真剣で衛宮士郎を愛しなさい!   作:Marthe

27 / 127
皆さんこんばんにちわ。相変わらず投稿ペースの遅い作者でございます。

誤字報告、本当に助かっております。もうね、わかってるのに間違えたもの、あ、そっちか!となるもの。挙句にはルビがちゃんと機能してなかったりと、投稿前にプレヴューと睨めっこしてるんですが上手くいかないものですね・・・漢字なんかその都度これだっけ?って検索しております(苦笑)

今回は前回のあとがき通り、第一次決戦となります。どうなるかは、タイトルでわかっちゃうか(笑)とにかく楽しんでもらえたら嬉しいです。


炎門の守護者

――――interlude――――

 

「馬鹿が!携帯にはかけるなって言っただろッ!航路?そんなもん好きなとこから上陸しろ!こちとら近場の漁港で爆発事件があって手一杯なんだ!誰も海なんか見ちゃいねぇよ!!」

 

そう怒鳴りつけて携帯を床に投げつける。彼は最近総理大臣に就任した現総理大臣。しかし彼には巷で黒い噂が広がっており、身の保身に必死に走っている。

 

(ちくしょう!折角総理になったってーのに何もかも上手くいきやしねぇ・・・)

 

実際、彼は総理大臣になるためにあらゆる手段を取ってこの座を勝ち取った。コネ、恐喝、賄賂。表裏問わず様々な手を使って今この場にいる。

 

(肝心のМの野郎も連絡して来やしねぇ・・・これは、早々にバックレる準備しとかねぇといけねぇな)

 

Мなる協力者も最近は全く連絡が付かない。元からそれほど信用してはいなかったが、なにかと上手く都合をつけるので便利に使わせてもらっていた。

 

しかしそのМも、ばれるのを嫌がってかさっぱり連絡を寄越しもしないし、こちらからかけても繋がらない。

 

「総理!大臣が揃いました。急ぎ閣議室に!」

 

「ああ!今行く!」

 

投げつけた携帯を踏みにじって彼は閣議室に向かう。

 

(他人がどうなろうと構いやしねぇ・・・最後に勝つのは俺だ!)

 

一体何をもって勝利とするのか。それすらわからないのさえ気づかぬまま、彼は国の舵取り場へと歩んでいく。

 

――――interlude out――――

 

「・・・。」

 

多摩川の流れる土手で士郎は寝転がり空を見上げていた。考えるのはあの夜の出来事。もう少しで大切な者達を失う所だったあの瞬間。

 

「・・・ッ!!!」

 

ギチリと手から血が流れるのも構わず力が入る。あの時確かに、間一髪間に合うことができた。しかし、その歯車が少しでも、一ミリでも嚙み合わなかったら・・・

 

彼らは今頃。身元不明のスプラッタなことになっていたことだろう。

 

(俺は・・・どうするべきなんだ)

 

ちらりと携帯のニュースを見る。そこに映し出されているのは総理官邸がならず者達に襲撃されているというニュース。

 

本来の彼なら、とっくに現場に急行し鎮圧活動に参加している。しかしそれをしないでここにいるのは彼を慕うファミリーの存在だ。

 

(俺が行けば間違いなく彼らも来る。これだけ大々的に報道されている中、身を隠して行動するのは無理だ)

 

この際、魔術のことはどうでもよかった。所詮それは自分一人に向けられる追っ手。

 

さらに、表の九鬼、裏の梁山泊をして、魔術師の存在が確認されていない以上彼らに被害が行く可能性は極めて低い。

 

だが彼が戦場に行くのは別だ。彼が戦場に向かえば仲間想いの彼らは絶対に同じ戦場にやってくる。

 

(正義の味方が聞いて呆れる)

 

前の世界ではまだよかった。セイバーとライダーという人知を超えた二人ならばいくら有象無象がやってきたとてその隔絶した戦闘力で返り討ちにしていた。

 

だが今はどうだ?百代はともかくとしても大和やキャップ、ガクトやモロ。そして火器相手でも戦える一子などの少女たち。

 

いくら常人離れした強さを持つとはいえ彼らは普通の人間だ。一発の銃弾が即死に繋がることだってありえないことではない。

 

ここに来て彼は後悔のようなものを感じていた。もし、彼らとつながりを持たなければ、もし、彼らの誘いを断っていたなら。

 

この身は正義の味方として戦場へとなんの憂いもなく行けたというのに。

 

(いや、それは違う。何より失礼だ)

 

しかしそれを自分に芽生えた新たな感情が否定する。彼らから与えてもらったこの幸せは決して間違いなどではないと。

 

彼らに出会わなければ、ただ正義を行使するガラクタに成り下がっていたのだと教えてくれる。

 

何処まで行っても伽藍洞の心に据えられた、誰もが幸福でありますようにという願いは、そんなガラクタでは叶えることなどできないと。

 

(ではどうする)

 

この身は一つしかない。それこそ二つや三つに分けられたのなら、どれほど上手くこなせただろうか。

 

そうして思考は最初に回帰してしまう。正義の味方としての行動を取るか。あえて動かず彼らを巻き込まないよう努めるか。

 

堂々巡りする思考にいっそすべてを手放してしまいたくなる。

 

と、

 

「どうしたんですか?」

 

