一応スマホやノートパソコンを使わせてもらえるはずなので何とか執筆を続けたいと思います。
今回はまゆっちの妹登場です。が…メインはまゆっちかも…?
では!
青い空に雲の無い晴天。今日は一日いい日になりそうだと思った。
そう思ったのだが・・・
「妹の沙也佳です」
「初めまして。黛沙也佳です」
急な来訪に正直困っていた。
「ああ、俺は衛宮士郎。一応由紀江と同じ学園の二年生だ。けど、由紀江とは仲良くさせてもらってる」
「・・・本当にお姉ちゃんのお友達なんですね」
マジマジと見られるがそれも仕方ない。なにせ、由紀江は携帯ストラップの松風と会話する特殊な娘である。
今回その妹、黛沙也佳が北陸の自宅から来たのは、ぼっちでしかも自作自演会話をする姉に本当に友達が出来たのか確認しに来たらしい。
「その、お姉ちゃんのことどう思ってます?」
「え?」
いきなりと言うか、いまいち意図の読めない問いに士郎は困る。
「さ、沙也佳!士郎先輩に失礼です!」
「でも、上部だけの友達だと危ないでしょ?」
「そんなことはありません!士郎先輩はとても優しい方です!」
「そうだぞ妹ー!シロ坊に謝れー!」
「・・・こんなお姉ちゃんですよ?」
「あはは・・・確かに最初は面食らったけど、今ではもう慣れたよ。なかなか本心を口に出せない分、ああしてるんだろう?ちょっと歪だけど人それぞれだから」
苦笑を浮かべて士郎はそう答えた。どうにもこの子は姉と違ってリアリストっぽい雰囲気を醸し出している。
「ふぅん・・・わかりました。失礼なこと言ってごめんなさい」
「気にすることは無いさ。姉思いの良い妹じゃないか」
「・・・。」
由紀江はすぐには答えなかった。その様子にはてと首を傾げていると、
「おーっす!まゆっちとその妹いるなー!遊びに行こうぜー!」
と、キャップが出現し、他の皆もぞろぞろと衛宮邸にやってきた。
「ふー・・・暑いねぇ・・・」
「これから遊ぶのに大丈夫か?モロ」
「モロはそう言いながら最近筋肉がついて逞しくなったんだよな?」
「う、うん・・・流石にあの体育を続けてたら自然とね」
「そうねー。レオニダスさん、結構容赦ないから。アタシも、びるどあーっぷ!よ!」
「自分も最近さらに力がついたからな。いつまでも犬に負けてられん!」
「ワン子もクリスもはしゃぎ過ぎ。士郎困ってる」
「流石京・・・それより、まずは電話で連絡くれればよかったじゃないか。ここまで暑かったろ?」
「それはもちろん」
「士郎冷たい飲み物とおやつだ!」
「実はまだ何をするか決めてない」
「・・・。」
おいおい。と思う士郎であるが仕方あるまいと招き入れる。
「じゃあまず適当に冷たいお茶「ピーチジュース!」でいいな・・・」
相変わらずの百代にはぁ、とため息を吐いて一人分桃ジュースを準備する。
「あの!士郎先輩、お手伝いします!」
「ああ、ありがとう由紀江。何処かの誰かさんは注文だけつけてふんぞり返ってるからな。助かる」
「なんだよー美少女にだって給仕はできるぞ」
「ほう。じゃあ由紀江の様にできると?」
零さず、丁寧に配る由紀江を見て百代は若干小さくなって唇を尖らせた。
「別にできなくないもん」
「はいはい。出来ないことは素直に出来ないって言おうなー」
よしよしと黒髪を撫でて士郎はもう一度台所にいく。
「みんなアイス食べないか?作った奴があるんだ。最初に言うけど桃味はない」
「食べるー!」
「この暑さにアイスは最強だよな!」
「おっしゃあ!全種類持ってこい!食べ比べしようぜ!」
「腹壊すからやめろ。バニラとリンゴのシャーベット・・・あとはストロベリーだ」
「はいはい!リンゴのシャーベット!」
「自分もだ!」
「俺はバニラかな」
「俺様もバニラだ!」
「僕はストロベリー。京は?」
「うーん・・・ストロベリーで」
「ぜ・ん・ぶ!!」
「俺もだ!」
「人の話を聞いてなかったのか・・・?」
しょうがないので二名だけ三種類を少しずつにした。
「じゃ、食べながら話そう」
「あっ!まゆっちと沙也佳ちゃんだけチョコレート!ずりぃ!」
