誤字修正はお恥ずかしいですが、しっかり見てくれてるんだなぁと思えるのでとても嬉しかったりします。そもそも誤字するなと言う話でもあるんですが…いつもありがとうございます。
今回は義経ちゃん達の五条大橋イベント…ですがなにやら様子がおかしいです。では!
京都到着日翌日。今日はグループ行動・・・なのだが。
「お前達なにしてるんだ・・・」
ズタボロになって早朝に帰還したガクトとキャップを見て士郎は呆れかえっていた。
「キャップと喧嘩した。ていうのは建前で、街に出てナンパしてたら八王子とかいう連中とバトルした」
「・・・いろいろツッコミたいけどなんでそんな怪我になるまで喧嘩したんだ」
キャップはまだしもガクトがここまで怪我をするのは非常に珍しい。元々彼はスパルタ式訓練によって非常に強いのだ。
「あー・・・ナンパした他校の女子で逃げなかった子がいてよ。その子守ってたらこうなった」
「ガクトの奴、いい男っぷりだったぜ?連絡先、交換したんだろ?」
「ああ。それを機に仲良くなった。それが一番の収穫だ」
何ともまぁ波乱万丈の一夜を過ごしたものである。しかし、彼らがこの調子ではいかな自由行動とて何もできまい。
「で、今日どうするんだよ。怪我してる上に寝てないんだろ?」
「それなー・・・俺様達はとりあえず寝る。んで時間あったら一、二か所行くわ」
「俺もだ。とにかくねみぃ・・・」
「ちゃんと手当しとけよ」
ノロノロと歩いていくガクトとキャップに士郎はもうそれだけ告げて今後を考えることにした。
「士郎は昨日の夜すぐ寝たの?」
「ん?モロも外出してたのか」
「う、うん。折角の修学旅行だし・・・」
意外や意外。彼も抜け出していたらしい。
「モロは怪我してないな?」
「うん。喧嘩はガクト達に任せるしかないからね。士郎は?」
「俺は、義経達と夜ラウンジで話してたな。先生たちが許可してくれたんだ」
「ええっ・・・じゃあ僕たち、抜け出さない方がよかったんじゃ・・・」
「抜け出すのは褒められたことじゃないぞ。自由に行動したいなら自分で金を貯めてくることだ。これはあくまで学校の行事なんだからな」
「ううん・・・先生にはばれなかったけど怒られちゃったよ・・・」
そう言ってトボトボ歩いていくモロを見送って士郎ははぁ、とため息を吐いた。
「まさかグループ行動が出来ないと来たか。これじゃあなぁ・・・」
予定の個所を回るのも一人ではあまりに悲しい。ということで、
「五条大橋、行ってみるか」
あそこなら義経一行もいるだろうし、いいものが見れるだろう。
そうと決まればと、士郎は周りの生徒より遅れて外に出ることになった。
――――interlude――――
橋の上で義経は笛を奏でる。でも何処か笛の音が定まらないことに義経は少し苛立ちを覚えた。
(お客さんの前だ!もっとちゃんとしないといけないのに・・・)
そう思えば思うほど音色は荒くなり、指は動かなくなっていく。
それでもそれなりに聞けるものだからか市長の解説も弁慶の演武も終わることは無い。
けれど・・・
(どうして義経はこんなに・・・)
笛を吹くとはこんなにも辛いことだっただろうか?いや違う。義経は違うことの方に意識が向いているからだ。
笛に意識が向いていないからこんなにも辛い。
「義経・・・なんだか苦しそうだな」
「同感じゃ。らしくないのう・・・」
同じ班の心と大和が心配げに義経を見る。いつもの清々しい音色がどこか苦し気に聞こえてくるのだ。
(多分、士郎の事で頭一杯なんだろうな)
大和は正確に義経の心を見抜いていた。義経は何としてもこの修学旅行で衛宮士郎を落とさねばならない。
