真剣で衛宮士郎を愛しなさい!   作:Marthe

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みなさんこんばんにちわ。ディアブロ4の新シーズンが待ちどおしい作者でございます。

対オニュクス王国編となります。高めに高めた熱気を発散する回にしたいと思いますのでよろしくお願いします。

意外なあの人が活躍するかも…?それもお楽しみに!

では!


川神の守護者達

――――interlude――――

 

「50・・・60・・・70・・・」

 

ゴウンゴウンと何かの機械をいじっているのはオニュクス王国の六機士の中の一機、修理担当のカエルレウス。

 

六機士とは言うが、一機倒されてしまったので現在は五機士を名乗る。そんな彼女が調整しているのは、川神の住人から集めた気を、ある場所へと送るための機材だ。

 

「カエルレウス。調子はどうだい?」

 

緑の機体、ウィリディスが問う。今日まで必死に気を集めた仲間である。

 

「うん!予定には間に合いそう!」

 

その言葉にため息を吐くのは黄色の機体フラーウス。

 

「これで一先ずの任務は終了だねぇ・・・いや、本当に大変だった。機械の体で良かったと思ってるよ・・・」

 

「ハイリスク・ハイリターンだったもんね」

 

オレンジの機体アウランが言う。

 

彼女の言うハイリスク・ハイリターンとは、気を集める作業の時に起きた妨害の事だった。

 

「川神院の修行僧が出てくるとはね。無差別に通行人を仕留めようと思ったら・・・とんでもない強さの人達が出てくるんだからさ」

 

「でもそのおかげで難航していた気の補填ができました。・・・まぁ、僕らも何度壊されたか分からないですけど」

 

「ホントホント・・・ルベルみたいに予備の機体を送ってくれて助かったよー」

 

洞窟の奥には自分たちの分身が数多くガラクタとなっていた。

 

「でももうこの洞窟もいっぱいだし、隠れるのは無理かな」

 

アウランの言葉に頷くようにウィリディスが言った。

 

「ミーレスの増産も上手くいったようですし、いよいよ決行ですね」

 

「やっとかい。これまでだけでも辟易としちまうよ。でもま、そろそろ川神にも思い知らせてやらないとね」

 

「ルベル君。そろそろカエル達も本腰入れるよ?大丈夫?」

 

「大丈夫だ。俺はもう負けない」

 

言葉少なく返す赤い機体にウィリディスやアウラン、フラーウス、カエルレウスも彼が仕上がっているのを感じた。

 

「時間だ五機士ども」

 

そこにイムベルがやって来た。

 

「イムベル将軍。遂に?」

 

ルベルの言葉に頷き、

 

「これより我らは・・・川神を踏み台とし、世界を牛耳る!」

 

ウィクトールオニュクス!!と唱和されるのであった。

 

――――interlude out――――

 

そんなやり取りがある頃、川神学園では膨大な闘気が膨れ上がっていた。

 

「遂に来たな」

 

クリスの言葉に大和が、ああと答えた。

 

「川神全土に対する宣戦布告。学園長の想定した通りだ」

 

丁度昼にテレビ中継をハックした放送で、オニュクス王国は川神に宣戦布告を流していた。

 

それに伴い、川神の腕自慢や、レオニダスの修練を受けていた者たちなどが、出陣の時を川神学園を拠点として待つため、集まっているのだ。

 

「士郎は?」

 

ガクトの問いに大和は、

 

「さっき戻ってきたみたいだ。あの赤い礼装姿だったから間違いなく本気だ」

 

「そっか・・・・またあの丘に行くことになるかもしれないね」

 

モロが感慨深く言う。ファミリーも重々しく頷いた。

 

「この戦いの主導権を握るには士郎の奥義が必要だ。それに備えて凛さんと打合せしてるみたいだ」

 

「最初は三万って兵力にビビっちまったけどよ。俺らには無限の仲間がいるんだもんな!」

 

「そうだぜ!俺達に敗北の二文字は無い!早く戦場に行きたいぜ!」

 

キャップもやる気満々だ。

 

「ああ、ここにいたかお前達」

 

「梅先生!」

 

「出陣ですか!?」

 

はやる気持ちをぶつける風間ファミリーに苦笑をこぼして、

 

「うむ。これから全員で戦闘区域に移動する。お前達は衛宮と一緒に来い」

 

「士郎は・・・?」

 

「この戦いに向けて闘気を高めている。そこの川神と同じようにな」

 

「・・・。」

 

一子も一言もしゃべらず、静かに気を高めていた。

 

「おいおい俺たちは後からかー?」

 

「後詰め、という事だ。お前達が来たと同時にケリをつける。重要な役割だ。しっかり果たせよ」

 

梅子の言葉に神妙に頷く。その頃士郎は・・・

 

「士郎、どう?」

 

「気持ち悪いが順調にチャージが出来てる。これなら一時間は持つ」

 

膨大な気を魔力へと変換していた。

 

「貴方の固有結界がカギだからね」

 

「そう言う凛も何か隠し玉があるんだろう?」

 

「まぁね。でもこっちは成功するか五分五分かな」

 

「先輩、姉さん。私は・・・」

 

懇願するように声を出す桜に、はぁとため息を吐いて、

 

「わかってるわよ。貴女は今回前衛(・・)。私達が行くまで頼むわよ」

 

「桜の護衛は任せてくれ。私達もいる」

 

そう言って揃って頷くのは林冲やマルギッテ、史文恭だ。

 

「みなさん・・・」

 

「私がいることも忘れないでもらおう」

 

クッキーである。彼も川神の一員として戦場に出るつもりだ。

 

「ありがたいけど・・・多分貴女達より桜の方が強いわよ」

 

「なに・・・?」

 

「桜は武闘派ではありません。その彼女が我々よりも強いと?」

 

少しむっとした表情の史文恭達だが、

 

「事実です」

 

「うわっ!?・・・ええと確か・・・」

 

いきなり現れた小柄な少女に驚く林冲。

 

「ランサー、と呼んでください。サクラは文字通り最強です。ですよね、サクラ」

 

「はい!急がないと先輩と姉さんの出番取っちゃいますよ?」

 

「あっはっは!桜が居てくれるなら安心だよ」

 

フンス!と意気込む桜に士郎は笑って言った。

 

「それほどまでに強いのでしょうか・・・?」

 

「・・・こ奴等の本分は魔術という例外的な力だ。なにがあっても不思議ではない」

 

難しい顔をして悩む史文恭に、ビシ!と桜は指を突き付けた。

 

「それよりも史文恭さん!妊娠してるんですから激しい行動は控えてください!」

 

「ぐむ・・・しかしだな・・・」

 

「しかしもかかしもありません!先輩との大事な子供なんですから細心の注意を払ってください!」

 

「むう・・・」

 

本人としては暴れられるいい機会だと思っているのだろうが、そうは問屋が卸さないと桜は言った。

 

「史文恭は桜に任せておけば安心だな」

 

「当然です!絶対無理なんてさせませんから!もしもの時はよろしくね、ランサー」

 

ランサーにまで注意喚起する桜に、はぁ、と嘆息する史文恭。

 

「士郎」

 

そんな折、百代が話しかけてきた。

 

「百代。そっちも出陣か?」

 

