真剣で衛宮士郎を愛しなさい!   作:Marthe

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ご感想書いていただいた方ありがとうございます。まだまだ(というか想定しているルート)はやるつもりなのでよろしくお願いします。

武神・川神百代との一戦から翌日。武神に一撃入れて無傷で生還した士郎に川神は騒然としていた。そして最強の切り札を破られた風間ファミリー。大和はそのことに危険性を感じるが、当の本人はいたって楽しそうで・・・

今回はファミリー主軸にかければいいなと思います。


風間ファミリー

その日川神は騒然としていた。曰く、武神・川神百代と互角に渡り合ったばかりか一撃のもとに撤退させたという噂が広まっていた。

実際はある程度戦って士郎がその場を立ち退いたので撤退させたわけではないのだが噂は尾ひれ背びれがつくものである。

 

「おはよー!」

 

「おはよう」

 

「はよっすー」

 

「おはよう」

 

今日も今日とて風間ファミリーは仲良く一緒に登校していた。

 

「それで?噂は本当なのかよ」

 

早速と言わんばかりにガクトが一子に詰め寄る。

 

「ええと・・・お姉さまが負けたわけじゃなくて、士郎が勝ったっていうわけじゃないんだけど・・・」

 

昨日のことを一子自身受け止め切れていない様子で昨日のことを語りだす。

 

目にも映らぬ激闘。そして歯止めが効かなくなり始めた百代の一撃を自分の得意技・・・それも相当な練度、でいなして逆に百代に深い手傷を負わせたことなど。彼女なりに一生懸命に話した。

 

「モモ先輩の腕を砕くってまじかよ・・・」

 

「うん。技を受けた後、お姉さまがすっごく吹き飛ばされて、右手が大変なことになってたわ。すぐに回復したけど・・・」

 

しょぼんとした様子でいう一子。事実、あの時の百代の腕は瞬間回復がなければ武道家としての危機であったかもしれないほどのものだった。

 

それも妥当であった。後に一子があの川神流・大車輪について聞いたところ、ただの鋭い太刀筋ではなく、百代の正拳突きを絡めとり、威力をさらに乗せて繰り出すカウンターアレンジ技だと言っていた。

なので実際の所は百代の全力ではないにしろ一撃のせいで彼女自身が手痛い傷を負ったというのが川神鉄心の見解だった。

 

「カウンターか・・・自分の時もそうだったな」

 

「クリスの時はカウンターっていうか・・・」

 

「怒り狂って自分からもらいに行った感じだよな」

 

「そ、そんなことはない!自分はあの時も平常心で・・・ってコラー!なんで温かい目で見るんだ!」

 

フギャー!と怒るクリスに皆があははと笑う。そんな平和な登校。なのだが・・・

 

学園へと続く川神大橋を渡っていると。こんもりと積み上げられたなにかが。

 

「あ!お姉さまだ!」

 

「これはまた被害者多数だね・・・」

 

そう。それは人で作られた山だった。ここ、川神大橋は別名、変態の橋という名がつけられている。それというのも毎日何かしらの変態やチンピラが出現するからなのだが・・・

 

川神学園生徒は基本的に皆強いのでそこまで被害が出ていなかったりする。ただ、この橋が学園への通学路ということもあって虎視眈々と百代の武神の座を狙う者たちが出現する場所でもあった。

 

「姉さんまた派手にやったね」

 

「ん?ああ~弟~」

 

大和を見つけるなりむぎゅりとしな垂れかかる百代。

 

「ど、どうしたの姉さん?」

 

なんだか切羽詰まった様子にいつもと調子の狂う大和。

 

「姉さんな~もうお嫁にいけないかもしれないにゃ・・・」

 

「そりゃあこんなに狂暴なら「ああん?」ヒィ!なんでもないっす!」

 

ギヌロと睨めつけられて悲鳴を上げるキャップ。

 

「それってもしかして、衛宮のこと?」

 