そのことに義経は苦心しているのだ。
そんな時だった。彼が現れたのは。
「これはまた、苦しいメロディだな」
「士郎!?」
「衛宮?なぜこちらに来たのじゃ?」
それは誰あろう衛宮士郎だった。
「ちょっとトラブルがあってね。予定の場所を回れなかったんだ。それにしてもすごい人だかりだな」
周りを見渡せば人、人、人。とにかく義経を、弁慶を一目見ようと人が集まっていた。
「士郎、義経になにか言ったのか?」
「いや?別に特別なことは言ってない」
飄々と返す士郎だが大和は今の言い方に見覚えがあった。
「じゃあ特別じゃないことは言ったんだな」
「・・・。」
士郎は押し黙った。
「おい、一体何を――――」
言ったんだ、そう言おうとした時、笛の音が明らかに変わった。
「これは・・・」
まるで雲が晴れたというような清々しさで笛が奏でられる。
「どうやら持ち直したみたいだな」
士郎は腕を組んで満足気に頷いた。
「衛宮。お主義経に何をしたのじゃ?」
「だから何もしてないって。ただ目が合っただけだよ」
「目が合った!?ここからか?」
義経の姿は橋の上に準備されたお立ち台の上だ。義経からこちらを見るのは確かに可能かもしれない。
「さて、持ち直したようだから俺はちょっと行ってくるよ」
「行くってどこにさ」
「内緒だ」
そう言って士郎は雑踏に身を隠した。その後だった。急に叫び声のようなものが上がったのは。
「きゃあ!?」
突如ぬうっと現れたその男に女性は驚きの悲鳴を上げた。
「お嬢さん大丈夫ですかな」
白い頭巾に僧侶服。そして背中に沢山の武器を背負った大男がまっすぐに五条大橋に向かう。
「べ、弁慶だ・・・!」
「武蔵坊弁慶だ!!」
誰が彼をそう評したか、一人、また一人と弁慶の名が上がる。
「弁慶、弁慶って。べんけーちゃんはここに――――」
「あれは――――」
見上げるような巨躯に武器を山ほど背中に括り付けた白頭巾はまさに武蔵坊弁慶だった。
「拙者、刀狩りの破戒僧にて候。源義経公がおられると聞き参った次第」
「お、お客さん、困りますよ・・・ヒィ!」
シャキン、と振るわれた薙刀に市長が悲鳴を上げる。
「拙僧の目的は義経公の刀のみ。ご来場の方々には一切手出しせぬ故――――」
ちゃきりと義経が刀を構える。同じくして弁慶も錫杖を構えた。
「一手ご教授願う・・・!」
唐突な戦いが始まった。
――――interlude out――――
「主狙いってことなら弁慶ちゃんも黙ってられないなー、コスプレのおじさん?」
錫杖を突きつけられて尚破戒僧は薙刀を手に動かない。
「弁慶、下がっていてくれ。この人の狙いは――――」
「笑止」
「「!!!」」
瞬く間に二連撃。薙刀にて繰り出されたそれを受け止めて弁慶と義経は弾き飛ばされた。
「まだ年端も行かぬ娘とあらば一人も二人も変わらぬ・・・」
「こいつ・・・!」
「だめだ弁慶!二人で行こう!」
「応さ!」
義経の声で二人同時に攻め上がる。
「せい!」
「はぁ!!」
刺突の連打と後詰めの義経の一閃が閃く。だが・・・
「ぬん!」
ガギリ!と薙刀にて錫杖は絡めとられ、義経の一閃は立てた薙刀に受け止められた。
さらに
「ハッ!」
「くっ!」
「ああっ!」
反撃とばかりに身を捻り、加速のついた横薙ぎからの大上段下し。それぞれを受け止めた主従はやはり吹き飛ばされた。
「大丈夫!?主!」
「大丈夫だ!この人・・・!」
手練れだ。それも極上の手練れ。ただの武蔵坊弁慶のコスプレをした人物かと思いきやこの膂力この技の冴え。まさに武蔵坊弁慶に相違ない・・・!
