いやーもうね。書きたい場面があるんですよ…そこを書くにはちゃんと過程も書かなきゃいけないわけで。
今回は源氏一行の話となります。義経ちゃんが暴走しそうですはい。
あと与一…中二病のセリフよくわかんないんだよ…お前何語喋ってるんだよ…私、時代的に、興味ないね、の世代なので与一の長い文章わかりません…
今日は金曜日と言うことで金曜集会だ。色々あった士郎だが、無事ギプスを外してもらえたので今は普通に歩いている。
「にしても今日も暑いなー・・・由紀江、大丈夫か?」
「はい。私の故郷にはフェーンさんが来ますから。この程度なら平気です」
「だから汗で下着が透けたりしないんだぜ・・・男性諸君?」
「「「!!!」」」
少し離れて後ろを歩いていた大和、ガクト、モロが固まった。
「は、ハレンチだぞお前たち!!」
「エッチなのはNO!」
「・・・しょーもない・・・」
女性陣はドン引きである。
「つーか大和、お前は俺様とモロにくっつかんでもいいだろうが!」
「な、なんでだよ?」
「そうだよね・・・京にクリス、それに弁慶も――――」
「や、やめろ!狙ってやってるわけじゃない!なんかこう、雰囲気と言うかなんというか・・・」
「見苦しいわ!」
「ホントだよー」
「いい加減私とくっつけばいいのに・・・」
「京!それは自分が許さないぞ!」
何だかんだギャーギャー言いながら彼らは秘密基地を目指す。
「そういえばキャップは?」
また姿を消したリーダーに士郎は首を傾げる。
「なんかまた旅に出たらしいよ」
「・・・。」
士郎は思った。今度は何を持ってくるんだ貴様と。
「今回は大丈夫じゃねー?確か・・・どこぞの名産品食べに行ったんじゃなかったか?」
「らしいわねー。お土産に超期待よ!」
「マスターはいつも唐突だよねぇ・・・」
と、こちらも久しぶりのクッキーである。
「百代は?」
「お姉さまは今日が借りたお金の期日だから・・・」
「近場でとび職やってるのはいっつも笑っちまうよな」
「モモ先輩には悪いけど、とび職姿が異様に似合ってるんだよね」
「うーん・・・」
白いツナギにダボダボのボンタン。意外と見てみたいかもと思う士郎であった。
「そういえば葉桜先輩は大丈夫なのか?最近はなんか落ち着いたみたいだけど・・・」
「それ私も気になってた。なんでかな、いつも士郎と林冲さんと一緒に登校してるよね」
鋭い京の指摘に思わずたらりと汗が流れる士郎。
「あ、ああよく一緒になるんだ!ほら、俺朝早いだろ?先輩も朝早く登校して勉強してるみたいだぞ!」
「確かに・・・不死川もここの所早く登校してなにやら勉強しているようだった。みんな必死なんだな!」
「それでいいのか、クリス・・・?」
いくらあの親バカ軍人でも、いつまでも成績底辺のF組にいることを許すのだろうか?
「それはそうと、土日どうするよ」
「ここの所特に暑いからなぁ・・・あんまり暑くない所がいい・・・」
「右に同じ・・・椎名菌は涼しくてジメジメしてないと繁殖できない・・・」
「俺様、これずっと言われ続けるんだろうなぁ・・・」
「いくら過去とはいえ、越えちゃいけない一線ってのがあるからだろ?というかガクトは毎回京に宿題写させてもらってるからだろう」
士郎の言葉に涙を流して撃沈するガクト。
「一子は大丈夫なのか?」
ガクトの様子を見てそう言えば、と一子に話を振る士郎。
「え、えええ!大丈夫よー!あたしは「「ワン子」」はいごめんなさい・・・」
彼女もまた大和と京によって撃沈した。
「流石F組って感じだな・・・」
「俺様たちF組は武闘派揃いなの!見ろこの筋肉!先生の特訓でまた進化したぜ!」
得意げにムンっとマッスルポーズするガクトだが、
「・・・。」
それもまた士郎にとっては複雑な気持ちである。
あのスパルタ王は本当にスパルタの再建でもしたいんだろうか・・・本人は否定していたがなんとも怪しいところである。
「武闘派揃いなのはいいけどそれだと社会に出てから大変だぞ。知らない、分からないって言っても誰も教えてくれないんだからな」
少し厳し目に言う士郎。これでも人生の先輩なのだ。伝えられることは伝えておかないとダメだろう。
「う、でも勉強は難しいのよぅ・・・」
「そこはほら、大和と京が居るだろう?」
「まぁあなた!今大和夫妻って「「言ってない」」ダブルパンチにノックアウト・・・」
隙あらばアタックをしかける京に苦笑し、
「テストはまだ先だからな。ただ言えることは、今頑張っておかないと後から酷い目に遭うぞ、ってことだな」
そう言って士郎は持ってきた保冷バックを開ける。
「説教はこのくらいにして、今日も軽いおかずを作ってきたぞ。試作品もあるから意見を聞かせてくれ」
