真剣で衛宮士郎を愛しなさい!   作:Marthe

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みなさんこんばんにちわ。最近柿の種にドハマりしている作者でございます。

今回はやっと士郎も帰国…ですがその前にお疲れ様と言うか歓迎というかパーティを開きます。ここでやっとまともな会話をしていくと思うのでよろしくお願いします。

では!


帰国

「プロ―ジット!」

 

「「「プロ―ジット!!」」」

 

マルギッテの乾杯の音頭を受けて大きく返す猟犬部隊の隊員達。

 

今回はオリエンテーションを込めたパーティだ。最初に戦闘という形を取ってしまった士郎とリザたちの交易の場でもある。

 

未成年は士郎だけなので川神水が少し準備されているだけでほとんどの者が酒を口にしている。今日ばかりは任務も休みという事で夕刻から多数の隊員達が酒を手に笑っていた。

 

「むぐむぐ、むぐむぐ・・・」

 

「コジマ、そんなに食べて大丈夫か?」

 

リザの言葉に振り返ったコジマは両頬をリスのように膨らませて料理を頬張っていた。

 

「ん、ん!大丈夫だぞ!料理が美味しくてコジマは幸せだ!これは士郎が作ったんだろ?すごいなー。コジマ、こんなに美味しいの久々に食べたー」

 

「はは、だろ?衛宮の奴料理の腕もすごいんだ。これから教官になるんだからよろしくしようぜ」

 

「うん!コジマは元から仲良くしてもらうつもりだぞ!・・・リザとテルと違って」

 

そういうコジマの目線の先には黙々とマッシュドポテトを食べ、衛宮士郎を睨むテルマの姿が。

 

「テルは分かるけどなんで俺もなんだよー」

 

「コジマわかってる。リザは本当に心を開いたわけじゃないって。衛宮、衛宮って呼んでるのその証」

 

「ちぇー、ロリバッハのくせに言うなぁ・・・そういうコジマはどうなんだ?」

 

「コジマは仲良くしたい!でもってご飯沢山作ってほしい!」

 

いうやいなや、またもぐもぐと、食べ始めるコジマにカクリと肩を落とすリザ。

 

「お前は単純でいいなーコジマ」

 

「そうかなー。士郎ってそんなに自分を偽らないと思うんだけど。リザらしくない」

 

「だってよー、マル以外にも婚約者がいるって話だぜ?どうやったらそうなるのか俺には皆目見当がつかねーよ」

 

視線の先にはマルギッテとフィーネ、そして話す機会の無かったジークがいる。

 

「敵対しておきながらこれほど盛大なパーティを催すとは。お前は不思議な奴だな。衛宮」

 

「最初は敵でしたがこれからは仲良くしてもらいたいんですよ。折角一緒に鍛錬するなら仲良くやっていった方がいいでしょう?」

 

「確かにな。まぁ、我々も根を詰めていたところだ。気分を変えるには最適だろう。紹介が遅れたな。彼女はジーク。ジークルーン・コールシュライバーだ」

 

紹介された、女性としては高身長の薄い桃色の髪の女性がゆったりとあいさつした。

 

「副長に紹介してもらったジークルーン・コールシュライバーだよ。よろしくね」

 

「はい。俺は衛宮士郎です。よろしくお願いします」

 

「そんなにかしこまらなくていいよー。長いからジーク、って呼んでね」

 

「そう・・・か?なら俺も士郎でいい。よろしく頼む」

 

うん!と頷くジークと握手して士郎はどうするべきか悩んでいたことを話す。

 

「こちらは仲良くしてもらえそうという事で・・・マル、あちらの女性はどうすればいいか非常に困ってるんだが」

 

「テルマですね。彼女には・・・少々時間が必要でしょう。なにせ彼女は男性嫌いなので」

 

テルマは過去に男性に嫌がらせされた過去を持つので極度の男性嫌いとなってしまっているのだ。

 

そこに今回の士郎の実力に完敗したのもあり、中々縁は紡げそうになかった。

 

(マルの言う通り時間が必要だろう。ただ、なぁ・・・)

 

