真剣で衛宮士郎を愛しなさい!   作:Marthe

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皆様こんばんにちわちょいとスランプ気味の作者です。

今回で源氏大戦は終了の運びとなりますが色々フラグを立てますので見てくださると幸いです。

では!


乱戦/終戦

「はっ!」

 

「そこ!」

 

キィン!と互いの刀が火花を散らす。義経は今、本隊を囮とした最上旭の急襲を受けていた。

 

「予想はしていたけど、大したものね!私の本気と打ち合うなんて。正直、驚いたわ」

 

「そうでしょうか。義経は、義仲さんは切りに来るなら本気で来ると思っていました」

 

再びギィン!と互いが交差する。実力は、はた目には変わらないように見える。

 

(けど、そうじゃないわ。この異様に静かな闘気はなに?)

 

先ほどは自分の急襲に浮足立っていたというのに今はまるで吹かれる柳のように静かに、そして相応しい風格を持って立っている。

 

(不思議だ。士郎君と話したからかな。義経は戸惑いがない)

 

ふとした拍子に目の前にいるはずの義仲から意識が外れそうになるくらいに義経は透き通った心持ちでいた。

 

『イメージするのは常に最強の自分だ。外敵などいらない』

 

(そうか。外敵がいらないって言うのはこういう事なんだ)

 

義経はようやく納得がいったと感じていた。

 

戦うべき相手を見ずして何を見るのか。それは己自身。『無理だ』『できない』と言った心の隙を打倒する。

 

敵と相対していても最終的に自分に立ちはだかるのは自分自身なのだ。その弱みを見せる自分自身を打倒した時、

 

「はあ!!」

 

「くっ・・・!」

 

彼女は実力の階段を駆け上がる。刀も自分も。想いという強力な原動力に突き動かされて。

 

「義経は実に良い成長をとげておるようだな」

 

「主が褒められるのは嬉しいですけど。私は成長していないって感じですね」

 

弁慶が油断なく棒を構えるが揚羽はカラカラと笑った。

 

「お前も十分成長しているように思うぞ。ただ、義経は階段を駆け上がるように成長しているのでな」

 

揚羽の拳の連打を棒で捌き、逆に棒による刺突の連打を見舞う。

 

しかしそれも揚羽の蹴りで一蹴されてしまう。

 

(まずいなー、相手は格上。アレを使ったとしても義経を守る余力がなくなる)

 

弁慶にも打つ手はある。だがそれは相手の強さに応じて消耗率が異なる。揚羽相手に使えば義経を援護する余裕がなくなる。

 

「いいのか?我相手に手を抜いていて。我は容赦せぬぞ」

 

「・・・。」

 

揚羽の言葉に弁慶は使う以外余地はないと悟る。

 

「じゃあ遠慮なく行きますかね・・・!」

 

「応よ!全力でかかってこい!」

 

義経は義仲と。弁慶は揚羽と熾烈な激闘を繰り広げる。

 

 

――――interlude――――

 

一方キャップ達は強化された最上軍本隊と激突していた。

 

「言霊とはこんなにも厄介なのですか・・・!」

 

普段なら余裕を見せるだろうマルギッテも眼帯を外し、気を引き締めて戦っている。

 

「京極先輩のは本物だからなー。それにしても、いい加減ここを切り抜けないとガクト達がやべぇ」

 

如何に強くなったガクトと言えど、これ以上は持つまい。

 

早くそちらの加勢に行かねばならない。

 

「キャップさん!」

 

「まゆっち!?なんでここに?」

 

由紀江はガクトと同じく歩兵部隊に所属していたはずだ。

 

「最初の爆撃で私を残して一年生は皆退場してしまいましたから・・・それより、救援をお願いします!」

 

「く・・・やはり限界が来ましたか」

 

「でもまゆっちが抜けてきて大丈夫なのか?」

 

「一子さんがこちらに合流したんです。なので隊がいない私が伝令に来ました」

 

シャキン!と周りを一瞬で切り払う由紀江。

 

「ここは私とお二人が残ってくれれば大丈夫です。急いでください!」

 