「ああ。十中八九罠だろうけど。罠ごと叩き潰してくるぞ」

 

「おお、モモちゃんが戦場把握してる。明日は雨かな?」

 

「そんなことないじゃない。百代は十分に頭が回るわよ?・・・戦いのことなら」

 

「言ったな!旭ちゃん!燕!」

 

キャー!ともみくちゃにされる二人。清楚はと言うと、

 

「モモちゃん達の分まで頑張ってくるね」

 

「「「あ!しれっとポイント稼ぎ!!」」」

 

今度は清楚に絡もうとした百代だがぺしりと叩かれ、

 

「もう、緊張感無いんだから・・・俺がいないと心配だな!!」

 

「「「・・・。」」」

 

そういう物でもない気がする一同。

 

「じゃ、行ってくるぞ」

 

「ああ。気をつけてな」

 

そう言って、気負うことなく彼女達も出陣した。

 

「レオニダス。セイバー。みんなの事頼むぞ」

 

「場所の指定は向こうからのもの。恐らく罠があるでしょうが・・・」

 

「たかが雑兵に後れを取る我々ではありませんよシロウ」

 

この二人が居てくれれば十分に持ちこたえるだろう。

 

オニュクス王国との決戦は間近に迫っていた。

 

 

 

 

 

「招待状はこの辺だけど」

 

「見事な海岸ね」

 

「広くて戦いやすい。と言えるけど・・・」

 

「うむ。綺麗に罠であるな」

 

何もない砂浜。戦うにはいい場所だがロボットの姿は見当たらない。

 

「これはこれは。川神からの刺客さん達」

 

「お前、なんの真似だ?」

 

出てきたのはイムベルただ一人であった。

 

「君達にはここで戦闘の様子を見てもらおうと思ってね。どうだい?ドリンクバーとかもあるけど。ちなみに――――」

 

イムベルが何か言う前に百代達は用意されたビーチチェアに座った。

 

「ええと、誰だかわかんないけどお前。給仕しろよ」

 

「私はウーロン茶」

 

「私はブルーハワイね」

 

「俺もウーロン茶だ。早くしろ」

 

「・・・。」

 

特に何も言わず注文を付けてくる四人にイムベルはクックックと笑った。

 

(お前達が大敗を期すとも知らないで)

 

だがその思惑も筒抜けで・・・

 

(コイツ馬鹿ダナー)

 

(まぁ予定よりも数が多い、くらいかしらね)

 

(士郎君が何かやる雰囲気だったし、あっちに居たかったなー)

 

(ファイトだよ!みんな!)

 

思い思いの感想を脳裏に浮かべてゆっくりと映し出される中継に目を向ける四人だった。

 

 

 

 

川神の採石場が舞台となった今回だが、

 

「随分用意したな」

 

ズラリと地平線まで居るロボット達に嘆息する梅子。

 

「それに我々まで戦うなど・・・」

 

「小島先生、今日は生徒達を守るんですから。今日の所は抑えて抑えて」

 

「・・・。」

 

宇佐美巨人に言われてそれもそうだなと気を持ち直す梅子。

 

「「「・・・。」」」

 

梅子に比べ川神の戦士たちは無言を貫いていた。

 

「川神は整っているね。でも数の暴力に抗えるかな」

 

「油断すんじゃないよウィリディス。ありゃあ負ける気なんか頭にない顔さね」

 

「アタシもー。これなんか嫌な予感する・・・」

 

「でも人間が重火器相手にそんなに戦えるかなー?」

 

「それでも勝つ気なんだろ。全く忌々しい・・・」

 

「・・・ルベル、あんた性格変わってないかい?」

 

「別に。普通だ」

 

「あー・・・成長促進しすぎたのかもねぇ・・・」

 

「それはそうと、ぶつかるよ!各自壊されないようにね!」

 

おう、と返事をしてフォーメーションを取る五機士。

 

「来たぞー!!」

 

ぶおおおーー!!!

 

と法螺貝が鳴る。

 

それと同時に

 

炎門の守護者(テルモピュライ・エノモタイア)アアアッ!!!」

 

伝説の三百人が巨大な防御領域を展開し、ミサイルが来ようがガトリングを放とうが、一切通さぬ壁へと変貌する。

 

「皆さん!彼奴らの攻撃は一歩たりとも通しません!存分に!戦うのですッ!!!

 

「「「応ッ!!!」」」

 

「あちゃー。相手も隠し玉来たかー。これは早めに――――」

 

起動させるべき、と続くはずだったアウランに衝撃が走る。

 

「はあああッ!!!」

 

みっしりと組まれた隊列に穴が開く。

 

閃くは銀。荒れ狂う風と共にミーレス達が消し飛ぶ――――!

 

キィン!ガィン!

 

「ば、馬鹿なの!?あの壁に守られていれば安全なのに!!」

 

「ふッ!!!」

 

次々とガラクタに変えられて行くミーレス達。川神は前に出てこない。それはそうだ。あの鉄壁の守りを利用しないはずがない。

 

しかし――――

 

「ふむ。所詮は雑魚ですね。鉛玉と火器しか使わぬ木偶の棒。我が切っ先を捕らえるには遅すぎるッ!!!」

 

一瞬にして隊列に大穴を空けるのはセイバー。彼女は皆が守りに入る中ただ一人、ミーレスと直接戦闘を始めたのだ。

 

「もうなんなよ川神ってとこは!この数をたった一人でどうにかなるはずがないじゃない!!」

 

「一人ではありません。彼らも既に戦っています。勝利を約束した私が盾に隠れるなど性に合わないので」

 

キーキーとストレスも限界なのかヒステリックを起こしたように叫ぶアウラン。しかしその声も彼女の斬撃音にかき消されていく。

 

「もういいッ!私がここで――――」

 

「――――その動きを待っていました」

 

セイバーに攻撃しようと高度を落とした瞬間、

 

「風よ!荒れ狂え!!」

 

「!!?」

 

誰が想像しただろう。よく見れば、彼女の手に握られているのは剣なのか斧なのか、はたまた鈍器なのか区別がつかぬほど目に見えないのだ。しかもその切っ先であろう場所から機械の体にダメージを与えるほどの風が吹くなど――――

 

「まずは一機!もらいました!!」

 

「ギャー・・・!」

 

真っ二つに両断され、荒れ狂う風にグシャグシャにされたアウラン。遠目にも五機士の一機が落ちたのが見えたのだろう。鬨の声が上がっていた。

 

「ふう。これで士気も上がる事でしょう」

 

そう言いながら周りを囲む木偶の棒達を見る。

 

「・・・人ならば恐怖を感じるところでしょうが、それもなしか。本当に愚かなものを作ったものだ」

 

また銀色が閃光のように閃く。戦場にてただ一人、されど誰よりも誇り高く彼女は舞うのだった。

 

「盾を!!!」

 

「「「応ッ!!!」」」

 

レオニダスの宝具ギリギリに盾が構えられる。

 

「槍を!!!」

 

ガキイ!と嫌な音を立てて前方のミーレス達に引っかかる。

 

「投石!!!」

 

「「「そりゃあああ!!!」」」

 

ドコン!と巨岩が後方の複数人の手によって投げられ動きが止まったミーレスを押しつぶす。

 

「弓兵構え!!!」

 

「「「はいッ!!!」」」

 

「爆矢!てーッ!!!」

 

ヒュンヒュンヒュン!

