真剣で衛宮士郎を愛しなさい!   作:Marthe

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皆さんこんばんにちわfgoの源為朝に惚れてガチャぶん回してしまった作者です。
今回は清楚メインで行きたいと思います。ドイツ組の事もあるのですこーしドイツ班の事も出て来ますが、メインは清楚です
では!


幕間:清楚と

「終了だ。皆ペンを置け」

 

梅子の言葉にその場に居た皆がため息と共に体を伸ばしていた。

 

「答案用紙は後ろから回せ。結果はすぐに出る。明日にでも掲示板に貼られることだろう。ひとまずは羽を伸ばすといい」

 

様々な声が上がる中、士郎は梅子の言う通り息を吐いて体を伸ばしていた。

 

(なんとか乗り切った。梅先生の言う通りそこまで根を詰めて勉強しなくても大丈夫だったな)

 

問題は選択肢系が多く本当に出席日数調整というようなものだった。もちろん常日頃から勉強していなければ痛い目を見るものだったが・・・

 

「さて、今日はどうするかな」

 

冬休み間近という事で掲示板に依頼は基本的にない。

 

あるとすれば緊急を要するもので代表が招集される場合のみだろう。

 

期末考査は既に終えているので、これからは冬休みに向けてゆっくりと落ち着いていくことだろう。

 

「衛宮、お前は私と共に職員室までこい。話がある」

 

「了解です」

 

とは言ったものの、一体何用なのだろうか?

 

(テストは受けたし、なにも後ろめたいことなんてないんだが)

 

はてどうしたものかと考えていると職員室に着いた。

 

「さ、入れ」

 

「失礼します」

 

中に入るとほんわか暖かい。士郎が受けていた備品修理の中にあった、職員室のエアコンが元気に働いているようだった。

 

「私は採点に入る。お前は学園長の所に行け」

 

「学長の?」

 

ますます何のことやらと悩む士郎だが、

 

「心配しなくても悪いことではない。むしろ胸を張って行ってこい」

 

と梅子が滅多に見せない暖かい笑顔で送り出してくれた。

 

「そう言う事なら・・・」

 

とりあえず不安は減少したので学園長室の扉を叩いた。

 

コンコンコン。

 

「衛宮君かの?」

 

「はい。何か用事があるという事で、うわぁ・・・」

 

テーブルの上にこれ見よがしに置いてあるものを見て思わず士郎は困った声を上げた。

 

「そんな声を出すでない。ほら、入った入った」

 

鉄心に促されて渋々入る士郎。問題の机の上のものはというと・・・

 

「ドイツから勲章と盾が届いておるぞ。これの保管についてじゃ」

 

「・・・学園長が預かってくれはしないですか?」

 

「よいのか?その場合誰もが見れるように専用の場所を作るが」

 

「・・・いえ、自分で保管します」

 

カクリと肩を落として士郎は頷いた。

 

「お主は相変わらず自らを誇ろうとはせんのう・・・美徳じゃが、あまり度が過ぎると相手方の失礼になってしまうぞい」

 

「誇れませんよ。俺は・・・全ての人を助けられなかった」

 

「はぁ・・・君の救うという概念は厳しいのう・・・」

 

救えなかったのは当然テロリスト達の事だ。彼らを更生させられれば彼の中でも勝利だったのだが。

 

当然そんなことは夢物語なわけで、士郎もわかってはいるのだが釈然としないのだ。

 

「まぁよい。君の夢がどのようなものかわかっていてそうしているのだろうし、もう口は挟まん。ほれ、感謝状じゃ」

 

「・・・。」

 

手渡されたそれを読むと難しい言葉は省いて、よくテロリストの脅威から人命を救ってくれた、それを表彰するとともに、これからもドイツと仲良くしてね、という感じだ。

 

「お主はテロリストから全ての人を救った。それだけは心にとどめておくんじゃよ」

 

「わかりました。でも困ったな。コレ今日全部持ち帰れないぞ・・・」

 

何かが記された銀の盾。数々の感謝状。そして盾のようにケースに納められた勲章バッチ。どれもこれもありがたいが、かさばるものだらけだ。

 

「わしが責任持って送るでな。心配せずともよい」

 

「ありがとうございます」

 

何とかなるようだ。

 

