「子供扱いするうむむむ・・・」
ほっぺについたプリンを拭う京。
「あ、アタシの旅行券ちょっと考えがあって・・・アタシに使わせてほしいの」
グイ、グイ、っとストレッチしながら一子が言う。
「そっか・・・ごめん。一子が勝ち取ったんだもんね」
「それは一子が使いたいようにするべきだろう」
「とすると何がいいかなー・・・」
うーん・・・と悩む一同に百代が言った。
「こうなったら奥の手だな」
「なんかあるの?姉さん」
妙案を思いついたという百代に皆が耳を傾ける。
「最近できた『グランドワン』ってとこ知ってるか?」
「ああー。ボーリングとか色んなスポーツ系に加えて室内プールまであるとか」
「うちのバイト先の店長がライバル視してたよ」
「そうだな。京とアルバイトさせてもらってるところは、トランポリンとかのスポーツ系だからな」
「おお、クリスがバイトか・・・」
「なんだ?自分だって無制限に小遣いをもらってるわけじゃないんだぞ」
えっへん、と胸を張るが実際の所、フランクはすぐOKを出してしまうので無制限とあまり違わない。
「クリスの小遣いの事は置いといて、そのグランドワンを二日かけて制覇しようぜ!」
「それがいいな」
「いいね!」
「さんせー」
「自分も賛成だ!」
「とてもいい案ですね!」
「私も依頼が無いからそこ空けとく」
「アタシも!」
満場一致のようで士郎と大和は顔を見合わせ、
「「賛成!」」
と声を上げた。
金曜集会を終えて、むにゃむにゃと背中の上で寝言を言う一子に苦笑しながら帰宅する士郎。
百代と一緒に仲間達を送り届けて最後の川神院まで二人を送り届ける。
「悪いな。一子運んでもらって」
「いいさこれくらい。嫁の面倒を見るのも旦那の役目だからな」
「そっか。でもここにも相手をしてもらわないと拗ねる猫がいるんだニャン?」
「あははは。明日から遊ぶんだから。猫も運動しないとな?」
「ぶー。ホントに拗ねるぞ」
「ああはいはい。こっちこっち」
「んちゅ・・・」
深いキスを交わして一子を百代に預ける。
「それじゃあ明日な」
「・・・うん」
ポーっとする百代だが士郎を見送って川神院へと帰って行った。
士郎はこのあと一人で帰るわけだが、
「ここも大分人が住み始めたな」
立ち入り禁止区域だった頃を考えると随分と時が過ぎたなぁと感じる士郎。
士郎は衛宮邸だけでなく、一帯全ての怨霊を駆除して回ったので最奥の衛宮邸から比較的遠いこのエリアも聖域のような感じになっている。
「本当に人が住み始めるなんて想像もしなかった」
いつかの史進を蹴り飛ばした家屋も新しいものになり、光が窓から見え、あははは!と笑い声が聞こえる。
「維持していかないとな」
もうよくないものは近づかないだろうが、一応気を引き締める士郎であった。
「ただいま」
「お帰り、士郎」
「おかえり」
「おかえりー!」
「おかえりなさい」
随分と増えた嫁達に暖かく迎え入れられて心が落ち着く。
そんな折、
「おけーり」
「あずみ?今日は休みなのか?」
あずみが珍しいことに家にいた。
あずみは衛宮姓となったが、まだまだ従者部隊を離れられないということで、九鬼ビルで寝泊まりしている。
そんな彼女が衛宮邸にいるのはすこぶる珍しい。
「いんや。仕事だ。ちょっとした客が来てるから相手頼むわ」
「わかった。・・・泊って行かないのか?」
「客ってのが九鬼の客なんだ。だから二人分客間を借りてぇ。一応天衣には了承取ったがいいか?」
「もちろんだ。夕飯は食べて来たのか?」
「あー・・・すっかり忘れてた。近くのコンビニに――――」
「そんなとこ行く必要ないだろう?そのまま食べて行けばいい」
「・・・そんな接待されても何も出ねぇぞ」
「夫婦なんだから別に構わないさ」
「・・・。」
おおらかに受け取る士郎に頬を赤くしてあずみは軽いキスをした。
「・・・今はこんだけだ」
「後に期待しよう」
フン!と顔が赤いままそっぽ向くあずみに苦笑してまずは家の中へ入る。すると、
「お邪魔している」