 

爆弾付きの矢が放たれる。

 

指揮はレオニダスの元、行われている。

 

どれもが的確で、戦場を意のままに操る手腕は見事と言えわざるを得ないものだ。

 

「流石レオニダス王・・・戦いを心得ている」

 

「これが本物の戦いって奴ですか。私もすっかり脱帽ですよ」

 

梅子と巨人はもう本当に引率の先生状態だ。それでも戦場は回っている。

 

相手が機械という事でレオニダスも素手や剣での格闘戦ではなく、次々に送られてくる爆弾の付いた矢、巨岩の投石で確実に一歩一歩進んでいた。

 

これだけでも驚異的なのは間違いない。この伝説の人物は、正しく戦略に特化した人物であり、だからこそ数多の軍勢を300人で迎え撃った人物なのだと思い知らされる。

 

そうして順調に歩を進めていた川神だが・・・

 

「もう使うしかありませんね」

 

ウィリディスが何かのボタンを押す。その瞬間、

 

「な・・・に・・・?」

 

「レオニダスさん・・・」

 

「これは!?どうしたというのです皆さん!」

 

それまで隊列を組み、息も乱していなかった川神の住人が、崩れるように倒れてしまった。

 

「くっ・・・レオニダス・・・」

 

「小島先生!貴方ほどの者もですか!?」

 

卓越した武芸者である彼女までも顔色を悪くしている。

 

「レオニダス王!」

 

「セイバー殿!」

 

すぐに異変を察知し、飛び込んできたのはセイバーだ。

 

「これは・・・一体どういうことですか?」

 

「わかりませぬ・・・我ら英霊がなんともない所を見ると・・・毒、ですかな」

 

「いえ、その可能性は低いと思われます」

 

ランサーが音もなくやって来た。

 

「ランサー。何か見たのですか?」

 

「はい。サクラの護衛をしていましたが、緑色の機体がスイッチのようなものを押し、それと同時に林冲と史文恭も、顔色を悪くして倒れました」

 

「この場にいる者すべて同時に無力化する罠ですか。これはいけませんな」

 

「このまま我々だけで戦う事も出来ますが、間違いなく体にいいものとは言えません。長期戦ともなれば死者が出るでしょう」

 

難しい顔でセイバーは言った。

 

「史文恭の話では『気を吸い取られている』と証言していました」

 

「・・・なるほど。生来気を運用しないから我々は無事なのですね。ではそのからくりを破壊してしまうのが吉でしょう」

 

「破壊は私がします。セイバーは引き続きかく乱を。レオニダスは宝具を維持できますか?」

 

「問題ありませんとも!魔力は霊脈から溢れんばかりに供給されております!必ずや守ってみせましょう」

 

「ではそのように」

 

トン!と地を蹴るセイバーとランサー。セイバーは再び戦場へ、ランサーはこの大掛かりなからくりの対処を。

 

各々持ち場へと戻る。こんなピンチでも、彼らは動じない。勝利の約束はこんなものでは破られないのだ。

 

――――interlude――――

 

 

「これでようやく止まりましたか」

 

はぁ、とため息を吐くウィリディス。

 

「奴等とんでもないね」

 

フラーウスが言った。

 

「カエル達を矢と石で潰してくるなんて・・・想像もしなかったよー」

 

「おまけにアウランまで銀の騎士にやられちまった。慎重に行かないとやべぇぜ・・・」

 

秘密兵器の起動で小休止を得たウィリディス達は大きく嘆息していた。

 

「被害は?」

 

「ミーレスが狩られ続けてる。それとアウランが破壊されちゃった」

 

「相手は一人・・・ですが凄まじい戦闘力です。とても人間技とは思えない」

 

「気の方は順調だけどな」

 

被害を出しながらも秘密兵器――――広域型の気の吸収装置で相手を無力化出来た。

 

「でもいいのかなぁ・・・これ、稼働し続けたら最悪死人が出ちゃうよ?」

 

「我々ロボット、AI的には即刻辞めるべきなのでしょうが・・・」

 

ウィリディスが難しそうに言った。

 

「イムベル達は止めないだろうねぇ・・・」

 

「カエル達・・・このままでいいのかな」

 

心配そうな声を出すカエルレウスに一同、同意らしく視線を下げた。

 

と、異常事態に最初に気付いたのはルベルだった。

 

「!」

 

「これは・・・」

 

「吸収装置が一つ破壊されましたね」

 

「こんなに早く!?」

 

通信ログが一つ、ブツリと途絶えた。

 

「我々も打って出るべきでは・・・」

 

「待ちな。どうも様子が変だ」

 

戦場を見渡していたフラーウスが警告を上げた。

 

「なにあれ・・・赤い・・・棘?」

 

「ミーレスが地面に・・・影に落とされていく・・・!?」

 

戦況は新たな展開へと移っていた。

 

――――interlude out――――

 

 

Es flustert(声は祈りに)――――Mein Nagel reist Hauser ab(私の指は大地を削る)・・・!」

 

黒に赤いラインの装束を身に付けた桜が歌う。その声は芯が通り、決意を示すように力強く発せられる。

 

「これが桜の魔術・・・」

 

「赤い棘が地面を走ったかと思えば、それに絡め取られたミーレスが影に落ちている・・・!?」

 

赤い棘は炎のように無数に走って行く。

 

これこそが彼女の本当の姿。身に秘められた魔術の属性は『虚数』。物質を存在しえない虚数の海に落とす魔術。

 

桜も士郎と同じ、五大元素から外れた()の属性に属する特異的な魔術師だ。

 

その才能は姉に勝るとも劣らない、強力な魔術師であった。

 

Satz(志は確に)――――Mein Blut widersteht Invasionen(私の影は剣を振るう)・・・!!」

 

次々と赤い棘がミーレスを虚数の海へ落としていく。史文恭たちは、凛が言った言葉を再確認させられることとなった。

 

「魔術・・・なんていう力なんだ・・・」

 

「あの影の海の行先など考えもしたくないな。これは確かに、絶大な攻撃力だ」

 

川神の人々が全て倒れたというのに、桜の目に諦めの色は無かった。

 

「史文恭さん、林冲さん。後退できますか?」

 

「我々の心配をする余裕すらあるか」

 

逆に彼女には、守ってみせるという誓いが見て取れる。

 

「ええ。この程度なら私だけでも全滅させられますから。それよりお二人とも、できれば避難を。出来なければ私から離れないでください」

 

「わかっている。でも・・・」

 

それまで顔色を悪くして地面に伏せていた林冲が槍を片手に立ち上がる。

 

「私達も己の役目を果たすつもりだ」

 

「そうだ。この絨毯攻撃の正体が桜なのはすぐにバレる。その時こそ我らの出番よ」

 

史文恭もハルバードを手に立ち上がった。

 

二人が立ち上がれたのは、ランサーが気の吸収機を一機破壊したからだ。川神の生徒達も頭を振るい、槍を、盾を、剣を手に再び立ち上がっている。

 

「今ランサーが相手の兵器を破壊しています。もう少し、耐えられますか?」

 

「もちろんだ。私達は桜を守る」

 

林冲は闘志を燃やして言った。

 