「いやはや、たいしたこと・・・ではあるか。それでも日本人の俺にこんな接待されても何も出ませんよもう・・・」

 

「衛宮君、わかっておると思うが・・・」

 

「はい。今回の事でドイツには警戒心が芽生えた、ってとこですかね」

 

口々に感謝が伝えられているが、同時に仲よくしようという言葉が必ずある。それは文面通りの意味ではなく、どうか敵にならないでほしいという意味でもあるのだ。

 

「一学生に大したもんですよ」

 

「君、学生にはとても思えんのじゃがのう・・・」

 

それはそれとして士郎は今後の事を考えた。

 

(これだけ持ち上げられて懐刀の猟犬部隊をなんの成果も得られなかった、では問題ありだろう。差し当たってはリザさんの鉄甲作用習得だな)

 

リザの修練には実質テルマも含まれている。まずはそこを重点的にやるのが良さそうだ。

 

習得する頃にはコジマも仕上がっていることだろう。ジークには霊薬の備蓄をいくらか渡したし、残るはフィーネか。

 

(戦術書とチェスだけじゃなぁ・・・揚羽さんに何かないか聞いてみるか)

 

そう結論付けて士郎は退出する。

 

「それじゃあ配達の方よろしくお願いします」

 

「うむ。テストも終わったことじゃしお主も息抜きを忘れるでないぞ。休養もまた身を鍛えるための修練と思いなさい」

 

「了解です。では」

 

今度こそ、退出した。

 

 

 

 

「うーん、鉄甲作用の特訓か・・・何かいい案はないかな」

 

士郎は帰りながら頭を悩ませていた。

 

「士郎君!」

 

そんな折清楚がパタパタと駆けよってきた。

 

「お疲れ様、清楚。今日も文学の勉強か?」

 

「うん。またいい詩が作れそうなの!士郎君は?」

 

「俺は追試と後程届くんだけど、ドイツから感謝状を頂いてしまって・・・」

 

困ったように後ろ頭を掻く士郎だが、清楚は沸き立った。

 

「すごいじゃない!確かにあれは見事だったよね。捕まってた人、だーれも怪我してないんだもん」

 

「まぁそうだな・・・」

 

「士郎君?」

 

つい先ほどの鉄心との会話を思い出し、士郎はなんでもない、とそれ以上は語らなかった。

 

「ねぇ士郎君、ちょっと遊びに行こう?」

 

「ん?遊びに?」

 

どういう事だろうと首を傾げた士郎に清楚は笑って、

 

「うん!士郎君追試も終わってすることなくなったでしょ。私も義経ちゃんみたいにデートしたいなぁ・・・」

 

「なるほど、いいぞ。何処に行こうか・・・」

 

うーむと悩む士郎に、

 

「とりあえず町の方に行こうよ。ここじゃなんにも浮かばないし・・・」

 

「そうだな。じゃあ金柳街に行こうか」

 

帰り足だったのを街に向けて歩き出す。今日は清楚とデートだ。

 

 

 

 

 

帰りが遅くなることをメールで天衣に伝えて二人は腕を組んで金柳街の街並みを見る。

 

「はぁ!雪が少し積もってるね」

 

「だな。いつか大量に降ったらどうしようか」

 

「そしたらねーかまくら作りたい!でね、士郎君の焼いたお餅食べるの!」

 

「それいいな。お雑煮とかも良さそうだ」

 

「いいねいいね!楽しみだなぁ・・・」

 

楽しそうに笑う清楚に、士郎も思わず笑顔がこぼれる。

 

彼女と二人きりで話すのは大分久しぶりな気がした。

 

「あ、あそこのカフェにしない?私の一推しだよ」

 

「清楚の一推しか。行ってみよう」

 

飲食店となると目を光らせる士郎。自分の手料理を普段から食べている清楚が一押しというのだからよっぽどだと判断する。

 

チリンチリンと鈴が鳴って来店を知らせる。

 

「いらっしゃいませ・・・って清楚ちゃんか。いらっしゃい」

 

「滝沼さんまた来ちゃった!」

 

親し気に話しているあたり、どうやら常連らしい。

 

「いつも贔屓にありがとう。そちらはボーイフレンドかな?」

 

「うん!衛宮士郎君っていうの」

 

「初めまして。衛宮です」

 

