今回は金曜集会終了後から話が始まります。
二つ目の聖杯に士郎はどうするのか?気になる方は多いと思いますがまずはドイツ組の強化からです。
ではどうぞ!
リザの新兵装は程なくして完成した。これならば彼女も成果を持ち帰れるだろう。
フィーネの方は九鬼の返答待ちだが近々お披露目されるという事でそれほど焦ってはいない。
問題なのは・・・
「なんでこれなんだよ・・・キャップの奴いかれてるのか?」
二つ目となるボロボロの杯に士郎は頭を痛めていた。一応、レオニダスにも聞いてみたが、
『呪いの類は感じませんな。至極真っ当な小聖杯であるようですが・・・』
このいつ崩れてもおかしくない聖杯にレオニダスは唸った。
『マスターの懸念もわかります。聖杯とはそもそも人間の欲が魔術を通して完成したもの。何らかの異常があるやもしれませんな』
『・・・すまない。これが真っ当な聖杯ならレオニダスを受肉させてやることも出来るんだが・・・』
『何をおっしゃいます!マスターの身の回りには来てほしい人から助けたい人まで数多でしょう。私の願いは所詮、諸国漫遊という誰でも叶えれられるものなのですから気にせずとも良いのです!』
『しかし・・・』
このまま川神に縛り続けるのもどうかと思う士郎。彼には非常に世話になった。自由を与えるのは遅いくらいのはずだ。
『とにかく!聖杯はこの手にあるのですから今しばし考えてはどうですかな?』
「・・・そうだな」
使うかどうかはともかくとして保管しておけばお守りくらいにはなるだろう。
そう考えて士郎は聖骸布で覆って一応の封印を施した。
そんなことがあったのが昨日である。聖杯の動向は気になるが、まずは強化予定のリザの所に行った。
「おーう衛宮。悪い。この様だ」
カランコロコロと虚しく地面を転がるゴム礫。
傷はもう癒えたらしく今日は右手で投擲している。
が、成果は芳しく無いようだ。
「リザさん、訓練の方向性を考えましょう」
「うーん?なんだぁ?」
行き詰っているのが分かるだろう気のない返事で士郎を見ると、
「なんだそれ!?」
改良に改良を重ねた電磁加速砲を可能にしたグローブがあった。
「今はまだ不格好ですが補助輪としては及第点でしょう。これを身に付けてください」
「お、おう・・・」
思った以上にサッと入り、しっかりフィットしている。着け心地も悪くない。
「ではそれに気をある程度込めてこれを投擲してください」
「これいつものと違うぞ?」
それは礫にゴム加工がされていないという事だった。
「当然です。今からやる動作にはゴム加工しちゃダメなんですよ。さぁゆっくりと気を流して、違いを感じてください」
「・・・。」
リザがグローブに気を込めるとブン、と青白い光が宿る。
「今です!礫を――――」
士郎が言うまでもなくリザは最適のタイミングで投擲した
ガツン!!
