真剣で衛宮士郎を愛しなさい!   作:Marthe

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皆さんこんばんにちわ。歯の治療が一向に進んでいないような気がする作者でございます。

今回はあずみメインの話になるかなと思います。そして気の開放という限界突破的なことをした士郎の話し。

色々言いたいけれどまずは、ここまで見てくださっている方ありがとうございます。あんなに怖がっていた私の小説も90話を越えました。まだまだ妄想を形にしていきたいのでお暇な方で面白いなと思った方はみてやってください。

では!


夢/明日

――――interlude――――

 

その日、川神では強大な気の発生に(おのの)いていた。

 

「なんじゃ!この気は!?」

 

「地を覆い天をも貫く気の奔流(ほんりゅう)・・・!モモヨ!何かしたのかイ!?」

 

「何もしてないぞ!なんだこれ・・・私並じゃないか!!」

 

「うわぁ・・・これ敵にしたら絶対ダメな奴。モモちゃん。本当に私以外にあの技使ってないの?」

 

「本当だって!今まさに燕の稽古してただろう!?それにこれは私のじゃない!これは――――」

 

ズグン・・・

 

「うぐ!」

 

左目が痛むように膝をつく百代。

 

「モモ!」

 

「モモちゃん!」

 

「大丈夫、だ。これは・・・士郎・・・?」

 

パスを通じて繋がりが強く感じられるようになった。

 

「モモ、お主解析眼が解放されておるぞ!」

 

「やっべ・・・」

 

さらに強化されたであろう解析の魔眼が多種多様あらゆる情報を高速で読み取り、

 

「・・・。」

 

ドサ!と倒れた。

 

 

各地でも

 

「!!士郎、君!?」

 

「どうしたの義経」

 

「おー?寂しいのか、主ー」

 

「違うん、だ。パスから流れてくる力が・・・あう」

 

「義経!?」

 

 

 

 

 

「この気は士郎せんぱ・・・!?」

 

「まゆっち?まゆっち!?」

 

 

 

 

 

「くう・・・!?」

 

「マルさん!?」

 

「大丈夫、です・・・」

 

「どうしたんだ!?」

 

「お嬢、様、少し休めるところにつれて行ってもらえますか・・・?」

 

「わかった!急患だ!通してくれ!」

 

 

 

 

もちろん揚羽にも――――

 

「この気は!?」

 

「わかりません!しかし風魔の里方面かと!」

 

「揚羽!大丈夫か?」

 

「はい・・・体が火照るようですが・・・」

 

「姉上肩に・・・!」

 

「これは――――士郎の文様が・・・」

 

ドクドクと焼けるような強烈な力が流れてくる。

 

「揚羽様!」

 

「ヒューム!」

 

「大丈夫だ・・・ヒューム」

 

「はい・・・これは揚羽様の気に混じって別な奴の気が――――」

 

「出所は分かっておる・・・これはどうすればいい?」

 

「気を発散させるしかないでしょう。いいか――――」

 

 

この他にも気を感じ取れる者。強者を感じ取れる者は一様に動転していた。

 

 

「おいおいおい!これマジでやばいんじゃねぇのか!?」

 

「落ち着きな天」

 

「こりゃたまげたぜ。キレたタツ姉をこえてやがる!」

 

「師匠?」

 

「あーこりゃやばいのが生まれたな。(チッ・・・百代なみじゃねぇか・・・!!)

 

 

「!」

 

「どしたー?ワン子」

 

「空に何かあるの?」

 

「はいダーリン、あーん」

 

「あーん・・・」

 

「京は相変わらずだけど」

 

「モグモグ・・・なんか強い奴でも現れたか?」

 

「うん・・・!ちょっと行ってくる!」

 

「行っちゃったよ・・・」

 

「てかコレやばくね?俺様の筋肉にも鳥肌が・・・」

 

 

 

 

 

「これは!」

 

「ほう、武神クラスか。世の中にはいるものだな」

 

「史文恭。どうしたの?」

 

「喜べ!凛!我らの男が強くなって帰ってくるぞ!」

 

「はぁ?ていうより清楚、貴女口調が・・・」

 

「こいつは気が滾るとこうなのだ。放っておけ」

 

「なっ・・・放っておけは無いだろう!?」

 

「やかましい。その状態になったお前は書斎にはいらん。丁度いい。凛、こいつを連れていけ」

 

「く・・・この・・・」

 

「ああーはいはい。こっち。こっちよ」

 

「ぬあ!?凛!?」

 