「そう!それなんだよ!あいつ私の心に癒えない傷をだな・・・」

 

「姉さん瞬間回復あるでしょ・・・っていうか暑い!」

 

いい加減気温も高まり夏を迎えつつある中なので引っ付いていれば当然暑い。それとは別に、背中に押し付けられる感触への恥じらいもあるのだが。

 

「早く衣替えになんねーかなー」

 

「そうだなぁ・・・」

 

いつもの如くいちゃいちゃと戯れる大和を放っておいて男たちは次の季節に思いをはせる。

 

「それでな?こうビシー!っと打った正拳突きをな?」

 

「はいはい・・・」

 

先ほど一子から聞いた内容をもう一度聞かされる大和。それにどこか違和感を覚えながらも頷いて聞く。それをみた京はちらりと二人を見て、

 

(モモ先輩が衛宮士郎にご執心・・・大和はなんか複雑そう・・・これは、チャンス到来・・・!?)

 

今は戦いのことばかり話している百代だがこのまま士郎に落とされればライバルが消える。

既に衛宮士郎はファンクラブ(本人はまったく知らない)を作り、その優しい性格と、困っているものを放っておけない性根が何人もの女子を誑し込んでいる(やっぱり本人はしらない)。

 

このままいけばモモ先輩をも陥落させるかもしれない。

 

(モモ先輩を攻略するのは難しそうだけどここは攻め時・・・!?)

 

一人悶々と計画を練る京に誰も気づくことなく今日も今日とて登校するのであった。

 

 

 

 

2-S

 

ここは学園の中でも成績トップ50名が集められたクラス。2-F組とは違い、頭脳だけでなく家柄もそれなりの者が多い中、その中心ともいえるのがこの男。

 

「フハハハ!今日も庶民は元気に登校しておるな!関心関心!」

「何時も庶民のことを気遣われる英雄様・・・流石です☆」

 

九鬼英雄である。巨大企業九鬼財閥の跡取り息子として日夜勉学と実質的な業務に携わる割と人外な人物である。そしてその男を護衛する忍足あずみ。

 

「しかし、噂は本当であるのかあずみよ」

 

「はい☆調査しました所、多少違いはあれど、川神百代を退けたというのは事実のようでございますぅ」

 

「そうか・・・一子殿が落ち込んでいなければよいのだが・・・」

 

そう言って彼は険しい顔をする。

 

この男。実を言うと一子にほの字である。だが、一子が過干渉を嫌がっているためあまり積極的にアプローチはしていない。つもりである。

 

「それにしてもあの衛宮という男・・・一体どういう男なのだ?一度(ひとたび)(まみ)えたが特に妙な男には思えなかった」

 

「それどころか学園内での評判はとてもよいですよ。食堂の手伝いや備品の修理・・・まるで人助けをする妖精のようですね」

 

「おお!わが友冬馬よ!そうか、お前がそこまでいう男か!」

 

あずみとの会話に口をはさんだのは葵 冬馬。頭のキレる天才でF組の軍師が直江大和なら、S組の軍師は彼といったところだろう。英雄とも交友関係は良く、英雄が友と呼ぶ数少ない人物だ。

 

「あーなんだっけ。ブラウニー・・・だったか。家主が寝てる間に掃除やらなにやら済ませてくれるとかいう」

 

「ブラウニーってなんかお菓子みたいな名前だねー」

 

そうしてそのあとに続くハゲ・・・坊主頭の井上 準。そして相変わらず何を考えているのかわからない榊原小雪である。

 

風間ファミリーのように自称しているわけではないが冬馬、準、小雪は家族のように仲がいい。

 

「川神のブラウニーか!それは愉快な呼び名だ!今の所悪い報告はないが、あずみ。引き続き情報収集を頼むぞ」

 

「わかりました英雄さまぁ!」

 

彼が因縁があるとはいえ、F組の一生徒を執拗に調べるのには理由がある。

 

(もうすぐ紋の登校が始まる。そして武士道プランも間近に迫っている。得体のしれない者がいる場所に紋達を通わせるわけにはいかん)

 

そう。彼の妹である九鬼紋白の登校と極秘プロジェクトの三人の人物の登校が予定されているため、英雄は未だに経歴不明の衛宮士郎を調べていた。

 

(悪人でなければよい。それならば我が守る庶民の一人なのだからな!)