「本当は私も暴れたい所だがな。確かに、これは桜がオフェンスの方が効率が良さそうだ。騎士王といい、お前といい、士郎の世界の住人はどうなっているのだ」

 

呆れた、と言わんばかりに眉をひそめる史文恭に桜はあはは・・・と苦笑をこぼす。

 

「私達は魔術師の中でも特に特異的な存在ですから・・・でも、何の苦労もなくここまで来れたわけじゃないんですよ?」

 

桜の言葉に何か含むものを感じた二人は、追及することなく、素直に桜の努力を賞賛した。

 

「もちろんだ。・・・また桜に学ばされてしまったな」

 

「素質があろうと開花させるには血のにじむ努力が必要となろう。・・・あの男のようには、世の中上手くいかんものだ」

 

「先輩もあそこまで行くのに何度も死にかけています。・・・魔術は己を殺すことから始める外法。私達はそれを自分の信念のもとに扱う魔術使い(・・・・)。姉さんは違うって言いそうですけど・・・結局、自分の為に使っているのには変わりませんから」

 

また、炎の棘が走る。破壊されたのとは違う。一度絡め捕られれば、文字通りこの世からいなくなる攻撃に、次々と姿を消していくミーレス。

 

それは騎士王が破壊した機体も含まれる。相手に修理専門の機体が居るのは先刻承知。故に、戦線復帰の猶予は与えない。確実に眼前の敵を虚数の海へと叩き落す。それが桜の強い意志だった。

 

 

――――interlude――――

 

「あの炎、何なんだ・・・」

 

「確実に一撃必殺系だよね・・・僕らが居なくても勝てたのかも」

 

そんな言葉を漏らすのは大和とモロだ。

 

二人は、動けるようになってから、これが相手の秘密兵器だという事を見抜き、この攻撃で自分達の気配が薄くなったことを利用して偵察をしていた。

 

「それにしても敵に見つからないな」

 

「そりゃあセイバーさんが敵のど真ん中で大暴れしてるし、あの炎で一撃必殺されるし・・・多分こっちの事なんか気にかける余裕ないよ」

 

「凛さんか桜さんか分からないけどエグイ攻撃するぜ・・・」

 

あれが魔術による攻撃だろうことは二人とも承知の上だった。これは絶対に怒らせてはいけない人たちを怒らせたなと、冷や汗の流れる二人である。

 

「あっちはセイバーさん達に任せとけばいい。俺たちは・・・」

 

そこまで行って大和が止まった。

 

「・・・ビンゴだね」

 

モロも素早く身を隠しそっと砕石によって影となっている部分をのぞき込んだ。

 

「ミーレスが集まってるな。あそこに多分、気の吸収装置がある」

 

「でもどうする?僕達じゃあの包囲網は突破出来ないよ」

 

「それは分かってる。んー・・・何とかあの攻撃こっちに飛んでこないかな」

 

悩む大和とモロ。だが、その解決方法は意外なところにいた。

 

「・・・貴方達はなにをしているのですか?」

 

「なにってあの装置を・・・」

 

「や、大和!」

 

「え?」

 

慌てた声に大和はふと後ろを振り返った。

 

「一機破壊したから動けるようになったようですね。ですが、無謀という事も覚えておいた方がいい」

 

「ら、」

 

「「ランサーちゃん・・・」」

 

そこにいたのは、小柄に、猫耳のようなふくらみが付いたフードを身に付けたランサーだった。

 

「ちゃん付けは少々無礼ではないでしょうか」

 

「だって・・・」

 

「なぁ・・・」

 

この少女、そっちの気がない大和達でも可憐に見えるのだ。

 

それもそのはず。彼女は完成された偶像(アイドル)たる三姉妹の内の一人。それも戦う力を持たない姉とは違う、れっきとした戦士でもある姿だ。

 

「・・・まぁ、私の事はいいとして。ここは貴方達では無理です。大人しくレオニダスの宝具の裏へと帰りなさい」

 

「でも――――」

 

自分達だって役に立ちたい、そう言いかける二人にため息をつき、

 

「川神の人間は意固地ですね・・・それで命を失っては本末転倒でしょうに」

 

「・・・それでも、これは俺達が買った喧嘩だ」

 

「僕らも黙ってはいられないよ」

 

「・・・。」

 

そう言い切る二人に、ランサーは再度ため息を吐き、何を思ったのか、

 

「これを」

 

「これは・・・宝石?」

 

小さな、カットもされていない宝石だった。

 

「どうしてもというのなら、あの兵器を探してください。予測ではあと一機何処かにあるはずです。私はここを潰してから捜索に移ります」

 

「この宝石はどう使えばいいんだ?」

 

色んな角度から宝石を見る大和にランサーは、

 

「それは言わば発信機です。それを持っていれば貴方達の居場所がわかります。機体を見つけたら今のように止まりなさい。それらしき動きをしたのなら、私が貴方達の下に行きましょう」

 

ガシャ、と鎖の付いた巨大な鎌を構えるランサー。

 

「一人で大丈夫なのか?」

 

思わず聞いた大和だが、鋭い視線に肩をビクつかせた。

 

「こんな姿ですが、私は英霊です。あの程度の兵器など、取るに足らない存在です」

 

「そ、そうですか・・・」

 

大鎌で一閃される幻をみながら大和達はそそくさと次のポイントを探しに向かう。

 

「ら、ランサー、さん。行って来ます」

 

「気を付けて」

 

それだけ言って彼女は見えなくなった。同時に複数の爆発音が鳴り響き、体がまたふっと軽くなる。

 

「・・・英霊、か。ランサーは何の英霊なんだろうな」

 

「大鎌を持った英雄なんて思いつかないけど・・・」

 

気にはなったが、今考えることではないと割り切り、

 

「よし、探すぞ」

 

「うん!」

 

二人は最後の一機を見つけるべく、行動するのだった。

 

――――interlude out――――

 

桜の魔術が敵を食い荒らして一時間が経過した。

 

ミーレス達は既に大分数を減らしているが、まだまだ数はいる。川神の住人たちは少しずつ体制を立て直し、巨岩の投石と爆矢の攻撃が再開されていた。

 

しかし、

 

「そこまでです」

 

「敵襲!陣形を戻せ!」

 

「「「応ッ!!!」」」

 

所々ほころんでいた隊列が綺麗に修復される。

 

「流石レオニダス王。本来ならサインを頂きたいところですが・・・」

 

「・・・。」

 

「これ以上は僕達も黙ってはいられません。覚悟――――」

 

「覚悟するのはどちらだろうな?」

 

「!貴方は・・・」

 

出てきたのは紫ボディのクッキー2だった。

 

「僕たちの兄・・・になるのでしょうか」

 

「そうだな。人間に危害を与える愚弟共にはその身をもって償ってもらわねばなるまい」

 

ブオン!