士郎としては彼女が鍛えたという見事なあの鎧の、正確には鉄の鍛え方について色々話をしたかったのだが・・・

 

(仕方ないか)

 

と、諦めた矢先、

 

「士郎はテルマが気になるのですか?」

 

「え?ああいや、あの鎧は中々見事な出来だったからな。鉄の鍛え方とか話せればと思ったんだが・・・」

 

マルギッテがそう言いだしたので士郎は思っていたことを話した。

 

「なるほど・・・士郎の鍛える武器は至高の出来ですからね。そんな士郎に見事、と言わせるとは」

 

「マル、衛宮は武器を鍛えるのか?」

 

「ええ。彼は日本・・・いや、世界一の鍛冶職人です」

 

「!!!」

 

「世界とは・・・大きく出たな。それほどまでに凄まじいのか?」

 

「それは彼の鍛えた物を見れば一目でわかるでしょう。黛由紀江、川神一子の武器が彼の作品の一部でしたが――――」

 

「待ってください!!」

 

バン、とマッシュドポテトを食べていたテルマが詰め寄ってくる。

 

「どうしました?」

 

「あの武器を・・・本当にこの男が鍛えたんですか!?」

 

信じられないと否定したがる様子のテルマだが、現実は現実だった。

 

「はい。間違いなく俺が鍛えたものですよ。これでも武器を鍛えるなら他に類は見ないと自負していますが」

 

「嘘よ・・・あんな業物を貴方なんかが・・・」

 

「テルマ。貴女の男性嫌いは仕方のないことだと思いますが認めなさい。世界は存外広いのです」

 

「・・・。」

 

テルマは悔し気に押し黙った。

 

「俺は特殊な方法で物体の解析が出来るんですよ。そのおかげで思うように鉄を鍛えることが出来る」

 

「そんな!そんなの・・・反則じゃない・・・」

 

ますます落ち込むテルマに士郎は苦笑して、

 

「確かに反則です。普通の人は経験からくる眼力のみで鉄を鍛えなければならない。だから貴女のあの鎧には敬意を表します。よく、経験のみであそこまで練り上げましたね」

 

「・・・貴方に褒められてもうれしくなんか無いわ」

 

「それはそれ、俺は自分を認めさせたいわけじゃないので構いませんよ。ただ、あの鎧の出来は確かなものだった。それを伝えたいだけです」

 

「・・・。」

 

それを聞いたテルマはそれっきり何も言わず立ち去って行った。

 

「大丈夫かな、マル」

 

「問題ないでしょう。あの鎧を物理的に突破したのは士郎が初めてなのです。多少の動揺は仕方のないことでしょう」

 

「そうだな。それにしてもRPGの直撃でも平気なあの鎧を、小石で突破されるなど考えもしなかった。あれは投擲技術ということだが、本当か?」

 

「ええ。間違いないですよ。身に付ければ誰だって同じことが出来ます。今回のテルマさんみたいにタンクキラーとなりえるでしょうね」

 

誰だって鉄に石が打ち勝つなど考えもしない。故に相手は必ず防御の構えを取る。本来受けてはいけない攻撃に無防備に盾を構えてしまう。

 

それが今回士郎が取った戦術の一つだった。

 

「テルマの事は追々整理がつくことでしょう。それより士郎、あの鉄甲作用という技、本当に私達に教えていいのですか?」

 

あれは一種の極意なのでは、とマルギッテは思うのだが、

 

「構わないさ。確かにあれを習得するのには時間がかかったけど・・・マルの隊で悪用する奴なんかいないだろうしさ」

 

「そう言われては私達も気合を入れないとな。悪用したらその者の手を奪うことにしよう」

 

「そこまで過激なのは・・・」

 

「いえ、必要です。小石であの威力なのですから鉄の塊など投擲したらとんでもない威力になります」

 

冗談抜きで銃弾と変わらぬ威力になるのは目に見えていた。道具を使わず、己の肉体のみでそれを行えるのは、常に銃を手に闊歩しているようなものだ。

 

「まぁ部隊内の原則に俺がちゃちゃを入れるのは間違ってるだろうからこれ以上は言わないけど・・・」

 