「・・・。」
「貴方は――――」
「私はモード。こちらはアンセルム」
「お邪魔しています・・・」
片腕を布で釣った様子の偉丈夫と小柄ながら背筋のピンと伸びた若者が居た。
「これはご丁寧に。家主の衛宮士郎です。日本語、お上手ですね」
「失礼の無いようにしてきたつもりだ。痛みいる」
「いえいえ。そんなことよりも何故うちに?」
士郎が問うと苦々しい表情でモードは言った。
「実は・・・」
話を聞くとどうやら、折れた腕の事で来たようだ。
「ホムラという少女との戦いの傷がまだ癒えていない。しかし・・・」
確実に祖国の王が近々悪だくみをしにやってくると、彼は告白した。
「王は必ず来る。しかしこのままでは、私は足手まとい。世話になった川神の人達にそれでは筋が通らない。できる事なら私も王をお止めしたい。そこで――――」
そこまで聞いて士郎は納得した。
「うちにある万能薬ですね」
「うむ・・・」
「・・・。」
「話は九鬼の病院から出たらしい。大人しくしていろと言うのに今にも飛び出しそうだったので、度々超回復する士郎なら何かいい案があるのではないかと例の外科医が言ったそうだ」
史文恭は腕を組んでため息を吐いた。
「衛宮殿の治癒話は何度も耳にした。どうかその神秘の御業、私にいただけないだろうか」
「もちろんお金は払います!どうか!モード隊長にその万能薬を!」
がばっと頭を下げる二人に士郎は、
「ちょっと待っててくださいね」
そう言って士郎は一度自分の部屋へと引っ込んだ。
するとそこにいたのは、
「凛」
「あら?貴方の事だから無条件に渡すのかと思ったけど」
「俺もそれなりに警戒してる。あの二人は白か?」
問う士郎に心底気に入らないという顔をしながら、
「白も白、真っ白よ。なんでもお国から逃げて来たそうよ」
そう言って凛は、
「いい?薬は渡してもいいけど、貴方の事だから無条件に渡す気だったでしょう?それはダメよ。きちんと対価を貰いなさい」
「対価か・・・お金、は無理だな。価値が高すぎる。となると・・・」
「オニュクス王国の地下資源ってのはどうだ?」
「あずみ」
「結界張ってたのに・・・!」
士郎のものとは比べ物にならない結界を易々と突破されたことに凛は仰天する。
「結界なら見事なもんだよ。コイツのが幼稚だってのを痛いほど実感したぜ。で、だらだら説明すんのも面倒だから種明かしすると・・・コレだよ」
あずみが肩を見せるとそこには士郎との間にできた繋がりの印が。
「こいつの反応がここで消えた。だから魔術の秘匿性について話してんじゃねぇかと予想した」
「・・・。」
ピキリと凛の額に青筋が浮かぶ。そしてそのままギロリと士郎を見た。
「種馬」
「たね・・・ッ!?」
ああん?という凛の顔に何も言えない士郎。
「で、どうだい?交渉も九鬼でやる。
「・・・。」
「凛、魅力的な案じゃないか?」
「・・・それじゃあ士郎が得しないじゃない」
「凛・・・」
自分の事を気遣ってくれていると知り士郎は嬉しかった。
「士郎なら断然、遊び道具だろう?それも遠距離でも使えそうなものを数台ってとこか」
「そうだな。お金は正直もらう必要も無いぐらい貯蓄してるし仲間達と今後も楽しめるものが良いな」
「決まりだな。他に何か条件はあるか?」
「・・・。」
「特にない。・・・あ、一応ギプスを外してもらうように言ってくれ」
「万能薬塗るためか。了解」
という事で、あずみが来てくれたおかげですんなり纏まった。
「凛、あずみ。ありがとう」
「大したことしてないわ」
「こっちも。実際動くのは揚羽様だからな」
何とも頼もしい限りだった。居間へと戻ると、桜と天衣が食事を出していた。
「あ、先輩。この人たちご飯まだだったみたいで・・・」
「勝手に出してしまった。良かったかな・・・」
「もちろんだ。ありがとう桜、天衣」
「わりぃな」
「いえいえ。あずみさんもまだですよね?今お出ししますから!」
「すみませんお待たせしました」
「構わない。こちらが押しかけている身だ。それにこんな暖かな食事を頂いて・・・」
