いやもうね。どうしよってボリュームで嬉しい悲鳴を上げながら妄想が加速しております。
そんな私ですがまずは落ち着いて深呼吸ということで書いていこうと思います。
では!
新入生が入学してから約一月。百代達が抜けても川神学園はいつも通り・・・
「士郎~依頼こない~」
「あ、大和、ここはこういう考え方をするのよ」
「なるほど。ありがとうございます」
いつも通り・・・
『納豆!納豆はいかがですか~』
「ワタシ?OBデース!HAHAHA!」
「だー!!もう!鬱陶しいわッ!!?」
ドゴーン!と士郎の怒号が響き渡った。
「フーム。いけませんな」
「レオニダスさん?何がいけないんですか?」
真与が唸るレオニダスに問いかける。
「なんでもかかしもあるか!この異常なOB密度だ!」
「いいじゃないか休み時間だろー」
「やかましい!とっとと働け駄武神!!」
「あ~れ~」
「モモ先輩のは声だけだからなぁ」
「想像するのやめなよ・・・南さんいるでしょ」
「それがなぁ・・・今忙しくて会えてないんだよなぁ」
「こういう時こそ一途さが求められるのでは?」
「一途に待つことも大事・・・」
「京は進展無いの?」
「もう襲った」
「Zzz…」
「カオスだな、こりゃ」
忠勝の一言に尽きる教室内だった。
「位置について!よーい!」
パン!という音と共に一斉に駆け出す。
今日の体育は持久走だった。なんでも、
「休みの期間中に眠ってしまった筋肉を呼び起こさねばなりませんからな!」
という事らしい。
「しばらくは持久走みたいなのが続くかもな」
「全力ダッシュの徒競走より僕はこっちの方がいいかなぁ・・・」
「にしてもこの感じ、久しぶりだぜ。今日まで重り無しだったからなぁ」
ピー!
「一子殿!早く走るのが目的ではありませんッ!冷静に!冷静にゆくのですッ!体全体を使って動くことが大事ですぞ!」
「まーたワン子注意食らってら」
「そりゃあ実際強くなってるからな。今は漲る体をどう発散すればいいのかわからないのさ」
士郎の言葉になるほど、と頷くガクトとモロ。
「ちなみにどうすればいいの?」
「初歩的なことなんだが・・・」
そう言って士郎は立ち止まりゆっくりと体を動かし前進する。
「テレビで見たことある!」
「中国拳法の奴だろ?どれどれ・・・」
ガクトとモロも士郎を真似してやり始める。
が。
「き、キツイ!!」
「足が、腕がプルプルする!」
開始数分で汗びっしょりになり足腰がガタガタになる二人。
「こんな感じで全身を隈なく使えばいいかもな」
「これじゃマラソンじゃないよ・・・」
「レオニダスは一度もマラソンとは言ってないだろう?『持久』走だ。その証拠に怒られないだろ?」
ちらりとレオニダスを見ると満面の笑みで親指を立ててサムズアップしていた。
「士郎士郎!今の教えて!」
「ワン子!?」
「早いなぁ・・・」
かつての百代を思わせるスピードにガクトとモロも苦笑い。
「いいぞ。ただし滅茶苦茶辛いからな」
「押忍!」
士郎と二人でじっくりじっくりとトラックを前進する一子だった。
グラウンド端では今回の体育の見学がされていた。
「衛宮先輩が何かしてるわ」
「あれテレビで見たことあるわ!実物みたのは初めて・・・」
「ふっはは!兄上はいつも最先端を行くな!」
2-Sとなった紋白たちも見学している。
「ヒューム。あれは相当に辛いのではないか?」
「はい。全身の筋肉と体幹が求められます。それをこのトラック一周すれば・・・50周したのと同じぐらいでしょうか」
「ううむ・・・50周か・・・凛や桜は見学して見てどうだ?」
「実に有意義な訓練だと思うわ」
「私も・・・到底真似は出来ませんけど」
「リン。あれは貴女にも通ずるものがあるのでは?」
「確かにね。あれは太極拳の
「先輩が中国に行った時、さる老人に教えてもらったと言っていた気がします」
「え?遠坂さん中国拳法わかるの?」
「たしなみ程度ですわオホホ・・・」
と猫かぶり真っ最中の凛であるが実際のところ舌を巻いていた。
(何が体育よ。完全に訓練じゃない)
(同感です。流石スパルタの王。鍛え方をわきまえている)
実は三人ともこのレオニダスの体育見学は最近知ったもので、これで二回目なのだ。他クラスの、それも三年の体育など見て何になるのかと思っていたのだが、想像以上だった。
