今回からはオニュクス王国編となります。本編の三倍の勢力を準備したオニュクス王国。ただそのことは筒抜けで…?
それではやっていきたいと思います!
――――interlude――――
川神のとある洞窟の中で。帰国したはずのオニュクス王国国王とイムベル将軍が怪しい会話をしていた。
「イムベル。手はずはどうだ?」
問われたイムベルは、
「はっ。当初の予定の三倍用意いたしました。六騎士の強化も済んでおります」
「ククク・・・ハハハハ!これで我が国が世界を牛耳る準備は出来たという事か!実に良い!褒美を遣わすぞイムベル」
「ははっ!有難きお言葉・・・」
「それで決行はいつだ?」
「六騎士はもう動いております。今月中にはミーレス共も運用予定かと」
「そうか。川神には良いデモンストレーションの相手となってもらおうか。クックック・・・」
新たな悪が胎動していた。しかし、海鳥に混じってじっと、その洞窟を見る目が居た。
――――interlude out――――
「どうだ、凛」
「ボチボチ始めるようよ。それにしても随分ガラクタ集めたわねー」
使い魔で二人の動向を伺っていた凛がため息を吐いた。
「学園生にも被害が出始めとる。反撃の準備じゃな」
「こちらは国王のいないオニュクス王国を抑えに行こう」
水晶玉を覗いていた川神鉄心と揚羽がそう言った。
「学園長。奴らは俺の存在が頭にないようです。遊撃を担っていいですか?」
「うむ。モモを制し、弓矢を得意とする君が適任じゃろうて」
「しかしあれほどのミーレス・・・だったか?あの量産ロボはどうするのだ?流石にあの数、纏めてこられては負傷者が出よう」
そう懸念する揚羽だが、
「逆よ。纏まってくれた方がやり易いわ」
「それはどういう・・・」
「いくら数を揃えようがね。神秘は数では打ち破れないのよ」
「相手が有象無象を出してくるなら、こちらは『無限』をぶつけてやるだけだ」
冷徹な顔で言う士郎にゾワリとしたものが走る揚羽達。
「それではワシは全校集会を開くとするかの」
「我ももう行きます」
お互い立ち上がって目的の場所へと向かう。
そんな時、
「揚羽!」
士郎が揚羽を呼び止めた。
「ん?どうした士郎」
「その・・・気を付けて」
言い辛そうにした士郎の心をくみ取り、
「フハハハ!我も腹の子も順調だ。無理などせぬよ」
「そうか・・・」
先ほどまでの冷徹な表情は無散し、いつもの士郎へと戻っていた。
「・・・。」
しかし士郎は、バサリと髪の毛を後ろに手櫛で整え、
「それではこちらも動くとしよう」
「ええ。今度は一人にはしないわ」
まるで
「なぁ聞いたか?」
「神出鬼没のロボットでしょ?」
モロとガクトがコソコソと話す。
「また犠牲者が出たってよ」
「らしいね。でも気を吸い取ってその後は何もしないみたい」
「でもよ。ここの所士郎が休みなのは・・・」
「多分問題解決に動いてるんだろうね」
「・・・なぁ俺達も」
「島津!師岡!何をしているか!」
バチィン!
「あ痛!」
「つー・・・」
叩かれたところを
「梅先生の授業はこれがあるからなぁ・・・」
「油断できないねぇ」
はぁ、とため息を吐く二人。
「・・・私の鞭を受けてため息を吐くとは良い根性だ」
ズゴゴゴ・・・と梅子の鞭を握る手に力が入る。
「ちょ、梅先生!何もしてないって!」
「これは・・・あれです!筋肉が・・・」
「むむ!筋肉が、なんですかな?」
「レオニダス・・・お前まで場を乱すな」
遂にはレオニダスまで出て来てしまったことに今度は梅子がため息を吐く。
「大方、最近話題のロボット兵器と衛宮の事だろう?私から言えることは無いが・・・もし喧嘩を売られたら、皆わかっているな?」
「もちろんよ梅先生!」
「最短最速で鉄くずにしてやりますって!」
鼻息荒く意気込みを語る生徒達に梅子はもう一度ため息を吐いた。
「まったく・・・武士道は分かるがどうしてこうも血の気が多いのか・・・」
「うちは武士娘だけじゃなくて男子もそれなりにやるからねぇ」
梅子の言葉に千花がそう返した。
「美男子なロボット来ない系?」
「羽黒・・・あんたはなんでもありか!」
「ち、チカちゃん!授業中ですよ!」
結局、やんややんやと授業どころではなくなった生徒達を見て梅子は頭を抱える。
「まったく・・・ロボットどもめ。授業にまで影響が出ているではないか・・・」
「まぁまぁ梅子先生。なんとも頼もしいことではありませんか」
ハッハッハ!と笑うレオニダスにイラッと来たのか、
「お前も生徒を焚きつけているのではないか!」
ビシ!