「え?九鬼では出ないんですか?」
「いや。もちろん九鬼でも美味しい食事を頂いている。だが、この家庭的な味はとてもいい・・・重ね重ね、痛みいる」
「ここではこれが普通なのだ。この程度で感謝していたら感謝の言葉をいくらもいう事になるぞ」
「いくらでも言おう。それで・・・」
「薬ですね。もちろん処方するのは構わないんですが・・・」
「やはり、値が張りますか」
「いえ、お金ではなく、そちらの国と話をする機会があるでしょうからその時にしてもらおうかと」
「金銭ではない・・・?」
「貴方達の国は地下資源が豊富でしょう?そのうちの僅かばりと技術提供です」
「僅かばかりというのは・・・」
「本当に僅かですよ。個人に宝石の類が出たら少し融通してほしい。そのくらいです」
「そうか・・・必ず国へ帰り、民に感謝せねば」
「薬は塗り薬なので明日、ギプスを外してもらってからもう一度来てください。色々と約束事もあるのでそれも明日伝えます」
「了解した」
「隊長・・・!」
アンセルムがこれで報われると気を許したのをみて士郎は忠告した。
「おっと、一つだけ。確かに普通より回復が早まりますが個人差があります。それだけは了承してくださいね」
「うむ・・・!かたじけない!」
またもや頭を下げられて士郎は居心地の悪さを感じた。
(でもこれも必要なことなんだ)
働きには見返りを。学園でもよく言われていることだ。
(まだまだだな)
今回も無償で薬を渡そうとしたことをいさめてもらって、本当によかったと思う士郎であった。
その日の夜。
「あずみ?」
風呂から上がり、布団に入ろうとした士郎の部屋に顔を真っ赤にしたあずみがいた。
「あず「察しろよ・・・バカ」・・・」
士郎の幼稚な結界が役立つのであった。
次の日。
「シロウ。今日は翔一達と遊ぶのですか?」
「ああ。最近できたグランドワンってとこに行くんだ。セイバーも行くか?」
「良い・・・のですか?」
「もちろんだよ。セイバーもキャップ達と遊びたいだろ?」
「それは、その・・・」
もじもじとするセイバーに首を傾げる士郎。その頭をパコン!と叩かれた。
「あんたもいい加減察しなさいよ!セイバーは士郎と遊びたいのよ!」
「リ、リン・・・」
「あ、あー・・・そっか・・・ごめんなセイバー。気が利かなくて」
「い、いえ!翔一達と遊びたいのもあるんですよ!ただ、その・・・シロウが嫌でなければ・・・」
「嫌だなんてことない。今日は無理だけど、必ず時間作ろう!」
「シロウ・・・!」
「で、今日は何しに行くの?」
「今日はボウリングとか色々。二日使って制覇しようって話しててな」
「ならプールは明日ね。さぁ行くわよ!」
「行くわよって・・・」
「姉さん。お弁当準備しましたよ」
「桜まで・・・」
「フフフ、情報はリーク済みよ」
「ま。まぁいいだろ。それじゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃーい!」
「行ってらっしゃい」
セイバーが着替えるのを待っていざ出陣。
まずはファミリーと合流するのだが・・・
「あ、士郎君!」
「大将~ちわー」
「士郎貴方も遊びに行くの?」
「ああ。新しくできたグランドワンってとこに・・・」
「一緒!士郎君!一緒だよ!」
「もう主ってば、はしゃぎ過ぎ」
「あら?士郎が行くなら風間君達もよね。大和が来るんじゃないかしら」
「え?」
子犬のようにはしゃぐ義経と、ドキーンと固まる弁慶。なんだかおもしろい構図だった。
「義経達もか。じゃあ一緒に行こう」
「ウフフ、よろしくね士郎」
そう言ってさりげなく士郎の左腕を抱く旭。
「抜け駆け禁止よ」
「り、凛・・・」
右腕を凛が確保した。
「ちょ、ちょっとま・・・」
「あら遠坂さん。私は貴女とも仲良くしたいわ?」
「なーにが仲良くしたいわ?よ!遠坂さんって喧嘩売ってるでしょ!」
「あらあら。そんなことないのよ遠坂さん」
「キー!!」
