真剣で衛宮士郎を愛しなさい!   作:Marthe

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みなさんおはこんばんにちわ。体調の安定しない作者です。

活動報告でも書いた急な体調異変から大分立ったので更新もしっかりやっていきたいです。

今回は高級旅館その2ということで遊びも含めいろいろやれたらなと思います。

それでは!


高級旅館②

「くあぁぁぁ・・・」

 

とある高級旅館にて士郎は目を覚ます。

 

いつもの鍛錬の時間に合わせて目が覚めてしまったので時間は大分早い。

 

同じ布団で幸せそうに、すいよすいよと眠る二人を起こさないようにして、士郎はそっと布団から出る。

 

「んー・・・いい朝だな。空気も夏のそれだし、体を動かしたくなるな」

 

ぐいぐいと体を伸ばす士郎はそんな言葉を口にした。

 

と、

 

「シロウ、おはようございます」

 

「おはよう、セイバー」

 

セイバーも普段から早朝に鍛錬をしているからだろう。朝早く合流した。

 

「いつものように鍛錬しようと思ったのですが、ここは旅館でしたね」

 

「俺もそんな感じで目が覚めちまった。よかったら一緒に館内を見て回らないか?」

 

「ええ。昨日はお風呂と部屋しか見ませんでしたからね。エスコートをお願いできますか?」

 

「はは。もちろん」

 

ということでしばらくセイバーと館内を見て回ることにした。

 

「お風呂だけでなく、様々なリラクゼーション施設が目立ちますね」

 

「ああ。俺も使った、マッサージチェアなんかもたくさん設置されてるな」

 

今は閉まっているがバーのような場所も見受けられた。この世界には川神水なる珍妙な飲み物があるので未成年でもそれなりに楽しめるだろう。

 

(今夜あずみ達と来ようかな)

 

そして目玉はやはり大浴場だろう。

 

「セイバーはもう入ったのか?」

 

「はい。とても広く、様々な温泉がある場所でした。特にジャグジーや炭酸風呂には驚かされました」

 

「へぇ。俺も行ってみたいな。まだ日にちはあるから存分に楽しもうか」

 

はい!とセイバーは笑顔で返した。

 

 

 

まだまだ朝食まで時間はあるということでブラブラと歩いていると、

 

カコーン!

 

「やったー!燕ちゃんの勝ちぃ!」

 

「ぬぬぬ・・・!」

 

何やら百代と燕が卓球台で勝負していた。

 

「シロウ、あれは?」

 

「卓球台だな。何もこんな早朝からやらなくとも・・・」

 

「リラックスはできてるからいいんじゃない?」

 

「旭・・・」

 

まだ、若干眠そうな旭が呆れたように言った。

 

「おはよう、旭」

 

「おはよう。士郎とセイバーはもう起きていたのね」

 

「はい。この時間は、体を動かすのが日課でしたので。旭は今起きたのですか?」

 

「ええ。百代と燕に挟まれて寝ていたからね。二人が起きたのに合わせて私も目が覚めちゃったのよ」

 

ふあぁ、とあくびを噛み殺しながら彼女は卓球台の周りに置かれた椅子の一つに腰掛けた。

 

「ぐぬぬ・・・このままじゃ・・・あ!士郎!セイバーちゃん!」

 

「おっはよー!ねぇねぇ二人もやらない?朝食のおかずを賭けた卓球!」

 

勝ち越しているんだろう。機嫌よさそうに燕が誘ってきた。

 

「シロウ、ルールはどういったものなのでしょう?」

 

「セイバー・・・やるのか?」

 

負けず嫌いのセイバーだ。勝負となれば引くまい。

 

「セイバーちゃん。何度かやってみよう」

 

「はい。では・・・」

 

百代が抜け、燕とセイバーが相対する。

 

「ラケットはそこにあるから二種類あるうちのどっちか選んでね?」

 