「おや?何か間違いましたかな?」
当然英霊であるレオニダスに鞭は効かず。本人は鞭を向けられたことに首を傾げる始末。
「ぐぬぬ・・・衛宮、早く終わらせてくれ・・・」
今はいない頼りになるが、何かとトラブルに巻き込まれる青年に後を託すしかない梅子であった。
――――interlude――――
ゴーと空を飛ぶ緑の機体ウィリディスとオレンジ色の女性型の機体アウランは、指示された獲物を襲う・・・正確には気を吸い取る対象を探していた。
「妙にピリピリしますね」
ウィリディスがため息を(呼吸していないが)吐く。
「そりゃね。私達六騎士が毎日やられてるんだからそれもそうでしょ」
アウランが辺りを念入りにサーチしながら言う。
彼らはオニュクス王国が送り込んだ刺客の内の二機。本来は川神の人間から気を吸い取る狩人なのだが・・・
「!ウィリディス!!!」
「モルス!!」
バッとアウランの声と共にウィリディスが分裂し、そこを鋼の何かが通過した。
「またですか・・・!」
「一体どんな目してるのよ!」
稼働初日こそ、順調に気を搾取していた彼らだが、それ以降、謎のハンターにつけ狙われる側となっていた。
「ウィリディス!アウラン!」
「「フラーウス!!」」
鋼の(恐らく矢)を警戒していた二人の下に黄色の機体フラーウスが飛び上がってくる。
「下がるよ!お二人さん!」
「なんでフラーウスがここにいるの?」
ビット兵器(恐らく)でバリアを展開しながらじりじりと下がる三機。
「そりゃあんた、これだけ毎日やられてたらフォーメーションも考えるさね」
「前衛は?」
「ルベルのバカとカエルレウスだよ。ルベルは破壊されてもスペアがあるし、カエルレウスは硬いからね」
「でも如何にルベルと言えど、このハンター相手では残機を使い切ってしまうのではありませんか?」
ウィリディスの言にフラーウスは苦虫をかみつぶした声で、
「それでもあの馬鹿に頼るしか無いのさ。アタシ達の中で唯一の成長タイプだからね。反応は良くなってきてるし、替えの機体も本国から追加で送られてきてる。あいつがハンター撃破の可能性があるんだよ」
と言いつつ、すぐ聞こえる範囲で、
「クソー!また一瞬かよー!」
ボンボンと爆発する音が聞こえる。
「わー!?ルベル君!カエルが退却する時の身にもなってー!!」
青いカプセル状の防御幕を展開して飛んでくる鋼の矢から逃げるように転がってくる水色の機体、カエルレウス。
「・・・あれで成長出来てるの?毎回一瞬じゃない」
「物は考えようですよアウラン。このまま成長が続けば市民には驚異的な戦力として君臨するでしょうからね」
「そうかなぁ・・・」
アウランがそんなにうまく事が運ぶだろうか、と思っていると、
「わー!!」
「よっと。お疲れさん」
ゴロゴロと転がり飛び込んできたカエルレウスをフラーウスがキャッチし、
「さぁ退散するよ!!」
「結局成果無しかー」
「後はプルプレウスに任せましょう」
「早く!空間をねじり切って何か飛んでくるよ!!」
「ええい!技術ならピカ一のオニュクス王国の六機士の内五つがこうも容易く・・・!」
「ちょっとちょっと!?カエルを盾にしないで!無理!あれは無理だからー!!」
カエルレウスがバタバタと暴れたせいでフラーウスの体が僅かに動く。そこを恐ろしい何かが通り、
『――――
キイン、と何かが収束する音と共に、
ズドーンッ!!!