「わかりました。なら私が行きましょう。ただ歩兵部隊が増えるより弓兵もいた方が効果的のはずです」

 

マルギッテの部隊は弓兵と歩兵の混成部隊。この乱戦で背後まで気にして弓を引くのは危険だ。

 

「よし!なら俺とクリスはこのまま戦線維持だ!まゆっち!よろしく頼むぜ!」

 

「マルさん!気を付けて!」

 

「お嬢様、ご武運を」

 

方針は決まった。マルギッテは後退し、キャップの黒の隊、クリスの白の隊、そこに由紀江を加えて戦線を維持することになった。

 

(む・・・マルギッテ君の隊が引いたか・・・)

 

戦況を見ていた京極はマルギッテが援軍に向かったことに気付いたが、現状一杯一杯なのでどうすることも出来なかった。

 

(これ以上の言霊は危険を伴う。勝敗は近いか)

 

彼の仕事は最上旭が不在の間耐えること。敗北通知がされてない以上、彼女は義経の下に辿り着けたと考えるのがいいだろう。

 

(君がやりたいようにするといい)

 

京極は彼女がなにか隠しているのを知っている。だがそれを問い詰めることはしない。

 

彼がしてやれるのは彼女が思うがままに振る舞えるようにすること。

 

京極は残り僅かであろう戦いを支えるべく指示を出すのだった。

 

――――interlude out――――

 

ドン!と地を蹴り義仲へと接近する義経。

 

「はぁッ!」

 

一瞬で距離を詰めた彼女が振り下ろした刀は地を割る。

 

「大した力ね!でも――――」

 

回避した旭が刀を突きの形で構える。そして、

 

「そこッ!」

 

ビシュン!と突きを放つ。義経も回避したがあたかも刀が伸びたように義経の後方にある木に突きを刺した跡が残る。

 

「・・・ッ」

 

「さあ義経どうしたの!?この程度ではないでしょう!?」

 

彼女のこの異様なリーチの突きは、気によって刀身を伸ばした技だ。

 

想像以上に伸びてくるのできちんと見切らないと一突きされてあの世行きだ。

 

『現在、義経対義仲の総大将戦が行われています!』

 

『なんか刀伸びたりしてるんですけど・・・あれ当たったら死んじゃわない?』

 

『一応刃は無いようです。ですが当たったら即、死亡判定でしょうね』

 

などと、のんきな実況の中、二人はさらに激しく打ち合う。

 

そしてやはり義経は違和感を覚えた。

 

「・・・義仲さん。なぜそんなに必死なんです?」

 

「どういう事かしら。戦いだもの。本気に――――」

 

そこで義経はきっぱりと告げた。

 

「義仲さんは義経を切る気ですよね」

 

「・・・。」

 

その言葉にピタリと止まる最上旭。

 

「これは果し合いじゃありません。それは義仲さんもわかっているはず。刃もこうして引かれている。けれど――――」

 

チャキリと油断なく構える義経。

 

「その機会があればそうするという意思が感じられます」

 

「・・・流石ね。バレちゃったわ」

 

降参、というように手を上げる旭。

 

「そうよ。私は隙あらば貴女を切る気でいるわ。もちろん、加減はするけどね」

 

「なぜそんなルール違反をしてまで義経に勝ちたいんですか?果し合いならともかくこの場ではそれは筋が通らないですよ」

 

「・・・。」

 

「それになにか焦りのようなものを感じます。義仲さんがなんでそんなに焦って義経を切りたいのかわかりません。答えてください」

 

俯く旭の表情は見えない。だが、彼女はポツリとある言葉を口にした。

 

「暁光計画・・・」

 

「え?」

 

「その為に私は貴女を倒さなければならないのよッ!!」

 

「っ・・・」

 

勢いを増した剣筋が義経を襲う。それを危なげなく回避して義経は反撃する。

 

「義経!!」

 

「我を相手によそ見とは余裕だな!」

 

ドゴン!と弁慶のガードの上に揚羽の一撃が衝突する。

 

「ぐっ・・・」

 

「よそ見をする暇があったらよく我の事をみることだな」

 

「なん・・・」

 

そう言われて弁慶は何かに気付いた。

 

(ハンドサイン?)