元の世界でも、対人ではなく、対化け物用だったので人相手には火力がありすぎるのは否めなかった。

 

「隊長。そろそろコジちゃんも紹介したほうが・・・」

 

「・・・そうですね。コジマの事ですから食べ漁っているでしょう」

 

そう言ってマルギッテは周囲を見渡して、ごっそり料理の無くなっているテーブルを発見する。

 

「いました。士郎、こっちです」

 

「ああ。フィーネさん、ジーク。これからよろしく」

 

「うむ」

 

「はーい!」

 

二人にはそう告げて士郎はマルギッテを追う。

 

「コジマ。士郎を紹介します」

 

「むぐむぐ・・・まって、まだ口の中いっぱいだから・・・」

 

あれだけ作った料理が一部ごっそり無くなっているのを見て士郎は、この子はセイバーと同じタイプの子だと判断した。

 

「んん!お待たせ!コジマはコジマ!力が自慢だぞ!」

 

「それでは挨拶になっていません・・・彼女はコジマ・ロルバッハ。見ていた通り怪力の持ち主です」

 

小さな身なりには見合わない強力な力を持つ少女だ。そしてあれだけあった料理もこの小さな体にどうやって納められているのか甚だ疑問だった。

 

「見事な攻撃力だったな。俺も直撃していたら危なかった」

 

「んー、でもなー、あっさり躱されたからなー。コジマ複雑」

 

「でも今回の戦闘で何か掴めたんだろう?」

 

「うん!石を投げるっていうのもいいなってコジマ思った。今まで遠距離攻撃って言ったらパンチで吹く風だけだったけど、手軽で簡単だな!」

 

「君の怪力なら十分な威力だろうがコントロールの練習もしないとな」

 

「だな!もぐもぐ・・・それよりこの料理全部士郎が作ったんだろ!?コジマは感激だ!」

 

そう言ってまたガツガツムシャムシャと食べ始めるコジマ。

 

「コジマは小柄に強力なパワーを持つからかよく食べるのです」

 

「あはは、見てて爽快な食いっぷりだな」

 

これは家の炊飯器を本当に業務用にしなければいけないかもと思う士郎だった。

 

 

 

 

 

宴に華やぐ中、士郎は一旦場を離れ、一人ベランダに出て夜風に当たっていた。

 

「士郎」

 

「ん、マルか」

 

夜空を見上げていた士郎に声をかけたのはマルギッテだった。

 

「どうしたのですか?」

 

「ああ、世界は変わっても星は変わらないんだな、と思ってさ」

 

世界を跨いだというのに星座は士郎の知るそれと変わらなかった。

 

――――それもそのはず。異世界へと転移はしたが、人間が生を営むそれほど変わらぬ世界なのだから。

 

「士郎の故郷はどんなところだったのですか?」

 

「俺の?」

 

マルギッテの問いに士郎は思わぬ隙を突かれたという顔をして、

 

「俺の故郷は、冬でもそこそこ暖かい場所だったな」

 

「確か、冬木、といいましたか」

 

「ああ。平凡な――――いや、平凡だったのは表だけだったか」

 

「・・・。」

 

懐かしむように士郎は目を閉じる。

 

「マルはもう知ってるだろ?どうして聞くんだ?」

 

「あれはただの記録です。士郎が何を感じ、どう生きたのかはまた別でしょう」

 

「そう、か。そうだよな。あれは記録。オレっていう何もわかってない小僧の駆けた御伽噺」

 

はは、と笑って士郎は向きを変えて手すりに肘を着いて空を見上げる。

 

「・・・ッ」

 

そのいでたちにマルギッテは悲しいものを感じた。

 

「士郎、その、ごめんなさい」

 

「なんで謝るんだ?」

 

士郎は不思議そうに首を傾げた。

 

(士郎は気づいていない。今度は私達が体よく利用していることを)

 

もしくは織り込み済みなのか、本人にはどうでもいいことなのか。彼はまた戦いの日常へと戻る。

 

その理由が自分達にあるのがマルギッテは、腹の底から怒りがこみ上げた。

 