「史文恭お姉様?」

 

「なに、お前が気にすることはない」

 

 

など、あらゆる場所で強烈な強者の誕生を感じ取っていた。

 

 

 

――――interlude out――――

 

 

一方士郎達はと言うと・・・

 

「こんなんでいいんですか?」

 

「うむ。ツボを押して段階的に開放しないとまずいからな」

 

針治療のようなものをしていた。

 

「・・・う・・・」

 

「寝れるなら寝るとええ。多分、無理じゃがの」

 

段々と士郎が呻くようになっていた。

 

「よし、これで終わり・・・っと。いい仕事したわい」

 

「おいジジイ!!何しやがった!」

 

慌てて来たのだろう髪の毛から雫が滴るあずみが現れた。

 

「あ、家出娘」

 

「やかましい!!それより答えやがれ!お前衛宮の身に――――」

 

何を、とは続かなかった。

 

「忍足あずみ・・・」

 

「衛宮!?」

 

「驚いた。その状態で正気を保っておるのか」

 

「このタヌキが・・・よくもまぁ言う・・・」

 

「何も危険なんかありゃせんわい。寝とればじき落ち着く。開放寸前、直後は気が爆発して苦しいだけじゃ」

 

「気の開放!?」

 

「そうじゃ。なにしろ緒がはち切れそうだったから開放しちゃった」

 

「開放しちゃった、じゃねぇ!どうすんだこんな化け物世に放ちやがって!」

 

「どうするもこうするもないじゃろ?なんか問題でもあるのか?」

 

「ッ・・・」

 

あずみには何も言えなかった。

 

「忍足あずみ・・・九鬼が問題を起こさない限り・・・敵にはならん・・・長老、この状態はいつまで続く・・・?」

 

「その調子なら三日、と言った所か。あずみお前が看病せい」

 

「は!?なんであたいがしなくちゃならねぇんだよ!」

 

「衛宮君のお連れさんは稽古で預かるでな。なぁにいい男じゃし、問題なかろ?」

 

「そういう問題じゃ・・・」

 

「ほっほ!じゃ!そういう事で!」

 

シュタッと長老はいなくなってしまった。

 

「・・・。」

 

「忍足あずみ、この針はまだ刺しておかなければならないのかね・・・?」

 

「・・・だぁーもう!!あのエロジジイ覚えとけよ・・・」

 

ゆっくり、ゆっくりと針を抜いていくあずみ。

 

「針は全部抜いた。仰向けになりてぇんだろ?」

 

「ああ・・・後は自分で・・・何とか・・・」

 

ぐったりと士郎はそのまま気絶してしまった。

 

「・・・。」

 

ゆっくりと仰向けに寝かせてやるあずみ。

 

「っく、おっも・・・」

 

しかし彼女の細腕では彼の身体を支えきれず、

 

「ぐあ!?」

 

ドタン!

 

「っててて・・・」

 

もつれ合うように一緒に倒れてしまう。

 

「・・・?うわぁ!?」

 

びっしりと引き締まった彼の身体に抱き着くようになっていたあずみは慌てて起き上がる。

 

「・・・。」

 

思わずじっと見てしまう。そのくらい見事に引き締まっていた。

 

「あ、あたいは英雄様一筋だし!(ブンブン)」

 

誰に聞かれるでもないのに言い訳がましいことを言うあずみ。

 

「スゥ・・・スゥ・・・」

 

「・・・。」

 

この体が主を、揚羽様を誑かした。

 

「・・・(ゴクリ)」

 

やはりもう一度頭を振って妄想を追い出す。

 

「そうだ・・・あたいは猟犬じゃねぇ・・・」

 

言い訳をするように部屋を出て行ったのだった。

 

 

――――interlude――――

 

それは、不思議な夢だった。

 

いずれ辿る自分は何か大きな戦いに身を投じていた。

 

そのどれもが死闘の連続。英霊としては末席に過ぎない自分では、ついていくのも辛い危険な旅。

 

ただしそのどれもが――――

 

『大丈夫。エミヤを信じてるから――――』

 

希望と誇りに満ちた旅だった。数多の英霊を従える中、彼/彼女が、全幅の信頼を置いてくれていたのは自分だった。

 

「ああ――――」

 

そんな旅なら例え地獄に落ちるとしても。

 

こんなあり方もいいんじゃないかとそう、思った。

 

 

 

 

 

「つつ・・・ここは」

 

巨大な歯車が地に落ち、空は青空が広がる中その男はいつもの様に膝を立てて座っていた。

 