「お、俺を挟んで喧嘩しないでくれ!」
「まあ今の。俺の為に喧嘩しないでくれって聞こえたわ」
「上等じゃないの!吠えずらかかせてやるわ!」
「為にじゃなくて挟んで、だ!」
うわあああ!と連れていかれる士郎だがこちらは至って平和で、
「じゃあ行きましょうか。義経先輩?」
「せ、先輩なんて・・・」
「あ、あー・・・実は年上なんだっけ」
紛らわしいと弁慶は頭を振った。
いざキャップ達と合流するとそちらも追加メンバーがいるようだ。
「清楚に燕、沙也佳?」
「士郎君、よろしくね」
「ネバっと参上松永・・・うーん・・・衛宮名乗りたいなぁ・・・」
彼女もまた松永納豆の為に夫婦別姓制度を利用しているのであった。
「士郎君。納豆売る気無い?」
「ないよ」
「ぐぬぬ・・・早く帰ってきておかん・・・」
「そういえば松永先輩のお父さんって何してるんですか?」
素朴な疑問を沙也佳が上げた。
「おとんは主に開発かな。平蜘蛛もおとんの作品だし」
「ええ!?士郎先輩との戦いで空から降ってきたアレが・・・」
「戦闘マシーン専門なのか?」
「ううん。色々やってるからこれ、っては言えないかな。いわゆる技術者なんだ」
「・・・よかった・・・のか?サテライトキャノンとか作られても困るけど」
平蜘蛛の完成度からしてそれぐらいはやりそうである。
「あははー頼まれれば作りに行くかもね」
「おい」
士郎の責める声に、大丈夫大丈夫と手をヒラヒラさせる燕
「今は九鬼と契約して働いてるからそんなことにはならないよん」
「・・・。」
九鬼なら本気でやりそうなものだが・・・とはいえ、九鬼の庇護下ならばそうそう害されることもあるまい。
「つーわけで、人数も集まったことだしグランドワン、行こうぜ」
おおー!と気炎を上げる者達多数。とりあえず今は目的地にむかうのだった。
目的地に到着し、まずはボウリングということで手続きを済ませる。
「よっしゃ。靴借りてボウリングの玉選びに行こうぜ」
「荷物結構あるから見張り役と交代でな」
「シロウ、ボウリングとはどのような競技なのですか?」
「ああーそうか。流石にその知識は無いよな。ボウリングっていうのは――――」
士郎はセイバーに教えながら靴や玉選びに勤しむ。
「っとこんな感じ。スコアは改めて教えるから。まずは気にせず投げてみると良いぞ」
「ボウリング玉とは中々重いものですね」
「足に落としたりしないようにな」
それぞれ思い思いのチョイスをして、人数が多いため2レーン借りてやることにした。
「セイバーさんは分からないだろうから二番手以降ね」
「助かります。清楚」
そんなこんなで始まった。
一球目はガクトと凛。
「戦闘ならともかくスポーツで遠坂さんにゃあ負けねぇぜ!」
「いい心意気ね。あと、遠坂じゃなくて衛宮よ」
ニヤリとするお互い。そして、
「ソレ!」
「うりゃ!」
ゴコンゴー!とこれまた独特な音を立てて、
パッカーン!という気持ちのいい音と共に後方にあるピンが弾けた。
「ぬぬぬ。嫌な所が残ったな」
難しい顔をするガクトに凛は得意げに笑った。
「ええい!やらなきゃ男の恥だぜ!」
ガクトの残りピンは左右の端一つずつ。対して凛は右3つと左に1つ。
ガクトは左右どちらかのピンを確実に隣のピンに当てなければいけないのに対し、凛は3つのうちどれかが当たればいいというチャンスボールだ。
「でりゃ!」
ガクトはガーターギリギリを投げまず左の一つに当てた。
「そのままいけー!」
パカーン!と外側から弾かれたピンが右側のピンに当たり見事に残りのピンを倒した。
「っしゃあ!まずはスペア!」
ガクトのボードにスペアの記号が印字された。
対する凛も、
「てりゃ!」
無事スペアとなった。
「次モロだよ」
「うーんパワー勝負ではないけど自信ないなぁ」
「こっちは燕さんですね」
「勝利の王冠は私の手に!」
「それ!」
「燕ちゃんアターック!」
パッカーン!と当たり、残ったピンは・・・
「ストライクよ!」
「こっちもです!」
何とお互いにストライクマークが!