その言葉にわあっとテーブルに出されたタッパーに手を出す一同。
「相変わらずうんめぇなぁ・・・」
「肉!お肉!」
「こっちのサラダもすごく美味しいぞ!瑞々しくて、このボトルに入ってるのオリジナルドレッシングか?」
「僕はこのお菓子が美味しいなぁ・・・これ、トウモロコシでしょ?意外な使い方だなぁ」
「どれも美味しいね(バッサバッサ)
絶賛してくれるのは良いのだが、京のあの真っ赤なナニカは何とかならないのだろうかと士郎は思う。
ちなみに、辛さにはきちんと単位が存在し、『スコヴィル値』なるものが存在する。
過去に京がカラミゲンAという明らかに薬剤瓶に入ったものを持参していたが、あれは5万スコヴィル(タバスコの25倍)だったらしい。
(京はあのクソ神父を越える存在だな・・・)
いくらあの激辛麻婆が大好きなエセ神父でも
と言うかあの薬剤瓶に入ったものはどうやって手に入るんだろうか。
「ようお前らー!たっだいまー!」
「おかえり」
「おかえりキャップ」
「おかえりなさい」
「おかえり。・・・妙なもん拾ってこなかっただろうな?」
士郎はキャップが留守にすると戦々恐々である。なにせ聖杯を持ってきた剛運の持ち主である。
「いや?今日は普通に京都に行ってきた。ほら、修学旅行の候補に上がってたろ?」
「まさかそれで現地確認したかったと?」
呆れた話である。だがキャップは過去に名古屋までは自転車で行っているので行けないことも、
(あるか!!!)
流石に今回は新幹線で行ったんだろうと思ったのだが。
「いやー今回は流石に俺の疾風号(原付)で行って来たぜー途中何回も給油した」
「馬鹿なのかお前は!!?」
確かに人力ではない。人力ではないが、原付は一度にそんな長距離を走るものではない。
それはもう普通のバイクレベルである。
「大人しく新幹線使えよ!」
「いやそれじゃあ景色とか楽しめないじゃん?」
「士郎、キャップに自重というか、常識は通じないからやめた方が良いよ・・・」
「そうそう。前名古屋で足止め食らった時を考えればキャップは自力で行くって」
「・・・。」
本当にやるから手に負えない速度馬鹿である。
「それよりほら!土産の八つ橋だぜ!美味かったぞ」
「本当に行ってきたんだな・・・」
現物を見て士郎は頭痛がした。そんな彼をよそに、
「おいこらなんで私が来る前にキャップのお土産食べようとしてるんだ!」
「お姉さま!」
「モモ先輩お疲れ様!」
「姉さんお疲れ様!」
アルバイトが終わったのだろう。シャワーを浴びてきたのか、フローラルな香りがする。
「どうだ士郎?いい匂いだろう?」
ふぁさりと自慢げに長い黒髪をなぜる百代。
「ああ。いいと思うぞ」
なんで自分に聞く?と首を傾げる士郎。だがいい匂いなのは間違いないので褒めておく。
「さあ皆の者!今日が返済日だ!もってけ泥棒!」
百代はそう言って割と分厚気な封筒をテーブルに出した。
「おーやっとかー」
「毎度長いけどちゃんと返してくれるからねぇ」
「姉さん丁度もらったよ」
「あたしもー!なんだかお小遣いみたいね!」
「・・・。」
分厚い封筒がどんどん平べったくなり、最後には――――
チャリン、と悲しい音だけが残った。
「おかしいな?私の見間違いかな?小銭が少ししか残ってないぞ」
必死に封筒を振るがお札は出てこず。出てきたのは500円程度。
「し~ろう~お金貸してほしいにゃんっ!」
「真面目に働け!」
しな垂れかかる百代にきっぱり言ってやる。
「いいじゃないか!士郎は大金持ちじゃないか!」
「だからって貸すか!そうポンポン――――売れてるけど」
無限ブランドというブランド名まで出来てしまった彼の一品はとても重宝されている。
「士郎、金持ちなのか?」
「金持ちだぞ~。なにせ色んな所に剣売ってるからな」
「いや剣だけじゃなくて包丁とかも作ってるんだが・・・」
実際収入源として大きいのは包丁とかだったりする。こちらは魔術刻印などはせず、普通に創り手である自分の無限、と銘を切ってあるだけである。
「いやー確かにあんな大きな屋敷どうやって維持してんのかと思ったらそういうことだったわけね」
刀剣類は一度手に入れば早々買い替えたりしないので一度の金額は大きいが財源としては心もとない。
そこで士郎はプロ・アマチュア向けの包丁を売りに出したわけだがこれがまた有名な板前や料理長に人気でこちらがすごく売れている。
人によっては切る素材毎に複数の種類を持つのでこれがまた売れる数がすごい。
「あの!父上に贈った刀なんですが、とても喜ばれました!!」
「そうか。喜んでもらえたなら嬉しい」