「はい。これは・・・前面だけで打ち合うものと、背面も使って打ち合うもの、でしょうか」

 

「ああ。前面で打ち合う奴は根元をつまむ感じで構えるんだ。セイバーなら、臨機応変に対応できる前背面のやつがいいかな。それは普通に握るだけだ」

 

「ではこちらにします。燕、よろしくお願いします」

 

「はいはーい!じゃ軽くラリーできるくらいにしよっか」

 

ということで燕とセイバーの卓球が始まった。

 

最初こそ苦戦したものの、圧倒的センスですぐにラリーができるようになり、

 

「そこだ!」

 

「うわぁ!?」

 

セイバーの鋭いスマッシュが燕を圧倒するようになる。

 

「んにゃろーやったなー」

 

「ふふふ。今日の朝餉は豪勢になりそうですね」

 

「燕、セイバー、その辺に・・・」

 

嫌な予感がする士郎は試合を打ち切ろうとする。

 

だが、

 

「いいや!燕ちゃんはまだ本気出してないぞう!」

 

「ほう。いいでしょうこれ以上賭けると朝食が無くなってしまいますよ?」

 

「へへーん。勝負はこれから、だっ!」

 

「「あ」」

 

燕はサーブを開始した。のだが、

 

「燕!それは・・・!」

 

士郎は最悪の展開が予想通りになって、焦った声を上げる。

 

ピンポン玉を待ち受けるセイバー。しかし、

 

「なっ・・・!?」

 

ピンポン玉が本来飛ぶ方向とは別の方向に跳ねた。

 

しかし流石のセイバー。その動体視力で対応してのけるが・・・

 

「そい!」

 

「!?」

 

今度はわざと卓球台の下まで誘導して打ち返す。これにより燕の手元が見えず、どう打ち返したのか予測がつかない。

 

「くっ・・・!」

 

台の上を不規則に跳ねるピンポン玉。そして台下から打ち返され予測がつかないことにより、セイバーは点を取られてしまった。

 

「燕ちゃんの勝ちぃ!何をいただこうかなー!」

 

「もう一度です!」

 

「いいよん。セイバーちゃんのおかずは私のものだぁ!」

 

「あちゃー・・・」

 

燕の言葉に、メラリとセイバーの目に闘志の炎が宿ったのが見えた。

 

「こりゃ相当長くなるぞ・・・」

 

ああなるとセイバーは梃子でも動かない。絶対的勝利を得るまでやり続けるだろう。

 

「燕もバカね。あんな小手先の技がセイバーに通じると思うなんて」

 

ぼーっと見ていた旭がまたあくびを噛み殺しながら言った。

 

燕の打つ変則的な打球は『カット』と呼ばれる、飛んでくるピンポン玉をラケットの面で切るように回転を加えて返す技だ。

 

回転をかけることにより着弾の際弾けて不規則に跳ねるのが特徴だ。

 

「だな。初心者なら有効打だろうけど・・・」

 

「・・・!」

 

カコーン!

 

「あ!」

 

燕側でピンポン玉があらぬ方に跳んだ。

 

「セイバーちゃん、まさか・・・」

 

「なるほど。球に回転を加えるのですね。小手先の技術と思いましたが、存外奥が深い。さあ燕!勝負はこれからです!」

 

「あー・・・」

 

セイバーの圧倒的センスの前に、燕はボコボコにやられてしまい、ついには部屋の隅でのの字を書いてしまった。

 

「うう・・・燕ちゃんの朝ごはん・・・」

 

「卓球というのは集中力と体力を要求されますね・・・台自体はそれほど大きくないのにこの体力消費。実に奥が深い」

 

シュッシュ!とラケットを振るセイバー。

 

「せ、セイバー、もう戦う相手はいないぞ!そろそろ朝飯の時間だろうから部屋に戻ろう!」

 

「む・・・百代とも一戦したかったのですが」

 

