真剣で衛宮士郎を愛しなさい!   作:Marthe

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皆さんおはこんばんにちわ。最近ようやっと暑さから回復しつつある作者です。

今回は新しく出て来たオンラインゲームに着手してみようと思います。それと日常編。クッキーは今衛宮邸にいます。

では!


Fate/imagination life

「うーん・・・」

 

「先輩?何を悩んで・・・あ」

 

そこにはケースに入れられたFate/imagination lifeの筐体が並べてあった。

 

「Fate、ってゲームですね?」

 

「ああ。10個もあるからなぁ・・・」

 

もう一つ、安全性も疑わしいし、とは言えない。

 

「なによ。向こう(オニュクス王国)ではメジャーなんでしょ?一つ試しに「「ダメ」」」

 

手を触れようとする凛の前に桜と士郎が跳び込んできた。

 

「い、一個くらいいいじゃない!」

 

「これは高級なものなんだ凛」

 

「姉さんはこういうの苦手でしょう?」

 

「なによ!二人して!」

 

額に汗を浮かべて必死の形相で拒否する二人に凛はぷんぷん!としながら去っていった。

 

「はぁ・・・流石に凛にはな・・・」

 

ド級の機械音痴の凛にかかれば、一秒後にはサッカーボールになっている気がする士郎と桜であった。

 

「10個ですか・・・そうすると10人遊べますね」

 

「・・・寝込みを襲われないか心配なんだが」

 

「・・・。」

 

イイ笑顔で固まる桜。・・・何か考えていたようだ。

 

「とりあえずみんなに配るか・・・」

 

一人で10個も持っていてもしょうがないので、金曜集会で配ることにした。

 

 

 

「うわぁオニュクス王国の新型じゃないか!」

 

「モロ、知ってるのか?」

 

モロが興奮したように色々な角度から見ている。

 

「そんなにすごいものなんか?」

 

「もちろんだよ!!電脳空間を生成して数百台のスパコンで維持――――」

 

怒涛のモロトークが始まってしまったが、やはり通には伝わっているものらしく、これならば安全か、と士郎も思うことが出来た。

 

「今日はみんなに渡しに来たんだ」

 

士郎の言葉に機械オタクトークを展開していたモロもカチリと止まり、

 

「ほ、本当にいいの!!?」

 

「な、なんだ・・・その、貰い物だからみんなで遊べた方がいいってことで・・・」

 

「いやったー!!!」

 

ケースを大事そうに抱きしめるモロにみんなポカンとしている。

 

「そんなにすごいものなのか?」

 

繰り返し百代が聞いて、ケースに書かれているオニュクス語を見て口をへの字にして問う。

 

「まぁモロの説明をかいつまんで言うとだな・・・俺達が自由に遊べる電子ゲーム機ってとこだ。それぞれオーナー登録をして、好きな時にみんなで遊んだりできるわけだ」

 

「ふーん・・・大和と一緒に居られるならいいかなぁ」

 

「京!自分が先だぞ!」

 

相も変わらずワイワイとするみんなに士郎は苦笑をこぼして、

 

「携帯と連動機能があるようだから今晩やってみよう。時間は・・・」

 

改めて時間の指定をしてその日は各々ゲーム筐体を持ち帰った。

 

「さて、時間だな」

 

夕ご飯を食べ、早めに風呂に入り、士郎は筐体を頭に装着して寝床についた。

 

(意外と寝心地悪くないな・・・)

 

そんな事を思った次の瞬間、謎の浮遊感と共に視界が真っ白になった。

 

(攻撃か!?)

