真剣で衛宮士郎を愛しなさい!   作:Marthe

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みなさんこんばんにちわ。好きな物が食べられるって素晴らしいと思う作者でございます。

今回は義経ちゃん達が選抜で四苦八苦してるところと修学旅行の事が書ければいいなと思います。


選抜/修学旅行

――――interlude――――

 

義仲さんから源氏大戦の話を聞かされて忙しい毎日を義経達は送っていた。

 

「やあ!」

 

相手の隙を突いて一閃する。一閃は見事相手の横腹を打ち付けて転倒させた。

 

「ありがとうございました」

 

「ぐっ・・・ありがとうございました」

 

今持ってるのは士郎君の作ってくれた刃引きされた太刀。今までは峰打ちで済ませていたけど今回からは刃引きされてるからより実戦的に振るうことが出来る。

 

「それで俺は義経の軍に入れてもらえるのか?」

 

「えっと・・・」

 

申し訳ないながらも丁重にお断りした。

 

今義経達は大和と九鬼君兄妹を味方に引き入れることができ、そちらで人を集めてもらいながら、義経は手合わせした中で選抜していくという三本柱で人を集めていた。

 

でも・・・

 

「ふっはは!やっておるな義経!」

 

「紋白ちゃん、お疲れ様」

 

人材スカウトの得意な紋白ちゃんと人脈のすごい直江君が兵を募ってくれている。なんとか一年生、二年生満遍なく味方に引き入れることが出来たけど、三年生は軒並み全滅だった。

 

「今日は良い人材はいたか?」

 

「ううん・・・二人ほど・・・」

 

「はっは!義経の目は厳しいな!」

 

「僭越ながら。紋様も十分によき目をしているかと」

 

「ヒュームにそう言ってもらえると我も嬉しい!・・・しかし人数が揃わんな」

 

「直江君も頑張ってくれてるんだけど・・・」

 

現在は選抜が追いつかないという事で弁慶も決闘に参加して選抜してくれている。

 

「やあ主、そっちも一段落かい?」

 

「弁慶!お疲れ様」

 

弁慶も一段落したようだ。

 

「そっちはどうだ?」

 

「うーん、三人ってとこかなー。ただ参加するんじゃなくて主と私の直属でしょ?そうなるとねぇ・・・」

 

そう。義経達は自分の直属兵の選抜だ。相手は義仲さんだ。そう簡単にOKは出せない。

 

「相手は三年生ほぼ全員だな。京極彦一、矢場弓子・・・その他にもエース級の者達がみな引き入れられている」

 

「そうですか・・・義経の軍はどうかな?」

 

「ほぼ二年生は押さえたぞ」

 

「直江君!」

 

校舎から大和がやってきた。

 

「二年生が150名。一年生が25名くらいだな。後は義経50名と弁慶の25名だな・・・無理しなくても5人は外部から呼べる。一応何人かは声をかけておいたぞ」

 

「流石大和だな!これだけ集められれば修学旅行後すぐに訓練に入れるだろう!」

 

「お前は中々賢い赤子だな。名を覚えてやろう」

 

「・・・それはどうも」

 

とにもかくにも予想の他上手く進んでいた。だが・・・

 

「士郎君は・・・やっぱり?」

 

「ああ。まだ参加できないって」

 

「まだ、ということは参加する意思はあるのか?」

 

「多分。予想なら――――」

 

「大和ーー!!!」

 

一子がすごいスピードで駆けてきた。

 

「どうしたんだ?」

 

「お姉さまが・・・!」

 

急な報であったが大和はやっぱり、と頷いた。

 

「大和、知ってたの?」

 

「いや、姉さんならそうするかなって。多分楽しそうだから、とかだろ?」

 

「う、うん・・・どうしよう・・・」

 

「そうするとカギは義経だな」

 

「よ、義経が?」

 

「ああ。きっと――――」

 

そうして語られたのは士郎がなぜ頑なに参加を拒んでいたのかだった。

 

「義経に出来るだろうか・・・」

 

「大丈夫だって。自信持って主!」

 

百代が敵に回った以上、何とかして士郎を引き込まねば勝機は薄い。

 

「修学旅行がよい機会になるといいな!」

 

「う、うん・・・」

 

機会はそれだけだ。修学旅行が終わったらすぐに訓練に入らなければならない。ここが正念場だった。

 

――――interlude out――――

 