「まゆっちのお父さんって剣聖だよな・・・」
「そんな人が喜ぶなんてどんな品質なんだ」
由紀江にはいつも加賀の名産品をおすそ分けしてもらっているので、打ち上がった物の中で納得のいくものから選んでもらって譲ったのだ。
どうやらそれを親御さんに贈ったらしい。
「と言うことで早く財布を出すんだ!」
「誰が出すかっ!大人しく働け!」
そう言って士郎はおかずの一つを百代の口に突っ込んだ。
「もがもが・・・うん、美味いなぁ・・・」
まったく、と士郎はため息を吐いてキャップのお土産の八つ橋に手を伸ばす。
「へえ、美味いな・・・」
「いい所の奴でしょこれ」
「あんこの甘みが絶妙だなぁ・・・」
「修学旅行は京都がいいな」
絶賛する仲間達にキャップも誇らしげだ。してやったりという感じもあるだろう。
(京都か・・・そういえば京都には五条大橋があったな)
実は実際の場所ではなく移設された場所が現在の五条大橋なのだが義経達が何かしらのイベントに巻き込まれそうだ。
そうして金曜集会の夜は、更けていく。今回も何事もなく一日を終えることが出来た。
土日明けて月曜日。いつも通り登校する士郎だが、ギプスが外れたのもあってとても気分がいい。
(建設予定のアレももう少しでできそうだからなぁ・・・楽しみだ)
士郎は風呂の拡張を目論んでいた。衝立で仕切りをつけた露天風呂である。
日曜大工ばりに少しずつ作っていたそれがもう少しで完成しそうなのだ。
(星空を見ながら浸かる風呂は格別だろうな)
やはりこう、外の開放的な所で満天の星空を見て夜風にあたりながらゆっくりと浸かるのは格別だろう。
「士郎はなんだかうれしそうだな。ギプス外れたから?」
「それもあるけど、やっと作りかけだった露天風呂が完成しそうだからな。それが待ち遠しくて」
土日は仲間達と遊びもしたが、露天風呂建設にも力を貸してもらった。力仕事にも、精密な計算も得意なメンツが揃っているのでとても早く工程が進んでいた。
「士郎君はなんでも出来てすごいね。お風呂を自作するなんて普通考えられないよ」
隣の清楚がそう言った。彼女も密かに露天風呂の完成を心待ちにしているのだ。
「昔取った杵柄ですよ。剣の鍛造もそうですけど色々やってきましたから」
この世界に来た時の川神幽霊屋敷も流石本物が居ただけあって全く手つかずでとても住める状態ではなかった。
それを地道に一からリフォームしたのが今の衛宮邸だ。
そのおかげでというかなんというか、随分と広い土地を格安(ほぼ値打ち無し)で手に入れられたのだが。
「昔って・・・たまに士郎君大人びた感じの時あるよね」
「あー・・・」
ある意味これもまた恒例となった質問だ。
「清楚、士郎は29歳なんだ」
「ええ!?そんなに年上には見えないよ!」
林冲の言葉にのけぞる清楚。それはそうだ。だって体は18歳だもの。
「信じる信じないは本人次第・・・っと、あれ、義経か」
学校の前に到着すると長蛇の列が並んでいた。恐らく義経への挑戦者だろう。
「――――」
真剣な表情で相手と相対し、
鋭い剣筋で一撃のもとに相手を下す。終わったあとも礼儀を忘れずしっかりと頭を下げる彼女はとても凛とした雰囲気を纏っている。
「あ!士郎君!」
しかしその雰囲気もすぐに無散し、義経はポニーテールを子犬の尻尾の様に振って自分の元にやってきた。
「おはよう!」
「おはよう」
「おはよう、義経ちゃん」
「葉桜先輩もおはようございます!先輩は今日も勉強ですか?」
「うん。作家の勉強をしてるんだ。結構難しくて・・・」
「作家・・・確かに先輩にお似合いだと思いますけど・・・」
言いづらそうに義経はもごもごとした。その様子を見た清楚は。
「心配ない!たまには俺も外に出て発散しているからな!そのうち義経達にも勝負を挑むから精進しておけよ?」
「あ、はい!よかった。先輩大分安定してきたんですね」
すんなりと切り替える清楚に義経は安心したようだ。
「戦いをやめてしまっていいのか?」
「はい!丁度さっきの人で最後にしてもらう予定だったので・・・」
よく見ると九鬼の従者が整理券のようなものを手渡している。
「しかし朝から戦い続きで疲れないか、義経」
「大丈夫!今日は特別だから・・・」
「特別?」
義経の言葉にそういえば彼女はこんな早朝から決闘三昧ではなかったはずだなと士郎は考えた。
「なにか予定があるのか?」
「えっと・・・その、」
「ああ、言いづらければ無理に言う必要は「ううん!あのね」お、おう」
食い気味に来る義経に士郎は仰け反った。
「その・・・士郎君に、義経と戦ってほしくて・・・」
「・・・は?」
