今回で長かったドイツ編も終盤に向けて動いていきます。そんな中で彼の女難の相はどんな威力を発揮するか必見です(笑)
また純粋にドイツ編最終パートにかけるものでもあります。いつもの様に楽しんでいただけたら幸いです。
では!
ガツン!
また一つ、鉄板に穴が開く。電磁加速を可能にしたグローブを使ったリザの投擲だ。
「っしゃ!まだまだいくぜ!」
ジャララ!と後に開発した弾丸ホルダーから、素早く手元に弾丸となる礫を指の間に挟み、複数同時投擲するリザ。
ガン!ガン!ガン!と鉄を穿つ音が聞こえる。一度に投擲できるのは三発。だがコントロールに難があり、威力は同時投擲数を減らすほど高くなる。その振れ幅を無くすためにリザは懸命に投擲していた。
「リザやるなー。あのグローブ貰ってから大好調」
「コジちゃんはどうなの?」
「コジマはレオっちと基礎トレーニングにスパーリング。やっぱり強いなぁスパルタの人。如何にもって感じだった」
ぎゅっと拳を握るコジマ。彼女もまだまだ強くならねばと足掻いている最中である。
二人は野外組なのでお互いの訓練を見ることが多い。対してフィーネとテルマは、
「副長は今日も九鬼に行ったしテルは士郎と何かごそごそしてるし。なんかなーラストスパートって感じ」
「だねーみんな怪我しなくてよかったよ。リザちゃんはちょっと怪我しちゃったけど・・・」
そう言って手元に士郎からもらった万能薬を取り出す。
「私でも信じられないけど本当によく効く薬だね」
「ジークも士郎から薬もらったんだ?」
「うん!あといくつかの薬湯の作り方を教えてもらったよ」
士郎はジークにあまり万能薬に頼らないようにと、魔術で使う秘薬の調合をいくつかジークに教えていた。この秘薬は主に遠坂に教えてもらったもので、効果のほどは士郎自身の身で立証済みであった。
「すごいよね、士郎君って。英雄って呼ばれるだけあるなぁ・・・」
「ジークは士郎とおとななかんけーにならないのか?」
「へぅ!?」
ボン!と音が鳴りそうな勢いでジークの顔が赤くなった。
「その・・・ね?コジちゃんだから教えるとね?私も隊長みたいにしてほしいなって思うの。けど・・・」
日本は今多重婚に向けて走っているがドイツはそうではない。故に、マルギッテという嫁がいる以上、自分は望むことが出来ないんじゃないかと、ジークは語った。
「だから・・・コジちゃん?」
「んんんん―コジマは難しいことわかんない!でもジークは士郎にちゃんと告白するべきだと思う!!」
そう言ってコジマはジークの手を取り彼がいる鍛造所へと突撃した。
そんな二人を知らず、鍛造所では、
「これならどう?」
――――
どうしても電磁加速砲の搭載を諦めないテルマの挑戦が続いていた。
「・・・ダメですね。魔術でやる意味がない。これじゃ普通の科学実験となんら変わりません。これをベースでやるなら普通に電磁加速砲装置として開発した方がいい」
「こっちは?」
「うーん・・・可能と言えば可能ですけど・・・いや駄目だ。テルマさんがご要望の火力には至りませんね。弾倉を直結して連射することは可能かもしれませんけど」
「なら・・・これは?」
「これは・・・」
三つめは随分手の込んだ形をしていた。レールとなる溝が何段か調節可能なユニークな形だ。しかしそれは電磁加速砲という精密機構に逆らうものである。
「ユニークなアイデアですが・・・これじゃあ電磁加速砲にはなりませんよ?」
「でも何かを射出することは出来るでしょう?」
「何かって一体何を「士郎ー!コジマとジークが話があるぞ!」・・・」
うんうん唸る士郎に、悩みを野球ボールのようにうち飛ばす大きな声が響いた。
「ん?話って?」
「ここじゃちょっと・・・」
「わかった。でもごめん、今はテルマさんの方を固めたいから、そうだな、一時間後にしてもらえるか?」
「むむむ・・・仕方ない。一時間後だな!約束だぞ!」
「ああ。必ず行くよ。すまないな」
それで二人は去って行った。
「どうしたんだ?鍛錬の要望かな?」
「・・・。」
ガツ!