修学旅行当日。士郎は抜かりなく準備をしていた。

 

「えーっと、着替えにガイドブック・・・修学旅行のしおりと・・・」

 

ガサゴソとキャリーケースに入れたものをチェックしていく士郎。

 

「士郎、こっちの準備は終わったぞ」

 

「私もです」

 

「二人とも早いな」

 

林冲とマルギッテは旅行慣れしているだけあり準備が早い。

 

「士郎は入念にチェックしてるな。もう大丈夫だろう?」

 

「ああ。大丈夫のはず・・・なんだけどな。なんか忘れてる気がして・・・」

 

これはあの赤い悪魔の弊害と言うか、肝心な所でうっかりをする遠坂に釣られてしまっているのかどうにも自分も肝心なものを忘れそうになるのだ。

 

「私から見ても士郎の準備は万端です。それより、史文恭と橘天衣の方は大丈夫ですか?」

 

「前にも言ったが私は子供ではない。飯の準備や掃除くらいできる。ま、これまでが快適だったから多少面倒に感じるがな」

 

「私も大丈夫だ!島津寮で学んだことを実践するいい機会だと思っている。だから士郎は修学旅行を楽しんできてくれ」

 

「ありがとうございます。さて行くか」

 

キャリーケースをパタンと締めて士郎はマルギッテと林冲、清楚を連れて学園に向かう。

 

「行ってきます」

 

「「「行ってきます」」」

 

留守を任せて士郎達は歩き出した。

 

「京都か~いいなぁ、私も行きたかったかも」

 

「義経達が現れたからか満場一致で京都に決まったそうですね」

 

「ああ。でも、何でもかんでも義経が来たから、と最近聞くようになったように思う」

 

「俺も林冲に同意見だな。過去の英雄に学ぼうというのは悪くないけど・・・それで今の義経達が重責に耐えなきゃならないのはな」

 

それがいい方向ならまだいいのだ。悪い方に働いてしまった時の事を考えると士郎達は何とも言えない表情になるのだった。

 

「飛び出しちゃった私が言うのもなんだけど義経ちゃん、無理してないかな・・・」

 

「どうでしょうね・・・源氏大戦のこともありますから。士郎は本当に参加しないのですか?」

 

「参加しない訳じゃないけどな・・・現状は不参加としか言いようがない。百代が出張ってくるなら出てもいいけど」

 

そうでもしないと戦局が一方的になるだろう。それはもう東西戦で分かっている。それに、こういうイベントの際は百代も参加を制限されると聞いた。

 

「俺もそれに倣おうかなと。子供の喧嘩に大人が介入するのは――――」

 

「しーろーうー!!!」

 

スッと言葉の途中で士郎は体をずらした。

 

「なんで避けるんだよぅ」

 

「危ないからだろうが!急に降ってくるな!」

 

本人はじゃれつくつもりでもその勢いでじゃれつかれたら大怪我もんである。

 

「ちぇー。マルギッテさん、林冲ちゃん、清楚ちゃん、おはよう」

 

「おはようございます」

 

「おはよう!」

 

「おはよう」

 

「まったく。今日はどうしたんだ?鍛錬は休みか?」

 

「ああ。今日は修学旅行だからな。ジジイの指示で見送りの準備をしてるんだ」

 

「それ言うなよ・・・」

 

ちょっとばかし嬉しいサプライズのはずが百代によってばらされてしまった。

 

「それと、こっちが本命だけど、私旭ちゃんに付くことにしたから」

 

「!」

 

「待ってくれ。武神はこういうイベントでは参加を制限されてるんじゃないのか?」

 

林冲の言う通り。彼女は基本的に武道大会などではエキストラでしか参加させてもらえない。

 

だが・・・

 

「そうだけど、士郎が居るから。私は士郎とだけ戦うことが許されたんだ」

 

「・・・ッ!」

 

いつか張り倒すつもりだったマルギッテは悔しそうに歯嚙みした。いつかの夜の約束はまた延期である。

 

「でも士郎が義経ちゃんのチームに入らないなら私は不参加だ。そのくらいは制限された」

 

「まだ義経のチームに参加するとは言ってないぞ」

 

「わかってる。だから最初に言いに来たんだ。私は士郎と戦いたい。戦って、どこまで上がれたのか見届けてほしい」

 

「・・・。」

 

百代の言葉に士郎は沈黙で返した。

 