強烈な爆発と音が、空と陸を支配した。
――――interlude out――――
『士郎、そっちは?』
パスから聞こえてくる凛の声に士郎は感情を浮かべることなく、
「問題ない。適当にあしらって逃亡した」
すっとそれまで構えていた黒弓を下す士郎。
『いたのは?』
「赤、青、黄色、緑、オレンジだ」
『あら、一機いないわね』
「恐らく川神学園だろう。愚かな話だ。あそこには川神鉄心がいるというのに」
ボロボロになりながら退却していく五機を見据えて士郎は言う。
「所で、宣戦布告はされたのかな?」
『まだね。学園襲撃がキーになるんじゃないかしら』
「かもな。・・・学園長」
インカムを通して学園長を呼ぶ。
『ほっほ。なにかな?』
とぼけたように笑う鉄心だが、濃密な闘争の気配がする声だった。
「そちらに一機行ったようですが大丈夫ですか?」
『来とるぞ。紫色の奴じゃな。速さが売りらしいが・・・なんとも』
余裕の笑いを上げていた。それはそうだ。川神学園の方は――――
「おい、何か来たぞ」
「紫色した・・・ロボット?」
「ねぇ、あれって巷で噂になってる・・・」
『どうも川神学園の皆さん。私はプルプレウス。今日は挨拶に来ました』
そう言って搭載された兵器で校庭を攻撃するプルプレウス。
「・・・なにやってんだ?」
「なんかムカつくわね」
『ああ、皆さんには挑まれない限り傷一つつけませんので。まぁ・・・ホームグラウンドをこれだけ荒らされて引っ込んでいる弱虫には興味ありませんが』
「「「・・・・。」」」
その言葉は、川神学園に火をつけた。
「・・・戦じゃあッ!!!」
「槍を持て!盾は持ったな!?剣は持ったか!!」
「ちょ・・・」
「待つのだお前達!」
「梅先生!ああも言われて黙ってろって言うんですか!?」
「あいつはうちらに喧嘩売ったんだ!ただじゃおかねぇ!!」
3-Sでも、
「武装が済んだ者から仕留めに行くぞッ!!!」
「ああ!こら、待ちなさいって・・・」
「我々も黙ってはいられませんね」
「此方の友達が居る場所を破壊するものなど許しては置かぬ!!」
「・・・。」
「大和?」
「大丈夫だ。おっしゃあ!!やるぞ!!!」
天地をひっくり返さんとばかりにバタバタと校舎中が地響きを起こし、
ザ!
「「「応ッ!!!」」」
全校一斉に盾持ちとそうでないものに別れ陣形を組んだ。
「ほう・・・随分な練度ですね・・・」
「当然ですッ!!この子らはこのレオニダスが鍛えた強者たち!ただでは済まさんぞ・・・貴様ぁ!!!」
ガン!
「
ガンガン!
「「「
ガン!
「
ガンガン!
「「「
レオニダスも愛する学園と生徒達を侮辱されたと知って本気で挑みかかる気でいる。
「あちゃー・・・これマジな奴だ」
「レオニダス王も憤激してますネ!生徒達が心配でス」
教師陣からは心配する声が上がるが、
「大丈夫じゃ」
ただ一人、学園の長は不敵に笑っていた。
「あの程度の輩に学園生が負けるわけがないじゃろ」
その言葉には芯があった。誰よりも生徒達を信じるという異常なまでの芯が。
「もしもの時はお願いしますよ」
「ふぉふぉ!もちろんじゃよ。ワシも喧嘩売られてちと頭にきているからのう」
生徒を信じながらも、自分も握りこぶしを振り落とさんと翁は思っていた。
「あの程度の挑発でこんなにも釣れるとは。私が言うのもなんですが、早死にしますよ?」
「ぬかせい!!我らは団結して貴様に挑む!我らを、我が学園を侮辱したことを後悔するがいい!」
「良いでしょう。では行きますよ」
シュイン!と高速移動で接敵してくるプルプレウス。本来なら見失うだろうその速度でも・・・
「盾を!!」
「「「応ッ!!!」」」
ドンドンドンッ!!!と盾に次々とミサイルのようなものが激突する。
「!?盾で実弾兵器を・・・!?」
「槍を!!」
「「「応ッ!!!」」」
間髪入れず槍が突き出される。
ガギィ!