「みなさん誇らしげですね」
「あんな上級生になりたいわ」
「プレミアムな私でもあれはキツそうね・・・」
「ムサコッスでは相手にならんな!」
「酷いですよ紋様~」
(しっかし相変わらずね)
(ですね。先輩らしいです)
(そのシロウについていくカズコも中々と言いたいですね。シロウの鍛錬は常識を超えてきますから)
元々士郎は限界まで己の身体を突き詰める為に特殊な鍛錬法をいくつも行ってきた。それが今、他者へと受け渡されているのかもしれなかった。
体育が終わって二科目ほど授業をやったら昼休み。今日の学食はいつも以上に熱気が渦巻いていた。
「はいはい!残り半分を切ったよ!今日は一年生優先だからね!!」
名物となった衛宮定食も、今日は一年生優先という事で初回のデザートも含めすごいスピードでフル回転していた。
「衛宮定食をお願いします」
「はいよ。通常一丁!」
「お待ちどうさん。あれ、沙也佳ちゃん」
「士郎先輩!」
やっと会えた、というような雰囲気を出す沙也佳。
「久しぶりだな。確か、一月前に最初に出したのが沙也佳ちゃんだったな」
黛沙也佳は一年S組という高得点で入学してきたのだ。彼女の姉である由紀江がC組なのを考えると、彼女は相当に頑張って来たらしい。
士郎の言う通り、衛宮定食をいの一番に頼みに来たと記憶しているが、それから今日に至るまで来ていなかったように思う。
「休み時間の度に決闘の嵐でして。全然来れなかったんです」
「なるほど・・・体は大丈夫かい?」
決闘騒ぎだと体も精神も大分消耗しそうだが。
「平気ですよ。士郎先輩の作ってくれた忍者刀が大活躍です!」
「そう言ってもらえるなら作った甲斐があったな。今度、ガタが来ていないか点検しよう」
「はい!お願いします!」
そう言って沙也佳は定食を受け取って去って行った。
「大将の知り合いだったね。確か・・・」
「黛沙也佳。由紀江の妹さ」
「ああ。主とよく鍛錬してる子だね。そっか、妹がいたのか」
「弁慶は知らなかったのか?」
「知ってはいたけど、妹さんって言うのは知らなかったよ。・・・大将、もしかして」
「さて!俺は定食作りに戻るか!」
痛い腹を探られまいと士郎はさっさと裏に引っ込んでしまった。
「気が多い・・・わけじゃなくて気を持たれるのが多い、かな。全く、主が嫉妬しないのが不思議だよ」
弁慶も実は大和と交際を開始したが、まだまだ嫉妬してしまう部分が多い。
それに比べ、義経は何のその。どっしりと構えていつでも自然と甘えに行くのだ。
「私もそうならないとなぁ・・・」
何とも悩ましい問題だった。
「頼もう!兄上はいるか!」
「九鬼君」
「一子殿!ご機嫌いかがですかな?」
「うん。すこぶる順調よ。士郎よね?」
「うむ。頼みごとがあって来たのだ。取次、頼めようか?」
「わかったわ。士郎ー」
「ん?どうした・・・って英雄」
珍しい客もいたもんだと士郎はそちらに歩いていく。
「どうしたんだ?」
「うむ・・・少々長い話になる。放課後空いているか?」
「ああ。いいぞ。英雄が話なんて珍しいな」
「少々・・・厄介なのだ。巻き込むことを許してほしい」
「なに、気にするな放課後空けておくから話してくれ」
「そうか!では頼むぞ!」
「・・・。」
ぺこり
「・・・今日の護衛は忍足あずみじゃないのか」
確か以前にも会った李という人のようだった。
「士郎ー、もう九鬼君行った?」
「行ったぞ。まだ苦手意識があるのか?」
「うん・・・九鬼君には悪いと思ってるんだけど・・・」
「すぐに無くせ、とは言えないさ。さっきも最低限の会話は出来たんだろう?」
「うん」
「なら気にすることない。さ、教室に戻ろう。放課後の為にいくつか依頼を済ませないとな」
「また依頼受けてるの?」
「修理系だよ。ここでも十分できる奴をな」
「士郎は人助け好きねー」
「今更だろ」
そんなこんなで依頼を終わらせ放課後。
「さ、ここなら問題ないだろ。どうしたんだ?」
「すまぬ。実はあずみの事なのだが・・・」
「やっぱりか。護衛の人、李さんだもんな」
李は林冲と離れた所で会話している。
「うむ。実は――――」
英雄の話を聞いてみると、どうやらあずみが英雄に告白したらしい。だが、英雄はその申し出を断り、互いにここだけの話にしようという事にしたのだが、