 

とビームサーベルが唸りクッキーの目も怪しく光る。

 

「・・・中々に強化されていると見ました。ですが、この数と僕たちを前にたった一機で・・・」

 

「ふん。正攻法ならな。だが私には代え難い友がいる。・・・そのためにも、お前達には落ちてもらう」

 

ギュイーンとクッキーの背中が展開し一対のパラボラアンテナが出現した。

 

「オリジナルたるクッキーが命じる!各機攻撃をやめ、休眠(スリープ)モードへと移行せよッ!!」

 

ジジ・・・キューン・・・

 

間近に迫っていたミーレスとウィリディスが不自然に揺らいだ。

 

「こ、れは・・・ハッキング・・・!?こんなに大規模なんて」

 

「眠るがいい。貴様等の所業は目覚めた時に対処を決める」

 

「無、念・・・」

 

それまで空を飛んでいたウィリディスも、ガチャン!と地面に倒れ伏し動かなくなった。

 

「クッキー殿。流石ですな」

 

「なに。士郎と桜の協力が無ければ未開発で終わっていた代物だ。それに、弱点もある」

 

それは動きを止めたミーレスの後方。この兵器は横に広大ではあるが縦にはそれほど跳ばないのである。

 

「私はこのままミーレス共を片付ける。レオニダス、後は頼むぞ」

 

「お任せあれ。気の収集装置も破壊されておりますし、桜嬢の魔術で大幅に相手の機体は減っております。・・・同族の対処をお願いします」

 

「うむ。では私も出陣するとしよう!」

 

こうして新兵装を携えたクッキーも前線へとでた。不利であったことなどなんのその。

 

桜の魔術とクッキーのハッキングにより、次々と無力化されていくロボット達。その中心にはセイバーさえいる。もはや勝負は決したかに見えた。

 

 

――――interlude――――

 

一方百代達はと言うと・・・

 

「はっはっは!あれだけ準備して手も足も出ないとか!」

 

「ちょっと川神を舐めすぎではなくて?」

 

「ぷぷ・・・旭ちゃん、そこの卑怯者に言ってもしょうがないよ」

 

「我らの軍は無双しているようだな!(よかったぁ)」

 

「・・・。」

 

言われたい放題のイムベルの手にギチリと力が入る。

 

(なんだあれは・・・我々が下調べしたのとは大きく異なる・・・!?)

 

レオニダス王が“宝具”なるものを使うのは情報が入っていた。だが、あの戦況はどうしたことか。

 

三万もの軍勢を準備しながらこの体たらく。明らかに王の怒りを買うのは間違いない。

 

(くっ・・・だがこちらの準備は整った。あとは武神もろとも打ち倒すだけよ・・・!)

 

「おい。そろそろ飽きたぞ。こんな茶番を見せて何があるって言うんだ?」

 

「そうだねん。そろそろ私達の相手もしてほしいんだけど」

 

それまでの楽し気な空気も束の間、表情を落とした百代と燕が言う。

 

「ほほう。最後まで見届けなくていいと?」

 

「見届けるも何も、お前らじゃ絶対無理だよ。あの雑魚共を刈り尽くしたら今度は私達の所に来るぞ?その前に私達も暴れたい所なんだがな」

 

「そうね。でないと私達が来た意味がないし。それとも、一般人を人質にして延々と私達を封じるだけなのかしら?」

 

「・・・。」

 

余裕を持て余しているという声にイムベルは手に握ったボタンを押す。

 

「なんだ、増援か?」

 

「!?」

 

しかし、しっかり見抜かれていたことに驚くイムベル。

 

「やめとけって。ここまですると・・・」

 

ブツン、と映像が途切れた。

 

「おい!どうなっている!?」

 

「わかりません!通信機の故障かと・・・」

 

突如途切れた映像に部下への指示を飛ばすイムベルだが、その様子にはぁと、百代はため息を吐き、

 

「お前らがいくら雑魚用意したって無駄だって言ったろ?そんなことするから怒らせちゃいけない奴を怒らせた」

 

「これは必然。彼が今まで出てこなかったのすら疑問だもの。まぁ、大方調整と貴方達の気の吸収装置があったからでしょうけど」

 

「モモちゃん達が言う彼ってやっぱり――――」

 

百代は頬を火照らせて言った。

 

「うん。士郎だ!」

 

――――interlude out――――

 

「見つけた」

 

大和とモロが偵察中に、最後の気の吸収装置を見つけた。

 

「相変わらず戦場は凄いことになってるけど・・・」

 

「クッキーの奴、どこぞの悪逆皇帝みたいになってるな」

 

戦場を駆ける銀と赤い棘。そしてクッキーの広域ハッキングで次々にミーレスが狩られてゆく。人間ならもうあきらめているだろうが、彼らは機械だ。恐れなど抱くこともなく粛々と前進し鉄くずに、あるいは影の海に、そして強制休眠(スリープ)へと落ちていく。

 

もはや戦いは決した。オニュクス王国に川神の勢力を打倒することは出来ない。だというのに・・・

 

ザッザ・・・

 

「追加のミーレス!?」

 

「あちゃあ・・・こりゃ泥沼にする気か」

 

相手はこちらを圧倒することから、この機械で気を少しでも多く集めることに予定をシフトしたようだ。

 

「でも・・・逆効果だよね」

 

「ああ。これで士郎が出てくる。一子達に後詰めを任せたのはこの機械に気を吸わせないためだな」

 

本当は他にも理由があったのだろうが、もはや関係ない。川神の勝利は揺るがないものとなった。

 

「ありましたか」

 

そこにゆらりと現れるランサー。

 

「う、うん・・・ランサーさん、士郎は・・・」

 

戸惑ったモロの声にランサーはクスリと笑い、

 

「心配しなくとも、この兵器の破壊が狼煙となるでしょう」

 

「「!!!」」

 

その言葉にぶわりと身震いを感じた。ここに彼が来る。それは当然無限(・・)の軍勢を従えて、という事だろう。

 

「大和!」

 

「ああ!ランサーさん、後お願いします!」

 

走り行く二人を見送ってランサーは、

 

「本当に・・・あの頃が懐かしいですね」

 

もう十年になる、彼らがまだ非力だった頃を思い出す。

 

「今ではこんなに逞しく・・・サクラにも、その子供にも期待、ですね」

 

フッと笑ってランサーは大鎌を構える。

 

「そのためにも――――」

 

「「「・・・。」」」

 

向かうは気の収集装置。だいぶ減ったミーレス達を前にランサーは突撃を開始するのだった。

 

 

 

 

 

最後の気の収集装置が破壊され、遂にこの男が戦場に姿を現した。

 

「どうやら川神の有利のようだ。それでもやるのかね?凛」

 

舞台を見渡しながら士郎は傍に居る凛に声をかけた。

 

「ええ。やるからには徹底的に。相手が二度と手を出してこないように、完膚なきまで叩き潰してやるわ」

 

「・・・。」

 

その言葉に恐ろしいものを感じながらも、士郎は彼女もこの世界に馴染んだのだな、と温かいものが溢れた。

 

「ねぇねぇ、もう行っていい?アタシうずうずして堪えられないわ」

 

同じく傍に控えた一子にクッっと笑って。

 

「では始めるとしよう。遅れるなよ、凛」

 

「誰に物言ってんのよ。そっちこそ、散々調整したんだからミスらないでよね」

 

互いに獰猛な笑みを浮かべ士郎と凛が詠唱を始める。

 

――――I am the bone of my sword.(体は剣で出来ている)

 

――――素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ。

  降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

 

――――Steel is my body, and fire is my blood(血潮は鉄で心は硝子)

 

――――閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)。繰り返すつどに五度。

  ただ、満たされる刻を破却する

 