これまでとはまるで違う音が鳴り響き鉄板を貫通した。
「お、おおおおお!!!」
「何とか完成だな」
「なぁ衛宮、これどんな加工をしてあるんだ?」
「電磁波精製の術式にそれを伝道する宝石を混ぜ込んでいます。言わばレールガンを手元で発動出来るグローブですかね」
「れ、レールガン・・・」
グローブをつけた右手をぐっぱと開く。これがあれば自分でも鉄甲作用には劣るが強力な投擲が出来る。
「ちなみに指弾でも可能です。ただしこちらも金属の弾、という限定は付きますが」
「まさに超兵器だな。鍛冶師としての腕前は前から聞いていたが、まさかこんなものまで作り出すとは・・・」
「フィーネ・・・」
それを遠目に見ていたフィーネが感嘆の声を上げる。
「リザには今後金属製の礫に・・・そのグローブの許可申請を出さねばな」
「うん!」
振り向いてリザはがばっと士郎に抱き着いた。
「ちょ、リザさん!?」
「俺不安だったんだ。このまま何も出来ずにドイツに帰るんじゃないかって・・・一人だけ成果上げられないまま帰るんじゃないかって・・・」
「・・・もう大丈夫ですよ。それがあれば問題なく火力を出せます」
「ううう・・・ありがとう衛宮ぁ・・・」
そう言ってリザは泣き出してしまった。中々追い詰められていたらしい。その背中をポンポンと叩いて慰める士郎。
「やはりこうなりましたか・・・」
「マル?」
わんわんと泣くリザに抱き着かれた士郎は困ったように慰めている。
「士郎ならあるいは・・・と思いましたが、全く、罪作りな男です」
「こうなることが分かっていたのか?」
「薄々ですが。士郎の懐の深さは底知れないので」
マルギッテは困惑した様子で笑った。
「ライバルが増えましたね」
そう言いながらもマルギッテは華やかな顔をしていた。
その後、リザは鉄甲作用の練習ではなく、この電磁加速グローブの扱いの訓練に移行した。ただ投げるだけでなく指の間に挟んで複数投擲など、生き生きとした訓練だった。
そして変わったことが一つ。
「士郎、指弾ってどうやるんだ?」
彼女が衛宮から士郎に呼び方を改めたことだ。
「また難しいことを・・・流石にその補助は出来ませんよ?」
あれだけワンワン泣いた後、恥ずかし気に士郎でいい?と聞いて来たのだ。
敬語も要らないと言われたが、そこはまだ士郎の心の準備が出来ていないという事でまだそのままだ。
「やっぱり、やりましたね」
「な、何がだよ」
その夜。士郎とマルギッテは士郎の部屋で語り合っていた。
「リザの事です。士郎ならば必ず落とすと予想していました」
「落とすって・・・俺はただ・・・」
良いのです、とマルギッテは優しく微笑んだ。
「猟犬部隊は私の家族のようなものです。そんな彼女が士郎に惚れたのは喜ばしい事です」
「でも、嫉妬はするから俺の部屋に来たんだな?」
「それは、言わない約束です」
スーッと二人の距離が近づくが、
「ちょっと待ってくれ。お客人の前でじゃな」
「お客人?む!?そこ!」
ストン、と引き戸を開けると、
「あいやー・・・見つかっちまった。本当は始まってから混ぜてもらおうと思ったのに・・・」
リザが隠れ潜んでいた。
「リザ、どういうつもりですか?」
「え?そのままだけど・・・しないの?」
「流石に知り合いの前では・・・」
「じゃあさ!俺も混ぜてくれよ!」
「リザ!?」
「ええ?」
「こんな気持ち、初めてなんだ。男なんかって思ってたのに士郎はその・・・とにかく、俺ともしてくれ!」
「・・・士郎、どうしますか?」
「・・・。」
士郎的にはNOなのだが断って悲しませるのも・・・と思ってしまう。
そこで士郎は婚約の事を持ち出した。
「リザさん。俺は誰でも抱いているわけじゃありません。俺は婚約者としかしません」
「・・・。」
「故に問います。リザさんは俺と婚約を結んでくれますか?俺以外の人を選ぶ機会は来ませんか?」
「もちろんだ!俺は士郎しか考えられない!婚約させてくれ!士郎!!」
「・・・。」
ふぅ。と息を吐き士郎はマルギッテを見る。
「って言われちゃったけど、マルとしては?」
「先ほども言った通り彼女達は家族です。ですから私は構いません。リザは身持ちも固いですし」