「まさか、こちらがもらうことになろうとはな」

 

「・・・アーチャー」

 

「何をしているのだ未熟者め。さっさと立って剣を取れ」

 

「え?」

 

「稽古をつけてやる」

 

「なっ・・・」

 

神速で踏み込まれるよりも早く、士郎は足元の剣を引き抜き叩きつけた。

 

「っつあ!!!」

 

「む・・・」

 

じりじりと脳に何か焼き付かされる。

 

「・・・はぁ。この感じ。そう何度も繰り返さないでほしいものだが」

 

「っるせぇッ!これはお前の――――」

 

そこまで言って疑問を覚えた。なんだ?気の扱い(・・・・)とは本当にコイツの記憶か?

 

「こちらも暇ではない。とっとと事を済ませ――――」

 

ドン!と双剣が大上段から叩きつけられる。それをバックステップで躱し、右手の干将を叩きつける・・・!

 

ジジジジ……!!!

 

「ぐあ!」

 

「くっ・・・!」

 

互いに苦悶の表情を浮かべながら、ガン!キィン!と何度も砕ける剣を取り変えては戦い続ける二人。

 

「・・・ッ!貴様の阿保さ加減にはほとほと呆れるな!なんだこのふざけた力は!!」

 

「テメェ、が!言うんじゃねぇ・・・!!」

 

気とは体内を巡る非現実的な力。それを両足に、

 

否。

 

両腕に

 

否。

 

全身に――――

 

そうして研ぎ澄まされて行く。気というエミヤシロウには存在しなかった要素(ファクター)が組み込まれて行く。

 

何度振るい続けたかいつの間にか自分に揺らめきのようなものをみて、

 

「・・・ッ」

 

それをぎゅっと体内に密集させた。

 

「「これで――――」」

 

「「終いだ――――!!!」」

 

最後は、互いの身体を互いが切り伏せた。

 

 

――――interlude out――――

 

「・・・はっ!?」

 

バサ!と布団をまくり上げてはっはっはっと息を荒くする。

 

「・・・ここは」

 

風魔の里の一室だ。自分は上半身裸で眠っていたらしく汗がすごい。

 

「はぁ・・・夢・・・?」

 

その割には何か手ごたえのようなものを感じる。

 

「・・・。」

 

己の内を巡る力に目を向ける。

 

ゆっくりと、流れを見るように――――

 

「ううん・・・」

 

「?」

 

何やら苦悶の声が聞こえて士郎はハッとする。

 

「忍足あずみ・・・」

 

起こしてしまわないように、声のトーンを落として士郎はつぶやいた。

 

「あずみだけ?セイバーと林冲は――――」

 

とにかく上着を着ようと探すが見当たらない。

 

「うーん・・・あ・・・いた♪」

 

「!?」

 

バタン!と予想外の人物に押し倒される。

 

「・・・忍足あずみ?」

 

「・・・。」

 

はっはっはっはと飢えた犬の様に息を漏らしてこちらを見るあずみ。

 

「逃げたら――――」

 

「あず・・・ムグ!?」

 

「め――――ちゅ」

 

唇を貪られる士郎。

 

(なにがなんだかわからないがこれはまずい――――!)

 

何故あずみがこんなことになっているのか時間は巻き戻る。

 

 

 

 

あの後あずみは士郎を丁重に看病していた。

 

汗を拭い、薬湯(あずみ汁)を飲ませ、季節外れの風邪などひかないようにする。

 

そんなことを三日続けたわけだが、薬湯を飲ませる。これがいけなかった。

 

「おい。飲みな」

 

「・・・。」

 

「・・・ッチ」

 

発汗が激しいため、水分を取らせなければまずいそこでいつも英雄や九鬼一家に出す薬湯を準備したのだが、

 

「飲みやすい・・・はずなんだけどな」

 

一口ゴクリと飲んでも何も問題はない苦いこともないし清涼感も失われていない。

 

だが士郎は一向に自力で水分を取ることが出来ないでいた。

 

このままでは脱水症状で死ぬ。そう判断したあずみは仕方なく、

 

「ん――――」

 

口移しで飲ませた。

 

「あたいの唇奪いやがって」

 

ガツンと蹴とばすが、彼の身体はその程度ではどうにかなる訳もなく。

 

「・・・。」

 

ふと、あずみは違和感を覚えた。

 

「なんだ――――」

 

瞬間、

 

「!!!」

 