「私はなぁ・・・ちょっと力込めると、ピンポン玉が破裂するか、卓球台に穴開けちゃうからなぁ・・・」

 

困ったようにコリコリと頬を掻く百代。

 

「それで燕に負け越してたのか」

 

「百代。貴女の莫大な力には感服しますが、それをコントロールできなければ真の強者とは言えませんよ」

 

「わかってますー。ちぇ、ジジィに怒られた気分だ」

 

ついには百代までいじけてしまい、なんともいたたまれない空気だが、燕は自業自得だし、百代も己の力不足なので何も言えない。

 

と、

 

「スゥ・・・スゥ・・・」

 

「やっぱり旭には起きるの早かったか」

 

隣にいた士郎に、寄りかかるように旭は眠っていた。

 

「さ、戻ろう」

 

眠る旭を軽く揺さぶって起こし、朝食の待つ大部屋へと士郎達は戻ったのであった。

 

 

 

 

 

 

「はい。そちらもいただきます」

 

「うう・・・燕ちゃんの朝ごはん・・・」

 

ベーコンや葉野菜のサラダ、スープなど、これぞ朝食、といったものが皆に配られる中、燕の分だけすべてセイバーのもとに運ばれる。

 

「セイバーちゃんの鬼ー!燕ちゃんのスープまでもっていくなんてー!」

 

「これは正当な戦闘報酬です。パンは残っているではありませんか」

 

「パンだけでお腹はふくれないよー!!」

 

ギャンギャンと吠える燕だが、

 

「卓球で賭けねぇ」

 

「セイバーさんは天才肌だから・・・」

 

「初心者をカモろうとしたわけだから因果応報でしょ」

 

と、なんとも辛辣な声があげられるのだった。

 

「うう・・・うう・・・旦那様ぁ」

 

上目遣いで士郎に迫る燕。だが、

 

「これに懲りたら初心者をカモろうとしないことだな。中には獅子が紛れ込んでるってことだ」

 

「よよよ・・・」

 

秘蔵のカットまで使ったのだから燕に甘い顔はできない士郎だった。

 

「今日はこの後、どうしようか?」

 

士郎の一声に嫁たちは、うーんと悩む声を上げる。

 

「観光もいいけど・・・まずは日課を終わらせたいわね」

 

「鍛錬か?」

 

「そうだな。やらぬ日はないし、やはり体を動かすのはいい。場所を借りれないか女将に言ってみよう」

 

「あたいも軽くやっていくかね。武器の扱いもまだまだだしよ」

 

「士郎君の作った武器はやっぱりすごいと義経は思う。義経はちょっとの間しか完全に制御できなかったけど・・・あれはすごかった」

 

「義経ちゃんはあれから一度も完全制御できてないの?」

 

「はい・・・どうしてもあの時の感覚を再現できなくて・・・」

 

「・・・私はあの槍のことをもっと知るべきだと思う。槍はまだまだ答えてくれる。私が止まっているわけにはいかない」

 

「皆士郎の特別製の武器に集中しておるのう。此方も士郎の教えてくれた武踊が身に付いておらぬし、腕試しもよいかもなぁ」

 

「休みに来ているのに鍛錬ていうのも不思議な感じだな」

 

皆の鍛錬への意欲に苦笑する士郎。かく言う彼も旅行とはいえ隙間時間を鍛錬で過ごしているので何とも言えない。

 

「よし、じゃあ日課を済ませたら観光に行こう。折角遠くまで来たんだし、いろいろ見て回ろう」

 

サンセー!という言葉をいただいてほっと息をつく士郎。折角旅行に来たのだし、観光くらいはしたいのが本音だ。

 

 

 

 

 

「んー!空気がいいわねぇ」

 

「あ、あっちに出店があるよ!」

 

「姉さん、行ってみませんか?」

 

「いいわよ」

 

少々強い日差しの中、日課の鍛錬を終わらせて観光に出向いた一行は、様々な出店や景色を堪能していた。

 