「というわけで、いい返事を期待してるぞ!」

 

「・・・折角いい締まり方をしたのにそのまま引っ付くなよ」

 

「だって士郎はすぐ女を誑かすんだもん」

 

その言葉にうんうんと頷く三人だが、マルギッテと清楚が百代の肩を掴んだ。それはもうギチリと音がするくらい。

 

「その意見には同意しますが。川神百代。公衆の面前でくっつくのはやめなさい」

 

「マルの言う通りだ。俺とて我慢に限界はあるぞ」

 

「なんだよー邪魔するなよー」

 

「邪魔もなにもおうわ!?」

 

百代は士郎を抱きかかえて大ジャンプした。

 

「こ、こら百代!どこに連れて行く気だ!」

 

「まだ登校には早いだろ?散歩だよ散歩!」

 

「空中散歩はごめんだ!!」

 

いつもの登校は結局、百代に攫われる形でいきなり学校に到着し、何故か今日の分の弁当を食べさせるハメになった。

 

(そうか・・・忘れていたのは囮用の弁当だったか・・・)

 

前にもあずみに食べられてしまったことを思い出しながら屋上で食べさせてとねだる百代に子供か!とツッコミながら食べさせてやる。

 

駅弁でも堪能するか、と開き直る士郎であった。

 

 

 

 

「では、気を付けて行ってくるように!」

 

鉄心の号令と共に駅に入っていく二年生。口々に楽しみだ、何をしようと賑やかに列車に乗り込んでいく。

 

「士郎ー!」

 

「こっちこっち」

 

席を探していた士郎を呼び止めたのは一子達だった。

 

「ここにいたのか。俺はこの辺でいいか?」

 

「もちろんだぜ」

 

「カード持ってきたから遊ぼうよ」

 

「こらお前達。休む生徒もいるのだから静かにしろ」

 

「梅先生もやろうぜ!」

 

「負けたら罰ゲームな!」

 

「ふぁ・・・自分は眠たいなぁ・・・」

 

「クリス寝てないの?」

 

「うん・・・修学旅行が楽しみでマルさんとずっと電話してたんだ」

 

(なるほど。それでマルは少し眠そうにしていたのか)

 

いつも通りに見えたが、若干眠気を堪えていたのはそう言う事だったらしい。

 

「て、梅先生もこちらにいらしたんですね」

 

「うむ。まずなにより騒動を起こすとしたらお前達だからな。前方は宇佐美先生が。後方は私が担当だ」

 

「と言われても特に問題は・・・あー・・・」

 

問題と聞いて士郎が頭を抱えた。

 

「どうした?」

 

「梅先生。二年生が修学旅行の間レオニダスはどういう扱いになったんですか?」

 

それはこの場にはいない自分の従者の事だった。

 

「レオニダス王は一年生に混ざって学習しながら体育を担当するそうだ。聞いていなかったのか?」

 

「ええ。修学旅行、楽しんでください!って言われただけでしたので・・・」

 

レオニダスは川神の霊脈から魔力を供給されているので修学旅行には参加できない。

 

本人の願いとしても諸国漫遊なのでついていきたかったらしいが、京都まで離れてしまっては魔力不足で消滅してしまうので泣く泣く諦めたようだ。その代り、写真やなにか思い出になるものを持ってきてほしいと頼まれた。

 

「一年生かー・・・まーたスパルタ兵になるんだろうなぁ・・・」

 

「・・・お前の言いたいことは分かるが手腕は見事なのだ」

 

しかしながら度を超えていると言っても過言ではないのでため息を吐く二人であった。

 

 