「師岡君やるね」
「松永先輩も!」
パンっとハイタッチする。これは幸先のいいスタートだ。
「次はキャップだよ」
「セイバーさん出番ですよ!」
普段とは違う活動的な服装のセイバーに、
「負けないぜ?セイバーさん」
「ルールは理解しました。勝利は我が手に」
不敵に笑って投球。当たり前のようにストライクを決める二人。
「おおー風間君んもセイバーさんもやるう」
「ただ、セイバーは負けず嫌いなんですよね・・・」
いつかのバッティングセンターの事を思い出す士郎。
(まぁ最終スコアまで分からないし大丈夫だろう・・・)
そんな考えが甘かったことを、後に知る士郎だった。
「じゃあ行ってくるね」
「清楚ちゃんゴーゴー!」
応援の声を尻目にふっと目が赤くなった。
「んっは!この程度の遊戯、勝ち越して見せるわ!」
そう言って投げる投球は他の皆より早い。が、
パッカーン!
「ぬああ!?真ん中だけ抜けた!?」
ボウリングは力があればいいのではない。手元のテクニックと強弱こそが重要なのだ。
「ありゃー・・・スペア取るのもちょっとキツそう・・・」
「葉桜先輩頑張ってくださーい!」
「応援してますよ~んぐんぐ・・・ぷはぁ・・・」
「ぬぬぬ・・・!義経はともかく弁慶!お前は川神水の肴にしているのではないか!」
「あはーバレました?」
「こら弁慶!ちゃんと応援しないと・・・」
「くぬぬ・・・ええいこれでどうだ!」
またも投げるのは剛速球。右側だけを一掃し左側1ピンだけ残ってしまった。
「ぬが~~!!!」
地団太踏む清楚。しかし彼女の手番は終りだ。
「もう一回!」
「はいはい、また順番回ってくるから大丈夫だぞー」
士郎になでなでしてもらって満更でも無い様子でドカリと座る清楚
反対側では一子がスペアを取っていた。
「やっぱりパワーが増した分コントロールが重要ねぇ・・・」
「一子は軌道修正できたではないか」
クリスがボールを持って言う。
「でもクリスも・・・ほら、スペアじゃなーい」
「ぐぬぬ・・・」
「うちのワンちゃんも負けず嫌いなんです。なーんて言って、俺の手番だな」
「大和ー!!」
「京の熱い声援がすごい」
「さっきまで無表情で本読んでたのに」
「て「大和ーストライク取ったらいいことしてあげるー」・・・ッ!!!」
軽やかに行こうとした大和がブレーキをかけた。
「・・・。」
「大和君、分析始めちゃったよ」
「べ、弁慶・・・」
「ん?私はいいことしてあげるとしか言ってないよぉ?何を想像したのかなこの牛若丸ー?」
「エロスは人の神秘を引き出すのね」
「いや旭・・・君もファンが多いんだからエロスとか普通に使わないように」
ファンが聞いたらどうなる事か。
旭を抱えて全校生徒から逃げ回る想像がつく士郎。
「・・・!そこだぁ!!」
果たして弁慶とのイチャコラを賭けた大和の一投は・・・
パカーン!