「しばらくお暇を頂きます、とあずみから休暇の申請があってな・・・我はあずみがまだ気にしているのではないかと思っている」
「ふむ・・・」
「交際は断ってしまったがあずみは九鬼に必須の人材だ!なんとかあずみの心の傷を癒してほしい!この通りだ!」
ばっ!と頭を下げられたが士郎は慌てて、
「まてまて。そう軽々と頭を下げるな。忍足あずみの行きそうな場所とか心当たりはあるか?」
「それならば、風魔の里に帰省しているかと」
遠くで話していた李さんが教えてくれる。
「風魔の里か・・・場所はわかるんですか?」
「はい。定期的に風魔の里から人材を募集していますので。こちらを」
出されたのは地図だった。
「川神から車で3日、山中にあります」
「車か・・・英雄、近くまで送ってくれないか?」
「もちろんだ!あずみのことをよろしく頼む」
「わかった。これ以上彼女の事で頭を下げるなよ。一層気にしてしまうからな」
「うむ・・・頼みますぞ兄上」
「まだ兄じゃない。善は急げだ。俺は帰って身支度を整えるから車回してくれ」
「あいわかった!!」
「林冲。急いで帰るぞ」
「わかった」
そうして二人は急いで帰宅し、依頼で一週間ほど家を空ける旨を皆に話した。
「早速大型依頼だね」
「風魔の里か・・・ちょっと行ってみたいけどまだ転入したばかりだしねぇ」
「私もです。結構勉強頑張らないとS落ちしそうで・・・」
「リンもサクラも無理はしない方がいいかと。シロウ、私は行きますよ」
「私もだ。セイバー。よろしく頼む」
「はい。リンチュウ。貴女ならば頼もしい」
「おい。九鬼の車が来たぞ」
史文恭の声で士郎は荷物を纏めて外に出る。
「近くまでは送れますがその後の山中は徒歩で行く必要があります」
「わかりました。林冲、セイバー。荷物は大丈夫か?」
「ああ。探索用に調整してきた」
「食料もしっかり持ちました」
「よし。じゃあお願いします」
そうして士郎達は一週間の旅に出るのだった。
――――interlude――――
士郎が忍足あずみの捜索に出た後、凛は宝石の調整をしながらため息を吐いていた。
「まったく。家出じゃないんだから放っておけばいいのに」
「姉さん。そうは言っても先輩ですよ?」
「そこよねぇ・・・多少なりとも変わったのかと思ったのにすーぐ人助けなんだから」
だが凛は苦笑していた。
「でもま。本当に多少なりともは変わったのかな。今回も友達に依頼されたんでしょう?」
「九鬼の長男という事だったな。衛宮の立場としては義弟ということになるか」
史文恭の言葉になるほどと頷いて、
「九鬼・・・英雄、だったかしら。揚羽の弟って」
「姉さん。英雄先輩、ですよ」
「学校何て飾りなんだからいいの。ただ・・・」
ギリィと拳を握る凛。
「この私が成績で負けるなんて屈辱だわ・・・」
「九鬼先輩に葵先輩、弁慶先輩には勝てませんでしたね」
そう。なんとこの川神学園トップをひた走る三人に、凛は勝てなかったのだ。
もちろんS組圏内ではあったし、成績も弁慶に迫る4位だったが、川神水なるものを学園で飲むためと称し3位をキープする弁慶に負けるとは、と彼女の中ではショックだったのだ。
「大体何よ川神水って。お酒じゃない」
「あれは水だ。場酔いができる、な」
「酔ってるなら酒でしょ!」
「あの、美味しいんでしょうか?」
憤る凛だが、桜は味に興味を覚えたようだ。
「川神水もピンキリだが、美味いものはあるぞ。大体の人間が川神水から酒を覚える。二日酔いもないしな」
「へぇ・・・どんな料理に合うんでしょう?」
「酒のツマミは大体合う。酒精はないがくらっとは来るかもしれないな」
「前に士郎君が川神水の大吟醸を体育祭で勝ち取ったんだよね」
「大吟醸って・・・」
「本当にお酒みたいですね」
「弁慶ちゃんは酔ってないと震えちゃうから・・・」
「・・・ただのアル中じゃない」
「あはは・・・」
桜も乾いた笑いしか出ないのであった。
「話が逸れたわ。士郎の事よ。あいつ頻繁にこんなことしてるの?」
「こんなこと、というか大体人様の問題に首を突っ込んでいるな」
「まぁ・・・前はテロを止めにも行ってたしね」
「・・・。」
はぁ、と凛は嘆息した。