 

~~~~その頃の一年生~~~~

 

「二年生の修学旅行の間学友となるレオニダスと申します。以後、お見知りおきを!」

 

レオニダスは由紀江と紋白のいる一年生の合同集会で自己紹介していた。

 

「ふっはは!レオニダス王が学友とは得難い経験よな!」

 

「紋様。万が一にも喧嘩は売られぬよう。私でも止められません故」

 

「あわわ・・・ヒュームさんでもダメなんですね・・・」

 

「マジか何処までつえーんだあの人!」

 

「ご心配なきよう!私は決闘などは戦闘以外しか受け付けておりません故。これは皆様を馬鹿にしているのではなく、私の特別な理由故です!」

 

魔術に精通している者ならわかるのだが、英霊相手に普通の魔術師や一般人がどんなに頑張っても傷一つつけることは叶わない。

 

詳しい話をすると長くなるのだが、基本、強力な神秘の宿った攻撃でなければ英霊には通用しないのだ。それがたとえ核爆弾だろうと何だろうと例外はない。

 

まさかそんなことを説明するわけにもいかないので家庭の(?)事情という事にしているが。

 

「プッレミアムな私の挑戦を受けないのは生意気――――」

 

「どうしましたお嬢さん。早速質問でしょうか?」

 

「・・・い、いえ~なんでもありません~」

 

「ムサコッスでは相手にならんな!」

 

「れ、レオニダスさん、さ、早速質問が!」

 

「由紀江嬢!構いませぬぞこのレオニダス。筋肉と頭脳を総動員して答えましょうッ!」

 

「筋肉は関係ないだろうレオニダス・・・」

 

実に賑やかな挨拶が行われているのであった。ちなみに、体育で地獄を見るのはすぐの話である。

 

 

~~~~その頃の一年生 終~~~~

 

「ま、まぁ今考えても仕方ないので諦めます」

 

「そうしておけ。レオニダス王は立派な大人なのだから無用な心配はせんことだ」

 

「・・・レオニダスをじゃなくて一年生を心配しているんですが・・・」

 

「・・・大丈夫だろう」

 

はぁ、とため息を吐いて士郎も席に座る。

 

「お、発車するみたいだぞ」

 

「いいね!わくわくするじゃんか!」

 

「って、キャップはもう行ってきたんでしょ?」

 

「疾風号でな!電車も楽しいじゃねぇか!」

 

「風間はまたそんな無茶をしていたのか・・・」

 

「うちのリーダーが本当にすみません」

 

もう謝るしかない士郎である。

 

「衛宮が謝る必要はない。お前はやりすぎ(・・・・)なことを除けば実に健全で頼りがいのある生徒だ」

 

「それ、褒めてないですよね?」

 

微妙な表現をされて実に複雑な士郎である。

 

カードゲームだなんだとやっていたらあっという間に京都である。観光地を歩きながら旅館への道すがら。

 

「士郎君!」

 

「義経?」

 

列を離れて義経がやってきた。

 

「大丈夫なのか?グループを離れたりして」

 

「うん。ちゃんと許可貰ったから。あの・・・」

 

ごそごそと義経は首にぶら下げたカメラをいじっている。

 

「ああ、折角の旅行だもんな。写真、撮るか?」

 

「・・・!ありがとう!」

 

「梅先生。すみませんが写真を撮ってもらえませんか?」

 

「ああ。いいぞ。それでは二人とも並べ」

 

「茶屋をバックにするか。それじゃ――――」

 

と、普通に並ぼうとする二人に、

 

「あーなんか錫杖が滑った!」

 

ゴヒュンと足元を何かが通過し、

 

「ひゃああ!?」

 

ガシッ!

 

義経が士郎の腕に抱き着いたのを逃さず梅子はパシャリと写真を撮った。

 

「うむ!いい絵が撮れたぞ?」

 

「わ、わわわ!こ、これは・・・」

 

思わず抱き着く義経、急にどうしたと義経を見る士郎。なんとも仲睦まじい一枚となった。

 

「せ、先生!もう一枚!ここ今度は普通に!」

 

「なんだ、気に入らんのか?もう保存してしまったぞ?」

 

悪戯を成功させたように笑う梅子に義経は顔を赤くして普通に!普通に!と叫んでいる。

 

そんな一部のものには羨ましい状況にありながら士郎はと言うと、

 

「弁慶、急に錫杖をアンダースローで投げたら危ないだろう」

 

「いやーついね」

 

「何がついなんだ」

 

確信犯を責めていたりする。

 

「あいつ初日でやりおったわ・・・」

 

「なんであいつばっか・・・」

 

と、一部からは怨念が醸し出され、

 

「?」

 

急に首筋が寒くなったなと士郎は首を手で擦っている。

 

「折角だ。皆並べ!」

 

「なになに?」

 

「義経と写真撮る系?」

 

「いくぞー!」

 

「義経ちゃんの横は――――はい。駄目ですねー」

 

「何やってんだよ。俺らもいくぞー!」

 

「ちょっとクリ、起きなさいよ」

 

「ううん・・・マルさぁん・・・」

 