 

思わず構える士郎だが、

 

『ようこそ。Fate/imagination lifeへ。まずはオーナー登録をお済ませください』

 

「・・・無事接続できたみたいだな」

 

士郎は目の前のウィンドウに浮かぶパネルを操作し必要事項を記入していく。

 

『登録が完了しました。次に、ゲームキャラクターメイキングとなります』

 

それまで一つだったウィンドウが、ぶわりと複数に展開し、種族や得意なことなどありとあらゆる項目に分かれた。

 

(これは・・・早めに始めてよかったな)

 

自由度の高い、もう一人の自分を形成するのに必要な行程であった。

 

一つ一つヘルプを見ながら決めていき、ようやっと完成する。

 

「種族は・・・人間でいいだろ。他種族の方がボーナスとかあるけど」

 

犬人族や鬼人族はSTRにボーナスがあるようだし、ウンディーネなどの精霊系はINTにボーナスがあるようである。

 

その中で人間・・・人族は満遍なくボーナスのある万能型。いわゆる器用貧乏という奴だが、士郎の戦闘スタイル的にそちらの方が良いのであえて人族にする。

 

「みんなはどうするのかな」

 

若干ワクワクしながら作成したキャラクターでログインした。

 

意識が白くなる独特の感じに慣れないながらも街の中心部へと体が再構成された。

 

「・・・これで体は寝てるのか。まぁでも、意識を取り戻す取っ掛かりのようなものは感じるな」

 

一先ずどうするかと辺りを見回すと、

 

「しーろうー!」

 

「おわっと・・・一子?」

 

頭の両脇に犬耳を立てた一子が抱き着いてきた。

 

(今度は本物か・・・)

 

なんてくだらないことを言って士郎はその頭を撫でた。

 

「一子、みんなは?」

 

「続々と集まってるわよ~。あの、ひゅーまんでーた?を入力するところで時間がかかってるみたい」

 

「確かに・・・すごい量だったな」

 

身長や体重の他にも数分のスキャニングで自動的に入力される項目などもあった。

 

一子の言う通りしばらくして皆が集まった。

 

「ここが始まりの地か・・・」

 

「この世界でも私は最強だぞ!」

 

目の色から猛禽種だろう特徴的な目をした大和とモロ。二本、または一本角の生えた鬼人族の百代とガクト、犬耳を生やした一子とクリスそして特徴があまり見られない、

 

「京と由紀江はなんの種族なんだ?」

 

「妖精族・・・だそうです」

 

「INT高めー」

 

なるほどと士郎は手を打つ。よく見れば羽が生えていた。

 

「キャップは俺と同じ人間族だな」

 

「正義の味方ときたらやっぱり人間だろ!?まぁ他の種族も悪かないけど、やっぱり人間に限る!」

 

「正義の味方って・・・それらしいことでもすんのか?」

 

ガクトが呆れ気味に言うと、

 

「正直トレハン意欲の方が高い!」

 

「キャップらしいや・・・」

 

「・・・。」

 

致命的なバグなんかを見つけ出してこなきゃいいが、と士郎は思った。

 

「みんな集まったことだし、何からする?」

 

「はいはーい!町を出て軽く狩りをしましょう?そうしないと装備も普通の服と短剣だけだし」

 

「狩りか・・・モンスターとかいるのかな?」

 

「うん。アンチ・・・安全地帯の街の外なんかにはぽつぽついるって話だよ。もっとも、未成年の子とか他の事で生計を立てる人もいるらしいけど」

 

「俺様達は断然戦闘だな!今から職業決めねぇと」

 

「クリハンでは持つ武器で変わるからなぁ・・・」

 

「折角自由なんだから、色々試そうぜ!」

 

「は、はい!」

 

「レッツゴー」

 

京の言葉に釣られて皆一斉に動き出す。

 

始まりの街の外に出るべく歩き出した一行だが・・・

 

「ん?」

 

士郎が首を傾げて立ち止まった。

 

「どうした?」

 

大和が士郎が見ている・・・正確には売られているものを見た。

 

「武器屋か・・・?それにしては色々売ってるな」

 

百代も興味深げに見ている。だが士郎は別なことが気になっていた。

 

「なんじゃ。冷やかしならお断りじゃぞ」

 

「いえ。おじいさん、この短剣一つ1000Gなんですか?」

 