だが嫉妬はする、という事で士郎はそのまま押し倒された。
「マル、もうちょっと疑念をだな・・・」
「リザの事は良く知っています。だから大丈夫です。リザ、こちらに来なさい」
「・・・(ゴクリ)」
そうして結局二人を相手にすることになった士郎は・・・本当に、女性に溺れて溺死しないようにと思うのだった。
翌日、艶々とした二人に比べ、またもげっそりとした士郎は何とか台所に立つのだった。
「し、士郎、大丈夫か?今日は私に任せてもう少し休んだ方が・・・」
「大丈夫です俺は溺れないと決心したので」
カッコよく言っているが結局自分のせいなのでなんともキマっていない士郎だった。
「それじゃ、いただきます」
「「「いただきます!」」」
栄養補給だ、と言わんばかりに食べる士郎。セイバーの気持ちがちょっとだけ分かる気がした。
「食べながら聞いてくれ。今日は学園を休んで九鬼に行く。フィーネさん、同行願えますか?」
「む?構わないが九鬼に何用だろうか」
「実は九鬼に依頼していたシミュレーションゲームが出来たそうなんです。ゲームではありますが実戦的なものになっています。フィーネさんにも益があるんじゃないかと思っています」
「シミュレーションか・・・現場を仮想戦場としてやるなら、将棋やチェスよりは有益そうだな」
意外にも、たかがゲームとは言わなかった。
「なんだ?意外そうな顔をして」
「いや、たかがゲーム如き、と言われるものかと・・・」
「その気持ちはなくはない。だが衛宮。お前の目が有益だと感じたのなら私も信じようと思っただけだ」
「フィーネさん・・・」
こちらも信頼関係が結ばれていることに士郎は感謝した。
「じゃあ今日は九鬼で色々試しましょう。林冲、付き添い頼めるか?」
「もちろんだ。今日は私も休んで士郎に付いていくぞ」
「護衛は必要ないように思うがな。林冲、よろしく頼む」
「私は士郎を守る。士郎の守りたいものを守る。だから気にしなくていい」
「好かれているな」
はっはとフィーネは笑って言った。
という事で道中色々な話をしながら九鬼に向かう。
「へぇ、フィーネさんはマルと同期だったんですか」
「うむ。あの時からマルは軍人として優秀だった。天才と呼ばれていてな」
マルギッテの過去の話を聞けるのはとても楽しかった。
「もうちょっと聞きたいところですが、到着です」
相変わらずの巨大な九鬼本社ビルを見てため息を吐く士郎。
「相変わらずのいで立ちだ。えっと、入り口は・・・」
前回案内された場所に行くと、ステイシーが待ち構えていた。
「おう。待ってたぜ」
「今日もお世話になります」
「荷物があれば預かるけど特に問題なしか?」
「ええ。手荷物は貴重品だけです」
「了解。それじゃ、案内するぜ」
彼女の案内に従って中に入る。
「これが噂に名高い九鬼の本社か・・・私も来るのは初めてだな」
「相変わらず会社って感じはしないな」
「士郎、わかってると思うけど、気を付けてくれ。強い気配をいくつか感じる」
「わかってる。だけど今日は決闘しに来たんじゃないからな。警戒度下げて大丈夫だぞ林冲」
「・・・それで士郎はいつも大怪我して帰ってくる」
ぷくりと頬を膨らませて林冲は士郎の背中をつねった。
「あいた!林冲・・・」
「・・・(プイッ)」
「クックック・・・英雄・衛宮士郎も嫁の前では形無しか」
「それは言わないでくれ・・・」
そんな会話をしている内に目的の部屋へと着いたらしい。
「ここだぜ」
コンコンコンとノックしてステイシーが士郎達の到着を告げた。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
中に入ると待っていたのは英雄と揚羽だった。
「おお!兄上!今日はめでたき日だな!」
「ふっはっはっは!よく来たな士郎!」
何とも騒がしい姉弟だが彼女等が忙しい合間を縫って作り上げてくれたと思うと頭が下がる思いだった。
「二人とも、今日はありがとう。フィーネさん、こちらが・・・」
「九鬼家長女、九鬼揚羽である!」
「弟の九鬼英雄である!」
「