「す」
「ストラーイク!!」
「あらら。やり遂げちゃったねぇ」
シャキイン!と大和のガッツポーズが決まった。
「あはー何がいいかなー」
「・・・。」
「・・・。」
しかしながらクリスと京が鋭い目でディフェンスに入っている。
「ちょ・・・クリス!京!?」
「大和は自分のだ。従って不届き者は成敗だ」
「大和は私の。不届き者は成敗なのです」
「ぶわははは・・・大和ー今度ねー?」
「・・・。」
青年のボルテージが下がった。
「ってそんなことよりも次次!」
「えーっと、あ、俺か」
遂に士郎の手番だ
大人チームからは桜が。
「俺たちは」
「リラックス、です!」
普通に投げた二人の玉は、パッカーンと綺麗な音を鳴らし、
「ストライクだ」
「ストライクです!」
おおおーとパチパチパチ拍手が鳴る。
「安定感やばいね」
「プロボウリング選手みたい」
など、外野からも言われ、
「あの人学生かな」
「あの一投に惚れたー!」
見学していた女性陣の目を奪ってしまう。
「は、早く次にいこう。なんだか騒がしくなってきたし・・・」
「シロウはいつもこれです・・・」
「いつもの事よねー」
「士郎先輩は誰が見てもカッコいいですから・・・」
「むーでもお姉ちゃん、衛宮夫妻の私達を置いてなんか悔しくない?」
「そ、それはそうですが・・・」
「何かいい案でもあんのか妹―」
「あるよ」
「ほえ?」
「士郎先輩ー」
「ん?どうした、沙也佳」
「ちょっとやきもち、です」
ぎゅ。
(ほらお姉ちゃん反対側!)
(え、ええー!?)
と心では思いつつしかり士郎の腕を抱く。
「おわっと・・・なんだ由紀江もやきもちか?しょうがないなぁ・・・」
結局その後は一部(モロとキャップ、ガクト)を置いて嫉妬爆発の猛勝負になったのは言うまでもない。
「あー!、楽しかったー」
燕が大満足という顔でグランドワンの出入り口をくぐる。
「ボウリングも良かったけど、ダーツとビリヤードも良かったね」
とモロが言う。
「今回ばかりは運だけじゃどうにもならないってことでキャップの圧勝だったな」
「面目ない・・・次こそは勝ってみせますよ、翔一」
「いつでも受けて立つぜ!セイバーさんとはよく接戦になるからこっちも面白いぜ!」
「ホントにセイバーさんはキャップと同格だもんなぁ。その運が羨ましいよ」
「士郎の投擲フォーム、一片の揺らぎも無くて惚れ惚れしちゃったわ」
「でしょうね。ずっと士郎以外は眼中にないみたいだったもの」
「そんなことないわ。凛も活躍してたじゃない」
「・・・喧嘩売るのやめたのね」
「だから言っているでしょう?私は貴女とも仲良くなりたいの。士郎達とは、一ファンとして何処までも仲良くしてほしいわ」
「もう、弁慶飲み過ぎだぞ」
「あはー楽しい」
「おっと弁慶!川神水は場酔いするだけなんだけどなぁ・・・」
「弁慶ちゃん、今この時も楽しいんじゃないかな」
「そう・・・なのか?」
クリスが不思議そうに首を傾げるが、本人は本当に楽しそうで、
「んぐんぐ・・・ぷはぁ!あー飲み切っちゃった・・・やまとー」
「絡まれても川神水の予備なんか無いぞ・・・」
「あはは・・・それはそれとして、明日も遊ぶんだよな?」
「もちろんだ!明日はプールで遊ぶぞ!」
「プールね・・・ちょっと用事を思い出したわ。士郎、先に帰ってくれる?」
「ああ、構わないけど・・・」
「あ、私達も」
「女子は女子で買い物かー」
「男はどうする?」
「あー今日はもう休みてぇな。腕がパンパンでよう・・・」
「右に同じ・・・」
「セイバーは負けず嫌いだから・・・」
初めてということもあり、セイバーはその飛びぬけたセンスでいいところまで行ったのだが、総合的に真ん中くらいであった。
ビリヤードとダーツもやったわけだが、セイバーの負けず嫌いが災いして、これでもかと言わんばかりに何ゲームもやる羽目になったのだ。
「まぁでも、楽しかったからな。その余韻が弁慶には残っているのかもしれない」
「楽しかっZzz・・・」
「寝ちゃったよ」
「じゃあ弁慶以外は買い物ね。義経は?」
「弁慶が心配だけど・・・直江君なら任せて大丈夫だろうし・・・義経も買い物に行きたいです」