「安定の可愛さダナー」

 

結局、F組と弁慶ら一部のS組が写るなかなかに豪華な写真となった。

 

 

 

 

そんなこんなで旅館に到着。荷物の整理をして士郎ははてどうしたものかと悩む。

 

「どうしたんだ士郎?」

 

同じグループのガクトが声をかけてきた。

 

「ああ。荷物の整理も終わったしどうしようかなと」

 

すぐさま風呂に行くのもなんだか風情が無いし、かといって自由行動の時間でもない。旅館の中でしか動けない。

 

「それならよ!一緒に行かねぇか!」

 

「一緒に行く?どこに?」

 

聞き出してみると何やら風呂上がりの女生徒を遠くから眺めるとのこと。

 

「またしょうもないことを考えてるなぁ・・・」

 

「お前は苦労してないかもだけど俺様達は切実なの!」

 

力説するガクトに士郎は頭を振って、

 

「ガクトは見た目いいし性格も問題ないんだから普通にしてればいいのに」

 

「うるせぇやい!」

 

そう言って彼は何人かの男子と行ってしまった。

 

「うーん、何しようかな・・・」

 

普段何かと動いている士郎は急に手持無沙汰になってしまい悩む。休み方を忘れた典型的なワーカーホリックだった。

 

「鍛錬でもするか・・・」

 

結局士郎は旅館の庭を借りて鍛錬することにした。それで汗を流せば風呂に入るのも気持ちがいいだろう。

 

そうして士郎は女将さんに許可を貰い、隠蔽と人払いの結界を張って鍛錬に励むのだった。

 

 

――――interlude――――

士郎達が修学旅行に行ってから、百代は退屈そうに授業を受けていた。

 

「モモちゃん退屈そうだね」

 

「だって士郎もみんなもいないしなー・・・あー士郎だけでも連れ去ればよかったかな」

 

「そんなことしたら学園長に叱られるよ」

 

「もしくは私も京都行こうかなぁ・・・」

 

「泊るお金あるの?」

 

「ぬー・・・」

 

授業を度外視しているあたりが実にF組である。

 

「そういえば源氏大戦、本当に最上さんの方で出るの?」

 

ふっと湧いた質問に百代は、ああ。と返事をした。

 

「士郎は絶対義経ちゃんに付く。と言うか旭ちゃんの誘いは断ったらしい」

 

「あんりゃま。そうなんだ(なんか企んでそうだしねぇ・・・)」

 

言葉とは裏腹に警戒心を持つ燕。実を言うと燕は源氏大戦にエントリーしていない。

 

声はかかったのだが断ったのだ。

 

「それでモモちゃんは衛宮君との戦いを楽しみにしていると」

 

「んー・・・ちょっと違うかも」

 

「え?」

 

思わず素の声を上げてしまう燕。百代は自分に相応しい相手である彼との戦いを求めているのではなかったのか。

 

「私はさ、認めてほしいんだ。ここまで来れたぞって。さらに上を目指すぞって。途方もない夢を追いかけるあいつに認めてほしいんだ」

 

その顔は晴れやかで、一点の曇りもない明るい笑顔だった。

 

「戦って勝てれば嬉しいけど、私は勝てないと思う。まだまだあいつがいる場所に辿り着けてないから。仮に勝っても、それはそれ、これはこれだ。勝ち負けじゃないんだよ」

 

「・・・でも戦うんでしょ?」

 

「それは私が武道家で、戦うことで一番それを示せるからだよ。士郎は迷惑がるだろうけど、きっと付き合ってくれる」

 

絶対の自信をもって百代は言った。

 

「だってあいつは、みんなを救う正義の味方なんだからな」

 

「正義の・・・味方?」

 

なんだそれは、と燕は思う。でも・・・

 

(そっか。だからモモちゃん、隙が無くなったんだ)

 

勝ち負けにこだわっていた時とは違う。己の信念を見せるために戦う。だから彼女は強い。

 

ただ強くて、それを誇示する彼女はもういないのだと燕は悟った。

 

(これは、私も考えなきゃいけないかな)

 

依頼は既に破棄を求められている。このまま意固地になる必要はもうないのかもしれない。

 

「モモヨ!この数式の答えは!」

 

「えー。2」

 

「適当!?」

 

こうして少し退屈になった日々を彼女は送っている。大好きな男は今は遠い場所だけれども。

 