その言葉に、士郎は嫌な予感を感じるのだった。
その日の放課後。士郎は夫婦剣を手に義経と対峙していた。
「義経ちゃんと衛宮だってよ・・・」
「しかも衛宮が双剣持つの初めてじゃないか?」
「どっちが勝つんだろう・・・」
外野が色々言っているが彼らの言う通り、士郎が干将・莫耶のレプリカを持って相手と決闘をするのは初めての事だ。
今回はそれだけ手の抜けない相手であるということと、義経がどうしてもということで握ることになったのだ。
『大丈夫ですか、マスター』
『問題ない。ただ意外過ぎて少し戸惑っている』
士郎の戸惑いも当然と言えるだろう。
義経とはこれまで水上体育祭のビーチバレーを始め、体育の授業などで何度か手合わせしているが、こういう本格的な決闘は初めてである。
自分が何かしらの理由で挑むことはあっても、基本受け身の義経が自分から決闘を所望するのは意外過ぎた。
「士郎君、改めてよろしくお願いします」
ペコっと頭を下げて義経は刀を構える。
「――――」
士郎はあえて返事をしない。彼にとって重要なのはこの戦いの勝敗ではなく、この戦いに何の意味があるのかだ。
彼はそれをその鋭い鷹の目をもって見つめる。
「では両者前へ。衛宮君。アレは使用禁止じゃからのう。今持ってるのと同じものはいくらでも使っていいがの」
「了解した。元より私の秘奥をそんなに易々と見せることはしない」
「――――」
軽い挑発に堪えた様子もなく義経は静かに意識を集中していた。
士郎はその様子にやはり違和感を感じるが、戦いは戦いだ。まずは目の前のことに集中する。
両手をだらりとさげ、体は自然体に。いつもの様に士郎は戦闘態勢を取る。
「では両者深刻な怪我をせんように――――始めッ!」
「!」
合図と共に踏み込んできたのは義経。鋭い右袈裟切りを白剣、莫耶で弾き、
「っと!」
黒剣干将の一閃にてカウンターする。しかしそれを彼女は弾かれた勢いを使って後ろに後退したため寸前で躱すことが出来た。
「――――!」
たった一合のやり取りに彼女はさらに嬉しそうに、楽しそうに刃を走らせる。
「主、楽しそうだなぁ・・・」
「あいつが全力で戦う相手なんてそうはいねぇ。だが、衛宮士郎相手なら納得がいく」
弁慶が言う通り義経はとても楽しそうだった。
何度弾かれても、何度躱されても。彼女は嬉々として衛宮士郎に向かっていく。
対する士郎はやはり彼女の意図が分からなかった。
(なぜ、そんなに楽しさや嬉しさを前面に押し出してくるんだろうか?)
思いとは裏腹に士郎は油断なく一撃を、連撃を弾き、いなし、躱す。
常に不動でカウンターをする士郎に義経は少し困り顔で、
「あの、士郎君からも打ち込んでください」
まるで目上の人間に頼むように義経はお願いをした。
「――――」
やはり意図が分からない。自分がカウンターのみをしているのが不満とかそういうことではないらしい。
彼女の言葉に受けた印象は、
――――この人と全力でぶつかってみたい。
という気持ちだけだ。とにかく一片の曇りも苛立ちも感じられない。
こうしていること自体衛宮士郎の挑発になるのだが、彼女はそれもよしと受け入れている。
ただもっと、もっと貴方を感じてみたいんだというのが彼女の本心だった。
「では、期待に応えるとしよう」
その言葉を皮切りに士郎が一瞬で消えた。
「!ああぁぁッ!!!」
裂帛の声を上げて彼女は視界から消えた衛宮士郎の一撃を辛うじて弾き返す。
「せいッ!!」
いつの間にか後ろに回られたその一撃を一刀のもとに弾き、
「てやぁッ!!!」
双剣と当身を使った鋭い斬撃を刀でいなす。
だがどれもこれも義経にとってははるか上の技術。何とかしのげているのも衛宮士郎がそこまで手加減してくれているからだ。
(悔しい・・・けど、嬉しい!これが本物なんだ!)
一太刀一太刀ごとに義経の息が上がっていく。攻めてきたと思ったらカウンター主眼に代わり、守りに入ったと思ったらいつの間にか自分は劣勢になる。
「義経、すごいな・・・自分は一瞬でやられてしまったのに」
「俺様、士郎の動きほとんど見えないんだけど、手加減・・・してるのか?」
「手加減してるわよ。前の総理官邸前の事件の時もっと早く動いてたし、なにより――――」
彼の本来の戦い方は必要な場所に必要な武器を持ってくることにある。
双剣に絞っている時点で彼は本気ではない。
「だとしたら士郎かなりエグイことしてるな・・・」
「かもね。でも多分士郎は困惑してるんだと思うよ」
京が大和の言葉に反応した。
「困惑?」
「あの士郎が?」
いつも戦いとなれば冷静沈着、むしろ冷徹とさえ取れるほどに動じない彼が困惑している?