ビリビリと脳が焼けそうな刺激に襲われた。

 

「なんだ・・・これぇ・・・」

 

まるで熱病に狂ったかの様に顔を赤くして息を荒くするあずみ。

 

脳を直接刺激するような違和感にあずみは、

 

「毒・・・?」

 

まず最初にその可能性を考えただが、

 

「・・・違う。衛宮はそのタイプじゃねぇし何よりあたいの身体は――――」

 

毒が効かない。それはアルコールにすら適用されるほどで、万が一にもその可能性はあり得ない。

 

では他になにが――――

 

と薬湯の入った水差しを見る。

 

「いや、そんな馬鹿な・・・」

 

まさかさっきの口移しが?と一瞬考えるあずみ。

 

「いや、いやいやいやちょっ・・・まて」

 

まさかとは思うが、

 

「体の相性・・・いいんか・・・?」

 

そういえばさっきの刺激には強弱の差があれどあった気がする。

 

あれは確か――――

 

『そらまた気を放出しているぞ』

 

『導いたのだから後は維持するだけだ』

 

「あ、ああー・・・」

 

思わずガシガシと頭を掻くあずみ。そうだ。この可能性は以前からあった。

 

今の士郎はユラユラと体から気が自然と放出されている状態。

 

その上でだ。口という粘膜をこすりつけでもしたら――――

 

「・・・(ブンブンブン)」

 

スーハースーハーと深呼吸。

 

「ダイジョウブ。アタイ、ヒデオサマヒトスジ」

 

と片言の様にいい、

 

「んあ・・・」

 

一日目。

 

「くぅん・・・」

 

二日目

 

「んく・・・」

 

三日目

 

「はっはっはっは」

 

と、こんなことがあったのである。

 

当然士郎はそんなこと知らずに眠り惚けていたわけで・・・

 

「まて、まてまてまて!忍足あずみ!ズボンに手をかけるな!!!」

 

「?」

 

「自分のにでもない!!!」

 

「もう・・・め」

 

「アッー!!!」

 

結果的に美味しく頂かれてしまうのだった。

 

 

――――interlude――――

 

「?」

 

「どうしたのですか?リンチュウ」

 

「今士郎の声がしたような」

 

「気のせいではありませんか?風魔長老が言うには三日かかると言っていましたし。今も眠っているはずですよ」

 

「・・・そうだろうか」

 

セイバー達は秘伝の奥義だ、という事で別室があてがわれていた。

 

「忍足あずみがいることだし大丈夫か」

 

「リンチュウ。そのオシタリアズミの事をよく教えてくれませんか」

 

「・・・セイバー。その特徴的な発音は士郎だけにしておいた方がいいぞ」

 

「?聞き苦しいですか?」

 

「士郎くらいならまだしも私の名前くらいになると聞き取りにくいかもしれない」

 

「わかりました」

 

リンチュウ、林チュウ、リン冲・・・と何度か練習し、

 

「林冲」

 

「ああ。やれば出来るじゃないか」

 

「今まで指摘されたことがありませんでしたから」

 

「忍足あずみはいけそうか?」

 

「待ってください・・・」

 

忍足あずみの名前を何度も繰り返すセイバーに、

 

「忍足は苗字であずみが名前だぞ」

 

クスリと笑ってそう教えてあげる林冲

 

「・・・忍足、あずみですね」

 

「そうそう。彼女は女王蜂とも言われていて――――」

 

傭兵時代のあずみの事で盛り上がる林冲とセイバー。

 

――――この後、セイバーが特殊な発音を用いるのはシロウ、リン、サクラの三人だけになった。

 

 

 

 

ちなみにアンなことやコンなことが起こっている屋根裏では、

 

「忍足あずみ、完成じゃのう・・・」

 

フォフォフォと似合わないバルタン笑いをする風魔長老がいたのだった。

 

 

――――interlude out――――

 

 

翌朝。

 

「っは!?(二回目)」

 

翌朝目が覚めた士郎は、

 

「スゥ・・・スゥ・・・」

 

「・・・。」

 

裸で絡み合うように眠っていたあずみを見て、

 

「・・・どうしよう」

 

首をへし折られても文句が言えないかもと士郎は頭を抱えた。

 

「ん」

 

「あ」

 

ぱちりとあずみが目を覚まし、

 

「わかってる。わかってるから声は」

 

「ギャー!!!」

 

襲ってきたのはそっちなのにぃ!という士郎の声は悲鳴によってかき消されるのだった。

 

 

 