「ふん。木製の槍程度で私は――――」
「――――獲りました」
キン!と刃が閃く。
「――――涅槃寂静」
「なっ・・・」
胴体と脚部が分断される。
その瞬間、頭部が緊急離脱するが、
「ぬりゃあああッ!!!」
「――――顕現の三。毘沙門天」
「馬鹿な・・・!」
プチっと。最後のあがきも虚しく、レオニダスの追撃の槍と、鉄心の技によってプルプレウスはその機体を失ったのだった。
「獰猛な顔が隠せてませんよ学園長」
ふぉふぉふぉと笑いながらも鋭い目つきで先ほどの愚か者を見る鉄心。
「しかし見事な連携・・・頭に血が上っても、戦い方は忘れなイ。いい判断ですネ」
「言ったじゃろうて。あの程度の輩に負ける子らではないとな」
「ですが学園長も手を出したのでしょう?」
「そりゃあれだけ豪語しておきながら逃げようとしたんじゃからな。逃さんわい」
校庭では敵を打ち取ったとして由紀江が全校生徒による胴上げをされていた。
「これで正式に喧嘩を買ったことになりますね」
「そうじゃのう・・・まぁこの時を待っていたんじゃが」
鉄心は既に士郎と凛の手によってオニュクス王国が魔の手を広げていることを知っていた。
しかし、『正式に』喧嘩を売ってこないと、いくらでも言い逃れが出来るのでずっと待っていたのだ。
「気を吸われてしまった生徒には申し訳ないが、学園として喧嘩を買うにはきちんと動機が必要ですからね」
「これでワタシ達も動けるネ!」
「いーいデスねー。私達も怒りが爆発しそうでしタカラ」
「ふぉふぉ!教師陣も準備は万端じゃな」
「学園長はどうなさるおつもりで?」
「ん?そりゃあ攻勢に・・・出たいんじゃが、川神院の修行僧達と、住民の防衛かのう」
「では・・・」
「うむ。次の一手の為に全校集会を開くぞい。各々方、生徒達を集めるのじゃ」
「「「はい(YES)」」」
川神学園への襲撃も屈強な生徒達によって防衛がなされ事態は圧倒的に川神が有利だった。
―――――interlude――――
「プルプレウス帰ってこないな・・・」
「どうしよう・・・既定の数値まで全然届かないよう・・・」
洞窟で唯一攻勢に出たプルプレウスを待つ五機士。カエルレウスの修理を受けて、新品同様の姿だが、洞窟の奥には破損したパーツや、破壊されたルベルの機体が洞窟奥まで山になっていた。
「まさか、やられたのでは?」
ウィリディスが別な演算をしながら言う。
「かもねー。ウィリディスが最初に襲った女の子も、素手なのに相当に暴れたんでしょ?」
アウランがため息と共に言った。
「はい。流石武士の家系と言いますか・・・あれには僕も驚きました」
何せ、いくつかのパーツを破損させられたくらいだ。その日はウィリディスも一人分しか気のエネルギーを吸い取れなかった。
「六機士よ。いや、五機士か。貴様等、一体何をしている」
相談する五機士にそう語りかけたのは今回の作戦を任されているイムベルだ。
「言いたいことは分かるけどー」
「強化を施された私達をも凌ぐ相手がいるのです。ルベルはもう何度破壊されたかわかりませんし・・・」
「俺は・・・決して弱くない・・・!」
「弱くはないさ。間違いなく強くなってる。でもねぇ・・・」