「うん。士郎は義経がなんで嬉しそうに自分に向かってくるのか分からないんだと思う」
「そう言われれば・・・義経、なんか楽しそうだな」
額に汗かき、息を荒げながら、それでも義経は楽しそうに、嬉しそうに刃を合わせていた。
「それだけじゃないぞ。今まで知らなかったが、士郎の持ってる武器。あれは干将・莫耶っていう宝具だ」
左目の魔眼を開放した百代がたらりと汗を一筋流した。
「ええ!?宝具って言ったらあれじゃん!この前の矢の――――」
そう言って一同が思い浮かべるのはつい最近彼が黒い洋弓で放ったあの禍々しいどこまでも追いかけてくる『フルンディング』と呼ばれたものだ。
「ちょっと待ってくれ!そうしたら義経は武器として圧倒的に不利じゃないか!?」
宝具とは伝説の武器。ゲームやアニメ、御伽噺に出てくる様々な逸話を持った武器だ。
それに比べて義経の刀は業物であるが普通の刀である。あの双剣が宝具だというのなら武器の性能として義経はかなり不利だ。
「そうでもないらしい。うーんと・・・ランクっていうのがあってだな・・・フルンディングは分からなかったけどアレはCランクでそこまで宝具としての位は高くないみたいだ」
それに、と百代は続ける。
「多分中身の神秘・・・でいいのか?それがあまり強力なものじゃない。だから多分、普通よりかなり頑丈な剣くらいだと思う」
と百代は見ずらいものを見るように目を細めて士郎の夫婦剣を見る。
情報は入ってくるのだが百代には理解できない単語がたくさん出てよくわからないのが本音だ。
しかし、あの剣に黒い矢のような馬鹿げた能力は無いということはわかった。
「はぁ!はぁ!」
激しい斬撃を交わし合いながら義経は一度呼吸を整えるために距離を取った。
「――――」
対し、士郎は追撃をしない。彼女が何を考えているのか分からないが、とにかく自分と剣を交えたいのだと言うことは理解できたからだ。
だが、
(義経が限界なのははた目から見てもわかる。だが、それ以前に――――)
これが分かるのは士郎と百代だけだろう。義経の刀も、もう限界なのだ。
元より刀とは切り裂くことを主眼に置いた武器であるため、刀身が薄く鋭いのが特徴だが、それはつまり耐久度が低いということになる。
対し、士郎の夫婦剣は元より打ち合いを前提とした分厚く、頑丈さがメインの武器である。
そんな武器と何度もぶつかり合って、曲がらないのは流石と言いたいが、いい加減義経でもこれ以上は限界だ。
「義経。そろそろ限界だと思うのだが、これまでとしないか?」
士郎の言葉に義経は首を横に振り、
「嫌だ!義経はもっと――――!」
ドン、と地面を蹴る義経。
「だめだ、義経ちゃん!」
百代の言葉も既に届かず、彼女は致命的な一歩を踏み出してしまった。
バキン!
「!?」
士郎はその一撃を普通に防いだだけだ。だが既に限界だった義経の刀は半ばから砕けてしまった。
「ああああ!!?」
「チッ・・・だから言ったのだ。己の得物の限界を悟らないのは剣士として失格だぞ」
そう言って彼は夫婦剣を構えるのをやめた。
「うう・・・」
流石に今の一言は堪えたらしい。彼女は涙目になってしまった。
「君も丁度いい頃合いだろうしここで手打ちとしよう」
士郎はそう言って審判である学長の元へ向かった。
「私はこれ以上戦わない。決闘は終了としていただきたい」
「いいじゃろう。今回は義経ちゃんの戦意喪失、衛宮君の辞退ということで引き分けとする!」
鉄心の言葉に周りに集まっていた生徒が散らばっていく。
みな一様にいいものを見れたと良い顔で去って行く。そんな中、
「九鬼英雄!」
士郎は黄色の男を呼んだ。
「素晴らしき戦いであったぞ衛宮!で、何用だ?」
「彼女の刀は九鬼で準備するのか?」
士郎の問いに英雄は一瞬悩んだ。
「もちろんそうだが、今九鬼が最高のものを準備するとなればお前の所だぞ?」
その言葉に士郎は頷き、
「義経。君が良ければなんだが・・・」
そうして士郎から言われた言葉は、
「え、えええええええ!!?」
義経が仰天する内容だった。
決闘の後、義経と弁慶、与一は士郎の先導の元、衛宮邸に向かっていた。
清楚には彼女らが家に来るので少し時間を潰すように言ってある。
「何気に大将の家に行くのは初めてだよねぇ」
「うん・・・」
元気のない義経は心もとなげに腰に下げた折れた刀を握る。
「お前まだ気を落としてるのかよ。衛宮印の新品が手に入るんだからもっと嬉しそうにしろ」
「そう言われても、義経は今回この子にとても酷い仕打ちをしてしまった。剣士失格だ・・・」
と義経はしょぼんとしている。