「猟犬部隊・・・という事はこの筐体を作るきっかけとなった人物だな!よろしく頼もう!」
「きっかけ?どういう事だろうか?」
初耳だろう言葉にフィーネは首を傾げた。
「なんだ、聞いておらぬのか?此度のゲーム筐体を作ることになったのは、士郎が猟犬部隊の指揮を強化するのに良いものは無いか、という所から始まったのだぞ」
「同行を求められた時から薄々は理解していたが・・・すまないな衛宮。そして九鬼の方々。私達の為に随分な苦労を負わせてしまった」
「なに、そこはきちんと我らにも利益のあるものになっているから気にすることはない!その辺も兄上がアイディアをくれたのでな!設定を落としたものを一般筐体として売り込む手はずだ」
「ということは、これはより実戦的なものだと?」
フィーネの問いに、うむ、と英雄が頷いた。
「実戦的過ぎてゲームとしては些か扱いづらかろう。なにせ実戦に必要な事柄のほとんどを詰め込んであるからな」
「これは設定を落とさねば、軍事訓練ともとれる状態に仕上がっている。お前も気を引き締めねば意外なところで屈するかもしれぬぞ」
「ほう・・・それは興味深い」
ニヤリと笑うフィーネ。気合は十分のようだ。
「ではテストを始める!相手は弟の英雄だ」
「うむ!まずは手札を渡すとしよう」
「手札?」
「ああ、そこまでこちらの筐体には意味はないが、一応の雰囲気としてな。好きなものを選ぶがいいぞ」
アメリカ陸軍、ロシア連邦、フィーネが属するドイツなど、様々な意匠のカードが配られた。
「察するに、このカードで自分がどの軍を操るか決めるわけか」
「そう言う事だ。一応ドイツのフランク・フリードリヒ中将の許可ももらってこんなカードも準備したぞ?」
そう言って見せられたのは駆ける狼のカード。間違いなく猟犬部隊のデザインだ。
「では、私はこのカード一択だな」
迷わずフィーネは猟犬部隊のカードを取った。
「では我も・・・とと、これは見せない方がよかろうな。これにしよう」
そう言って英雄も一枚カードを取った。
「なるほど。初めから何のカードを取ったのか分からなければどう攻めるかも変わってくる。カードにしたのは売り出すためか」
「その通りよ。ある程度のステータスの違いがある。そこはまだ手の入れる余地があろうな。それでは互いにカードをセットせよ」
差し込み口にセットしブン、と液晶パネルが光った。
――――筐体駆動率97%……100%……起動確認
――――IDカードを認証
――――システム読み込み開始………ようこそフロンティアへ
ドドン!と太鼓を鳴らすような音を立てて戦闘前準備が始まる。
「説明書などもあるが・・・体で慣れる方がよかろう。ちなみに英雄もそこまで詳しくは理解していない」
「え?そうなのか?」
意外な言葉に士郎は驚いた。
「この日の為に詳細は我にも控えられたのだ。心配ない!姉上が決定したのだからそれを信じるまでよ!」
「そうか。では始めよう」
オオォォー!という鬨の声が鳴りいざバトル開始である。
「これは・・・」
「前方の少ししか敵が見えないな」
林冲の言う通りこちらの軍は全て表示されているが、英雄の軍はほとんど見えていない。
「リアルタイム・オンラインシミュレーションだったな。これはすぐに斥候を放たねばなるまい」
戦場はリアルタイムで動いている。本当は慣れた者同士ならばすぐさま軍を動かすだろうが慣れていないことを踏まえ、フィーネは迎撃の構えだ。
「お、斥候が戻ってきて右翼、左翼が見えたな」
「ああ。だがリアルタイムで動いているとなるとすでに違う形になっているかもしれ・・・ん?」
そこまで言ってフィーネはあることに気付いた。
「これは・・・いや、まて。まずは動きを見る」
何かに気付いた様子のフィーネだが慌てず相手の動きを見る為斥候を放つ。
「フィーネ。リザは使わないのか?」
林冲の言う通り、フィーネは斥候こそ数多放つも、斥候部隊中枢のリザは動かさなかった。
「大丈夫だ。私が思うにこれは・・・」
そう言って帰ってきた斥候によって判明した敵の陣形は、
「鶴翼の陣・・・!」
英雄が展開してきたのは鶴翼の陣。鶴が翼を大きく広げた形を描くこの陣は相手を包囲、殲滅することに長けている。