土手の上に、茶色のトレンチコートを着た壮年の男性がいた。

 

「どうしたもこうしたもあるかい。今にも泣きだしそうな面しやがって。人様の心配してる場合じゃねぇんだろ?今のお前さんはよ」

 

その言葉にドキリとする。どうにもこの体になってから感情を殺すのが上手くいかない。

 

「ちょっと理想と現実に悩んでいましてね。理想を取れば見知らぬ誰かを救えるかもしれない。けれど大事な人を危険に晒す。現実を取ればそれまで積み上げてきた、己に誓った理想に背を向けることになる。その代り、大事な誰かを救えるかもしれない」

 

「そいつは、難儀な話だ。いくら考えたって答えは出ねぇ。どちらを取っても、お前さんには悔いが残る。他人の俺がどうこう言えるこっちゃねぇわな」

 

「本当に難儀な話ですよ」

 

そう答えて空を見上げる。その姿を壮年の男性は見て、

 

「兄ちゃん。答えはもうでてるんじゃあねえのかい?」

 

「・・・。」

 

士郎はその問いに答えなかった。

 

「確かにどっちを取っても悔いが残る。でも人間てなぁ100%正解の答えなんざ出せねぇもんだ。間違って、泥をかぶりながらそれでも前に進む。それが俺たち人間ってもんだろう」

 

そう。確実に正解な答えなどない。この世はそんな甘いものではない。そんなものがあるとすればそれはただの巨大なエゴだろう。

 

「それによ。一つお節介を焼かせてもらうなら・・・お前さん、信じてねぇもんがあるだろう?」

 

「信じてないもの?」

 

「おうよ。お前さんの周りにいる大切な人・・・仲間ってやつをよ」

 

「!」

 

『士郎。私達はお前に守られなきゃいけない程弱くはないぞ』

 

そんな幻聴が聞こえた。

 

「確かに・・・少々臆病風に吹かれ過ぎていたようです」

 

そうだ。答えなど最初から決まっていた。後は仲間を信じて一歩を踏み出すだけ。

 

「ところで兄ちゃん。お前さんの理想ってなんだい?」

 

「それは――――」

 

誇らしげに告げた言葉に壮年の男性は大きく笑い、

 

「そりゃあ大した理想だ。所でよ。ちょいと困ってるだが・・・」

 

男の言葉を最後まで聞くことなく、

 

「ええ。お受けますよ。総理大臣様?」

 

そう言って手を差し出す。

 

「馬鹿野郎。非実在性青少年だ。今はな」

 

差し出された手をしっかりと握り返す男。

 

『戦、ですな。マスター』

 

『ああ。それも大一番だ。頼りにしてるぞ』

 

『お任せください!たとえ竜がこようと我らの盾に防げぬものはありませんッ!!』

 

――――そうして彼は戦場へと赴く。正義の味方として。衛宮士郎として。この戦いに終止符を打つために。

 

 

――――interlude――――

 

風間ファミリーは休校になった学校に集まり、話し合っていた。

 

「やっぱり行こうぜ!ここで俺たちがやらなきゃ誰がやる!」

 

「そうは言うがなキャップ。相手は自衛隊と混戦状態だ。下手に首を突っ込んだら怪我じゃすまないぞ?」

 

「それに武器の密輸のテロリストとか、正体不明のロボットとかも出てくる可能性あるしね・・・」

 

「仲間の安全を取るならだんまり。でも、それじゃあ俺様達らしくないよな!」

 

「そうよ!それにロボットが出てくるなら上等よ!港での借りを返してやるんだから!」

 

「私もだ。この私が一瞬とはいえ戦闘不能にされたなんて許せんからな!」

 

「今度は私も行こう。同じロボットとして、人を傷つける外道共を始末してくれる」

 

「俺も行ってやる。・・・勘違いすんじゃねぇぞ。お前らだけじゃ数が足りねぇからだ」

 

ブオンと怪しく目を(らしき部分)を光らせるクッキー2。そして源忠勝彼も名乗りを上げてくれた。一子と百代もやる気十分と言ったところだ。

 

そして、

 

「あ!お、おいこれみてみろ!」

 

「ん?・・・あ!!!」

 

大和の携帯端末でテレビの中継を見ていたクリスが慌てて見るように促す。

 

『ご、ご覧ください!自衛隊と争っている中、颯爽と現れた赤い青年が暴徒の集団を次々と打ち倒しています!!』

 

映し出されたのは見慣れぬ赤い装飾を身に付けた衛宮士郎だった。

 

総理官邸を前に縦横無尽に、まるで赤い閃光のように戦場を駆け抜け、暴徒を一掃している。

 

「あいつ・・・!」

 

「し、士郎先輩です!」

 

「シロ坊なんでそんな所に!?」

 

「そういえばあいつの理想って―――」

 

百代は彼が来た最初の金曜日を思い出す。

 

 

 

『・・・まるで正義の味方だな』

 

『それが夢だからな』

 

『・・・そんなの、なれっこない』

 

『そうかもな。でも、綺麗な願いだろ?』

 

『―――まだ目指すのか?』

 

『―――そりゃそれが俺だから。無くしたくない憧れだから』

 

 

 

「あいつ、今もずっと目指してるんだ」

 