「おおー!絶景!ここまで登ってくると、景色最高だね~」

 

「女将さんにおすすめされただけあるな」

 

早くも復活した燕に士郎も同意と頷く。

 

「茶屋があるぞ!」

 

「ほむ待って。士郎、こっちに茶屋があるよ」

 

「団子などもあるようだのう」

 

「お団子!?燕ちゃんは空腹なのだー!」

 

そう言って茶屋の方に突撃する燕を見送って、士郎は景色を堪能していた。

 

「・・・。」

 

「前の世界のことを想っているのか?」

 

「揚羽・・・」

 

そっと、隣に来た揚羽に士郎は苦笑を浮かべた。

 

「まぁな・・・あっちでも、こうして景色を堪能したことは数えるほどしかなかったからなぁ・・・」

 

「戦いの合間に・・・か?」

 

揚羽の言葉に士郎は少し考えて、そうだな、と答えた。

 

「世界ってのは綺麗だ。人間なんかちっぽけに見えるほど世界は雄大だ。そんな当たり前のことを痛感してる」

 

「観光に来てまでお前は湿っぽくなるのだな・・・もう少し振り返らずにいられんのか?」

 

揚羽が深々と溜息をついて言った。

 

「俺自身、前を向こうと頑張ってるんだけどな。・・・忘れられない、消えない想いってやつがある」

 

「消えない想い・・・か」

 

揚羽も、もう一度景色を見下ろしてほうっと、息をついた。

 

「気持ちはわからんでもない。だが、これから生まれてくる命のためにもお前には前を向いてもらわねばな」

 

まだ膨らんできてはいないお腹を擦って揚羽は言った。

 

「俺に子供かぁ・・・想像もつかないな」

 

「だがこうして確実に宿っている。お前は『父親』になるのだ」

 

「俺が、父親・・・か」

 

今はもう遠い昔、憧れた男を思い出して、自分はどんな父親になるのだろうと思いをはせた。

 

「順調、なんだよな?」

 

「うむ。生まれたらどのような名をつけるか、悩んでおかねばなるまい」

 

「そうだな・・・揚羽はもう候補を上げたのか?」

 

「いや、我も子を授かるとは思ってもみなかったのでな。まだまだ考えが及ばぬ」

 

だが、と揚羽は続けた。

 

「確かに我の中にもう一つの命を感じる。我は・・・我らはこの命を失うわけにはいかぬ」

 

それはわが子を思いやるとともに、空虚な男にまた一つ幸せを届けるためでもあった。

 

それを知ってか知らずか、

 

「当然だろ。だからこれからはあんまり無茶するなよ、揚羽」

 

「わかっておる。さて、行くぞ」

 

「ああ」

 

そう言って二人も茶屋の方に向かった。

 

茶屋では燕を筆頭に皆が団子とお茶を食していた。

 

「う、う、この甘さがお腹に沁みるよう・・・」

 

「まだ言っているの?あれは燕が悪いと言っているでしょう」

 

「旭ちゃん、途中から寝てたくせに厳しい」

 

「あら百代。何か言ったかしら?」

 

「おいおい、なにをバチバチしてるんだ」

 

「別にぃ・・・ただの軽口ですぅ」

 

拗ねたようにいう百代に、よしよしと綺麗な黒髪を撫でて、

 

「すみません。俺にもお団子セットを」

 

「はーい!少しおまちくださいねー!」

 

茶屋の娘さんが慌ただしくパタパタしているのを見て、まぁ団体様だしなぁ・・・と苦笑する士郎。

 

「士郎私のを少しわけようか?」

 

天衣が先にいただいていたのを士郎に譲ってくれた。

 

「じゃあ少しだけ・・・」

 

「あ、あーん・・・」

 

「・・・。」

 

団子をこちらに差し出す天衣に、硬直した士郎だったが、彼女も存分に顔を真っ赤にしているのをみて意を決して口を開いた。

 