「そうじゃぞ。初心者冒険者なら必需品じゃな」

 

「この弓も?」

 

「そうじゃ」

 

「士郎先輩?」

 

士郎は顎に手を当て考え始めた。

 

「どうしたん?・・・って、全部1000Gじゃねぇか」

 

今手元にあるのは安物の服と短剣、そして初期支給の1000Gだ。

 

「士郎は短剣二刀流だからな。買っといた方が良いんじゃないか?」

 

そう言うクリスに士郎は全く真逆の事をした。

 

「おじいさん。・・・この短剣はいくらで売れますか?」

 

「ええ?」

 

士郎は逆に短剣を売ろうとした。何故なのかは、

 

「1000Gじゃ」

 

「「「!!?」」」

 

この事実を確かめる為だった。

 

「え!?初期装備が売値一緒!?」

 

「普通半額とかじゃないのか!?」

 

マジマジと自分の分の短剣を見る一同。

 

「ほっほ。兄さんいい目をしておるな。この世界では品質やランクが上がらない限り売値と買値は同じじゃ。賢いものはここで装備を整えていくのよ」

 

「私とガクトは格闘だから武器は要らない。ああでも、グローブが一対あるな」

 

「私は短剣を売って杖を購入っと。まゆっちは?」

 

「私は・・・杖を買って短剣は売りません」

 

「何が切っ掛けで近接戦になるかわからないしな」

 

「私は京さんと同じように魔法使いを目指したいのですが・・・」

 

剣もまた捨てきれないという事だろう。

 

士郎の機転であれよあれよと装備を整えるみんな。

 

その中でも珍しかったのが、

 

「大和とモロは弓なのか?」

 

何と二人は難しそうな武器を選んでいた。

 

「んと・・・弓に本決めしたわけじゃなくて」

 

「この世界、銃もあるみたいなんだ」

 

「なるほど。それで弓から始めるわけか」

 

この世界、安全地域たる街では一切の攻撃が無効化される。銃など懐に隠せて非常に危険だが、これならば安全だろう。

 

将来的には銃の習得について、今から遠距離攻撃に慣れておこうという事なのだろう。

 

だが、他にもポーションなどを揃えた後、狩りで二人は・・・

 

「あ、あれ?」

 

「矢が飛ばない!」

 

「リアルだなぁ・・・」

 

結局短剣を装備し、銃が手に入るまではそれで過ごすそうな。

 

「よ、ほっ」

 

ギャー!と悲鳴を上げて消えていく猿型モンスター。

 

士郎は順調そうに狩りを続けているが・・・

 

「この!まてぇ!!」

 

「ぜぇぜぇ・・・この私が追いつけない、だと!?」

 

「もうMPポーション飲みたくない・・・」

 

「地獄絵図だね・・・」

 

「俺達が弱いのは分かるけど、なんで姉さんやクリスまで?」

 

順調に狩る者のとそうでない者に分かれたのだ。中でも意外過ぎたのは百代が異様に弱体化していることだった。

 

「この世界に気の概念は無いからな。レベルが上がらないと超常的な力は出せないってことだろ」

 

士郎の言う通り元から気が少なく、己の技術を鍛えたガクトや一子は何のことはなく動き回っている。由紀江は若干動き辛そうだが問題なさそうだ。

 

「ハンサムラリアーット!」

 

「てぇい!」

 

「はっ!」

 

「ぐぬぬ・・・元の体なら・・・」

 

「それが普通なんだよ。百代の肉体はおかしいんだ」

 

「そう言う士郎は飛んだり跳ねたり凄いじゃないか!」

 

「これも立派な技術だぞ?百代は気に頼り過ぎだ」

 

短剣を投げて猿型モンスターを串刺しにした。

 

「くっ・・・これがノーマルな体なのか」

 

「あのモモ先輩が弱体化するなんて・・・」

 