ううむ・・・と悩む五機士。
「ふん。所詮は機械か。十分な戦闘力を与えたつもりだったのだがな」
「そんなこと言ったってしょうがないじゃん!素手で私達を壊しに来る奴らがゴロゴロいるんだよ?これでも集められてる方だよ」
アウランの怒りの言葉にイムベルも顎に手を当てて考える素振りを見せる。
「確かに、プルプレウスの奴も木に矢じりをつけた槍でからめとられその後に一閃・・・どうやら川神は、我らの知らぬところで腕を上げていたという事か・・・」
「プルプレウスはやられちまったのかい?」
フラーウスが聞くとイムベルはすぐに頷いた。
「川神学園の挑発に行ったようだがな。胴体を切られた瞬間、分離機能を使ったログは残っているが、その後通信が途絶えた」
「「「・・・。」」」
それは、彼の隠し玉をもってしても逃げられなかった、という事だ。
「仕方ない。その辺の住民を狙って行動しろ。質などとやかくは言っていられん。このままでは姫様の準備が整わん。とにかく量を確保しろ。例の兵器も三機ほど持ってきた。貴様らが集めた分と、この兵器があればこちらの準備も整うだろう」
「了解しました」
「質を考慮しないのであれば何とかなるかねぇ」
「カエルレウス。フラーウスの追加オプションを持ってきた。さっさと組み込むがいい」
「了解だよ」
「一機減った分、取り戻さないとな!」
ガション、と手を鳴らして敗北し続けているルベルも気合を入れた。
「では、とにかく迅速に動け。期日までには間に合わせろ」
「「「了解」」」
そんな会話がなされていた。彼らは遂に無差別攻撃へと方針を変えた。
由々しき事態だが彼らを見張る目は今だ健在であり今の会話も余すことなく契約者へと伝えられていた。
――――interlude out――――
「生徒諸君。昼間の迎撃は見事だったぞい。それを踏まえて、これからの話をする」
川神学園では六時限目を利用した全校集会が開かれていた。
「今回、件のロボットは我々川神学園に喧嘩を売った。あれだけ大胆な行動に出るんじゃ。近々、川神自体に喧嘩を売ってくることじゃろう」
「「「・・・。」」」
いつもはコソコソと話をする生徒も多いが、今回ばかりは誰もがじっと、学園長の言葉に耳を傾けていた。
「残念なことにワシら川神院は住民の防衛が急務となっておる。ワシも、前線には出られんじゃろう」
そう言いおいて、改めて聞く。
「そこまで踏まえて問う。川神学園の生徒達よ。お主らはこの事態にどう対処するか。本当ならば我々教師陣は生徒を守る義務がある。じゃが・・・ワシとしては売られた喧嘩は全力で買ってやろうと思うのじゃが、どうする?」
ぼうっと、生徒たちの目に炎が宿る。この場の誰もが臨戦態勢だった。
そんな彼らを代表するように、すぅっと。白く美しい手が上げられた。セイバーだ。
「発言を。よろしいですか?」
「もちろんじゃ。この場は皆の意識を一つにするために設けたもの。皆も遠慮はいらんぞい」
学園長の言葉を聞いてセイバーは一つ頷くと、
「まず、敵の戦力は?」
「お主達が倒した指令系統のロボットが五機。それと・・・『ミーレス』と呼ばれる量産機が三万ほど」
ざわざわ!