「私達が、また貴方を戦火の日常に戻してしまう」

 

「戦火?とんでもない。ただ技術を学ぶだけだろう?」

 

「しかし!貴方が託した技で私達は――――」

 

戦いに赴く。それは衛宮士郎からこぼれ落ちたそれを、すくい上げ、戦場にもたらすことに他ならない。

 

「マルが何を言いたいのかはわかるけど、それならそもそも俺が拒めばよかった話だ。マルのせいじゃない」

 

「けれどそれでは――――」

 

自分達が結託した意味がない。我々は結託して、衛宮士郎を戦火から遠ざけようとしているのに。

 

「私は――――」

 

「なぁマル。あの技、見事だったぞ」

 

「え――――?」

 

唐突にそう言われたマルギッテは上手く頭が回らなかった。

 

「だから百代に使った技だよ。見せたのは一度切りだって言うのに大した練度だった」

 

「あれは・・・その」

 

今更ながらにマルギッテは急に恥ずかしくなった。惚れた男の、いや、憧れた男の技を自分用にアレンジしたなど。

 

まるでそれは――――

 

「士郎は、あの矢を放つのにどれくらいかかったのですか?」

 

「俺?俺は・・・思いのほかすぐに出来るようになったよ。なにせ――――」

 

未来の自分がいたのだから。そう紡がれるはずの言葉は紡がれなかった。

 

「ともかく、マルが気にすることじゃない。俺は君を信じているし、君は自分の部下を信頼している。なら、それでいいじゃないか」

 

「士郎・・・」

 

「なんだか湿っぽくなったな。ドイツの風は冷たいし、澄んでいるから色々思い出しちまう」

 

「・・・。」

 

そう言って苦笑する士郎にマルギッテは、

 

「ん・・・」

 

「ん!?」

 

さっと口づけを交わした。

 

「今夜は寝かせません」

 

「・・・それって男のセリフだぞ」

 

ガシガシと後ろ頭を掻いて士郎は会場に戻った。

 

 

 

 

 

翌日、フィーネ、リザ、コジマ、テルマ、ジークそしてマルギッテと士郎はようやっと日本に向かうことになった。

 

「なんだか滞在が短いと時間の感覚がおかしくなるな」

 

「士郎としては怒涛の毎日だったことでしょう。疲れは残っていませんか?」

 

「疲れは今のうちにとっておいたほうがいいぜー」

 

「リザのいう通り。ということでコジマは寝る」

 

「コジちゃん、はい。ブランケット」

 

ありがとう、と実に平和なやり取りのコジマとジーク。

 

対してフィーネとテルマは、

 

「こちらのパラメーターは・・・」

 

「それならばこちらは削って・・・」

 

新しい鎧のことについて話し合っている。ゆっくりと休む様子はなかった。

 

「リザさん達は眠らなくていいんですか?」

 

「そりゃ休暇だからなぁ・・・」

 

「不謹慎ですよリザ」

 

「だから本格的にやるって言ってるのに・・・」

 

あっけらかんとしたリザに頭痛を覚える士郎。

 

「だって・・・」

 

「だってもなにも、あの技が簡単に身に付くとでも思っているんですか?」

 

「・・・。」

 

士郎の言葉にピタリと止まったリザ。

 

「ええっと・・・衛宮、俺ら友達だよな・・・?」

 

「何を急に言っているのですか。友達であろうとなかろうと今回の任務には関係ありません。投擲技術ということで、リザには必ず体得してもらいますので」

 

「ギャー!?それ任務の合間にだろ!?休む暇もないじゃないか!」

 

「だから休暇などではないと何度も言っているでしょう。それに、向こうには最高のトレーニングコーチがいますのでダラダラする暇などないと知りなさい」

 

「うぇー・・・」

 

「隊長・・・その、私達左遷されたわけじゃないんだよね・・・?」

 

ジークの心配げな問いにマルギッテはしっかりと頷いた。

 

「私が提案したのだから当然です。私がお嬢様と日本で体験したことを踏まえて、猟犬部隊を日本に呼ぶことに決めたのです」

 

「報告書で見ていたが本当に私達を強化できるのか?」

 