「うん。僕は滝沼 葵(たきぬま  あおい)。このカフェの店主だ。衛宮君の腕前はかねがね聞かせてもらっているよ。よければ一杯飲んでいってほしい」

 

「きっと士郎君も気に入るよ。私はいつもので・・・士郎君は?」

 

「コーヒーをブラックで。砂糖とシロップは無しで」

 

「承りました。それじゃ、空いてるお席にどうぞ」

 

窓近くの席を取って二人は一息つく。

 

「はぁー・・・勉強、疲れた」

 

「お疲れ様。凄く真面目に勉強してたもんね。手ごたえはどう?」

 

「問題なし、かな。むしろ勉強をし過ぎた。梅先生の言う通り、根を詰め過ぎなければ良かった」

 

困ったように苦笑を浮かべて士郎は笑った。

 

「そっか!よかった。士郎君家でもすっごい勉強してるんだもん。そんなに難しい試験なのかなって思っちゃったよ」

 

「難しいは難しかったけど、ほとんどが選択問題だったから答えるのは簡単だったかな。正義の味方が落第じゃカッコつかないからな」

 

そんな風に語らっている間に滝沼がコーヒーと清楚はカフェオレだろう二品と、お茶請けにドーナッツを持ってきた。

 

「はい、お待ちどうさま。こっちのドーナッツはサービスだよ。どうぞご賞味あれ」

 

「わぁ!ありがとう滝沼さん!士郎君これはレアだよー」

 

「ありがとうございます。そうなのか?」

 

「うん!川神グルメ歩き、っていう雑誌に載っててね・・・」

 

なんでも、大元を辿れば士郎が原因らしい。彼の振るまう料理やデザートが絶品という事で、一学生にそんな猛者がいるなら川神にもきっといるはず!ということである記者が念入りに調査したらしい。

 

「その時の記事に上手い事載ってね。わずかながら人気が出てくれたんだ」

 

「飲み物もだけどこのドーナッツが話題を呼んだんだよ!それからタイミング悪いといつも売り切れで・・・」

 

「僕一人で回しているからね、肝心な飲み物を疎かにしてドーナッツ作りはできないよ。それでも、空き時間があれば作り足しているけれどね」

 

年若く青年、とも見える彼もいろいろ苦労しているようだ。

 

「それじゃ、ごゆっくり」

 

そう言って滝沼はカウンターに戻って行った。

 

「さっそく食べよう!」

 

「ああ。それじゃあ・・・」

 

特に何もつけられていないように見えるが、かすかにシロップと粉砂糖がまぶしてある。それを一口かじると・・・

 

「美味しい」

 

士郎は自然とそう思った。ドーナッツは揚げ物であり、尚且つ甘みが強くなりがちでくどく感じるのだが、このドーナッツは甘さはほどほどにドーナッツ生地自体の甘さが目立つ。

 

「うん~!このしつこくない甘さがいいよね。カフェオレも・・・」

 

清楚と同じようにブラックコーヒーを一口。

 

「・・・ふぅ」

 

そちらも深い香りと苦みがマッチしている。一心地つけられる良い腕前であった。

 

「ね、凄いでしょ?」

 

「ああ。正直これほどとは思わなかった。まさかここまで本格派とは」

 

本当にびっくりした、と士郎は柔らかい笑みで答えた。

 

「あう・・・士郎君、その笑み人前で軽々しく浮かべちゃだめだよ」

 

「なんでさ?」

 

士郎自身は普通に笑ったつもりなのだが。とはいえこの衛宮スマイルに撃墜される女子は多く、清楚達もこの笑顔で見つめられると恥ずかしくなるのだ。

 

「それより行先決めないと」

 

「そ、そうだね。うーんっと・・・」

 

手持ちのバックから雑誌を取り出す清楚。中には付箋が何枚も張られており、一押し!と書かれている部分が多々見られた。

 

「観光雑誌か?俺にも見せてくれ」

 

「うん、いいよ」

 

快く見せてくれる清楚。中には実に様々な観光スポットが書かれていた。

 

「俺も川神に来て大分経つけど、こんなに観光スポットあるんだな」

 

「私も驚いちゃった。島に居た頃とは考えられないくらい街、って感じだもん」

 

そうしてペラペラとめくっていくと意外な場所に伏せんが張られていた。

 

「総合運動場、川神パーク?」

 

総合運動場というがどんな場所なのだろうか?