「迂闊にリザを動かさなくてよかったな」
「ああ。帰ってくる斥候の一部が負傷していたからな。それに最初に右翼と左翼が動いているのが分かったのも大きい。相手が鶴翼であるならば」
フィーネが動かした戦形は魚鱗の陣。一点突破を得意とする陣だ。鶴翼の陣は翼を広げた形をしていることから包囲することが得意であるが、各部位の断層が薄く、突破されやすいという弱点を抱えている。
今回フィーネはお手本ともいえる綺麗な魚鱗を描き英雄の軍とぶつかった。果たして戦いの行方は・・・
「ぬう・・・完敗だ!良い所を突けていると思ったのだが」
フィーネの画面には勝利!!と大きく出ていた。
「いや、いい所を突いてきていた。我ら猟犬部隊でなければ完遂しえなかっただろう。
フィーネの画面を見ればわかるが、軍の疲労値がもはや限界であった。多くの者もジーク率いる衛生兵の下に行っており、とても完勝とは言えない有様だった。
「けど流石ですね。何も分からない状態であの状況を打破できたのは大きい」
「そうだな。実際には兵糧や疲労値、戦線復帰までの時間と様々な要素があった。確かにこれは実戦向きだ。遊ぶゲームとしては向かないな」
いつの間にかかいていた額の汗を拭うフィーネ。今回はそれだけ緊張感のある戦いだったという事だ。
「うむうむ!そう言ってもらえると作った甲斐があるというものだ!不備はなかっただろうか?」
「私の方は問題ない。入念な調査をしたのであろう、私の予想通りのステータスだった」
「我も問題ないように思う。ただこちらは重火器に富んでいたことくらいか」
英雄が選んだのはアメリカ陸軍。重火器が多かったがそれをものともしないテルマの鎧がとても生きた戦いだった。
「これは試用機だと聞いたが、もう使えないのか?」
「いや、問題ないぞ。今日は我々もオフにしてある。望めばいくらでも対戦相手を準備しようぞ」
「助かる。衛宮、私はしばらくこちらの筐体で仮想訓練をさせてもらうとしよう。お前達は必要な所へ挨拶に行くといい」
「そうですか。じゃあここは・・・」
と、揚羽がパチッとウィンクした。
「英雄に任せて行くか。林冲はどうする?」
「・・・。」
林冲も揚羽のアイコンタクトを逃さず確認していたのだろう。むすっとした顔で一緒に行くと言った。
「では我が案内しよう。英雄、従者部隊から何人か選出するがいいぞ」
「もちろんです、姉上。兄上の事、よろしくお願いします」
「じゃあフィーネさん、またあとで」
「うむ」
という事で士郎と林冲は揚羽先導の下、その部屋から退出した。
「さて、士郎、林冲ゆくぞ」
「・・・何処に?」
実を言うと挨拶する対象は学園に行っているのでほぼいなかったりする。
「無論、我の部屋だ」
「・・・。」
「・・・。」
なんとなくは分かっていたがこうなるらしい。
「士郎、連日で大丈夫か?」
「大丈夫。林冲は遠慮してくれてたんだろ?」
士郎の言葉にカァ―ッと顔を赤くして俯く林冲。
「なんだ、士郎はこんないい女に我慢をさせていたのか?それは由々しき事態だな」
ノックもせずガチャリと開けて、二人が入ったら内鍵をかける。
「それでは参ろうか!林冲!」
「士郎・・・」
その後、日が傾くまで何をしていたかは想像にお任せするとしよう。
すっかり日が傾いてそろそろお暇するか、という事でフィーネがいた部屋に戻る。すると、
「ああ、衛宮戻ったか」
「お疲れ様です・・・って、一体何人と手合わせしたんですか?」
フィーネの首にはタオルがかけられており、手にはスポーツドリンクがあった。
「なに、これ以上ないくらい的確なゲームだったのでな。つい集中して沢山の従者とやらせてもらった。将来的には本国にも二台欲しいと言ったらすでに中将が目をつけていたらしい。それもこれも、衛宮のおかげだ」
「いえいえ。フィーネさんにも訓練できる場が出来て良かったですよ。そろそろ帰ろうかと思っていたんですけどまだやっていきます?」
「いや、私も帰ろう。実のところ、あれは緊張感がすごくてな。体力を著しく消耗した。今日は泥のように眠れそうだ」
「そうですか。では帰りましょう」