一子は朗々と響くその詠唱に寒気を覚える。

 

士郎だけでもオーバーキルだというのにこの二人はこれ以上何をしようと言うのか。

 

――――I have created over a thousand blades.(幾たびの戦場を越えて不敗)

 

――――Unaware of loss.(ただ一度の敗走もなく、) Nor aware of gain(ただ一度の勝利もなし)

 

この凛という少女は聖杯戦争に選ばれるだけでなく、彼女自身が強力な魔術師であることをいやというほどに一子は知らしめられていた。

 

(この呪文、聞いたことあるわ・・・)

 

士郎の詠唱に連なって聞こえるのはあの夜、運命の夜と名付けられた伝記に登場する一説ではなかったか。

 

――――With stood pain to create weapons.(担い手はここに独り)

            waiting for one's arrival(剣の丘で鉄を鍛つ)

 

――――Anfang(セット)

 

互いに韻を踏む。その韻は交わらないものを強引に交わらせる。一子は知らず、戦闘態勢を取っていた。

 

――――告げる。

  汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

  我が望み魔力の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。

 

――――I have no regrets.This is the only path(ならば、我が生涯に 意味は不要ず)

 

  誓いを此処に。

  我は常世総ての善と成る者、

  我は常世総ての悪を敷く者。

  汝三大の言霊を纏う七天、

  抑止の輪より来たれ、

 

そして。最後の一句が唱えられる。

 

――――My whole life was “unlimited blade works”(この体は、無限の剣で出来ていた)

 

「天秤の守り手よ―――!」

 

最後の一句と共に炎が走る。それは幻想と現実を隔てる境界線。武骨な採石場は、一人の男の、信念の丘へと塗り替わった。

 

「な、なんだよ・・・これ」

 

「俺達、採石場にいたはずじゃ・・・」

 

突如として現れた剣の丘に誰もが浮足立つ。しかし、

 

「盾構え!!!」

 

「「「お、応ッ!!!」」」

 

困惑に落ちながらも、レオニダスの号令によってすぐさま盾を構える。

 

「落ち着けい!あれは・・・援軍であるッ!!!」

 

「え、援軍?」

 

「お、おい見ろ!」

 

後方から、土煙を上げながら馬蹄の音が鳴り響く。先頭を走る軍団(・・)に旗が立てられており、それを見た一同はレオニダスの前だというのに呆然とその軍団を見た。

 

「ふ、風林火山に六銭紋・・・!?」

 

「あっちは毘沙門天だ!」

 

「まだ来るぞ!」

 

続々と英雄・・・いや、英霊達が集っていく。

 

「全軍止まれい!」

 

駆け足だった先陣がピタリと止まる。

 

「越後の・・・こういう時はどうするべきかのう」

 

「我々の存在は秘匿されねばならぬ。が・・・見ればここは幻想に包まれた戦場。なれば堂々と告げるが良かろう」

 

「そうじゃの。それにワシら、一時的な物みたいじゃし・・・しかし無理をする。これだけの英霊を現世に呼び寄せるなど。自殺行為も――――」

 

そこまで言って、風林火山を掲げ、口元が覆われていない赤いお面をつけた老人が目にしたのは十文字槍。それを見てなるほどと頷いた。

 

「この場にある剣の山が召喚媒体か。よくやるわい」

 

「あの・・・貴方方は・・・」

 

仮にも教師。彼らの身分などわかり切っていることだが、目の前の事が信じられなくて梅子は震える声で問うた。

 

「なにも怯えることはないよ。ワシは『武田信玄』。甲斐の虎とも呼ばれておる。こっちの無口そうなのが・・・」

 

「・・・上杉謙信。毘沙門天の加護を受けし者也」

 

「た、武田信玄・・・!!!」

 

「上杉謙信だぁ!?」

 

ザワザワと真偽を確かめる声が上がる中、静まれい!とレオニダスの声が上がる。

 

「ようこそ。我が主の幻想の世界へ。私はレオニダス。スパルタの王であり、この川神の子らを率いるものです」

 

「ほっほ!伝説の300人を率いたスパルタ王かい。これはご丁寧に」

 

「・・・我が宿敵よ。今は挨拶よりもせねばならぬことがあるようだ」

 

すらりと上杉謙信の刀が抜かれ、

 

「ふん!!!」

 

馬上から、飛んで接近してきた愚か者を切り払う。

 

「!?バリアの上から切られるとは考えもしたくないね・・・!」

 

それは敵情視察に来ていたフラーウスだった。

 

「そうじゃの。レオニダス王。そちらの子らの指揮は任せるぞい」

 

「言われずとも。援軍感謝します」

 

「なに。そこはマスターに感謝じゃよ。これだけの才を持ちうる者が身内にいたという事にのう」

 

朗らかに笑う信玄にフッと笑うレオニダス。

 

「全軍!!突撃準備!!!」

 

「「「応ッ!!!」」」

 

なにがなんだかわからないが、ここにいるのは本物の武田軍と上杉軍だという事に血を滾らせる川神市民。

 

「さあ皆さん!反撃の時ですッ!!!

 

おおおおおおおッ!!!

 

雄たけびを上げて前進する川神。それをガードするように、

 

「武田騎馬隊の威容を見せなければな」

 

「お館様!私に一番槍を!!!」

 

「うむ。行ってこい。幸村」

 

「有難き幸せ!真田幸村、推して参るッ!!!」

 

ドッと勢いの増した川神が援軍により増えたミーレス達に突撃していく。同時にレオニダスは前線を上げに上げ、相手を押しつぶさんと迫った。

 

「オラァ!!」

 

「いい加減頭に来とったんじゃ!!」

 

「ただで済むと思うなよ!!!」

 

槍が、剣が舞う。ミーレスには火器が搭載されているが、

 

ガギィ!!

 

「「「!!?」」」

 

身近にあった剣が突如としてミーレスに突き立ち、火器を展開しようとしたミーレスを串刺しにした。

 

「宿敵じゃないが、我らは剣の加護を得ているようじゃのう!」

 

「これぞ毘沙門天の加護ぞある」

 

「いや、どう考えても固有結界の術者じゃろうて」

 

ビシ!とツッコミを入れる信玄だが謙信は堪えた様子もなく。

 

戦況は、突如現れた剣の丘と、武田、上杉両軍によって蹂躙が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

「梅先生」

 

「衛宮!これは・・・どういうことだ?」

 

目の前にしても信じられない光景に梅子は呆然と聞くのだった。

 

「俺と凛の隠し玉ですよ。詳細は語れないので・・・。まぁ、レオニダスのような人物たちがこの戦いに参戦したという事で」

 

油断なく剣を操りながら士郎は言った。

 

「信じられん・・・武田信玄に上杉謙信だと?それに――――」

 

まだまだ後方には掲げられた旗と、馬蹄の音が聞こえる。今この時戦場にはせ参じたのは、彼らだけではないのだ。

 

「お前達は一体どこまで常識外れなのだ・・・」

 

梅子の呆然とした声に、あはは・・・と苦笑をこぼす士郎。

 

「それより梅先生。俺も前線へと合流します。オニュクス王国はここで叩き潰す。いいですね?」

 