あの眼は今も遠く、果てない先を見ている。ここで自分たちが足踏みしている間に彼は何歩も先にいるのだと百代は悟った。

 

「決めた!私は先に行く!!お前たちは後を追ってこい!!」

 

「あっ!お姉さま!!」

 

「私も行きます!士郎先輩を一人にはできませんっ!!」

 

「まゆっち!?」

 

飛んでいく百代とその後を追う由紀江。

 

「なんだよ!リーダーの俺を置いてなんで士郎が真っ先にいいとこにいるんだよ!!」

 

「いいとこって、一番危ない所だよ・・・」

 

ジタバタするキャップにモロがツッコミを入れるが、

 

「それに何あの赤い恰好!超かっけぇじゃん!!こうしちゃいられねぇ!俺たちもいくぞー!!!」

 

応!と頷いて彼らも戦場へと走る。向かうは総理官邸前。彼らの新しい仲間が孤軍奮闘する戦場に、彼らは走るのだった。

 

――――interlude out――――

 

「てんめなにしやぐはっ!」

 

「なめんぐげっ!」

 

殴りかかってくるチンピラを纏めて蹴り飛ばす。さらに、

 

「――――投影、開始(トレース・オン)

 

両手に干将と莫耶を投影、振りかざされた鉄パイプを弾き返し、

 

「おがッ!?」

 

延髄に干将の柄を落として気絶させる。戦場である総理官邸前には自衛隊が展開しているが、一応民間人である彼らに実弾を撃つことが出来ないのか、押し合いへし合いの大乱戦となっている。

 

その戦場を、彼はもはや目にも映らぬ速度で駆け抜け、迫りくる暴徒たちを狩り続けている。

 

かれこれ一時間。彼は戦場をかける赤き閃光となって暴徒から門を守っていた。

 

「たすか「たわけ!礼を言う暇があったら一人でも多く鎮圧しろ!!!」い、イエッサー!!」

 

自衛隊員も、突如現れたこの青年に喝を入れられ、少しずつ暴徒を押し返し始めた。

 

幸いなことに相手は素人。しかもいつぞやの板垣とかいう兄妹の長男、竜兵に銃を拾うなと命じられているので隊員が落とした銃で銃撃戦、なんてことにはならずにいる。

 

そんな中途半端な雑魚など、彼からすれば物の数ではない。ただ一つ文句があるとすれば、剣弾で一掃出来ないので一人ずつ、もしくは数人ずつ仕留めていくしかない所か。

 

「ぐはっ!」

 

「ぎっ!」

 

「ごっは!」

 

武骨な舞を舞うように夫婦剣を振りかざし、剣だけでなく、上半身の当身や鋭い蹴りなど、体を総動員して迎撃する士郎。

 

「すまない!ここは大丈夫だ!あちらを頼む!!」

 

「――――」

 

その声に返答はなく、彼はすぐさま踵を返し、押されている場所へと駆け付ける。

 

「こん「どけッ!!」ぎゃあ!」

 

鉄パイプで殴りつけようとしていたチンピラがまるで軽自動車にはねられたように吹き飛び、周りを巻き込んですっ飛んでいく。

 

まさに獅子奮迅。たった一人で多数の暴徒を相手にしながら彼は一歩も引かない。その鷹の目は最短、最適効率を見抜き、暴徒を黙らせていく。

 

しかし彼は一人。圧倒的数の暴力の前にはどうしても穴ができる。

 

「助けてくれ!」

 

「――――ッ!」

 

助けを呼ぶ声に彼は即座に反応し、対応する。だが相手は複数。それ故に彼も一定間隔の空白()を作らざるを得ない。

 

その隙を上手く自衛隊がカバーできればいいのだが、訓練でしか人を傷つけたことのない彼らには無理な話である。

 

実戦と仮想戦は違う。如何に相手を素早く仕留めるか、如何に相手に隙を与えないかで勝敗は大きく変わる。

 

その点今回展開された自衛隊員はずぶの素人だといえた。平和を謳歌するのは幸せなことだが、その平和を守る隊員達がこれでは何の役にも立たない。

 

彼が戦闘に参加していなかったら、鎮圧するはずの自衛隊員に被害が出ていたことだろう。

 

「足元をよく見ろッ!!」

 

「!?」

 

わざわざ足元に目を向かせ、そこに白剣が突き立っていることを教えてやる。

 

「な、なんだただの「おい避けろ!」!?」

 

 

――――壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

 

あらかじめ餌食になっていた暴徒の一人が警告する。それと同時に白剣・莫耶が三秒ほど遅れて爆発する。

 

「「「うああああ!!!」」」

 

警告に反応出来なかった馬鹿どもが爆発に巻き込まれ吹っ飛ばされる。

 

幸か不幸か、川神の住人は一般市民も意外と頑丈なので爆発の威力を抑えて、剣が爆発することを教えてやれば勝手に吹き飛んで気絶してくれる。

 

そもそも干将・莫耶はCランクとはいえ宝具なので、手を抜いた投影品でなければ跡形もなく吹き飛んでいることだろう。

 

「すまない!援護を!!」

 

「――――ッ!!!」

 

その声にいち早く反応、宙高く飛び上がり、空中で体を捻って反転。いつの間にか握られていた黒弓で瞬く間に三連射。

 