「・・・ん?」
向う脛を蹴り飛ばしたテルマであったが、あまりの硬さに逆にピョンピョン跳ねることになった。
「あ、貴方!脛に金属でも埋め込んでいるの!?」
「いや、鍛えれば硬くなるんですけど・・・何故に蹴られたんです?俺」
「貴方が鈍感だからよ!」
「・・・。」
そう言われてもピンとこない士郎。
「とりあえず、続きやりましょう」
「~~~~~!そう、ね!」
何とか痛みをこらえて目の前の事に集中するテルマ。
「それで、これで何を射出するつもりなんです?」
「金属の弾がついた網とか・・・」
「なるほど。攻撃ではなく捕縛ですか」
その後士郎とテルマは一時間話し合い、大筋が決まった所で終了となった。
「えっとコジマちゃんとジークは・・・」
きっかり一時間で終えた士郎は話があるという二人を探していた。
そんな折、
「士郎」
「マル!どうしたんだ?」
自己鍛錬をしていたマルギッテに出くわした。
「いえ、丁度鍛錬が一息ついたので声をかけたのです。今忙しいのですか?」
「ああー・・・実はコジマちゃんとジークに話があるって言われてな。探してるとこなんだ」
「コジマと・・・ジークが・・・?」
ふっと考える仕草をしたマルギッテ。
「士郎。その話は何処で言われたのですか?」
「ん?鍛造所でテルマさんと作業してる時だな」
「コジマだけが話していませんでしたか?」
「・・・言われてみればそうだな」
ジークは恥ずかし気に縮こまっていた気がする。
「・・・大筋は読めました。行きましょう士郎」
「行くって・・・マルも行くのか?」
「その方が丸く収まるでしょうから」
「?」
士郎は相変わらず首を傾げていたがマルギッテはため息を吐いていた。
(想像はしていましたが、本当に猟犬部隊を落とす気ですか?)
口には出さずそう思うマルギッテ。このままでは一体何人の嫁を迎えるのか考えつかない。
(まぁですが、私と同じ男に惚れたのはいい傾向ですかね・・・)
リザといい、コジマとジークといい、みな自分と同じ男に惚れる。本当なら奪い合いだが今の日本ならば・・・
(罪作りな男ですね。士郎)
そう思ってマルギッテと士郎は二人がいそうな場所へと赴くのだった。
意外なほどに探して結局二人がいたのは書斎だった。
「士郎君!」
「探したよ二人とも。読書してたのか?」
「それが・・・」
床を見るとコジマが仏頂面で横たわっていた。心なしか頭から煙が出ているように見える。
「コジマにはいささか早かったですか」
「うん・・・って隊長!なんで隊長まで・・・」
「二人が士郎に話があると聞いたからです。士郎、しばし席を外してください」
「お、おう・・・」
そう言われて士郎は自分の家だというのにいたたまれなくて廊下でもぞもぞとした。
(話ってなんだろうな・・・マルギッテが間に入るってことは機密事項なんだろうけど・・・)
と見当違いも甚だしいことを考える士郎。
しばらくして、
「じ、ジーク!?」
ジークは滂沱の涙を流していた。
「士郎君!!」
がばっと抱き着かれて士郎は何が何やら大混乱だ。
「マル!説明してくれ!」
「貴方では上手く伝えられないでしょうから私から伝えました。さぁジーク、気持ちを打ち明ける時ですよ」
「ゔん・・・士郎君。士郎君の環境を分かった上で言います!私もお嫁さんにしてください!!」
「・・・え?」
ポカンと呆然とする士郎に追撃が。
「コジマもだぞ!コジマもお嫁さん希望だ」
「コジマちゃんもか!?」
たらりと士郎の背中に冷たい汗が流れる。
もし、彼女等の挨拶に行くとして・・・
『彼女等を嫁にください!』
パンッ!!