 

「ああこれね。色んなアトラクションがあるんだって。おっきなトランポリンとかそれを使ったゲームとか。バスケットのシュートとか野球のストラックアウトもあるみたい」

 

「へぇ・・・随分色々あるんだな」

 

確かに、雑誌にももろもろ書いてある。冬だというのにプールも解放されており、こちらは温水プールだそうだ。

 

「ここ、面白そうだな」

 

「気になる?」

 

「体を動かしてなかったからな。いい汗かけそうだ」

 

「それじゃあここにしよっか。今日は体育あったから体操着に着替えればいいかな」

 

「だな。よし、滝沼さんの心づくしを頂いたらそっちに行こう」

 

と、目的地も決まったことで二人は最近身近に起こった話をしてゆっくりと一心地つくのであった。

 

 

 

 

 

滝沼のカフェを出て約10分ほど。少し街並みから外れた場所に川神パークは立っていた。

 

「結構大きい建物なんだな」

 

「プールも併設されてるからね。私達の行くアトラクションはあっちみたい」

 

清楚と腕を組みながら士郎は受付にやってくる。

 

「すみません、大人二名で・・・ん?」

 

「はい。熱いお二人二名で」

 

受け付けに居たのは京だった。

 

「なんで京が受付してるんだ?」

 

「ん。アルバイト。クリスも一緒だよ」

 

クリスは交際を認められたものの、お小遣いは自分で稼ぐ方式になったらしい。これも良い経験だろう。

 

「プールいく?」

 

「いや、水着の手持ちがない。運動場のアトラクション希望だ」

 

「了解了解。先にお会計するね。中は入れれば後は無料だから。ただし、一回出たらまた料金が発生するから気を付けてね」

 

「わかった。じゃあ二人分頼む」

 

「あ・・・」

 

例の如く士郎が二人分出した。

 

「数少ないお小遣いだろ?大事にしないとな」

 

「ふふ、ありがとう」

 

何とも仲睦まじい二人を京は見つめて、

 

(大丈夫かなー)

 

ちょっとした心配をしていた。

 

更衣室で着替えていざ川神パーク本館へ。

 

「士郎君、こっちこっち」

 

更衣室を出た先に清楚がいた。

 

「さて、何からやるかな」

 

腕のストレッチをしながら清楚の方に歩いていく士郎。

 

「士郎君、あのね・・・」

 

「ん?どうした清楚」

 

「ここ、とっても楽しみにしてたの。だから――――」

 

スッと目を一回閉じると次の瞬間には瞳が赤くなっていた。

 

「んは!さぁ士郎やるぞ!何から行く!?」

 

覇王モードになっていた。きっと、楽しみにしていたから気持ちが高ぶってしまったのだろう。

 

だが士郎は動じることなく、

 

「そうだな。準備運動をして、トランポリンがいいな」

 

「そう言うと思っていたぞ!では俺が――――」

 

「はいタンマ」

 

パシ、と元気に振られた手を握る士郎。

 

「うわっと、何するんだ!」

 

「準備運動してから、って言ったろう?怪我したらどうするんだ」

 

「むう、この覇王に準備運動など・・・」

 

「必要だ。君の強さは賞賛に値するが、人間としての構造が違うわけではない」

 

「ぬう・・・」

 

正論の士郎に何も言えない清楚。

 

「なに、一時間も二時間もやれというわけじゃない。体を解してストレッチするだけだ。15分もかからない」

 

「まぁいいだろう・・・お前の頼みだからな!」

 

そう言って広いスペースで準備運動をする二人。元々そういうスペースなのか大画面に準備運動の仕方、という動画がながれている。とはいえその通りにやると20分から30分取られるため、流石に短縮した。

 

準備運動を終えた二人はいざトランポリンに。

 

(加減しないと天井を突き破るな)

 

そんな士郎の心配をよそに清楚は楽し気にトランポリンで跳ねていた。

 

「士郎!お前も早くこいっ!」

 

「それじゃ・・・」

 

タイミングを合わせて飛び乗る。清楚がかなり跳躍しているため、トランポリンもかなり勢いがついている。

 

「よっ・・・ほっ・・・」

 

加減をしながらそれでも随分高い位置に跳ねる二人。

 