自衛隊員に襲い掛かろうとしていた暴徒三人の頭部に寸分たがわず投影された学園レプリカの矢が衝突する。

 

随分と高く跳躍してしまったので空から地上の様子がよく見える。

 

 

――――投影、開始(トレース・オン)

 

 

「そら爆発するぞ!!!」

 

ガワだけの干将と莫耶を地上の暴徒の厚い部分にそれぞれ投げつける。

 

――――壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

「「「ぎゃあああ!?」」」

 

相当に手を抜いた投影品(実際体に当たっても剣の方が砕けるほど)で暴徒が映画のワンシーンのように吹き飛ぶ。

 

「なんなんだよあいつ!」

 

「どっから剣出してんだよ!?」

 

「つーか爆発・・・ぎゃあー!!?」

 

いい加減雑魚の相手にも飽きてきたのだが、数が多いことが彼らの武器であるのでしょうがなく相手をしてやる。

 

(手抜きとはいえ、こうも投影ばかりしていては魔力が尽きるな)

 

いくら手抜き品とはいえ一応魔術行使なのでこうもバカスカと爆発させていては魔力が尽きる。

 

魔力が尽きてもこの程度ならば戦い続けられるが、流石に助けや援護を求める声に反応するのが遅くなってしまう。

 

(早めにお願いしますよ。総理大臣殿・・・!)

 

先に官邸内部へと潜入した総理大臣(元)にそう願いながら彼は戦闘に戻る。まだまだ鎮圧せねばならない馬鹿どもはいるのだから。

 

――――interlude――――

 

「久しぶりだなぁ総理大臣さんよぅ・・・!」

 

「なってめぇは!・・・ここは国の舵を取る所だ。引退したロートルがのこのこ来るところじゃねぇ」

 

男の言葉に総理大臣だった男は鼻で笑って、

 

「そういうのは立派に舵取ってから言いな。埋蔵金掘りで船底に穴開けてちゃ舵どころじゃねぇだろう?」

 

「ふん。埋蔵金ならあったさ」

 

「なに・・・?」

 

男の言葉に訝し気に目を細める総理。

 

「この国にはこの国が嫌いな奴らがわんさかいる。そいつらに飴をちらつかせて一緒に天辺を叩けば浮動票はこっちに一気に流れ込む。そいつが本当の埋蔵金さ」

 

そう言って余裕そうに元総理を見下す男。

 

「天辺手に入れた礼に密入国の手引きをしたってわけか」

 

「人聞きの悪いこというんじゃねぇよ。偶々警備の緩い場所と時間があっただけよ。ま、俺が少々悪さした所でこの国には極めて微量。所詮、国ってのは勝利者に回ってくる優勝カップみてぇなもんだ」

 

その言葉に激しく気分を害したらしく、元総理は、

 

「ああ同じ考えの奴をよーく知ってるぜ!アドルフ・ヒトラーてんだ!!」

 

そう吐き捨てるように言った。

 

『アドルフ・ヒトラー』。学校で世界史を学べば一度は出てくるナチス・ドイツの支配者である。彼は大統領になると大統領令と全権委任法によって憲法を事実上停止。

 

そして対立政党の禁止や、政治的敵対勢力を物理的に抹殺し、独裁者として君臨した。彼が行った所業は数々あるが、よく目にするのはユダヤ人差別と人体実験だろうか。

 

そんな男と同じ考えの男が現総理大臣とは、日本最大の汚点だなと総理は思った。

 

「国に傷を負わせて国の天辺に立つたぁおめぇも相当の悪だが・・・」

 

「おしゃべりはそこまでだ!」

 

そう言って男は拳銃を構える。しかし総理はそれに恐れることなく、

 

「口を封じるつもりならもう遅いぜ」

 

「なに?なんだこれは!?」

 

ピ、と映されたテレビに自分の姿が映っていることに驚く男。映されたニュースのタイトルは『総理大臣、武器密輸に関与か』

 

「あんたが密入国を指示する会話を盗聴してネットに流した奴がいてな。この騒動の発端じゃねぇかと世間は大騒ぎよ・・・それに」

 

そしてわざと見せつけるように総理は腕時計を見せつける。そこにあったのは仕込み式の隠しカメラ。

 

「今の会話は絶賛生放送中だぜ?」

 

「この!!」

 

パン!パン!

 

拳銃を発砲するが総理はこれを回避。男の鳩尾に蹴りを叩きこむ。実はこの総理、昔川神院に通っていたことがあり、武道の心得がある。

 

「素人がッ!引き金は霜が降りるように引きな」

 

そう言って彼は官邸室の窓を見る。そこには未だ暴徒がいるが、赤い閃光がその波を断ち切るように駆け巡っているのをみた。

 

(兄ちゃん。おめえさんこそ真の正義の味方だぜ――――)

 

自分は所詮自分たち政治家が犯した罪の尻ぬぐいをしただけ。

 

あそこで、あの最前線でたった一人、体を張って暴徒も自衛隊員も守るその姿が、長らく暗くドロドロとした政治界にいた総理には眩しくみえた。

 

「くそが・・・これは押したくなかったんだけどよッ!!」

 

カチ、と何かのボタンが押された音がした。

 

「てめぇ!何をしやがった!」

 