容易にビジョンが浮かんでしまった士郎。まさか大事な懐刀の彼女等を嫁として引き抜くのは非常にまずい。まずいのだが・・・
「・・・。」
「・・・。」
「「・・・・・・。」」
二人の熱い視線で士郎は折れた。
「マルに色々聞いたんだよな?」
「うん・・・」
「しっかり聞いたぞ!」
「まだまだ外国とどうやって行くのかとか決まって無いのも確認済みだな?」
「うん」
「コジマも同意だ」
そこまで聞いてふぅ、と息を吐きマルギッテの方を向くと、
「・・・(コクリ)」
彼女から認めるという合図が出された。
「そのなんだ、これからよろしく・・・わあ!?」
しとしとと涙を流していたジークと硬い表情だったコジマが一斉に飛びついた。
「まったく士郎は、これから何度こうして受け入れるのですかね」
自分の時とは違うアップテンポにマルギッテははぁ、とため息をついた。
(いずれテルマもでしょうし・・・もしかしたらフィーネも・・・)
ああ、頭が痛い、と思いながらも家族たる彼女等が自分と同じ男に嫁ぐ時がこようとは。昔の自分では考えられなかった。
(私も随分感化されたようですね)
そう考えてマルギッテはいつまでも士郎に覆いかぶさっている二人を引き離し、
「コジマ!まだ鍛錬の途中でしょう!レオニダスが探していましたよ!」
「あれ?ぎゃー!遅刻ー!!!」
衛宮邸内でもレオニダスは時間設定したからには厳しい。今日は夕ご飯の時、腕プルプルだろうなと苦笑する。
「ほらジークも。これで涙を拭いて薬草学の続き見ないとな?」
「ゔん・・・」
これでとハンカチを出したもののシャツで拭われて士郎の手は彷徨った。
「まぁ一件落着という事で・・・マル、ありがとう」
「何もしていません。ただ――――」
ふっと首元に顔を寄せて、
「あまり素っ気なくしていると噛みますよ――――」
はぷりと士郎の首元を甘噛みして彼女は去って行った。
「あー・・・マルとも遊びに行ってないからなぁ」
最近女性関係でも忙しい士郎。ほぼ自業自得だが、
「・・・。」
士郎は自分を想ってくれる女性がこれだけいることに感謝した。
学園も冬休みに入り、同級生と顔を合わせることも少なくなったこの頃。
今回で今年最後になるだろう金曜集会へと赴く。
「みんな久しぶり」
「おーう久しぶりだな。つっても最後の学校でも会ったけどよ」
「もうすぐ私達は卒業だ。新しい三年生はバイタルすごいだろうな」
どこか寂し気に言う百代。なんだかんだ言って彼女も学生生活を謳歌していたのであろう。
「お前達!川神院にこいよ!士郎は絶対」
「心配しなくても行くよ姉さん」
「くぅん・・・お姉様と登校出来なくなると考えるとなんだか寂しいわー」
「モモ先輩の登校はインパクトありすぎだったからなー」
「その辺は大丈夫じゃないかな。男版武神いるし」
「・・・モロ。俺は武神じゃない」
「同じようなもんだろうが。毎朝、流星の中歩くのも恒例行事だぜ」
「そうねー。特集とか組まれそう!川神学園の登校風景!みたいな」
「俺が学園に在籍している間だけだからな。それまでには変態も落ち着いてほしいんだが」
そればかりは学園周辺の治安維持にかかっていた。
そんなまったりとした空気の中大和は確信に迫る質問をした。
「なぁ士郎。キャップの土産の中の杯、毎回聖杯って言ってるけどアレなんなんだ?」
「・・・。」
言うわけにはいかない。言うわけにはいかないが・・・
「みんなはどんな願いでも一つ叶えられるとしたらどうする?」
「ふぇ?」
「なにそのドラゴ〇ボールみたいなの・・・」