「二人は手伝ってくれたしお客さんだから特別」
「なぁまゆまゆ、私達、友達だろう・・・?」
「はうっ!?」
「やめんか!」
早々に食い尽くして由紀江に迫る百代にチョップを落として士郎は自分の分のバニラを食べる。
「なんだよーいいじゃんかよー」
頭を手で押さえて百代はまた唇を尖らせる。
「よくない。それより話が進まないだろう?何して遊ぶんだ?」
「そうだなぁ・・・このまま涼むのもいいけど、夏だしな。体動かしたいよな」
「確かに。暑いからって涼しい所でじっとしてるのもな」
「じゃあ久しぶりにサッカーやらね?終わったら大扇島あたりでバーベキューしてさ」
「ああ、あそこなら幾分涼しいし、やれるかも」
「モロも自信ついてきたみたいで何よりだな」
「じゃあ決定!今日はサッカーして、バーベキューだ!」
おーう!と返事をしてバタバタと外に行くキャップ達。
「後片付けってもんがあるんだけどな」
すっかり置いていかれた士郎は苦笑を浮かべて片付ける。
「あの、手伝います」
「大丈夫大丈夫。これくらいすぐ片付くさ」
士郎はそう言ってあっという間に片付けてしまった。
「わぁ・・・早い。しかも丁寧」
「さて、ボールは誰か持ってきてくれるとして、場所は大扇島だったよな?」
前に義経の両親をもてなした場所だ。確かにあそこには公園があった。
「んー!夏の日差しが心地いいな!暑いけど!」
「夏って感じよねー」
「俺様だけなんでビショビショ?」
「それはガクトが海に飛び込んだからでしょ」
「誰もついてこなかったからなー。寂しい・・・」
「まぁ水系は今度だ今度」
「というかいきなり飛び込むとか何やってるんだよ・・・」
流石に可哀想なので百代が乾かしているが。
「それはそうとボールは?メンツは丁度分かれるとして――――」
「ネバっと参上!松永燕だよん」
「納豆小町!?」
「おーい士郎くーん!」
「みんないるね」
「義経に弁慶、那須与一も!」
パシャパシャとシャッターを切りまくる沙也佳。さらにはカップ納豆にサインしてもらっている。
「てか与一よくきたな」
「出かけるところを姉御に抑えられたから逃げられなかった」
「逃げるとか。ただ遊ぶのになにを言ってるのかねぇ」
弁慶ははぁ、とため息を付き義経はキラキラとした目で皆を見つめる。
「すまないな義経。色々忙しいだろうに」
「ううん!夏期講習が終わったところだから丁度良かったんだ!呼んでもらえて義経は嬉しい!」
「そうか。そうすると・・・」
いざチーム分けとなるのだが、百代と燕は別として自分は何処に入ったらいいものか。
「んー・・・審判かな?」
「なんだよーお前も入れ!もちろん私の――――」
「じゃあ松永先輩チームで」
「なん・・・だと・・・」
「イェーイ!分かってるぅ!」
崩れ落ちる百代と勝利は我にありと喜ぶ燕。
「あ、俺は移動以外、左足限定で。じゃないとバランスが悪い」
「なんでー!?」
ガクリと今度は燕が崩れ落ちた。
「当たり前でしょうに。そもそも義経、弁慶、クリスに一子、ガクトにクッキー2・・・?」
違和感。クッキーの奴はどうやってボールを蹴るのだろうか・・・?
「いや、それは置いといて、どう考えても過剰戦力だ。だから俺は縛りで行く。異存があるなら俺は審判だ」
そもそも百代とそこそことは言え、やりあえる燕がいるのだから自分がいては過剰戦力過ぎる。
百代チームは百代、京、由紀江に沙也佳、キャップにモロ、与一に大和と、あまり戦闘派ではない。
「まぁいい。負けた奴はバーベキューの準備だからな!」
「いいね。何か賭けた方が面白いもんね」
「・・・。」
しかしその言葉に士郎は一筋の不安を覚えた。
(百代は論外としてキャップだけで準備出来るだろうか・・・)
京は大変なこと(デスソース)しそうだしモロと大和はそこまで力自慢ではない。
(ああでも、由紀江がいるから大丈夫か)
妹の沙也佳ちゃんは分からないが少なくとも致命的ではあるまい。
(頼んだぞ!)
(まゆっちアイコンタクトきてるぜ!)
(ふぇ!?は、はいー-!!)