「心ここにあらずと見える。そのように隙だらけでは義経公の名が泣こう」
「・・・っ」
「言いたい放題言ってくれるじゃないか。これでも私だって武蔵坊弁慶なんでね!力比べと行こうじゃないか!」
「弁慶・・・!」
弁慶が破戒僧目掛けて疾駆する。その姿はいつものゆらりゆらりとしたゆっくりしたものではなく、鋭く鋭利な刃の様に突きこむ。
ガン!
薙刀と錫杖がぶつかる。
「よし、力比べなら――――」
「ダメじゃな」
貰った、と声を上げる大和だが、それを心がきっぱりと切り捨てる。心の声を正解と言うかの様に、
「笑止」
ギギギ・・・
「なっ・・・!」
ゆっくりと弁慶が押し込まれる。腕力だけならば、百代にも匹敵するだろう弁慶が押し込まれる。
それはどんな悪夢か。この破戒僧は間違いなく壁越えの人間。今の二人では到底敵わぬ相手。
「やぁああ!!」
「ぬ」
ギキン!と義経の渾身の一撃で押し込まれそうになっていた弁慶を救い、破戒僧を押しのけた。
「ダメだ弁慶!一人ずつじゃ勝てない!」
「っ・・・主」
「ほう。素早い判断であるな。そこの小娘同様単身突撃してくるようならば、もろともに打ちのめそうかと思うたが」
もう一度破戒僧は薙刀を構える。
「来るがいい未熟な娘よ。汝らの武勇。この破戒僧に示すがよい」
どっと冷たい汗が二人の背中に伝う。二人同時に出なければこの相手は倒せないが一体どう攻めたら良いものか・・・
「弁慶、もう一度だ」
「主・・・?」
ぎゅっと士郎に鍛えられた刀を手に義経は静かに言う。
「もう一度、二人で行こう」
「・・・。」
真剣な表情の義経に弁慶も無言で答え、錫杖を構える。
「来るがいい」
もう一度、破戒僧はそう告げた。
「はっ!」
「せい!」
阿吽の呼吸とも言うべきか、どちらともなく駆け出し後れを取らず同時に二人の攻撃が迫る。それを、
「ぬん!」
一撃の下に弾き返される。だがそれは織り込み済みと弁慶はその場で一回転。錫杖を横薙ぎに振るう。
「笑止」
しかしその弾かれた勢いすらも利用した一撃は堅実に薙刀に防がれる。
「どうかなっと!」
防がれた弁慶はそのまま姿勢を下げる。そこを駆け上がって義経が上空から奇襲をしかける・・・!
「阿吽の呼吸見事!しかし、」
「まだだ!」
「!?」
ダダダダダ、と破戒僧に矢が降り注ぐ。
「那須与一か!」
その場に縫い付けられた破戒僧は装束を破りながら無理やり義経の一撃を防ぎにかかり、
「主のお通りだよ!」
ガツン!と錫杖と薙刀が弾きあげられた。
「ぬう!?」
さらに矢が的確に破戒僧の衣を射抜き、動きを鈍らせる。結果、義経の攻撃を防ぐことも避けることも出来なくなった破戒僧は、
「でやあああ!!!」
「見事ッ!!!」
ボン!と突如白い煙幕が立ち上がった。
「な、なんだぁ!?」
「煙幕だ!」
辺りを真っ白に染め上げるほどの煙幕が立ち込めるが、義経は逃がさぬと一撃を振り下ろした。
ザン!