唐突な士郎の質問に一同は考えた。
「アタシはお姉様と同じ地球最強の存在になりたいわ!」
「俺様は・・・ワン子みたいなもんだけどよ、最強の筋肉で世界を圧倒したい」
「僕は、これ以上先がない究極のPCが欲しいかな」
「自分は大事な人を絶対守る力が欲しい」
「わ、私は・・・今以上に友達が欲しいです!」
「盛り上がってんなぁ!まゆっち!」
「僕はねぇ、これからもみんなと一緒に居たいかな?」
とそれぞれの夢を語るが、
「みんなの夢。それを間違った形で叶えるものだったとしたら・・・どうだ?」
「間違った形?」
「なんだ竜が出てきて目が光るだけで叶うんじゃないんか?」
「間違った形って何だろう?」
うーんと唸る一同に士郎は危険な可能性を示唆した。
「例えば一子。君の願いが君以外の人間・動物を抹殺することで叶えられたとしたら?」
「「「え」」」
「・・・どういう事だ?士郎」
大和の問いに至極真面目な顔で士郎は、
「簡単な話だ。一子より強いものを皆殺しにすれば一子の夢は叶う。違うか?」
「・・・違わないけど・・・それじゃああんまりにも――――」
酷い仕打ちじゃないかと皆は思った。
「その可能性があるのが聖杯だ。事実、俺が最初に出会った聖杯戦争の聖杯は呪われていて、そういうものだった」
「そうか!士郎はもう聖杯がどういうものか知ってるんだった」
「あのゲームと同じものじゃ嫌だわー」
「呪いの泥をまき散らす肉巨人だっけ?しかも完成したら全人類を呪い殺すとかいう・・・」
「正確には呪い殺すことでしか望みを叶えられなくなった聖杯なんだけどな」
「・・・。」
「呪い殺すって・・・考えたくもないな」
士郎の言葉に一同が俯いた。
「でもさ、そういうのって士郎とかなら一目でわかるんじゃないの?」
「そうでもないんだ。呪いや一方的な叶え方するかは使ってみなきゃわからない。そんな危険なモノを、おいそれと使うわけにはいかないだろう?」
「そうよねー」
「責任なんか取れない。と言うか取れても取りたくないぞそんなもの」
「一体いつからそこにあったのかわからないが、幸い自然と朽ちているからな。封印してさらに年月が経てば自然と無くなるだろう」
「じゃあそれまでこの話は無しだな」
「願いを叶えるというのも考え方を変えると恐ろしいものだな」
「だなぁ・・・っと、ここまでにして飯食おうぜ!」
「さんせー!今日の晩御飯は何かしら!ワクワク、ワクワク!」
「キャップがごはん系を持ってくるはずだからおかずしかないぞ?」
「それでも嬉しいよね。僕すっかり士郎のご飯に毒されちゃったよ」
「なんだそれ?母ちゃんのご飯に納得してねぇのか?」
「ううん・・・そうなんだ。なんだろう、もっとこう、士郎なら上等な味に仕上げるんだろうなとか」
「ああーなんかわかるかも。士郎のご飯って頭抜けてるからなぁ」
「私が満足するには辛さがたりない・・・」
「・・・京の言葉は置いといて、みんなにそういってもらえるのはとてもうれしいな」
「自分もマルさんに頼むことが多くなったなぁ・・・それも、マルさんが士郎の家で修行してるからだと自分は思う」
「あのお堅いマルギッテが花嫁修業か?相変わらず士郎はスケールが違うな」
「そ、そういうガクトも彼女さんに作ってもらってるんじゃないのか?」
苦し紛れにそういう士郎だが、
「忘れたのか?南ちゃんは京都在住だぜ?」
「・・・そうだった」
ガクリと肩を落とす士郎。その姿にケケケと笑いながら、
「それでもたまに川神にきて、いろいろ作ってくれるけどよ。士郎にはかなわねぇよ」