三万、と聞かされて動揺する者が出た。しかし、
「我々スパルタの教えと、セイバー殿の教えを受けたものを筆頭に隊列を構築・・・非戦闘員も治療に当たれば無駄がない・・・」
レオニダスは既に川神という軍の構築に頭を回転させていた。
「せ、先生、マジでやるんすか?」
真剣に検討するレオニダスに恐る恐る聞くガクト。
「おや。ガクト殿は不参加ですかな?それもいいでしょう。我々は貴方を批難しません。戦うものから守るものに変わるだけですからな。しかしガクト殿。よく考えるのです。このご時世で己の怒りをまっすぐにぶつけられるという事は、中々ない機会ですぞ」
「でも死んじゃったりしたら・・・」
「私を前に戦死の心配ですか!・・・大丈夫です。わが軍は我々スパルタが守ります。死など程遠いことを約束しましょう」
その言葉にまた、ざわつきが走る。彼の言葉は。古に語られる伝説の300人と共に戦えることを意味する。その事実に心躍らないものなどこの場にはいなかった。
「我からも宣言しよう」
九鬼英雄が手を上げた。
「川神に喧嘩を売られたのなら我々従者部隊も出る!非力なものに戦闘は強要せぬ。安心するが良いぞ!」
フハハハ!と笑う英雄。この男も戦いでは最前線に出る気なのだろう。非力なものは守ってみせると豪語した。
「レオニダス王と九鬼英雄、二人が出陣するのならば戦力は相当なものでしょう。後は――――」
ぶわ!と強烈な風が吹いた。その中心にいたセイバーは・・・
「なっ・・・」
銀の鎧と青のドレス姿になっていた。
「我が剣に誓って。我らを受け入れてくれた川神に勝利を約束しましょう」
「ふぉふぉ!『騎士王』にそう言ってもらえるならば後顧の憂いも無いわい」
「・・・騎士王?」
「今、騎士王って・・・」
「あの・・・セイバーさん。まさか貴女のお名前は・・・」
「はい。私はかつてブリテンを治めた王。アーサーです」
「うえええ!?」
「あのアーサー王!?」
「アーサー王と学園生活してたのかよ俺ら・・・!」
うおおおお!!!と生徒達のテンションが上がる。
「鎮まれ!!!」
「「「!!!」」」
裂帛の声はレオニダスに通ずるものがあるのか一斉に生徒達の声が止まった。
「レオニダス王。今回私は最前線を行きます。川神の防衛は任せました」
「言われずとも!名高き騎士王の背中を守れるとあらば喜んで担いましょうぞ!!」
互いに不敵な笑顔で役割を分担する二人に興奮冷めやらぬ生徒達は、ぎゅっと己の拳を握り締める。
今までの過酷な鍛錬は今この時の為に。
「が、学園長・・・その、彼女がアーサー王という事を知っていたんですか?」
「もちろんじゃよ。流石に偽名のまま入学させたりせんて。テンションもアップしてきたな。いい傾向じゃ」
うんうんと満足げに頷く学園長に、宇佐美巨人は、
「スパルタとブリテンの夢のコラボとはねぇ・・・しかし、川神としても彼らに負けていられないですよ」
「うむ。モモ!」
「いるぞ。ジジイ」
「お主を筆頭に討伐隊を結成する。喧嘩が始まったらお主らに頭を抑えに行ってもらうぞい」
「もちろんだ!ああ、でもこっちも楽しそうだなぁ・・・」
「なんじゃ、行かんのか?じゃあ攻守交替で・・・」
「行く!行くってば!じゃあ旭ちゃんとー、燕と―、清楚ちゃん、私で行こうかな」
「OB再結成ですか・・・」
「頼むぞ。・・・おっと」
パタパタと鳥が一羽飛んできて学園長の手に留まる。
「・・・!こりゃいかんのう。では先生方、後を任せていいかの」
「わかりました。お前達!早速隊列を組むぞ!いつでも武装できるようにしておくのだ!」
梅子の言葉に「「「応ッ!!!」」」と答える生徒達。
オニュクス王国の魔の手を打ち払うべく団結する川神学園であった。
はい!今回はここまでという事で。いかがだったでしょうか?本戦前の熱いたぎりが感じられたら嬉しいです。
次回は本戦行きますよーここでがっちり熱くなって頂きたいです。
遅れまして、誤字報告、感想等、いつもありがとうございます!鈍足とかしてしまった私の小説ですが、何とかやっていけてます。それもこれも皆さんのおかげです!更新が遅くても感想などを頂けて勇気づけられています。まだまだハチャメチャしていくのでどうぞよろしくお願いいたします!