何かを切り裂き、煙幕すらも断ち切った義経の一撃の後には・・・
「白頭巾・・・?」
破戒僧の被っていた白頭巾が袈裟懸けに切られていた。
「勝った・・・」
「義経が武蔵坊弁慶に勝った!」
一気に場が盛り上がる。義経が五条大橋で武蔵坊弁慶を打ち破った。
本当は弁慶と与一の援護があったからだがそれは綺麗に流され、義経の勝利としてその場は閉じた。
「主、やったね」
「うん・・・でも弁慶と与一が居てくれたおかげだ」
ゆっくりと断ち切られた白頭巾を拾い上げる義経。
「逃げられた、んだよね?」
「うん。見逃してもらえた、が正解かな」
最後に彼は見事、と賞賛していたのだから彼はまだどうにかできたんだろう。
でも彼は場を後にした。それは目的が果たせたから。
「主、刀が・・・」
「え?」
よく見れば。義経の刀が淡く光っていた。
「これ・・・」
「確か大将の言ってたやつだよね」
ヒュンヒュンと何度振っても光は消えない。
「・・・そっか。これはこう使うものなんだ」
大事に大事に鞘に納める。その頃には煙幕も晴れていた。
「義経ー!」
「無事か!」
大和と心が駆けつけてくれる。義経は白い頭巾を手に空を見上げた。
(ありがとうございました)
心の中でそう答えて。
その日の夜。
「いやー折角京都来たのに一日寝過ごしちまったぜ・・・」
「初日そうそうに喧嘩なんかしてくるからだろう・・・」
ため息を吐いて士郎はお湯に浸かる。
「それで、怪我は大丈夫かガクト、キャップ」
「おう。きちんと手当したから問題ねぇぜ!」
「明日こそは京都を回るぞー!!」
「あ、こら風呂ではしゃぐな・・・いっつ・・・」
お湯が傷に染みて士郎は顔を顰めた。
「なんだぁ?士郎も怪我してんじゃねぇか」
「いつもより大分マシな怪我だけどな。で!?どんな美女を守ったんだ!?」
「これは今日ぶつけただけだ。ガクトじゃないんだから・・・」
そう言って士郎は風呂を出る。
「あ、おいもう上がるのか?」
「ああ。ちょっとお呼ばれしててな。明日こそはみんなで回るからちゃんと寝ろよ」
士郎は足早に出て行った。
「お呼ばれだってよ。女子とか!?」
「君は女女女と退屈じゃないのかねー、ガクト君」
「あ、今の士郎っぽかった」
「そうか?それより明日回る所を決めようぜ!!」
風呂は士郎が居なくなっても賑やかだった。
風呂上がり、またラウンジに行くと義経達が居た。
「すまん、遅くなった」
「大丈夫よー私達も今来たとこだし」
「アタイらもお風呂に入ってた系」
「義経も今来たところだから!」
「主、それじゃ恋人との待ち合わせみたいだよ」
「こ、ここここ恋人!?」
「弁慶、そういうことは言うもんじゃないぞ。義経にだって好みがあるだろう?」
言外に自分じゃないという言葉にカクリと肩を落とす女性陣。
(なんで士郎ってこんなに鈍感なのかしらねー)
(お姉さんは衛宮君の将来が心配です・・・)
(もっとすごい爆弾入れなきゃ駄目カナー)
「それより、今日はみんなどこに居たんだ?」
「あたしとまよは映画村でしょー」
「アタイも映画村にした系」
「義経ちゃんの所にしようか迷ったのですが人が多くて・・・」
「そうそ。義経だー弁慶だーって地元の人みんなそっち行っちゃって」
「全然楽しめそうになかった系」
口々にそういう女性陣だが、
「それはどうかなー、こっちは謎の武蔵坊弁慶に襲われちゃったよ」
「謎の?」
「武蔵坊弁慶?」
意味の分からない単語に、?を頭に浮かべる三人。その姿に苦笑して、
「刀狩りの破戒僧を名乗る人物に襲撃を受けたんだ」
「ええ!?」