「その点に関しては問題ないかと。なにせ家には壁越えも多数いる上に英霊まで居ますから。他にはない体験が出来ると思いますよ」

 

「入隊試験の時を思い出すね」

 

「確かに。基礎体力の向上、技術の習得。どれをとっても最高のチームが向こうにいるというわけだ」

 

フィーネはそう言って自分もブランケットを取り、眠る体勢に入った。

 

「ちぇー。折角日本を堪能できると思ったのに」

 

「それに関しては俺の方で努力させてもらいますよ。主に料理にはなりますが」

 

「ご馳走!ご馳走がたくさん・・・」

 

ガバリと起き上がったと思ったらパタンと倒れるように横になるコジマ。なんとも大きい寝言だった。

 

「随分と気に入られたな」

 

「それはよかった。わだかまりなく双方の為になるようにしたいですからね」

 

士郎はそう言って笑い、ようやく我が家に帰れることを実感した。

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで眠ればあっという間に日本である。空港では揚羽と、なんと総理が待ち受けていた。

 

「ようやく帰ってきたな」

 

「あれほど気をつけろって言ったのによぅ・・・お前さんてやつは」

 

「揚羽さん、総理も・・・」

 

「俺たちもいるぞ」

 

「マルさーん!」

 

クリスがマルギッテに抱き着き、士郎は仲間達と豪華なメンツに迎えられて困惑顔だ。

 

「俺、なんかしました?」

 

「なんかもなにもおめぇ、そこのクリスって嬢ちゃんを救出しろとは言ったけどよ。お家騒動にまで巻き込まれるなよ」

 

「そこはそれ、直江君ちの大和君に言ってください」

 

「総理、すみません・・・」

 

「はっは!これに懲りたら末永く幸せになるんだぜ?とにもかくにも、救出任務ご苦労さん。ありがとよ。兄ちゃんのおかげで被害者0だ」

 

そう言って労ってくれる総理に士郎はホッとした。元はと言えばテロ事件が起きたから士郎はドイツに行く羽目になったのだから。

 

「士郎には今後一応の事情聴取がある。なに、林冲と史文恭があらかた証言しているし、我らの従者部隊も居たからな。簡単な確認で済むだろう」

 

「それは助かります。揚羽さん、いくつかの武器の納品が遅れそうです。すみません」

 

「なにをいう!武器の一つや二つ納期が遅れるとて、それで人命が助かるなら安いものだ。そもそも人命のために我らは武器をお前に発注しているのだからな。気にするな」

 

「逆に、今回はすぐに救援を送れなくて悪かった。自衛隊は汚名返上だ!なんて言ってたんだけどよ。色々あって救援に出すのが遅れちまった。その代り、しっかり護送したからな。安心してくれ」

 

そう言って総理はイイ笑顔で笑った。

 

「そのテロリストの件につきまして中将から日本の総理当てに手紙を預かってきました。お納めください」

 

「律儀なこった。あれだけ電話会談したってのによ。まぁ、今回はフランク中将も大人しくしてるこったろう。それで、この別嬪さんを引き連れてきたてぇことはだ。ドイツの相談を受けることにしたんだな?」

 

「はい。紹介します」

 

「フィーネ・ベルクマンです。副隊長を務めます」

 

「リザ・ブリンカーです」

 

「コジマ・ロルバッハです」

 

「ジークルーン・コールシュライバーです」

 

「・・・テルマ・ミュラーです」

 

テルマだけ、長身のジークに隠れるように自己紹介した。

 

「すみません。彼女は――――」

 

「わかってるぜ男嫌いなんだろ?これは非公式な場だから構わねぇよ。無いとは思うが、公式な場ではしっかりしてくれりゃいい」

 

「ありがとうございます」

 

バッとマルギッテが敬礼し、他のメンツも敬礼した。

 

「士郎、遅れたけどありがとう。士郎のおかげでクリスの親父さんと話せたよ」

 

「ああ。手ごわかったろう?」

 

「強敵だった・・・でもクリスの父さんなんだなって思ったよ」

 

「大和が頭突きキャラだとは思わなかったぜ」

 