バッチンバッチンウィンクする由紀江にやっぱりだめかもと思いながら試合開始。
「戦力差がある。百代からでいいぞ」
「その慢心粉々にしてやる!」
強引なドリブルで一直線に突っ込んでくる百代。
「松永先輩!」
「わかってるよん!えいや!」
「甘い「のはどちらかな?」!?」
カットに入った燕のサポートに士郎が入っていた。
「もらっていくぞ!」
「うへぇ、士郎の奴容赦ないな!」
「だけど左足だけでドリブルしてるから遅く・・・ない!?」
彼を知る人なら当然であるが、彼は弛まぬ鍛錬により両利きである。
それでも元は右利きなので幾分機動力は落ちているが。
「おい止めろ止めろ!」
「そんなこと言ったって士郎速いよ!?」
慌てる大和とモロにニヤリと笑って、
「心配しなくても行かんさ」
ドッ、とボールがサイドに居た義経にパスされる。
「あ」
「まっず!」
ボールを受け取った義経が素早くドリブルしながら走る。
「弁慶!」
「おまかせ!!」
パスされたボールを弁慶がヘッドでゴールにねじ込み、あっさり一点をもぎ取った。
「やるじゃない、士郎君?」
「多少は」
そう言ってパン!とハイタッチする士郎と燕。
「義経と弁慶もいいタッグだな」
「もちろんだ!」
「源氏コンビだからね。ということで裏切者は滅!」
「スポーツなんだから仕方ないだろう!?」
しれっと処刑判定を受けた与一。
「そっちボールだぞ」
「わかってる!今度こそ・・・!」
また強引なドリブルをしようとした百代に、
「姉さん!」
「おっと。そうだった!」
声をかけた大和にパスが回る。
「流石に冷静になったか」
「残念無念またきてねん・・・」
挑発に失敗した士郎がボールを追いかける。燕は百代のマークだ。
「ヤドカリパス!」
自分にヘイトが向いたのを察知した大和がすぐさまパスを回す。回す相手は・・・
「俺だぁ!」
キャップが上手く胸で受け、ドリブルを再開する。
「この距離ならいけるぜ!」
ゴール前まで進んだキャップがシュートするが・・・
「ふははは!読めていたぞその動きは!」
クッキー2が止めた。
「ふふ・・・私のサッカー・プログラムが役に立つとはな」
「サッカー・プログラム、必要か・・・?」
彼(?)は介護ロボではなかっただろうか。
「マシン・パス!」
今度のパスはクリス。
「クリスサッカーを見せてやる!」
「させるか!行くぞ京!」
「諾!ボールは頂く!」
「二人がかりだろうが・・・抜く!」
「なにィ!!」
クリスが華麗なターンで二人を抜き去った。
「やるじゃないクリ!」
「いけ!犬!」
「ワンダフルシュート!」
「体のどこかに・・・ギャー!」
「モロー!?」
モロが捨て身でシュートを防いだ。・・・ただし顔面でだが。
「くっ・・・モロ、いい奴だったよ」
「まだ死んでないからね!?」
「ボールはもらいました!」
「こっからまゆっちの進撃が始まるぜ!」
「今松風いないだろうが!」
「松風は付喪神なのでテレパシーが使えるんです!」
「神を舐めちゃいけねぇぜ?」
「無茶苦茶な・・・」
思わず頭を抱える士郎。そりゃ妹さんの心配も当たり前である。
「沙也佳!」
「えい!」
鋭いパスからのシュート。燕が飛び込んだが点を取られてしまった。
なかなかに白熱したサッカーの後、義経や燕を含んでバーベキューだ。
食材は公園で売っているものがありそこで調達できる。
「ほらほら沙也佳ちゃん!この辺の肉焼けてるぜ!」
「いただきます」
「ほら、モモ先輩も!」
「うむ。くるしゅうないぞ」
バーベキューをみんなで囲みながら今日はああだった、明日はこうしようなどと話す。そんな中。
「お姉ちゃん、ちょいちょい」
「なんですか?わざわざ端に呼び出して」
手招きして呼ぶ妹の方に行く由紀江。
「まさか、この中の誰かと付き合ってるとかは・・・?」
「つ、つつ付き合って!?」
妹の爆弾に見事に引っかかる由紀江。
「やっぱり・・・士郎先輩?」
「い、いいいえいえ付き合ってなどいませんッ!」
「じゃあ片思いと」
「う」
「なるほどねー・・・もうお姉ちゃん分かりやすすぎだよー」
「そそそそんなこと言ってもですね・・・」
慌てふためく姉に妹は冷静だった。
「でも確かに将来有望そう・・・というか既に有望だし優しいし、包容力あるし・・・納得かな」
「沙也佳もそう思うんですか?」
「そりゃそうだよ。きちんと人を立てながら自分は見失わないって感じだもん。それに、お姉ちゃん隙あらば士郎先輩のこと目で追ってるでしょ」
「そそそそれは・・・」
沙也佳の指摘にぐうの音もでない由紀江。
それも仕方ないのかもしれない。他のライバルたちは一歩どころではなく二歩も三歩も前にいる気がするのだ。
なにかしなければ、とは思うが何もできない自分に歯がゆい思いをしている。
「ダメだよお姉ちゃん。あんな優良物件他に居ないよ?急がなきゃ取られちゃう」
「それは分かっているんですが・・・」
「ピュアなまゆっちにそれは些か辛いぜ」
「もう・・・士郎せんぱーい!」
「ん?どうした?」
沙也佳に呼ばれた士郎が皿を手にやってくる。
「急にすみません。先輩の事もっと知りたいなと思って」
「俺の事?」
首を傾げる士郎の姿を見て沙也佳は尚更危機感を覚えた。
(この人鈍感タイプだ・・・!お姉ちゃんが攻めないといつまでも進まない!)