「大丈夫だったんですか!?」
「大丈夫・・・ってわけでもなくてねぇ・・・主と私と与一でどうにか撤退させたのさ」
「マジ?それ超盛り上がったじゃない系?」
「義経達が三人がかりで撤退って・・・」
「とても強い人だったんですね」
「うん。凄く強い人だった。でも・・・」
ごそごそと義経は白い頭巾を取り出した。
「義経は、なんだか教えてもらった気がするんだ」
「へぇ・・・何を?」
その問いに義経は恥ずかしそうに俯いて、
「義経は勝ち負けにこだわりすぎてたのかなって。戦うっていうのは嫌いじゃないけど勝ち負けがすべてじゃないんだろうなって」
そうして義経は頭巾をぎゅっと抱きしめた。
「今度会えたらお礼するんだ」
「主?」
「ありがとう、って」
「・・・そっか」
とてもにこやかに義経は笑った。それを見て士郎も笑みを浮かべた。
「士郎はその時どこに居たの?」
「俺は丁度離れた時だったからな・・・確かその直前に義経と会ったよな」
「え!?う、うんそうだね・・・」
「?なんで固まってるんだ?」
「士郎君・・・笑顔すごいからやめて・・・」
「なんでさ!?」
まさか笑顔を否定されるとは思っていなかった士郎は驚き、女性陣は笑った。
波乱に満ちた初日は何とか平穏に終わるのだった。
そして翌日、鞍馬山中腹。木の根道。
「すっげー木の根だなぁ・・・」
あちらこちらにしっかりと根付いた木々が生い茂る中、ここでかつて牛若丸が跳躍の練習をしたという。
「こりゃあ確かに跳んで跳ねるには丁度良さそうだぜ!」
そう言いながら近場の木に登るキャップ。
「おいキャップ。降りてこいって。遅れるぞ」
「なぁなぁ!士郎ならこの辺の木跳んで渡れるんじゃないか!?」
「・・・できなくはないけど。やらないぞ」
昔の自分ならいざ知らず。今の自分なら十分に牛若丸の様に跳躍出来るだろう。
しかし、それをこんな人目につくところでやる意味もない。
「お?義経達が立ち止まってるぞ?」
「何かやるのかな?」
ヨンパチとモロがそう言った途端。義経が彼らの視界から消えた。
「「き、消えた!?」」
「上だよ上」
そう言って士郎は指さす。だが、義経の姿は彼らには映らない。
「よっと!」
タン!とステップを踏むように義経が地面に戻ってきた。
「お見事」
「流石だぜ!」
「くぅ・・・シャッターチャンスだったのに・・・」
「この色ボケ猿。普通に褒めなさいよ」
「流石義経系。アタイはリングじゃないと無理系」
「リングなら出来る・・・恐怖だな」
羽黒のコメントに鳥肌を立てるガクト。
「それにしてもみんな大丈夫か?ここ結構歩き辛いけど」
山道があるとはいえとにかく木の根がすごいのでそれなりに険しい道だ。
「大丈夫大丈夫!ハイキングみたいなものよね!」
「体育で足腰鍛えられてますから!」
「まぁ二年生で苦労する奴はいないわな」
女性陣も意外とタフだ。普通なら結構きつくなってくるところだろうに。
(この辺はレオニダスに感謝だな)
体力不足で景色を楽しめないよりも断然いいだろう。そこはとても感謝する士郎だった。
「士郎くーん!」
「お?お呼びだぜ」
「なんだろうな・・・て、カメラ持ってるってことは」
「写真!写真撮ろう!」
「いいぞ」
「みんなも是非!」
「おっしゃ。またみんなで記念撮影と行こうぜ!」
「俺もカメラ持ってるんだけどな・・・」
「あんたのは女子しか写さないでしょ」
「その分、写真を撮るのはぴか一なんだけどね」
「ほらお前達!さっさと並べ!」
どうやらまた梅先生が撮ってくれるようだ。
「よし。では撮るぞ」