「もぐもぐ・・・」

 

「ど、どうだろうか・・・?」

 

「うん。美味しいぞ。天衣」

 

「(ぱあぁ!)」

 

嬉しそうに笑って残りの団子を食べる天衣。

 

「抜け駆けなのだー!」

 

「士郎、私のも食べるよね?」

 

「・・・こりゃおすそ分けだけで腹いっぱいになりそうだな」

 

焔も晴も団子の串を差し出し、他にも順番待ちであろう気配を感じるので、頼むのは失敗だったかなと士郎は笑った。

 

 

 

 

 

 

景色と団子を堪能した後は早めに宿に戻り、各々ゆっくりしていた。

 

というのも、

 

「こうしないと士郎はすぐに忙しくするから」

 

という嫁たちの声があったからであった。

 

「んー風呂にでも行ってこようかな」

 

「まだ大浴場は行ってねーんだろ?」

 

「ああ。初日は百代に家族風呂に連れていかれたからな」

 

桶にタオルを持って士郎は大浴場へと向かった。

 

「うーん・・・やっぱり立派な旅館だけあって色々な風呂があるな」

 

ジャグジーに打たせ湯、サウナに水風呂、他にも各種備えつけられていた。

 

「ふぅ・・・」

 

一通り堪能し、今はゆずの浮かべられた露天風呂でくつろいでいた。

 

露天風呂からの景色も絶景だな・・・」

 

比較的高い立地に建てられているためか大浴場の露天風呂からも絶景が見れた。

 

身体も温まったところで士郎は着替えて、設置された高級マッサージチェアへ。

 

まったりコースを選んで体を程よくほぐした。

 

部屋へと戻ってくるとほとんどの嫁たちが部屋にはおらず、百代と一子が昼寝をしていた。

 

「百代と一子だけ?ほかのみんなは・・・」

 

「かー・・・んあ?しろう?」

 

「ああ、起こしちゃってごめんな。みんなはどこに行ったんだ?」

 

眠っていた百代が目を覚ましぽやぽやとした様子で、

 

「たっきゅうしにいったぞー・・・わたしとワン子はひるね・・・かー・・・」

 

話の途中でまた眠ってしまった百代を笑って、眠る二人にブランケットをかけてやり、士郎は卓球場へと足を向けた。

 

カコーン!

 

「だあ!セイバーちゃん強すぎぃ・・・」

 

「うぬぬ・・・大友も完敗だ・・・」

 

「私も負けてしまったな」

 

「天衣さんの分身には驚きましたけど・・・」

 

「分身ならあずみも使っていたであろう?」

 

「それはそうだけど、あずみと天衣のはちょっと違うでしょ」

 

そんな桜や凛の声が聞こえてきて士郎はアチャーと思いながら扉を開ける。

 

「シロウ!さあこちらへ。あとは貴方だけですよ」

 

「・・・ってことはみんなセイバーに負けちまったのか?」

 

「残念ながらね」

 

「私は当然ながら、マルギッテさんも負けてしまって・・・」

 

「揚羽は?」

 

「我がやるには少々耐久度がな」

 

「百代ちゃんみたいなこと言ってるー。・・・手加減ができるのは俺くらいだな!」

 

「そういう清楚先輩も負けちゃったけどね・・・」

 

「義経!?」

 

どうやら嫁たちはセイバーの手腕の前に軒並み全滅のようだ。

 

「・・・あずみ達もやったのか」

 

「ああ。あの騎士王様、メキメキとテクニックを身につけやがって・・・」

 

「もう士郎しか相手になりそうもありませんね」

 

マルギッテまでもお手上げの状態だ。

 

「・・・じゃあ少しだけ」

 

そう言って士郎はラケットを手に取った。

 

「それでこそシロウです!いきますよ・・・!」

 

それからしばらくセイバーとの卓球勝負をした。嫁たちと勝負を続けたセイバーは、初心者とは思えないほど手強くなっており、士郎もなかなかに苦戦させられたが・・・

 

カコーン!