それに気づいた総理が男を締め上げる。

 

「ぐっ・・・へへ、これでお前らも道連れだぜ」

 

そう言って男は気絶してしまった。

 

「すまねぇ兄ちゃん・・・!気を付けろ!!!」

 

ここからでは到底届かないことは分かっていても自分たちのために必死に抗う赤い青年に届けと彼は叫んだ。

 

――――interlude out――――

 

「それ!」

 

「そりゃあ!」

 

迫り来る棒とゴルフクラブを同時に受け流す。

 

「辰子!」

 

「はいはーい」

 

背後から一閃された道路標識をしゃがむことで避け、

 

「ふッ!」

 

スパン!と二人の脚を払う。

 

「うあ!?」

 

「いて!?」

 

尻もちを付く二人に構わず拳を振り上げていた男に当身を食らわせ蹴り飛ばす。

 

「ぐっは・・・!」

 

「それー!」

 

ガン!

 

振り下ろされた道路標識を双剣を交差することで受け止める。一瞬の拮抗。すぐにそれを蹴り上げ、後退するように跳躍。空中で体を捻って逆さまの状態で黒弓を構え、即座に五連射。

 

「どいてな!」

 

それを無精ひげを生やした中年、釈迦堂が全て弾く。

 

「ふぅー・・・」

 

乱戦から一転。突然現れた釈迦堂刑部と板垣兄妹に士郎は手を取られていた。

 

「――――」

 

視線は彼らから外さない。だが、背後で奮戦する自衛隊員にも気を向ける。ある程度散らしたとはいえまだ暴徒はやってくる。

 

このままでは瓦解する。しかしこの男と兄妹、自衛隊員では荷が重い。

 

『マスター!お下がりください、私が出ます!!』

 

『まだだランサー。確実にテロリスト共、ないしロボット共が出てくる。君はその時の為のカウンター。逆転の一手だ。ここで晒すわけにはいかない』

 

『しかし・・・』

 

『冷静になれランサー。戦うなと言ってるんじゃない。霊体化(・・・)という誰も勘づくことの出来ない君だからこそ逆転の一手になりえるんだ。そのチャンスは棒に振れない。分かるだろう?』

 

『くっ・・・わかっております・・・!』

 

『すまないな・・・苦労をかける。不甲斐ないマスターで申し訳ない』

 

『なにをおっしゃいます!あなたこそ本物の戦士!勇敢なマスターに仕えさせていただき、感謝しておりますッ!!』

 

『ありがとう。貴方にそう言ってもらえて光栄だ。では、期待に応えるとしよう』

 

ギリっと双剣を握る手に力が籠る。大丈夫だ。先ほど街頭のテレビに総理が武器密輸を暴く放送がされているのを見た。間もなくこの戦闘は終局を迎える。

 

狙ってくるならばそのタイミングだ。力を出し切ったその瞬間にこそ、相手の切り札が投入される。

 

これまでのМのやり方を考えるならば間違いない。その時こそ、この英霊の真価が発揮される。

 

「ちっ!なんだよ・・・楽させてもらおうと思ったのによッ!」

 

ガン!

 

拳と双剣が交差する。しかしやはり拮抗は一瞬。この男、元川神院師範代というが、恐らく破門になってから鍛錬をほとんどしていない。

 

今も成長を続ける百代に比べればどうということはない。

 

「少しは真面目に体を鍛えてはどうかね!」

 

「暑苦しく鍛えるのなんざごめんだね!」

 

ガン!キン!ギィン!

 

拳の連打を双剣でいなす、弾く、叩き落す。確かに元師範代だけあるが所詮は途中で投げ出した拳。現役の人たちに比べればなんと軽いことか。

 

「そら頭上注意ってな!」

 

バッ!

 

「はああ!!」

 

「でやああ!!」

 

「それー!!」

 

三方向からの同時攻撃。対して自分は釈迦堂に手を取られている。間違いなく攻撃をもらう。

 

だが、

 

「頭上には注意した方がいいぞ?なにせ――――」

 

「はあああああ!!!」

 

さらに上空から、黒髪の女性が急転直下に落下してくるのが見えた。

 

ドゴン!!!

 

「「「うわああ!!?」」」

 

「この世界では空から美少女が降ってくることがあるのでね」

 

「川神百代!見・参!!!」

 

それは学園をいち早く飛び出した百代であった。

 

「士郎!無事か!?」

 

「君のおかげでね。こうしてどうにかやっている」

 

何でもないように言う彼だが合わせた背中から伝わってくる熱と鼓動は相当なものだった。

 

ただ一人、雑魚とは言え圧倒的数の暴力に抗い続けたその体は酷く酷使されていた。

 

「この状況でそんな口を叩けるなんて流石私の男だ!」

 

「どういう意味かねそれは!」

 

まるでピクニックにでも行くような気軽さで会話しながら二人は同時に走り出す。

 

さらに、

 

「肉弾戦なら俺様の出番だぜ!!!」

 

ドゴーン!