パシャリと何枚か撮られる。
「先生ありがとうございます!」
「義経、現像したら自分にもくれ」
「もちろん!あ、ついでに・・・」
パシャリと何気に士郎と二人だけの自撮りをする義経。
「?義経、今の俺しか入って無いだろう?」
「い、いいの!じゃあまた!」
逃げるように義経は前の列へと行ってしまった。
「あんな写真どうするんだか・・・ん?なんだ?」
「士郎ってさ。本当にF組の一員だよね」
「そうよねー」
「意外と頭弱い」
「なんだよみんなして」
はぁと一同にため息を吐かれて士郎は思わずたじろぐ。
「それより先行こうぜー」
「士郎のそれは死んでも治らねーからなー」
「死んでもとは失礼だな!?」
しかしガクトの言葉は真実を言い当てているのかも知れなかった。
(まぁいいや。しかし天狗に鍛えられた、か)
なんでだろう。サバフェスとかいう謎のイベントで高笑いを上げながら天狗のお着せで縦横無尽に飛び跳ねる牛若丸の姿が・・・
(違う違う。ていうか何だサバフェスって)
またも流れた知らない記憶にツッコミを入れて遅れまいと皆を追いかける。
「もうすぐ奥の院だな」
「なんだっけ、魔王がうんたらかんたら・・・」
「大和が大好きそうな場所だよな?」
「おいおいおいそんなわけないだろう」
「なんだか大和が必死だわ」
「昔の記憶に悶える大和もいいッ・・・じゅるり」
「あんまり過激な反応するんじゃない」
いつもながらの夫婦漫才にツッコミを入れて士郎は奥の院を見学する。
「見た目は普通の社だな」
元の世界では数々の場所を巡ったがこういう平和な観光地はあまり見なかったように思う。
「お、天狗のうちわだ」
「あっちで買えるぞ」
「へぇ、ミニ降魔扇か。俺も買っておこう」
これを型になにか刻印を刻んで本物にするのもいいかもしれない。
「あれ、士郎そんなに買うの?」
士郎は手に五個も持っている。
「ああ、留守番を任せてる人と知り合いにも配ろうと思ってな」
「あ!橘さんね!」
「当りだ。よくわかったな?」
「だって最近の事だもの。島津寮にもよく来るようになったんでしょ?」
「ああ。キャップの部屋に寝泊まりしてるよ」
「あそこ超強力なパワースポットだからなぁ・・・」
「寮内なら士郎のペンダントが無くても不幸に襲われないんだぜ」
なんだそれは。一体この男はどんな剛運を持っているというのか。
「キャップと一緒に寝てたのか?」
「いや?キャップは大和の部屋に泊ってた」
「その辺は徹底管理よ」
まぁキャップなら間違っても間違いは起こさないだろうが・・・
「しかしパワースポットか。ここもそうなんだよな」
「らしいね。なんだか携帯の電波がすごくよく入るとか・・・」
「それはアンテナがあるだけじゃ・・・」
「無粋なことを言うな!」
ぺシリと日本大好きドイツガールに叩かれた。
なにはともあれ修学旅行も大詰め。最後の夜。士郎はまたラウンジに呼ばれていた。
「ん?今日は義経だけか?」
「う、ううん。もう少ししたらみんな来ると思う」
そう言ってお互い対面で座る。
「今日で修学旅行も終わりだな。義経は楽しめたか?」
「うん!沢山写真を撮ることも出来たし、行きたかった所にはほとんど行けたから」
「京都は見るところが目白押しだからな。ま、イベントで襲撃されてそれどころじゃなかっただろうけどな」
「そんなことないよ。むしろ・・・」
スッと義経は懐から何かを取り出した。
「士郎君。ありがとう」
「さて、なんのことかな?」
出されたのは半ば断ち切られた白頭巾。
「義経と士郎君はパスで繋がってるんだよ。分からない訳ないじゃないか」