きっとその時は近いのだと。そう信じて。

 

――――interlude out――――

 

 

「ふぅー・・・」

 

鍛錬を終えた士郎はゆっくりと温泉に浸かっていた。

 

「なんで京都に来てまで鍛錬してるのかねぇ」

 

「他にすることが無かったからだろう?本格的な自由行動は明日からだし」

 

なにやら大和は与一が、ぐにおくんなるゲームをゲーム機ごと持参したらしくそちらで盛り上がっているそうな。

 

当然そんなものを持参していなかった士郎は鍛錬しかすることが無かったのだが、

 

「なんで毎回ばれるかなぁ・・・」

 

今回はしっかり人払いと隠蔽の魔術を使っていたのだが、鍛錬中にマルギッテが士郎を発見し、ぼうっとその姿を見ていたのをきっかけに、

 

そこで士郎が何かしている、という意識が通行人に根付いてしまい、大観客の中演舞まがいの事をすることになってしまった。

 

「それよりもすごかったぜ?士郎が双剣を振るってる姿は早々みないからなー」

 

「それな!女子の目線を集めてるのは許せねぇけど確かにすごかったぜ!」

 

「三次元で二次元のような動きをするのは武神を除けばお前が初めてだ。あれなら金を貰ってもいいだろう」

 

キャップとヨンパチ、スグルがそう評価してくれるが士郎としては、ばれたことの方が問題なので苦笑である。

 

「士郎っていくつ武器を使えるの?」

 

「大抵のものは使えるぞ。ただし全部二流止まりだけどな」

 

「あの双剣もか?」

 

「ああ。と言っても、あれが一番まともと言うか・・・得意ではある」

 

「はー・・・先生ですら槍だけだってのに士郎はあれもこれも出来てすげーな」

 

「何言ってるんだガクト。レオニダスは剣も拳も大したものだぞ。スパルタは槍が折れれば剣で、剣が使え無くなれば拳で、拳がつぶれれば噛みついて戦ったんだぞ」

 

「・・・マジ?」

 

「マジだ」

 

思わず顔を青くするガクトに士郎はグイーっと伸びをする。

 

「ま、本人は今の時代でそんなこと必要ないって言ってるからそこまで訓練されることは無いだろうさ」

 

「ほ、ほんとか?いやー先生はホントにとんでもない人だぜ・・・」

 

「義経の事でよく騒がれるが、なんでレオニダス王本人が騒がれないんだろうな」

 

「・・・。」

 

裏で上手くやっているとは言えない士郎である。

 

「誰も信じないからじゃない?レオニダス王を名乗る別人、とか」

 

「それは一理あるかもな。あんまりにも現実離れしすぎてるし・・・」

 

「それにしても夢は諸国漫遊って言ってたのになんで京都に来なかったんだろうな?」

 

うーんとレオニダスの事で盛り上がる皆に士郎は内心本当に参っていた。

 

(やれやれ・・・もう少し俺にも魔術の才があればな)

 

もう少しうまく誤魔化せたろうに。今回のことだってなぜマルギッテは見破ったのか。

 

(ま、うまく誤魔化せてるからそれはそれでいいってことで)

 

と士郎は納得して湯船を楽しんだ。

 

 

 

 

湯船を上がってすぐ。ガクトたちがなにやらごそごそとしているのを見て士郎は声を潜めて言った。

 

「おい。もう就寝だろ、なにしてるんだ?」

 

「お、士郎も来るか?」

 

その一言で抜け出そうとしているのを悟って士郎は首を振った。

 

「そう言う事なら俺は遠慮する。どうせろくでもないことにしかならないからな」

 

「んだよ。付き合いわりぃな。ま、俺様達は行ってくるぜ」

 

「ちゃんと帰ってくるからばらすんじゃねーぞ」

 

「はいはい。俺は知らんよ」

 

これもまた修学旅行の醍醐味だろうと見送った。

 

すると、

 

「士郎君、士郎君」

 

「義経じゃないか」

 

まさか彼女も抜け出すつもりなのかと思えば就寝前に男子と話す機会が与えられたんだと言ってきた。

 

「そうなのか?」

 

「うん!明日から自由行動があるけど今日は無理だったでしょ?だから少しならいいって」

 

「ただし場所はラウンジだってさ。本当に就寝時間になったら解散するようにだって」

 

「そうか。そう言う事ならご一緒しようかな」

 