 

「「「うおわああ!!!」」」

 

チンピラの集団が派手に吹き飛んだ。

 

「風間ファミリー、出陣だぜ!」

 

「キャップにガクト!大和もか!」

 

「アタシ達もいるわよー!」

 

「黛由紀江、参ります」

 

「クリスティアーネ・フリードリヒ、推参!」

 

武士娘達も勢ぞろい。

 

「けっ。みっともねぇ。とっとと片付けて帰るぜ」

 

「源!?お前まで来てくれたのか」

 

「勘違いするんじゃねぇ。おめぇがあんまりにも苦戦してやがるから仕方なく来てやっただけだ」

 

「いくぜ野郎どもー!!」

 

応!!と皆が散開する。

 

 

『お前さん、信じてねぇもんがあるだろう?』

 

『信じてないもの?』

 

『おうよ。お前さんの周りにいる大切な人・・・仲間ってやつをよ』

 

 

土手での会話を思い出す。確かに、自分は彼らを信じ切れていなかった。こうして駆け付けてくれるのがこんなにも胸を満たすとは。

 

「いくぞオラァ!」

 

ガクトを筆頭にキャップや忠勝が拳を繰り出し蹴散らす。

 

「そら!足元注意!」

 

ジャラッ!

 

「いってぇ!」

 

大和が巻いた撒菱を踏んづけて足が止まった所を、

 

「クッキー!ダイナミック!!!」

 

戦闘形態のクッキーがなます切りにする。(スタンガンなので感電するだけ)

 

ここまで戦力差が埋まればもう戦いは決した。だというのに、

 

「九鬼英雄、出陣である!」

 

「九鬼!?」

 

どこぞの黄金の王を彷彿とさせるこの男までやってきた。

 

「なんで君まで・・・」

 

「まっこと不愉快極まりない!お前たち風間ファミリーはいつも王たるこの我をさしおいて活躍しようとする!」

 

「そこかよ・・・」

 

思わず干将を握ったまま頭を抱える士郎。

 

「そうです英雄様!締めちゃいますか?」

 

「いや締めんなよ」

 

ズビシとツッコミを入れるが今のあずみは英雄の側近モードなので無視である。

 

「たわけ!より良き世を作る上で大切なのは誰がやるか(・・・・・)ではない!何をやるか(・・・・・)だ!衛宮士郎!この九鬼英雄、全力をもって支援しよう!」

 

「流石英雄様!名誉を捨てて民に尽くすとは王の中の王!このあずみ感服いたしました!!!」

 

「・・・。」

 

もはやどこからツッコミを入れたものか。このへんてこギャルメイドについてだろうか?それともやたらカッコいいセリフを放つ黄色一色の服装の男か?

 

とにかく彼が来たということは、

 

「あずみ!従者部隊展開せよ!」

 

「お任せください英雄様!」

 

「「「やああああああ!!!」」」

 

気勢を上げて大量の従者部隊が突入してくる。

 

「はあ!」

 

突っ立っていた士郎に殴りかかろうとしていたチンピラが赤髪の女性に殴り飛ばされた。

 

「何をぼーっとしているのですか衛宮士郎!ここは戦場です!それとも、もう戦えなくなったのですか?」

 

「マルギッテ!」

 

「このやぐわあ!?」

 

「まったく、下賤の衆はすぐ図に乗るのでたちが悪いの」

 

と着物をきたお団子ヘアーの・・・

 

「えっと・・・どちら様?」

 

「不・死・川・!不死川心じゃ!折角加勢に来てやったのになんじゃその言いぐさは!」

 

「いや、俺君と話したことないし・・・」

 

事実、彼女とまともに話したのはこれが初めてだったりする。

 

「てい!全く、若まで来なくたっていいのに護衛するだけ手間がかかるぜ!」

 

「いいじゃありませんか。やっつけるのは同じなんですから」

 

「そうだよーがんばれー」

 

そう言って何事もないように立っているのは葵冬馬。そしてこの状況下でのんびりと飴を舐めているのは榊原小雪。

 

シュン!ゲシ!

 

「僕も冬馬の護衛手伝うー!」

 

華麗な足技で素早く暴徒を蹴り飛ばす小雪。

 

「なんでぇここからがいい所だったのによ・・・」

 

そう言いながらも歩み出てくる釈迦堂と板垣兄妹。

 

「そういうのは勝ちを確信してから言うんだな。私は、いや、私達はちょっとやそっとじゃ倒れんよ」

 

体は自然体に。両腕はだらりと下げたまま。いつでもかかってこいと挑発する。さらに

 

ドゴン!

 

「我も助っ人しよう!」

 

「揚羽さん!?」

 

「姉上!」

 

またもや空から降ってくる女性に士郎は、

 

(この世界の女性は空から降ってくる法則でもあるのか?)

 

と、表情には出さないが至極どうでもいいことを考えていたりする。

 

「さて、形勢は逆転したが、どうするかね?」

 

「けっ!引き上げだ!」

 

彼の言葉に板垣兄妹は逃走を始めた。

 

「今日は楽しかったぜ、正義の味方さんよ!」

 

後退と共に繰り出された気弾を干将の一振りで打消し、逃げていく彼らを追撃することなく眺める。

 

深追いは禁物。まだ暴徒は多少なりとも残っている。しかしそれも時間の問題だろう。彼の奮闘は十二分に成果を出した。

 

ところが、

 

『まだだ兄ちゃん!!!デケェのが来るぞ!!!』

 

総理官邸に設置されたスピーカーから総理の警告が響く。

 

ガシャガシャ!ボゴン!!