「・・・そうだった。こりゃ墓穴を掘ったな」
あははと笑う士郎の額に絆創膏が張られているのはその証拠だろう。
「それで、なんで感謝なんだ?」
「え?うんと・・・わからない。でも、士郎君に色々教えてもらった気がするから」
「俺は襲撃者だぞ。感謝されるのは筋違いだろうさ」
「でも!」
「まぁまぁ。それより良かったよ。義経は刀の一部を物にできたようだしなにより――――」
「うん。もう刃の振り所は迷わないよ。今回義経は源義経じゃなくてただの義経として義仲さんと戦う」
そう言う義経の顔には刃を振るうべきか否かのような迷いが消えていた。
「だからお願いする。士郎君。義経と一緒に戦ってほしい。勝ち負けじゃないけど、きっと勝たなきゃいけないと思うんだ。その為に君の力を貸してほしい」
「・・・。」
「ダメ・・・かな」
もじもじしながらも視線は士郎から外さない義経に遂に士郎は落ちた。
「わかった。協力しよう。でも相手に百代がいる。恐らく他の場面で手助けは出来ないぞ」
「!ありがとう!大丈夫。それこそこれは義経の戦いだから。弁慶も与一も直江君も・・・二年生のみんながいる。義経は義仲さんと決着をつけるよ」
「そうか。じゃ、俺は百代に専念させてもらうよ。・・・流石にもう余裕はないからな」
昔の百代に比べ今の百代は本当に強くなった。彼女は全身全霊でくるだろう。自分も全霊で相手をしなければならない。
「なになに、士郎も源氏大戦参加するの?」
そこで千花達がやってきた。
「ああ。義経側で出ることにしたよ」
「やっと心を決めおったか。いい加減観念したようじゃな」
「そういう心んも義経と一緒に出るんでしょ?」
「もちろんじゃ。・・・正直、あの最上旭とかいう輩は此方は好かぬ」
「そんなこと言っちゃいけませんよ。みんな仲良く、です!」
「まよ、それでも戦わなきゃいけない時もあるのよ。ここは静かに見守りましょう?」
「戦って決着つけるのも校風の一つだし!しっかりやる系」
「そうだな。俺は百代にかかり切りになると思う。羽黒、心、頼んだぞ」
「う、うむ・・・」
「うわ、なんかゾクっときた系」
「大将の頼みかーこれは頑張らないとね」
「弁慶!」
「衛宮士郎の頼みなら俺に否はない。同じ特異点として、な」
「与一も!」
「なんだか、賑やかになってきたな」
「そりゃあ最後の夜だもの楽しみ尽くさないとね!」
「士郎、ずりぃぞ!お前だけ楽しそうに茶会しやがって!」
「お前達が来ると騒がしくなるからだよ」
そう苦笑を浮かべる士郎と同じように先生方も苦笑を浮かべていた。
「あ、折角だからまた写真撮ろう!」
「この人数、入り切るか?」
「前の奴がしゃがめば入るだろ」
「俺にも撮らせろよ!」
「いいけどみんな写してよね」
「はは!随分賑やかな写真になりそうだ」
「うん!でもいい思い出になると思う!」
「では今回も・・・」
「あ、梅先生も入ってくださいよ」
「そうね、最後の写真だもの」
「お前達・・・」
「じゃ、おじさんが撮らせてもらいますよ。ほら並んで並んで」
急に増えた人数にぎゅうぎゅう詰めになって。
「はい、チーズ」
パシャリと。修学旅行最後の夜は幕を閉じた。
短めですが区切りが良いのでここで。
修学旅行は二日分を書かせてもらいました。実際は一週間で移動に二日とかなんでしょうけど…あんまりだらだら書いても良くないかなと思いまして。
何気にフラグ立てたナイスガイが居ますがその話も後々書いていきます。
次回からは本格的な調練と士郎の本気の鍛錬になります。ではまた次回お会いしましょう。