「テロを止めにって・・・(衛宮切嗣みたいじゃない)」
「何か言ったか?」
「いーえ。それよりこっちでの士郎の生活、もっと教えてちょうだい」
そうは言ったが、結局ため息を吐くことになる凛だった。
――――interlude out――――
車に揺られてはや三日。士郎達は例の森に来ていた。
「着きました。ここからは徒歩でしか・・・」
「わかりました。いくぞ、セイバー、林冲」
「了解だ」
「了解です」
車を降りかすかに道になっている場所を発見。そのまま地図に従って歩いていくと・・・
「なんだ、あれは」
「士郎?」
「どうかしたのですか?」
士郎の戸惑った声に二人が前を注視する。すると、
ざわざわと何かが蠢いている洞窟に着いた。
「あれは・・・」
「毒蜘蛛だ!」
明らかに危険そうな洞窟だった。
「トラップが仕掛けてある以上、この先が風魔の里だな」
しかしこの蜘蛛をどうするかだが、
「シロウ。こちらに看板が」
「なになに・・・『この先毒蜘蛛注意』」
「なんでわざわざこんなものを?」
普通ならありがたいものだが、こんなに洞窟全体が蠢くほどの蜘蛛の中に入るものなどいない気がする。
「この中を通るものがいるのでしょうか?」
「いるとしたら風魔の人間だが、それにしたって看板にするなんておかしい。これじゃあこの先に何かありますよ、って言ってるようなもんだ」
ふむ、と士郎は考え、ふと、
「・・・まさか」
実にくだらないことを思いついた。
そのまま無手で洞窟に進む士郎。
「士郎!?」
「いけません!いくら貴方で、も?」
士郎が一歩洞窟に踏み入った瞬間、黒いざわめきが、ざあっと動いて道が出来た。
「『
「「・・・。」」
「まぁいい。二人とも、行こう」
士郎の言葉に従って洞窟を抜ける。すると、
「まさに隠れ里って感じだな」
質素で落ち着いた雰囲気の里に着いた。
「これはこれは・・・随分と物騒な気じゃなぁ」
「貴方は?」
ひょっこりと通りすがったと言わんばかりに出てきたのは学園長ほどではないが、白髭を蓄えた老人。
「わしはここ、風魔の里の長老をやっておる。君らはどちら様かのう」
「俺は衛宮士郎。風魔の里の忍足あずみを探してここに来ました」
「私は林冲」
「セイバーです」
「衛宮士郎・・・最近話題の英雄か」
「よくご存じで・・・」
こんな所にまで英雄の名が通っていようとは。
思わず苦笑してしまう士郎だった。
「あずみを探しに来たと言っておったがどうしてここが?」
「道中は九鬼が送ってくれたので迷わず来れました」
「急に里帰りなんかするからなんかあったのだろうとは思ったが・・・仕方ないのう・・・こちらに来なさい。お茶でも出そう」
「いえ、結構。忍足あずみはどちらに?」
「心配せんでもあずみは稽古中じゃよ。・・・警戒せんでも茶に毒など仕込まんわい」
「睡眠薬などでは「ないない」・・・士郎」
どうする?と視線で問われた士郎は仕方なく、
「では稽古が終わるまで」
そう言い切って一室に招かれた。
「長老、お茶です」
「おうおう。ありがとう」
「いえ、お客人もゆっくりして行ってくださいね」
「さ、召し上がれ。数少ない特産品じゃ」
「・・・。」
「すまない。外で飲食することは控えている」
「いただきましょう」
無言の士郎に対し林冲は遠慮し、セイバーは静かにお茶を頂いた。
「警戒はもっともじゃが、その調子では先が思いやられるわ」
「・・・視線が多いので」
士郎は言葉少なくそう言った。
事実、この里に来てから妙に視線が痛い。今も穴が開くほど見られている。
「ああー・・・これ、バレとるぞ。出てきなさい」
ガラ!パタン!ひょっこりと押入れ収納の中から、天井裏、床板から沢山のくノ一・・・には満たないだろう子供たちが姿を現した。
「長老この人たち誰ー?」
「テレビでやってたえいゆうさんだ!」
「サインサイン~」
わらわらと出てくる子供達。その様子に風魔の長老もため息を一つ。
「お前達、あずみとの稽古は?」
「これも稽古ー」
「里にやって来た人の監視ー」
「・・・あずみめ、後ろ暗いからと子供達をけしかけよったな」
「えいゆうさん、名前何ていうのー?」
「衛宮士郎だよ。君達に忍術を教えているお姉さんは何処かな?」
「あずみ~?」
「あずみは滝行にいったよ~?」