英雄もいなかったので、近くの従者に帰宅することを伝えると入口まで案内してくれた。
「筐体はしばらくテスト期間ですので、ご利用の際はこちらまでご連絡いただければいつでもご利用できます」
「了解した。なにからなにまで礼を言う」
「ありがとうございました」
「いえ、またいらしてください」
最後まで丁寧に案内してくれる従者さんに頭を下げて三人は帰路に着く。
「帰りがけ、スーパーに寄っていいですか?食材買わないと」
「問題ない。フィーネは大丈夫だろうか?」
「私も問題ない。衛宮がどういう基準で食材を選んでいるのかも気になるしな」
なにも難しいことはしてないんだが、と言いながら実際は目利きなのを士郎は誇らなかった。
買い物をしていると、
「士郎じゃないか!」
「橘さん?」
天衣と出くわした。目的は同じだろうという事で一緒に買い物をすることにする。
「どうだった?九鬼の新作ゲームは」
「完成度が高すぎる。仮想訓練シミュレーターと言った所だ」
「か、仮想訓練?」
フィーネの言葉に?を頭に浮かべる天衣に士郎は、
「今回はフィーネさんの訓練用だったので、リアリティがすごかったんですよ。一般のゲーム機になる頃には落ち着いているはずです」
「それに、このままの筐体としても開発するらしいことも聞いた。そちらは軍事部門向けらしいな」
「そうなのか・・・私も九鬼には散々お世話になってるけどすごい会社だなぁ・・・」
と、そんなことを話しながら今日の夕食の献立を士郎と天衣は相談しだした。
「今日は肉が特売なのか。しかもひき肉か・・・」
「これはあれしかないんじゃないか?」
「二人とも、何か決めたのか?」
「ああ。ひき肉で」
「メンチカツ!」
そうと決まれば二人は早い。内部は熟知しているのであれよあれよとカゴに入っていく。
そんな中、フィーネはあるコーナーで立ち止まっていた。
「フィーネ、どうした?」
「あ、ああ、林冲。これが気になっていてな・・・」
そこにあったのはキャット用お菓子の棚だ。猫まっしぐら!ぢゅーると書かれている。
「猫の?フィーネは猫を飼っているのか?」
「ああ。今はペットホテルに預けているが・・・このお菓子はドイツには売っていないんだ」
「なるほど。日本限定品だったのか。日本はこういう食品にも力を入れているんだな」
「帰国前にいくつか買おうかと思ってな」
「それはいい!きっと病みつきになるぞ」
林冲の言葉に苦笑して、「いや、病みつきになってしまうと困るのだが・・・」
「今ならネット通販で買えるぞ」
「士郎!そうなのか?」
「ああ。今では外国からの輸入も珍しくない。俺の服も大体輸入品だからな」
「そっか、士郎は背丈があるから日本じゃ探しにくいんだな」
「そう言う事。帰りにいくつか買って一番好んだものを買うといいですよ」
「助かる、衛宮。それにしても随分種類があるものだな・・・」
「ぢゅーるもいいけどこっちのもんぶちも最近人気が上がってるらしい」
「士郎詳しいな。私達が来る前飼っていたのか?」
「いや、猫好きの同級生と話したことがあるんだ。毛玉も気にした商品があるらしい」
「これだな。うーむ・・・迷うな」
真剣に悩むフィーネをみて、
「なんだかフィーネさんの意外な面が見れた気がする」
「私もだ。溺愛しているんだな」
眼鏡越しに必死に品定めするフィーネを暖かい目で見て今日という一日は万事何ごともなく過ぎていくのだった
ドイツ編でした。前半女を抱き、後半も女を抱く士郎。本当に腹上死しないといいんですが(笑)
リザさんのは結構色々考えました投擲強化~投擲強化~と悩んでいる内に電磁加速砲とかいんじゃね?と浮かび、先輩いるけど二次創作だからやっちゃえーと思ってやりました。
お猫様の話。例の猫が食いつくあれですが実は日本しか売ってないらしいんです。そんな馬鹿なと調べたら本当だったようでして・・・海外のお猫様はもったいないなと思いました。
だってどんな動画見ても目の色変えて突撃してるんだもん…
という事で長かったドイツ編もここまで…と言うかあとちょっとです。長くなりますがどうぞ見届けてください。
では!