「・・・気持ちは分からんでもないけど、刀はまた打ち直しなり新しい物に取り代えるなり出来る。あそこで俺の忠告を無視したのは確かに悪かったけど、命まで失わなくてよかったと思った方が良い」
「そうだね。義経なら無手でもそれなりに戦えるけど、刀無しじゃ大将相手に勝つのは不可能だよ」
士郎と弁慶の言葉は何とか義経に届いたようで、少し顔色が明るくなった。
「それにしても士郎君こんな所に住んでたんだね」
「学園に通えないわけじゃないが、結構遠いな」
「まぁ色々あってな。いい運動とでも思ってるよ」
大体学園まで10分程度。ゆっくり歩けば15~20分くらいだ。歩くよりは自転車等があると楽だろう。
実際、清楚は普通(士郎のカスタマイズ品)の自転車を使って通学や遊びに出ている。
「目の前に見えるのが俺の家だ」
「目の前って・・・えええ!?」
「デカい武家屋敷じゃねーか!」
「大将すごい所に住んでるね」
新・衛宮邸は非常に敷地が広い。元の世界の衛宮邸よりも大きい。なので士郎は色々と施設を追加建造しまくっているのだ。
そんな場所に、
「ふっはっはっは!九鬼揚羽、降臨である!」
「待っていたぞ衛宮士郎。それと赤子たち」
家の前にドドン!と待ち構えていたのは揚羽とヒューム爺さんだった。
「ヒューム爺さんはともかくとしてなんで揚羽さんまで?」
折れた刀身の回収と特殊な刀を打つということを伝えたのでヒューム爺さん、あるいはクラウディオさんが来ると思っていたのだが・・・
「それは当然義経の新たな刀を打つと聞いたからよ!――――それとは別件でお前に感謝をしたくてな」
「感謝?」
揚羽の言葉に首を傾げる士郎。はて、感謝されるようなことをしただろうか?
「小十郎のことだ。お前に気脈を整えてもらったことで奴は今大きく成長している」
「元々は揚羽様の輸血要因として傍仕えにしていたのだがお前の見立て通り執事としては恐ろしく役に立たなくてな。それが少しずつ改善されている」
「・・・。」
成長できているのは良いことだが、まさか専属執事の理由が輸血要因とは。小十郎に思わず同情してしまった。
「さて、それはそれとして、今回は何やら特殊な刀を打つということであったな?」
「英雄には許可を取りましたがそうです。一応、
「ま、魔剣!?」
そこまでは聞いていなかった義経は一体何事かと驚く。
「あー・・・大将ももしかして病気を?」
「そうか、やはりお前は俺と同じ
ドン引きする弁慶と嬉々として絡もうとする与一。
だが。
「そこの病気の赤子と一緒にするな。衛宮士郎は
「本物って・・・どういうことですか?」
義経は今から自分に魔剣を授けられようとしていて戦々恐々だ。
「その説明はまた今度だ。今はとにかく中に入ろう。ここだと暑くてしょうがない」
そう言って士郎は、ただいま、と戸を開ける。
「おかえり、士郎」
それに応えるのは林冲だ。
「林冲!居たなら揚羽さんたちを中に入れてやってくれよ・・・」
「もちろん一度入ってもらったしお茶も出したぞ。でも・・・」
言いずらそうに林冲は口ごもった。
「彼女を責めるな。我がお前が近づいてきたのを悟って外に出たに過ぎん!」
「・・・そこになんの意味が・・・?」
思わず頭を押さえる士郎。さらに、
「おお!良く帰ってきた!我、顕現であるぞ!」
「紋白ちゃん!?」
「おかえりなさいませ、衛宮様」
「クラウ爺まで!」
なんと、居間には九鬼紋白とクラウディオまで居た。
「九鬼の二大トップがこんな所に居ていいのか?」
流石にまずいだろうと思う士郎だが、
「元は我がクラウ爺と一緒に来る予定だったのだが」
「揚羽様がどうしても衛宮様に感謝したいと申しておりまして、こうして伺わせて頂いた次第です」
そう言って頭を下げるクラウディオはザ・執事と言った感じだ。
「まぁ九鬼の仕事に支障がないならいいと思うけど・・・そんなに楽しくないと思うぞ?」
なにせ今日打ち始めて明日完成とはいかない。今日はまず、触媒の生成と義経の希望と手に合わせた柄を作るのが目標だ。
「とりあえず適当に座ってください。クラウディオさん、冷凍庫に作ったアイスが入っているので配膳を手伝ってもらえませんか?」
「構いません。――――これは、とても美味しそうな良い香りですね」
「くずもちパフェを作った時興が乗って色々作ってしまって・・・なにせ暑いですからね。みんな飲み物はどうする?アイスをお茶請けに出すから紅茶が良いとは思うけど」
士郎の言葉に異議なしと言うことで士郎は冷たいアイスティーを準備。クラウディオはバニラ、チョコレート、ストロベリーの三種から希望に合わせてそれぞれ配膳した。
「それじゃあまずは、暑い中ようこそお越しくださいました、ということで」
乾杯、とグラスを鳴らした。
「おおっ!これは美味しい!」