「そういうガクトも腕を上げたじゃないか。軍籍のコジマちゃんに勝ったんだろ?」

 

「勝ったつーか・・・キャップが来なかったらどうにもならなかったぜ」

 

「まぁでも、ガクトがそもそも強くなってなかったらあっさり倒されてたと思うぞ?」

 

「そっちのデカい兄ちゃんな!強かったぞー。危うくコジマ、本気を出す所だった」

 

「コジ―を本気にさせかけたのか。やるなガクト」

 

「それ褒めてんの・・・?」

 

ダバ―と涙を流すガクトにみんなで笑ってその場は解散となった。

 

 

 

 

――――interlude――――

 

士郎が事情聴取を受けている間マルギッテ達は先に衛宮邸へと向かうことになった。

 

「隊長。何も彼の家でなくとも良かったのでは?」

 

フィーネがそう進言する。が、

 

「士郎の家の方が都合がいいのです。無駄に宿泊費もろもろかかるよりも、彼に面倒を見てもらった方が管理もしやすい」

 

「それ、マルに限った話じゃないのか?」

 

「ち、違います!士郎は・・・その・・・」

 

「隊長、恥ずかしがってる。初めて見た」

 

「そうだね・・・衛宮士郎君、どんな人なんだろう」

 

「あのまんまだとコジマは思うぞ」

 

「どうかねー、戦闘になると恐ろしく雰囲気変わるぞ」

 

「それはリザが慢心してるだけ」

 

「なんだとー!」

 

キャーとわしわしされるコジマ。

 

「で、隊長。ほんとのところはどうなんです?」

 

「んん。先ほども言いましたが都合がいいのです。変に宿を取って集合、解散をするより彼の家で一通りこなせた方が無駄がない」

 

「それは衛宮の家に滞在するという壁越えの者達が居るからか?」

 

「それもありますが、何よりレオニダス王が居るからです」

 

「・・・そもそもその話、本当なのか?仮に何処からともなく現れたとして、なぜギリシャではなく日本に?」

 

「あーそれそれ。俺も聞きたかった。なんで?」

 

「・・・。」

 

マルギッテはどうすべきか悩んだ。

 

(士郎は無用に話すことを嫌っている。どうしたものか)

 

悩みに悩んで、マルギッテはこう言うことにした。

 

「英霊への呼びかけの中でレオニダス王が一番に彼の声に答えたからです」

 

「英霊って・・・あの英霊だろ?俺らの祖国にもいる奴」

 

「コジマ達の教官は幽霊なのか!?」

 

「ここだけの話ですが、そうです。正真正銘の英霊。人々に伝説と祭り上げられ、精霊となった実在の人物です」

 

「にわかに信じがたいな。だが、衛宮には不明な点が多い・・・その辺もしっかり調査させてもらおうか」

 

「・・・。」

 

フィーネの言葉にマルギッテはこれが限界だとため息を吐く。

 

「幽霊かー。俺たちの中に苦手な奴はいないと思うけど・・・ん?」

 

ふっと見れば、テルマがガタガタと震えていた。

 

「え、なに、テル怖いの?」

 

「うるさい!」

 

「テルはじゅんじょうだからしょうがない」

 

「コジちゃんは怖くないの?」

 

「コジマは楽しみだ!だって害のない幽霊なんだろ?怖くもなんともない!」

 

「コジマの言う通りです。確かに相手は幽霊ですがこちらに害をなす存在ではない。それに、先ほども言いましたが魂が昇華して精霊になっているのです。幽霊呼ばわりは礼を失すると理解しなさい」

 

「やっぱマルは詳しいなー。やっぱ衛宮と一緒に居て長いから?」

 

「彼がこの地に現れた時私もその場に居ただけです。私も知らずに精霊だ英霊だと言われても疑っていたことでしょう」

 

「そうなんだー。隊長、すごいね」

 

キラキラとした眼差しで褒めるジークになんとも言えない表情をするマルギッテ。

 

「それより、納得してもらえましたか?」

 

「半分だな。まぁ、接待してもらえるらしいので乗ってやるか」

 

「衛宮がマル以外の女に手を出したら仕留めていいんだよね?」

 

「勝手にしなさい。士郎は決して浮気などしませんから」

 

自信満々に言うマルギッテに、密かにリザはしめしめと笑っていた。

 

(これを使ってもそう言いきれるかな?)