「普段から素の状態で鍛錬してる分で動けてる感じだな。確かに、このリアル感は凄いものがある」

 

タンッと跳んで空中で蹴りを炸裂させ複数匹を景色に溶かして短剣を回収する。

 

「由紀江、魔法使いになるんじゃないのか・・・?」

 

「ひゃう!」

 

先ほどから魔法をあまり使わず短剣ばかりで戦っている由紀江に言う。すると、一応自分でも思っていたところなのか、小さく悲鳴を上げた。

 

「ええっと・・・魔法で戦おうとしているのですが、つい短剣を使ってしまうと言いますか・・・」

 

「まゆっちだけずるーい。私はエナジードリンク並みにMPポーション飲んでるのに・・・・」

 

「み、京さん・・・せい!あああ・・・」

 

体に染みついているのだろう。剣術が素晴らしい太刀筋でモンスターを両断する。

 

「まぁ徐々にでいいだろう。所詮遊びだ。のんびりやるのがいい」

 

武骨な舞を舞うように次々とモンスターを倒しながら士郎は言うのだった。

 

 

 

 

 

その後みんなと狩りを進め、依頼の刀剣の作成にかかると告げた士郎は一足早くFateから抜け、起き上がった。

 

「・・・眠いな。眠ってたわけじゃないからか」

 

人間、睡眠障害などでも起こりうることだが、意識を失う深い睡眠に付けないと眠っているのに寝不足という事になりがちなのだ。

 

同時にずっと横になっているのも体に負担をかける為、適度に起きて運動をするのがいいのだ。

 

「ふあ・・・今度は寝るだけにして起動しよう・・・。風呂にでも入って目を覚まそうか」

 

ぼうっとする頭でそう結論付けて士郎はシャワーを浴び、もう一度喝を入れて鍛造に励むのだった。

 

 

――――ちなみに、そんな士郎を後ろからつけ狙う不届き者が居た。

 

士郎がいる風呂にまで突入しようとした彼女は、凛とセイバーに止められて泣く泣く普通に寝床についたそうな。

 

 

 

 

 

翌朝。金曜日明けの土曜日は学園も休みで、士郎は仕事に精を出していた。

 

「士郎」

 

そんな彼を呼ぶ声がした。

 

「ん?クッキー?」

 

4状態のクッキーだ。彼女は不思議そうに鍛造所を歩き、

 

「来客が来ています」

 

「来客?今日は特に何も無かったはずだけど・・・」

 

「あずみが来ました」

 

「ふむ」

 

彼女とも深い関係になってからちょこちょこ九鬼にお邪魔するのだが、彼女の方から来るのは珍しい。一体どうしたのだろうか?

 

「まぁ行けば分かるか。汗を流してから行くから少し待ってもらってくれ」

 

「了解しました」

 

ぼっと、士郎が手をかざしただけで炉の火が消える。その動作をじっと見つめていたクッキーは、

 

「今のも魔術・・・ですか?」

 

「ああ。霊脈から魔力を取り込んで燃えてるんだ。と言っても、霊脈からは気も流れているようだから『こっちの人向け』になるかな」

 

「霊脈・・・言語検索・・・回答あり。大地を走る魔力の通り道。星の鼓動を伝える風水でも重要視されるもの」

 

「ご名答。本来なら魔力だけなんだがな・・・気って奴もこっちの地球じゃ巡ってるらしい。・・・さ、あずみに茶でも出してやってくれ。俺は汗を流してくるよ」

 

「了解」

 

明かりを落とした鍛造所を後にする。先ほどとは違って暗くなったそれを、不思議そうにクッキーは見ていた。

 

「お待たせ。仕事の方は順調か?」

 

「ああ。オニュクス王国が黙ったんで、今のところ火急の任務はねぇよ」

 

「そうか。それよりどうしたんだ?あずみがアポなしに来るなんて早々無いだろう?」

 

「アタイもそろそろ従者部隊抜けんのもありかと思うんだけどなぁ・・・仕事の方から来やがるんでぐうの音もでねぇ」

 