 

拳を構えるのに混ぜて揚羽は何かの合図を送っていた。

 

(なんだ・・・?近づけ?合わせろ?)

 

何とか読み取れたのはそれだけだが、弁慶は揚羽の狙いを看破した。

 

(なるほど。主との戦いで注意が疎かになっている義仲さんを探ろうってわけか)

 

そうと分かれば立ち回りが変わってくる。激突に見せかけて二人の間をうろうろするのだ。

 

「行きますよ!」

 

「おうよ!遠慮せずに来い!」

 

なにやら雲行きが怪しくなってきたが弁慶と義経はとにかく目の前の相手の事を考えるのだった。

 

――――interlude――――

 

『さあ戦いも佳境を過ぎようとしています。宇佐美先生、現在の状況をお願いします』

 

『そういうのお前の方が得意そうじゃない・・・?まあいいけど』

 

どう考えても戦力、戦況分析などはスイスイ号の方が出来そうなのだが。

 

『現在は両軍が四層の戦線を維持する混戦状態になってる。ただ、若干義経軍の前線歩兵部隊が持ち直した感じだな』

 

『最初の爆撃で部隊の多くを失った歩兵部隊ですが獅子奮迅の戦いを繰り広げております』

 

歩兵部隊とはガクトの部隊だ。そこに今は一子とマルギッテが加勢したことでどんどん押し上げている。

 

『しかし敵の先に味方がいるので全体を押し上げると味方の部隊が苦しくなってしまいます』

 

『だな。だからこそ義経軍は一点突破で味方の軍との合流を狙っているようだぞ』

 

巨人の言う通り、一子の部隊が急速に攻め上がり、一点突破の様相を見せている。

 

「私達で道を作ってキャップ達と合流するのよ!」

 

「「「応ッ!」」」

 

「弓隊!川神一子の部隊を掩護するのです!島津岳人、まだ大丈夫ですか?」

 

振り返ってみるとボロボロながらもまだしっかりと二本の足で立つガクトの姿。

 

「ああ・・・こんくれぇへでもねぇ・・・いくぞオラァ!!」

 

既に彼は限界だった。しかし彼は分かっているのだ。

 

――――己が倒れればそこで終わりだと。

 

故に彼は決して膝をつかない。仲間を信じ踏ん張り続けるのだ。

 

「大丈夫か!ガクト!」

 

「大和!軍師がこんなとこに何の用だ!?」

 

「もうすぐ大勢が決する!最後のひと踏ん張りだ!!」

 

そう言って彼も木刀を手に戦場に舞う。

 

「おーけー・・・行くぞおめぇら!最後に(りき)入れろや!!!」

 

『お!?義経軍がさらに勢いをつけたぞ!』

 

『本陣の義経様と最上旭嬢の戦いに変化があったようです!』

 

戦いは最終局面。誰もが死力を尽くす戦場にあった変化とは――――

 

 

――――interlude out――――

 

 

「暁光計画?なんでそんなものの為に貴女は命を捨てるんだ!」

 

「それがお父様の長年の夢だったからよ!その為には私が貴女より優れていると示さなければならない!」

 

義経が問いただした暁光計画の中身とは人クローン技術を世界に提供するというものだった。

 

その為には自分がサンプルとなることも厭わないと旭は決心していたのだ。

 

「そんなの間違ってる!それは貴女の願いじゃない!」

 

ギィン!と互いの刀が閃く。義経の刀は光を放ち、二人を照らしていた。

 

「無理をして決めた儚い覚悟です!貴女の願いは別にある!そんなもの、義経が止めます!止めてみせます!」

 

「子供の喚き声ね。決めるわよ義経」

 

「それは貴女の方だ」

 

キン、と義経が刀を鞘に納める。

 

「――――遮那王逆鱗」

 

「え?」

 

義経から強烈な気が立ち上がる。

 

「義経・・・!」

 

それは心優しい義経が本当に怒った時に発動する技。周囲から少しずつエネルギーを集め、自分のものとする技。

 

(まずい、揚羽さんに合わせられなくな・・・)

 

一番に影響を受けるのは弁慶と与一。だが今回は違っていた。

 