「アイスティーもいい香りだ・・・」
「主、こっちも美味しいよ。ちょっと交換しよ?」
「うむ・・・この若干ほろ苦いチョコレートがなんとも・・・」
皆士郎のもてなしに大絶賛だ。
「大したことじゃないから食べながら聞いてくれ。今回義経の刀を折ってしまったということで今回新たに新調するんだが・・・義経、なにか希望はあるか?」
「え?えっと、できれば前と同じのが良いんだけど・・・」
「今回は魔剣にすると言っていたな。危険ではないのか?」
揚羽の言葉に士郎は首を振った。
「魔剣って聞くと呪いなんかがかかってるイメージだろうけどそうじゃない。
「魔術・・・?大将はやっぱり与一と――――」
「そのくだりはよい。ただ言えるのは、先ほどヒュームが言ったようにそこの面倒な病気を抱えた小僧と同じではなく、衛宮は本物だということだ」
揚羽そう言ってバッサリ切った。そして、
「具体的にはどうするのだ?」
「彼女の体の一部・・・髪の毛を数本で良いのでそれを特殊な製法で精製して刀に混ぜ込みます。それだけですよ」
と言って士郎は縁側から外に出て、鍛造所から何かを持ってきた。
「みんな食べ終わったらこれに義経の髪を二本くらい入れてもらうとして・・・」
それは試験管を何やら文様の描かれた小さな台座に収めた不思議な道具だった。
「クラウディオさん、義経の刀のデータってあります?」
「もちろん準備してございます。こちらになります」
早々と食べ終えたクラウディオが鞄から一枚の書類を取り出した。
そこには義経が持っていた刀の詳細なデータが書いてあった。
「・・・これは薄緑を参考に今の義経に合わせたものですね?」
それを一目見て士郎は看破した。所々違いはあるが、源義経公が振るった薄緑とほぼ同じ数値である。
「左様でございます。序列――――今は検討中でありましたな。武士道プランの提唱者であるミス・マープルが、義経様に持たせるならばこれだろうと決めた物にございます」
「彼女は星の図書館と言われるほど博識でな。義経達の事も彼女が選んだ」
さらっとバニラとストロベリーの二種を食べ終えたヒュームが言った。
「ヒュームさん・・・しれっと二つ食べてる」
「誰も一つとは言わなかっただろう?」
「いやそれにしても・・・「ん?」あいや何でもないです・・・」
茶番はこのくらいにして。
「となると折角だからさらに今の義経に合わせた方がいいな。みんな食べ終わったな?まずは皿を下げるから・・・」
「衛宮様、その辺りは私めにお任せください。今は義経様に注視してくださいますと私めも嬉しいです」
そう言ってクラウディオがさっさとお皿の回収とアイスティーのお代わりを準備してくれた。
「ありがとうございます。じゃあまず、時間のかかる方から行こうか。義経、その試験管に髪の毛を二本くらい入れてくれないか?」
「わ、分かった」
そう言ってプツンと二本髪の毛を抜いて試験管に入れて、士郎がすぐにコルクで蓋をする。すると――――
「わ、わ、髪の毛が解けて・・・溶液の色が変わってる!」
「まるで化学の授業でもやってるみたいだね」
その様子を物珍しく見る義経と弁慶。
与一も気にしない体を取りながらチラチラ試験管を見ている。
「衛宮、わかっているだろうが義経の遺伝子データは流出するとまずいのでな。終わり次第その試験管は回収するぞ?」
「ええ。上の試験管は本当にただの試験管なので問題ないですよ。溶液と台座は秘密ですけどね」
ジュワジュワと髪の毛が溶けていき、七色に溶液が次々と色を変える様をみて一同が固まっているが、
「触媒の精製には時間がかかる。その内に義経の手を図って・・・そうだな、折角だから鞘にルーン文字も刻んでみようか」
「る、ルーンってあれ?北欧神話の大神オーディンが使ったっていう・・・」
「流石弁慶、博識だな。それで間違いないけど、正確には違うんだけどな。まぁお守りみたいなもんだよ。ほんの少し、体力回復が早いとか強化されるとかそんなもんだ。大神オーディンが使った原初のルーンに比べて相当にささやかな効果しかでないよ」
それは士郎が魔術師としてへっぽこだからなのも原因であるが。
オーディンが使ったとされる原初のルーンはとんでもない威力を誇り、死のルーンなぞ刻まれたらその場で即死である。
そうして義経の手を図り、鞘に刻むルーンを決めた頃に、試験管の髪の毛がすっかり溶け切った。
「よし。それじゃあこれを――――」
――――
と台座に刻まれた魔術を発動させる。すると――――
「パチパチしてる!」
台座に刻まれた文様に赤いラインが走り、小さなスパークを起こしながら溶液が減っていく。
「これが魔術か・・・その名の通り神秘的な光景であるな」