 

そう結論付けてこの話題は終いにすることにした。彼は自分に付き従う九鬼従者部隊の力を疑っていない。何かあれば迅速に対応するであろうと信じているのだから。

 

 

 

 

 

放課後

 

「なぁなぁ。士郎のことどう思う?」

 

たまらずと言った様子でキャップが言う。

 

「それはファミリーに、って話か?」

 

以前にも話した彼をファミリーに迎え入れるのか。その是非を問いたいのだと大和は推察する。

 

「私は賛成だ!大・賛・成だ!あんな面白い奴は見たことがない!この私を相手にできる唯一の男だ!」

 

「私も賛成!士郎は悪い人じゃないわ。昨日のことで確信したもの!」

 

直に相対した川神姉妹は賛成。一子はあのなんの邪念もない綺麗な笑顔に警戒心は皆無だった。百代は言わずもがな、戦う機会が増えると踏んでだが。

 

「ガクトとモロは?」

 

「俺様様子見だったんだけどよ・・・賛成するぜ!あいつこの前効率的な筋トレ方法を教えてくれてな!ベンチプレスの記録更新しそうだぜ!」

 

「僕もいい・・・かな、この二か月見てたけどすっごく優しいし・・・この前不良に絡まれたとき助けてくれてさ。まるで正義の味方みたいだったよ。・・・京は?」

 

一番に反対票を入れていた京にモロが恐る恐る問いかける。問いかけられた京はというと、やはり本を読んでいたが―――

 

「・・・いいよ。みんなが賛成なら」

 

そう小さく答えた。声色は小さかったがそこに妥協のようなものは感じられなかった。

 

「自分は・・・う~んよくわからない。腕は立つし普段はいいやつなのはわかるけど・・・あいつ、自分とあんまり話さないから」

 

「それは最初が原因じゃねーの?」

 

「だな。こればっかりはクリスが悪い」

 

そう結論付けるキャップとガクト。最初が最初だけにギスギスまではしないものの気まずかろうというのが彼らの見解だった。

 

しかし、本当の所は違う。士郎は何度かクリスに話しかけようとしていたのだ。だがその度にビリリと指向性の殺気をぶつけられて、それが彼女に近づくなというメッセージであることを読み取り、彼は関係が悪くならない程度に距離を空けていたのが真相だ。

 

「となると、最後はまゆっちだな。どう思う?」

 

「ええと、私は・・・」

 

学年の違う由紀江は彼と接触する機会があまりなかった。だが、一つ彼女に訴えかけるものが存在した。それは最近食堂で話題になっている“衛宮定食”である。

 

士郎は料理が得意ということもあり、お昼時の忙しい時間のほぼすべてを食堂の手伝いに当てている。本来は忙しい時だけだったのだが、彼がいるときだけ料理の完成度が異様に高いのだ。それを聞きつけた自称美食家達が本来自分で弁当を持参していたのをあえてせずに食堂で食べるようになった。そのおかげで川神学園の食堂は一年前とは比べ物にならないほど活気に満ちている。そんな中、売り上げが伸びたのだからなにか生徒に還元したい。そうした依頼が士郎の元に舞い込み、ならばということで作られたのが新しいメニュー衛宮定食である。

 