「あれ・・・?」

 

「どうした、弁慶」

 

思わず呆然とする弁慶に何事かと問いかける揚羽。

 

「姉御!」

 

「与一か!」

 

パシュン!と矢の雨が降り注ぐ。それを揚羽が回避する。

 

「何やってんだ!あいつがアレを使ってるんだ、早く引かねぇと・・・」

 

「与一。あんた今エネルギー持ってかれてる?」

 

「あ?そりゃあ決まって――――」

 

そこまで言って与一も固まった。

 

「力が・・・引っ張られてねぇ・・・?」

 

「だよね。義経、一体何処からあんな膨大な気を・・・?」

 

義経は強烈な気を今だに放っている。だが、弁慶も与一も力を取られてはいない。

 

なぜならそれは――――

 

 

 

――――控室――――

 

「ぐっ・・・」

 

「士郎!どうしたんだ!?」

 

観戦していた士郎が急に顔を青くして膝をついた。

 

「魔力が・・・持っていかれている・・・?」

 

「魔力!?待ってろ今見てやる・・・!」

 

フオン、と百代が魔眼を開放する。

 

そこで百代も異変に気付いた。

 

「なんだ!?誰だ、私の気を持って行ってるのは!?」

 

彼女からすれば極々僅かな気が士郎を経由して何処かに流れている。

 

「まずっ・・・」

 

キィイ・・・キィイ・・・

 

金属をこすり合わせたような音が己の内から聞こえてくる。まずい。このまま魔力を持っていかれたら固有結界の暴走もありうる。

 

「っ・・・一か八かだ・・・!百代!お前の気を俺にくれ!」

 

「気を!?でも・・・」

 

「早く!」

 

切羽詰まった声に百代は泣きそうな顔で士郎の手を握ろうとする。だが、

 

チクリ。

 

「士郎・・・お前・・・!」

 

「大丈夫だ・・・百代のおかげで安定した・・・」

 

百代は驚いた顔で手にできた小さな傷を、握った士郎の手を見た。

 

そこには銀色に光るナニカが士郎の皮膚を内側から突き破っていた。

 

――――控室――――

 

 

「ぬ?義経め、敵である我からも気を奪っていくか」

 

揚羽も自分の気が何処か遠い所を経由して義経に注がれているのを確信して苦笑をこぼす。

 

(だが、収穫はあった。まさか最上幽斎がそんなことを企んでいようとはな。これは早々に動かねばなるまい)

 

「おい!我は急用が出来た!この勝負、お前たちの勝利だ!」

 

「「え?」」

 

そう言って揚羽はその場から立ち去った。

 

「奇襲にて決着とする」

 

黒い霧が立ち込める。宙を八度蹴り義経の姿は雲に消えた。

 

「何処からか急降下・・・逆落としをしてくるというわけね・・・でも残念、義経、貴女の刀光って――――」

 

しかし最上旭は驚きに目を見開いた。あれほど輝いていた義経の刀が見えない。

 

(さっきまで気を受けて光っていたはず。どういうこと?)

 

まさかこの奇襲の為に手を抜いた?まさかそんなことがあるはずもなく、

 

(主・・・!第二形態だ!!)

 

弁慶は確信した。義経は刀を真に己のものにした。

 

光が消えたのはその証拠。純粋な武器として彼女の刀は完成した。

 

「そこー--!!!」

 

旭の裂帛の気合と共に右斜め上の雲が切り裂かれる。

 

現れたのは義経。空中にいる義経に回避する余裕はない。しかし義経は、

 

「――――」

 

そっと。伸びてくる刀に己の刀を添えた。

 

瞬間、

 

キイイイィィ!!!