はぁ、とため息を吐くあずみに苦笑する。そしてあずみは本題に入った。

 

「それよか、良い情報だ。一子の奴が試合で勝ち取った旅行券あったろ?」

 

「御前試合の奴だな」

 

うむと士郎は頷く。アレも数々のロマンがあった戦いだった。その中でも一子が本当の意味で花開いた試合でもある。

 

「その優勝賞品をな、アタイら奥方と士郎で使いたいんだと」

 

「一子・・・」

 

確かに他に使いたい方法があると言っていた。しかしそんな方法を取るとは。

 

「大人数だぞ。大丈夫なのか?」

 

「景品は九鬼から出てんだ。問題ねぇよ。あとはスケジュールのすり合わせだが・・・」

 

懐からメモ帳を取り出し、早速日程の調整に入るあずみ。

 

「悪りぃんだけどよ。アタイとマルギッテが中々都合が合わねぇんだ」

 

「そりゃあ立派に仕事してるんだからしょうがないだろう。俺の方は早めに依頼を回すからあずみ達が時間合う日ででいいぞ」

 

「・・・お前も立派に働いてるじゃねぇか」

 

不機嫌そうに言うあずみに、ありがとう、と笑って先を促す。

 

「それでどうするんだ?」

 

「アタイらにも夏季休暇ってのがある。そこにねじ込めば何とかなるだろ」

 

「悪いな・・・何から何まで・・・」

 

「いいんだよ。これこそアタイの専売特許だ。ただまぁ・・・」

 

ニヤッと笑ってあずみは、

 

「あんまりほっとかれると、手綱が緩むぜ?」

 

「それは怖いな。というより、手綱なんか付けてないよ」

 

士郎の真っ直ぐな目に、君を信じている、と顔に書かれていたようであった。

 

「・・・ったく。悪態ついてもすぐそれだ」

 

「何か言ったか?」

 

「言ってねぇよ!今晩付き合えよ」

 

「ああ。まだ川神水だぞ?」

 

「うるせぇ。お前も飲むんだよ」

 

そう言ってズズ、とお茶を飲むあずみ。

 

「んで、例のオニュクス王国のゲームとやらはどうだ?」

 

「中々のリアリティだぞ。辛い治療の合間に五体満足の世界があるのは素晴らしいと思う」

 

ただ、と士郎は続けた。

 

「依存性があるような気がしてならないんだけどな」

 

「・・・まぁ、現実世界に比べれば面白おかしい世界だろうからな。ついつい遊びすぎちまうこともあるだろうさ」

 

「中々にままならないもんだな。・・・正義の味方が目指した世界とも取れるあの世界が、現実に悪影響を及ぼすってのも」

 

「深く考えすぎだぜ。あくまでゲームだろうが」

 

「そうだな・・・そうかもな」

 

士郎は一つ考える仕草をして、

 

「お茶を入れよう。なにがいい?」

 

「黒糖焼酎ロックで」

 

「晩酌にとっておけよ・・・」

 

苦笑して士郎は普通のお茶を二人分入れた。

 

(お前の理想は高すぎるんだよ・・・)

 

そっとそんな事を思うあずみだが、

 

(お前はアタイのもんだ。易々と諦めてたまっかよ)

 

彼女も、仕事場(九鬼)を通して何かできないかと精一杯考えるのだった。

 

 

 

 

その日の夜。約束した通りあずみと夜の街に繰り出した士郎は、彼女行きつけのバーに立ち寄り、川神水とお酒を頂いていた。

 

「旦那と飲む酒は美味いね」

 

そんなことを言うあずみにマスターは目を丸くして、

 

「おや、もう籍を入れたのかい?もう少し後かと思ったけれども」

 

「こんないい男さっさとものにしちまわねぇと取られるだろ?現にアタイ含めて20人も嫁いやがるんだからよ」

 