 

現れたのは正体不明のロボット群と40メートル級の巨大な何か。

 

「あれは盗まれたクッキーシリーズ!!?」

 

「馬鹿な!あんな巨大なものが海からここまで這い上がってきたというのか!」

 

奴が通ってきた道のりは上陸したであろう海からここまで全てをなぎ倒したようになってしまっている。

 

ジジ・・・

 

そしてロボット達が何事かをしゃべる

 

――――ア・キ・ラ・メ・ロ

 

諦めろ。と一斉に壊れたスピーカーのように音声を発するロボット達。それは無感動に垂れ流されるが故にまるで怨嗟の声のように聞こえてしまう。

 

「誰がここまできて諦める、かッ!」

 

百代がドン!と地を割り突撃する。が、

 

ブオン!!

 

「!?」

 

想像以上に速い反撃に彼女は攻撃を中断、防御して弾き飛ばされ士郎の元まで飛んでくる。

 

「大丈夫か?百代」

 

「川神流・瞬間回復!」

 

奥義によって焼けた腕を再生する。

 

「揚羽さん。あいつはただの盗まれた新型ではないのですか?」

 

油断なく目の前の巨体を見る士郎が彼女に問う。

 

「盗まれたクッキーシリーズの中に行動不能になった他の機体を取り込む機体が存在する。アレは盗まれた他の機体を吸収したのだろう。各分野に特化した装備や武器を使ってくるぞ!気を付けろ!」

 

ビィイン!!

 

「「!!!」」

 

レーザーが放たれる。かろうじて回避したが総理官邸の一部が削り取られた。

 

「総理!」

 

『大丈夫だ兄ちゃん!それよりそいつを何とかしてくれ!!このままじゃぁ町が滅茶苦茶にされちまう!』

 

スピーカーから響く声にとりあえず安堵し、士郎は切り札を切る。

 

「九鬼!従者部隊及び行動不能の輩を門の後ろに下げろ!」

 

「なに!?それではどうやってあれらを叩くのだ!」

 

目の前には巨大なロボットと人型のロボット群。倒せるか否かはともかくとして、誰かが戦わねばあれらは進行を開始するだろう。

 

「おい士郎!俺らにも下がれってのか!」

 

あれらを前にして未だ戦意を失わないキャップ達に士郎はクッと笑う。

 

「そうだ!これよりは我ら神秘の軍勢(・・・・・)が相手になろう!ランサー!!!」

 

誰を指すのか分からないその言葉にたった一人の従者が応答する。

 

「この時を待っておりました・・・ッ!!!後は我らに!お任せをッ!!!」

 

金の肩鎧に赤いマント。黄金の兜。黄金の槍と円盾をもつ偉丈夫が現れ、そして門を守るように青い透明な人が次々と現れた。

 

「な、なんだぁ!?」

 

「ゆ、幽霊!?」

 

ずらりと隊列を組む人数は総勢300人。それはたった300人で20万もの軍勢を粉砕した伝説の勇者達。

 

 

――――アキラメロ

 

諦めろと、まるで投降を促す言葉に彼は高々に宣言する。

 

ガンッ!!!

 

モーロン・ラベ(来たりて取れ)ッ!!!」

 

『『『モーロン・ラベ(来たりて取れ)ッ!!!』』』

 

ガンガンッ!!!

 

彼が咆哮を上げるとそれに応えるように後ろに控える半透明の兵士達も槍を打ち鳴らし、咆哮する。

 

ガンッ!!!

 

モーロン・ラベ(来たりて取れ)ッ!!!」

 

『『『モーロン・ラベ(来たりて取れ)ッ!!!』』』

 

ガンガンッ!!!

 

再度の咆哮と共に彼らは一斉に駆け出し、彼らの王、レオニダスの元へと駆け寄り、盾を構える。

 

「なんだ!一体なにが起きている!?」

 

「モーロン・ラベってなに!?」

 

一子の声に大和が答える。

 

 

「ギリシャのスパルタ兵が、敵に投降しろと言われた時に返した言葉だ!意味は――――」

 

 

――――来たりて取れ

 

 

それは諦めることなどしないと。例え全滅しようとも最後まで食らいつくという不退転の宣言。彼らは最後の一人になろうとも決して引かずに戦う。

 

「ゆくぞ友よ!命をここにッ!!!炎門の守護者(テルモピュライ・エノモタイア)ァアアアッ!!!」

 

左手に持つ盾を槍で打ち鳴らし、発生した炎が彼らを包み、300の兵は300の盾となり展開された。

 

「す、すっげぇ・・・」

 

「まさに絢爛!なんという光景!」

 

 

「アキラメロ!!!」

 

ガシャン!

 

人型ロボットから多数の重火器が発射され、40メートルの巨体が押しつぶそうと手を振り上げる。

 

瞬間、

 

 

ガコオオオンッ!!!

 

 

300の盾と火器と巨大な腕が衝突した。しかし、盾は一枚たりとも欠けることなく門の後ろを守る。

 

「うっそだろおい!」

 

「幻でも見てんのか!?」

 

あの巨体からすれば小さな、本当に小さな盾。しかしそれを突破することは彼らでは敵わない。

 

「ふっはっはっは!!!そのように子犬がじゃれついた程度で、我らスパルタの守りが破れるものかッ!!!」

 

そう言って彼は今一度槍を打ち鳴らす。

 

ガンッ!!!