「お、ガクトのノロケ話なんてめずらしいじゃないか。・・・もぐもぐ。もっろきかせろー」
「百代、ちゃんと飲み込んでからにしろ。それで?最近どうなんだ?」
「そうだなー――――」
それからしばらくガクトのノロケ話をBGMに一同は準備していたお菓子やおかずを食べ、やっとキャップがつく頃には士郎お手製のおかずはなくなっており。憤慨したキャップがまたもネタの偏った寿司を持参しその日も愉快に一晩を過ごすのだった。
金曜集会ということで割と遅く帰ってきた士郎が湯船に浸かり、疲れを癒していると・・・
ガラガラ。
「・・・。」
「・・・。」
テルマが入ってきた。
「・・・(ぐっ)」
「まてまて!俺はちゃんと掛札をして入ってる!殴られるいわれはない!」
「・・・私のミスね悪かったわ」
入り口にかけられた大きな掛札を見て、顔を赤くしながらテルマは戻って行った。
「・・・テルマさん、俺出ますから代わりにどうぞ」
そう言って士郎はタオルを腰に巻いて出ようとした。
「ダメよ。私が悪かったのもあるけど貴方今日休んでいないじゃない」
「あー・・・まぁ・・・」
確かに、朝は彼女等と訓練し、昼には金曜集会という事で早めに家を出ている。そして帰ってきたのは晩御飯の頃で、今の時間まで鍛治仕事。確かにようやっとの休みである。
「じゃあ遠慮なく・・・」
チャポン、と体を湯船に付ける士郎。
「一時間くらいでいいかしら」
「はい。その前には上がります」
それだけ言い残してテルマは去って行った。
「びっくりした・・・」
鋼の意思で視線を逸らしながら言い訳をするというなんとも珍妙な姿だったが何とか実力行使は免れたようだ。
「はぁ・・・」
心臓はドキドキとしているものの、湯船に浸かれば疲れが湯に溶けていくようである。
「結構疲れてたかな」
思わずそのまま寝てしまいそうになるので早々と士郎は風呂を出た。
歯を磨き自分の部屋へと戻ると、
「・・・。」
「えへへ・・・」
ジークが待ち構えていた。
「ジーク。その・・・」
「何も言わないで。今はただの恋人。ね?」
しっかりと戸を閉めて士郎は誘われるように中に入った。
なんだかんだで彼女達の修行も終わりを迎えた。後からやると言っているのに皆自分の部屋の片づけを気合入れてやっており、士郎は朝食の準備をしていた。
「ふう、やっと終わった」
「長い事世話になっていたからな」
「もう別れの時かー・・・」
などなど、なんともくすぐったい声が聞こえてくる。
「士郎、本当にいいのか?朝食は私に任せて別れの挨拶とか・・・」
「いいんですよ。今日一日の最初の食事を作って送り出してやらないと」
「その考え方いいな。私達の食事でエンジンをかけて元気に走ってもらわないと」
「そう言う事です。さて仕上げだ」
今日も今日とて野菜、魚、肉と豪華な品ぞろえで食卓を彩る。
「いただきます」
「「「いただきます!」」」
「むぐむぐ・・・今日も豪華メニュー・・・」
「だなぁ・・・こんな味を覚えちまったらドイツで満足できねぇよ・・・」
しくしくと涙を流しながらもぐもぐと食べるリザ。
「私は衛宮と同じぐらいでちょうどいいんだが」
「だね、でもつい食べ過ぎちゃうかも」
衛宮邸の人間は実によく食べる。今日も朝からモリモリと食べる一同。
「今日で猟犬部隊は帰国するのだったな」
「ああ、最後にしっかり食ってもらおうと思って、橘さんと腕によりをかけて作ったぞ」
「流石コジマの旦那様だな。よくわかってる」
その言葉をキーに空気が凍る。
(士郎君、またなの?)