「それには同意だ。まったく・・・戦士の顔になったかと思えばどいつもこいつも童心に帰りよって・・・ええい!私も行くぞ!!」

 

「こ、小島先生!?」

 

「宇佐美先生はこちらに。行くぞ!衛宮!!」

 

「了解・・・!」

 

剣の丘が士郎に応えるように道を作る。そこを駆けてゆく士郎と梅子。

 

「あー・・・小島先生も血が滾るわけね」

 

一人残された巨人は額に手を当ててため息を吐いた。

 

「宇佐美巨人殿・・・でよろしいか?」

 

「・・・そうだけど。お前さん達も参戦するつもりかい?」

 

目の前にいたのはモード達、元オニュクス王国軍隊長達だった。

 

「無論。この時の為に刃を研ぎ、傷を癒した。全ては王の暴挙を止める為」

 

ガシャ、と剣を眼前へ立てるモード達。

 

「行きます」

 

「あーはいはい。旗は立てないようにね。戦場混乱しちゃうから。行ってらっしゃい」

 

「行くぞ!」

 

おおおおおおお!!!とモード達も剣の丘を降りていく。川神のつながりが大きな力のうねりとなってロボたちを蹂躙する。

 

 

そんな中。

 

「やあ!!」

 

「はっ!!」

 

由紀江と義経もレオニダスの防御から出てセイバーと一緒に剣を振るっていた。

 

「ストライク・エアッ!!」

 

ゴヒュン!と一気になぎ倒されるミーレス達。

 

「すごい!」

 

「セイバーさん、でたらめですね・・・」

 

由紀江と義経の剣も冴え渡っているが、彼女はそれ以上だ。彼女自身が大嵐となってミーレスを刈り続ける。

 

ふと士郎が常々言っていたことが分かったような気がした。

 

――――俺のは二流だ。一流には通用しない

 

これが、これこそが一流。剣一つで最強へと至った剣の英霊・・・!

 

「あ!」

 

セイバーの剣捌きに感動していると、義経が何かに気付いた。

 

「義経さん?」

 

「み、源!?」

 

後方の援軍の旗の中に『源』の字が見えた。

 

「ま、黛さん!!ちょっと行かせてください!!」

 

「え?は、はい・・・?」

 

その様子をちらりと見送ったセイバーは、

 

(これも人類が生み出した歪み・・・ですかね)

 

一目散に、源の旗の下に駆けていく義経を見て、セイバーは何とも言えない気持ちになるのだった。

 

――――interlude――――

 

 

「はっはっは!」

 

自らの意思で出た戦場の最前線を必死に戻る。

 

今、義経の目には源の旗しか見えていなかった。

 

「おや?戻ってくるとは何かあったのかのう」

 

「ええっと!武田、信玄さん!後方に源の旗印があるんですがもしかして源義経公も・・・?」

 

問われた信玄は、

 

「誰ぞある!」

 

「はっ!」

 

「後方に義経公の旗があるようじゃが、義経公は何処にいるか探してくれるかのう」

 

「御意!」

 

「お嬢ちゃん。少し待っておくれ。今人を向かわせたから」

 

「は、はい!すみません、戦いの最中なのに・・・」

 

義経は落ち着いて話す信玄に、自分が恥ずかしい行動を取ってしまったという事に赤面した。

 

「なぁに。この戦は終り、幻想は間もなく消える。少しでも良い巡り合いとするべきじゃ。所で、お嬢ちゃんは?」

 

問われた義経は気まずそうに、

 

「ええっと・・・源義経さんのクローンで・・・」

 

クローン。その言葉に信玄は顔を顰めた。

 

「クローン・・・遺伝子を使ってコピーを作り出す外法、か・・・」

 

「うう・・・」

 

外法、と呼ばれ、やはりいい目はされないものだなと、義経は震えた。

 

「この世の者達がなぜそんな外法に手を出したのかわからないけども・・・まぁ、こうして生まれ育ったお嬢ちゃんに罪はない」

 

「むしろ外法で生み出されたその身の行先は茨の道となろう。確かに、義経公と会ってみた方が良いのかもしれぬ」

 

上杉謙信も静かに頷いた。

 

「報告!」

 

「わぁ!?」

 

急に現れた兵士に義経は飛び上がるが、それが義経公を探しに行ってくれた人物だと知って、また赤面した。

 

「源義経公・・・いえ、牛若丸殿は陣で指揮をとっている模様。先遣隊として武蔵坊弁慶殿が出陣したようです」

 

「報告ご苦労。義経ちゃんや。今がチャンスじゃぞ。噂に名高き牛若丸ならばすぐに前線へと参ろう。ワシらみたいに軍配を取る御仁ではなかろうから」

 

「は、はい!ありがとうございました!」

 

深々と頭を下げて義経は全力で走って行った。

 

その後ろ姿を見て、

 

「・・・人のクローンか。よくアラヤが動かなかったものよ」

 

「間違いなくアラヤが動く案件だとは思うのだがな。アラヤと繋がりし者でも居るのだろうか」

 

「そうかもしれんのう。ワシらも己のしたことが全て正しかったとは言えぬし、人の事は言えんか」

 

そうして彼らはまた戦場を見やる。もう間もなくこの奇跡の時間は終りを告げる。ただ殲滅するだけではなく、今生の者達にも勇気を与えられればと信玄は思うのだった。

 

 

「はっはっはっは!す、すみません!!」

 

「うむ?今生の者か。影法師たる我らに何用か?」

 

いかつい強面の兵士が槍を手に静かな威圧感と共に聞いてくる。

 

「その・・・源義経公と・・・牛若丸さんにお目通り願えませんか!?」

 

「牛若丸様に・・・?少女よ、そなたは・・・「通してやりなさい」!」

 

兵士の後ろから響いた声に義経は釘付けになった。

 

「あ、あ」

 

間違いない。あの人が後に源義経公を名乗る武人。牛若丸だ。まさか。まさかとは思うが“女性”だったとは。

 

義経は聞きたかった、聞いてみたかったことがさらりと漂白されてしまう感覚を覚えた。

 

「え、えっと・・・」

 

「何やらただ事では無い様子。しかし、牛若も敵将の首を取らねばならぬ故、手短に・・・」

 

「牛若丸さん!!」

 

意を決して義経は牛若丸に問うた。

 

「おお・・・随分と気概のある少女ですね」

 

「じ、自分の名は・・・源義経!!貴女の遺伝子から作られた貴女の・・・」

 

「・・・。」

 

牛若丸はじっと聞き耳を立てていた。きっと言いたいことが沢山あるに違いない。しかし彼女はただの一言もしゃべらず、じっと義経の言葉に耳を傾けていた。

 

「その、義経は貴女のクローンで!ずっと貴女の名に恥じないように生きてきました!牛若丸さんは――――」

 

「すとっぷ。今は己の身の上など問うている場合ではありません。今は戦いの時。貴女は戦うべき戦場を背に何をしているのですか?」

 

「あう・・・」

 

ぴしゃりと言われた義経は気の毒なようにしょんぼりとした。

 

刀を握る手も、過去の偉人に怒られたことで悲しそうにカタカタと震えていた。

 

「・・・貴女が戦場を背にしてまでここへ来た理由は分からなくも無いですが時を考えなさい。今は悠長に話をしている時ではないはず。行きますよ」

 

「え?行くって――――」

 

タン!と牛若丸が義経を抱えて地を蹴った。

 

「わ、わあああああ!?」

 

自分の力では到底叶わないスピードに義経は悲鳴を上げた。

 

「それで、牛若の所に来た意味はなんですか?」

 

「え!?・・・その」

 

やはり聞きたかったことが、聞かせてもらいたかったことが出てこない。千載一遇のチャンスだというのに義経は何も問うことが出来なかった。

 

(そもそも・・・元になった本人に会って、なにを聞きたかったんだろう?)