「二人が一緒じゃないのは珍しいな」
「弁慶ちゃん気持ちよさそうに寝てるしね。直江君、弁慶ちゃんの事よろしくね」
「はい。じゃあ解散ー」
大和は弁慶をおんぶして九鬼ビルへ。残りのメンツは早めに帰宅という事になった。
「「「ただいま」」」
「おかえりー!」
「おかえり」
天衣と史文恭が出迎えてくれた。
「あれ?マルと林冲は?」
彼女等も今日は衛宮邸にいたはずだが・・・
「クリスさん達と買い物に行ったらしいぞ。会わなかったのか?」
「ですね。これはすれ違いになったかな・・・」
マルと林冲も買い物とは何だろうと首を傾げる士郎。
「お前は本当に察しが悪いな」
「ええ?」
史文恭に言われてしまって士郎も困り顔である。
「それよりも家に入ったらどうだ。また新しい来客が来ているぞ」
「来客?」
はて、モードさんの事ではなかろうか?と思った矢先、
「■▲♯ー!」
「こらこら。人様の家なんだから走り回ってはいけないよ」
「モードさん」
「ああ、衛宮殿。申し訳ない、傷の治療に専念すると家内に言ったのだが、それならばとこうして娘まで連れてきてしまって・・・」
「構いませんよ。特に危ない所は・・・あ、土蔵には鍵かけとこうかな。それなら敷地内に危ない所は無いでしょう」
「鍛造所は士郎がいるときにしか刃物は置かないので問題なかろう」
「――――。」
奥からモードの奥様であろう人物が現れた。
「ああ、来たのか。これは私の家内です」
日本語が喋れないからだろう。静かに頭を下げる女性に士郎も一礼で返した。
「モードさん通訳をお願いできますか?」
「無論だ」
「初めまして家主の衛宮士郎です。モードさんの治療には誠心誠意力を尽くしますのでよろしくお願いします」
「――――。」
「――――!――――。」
「こちらこそよろしくお願いしますとのことです」
「なにか思う所があればモードさん伝手かゼスチャーで教えてもらえると助かります。
「――――。」
「わかりましたとのことだ。度々申し訳ないが家族ともどもお世話になります」
優しそうな家族で何よりだ。と、
「――――。」
「お腹が空いた?いや晩御飯まで我慢を・・・」
「モードさん。ホットケーキでも焼きましょう」
「よろしいのですか?」
「ええ。ただ夕飯に響かないように小さめにしましょう」
「何と申し訳ない・・・セシル、―――――。」
「!!!」
セシルと呼ばれた女の子は嬉しそうに飛び跳ねていた。
「じゃあ俺はホットケーキを焼きますね。モードさん、ギプスの方は・・・」
「問題なく外してもらえた。ただ、骨が変にくっ付いてもまずいという事であずみ殿に取り外し可能なこの小手のようなものを頂いた」
モードの腕のギプスがあった位置に木製の小手のようなものが覆っていた。
「ギプスより涼し気でいいですね」
「まったくだ。ギプスは必要な物と分かってはいるのだが・・・」
一度付けた人ならわかると思うが、ギプスは中が蒸れたりと、中々大変なのだ。
「早速今晩から治療を始めましょうね」
「うむ。よろしくお願いしたい」
など会話していると、
クイクイと士郎のズボンを引く手が。
「ああ、おやつだね。ちょっと待っててくれるかい?」
士郎はしゃがんで視線を合わせて言った。すると、
「!」
するりとモードの後ろに隠れちょこんと覗いてきた。
「あはは。まだまだ人見知りか。じゃあ俺は行きますね。居間で待っていてください」
「痛みいる」
そうして士郎は腹ペコオニュクスガールの為にホットケーキを準備するのだった。
もちろん、大絶賛で口の周りをベタベタにしながら一生懸命食べていたのは言うまでもない。
今回はこの辺で。モード隊長達は九鬼の提案通り日本へやってきました。
スポーツの場面はボウリングを主に置きましたが他にも色んなスポーツを楽しんだ設定です。ダーツとビリヤードってスポーツ…だよね…?
最後のモードの奥さんと娘のセシルちゃんは今後も喋ることはありません。最初セリフを割り当てたんですが、ん?日本てこの人らからしたら外国じゃね?と思いまして…でもちょっとした光龍とかも書けたらいいなぁと思う次第です。
ちなみに大和坊は一人で九鬼に行きました!何故かはご想像にお任せします。
では次回!