 

まるで刀を縦に裂くように飛び込んでくる義経。

 

「なっ・・・」

 

「覚悟ぉおおお!!!」

 

鋭い一閃が閃いた。

 

 

 

 

『勝負あり!全軍動きを止めてください!』

 

『救護班急いでねー!特に義経の所!』

 

大将、最上旭が打ち取られたことで源氏大戦は閉幕を終えた。

 

「私達、勝ったの?」

 

一子の問いに携帯を開いていた大和が力強く頷いた。

 

「義経が最上先輩を破った。俺たちの勝ちだ!!」

 

ウオオオオオ!!!と歓声が上がる。互いにハイタッチしたり抱き合ったりしている。

 

「島津岳人。よく頑張りました。戦いは終わりましたよ」

 

「・・・。」

 

マルギッテの言葉に返事はなく。

 

「・・・立ったまま気絶ですか。武蔵坊弁慶じゃあるまいに」

 

「おーい!俺たち勝ったって?」

 

「はい。義経が木曾義仲を破ったそうです。それよりお嬢様、お怪我はありませんか?」

 

「大丈夫だ!ってガクト!?」

 

「ありゃまぁ・・・綺麗な顔して気絶してら」

 

エイエイオー!と勝鬨を上げる一子に、平謝りしているあずみと寛大に頷いて働きを褒めている九鬼英雄。

 

そこに、

 

「おーい大和―」

 

「弁慶!無事か?」

 

「うん。ただ、気がかりなことがあって・・・」

 

「?」

 

それはここにはいない主の事だった。

 

 

 

 

「士郎君ッ!!!」

 

バン!と控室の扉を開ける義経。

 

「ああ・・・義経、おめでとう」

 

そこにいたのはいたるところから血を流している士郎の姿だった。

 

「義経ちゃん、なにか特殊な技使った?」

 

「うん・・・!みんなからエネルギーを貰う技を使ったんだ・・・それで・・・!」

 

「大丈夫だ、義経。これは俺が迂闊だった。魔術使いとして情けない。まさかパスを開けっぱなしにしてて魔力を持っていかれるなんて、ド素人もいいところだ」

 

そう。今回彼女の技でエネルギーを持っていかれたのは百代と揚羽、そして士郎だった。

 

最も最高効率の場所から彼女は無意識にエネルギーを吸い取ってしまったのだ。

 

「こんなに血が・・・ああ・・・!」

 

そして士郎は急速に魔力を吸われたために固有結界の暴走が起きかけて体を剣の先で突き破られてしまったのだ。

 

「大丈夫だ。気にするな・・・何度も言うけど、俺が迂闊だったんだ。まさか気の代わりに魔力を持っていかれるなんて思いもしなかったんだ。義経は大丈夫か?相当魔力を吸い上げてたけど体に異常はないか?」

 

「ないよ!義経は無傷だ!士郎君、本当にごめん・・・!」

 

涙を流す彼女に士郎は無事な右手を頭にのせて撫でた。

 

「すまない。心配をかけた」

 

「士郎。これからは起きないんだな?」

 

百代の言葉に士郎は頷いた。

 

「パスをきちんと閉じておけば大丈夫だ。今回は色んな所から逆流した上に持っていかれたのが原因だから」

 

「じゃあなんですぐにパス閉じなかったんだよ」

 

百代の眼も士郎とのパスの証。解析した時すぐに分かった彼女だが、士郎はすぐに閉じようとはしなかった。

 

「きっと義経が必要としているんだろうなって思ったからだ。それでも今回みたいのはごめんだな。百代と揚羽さんの気が流れてきて俺の魔力とぐちゃぐちゃに混ざったからな・・・正直きつかった」

 

「私と揚羽さんか・・・一番気の多い場所だったんだろうな。それより士郎。お前のその異常な体の事話してもらうぞ」

 

逃げることは許さないといった風の百代に士郎は困った顔をして、

 

「俺の魔術が失敗するとこうなるんだ。それ以上はなんとも、な」

 

「・・・。」

 

「川神先輩、ごめんなさい。義経は・・・」

 

「大丈夫だ。私としては微々たるものだったし。でも、義経ちゃんはその技改良しないとな」

 

「はい!・・・うう。士郎君ごめんなさい・・・」

 

「大丈夫だって。聞かん坊だな・・・それより、なんで俺がこんな状態だってわかったんだ?」

 

士郎の問いに涙を払って義経は右肩を見た。

 

「グスッ・・・パスを通して士郎君の暖かい力が流れてることに気付いて・・・それで見えちゃったんだ」

 

「見えた?」

 