「くあ~・・・」

 

グイーっと凝り固まった体を解す。そしてこの晴天を・・・

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

気まずかった。とてもとても気まずかった。

 

こっそり見てくる。凄くこっそり見てくる。

 

「(中々の気配遮断だな)」

 

「(夜を思い出して頭ブンブン)」

 

どうやらあずみも昨晩の事を覚えているようで、

 

「あー・・・その、なんだ。俺は気にしてないから・・・」

 

「!」

 

「え?ちょ、あずみさん・・・?」

 

ズンズンと歩いてくるあずみに及び腰になる士郎。

 

目の前に来たあずみは士郎の首元を引っ張り、

 

「お前は!お前は・・・その、あたいを女にした」

 

「ああ・・・すま「謝んな!!!」はいー!」

 

中腰なのにビシとする士郎に、

 

「女にしといて、気にしてないとか・・・言うなよ」

 

「・・・。」

 

パッと両手を離し士郎が直立不動なのを見ると、

 

「い、いいか!あたいはもうお前の女だ!きっちり幸せにしやがれ!!」

 

「・・・ああ。了解した」

 

突っ張り切れていないあずみにクックックと笑って、

 

「そういえば」

 

「あん?」

 

「昨夜屋根裏に翁が居たようだが」

 

「・・・。」

 

「どうする?」

 

「「〆る」」

 

あっははは!と笑って士郎とあずみは肩をぐるりと回す。

 

「三日も眠り惚けやがってよぉ・・・鈍ってねぇだろうな?」

 

「なに、力は湧き上がるようだ。今までにない力を感じるよ」

 

コキン、ペキンと骨を鳴らして、

 

「んじゃ」

 

「いってみますか」

 

ドン!と二人駆けだす。

 

「遅い!」

 

「お前と一緒にすんじゃねー!!」

 

物凄いスピードで駆け抜ける中、風魔長老がこちらに気付いた。

 

「!」

 

シュッと一息の内に視界から消えるが士郎の鷹の目はその後ろ姿を見失わなかった。

 

「あんのクソジジイ「乗れ!」おう!」

 

「ちょ・・・」

 

「往生せいやー!!!」

 

「ぎゃああああ!!?」

 

ここに悪は成敗された。

 

「で」

 

「いう事があるだろう?」

 

「はい・・・・」

 

林冲とセイバーの下で正座させられている士郎。

 

林冲は槍を装備しセイバーはフルアーマー(風王結界あり)である。

 

「ぷくく・・・」

 

顔を赤くしているのを自覚しながら笑うあずみ。

 

「英雄様・・・ありがとうございました」

 

フハハハと笑っているだろう主にお礼を一つ。

 

「忍足あずみ!」

 

「お前もだろう!」

 

「いっけね」

 

激怒する二人に呼ばれて渋々出て行くあずみ。

 

シュッと降り立ったかと思えば、

 

「忍足あずみどう「走れ!」!?」

 

一目散に逃走した。

 

「いいのか!?林冲はともかくセイバーは早いぞ!?」

 

「あたいにあの騎士王様がどんくれえ早いのか想像もつかねぇよ!」

 

「それでは!?」

 

「お前の足任せだ!!」

 

ボン、と煙幕を焚くが

 

「!」

 

それを切り裂きセイバーが猛追してくる。

 

「やばいぞ宝具だ!」

 

「あん!?騎士王様といやあ・・・剣か!」

 

約束された(エクス)・・・!!!」

 

「ちょ、ま、それはシャレにならな」

 

勝利の剣(カリバー)ッ!!!」

 

黄金の光に呑まれる二人。

 

でも

 

「・・・クッ」

 

「はは・・・」

 

仲良く手は繋がれていたとさ。

 




はい。若干短いですがこんな所でしょうか。もうちょっとあずみ関係は続くので書き続けても良かったんですが、とても切りよく書けたので投稿しました。

あずみは毒が効かない(酔わない)生活を送っていましたが今回は男に酔ったという事です。

実際は士郎との気の相性が良すぎて暴走してしまった感じですね。今後の描写で出てきますがきちんと剣の文様も刻まれております。

セイバーの発音の話し。実は知ってる方も多いと思いますがセイバーは基本的にカナ字発音なのですがそれだと収まりの悪い印象の場面が多かったので今後はシロウ、リン、サクラだけにしました。タダカツとかモロオカとかなんとなく居心地の悪さを感じまして。

二話連続投稿ですが楽しめてもらえたら嬉しいです。

では次回!

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