「衛宮士郎。これは危険はないのか?」
あまり覗き見るのも良くないと思ったのかヒュームが紋白を抑えている。
「ああ。弾けてるように見えるけど実際弾けてるわけじゃない。魔術反応、とでも言えばいいか・・・その反応が弾けているように見えるだけだ」
「ってことは別に試験管が爆発したりするわけじゃないんだ。良かったね主」
「べ、別に怖がってなんかないぞ!ただちょっと、試験管って薄いから割れそうで・・・」
「神秘的な光景だな・・・」
ビビる義経にからかう弁慶。与一は本物の魔術に心底見惚れている。
しばらくして。溶液がすっかりなくなって試験管に残ったのは小さな結晶だった。
「これで出来上がりだ。この結晶を刀に混ぜ込んで作るのが義経の新しい刀だ。約束通り、試験管はお渡ししますよ」
そう言って士郎は綺麗な宝石箱のようなものに、出来た結晶をピンセットで挟んで納め、試験管をヒュームに渡した。
「今日はここまでですかね。後は鍛造するだけなので数日待ってください」
「うむ。よい出来を期待しているぞ!」
と、無事終わったのだが、
「し、士郎君!我がままなのは承知なんだけど余ってる刀ってないかなぁ・・・?こう、手ぶらなの落ち着かなくて」
「確かに・・・出来上がりには数日とはいえ時間がかかる。その間に持つものが必要か」
そう言って士郎は立ち上がった。
「ついてきてくれ。保管庫にそれなりの数があるから好きなのを持っていくといい」
「あ、ありがとう!」
「面白そうであるな!我も行くぞ!」
「ふむ。俺も興味があるな・・・」
そう言ってまた全員が保管庫に足を延ばした。
「ここだ」
保管庫はなんと地下にあった。鍛造所と隣接し、繋がっている小さな小屋が地下に続く入り口になっていた。
「うわあ・・・」
そこに飾られていたのはどれも名刀、業物と言って謙遜ないものだった。西洋剣から日本刀、中華刀など実に様々なものが所狭しと置いてあった。
「これは・・・どれを選ぶとか難しいんじゃない主?」
「う、うん・・・失敗した余りものでもあればと思ったんだけど・・・」
義経の考えは彼の能力を考えるとある意味あり得なかった。解析が出来る士郎に失敗はほぼあり得ない。そこに強化や魔術的処理をするなら尚更である。
「衛宮には随分九鬼にも武器を卸してもらっているがまだこれほどにあったのか・・・」
「どれもこれも一級品ですな。ここにある物を売るだけでも巨万の富を得られる」
これまた皆絶賛して見て回っている。
「衛宮はこれを売る気はないのか?」
揚羽の問いに士郎は逆に困ったように、
「ここにあるのは納得のいかないものだけなんで別に売れなくても「「「お前は馬鹿か!?」」」えー・・・」
「こ、これだけの出来で納得いかないの!?士郎君!」
スラリと無造作に鞘に入れて傘入れの様な筒の中に収められた刀を抜いてぎょっとする義経。
「ああ。もっといいものにできたなぁと思うんだよ」
こればかりは創り手である彼のこだわりと言うかなんと言うか。
いい出来ではあるし、世に出しても恥ずかしくないとは思うのだが、進んで出そうとは思えないのである。
「それよりも早く決めないと日が暮れるぞ。別にどれでも構わないし、ただの間に合わせなんだから遠慮なく選ぶといい。折れても問題ないしな」
「え、え、え!?この中からなんて選べないよう!!?」
あっちの壁に掛けられた刀を見て、無造作に傘の様に筒に入れられているものを見て、タンスのような物にしっかりとしたふわふわの生地の上に置かれた物を見て、義経は大混乱である。
「と言われてもなぁ・・・義経の手に合うならこの辺だと思うんだけど・・・」
そう言って士郎は壁に掛けられた一振りを手に取る。
「よっと・・・義経、どうだ?」
手ごろな柄をはめて渡す士郎。
「こ、これ!?うん!もうこれで――――」
良いと言おうとした義経に揚羽とヒュームが待ったをかけた。
「いや、きちんと試し切りをせよ。それは義経の刀が打ち上がったあと九鬼で買い取る」
「源義経が太鼓判を押した刀とあれば従者部隊に持たせるのもよし、売るもよしだ。しっかり試せよ」
結局義経は士郎に渡された一振りを持ち帰るのだが、後にこの刀は九鬼でも剣士であり、実力を認められたものにしか使わせてもらえない幻の一振りとなるのだった。
あれ…話が進んでない…?パイセン出すつもりだったのに義経ちゃんだけで終わっちゃった!すみません!次こそは、次こそは出すので!!
感想にいい意味で鋭い指摘をされた方がいらっしゃいました。流石だなぁと思ってしまいました…私の考えなんてすぐに看破されてしまうようです(苦笑)
次回は本当に謎多きあの人を出すのでよろしくお願いします!