「うん・・・果てない剣が突き立つ荒野で沢山の剣に貫かれてる士郎君が・・・」

 

「!」

 

義経の言葉に士郎は驚く。一度彼女達は自分を経由してアーチャーの下へと行ったが、まさかそこまで幻視するとは。

 

「義経ちゃん、その辺詳しく――――」

 

「士郎!!大丈夫か!?」

 

「士郎先輩!」

 

「士郎!」

 

どっと仲間達が入ってくる。

 

「おいおい・・・どこから嗅ぎつけたんだ?」

 

「みんな!すまない!義経が・・・」

 

結局義経が何度も謝り、士郎が叱られるという結末に終わるのだった。

 

 

 

 

「う・・・」

 

うめき声を上げて最上旭が気が付いた。

 

「義仲さん」

 

「義経・・・?あれ、私、切られて・・・」

 

ぼうっと体のあちこちを触ろうとした彼女だが、

 

「痛っ・・・」

 

走った激痛に脱力した。

 

「無理をするな旭。俺が言うのも何だが相当重傷だぞ」

 

「士郎・・・?貴方・・・!!」

 

痛む体を引きずって旭は士郎の元に向かった。

 

「お、おい!」

 

あまりの事に百代が慌てるが次の瞬間衝撃の言葉が告げられた。

 

「貴方!固有結界の暴走(・・・・・・・)が起きたのね!?体は大丈夫なの!?」

 

「なっ・・・」

 

「「「固有・・・?」」」

 

「「「結界・・・?」」」」

 

士郎は出てくるはずのない答えに。

 

百代と義経達は士郎にまつわるであろう謎の単語に。

 

それぞれ硬直してしまった。

 

「なぜそれを・・・?」

 

「あっ・・・」

 

口が滑った、と口を手で覆う旭。

 

「旭ちゃん、士郎の秘密を知ってるのか?」

 

「・・・話したことはない」

 

士郎は否定する。だが『固有結界』という単語が出てきた以上、最上旭は衛宮士郎の秘奥を知っていることになる。

 

「士郎。固有結界ってなんだ?」

 

「・・・。」

 

百代の問いに士郎は答えなかった。

 

「おい・・・!「失礼」!」

 

問いただそうとしたところに来客が現れた。

 

「こちらに旭が来ていないかな?」

 

「最上幽斎・・・!」

 

ギリ、と士郎の手に力が入る。ここで観戦していたが、彼だけは音声の無い映像から二人の会話を読唇術で知っていた。

 

彼の目的は完全に衛宮士郎の敵だ。しかし今回は士郎が動くまでもなく、義経が動いた。

 

「・・・義経?」

 

義経が最上旭と幽斎の間に立ちふさがる。

 

「義経は暁光計画も、義仲さんの犠牲も認められません」

 

そう言って彼女は腰に帯びた剣に手をかけた。

 

「強行するというなら義経は貴方を切ってでも止めます」

 

「義経・・・」

 

義経は本気だここで最上幽斎が下手な返答をすれば間違いなく切る。

 

「義経、私から言わせて?」

 

「・・・。」

 

「あのね・・・お父様。私、今の生活が大事なの。だから・・・」

 

「暁光計画を降りるのかい?」

 

「・・・(コクリ)。」

 

「そうか・・・僕は旭が心から賛同してくれてると思っていたけど、僕の為に無理をしていたんだね・・・わかった。暁光計画は中止しよう」

 

「中止しよう、ではない。お前はしかるべきところに行ってもらう」

 

「揚羽さん!」

 

現れたのは揚羽と黒服の男達。

 

「おや、これは僕への試練かな」

 

「最上幽斎!国家反逆罪及びテロの疑いで逮捕する!」

 

「はっはっは!僕を捕まえるのが君達への試練だ!」

 

そう言って最上幽斎は走り去っていった。その後を黒服が追いかけていく。

 

「国家反逆罪・・・旭ちゃんのお父さんやばいんじゃないのか?」

 

「そうね・・・でもお父様ならうまくやると思うわ」

 

「うまくやられたら困るのだが・・・」

 

はぁ、と揚羽がため息を吐いた。

 