「お、おい。あずみ・・・」

 

士郎はと言うと予想以上に上機嫌な彼女にあたふたとしていた。

 

(あ、あずみにアルコールは効かないはずだけど)

 

そこにバーテンダーは、

 

「ここなら遠慮なしに言えるからね。これでも未成年と婚約したことを気にして他では喋らないそうだよ」

 

「ああ・・・なるほど」

 

彼女なりに考えてくれていたらしい。

 

「マスター。黒糖焼酎ロックで」

 

「またそれかい?今日何杯も飲んでるじゃないか。たまには味を変えてワインなんかどうだい?」

 

「んー。秘蔵のツマミでも出してくれるんなら・・・考えなくもねぇ」

 

「はいはい。チーズを出してあげるよ。旦那さんにもサービスだ」

 

そう言ってバーテンダーはチーズを切り分けてくれた。

 

「あずみ。飲み過ぎは体を壊すぞ」

 

「アタイにアルコールが効かねぇのは分かってるだろうが。いいんだよ。酔えねぇ分好きに飲ませてもらうんだ」

 

やはりどこか浮足立った印象を受ける士郎。

 

それも仕方がないのかもしれない。士郎と久しぶりにこうして飲み歩くので、普段から酒を趣味にしている彼女にとっては開放的な気分になるのだろう。

 

「どうぞ。秘蔵・・・ってほどでもないけど裏メニューのチーズ三種盛だ。川神水とも合うだろうからご賞味あれ」

 

「ありがとうございます」

 

食べてみるとどれも絶品で特にハーブの効いたチーズが印象的だった。

 

「このハーブチーズ、美味しいですね」

 

「ああ、それはね・・・」

 

「うちの里で出してる希少ハーブだよ」

 

「そうなのか・・・希少ってことはそんなに数は取れないのか?」

 

「もぐ・・・ああ。薬効がいいんだが、ある土地にしか自生しねぇせいで、数が取れねぇんだ」

 

「初めて分けて貰った時は、もうチーズかハーブティーにするしかない!って思い至ってね。うちはバーだし、チーズにすることにしたのさ」

 

「アタイもまさかチーズに仕込むとは思いもしなくてな。長との交渉が大変だったぜ」

 

「でもこのチーズはいい出来だぞ。裏メニューと言っていましたがすぐ無くなってしまうのでは?」

 

「そうなんだよねぇ・・・とっておきだから裏メニューにしてるんだけど・・・ここだけの話、このチーズを食べる為に入店するお客も珍しくなくてね。できればもう少し増やしたいんだけど「無理だ」この有様でねぇ」

 

きっぱりと切るあずみに、バーテンダーも士郎も苦笑い。

 

「しかしハーブか・・・桜が好きそうだな」

 

「おーいー。アタイを前に他の女の事は黙っとけよー」

 

「悪い悪い。じゃ、秘蔵のチーズも頂いたし、お暇しようか」

 

「んー・・・それもそうだな。美味かったぜ?」

 

「ありがとう。今後ともご贔屓に」

 

そうしてバーを出た二人は自然とあずみの部屋に行き、

 

「アタイとも、作れよな」

 

そんな男前な言葉と裏腹に、顔を赤くしたあずみに押し倒されるのであった。

 




はい。今回はこんな感じで。Fateの方はのんびりと書いていくつもりです。色んなサーヴァント(疑似)とか出せたらいいなぁと思っています。弱くなってしまった百代の強化話とかもいいですね。とにかく夢が広がります。

と、同時に一子の優勝賞品の旅行券。あれを衛宮夫妻だけバージョンにしてやってみようかなと。あんまり親睦を深めてない人とかも居ますからね。こちらものんびり書きたいなと思います。

最後のあずみさんは出したかった反動です。ちょっと・・・いや、大分浮足立っていましたがそれもいいかなと。

オニュクス王国編初期以来、でしたからね。次回はゲームの方主体でいければなと思います。では!
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