義経に誘われてラウンジの一角に行ってみれば先生方と不死川心が居た。

 

「なんじゃ。義経は衛宮を呼びに行っておったのか」

 

「うん。だって色々お話したいから・・・」

 

「俺なんかで良ければお付き合いするよ。時間は先生方に戻れって言われるまでかな?」

 

「そうだ。まだ二、三日あるというのにどうしてもというのでな」

 

そう言う梅先生の顔は柔らかい笑顔だった。

 

「たった一度の修学旅行だ。楽しめよ」

 

「はい。ありがとうございます」

 

その後、小笠原千花なども交えて随分な人数が集まり、明日の予定や、自由行動はどこをまわるのかなど。実に有意義な会話を楽しめた。

 

その中で気になったのは、

 

「義経達は五条大橋でイベントに参加しないといけないんだ」

 

「五条大橋で義経か~有名よね」

 

「武蔵坊弁慶が刀狩りに来たりしてな?」

 

「あはは!それ来たら大盛り上がり間違いなしね!」

 

「うう、義経としては心臓に悪い」

 

「義経の刀は盗られたらまずいからね」

 

唯一事情の分かる弁慶は義経をあやすように背中を撫でた。

 

「士郎君は自由行動どうするんですか?」

 

「俺は映画村に行こうと思ってたんだけど、義経達が出るなら五条大橋もいいな」

 

「!」

 

「いいね!是非来なよ」

 

「まぁすぐには決められないけど」

 

一応グループ行動なので勝手に決められないのだ。

 

「ってそういえばあいつら大丈夫かな・・・」

 

ここに先生方がいるなら無事脱走出来たんだろうが、キャップがいる辺り、ただでは済まなそうだ。

 

「そういえば源氏大戦、だっけ?士郎は出ないの?」

 

千花が士郎に源氏大戦の話題を振った。

 

「参加しない・・・わけじゃないんだけど・・・」

 

「し、士郎君!!」

 

そこで義経がぐわりと食い気味に立ち上がった。

 

「義経は士郎君と一緒に戦いたい!士郎君は戦いが嫌いだって言ってたけど・・・義経は士郎君と共にありたい!」

 

「よ、義経・・・」

 

「義経は至らない所ばかりだけど!士郎君とならがんばれるから!だから・・・!」

 

「ま、まて、義経!落ち着け!」

 

「・・・ハッ!」

 

じっとこちらを見つめる周りを見て義経はボンッと赤くなって小さくなってしまった。

 

「おうおう、やってくれるじゃないの」

 

「義経からのラブコールダネ!」

 

「まさか断るのではあるまいな?」

 

「・・・。」

 

士郎は考える。もう百代が旭側に付くのは知らされた。あとは自分次第という事だが――――」

 

「少し考えさせてくれ。そうだな、イベント終わりにでも伝えるよ」

 

そう言って士郎は立ち上がった。

 

「し、士郎君・・・」

 

「大丈夫、逃げやしないさ。明日を待っていてくれ」

 

「義経ちゃんを悲しませるんじゃありませんよー!」

 

真与の言葉に片腕を上げるだけで返事をして士郎は立ち去った。

 

「なんで士郎は拒むんだろうねー」

 

「あれだけ強いんだからモテモテになれる系」

 

「・・・強いからこそ、振るう場所を考えているのだと此方は思うのじゃ」

 

「お、心んも士郎を狙うの?」

 

「ね、狙うとはなんじゃ!?」

 

「士郎君・・・」

 

「大将は罪作りだねぇ」

 

「強くてカッコよくてミステリアスだからね。それと優しい」

 

「イケメンの条件揃ってる系」

 

「大丈夫ですよ義経ちゃん!ああ言ってたということはきっと一緒に戦ってくれますよ!」

 

「うん・・・」

 

「どっしり構えてようよ主」

 

そう言ってみんなで義経を励ます。

 

「さて、お前達。そろそろ時間だ。部屋に戻って横になれ」

 

「消灯ー!周りにいる生徒も部屋に戻るようニ!」

 

結局、士郎の参加は隠されたまま、修学旅行初日は終わるのだった。

 

 




途中経過、と言う感じですね。百代も義経も勝ち負けよりも戦いを経て、自分を見て!って感じです。

次回も修学旅行ですちょいと面白いイベントを考えていますので楽しみにしていただければ。では。
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