「士郎先輩の好きなことって何ですか?」
「俺の好きなことか・・・料理とガラクタいじり、後は鍛造なんかだな。前に由紀江の家に一振り贈らせてもらったんだが・・・」
「ああ!あれ士郎先輩の作品なんですね!お父さん、ずっとあれ腰に差してますよ。」
「沙也佳ちゃんと由紀江のお父さんって剣聖って呼ばれてるんだろ?なんだか恥ずかしいな」
確かに恥ずかしくない一振りではあったがそこまで絶賛されるとは。
「料理は分かるんですけど、ガラクタいじりって・・・?」
「ああ、主に壊れた物を直すのが楽しくてさ。これでも学園の備品を直したりもしてるぞ」
「へぇ・・・私も機械弄りって好きなんです。どんな風に直すんですか?」
「そりゃもちろん――――」
普段しない機械弄りの話ができるとはと士郎は少し饒舌になった。
「こんな感じ・・・って、すまん。ちょっと熱くなりすぎた」
流石に暴走気味だったか、と反省する士郎。
「全然!聞いていて楽しかったです。古時計の中とかどうなってるのか不思議だったのですっごく面白かったです!」
「そ、そうか?ならよかったよ」
引かれるどころか目を輝かせてくれることに士郎の方が驚いてしまう。
(ほら、お姉ちゃん!チャンス!)
(そ、そんなこと言われましても・・・)
ニゴッとほんのり怖い笑顔を浮かべる由紀江。笑顔で話しかけようとした結果がこれだ。
(ああ!お姉ちゃん・・・)
その様子を見てダメか、と思った沙也佳だった。
しかし、
「由紀江。また笑顔が固まってるぞ。ほらほら」
「ふひゃい・・・」
ぐにぐにと士郎が顔を解してやる。それだけで由紀江は嬉しそうだった。
(士郎先輩の手、暖かいです・・・)
(わぁ・・・鈍感もここまで来ると一周回ってカッコいいかも)
沙也佳が重要視する包容力という点ではもう及第点どころか満点と言っていい。
「それでどうした?由紀江も何か言いたかったんだろ?」
「ふえ!?いいいえいえ!沙也佳が不躾な質問をしてしまい申し訳なく!」
「そんなことないさ。俺はむしろ嬉しかったよ。なかなかこういう話が出来る相手って居ないからな。流石由紀江の妹さんだな」
「はう・・・」
(その笑顔は殺しに来てるよー・・・なんだか私まで恥ずかしくなってきちゃった・・・)
姉妹二人して士郎の笑顔にノックアウトされるのであった。
――――interlude――――
黛姉妹と士郎の様子を見ていた義経はまた胸が苦しくなっていた。
(うう・・・どうして義経はあの場に居ないんだろう・・・)
自分も頭を撫でられたり、強張ってしまう笑顔を解きほぐしたりしてもらいたい。
そして何より、あの透き通った笑顔を自分に向けてほしい、そう思う。
(主、流石に今のはキツイかなー)
隣で泣きそうになっている主を見て一計を案じるかと考える弁慶。
(でもそれは大きなお世話ってやつかな。確かに早く踏み出さないとまずいけど・・・・)
「士郎君!!」
彼の名を呼んでそちらに駆けて行く様子を見て弁慶は一安心。
「ちゃあんと残ってるんだよね。闘争本能ってやつが」
とりあえず横で肉ばっかり食っている与一に大量の野菜を渡して弁慶も大和の方へ行く。
「なにすんだ姉御!?」
「肉ばっかり食ってるからでしょ。どれも美味しいんだから食わず嫌いはやめな」
今日用意された食材はどれも一級品だ。この公園の野菜や肉はもちろんの事、大和が手配した食通の準備したものはどれも一級品。
自分なども秋田の天然ガキなどで川神水を美味しく頂いている。
「大和ー飲んでる?」
主が主なら部下も部下。主従共に気になるお相手へとモーションをかけるのだった。
――――interlude out――――
バーベキューが終わり、各々寮と自宅に帰ったころ。士郎は久しぶりにゆっくりと夜空を見ていた。
「今日も何だかんだ楽しかったな・・・」
まさかこの歳でサッカーをするとは。それも若い子らに交じってなどとても考えられなかった。
「なにやら満ち足りた顔をしておりますな、マスター」