衛宮定食の特徴は安い・美味い・早いの三拍子揃った現在食堂で一番の人気メニューである。内容はその日その日で違うが栄養、カロリー管理がしっかりされており、値段も通常メニューより安く、食券ならば前代未聞の半分に割った半券でいいという大盤振る舞い。値段が安くなったのだから味が落ちるのかと思いきや通常のメニューよりも遥かに美味しくそこらの高級レストランなど歯牙にもかけない美味さ。今では授業終了後に全力で食堂に向かわねば食べることすらできない魅惑のメニューとなっていた。

 

当初自分の名前がついたメニューなど、と言っていた士郎だったが食堂のお姉さま方満場一致で名づけられたのは本人の秘密である。

 

そんな幻のメニューを由紀江はクリスに届けられた差し入れを食してから気になって食しに行ったのだ。

 

そんな折、

 

『あ、あの―――』

 

『今上がるぞ!・・・ん?あの時翔一達と一緒にいた・・・』

 

『は、はい!黛 由紀江と申します』

 

ぺこー!っと頭を下げる彼女に彼は苦笑し、

 

『黛さんか。俺は衛宮士郎。・・・悪い。今ちょっと手が離せなくてさ。もしかして食べにきてくれたのか?』

 

『は、はっひ!そ、その・・・え、えみ・・・』

 

上がり症の彼女は人の名前を付けられた定食を口にすることができずにいた。食堂は戦場、そんな場所でもごもごとすれば、

 

『おいはやくしろよ!』

 

『衛宮定食食えなくなっちゃうだろう!』

 

『あう・・・すみません』

 

そんな言葉に彼女は傷つき邪魔をしないよう別の列に並ぼうとした矢先、

 

『定食にはまだ余裕があるからそんなこと言うな!こんな女の子を責め立てて何しに来たんだ!』

 

と一喝。食堂にいる皆が何事かと目を向ける中、士郎は笑顔で彼女に言った。

 

『衛宮定食だろう?ごめんな。人の名前が付いたメニューなんか言いづらいだろう?』

 

『い、いえ!私が悪い・・・』

 

『そんなことはない。大丈夫だよ。俺もメニューに自分の名前なんか付けられて正直気おくれしてる。―――さ、できたぞ。ゆっくり召し上がれ』

 

そう言って手渡された定食をおずおずと受け取り、

 

『ありがとうごじゃッ・・・!』

 

盛大に噛んだ。それを見た士郎はやはり笑顔で。

 

『ああ。来てくれてありがとう』

 

噛んだことなど気にもせず温かい笑顔で送り出してくれた。

 

 

 

「私も賛成です―――」

 

あの笑顔が頭からこびりついて離れない由紀江は自然とそう答えていた。

 

「まゆっちも賛成、じゃあみんな賛成ってことでいいな?」

 

「だな」

 

「うん」

 

「了解」

 

「でいつにする?」

 

「善は急げだ!今週の金曜日に呼ぼうぜ!」

 

ヒャッホウ!と喜ぶキャップ。

 

「楽しくなりそうだな!」

 

「うん・・・僕もこんなに受け入れるのが楽しみなのは初めてだよ」

 

彼を呼ぶのは今週の金曜日。彼らの秘密を知った彼はどんな反応をするのか、今から楽しみな風間ファミリーだった。

 

 




はい。まゆっちフラグも立ちました。士郎の笑顔って流石主人公と言わんばかりの破壊力ですよね。いわゆるニコポ・撫でポ。そしてド級の鈍感を兼ね備えたどこのハーレム野郎だと言いたくなりますが、そこが彼の魅力でもあるのだと思います。

今回苦労したのはS組での話です。どうにもS組の会話がどんなものだったのか今一記憶に残っていないのです。マルギッテとあずみのインパクトが強すぎて・・・英雄とかどんなしゃべりだったかな・・・という感じでした。

次回は金曜集会・・・と行きたいですが一つ話を挟みたいと思います。

ここまで見てくださった皆様、この話を見てくださった皆様、感想ありがとうございます。引き続き、つたない文ですが楽しんでいただけたら幸いです。
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