(いや、あのくらいの女の子ならすぐ飽きるかと思って・・・)
(あれは本気だぞ)
(そ、そんなこと言ったって・・・)
(焚きつけたのは私だがな。犯罪は犯すなよ)
(わかってる!!)
とまぁ色々言われる士郎だが、
「美味しいね」
「あ、ジーク醤油とって」
「はい。もうリザちゃんご飯粒ついてるよ」
彼女等の笑顔を見て幸せな気持ちになるのだった。
空港で
「またな」
「はい。フィーネさんもお元気で」
「レオっちまたコジマを鍛えてほしい」
「もちろんですとも!またの機会までお怪我などされませんよう願っておりますぞ!」
「士郎。また日本に来るからお前もその・・・」
「ああ。俺もドイツに行くよ」
士郎の言葉に顔を真っ赤にして、チュ、と頬にキスを落とした。
「えへへ。私の事も忘れちゃ嫌だよ?」
「もちろんだジーク。ただそのー、例の薬は本当に最終手段にしてくれよ?中々に秘密厳守な薬だから・・・」
「わかってるよぉ。またね」
ニッコリ笑って大事そうに鞄を叩くジーク。
「衛宮士郎」
「ああテルマさん。例の完成品楽しみにしてますよ」
「・・・。」
士郎の言葉に何を思ったのか、
「ん・・・」
「んん!?」
その場でキスを交わした。
「ちょ、テルマさん!?」
「今更敬語なんていいわよ。貴方は私を笑わなかった。そのお礼よ」
「笑わなかったって・・・」
「ヒュー!男嫌いのテルが自分からなんてレアだなー」
「うるさい!リザもでしょ!」
「えへへ・・・そうなんだけどさ」
照れくさそうにリザも笑った。
「さ、時間です。一足先に帰国して成果を示しなさい。リザはグローブと弾丸ホルダーを紛失しないように。私はお嬢様と年越しに帰ります」
「了解。では衛宮士郎氏、およびレオニダス殿に敬礼!」
バシッと敬礼を決めてフィーネを先頭に彼女等はゲートの向こうに歩いて行った。
その後ろ姿を見えなくなるまで見送って士郎とマルギッテも帰路に着く。
「なんだかあっという間だったな」
「実際は長期間でしたよ。猟犬部隊全員がこれほど長く任務から離れるのは早々ありません」
「中将もてんてこ舞いだったろうな」
と苦笑を浮かべる。
「中将の事を笑うのは良いですが、挨拶はどうする気なのですか、士郎」
「うぐ・・・」
痛いところを突かれたと胸を抑える士郎。
「ふふ・・・存分に悩んでください」
そう言ってひらりと踵を返すマルギッテ。
「あ!ちょっとま・・・」
慌ただしかった猟犬部隊の修行も何事もなく終えてまた日常が返ってくるのだった。
はい。ドイツ最終話でした。いやー今回も難産でした。リザはこんな短期間で鉄甲作用覚えられるわけないし、フィーネなんかどう考えてもチェスと将棋じゃ訓練にならんよどうしようとかジークは安易に万能薬渡したOK~じゃ味気ないと思いました。唯一ほっとけたのはコジマちゃん。何せスパルタ入ってますからね。歯で弾丸受け止める彼女にはうってつけでしょう。
次回からは皆さんお待ちかねのエピソードになると思います聖杯の行方、強化された一子達の活躍頑張って書いて行けたらなと思います。
では次回!