清楚は跳ねるだけで楽しそうだが、士郎は、

 

(捻りや宙返りしてみるか)

 

まるで体操選手のように空中で体を捻ったり宙返りしたりする士郎。

 

当然清楚が黙っているわけなく。

 

「おお、流石士郎だ!俺も挑戦するとしよう」

 

そう言って挑戦する清楚だが・・・

 

「む・・・?ぬ・・・」

 

上手くできないでいた。

 

(そりゃそうだ。いくら肉体のスペックが高くてもテクニック(技術)がなきゃな)

 

士郎は思いのほか楽しそうに飛び跳ねているが清楚は真似できなくてむくれてしまった。

 

「悪い悪い、つい調子に乗った」

 

「別にぃー俺だって練習すればできるもん・・・」

 

「へそ曲げるなって。ほらあれなんか楽しいんじゃないか?」

 

士郎の指さした先には、トランポリンを使ったゲームが展示されていた。

 

「ほう。この俺にゲームで挑むか。その挑戦乗ってやろう!」

 

内容はいかに効率のいいジャンプで最速のタイムを出すかだ。途中特別ポイントのアイテムもあるので一概に最速であればいいわけではない。

 

意気込んで清楚はプレイを始めた。

 

「この覇王に動体視力を求めるなど愚の骨頂!」

 

「・・・。」

 

士郎はあえて言わなかった。この手のゲームは目標物を素早く察知することよりも、リズムを割り出し、的確に攻めていくのが結果的に最速なのだと。

 

「よっはっ!これぐらい何という事もない!もうゴールだ!」

 

途中のポイントは3分の1も取れてはいないが。確かに最速ではある。結果、

 

「なっ・・・この俺が・・・Bランク・・・だと」

 

「そりゃあ道中ポイント取れてなかったしなぁ」

 

「うぬぬ・・・もう一度だ!」

 

今度は途中のポイントアイテムを全て取ったが、今度はスピードが落ち、Aランク。

 

最高得点はSランクなのであと一歩足りない。

 

「ぐぬぬぬ・・・!」

 

その後清楚は何度も挑戦したが結局最後までAランクを越えることはなかった。

 

「この覇王が・・・」

 

士郎は悶える清楚を横に、随分よくできたゲームだなと感じていた。

 

(俺の想定より遅かったとはいえ最後は中々早かったはずなんだけど・・・)

 

これはもし自分の番が来たら、全力でかからねばならないと、気を引き締める士郎。

 

「士郎!お前がやってみろ!!」

 

いい加減疲れたのか息荒く士郎に言う清楚。

 

「ああ。やってみるよ」

 

という事で士郎に選手交代。彼は得点を取りながらタイミングを素早く割り出し、物凄いスピードでゲーム内世界を飛び跳ねた。

 

「お、おい。あの兄ちゃんやばいんじゃないか?」

 

「マジだ!これはSに行くかもしれねぇ!」

 

(レオニダスの体育での重りが無いから体が軽いな。レオニダスに感謝だ)

 

結局士郎は抜群の安定感でSランクゴールした。

 

「本当にやりやがった!」

 

「おめでとう!お兄さん!」

 

気がつけば随分と観客が集まっていたらしく口々に絶賛される士郎。

 

(清楚は・・・?)

 

肝心の清楚の姿を探すと、

 

(いた)

 

何やら苦虫を嚙み潰したような顔で士郎を見上げていた。

 

「清楚、どうだった?」

 

「・・・華麗だった。俺なんかよりもその・・・カッコよかった」

 

「そうか。君に見劣りしなくてよかったよ。次は何して遊ぶ?」

 

「次はあれだ!」

 

何処かプリプリしながら清楚は目的のアトラクションへと歩いていく。

 

(成長したな)

 

士郎はそう思った。昔の清楚ならば暴れていたかもしれない。

 

そうはせず、相手のいい所をきちんと褒められるのは大きな成長だった。

 

「士郎!何をしている!」

 

「ああ、今行くよ」

 

そうして日が暮れるまで遊んだ二人は、良い運動が出来たと満足するのであった。

 

 

 

 

 

帰り道、晩御飯に遅れて帰ってきた二人は幸せそうに天衣達が準備してくれた晩御飯にありついた。

 

「はぁ~楽しかった!士郎君ありがとう」

 