 

「なっ・・・」

 

「もう一回は無しだぞ」

 

かろうじて勝利を・・・気と魔術を総動員して勝ち取るなんとも言えない結果になるのだった。

 

 

 

 

 

夕飯となり、今回は士郎が呼ばれることもなく、実に平和に旅館の心づくしをいただいていた。

 

「今回は旦那様呼ばれなかったの?」

 

燕が持参した松永納豆をご飯にかけて(押しかけ納豆しようとして撃退された)食べながら言った。

 

「ああ。なんでもこういうのは――――」

 

「たまにやるのがいいのだ」

 

揚羽が引き継いで言った。

 

「旅館の板前さんの意識を引き締めるためだったのね」

 

「その通りよ。ここは九鬼の経営する宿の中でも屈指の出来だからな。油断しないようにしてもらいたいのだ」

 

「屈指の旅館っていうけど・・・他にお客いなくない?」

 

「それ、私も気になってたんだ。もしかして一子さんが勝ち取った券って・・・」

 

「うむ。『貸し切り』券だ」

 

「「「・・・。」」」

 

「あはは・・・」

 

士郎も後から聞かされて呆然としたものだ。

 

「あれは国を跨いだ御前試合だぞ?景品もそれなりのものを準備せねばならなかったのだ」

 

「それもそうね。色々と裏があったようだけど、試合自体は真っ当だったのよね」

 

「そうそう、今思えばオニュクス王国が攻めてくるきっかけだったのかもね」

 

「・・・。」

 

オニュクス王国が川神の下調べのためだった、とは言えない裏事情を知る面々だった。

 

 

 

 

 

夕食を食べて食休みしてからは夜に開店するのであろう、バーに足を運んだ。

 

「わー!キラキラしてる!」

 

「ようこそ、お客様方」

 

バーテンダーがスッと、どうに入ったお辞儀をする。

 

「わ、わ、アタシこんなとこに来たの初めて!」

 

「なんか背徳感あるね。未成年だし」

 

「私たちはともかくとしてこの子達まで連れてきてどうするのよ」

 

「ね、姉さん。私たちも一応未成年ですから・・・」

 

「ガキ共はノンアルコールか川神水でも頼んどきゃいいだろ」

 

「ノンアルコールはわかるけど・・・川神水・・・?」

 

「ノンアルコールなのに酔える水があってだな・・・」

 

「論より証拠であろう。この子らには川神水を。我らは―――――」

 

そうして、各々アルコールとノンアルコールを頼んで祝杯を上げる。

 

「「「乾杯!!!」」」

 

ゴク・・・

 

「!?これ水なの!?」

 

「ほわほわしますねぇー」

 

「これが噂に聞く川神水か!」

 

「ほむと私は飲むの初めてだねぇ」

 

「ノンアルコールでもカクテルって作れるんですね!義経は感激だ!」

 

「私もノンアルコールのカクテル。川神水でも酔っちゃうし」

 

「はっはっはっ!こうしてゆっくり飲む機会はなかったな!」

 

「バーテン。黒糖焼酎ロックで」

 

「私にはビールを。・・・おや?種類があるのですか」

 

「ビールというのはエールに似た酒ですね?では私も・・・」

 

「セイバーもまだ未成年だから川神水なー」

 

「そんな!?」

 

セイバーと士郎のやり取りにみんなで笑ってひと時を楽しむ。

 

それは何にも代えがたい素敵な時間になるのだった。

 

 




はい。今回はここまでです。

新年あけてました!今年もよろしくお願いします!

なんだかこの挨拶も二度目のような気がしますが…もうね時間が足りません。すぐ崩れる体調、新作のゲーム、ソシャゲ、ここの小説…もうどこから手を付ければいいんやという話。詳しくは活動報告にて語ろうかな。

なにはともあれ、今年もよろしくお願いします!
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