 

この後、手痛いカウンターを食らうとは思いもよらずいたずら心をもつリザであった。

 

 

 

――――interlude out――――

 

 

「着きました。あれが俺の家です」

 

「おーでっかい屋敷だなー」

 

「改めてみると敷地広いよなぁ」

 

「綺麗な武家屋敷だね」

 

「・・・。」

 

ここまでマルギッテの部下(いつかのニヨニヨしてた部下)の車でやってきた。

 

皆荷物はコンパクトだが、人数が人数なので車を二台手配してやって来た。

 

「ただいま」

 

「おかえり、士郎!」

 

「おっと・・・」

 

飛びついてきた林冲に驚きながらも士郎は落ち着いて林冲を抱きしめた。

 

「ただいま。林冲が無事で嬉しい」

 

「私もだ。士郎が無事で嬉しい。あの後大変だったんだからな」

 

「聞いたよ、事情聴取やら後始末にも動いてくれたんだろ?ありがとう」

 

「玄関でなに乳繰り合っているのか。我が家にはまだまだ無事を報告せねばならぬ人間が居るだろう?」

 

「ちち・・・!し、史文恭だって帰ってきたら一番に労ってやるとか言っていたじゃないか!」

 

「だからこうしてやって来たのだろう?言い訳は見苦しいぞ、豹子頭」

 

「むー・・・!」

 

「あはは・・・史文恭もありがとうな。おかげで余裕をもって帰ってこられた」

 

「あの程度の事ならば造作もない。それより、後ろのはまた口説いてきたのか?」

 

そう言われて士郎は慌てて、

 

「そ、そんなんじゃない!彼女等は日本で修行するために来たんだ。晩飯の時にでも紹介しようと思ってるから少し待ってくれ」

 

「なるほど。見るにマルギッテの猟犬部隊という奴か?」

 

「史文恭は知っているのか?」

 

林冲の問いに史文恭は頭を振り、

 

「いや、そうではないかと想像しただけだ。噂に名高い猟犬部隊は、女性隊員でまとめられていると聞いたことがある」

 

「そうだったのか・・・じゃあ今日は宴だな。マルギッテの客人とあれば特別待遇だ。どうぞ」

 

「「「お邪魔します」」」

 

「部屋は沢山余ってるから好きな所を使うといい。荷物整理もあるだろうからマル、案内してやってくれ」

 

「わかりました」

 

「あ、士郎君、おかえり!」

 

「ただいま、清楚。調子はどうだ?」

 

「うん。好調だよ。・・・救出作戦、つれて行ってくれればよかったのに」

 

「そうもいかないさ。清楚にはあまり悠長にしてる時間はないだろ?行く予定の大学とかみつけられたか?」

 

そう言って帰ってきても賑やかに時は過ぎていく。

 

(帰ってきたんだな)

 

いつかの、冬木の自宅に帰ってきた時のような感覚を感じる士郎。なにはともあれ、無事に家に帰還出来てよかった。

 

そして彼女等の明るい笑顔を見れて本当に良かった。

 

「おかえりなさいませ!マスター。何やら来客が多いようですな」

 

「レオニダス。実は――――」

 

そうして衛宮士郎のドイツの旅は終りを告げ。また新たな日常がやってくる。

 

「士郎!おかえり!」

 

「ただいま!橘さん」

 

それが今までとはまた別な忙しい日々になるのは今からでも容易に想像の出来ることだった。




帰国編でした。実際、猟犬部隊全員が日本にやってくるのは原作になかったのでやってみました。

最近冬眠していた人理修復をしているので投稿が遅れております。すみません。いやもうね、敵が強くてね…試行回数がすごいです。石砕けばいいじゃんって?嫌だなぁ医師はガチャに使うものでしょ?(白目)

というわけで今回はこの辺で。次回もドイツ陣営の話かな。ということで!
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