 

「ヘェアッ!!!」

 

裂帛の声に40メートルの巨体が傾いた。

 

「跳ね返したわ!」

 

「レオさんすげぇ!」

 

「ていうかあんたなにもんだ!?」

 

最前線で攻撃を受け止めながら彼は答える。

 

「わが父祖は大英雄ヘラクレス!大神ゼウスが一子!!!」

 

「ぜ、ゼウスの末裔!?」

 

「しかり!!そして我こそは戦神アレス(よみ)したもう国。スパルタ国王、レオニダスッ!!!」

 

さらに巨体が押しつぶそうとパンチを繰り出す。その速度は巨体とは思えぬほどに速く、鋭い。しかしそれもまた彼らスパルタを破ることは叶わない。

 

「れ、レオニダス王!?」

 

「本物かよ!?」

 

「しかしこの光景・・・!否定するには現実離れしすぎている!!」

 

「さあ反撃と参りますぞッ!!!ここまで我慢に我慢を重ねた、我らスパルタの怒りをとくと思い知れッ!!!」

 

盾の隙間に槍が顔を覗かせる。さらに、

 

――――I am the bone of my sword.(我が骨子は捻じれ狂う。)

 

「し、士郎!?お前一体何を――――」

 

手に握るは黒い洋弓。番えるは捻じれた一角剣。それは、一振りで山の頂を三つ切り落としたとされる魔剣の改造品。

 

剣の柄が弓に番えられる。魔力を込められ紫電を発生させながら獲物を食い破る時を待つ。

 

「やべぇ!なんだかよくわかんねぇけどそいつはやべぇ!!!」

 

人一倍勘の鋭いキャップがその様子をみて大きく後ずさりする。他の皆も、弓で鉄の塊である剣が飛ぶはずもないというのに、本能が最大限の警鐘を鳴らしてじりじりと彼から離れていく。

 

「九鬼。悪いがアレは跡形もなく消し炭にするぞ。避難は終わっているか?」

 

士郎はその矢を番えたまま英雄に問う。

 

「あ、あずみ!避難はどうなっている!!!」

 

「既に完了しております英雄様!!!」

 

「揚羽さん。レオニダスの宝具と私の宝具で一帯を破壊する。悪いが責任を取ってもらうぞ」

 

「ここまできたのだ、いっそのこと新しく再建しようではないか!!!派手にぶちかませ!!!ただし、その『宝具』とやらの説明はしてもらうからな!!!」

 

その言葉に士郎はクッと笑う。

 

「全員耳を塞げ!!!レオニダス!行くぞ!!!」

 

「承知!!!」

 

盾の間から覗いた槍が、待っていたといわんばかりに一斉に掃射される。

 

「ぬうううりゃああああああッ!!!」

 

「――――偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)ッ!!!」

 

レオニダスの渾身の一投が全ての槍と一緒になり、ロボット群を粉砕し尽くす。

 

さらに弓から放たれた螺旋剣は、ズドンッ!!!という音を立てて一瞬にして音を置き去りにし、大気ごと巨体を抉り突き進む。

 

そして、

 

 

――――壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

 

まるで雷鳴の如き轟音を立てて中核まで抉り進んでいた螺旋剣が大爆発を起こす。その爆発は凄まじく、耳を塞いでいるというのに聴覚が麻痺し音が消える。

 

40メートルあった巨体はその姿を消し、残っているのは巨大な円形のクレーターだけ。

 

士郎の言葉通り、跡形もなく消し飛んでしまった。

 

「――――ふぅー・・・」

 

構えていた弓をゆっくりと下す。皆が口々にあれはなんだ!どうなったと叫んでいるが聞き取れるのは士郎とレオニダスだけ。百代や揚羽でさえあの一撃で耳が麻痺してしまった様子だ。

 

「やりましたな。マスター」

 

「ああ。感謝するレオニダス」

 

ガシッ!と互いに腕を組み合う。そして総理官邸室からこちらを見ているだろう総理に腕を上げることで勝利を宣言した。




やっとここまでたどり着いた!やっとエノモタイアァアア!できた!流れは基本アニメの最終話をモデルに士郎視点で色々書いてみました。

紛争地帯でエミヤ方式(弓で効率よく殺す)をしないのなら士郎はきっとこうするんだろうなぁと思いながら書きました。爆発に巻き込まれたりしてるけど大丈夫!川神人頑丈だからちょっと空舞うだけ!(投げやり)

レオニダスの宝具ですが、FGOでは・自身の防御力をアップ・ターゲット集中を付与・スターを獲得ですが、実際は伝説の300人を召喚し、攻撃に耐え抜く。そして残った人数分だけ強力な反撃をするカウンター宝具らしいですね。

アニメ・バビロニアではレオニダス一人になってしまいましたが、今回は以前にもお話した通り概念攻撃のないマジ恋世界ではスパルタ魂を突破することは出来ません。300人のフル・カウンター。みなさんはどんなものを想像しますか?

長々と書きましたがここで一区切り!でもまだまだ続きますのでよろしくお願いします!(義経とかまだだもんね!)それでは次回お会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。