「レオニダス。露天風呂はどうだった?」
「それはもう!堪能させていただきました。風呂とはいつの時代もいいものですな」
そう言ってタオルを首にかけて風呂上がりの牛乳を手にレオニダスは言った。
「そういえば、今日、テレビで総理殿が会見をしていましたぞ。正室、側室システムが来年度を目安に発足予定とか」
「え?そんなに早く来るのか!?」
法の整備やらなにやらで2、3年はかかると思っていたのだが。
「なんでもやってみなければ分からない、という部分もあるらしく、その都度問題が起きた時は一応の法に乗っ取り、もちろん例外もありで進めるとか」
「思い切ったことをするなぁ・・・」
絶対有名人のスキャンダルだの、不倫か、側室か、とか面倒ごとになるだろうに。
「それでもあの人がやるって言ったらやるんだろうな」
今もたまにメールをするがお互い元気だという事となんとかやってるぞという報告をし合っていたりする。
だが、政治に関することは一切話さないので実態はテレビや新聞を見るしかない。
「マスターは卒業後どうお考えですか?」
「俺か?正義の味方として世界を回る・・・つもりだったんだけど・・・」
清々しい顔で士郎は言った。
「ここにみんなと居るのもいいのかもな・・・」
現状お金には困っていない。そして藤村組のような組織は居ないので士郎が屋敷を手放してしまえばそれで終いだ。
それはとても惜しいように思う。
「というか、養ってもらわねば困る」
「史文恭?」
「今日は夜風が涼しいからな。出てきてみれば随分と穏やかならざる話をしているじゃないか」
「穏やか・・・では確かにないか」
「お前は異世界人だと林冲から聞いた。そこにいるレオニダス王もな」
「・・・。」
「そしてお前は正義の味方とやらを目指して世界中を回ったともな。だが、私から言わせてもらえばお前がいなくなるとホームステイ場所を考えなければならんのだがな?」
「それは・・・」
そう。ここにいるメンツはいずれ去る者もいればここを安住の地にしている者もいる。
そんな彼女等を残して世界に出るのはいかんともしがたかった。
「・・・。」
「まぁお前の意志を私は尊重するがな。とはいえ、もしお前が世界を回るならそれについていくのも悪くはない」
「!史文恭――――」
「一応言っておくが決めたのは私だ。お前の意見など聞いていない。ただ、私がそうしたいからそうするだけだ」
「・・・。」
本当に、この世界の女性は強いなと思った。何事にも退かず自らの足で歩む方向を決める。
もちろん全ての人がそうではないがそういう人物が多数派だ。
「ま、まだ先の話だ。今も順調に生活を維持できてるから選択肢が広いという事で」
考えても答えは出ない。だがいずれその時はくる。その時どうするのかは、未来の自分にしか分からない。
――――interlude――――
寮に帰った由紀江と沙也佳は布団に入りながら今日の事を振り返っていた。
「お姉ちゃん、本当にいい友達出来たんだね」
「はい!みなさんとても良い方です」
「そして片思いの彼もいると」
「うう・・・それは言わないでくださいー・・・」
顔を赤くして布団にもぐってしまう由紀江。
「いいじゃん。私なんか――――だし」
「沙也佳?」
「ううん、何でもない!それよりお姉ちゃんもう寝よう?」
「そうですね。では松風、おやすみなさい」
「おうよオラはここから二人を見守ってるぜ」
「携帯ストラップに見守られても・・・」
「付喪神です!」
そんなことを言い合いながら二人は床についたのだった。
――――interlude out――――
少し短いですがキリが良いのでここまでです。
ネタを一つ入れたんですが気づいてもらえるかなぁ…自分でもスッとでてきたぴったり具合だったんですがどうでしょう。
活動報告にも書かせていただきましたが、私、1/6から三週間ほど入院が決まりました。場合によっては投稿に支障が出る可能性がありますがご了承ください。
ではまた次回よろしくお願いします