随分な徹底さである。長老も同じ事を思ったのか、
「完全に逃げとるわ」
「だな。士郎、どうする?」
「仕方ない・・・長老、しばらく滞在する許可を貰えませんか?」
「良いぞ。わしも気になっていたことがあっての・・・これでもわし、里の長老じゃからその人物の先天的な能力とかわかるんじゃが・・・」
「?」
「黒髪の・・・林冲と言ったか。お嬢さんは棒術の方が得意そうだのう。なぜ槍なんじゃ?」
「!?どうしてそのことを・・・」
「林冲、そうなのか?」
「槍も棒術が使えないとは言いませんが・・・」
「い、いや違うんだ!ほら!棒術使いがもう既にいるだろう?だから私は槍にしたんだ」
「そういえば・・・」
確か以前衛宮邸にも招いた史進という少女が棒術使いだったはずだ。
「金髪のお嬢さん、セイバーさんは突き詰めるところを突き詰めとるのう。槍も扱えそうじゃが」
「セイバーが槍?」
「馬上槍です。昔はそれで決闘も少なくなかったので」
槍は槍でも西洋槍という事だろう。よく、『パラディン』なんていう名前が付いたりもするが。
「そして衛宮士郎君。正直わしにも未知数なんじゃが・・・お主、恐ろしい気の才能があるのう」
「は?」
士郎は何を言われたのか分からなかった。
「やっぱり気づいておらんかったか。お主の気の才能はあの武神にも迫るかもしれん。どうじゃ、気の開放、していかぬか」
「・・・」
ここに来たのは忍足あずみを探しにだ。決して自分の能力開発の為じゃない。
一瞬断ろうかと思ったが、
「断るのは結構じゃがやめといた方がいいぞい?このままじゃと君は一生二流止まりじゃ」
「・・・っそれは」
それは衛宮士郎の限界ではなかったのか?担い手ではなく、創り手としての違いではないのだろうか?
悩む士郎にセイバーが言った。
「シロウ。いずれにしても滞在しなければならないのですから、気とやらの開放をした方がいいのではないでしょうか?」
「セイバー・・・」
「私もそう思う。士郎はいつも二流止まりだって蔑むけど・・・士郎は魔術という異能も特化型だから気も同じなんじゃないだろうか?」
林冲の言葉に長老は頷き、
「その、魔術?とやらはわからんが気の才能があるのは本当じゃ。逆に、よくこの状態で今まで気づかなかったなと、わし、驚いておるんじゃが・・・」
「・・・その気の開放には何か不備が生じたりはしませんか?」
「これだけの気じゃからのう・・・ちょいと地球が動転しそうじゃが問題なかろう。お主の身体は膨大な気ではち切れないのが不思議なほどじゃ。いや、その体に無理やり押し込め続けたのが原因かもしれないな」
「・・・もしや」
魔術の誤った鍛錬。あれが気の鍛錬に酷似していたのではないだろうか?
それしか考えられない。またはこの世界に来て辻褄合わせとしてこの身に気が宿ったのか。
いずれにせよ絶好の機会。絶好の機会だが・・・
「・・・本来の目的を忘れるわけにはいかない」
「そういえばお主、九鬼に送ってきてもらったちゅうとったが、依頼は九鬼か?」
特に後ろめたいこともないので士郎は、はい、と返事をした。
「何があったかも聞いておきたいところじゃが、お主しゃべりゃせんの。まぁいい。ともかくあずみにも時間が必要なようじゃしやっていけ」
「仕方ない・・・林冲、セイバー。何かあったら頼む」
「大丈夫だ。士郎は万全の態勢で臨んでほしい」
「忍足あずみも逃げないでしょうから、頑張ってくださいシロウ」
二人に力強く頷かれて士郎は諦めたように、
「ではお願いします」
そう、言った
突然の士郎強化案件でした。あずみさんはもうちょい時間かかります。
主人公強化ってなんかワクワクしますよね。私もスーパーなロボットのゲームで何度となくキター!!!って思いました。
今回の士郎強化は今後の布石です。だってね…オニュクス王国編見てたらね…学生が重火器とやり合ってんだもの……うちの強つよ士郎でも川神補正がないと普通に穴だらけですやんと思いました。どこかで主人公強化は入れようと思ってましたがこのタイミングかー。書いてる自分が一番不思議です。まぁこのタイミングで私の下にプラスディスクが来て、卒業式を見れたのが運命という事で。賛否両論あるかもですがこの路線で行きますのでよろしくお願いします。