「いや、俺の方こそ感謝したいくらいだ。いい運動になったよ」

 

「二人とも、楽しむのはいいけど晩御飯に遅れたらだめだぞ」

 

天衣の言葉に素直に謝る二人。

 

「すみません橘さん」

 

「ごめんなさい・・・どうにも興がのってしまってな!許せ!」

 

「清楚がその状態だったならしょうがないな・・・おかず一品抜きで・・・」

 

「わぁー!ごめんなさい!謝るから持ってかないで―!」

 

「あはは!清楚、きちんと謝らないとな」

 

覇王モードで調子に乗っておかずを取られそうになる清楚。だがその表情は何処までも楽し気だった。

 

食事が終わり、士郎は湯船に浸かっていた。

 

「今日は動いたなー・・・」

 

なんだかその分お湯がよく染み渡る気がする。

 

「あー・・・」

 

上手い具合に悩み事が吹き飛んでリフレッシュできた気がする士郎。冬休みに入ったらすぐに猟犬部隊の強化に勤しむことが出来るだろう。

 

「やばいやばい・・・眠気が・・・」

 

このまま眠っては窒息死してしまうと重たい体を引きずって湯船を出て士郎は自室に戻った。

 

すると、

 

「・・・。」

 

こんもりと布団が丸く膨らんでいる。

 

「てい!」

 

「キャー!」

 

悲鳴を上げて近くの布団を手繰り寄せる清楚。

 

「こら。なんで俺の布団に清楚が潜り込んでるんだ」

 

「だって今日は・・・」

 

グイっと士郎は布団に引き倒されて、

 

「士郎君を独占できる日だから、ね?」

 

「・・・。」

 

結局士郎は今日何ラウンド目か分からない男の戦いに出向くのだった。

 

 

 

 

翌日、むくりと士郎は起きて、

 

「あー・・・」

 

頭が全然働いていなかった。ただ一言、昨夜の清楚は激しかったとだけは言える。

 

「・・・。」

 

はだけた布団ですいよすいよと眠る清楚に布団を掛けてやって士郎は寝床を後にした。

 

カン、コロコロ・・・

 

縁側に出ると、リザがもう修行を開始していた。

 

「おはようございます、リザさん」

 

「おはようさん。どうしたんだ衛宮ー?げっそりな顔して」

 

「ああー・・・色々ありまして。修行の方はどうですか?」

 

聞かれると答え辛いので適当にはぐらかして修行の進捗状態を聞く。

 

そうすると、ん、と出される右手。その右手には包帯が巻かれていた。

 

「ジークに治るまで禁止って言われた。分かってたことだけどどうしたもんかなぁ・・・」

 

「まぁ逃れられないことではありますね。・・・んー。でもこのままだとリザさんだけ成果が上げられなくなりそうですし、何か考えます」

 

「ホントか!?いやー頼りになるねぇ」

 

そんなことを言いながら慣れぬ左手で投げては礫を回収するリザ。

 

「士郎、おはよう」

 

「おはようございます橘さん」

 

彼女も朝食の為にすでに起きていた。

 

「士郎、帰ってきたらでいいんだけど・・・」

 

彼女も鍛錬がしたいという事で学校が終わったら士郎と一緒にレオニダスと手合わせを願っていた。

 

「もちろんいいですよ。コジマちゃんと交代でやりましょう。レオニダスにはもう言いました?」

 

「ああ。後は士郎がどうするかだけって言われた。でもいいのか?士郎何処か疲れているような・・・」

 

大丈夫だ、問題ない、と返して朝食づくり。その間も士郎はリザの投擲の補助具について考えていた。

 

(フィットタイプの手袋をベースに指ぬきを作って・・・)

 

そんなことをやっている内に皆が起きてくる。

 

「おはよう。みんな」

 

「「「おはよう!」」」

 

と新たな朝の始まりである。充実した一日一日を繰り返しながら士郎はあの手この手で対処をしていく。その姿は家を守る正義の味方のようであった。




今回はこの辺で。清楚との一日は覇王モードとそれ以外で緩急付けられてればいいなと思いました。

という事で次回は猟犬部隊の強化に入ります。もうちょっと色んな人書きたいんですが一応彼女等は時間制限付きなので…

では次回お会いしましょう。
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