 

いつか、士郎は言った。同姓同名の別人だと。自分はそれを受け入れたのではなかったのか。

 

「迷いが見えますね。それもどうやら根の深いもののようだ」

 

「う・・・」

 

図星を突かれ尚更シュンとする義経。牛若丸はそんな義経に――――

 

「てい!!」

 

バチィン!

 

「あいたー!?」

 

べチリとそのお尻を叩いた。

 

「なんですかそのみっともない姿は!貴女も義経ならば、貴女の信念を通して戦いなさい!」

 

「う、牛若丸さん・・・!?」

 

「貴女と私は別な存在!しかし、“義経”の名で結ばれた言わば同志!義経だから牛若のように生きる必要はないはずです」

 

「・・・でも義経は」

 

またも難しい顔をして俯く義経のお尻をまたも太鼓のように叩き、

 

「あいったー!!?」

 

「情けない!貴女は貴女の信念の為に戦えばよいのです!それこそが義経の繋がりとなるでしょう!」

 

「・・・。」

 

義経はハッとした。目の前の牛若丸を名乗る女性も、己の信念を通しただけで特別なことは何もしていないのだと。そう思ったからだ。

 

「義経さん!?それと・・・」

 

いつの間にか最前線までたどり着いた二人は特に顔を合わせることなく、

 

「私はライダー、真名を牛若丸!英霊召喚の呼びかけに従いここに来た影法師。微力ながら助太刀します!!」

 

「牛若丸様。女子をそのように雑に扱っては・・・」

 

「この子は戦場に背を向け、己の心中を確かめようとした愚か者です!このくらいがちょうどいいでしょう!」

 

そう言って、ポーンと投げられてしまう義経。

 

「わあああああ!?」

 

思わず身を固くする義経だが、

 

「よっと。・・・やれやれ、無理をなさる」

 

巨大な体に僧侶服を身に纏い、七つ道具を背に結び付ける破戒僧がキャッチし、そっとおろしてくれる。

 

「あ、あの・・・ありがとうございます」

 

きっと。この人が武蔵坊弁慶なのだと知って震える声でお礼を言う。

 

「義・・・牛若丸様はああ言っておられるが、何も不思議はなかろうと思う。汝が現代の源義経公ならば」

 

「!なぜそれを・・・」

 

「はっは!それだけ身から出る闘気も、凛々しい顔も似ておったら誰でも想像がつくわ」

 

「はう・・・」

 

カッカッカ!と笑う武蔵坊弁慶に義経は顔を赤くする。

 

「うむ。そうして恥ずかしがるのも「何をしているかこの坊主!」おや、戯れが過ぎたか」

 

またも機嫌良さそうに笑う弁慶を見て自分もこんな主従になりたいと思った。

 

「義経!!」

 

「士郎君!」

 

戦場に飛び込んできたのは士郎だった。

 

「大丈夫か?気分がすぐれないなら後方に・・・」

 

「ううん」

 

キィン!と白銀が閃く。

 

「もう大丈夫。自分の信念に準ずることが牛若丸さんとの繋がりって言ってもらえたから」

 

そうだ。本物かどうかなんてことはずいぶん昔に片の付いたことだった。

 

聞きたかったのはその在り方。義経公としての在り方を聞きたかった。でも、彼女も何も特別なことなどしていなかったのだ。

 

――――その時その時に全力を賭して立ち向かう。たったそれだけだったのだ。

 

「主!大丈夫?」

 

「うん。弁慶。もう大丈夫だ」

 

戦の最中に心を乱したと聞いて心配してくれた弁慶に笑いかけて、

 

「源義経!いざ参る!!」

 

曇天が心を覆っていたいた彼女の心は晴れ渡り、今この時を全力で信念を通すと誓い、義経は軽やかに舞うのだった。

 

 

――――interlude out――――

 

「桜」

 

「姉さん!」

 

最前線へと向かった士郎に対し、凛は桜のいる敵を一望できる丘へと来ていた。

 

Es flustert(声は祈りに)――――Mein Nagel reist Hauser ab(私の指は大地を削る)・・・!」

 

ギュウゥゥンとロボたちを取り込み消えていく魔術に、顔色を悪くしながら凛は妹をねぎらった。

 

「流石ね、桜。調子良さそうじゃない」

 

「えへへ・・・でも姉さんはそうでもないみたいですよね?一体何基英霊を召喚したんですか?」

 

問われた凛はうーんと悩んで、

 

「呼びかけに応えてくれる奴全員かな」

 

「ぜ、全員!?」

 

それまで慄然と構えていた桜が仰け反った。

 

「だ、大丈夫なんですか!?姉さん!!」

 

「一応ね。英霊召喚って言っても士郎の無限の剣製の中の宝具に限るし、召喚された英霊達からちょっとずつ魔力を集めて展開してるから。どちらかと言うと固有結界を利用した二重の固有結界って感じね」

 

「どうりで調整に時間がかかってると思ったら・・・姉さんも先輩も、無理しすぎです」

 

「いいでしょ?これが私の性分なの。やるからには徹底的に。それが私のやり方よ」

 

「ここまでやるのが凛のやり方か。怒らせたくないな」

 

顔色悪そうな凛を見て呆れたように言う林冲。

 

史文恭はよくわからないという顔だったが、

 

「無限の荒野に突き立つ剣。武田信玄に上杉謙信。源義経・・・その他にも歴史書にしか出てこぬ旗印ばかり。魔術とは、正しく奇跡を起こす物であるようだな」

 

「流石に奇跡の大安売り過ぎるでしょうね。私も、こんなに応えてくれるとは思わなかったわ」

 

はぁーしんどい、などと言いながら凛は下を見る。

 

「やってるやってる」

 

幾千もの剣が雨のように降り注ぎ、その中を士郎とセイバーが舞踏のように舞うのが見えた。

 

「由紀江も義経も中々だけど、やっぱりあの二人には敵わないわね」

 

「それは・・・」

 

桜も何とも言い難い顔をした。

 

「まぁ一子もいるし。こっちはもう決着かしらね。後は向こうだけど――――」

 

そう言って百代達が居る方を見る凛。

 

「ま、心配した所で無粋よね」

 

何のことはないと凛は目を閉じるのだった。

 




はい。今回はここまでとしたいと思います。続きを書きたかったんですが気づけば二万字も書いていたことにびっくり。百代達の戦いと事後処理は次回に回しました。

義経と牛若丸の出会いは絶対に書きたかったんですが…こんなかんじでいいかな…FGOだと周りが大人な人ばかりで幼いイメージがあったのですが、戦場に出たらこんな感じなのかなぁと思いながら書きました。

まだまだ書きたい場面はありますが今回はこの辺で。次回もよろしくお願いします!
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