「最上幽斎は国から追われる身となった。よって、お前の身柄は我らが管理する。異存はあるか?」

 

「異存があると言っても、私に道はないでしょう?」

 

苦笑をこぼして旭は言った。

 

「でもお父様がやったことについての証言とかは無理よ。私は暁光計画の事しか知らないから・・・裏で何をしていたかなんてわからないわ」

 

「それはよい。色々と裏取りが出来たのでな。その辺は良かろう。それと・・・先ほど気になる単語を話していたな?」

 

「・・・。」

 

その一言に旭は口を閉ざす。

 

「だんまりか。こやつは少々特殊な出身をしている。それを知る鍵になるのではないか?」

 

「でしょうね。けど駄目よ。彼の事は話せない。・・・そうしなければ、士郎を守れないもの」

 

「義仲さん・・・?」

 

先ほどとは打って変わり、意思は硬そうだった。

 

「・・・では衛宮と話して何処まで我らに明かしてよいのか話し合え。我らは衛宮と秘密の共有をする契約を結んでいる。なにも全てとは言わぬからいくらか情報を開示せよ」

 

「ダメよ。士郎の事は話せないわ」

 

「「「・・・。」」」

 

堂々巡りである。だが、最上旭が衛宮士郎の事について何らかの情報を持っていることが分かった。

 

「旭さん。落ち着いたら一度話し合おう。打ち明けるかどうかはともかくとして俺は君に確認しなければならない」

 

「いいわ。とにかく、私から言えることは何もないの。それだけわかって頂戴」

 

ふむ・・・と揚羽は困ったように息を吐いた。

 

「・・・よかろう。いずれにしろお前の身柄は九鬼で預かる。そして、しばらく監視付きだ。これは日本政府からの正式な通達でもある。最上幽斎はともかく、お前は特に犯罪者というわけではないが、自暴自棄になられたらこまるのでな。それと」

 

それだけ言い残し立ち去ろうとする揚羽がピタリと止まった。

 

「お前はなぜいつも血みどろなのだ?もう少しうまくできたであろう?」

 

「・・・これが私の性分なのでね」

 

ぐうの音も出ない士郎はそれが精一杯だった。

 

「また医者が病むな。ま、大きな仕事を終えたのだから少し休め」

 

「揚羽さん・・・大きな仕事ってなんですか」

 

「お前の相手の事だたわけめ!」

 

ゴン!!

 

「あいた!!」

 

いきなり揚羽が百代を殴った。

 

「何するんですか!」

 

「何もかにもあるかッ!貴様あれだけ暴れ倒しよってからに!誰が後始末をすると思うのだ!」

 

「えー・・・ジジイじゃダメなんですかー」

 

「川神院が土地の修繕まで出来るわけなかろうが!!」

 

揚羽が何に怒っているかというと、百代と士郎が戦った跡地の問題である。

 

「そういやモモ先輩と士郎が戦ったところ・・・」

 

山中のど真ん中だけが荒れ地になり、倒木も多い危険地帯となってしまったため、整備が必要になってしまったのだ。

 

「それについては私からも謝罪したい。あれが私には限界だった」

 

そう言って士郎は頭を下げた。

 

「お前はよい。どの中継をみてもお前が強烈な縛りの中抗っていたのは分かっている。それに比べこやつときたら・・・!」

 

それからしばらく、百代への説教で源氏大戦は幕を閉じるのだった。

 

 

 

――――残った謎と問題は多い。だが、いずれも悔恨残ることなく終戦したのは幸いだったのかもしれなかった。




いかがだったでしょうか・・・すみませんちょっと話がごちゃごちゃしてしまったかもしれません。

とりあえず最上パイセンと義経ちゃんの果し合いは無しになりました。その代りガッツリ戦って頂きました。

最上幽斎はⅯという事がばれてテロリストになりました。なんで揚羽が居たのかはクッキーシリーズ盗まれたからですね。追わなかったのはせめてもの慈悲です。

次回からオリジナル要素の塊になっていくと思います。(ほぼ優先ルート回収終わったので)それでも見てくれる方が居たらよろしくお願いします。ではまた次回!
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