今回はあずみの事を少しと強化された士郎の確認回となりそうです。
前話、前々話で超強力な強化を得た士郎の四苦八苦する姿を書ければいいなと思います。
では!
――――interlude――――
晴天の中、九鬼ビルでは。
「うむ。うむ・・・なんと!そうか・・・」
九鬼英雄は士郎からの電話を取り、事の顛末を聞いていた。
『というわけで一応乗り切れたみたい、なんだが』
「あずみまで嫁にしてしまうとは・・・兄上も隅に置けませんなぁ・・・」
『悪い。怒ってるか?』
「いや!そうではない。我はあずみを娶らなかった身。どうこう言う権利などないように思う。しかし兄上よ。どうかあずみを幸せにしてやってくれ」
『もちろんだ。あずみ、君は今休暇中なんだろう?どうする?』
問われたあずみは士郎から電話を受け取り、
『英雄様。あずみです』
「おお!あずみ!心配したのだぞ。大事ないか?」
『は、はい。先ほどの件を除けば・・・ですけど』
「なに。兄上にはよろしく頼んでおいた。全力で幸せにしてくれよう!」
『はい。それで休暇の件なのですが・・・』
「よい。あずみは働きづめだったからな。そのまま有給を消化するのもよかろう。ただ・・・我としては有給消化は後に取っておいた方がいいと思うぞ?」
『はい?それはどういう――――』
「新婚になってからは色々と忙しくなろう。その時の為にほどほどに貯めておいた方が良いということだ」
『!!英雄様・・・』
「うむ。我もお前の事を気にかけている。上司として、だが。そしてお前も我が守っていく一人よ!無事に帰ってくることを待っているぞ」
『ありがとうございます!』
「うむ!では兄上に代わってもらえるか?」
など。事後報告ではあるが士郎とあずみはきっちりと英雄に報告していた。なにも後ろ暗いことが無いよう、しっかりとした報告だった。
『代わったぞ。どうした?』
「うむ・・・こちらも深刻なので兄上には早く帰ってきてもらいたいのだが・・・」
なんでも、揚羽が微熱のような状態が続いているとのこと。他にも川神百代、黛由紀江、源義経、マルギッテも同じ症状だという事だ。
「何故かはわからぬが、皆微熱ながらも元気が有り余っている状態のようだ。恐らく兄上が風魔の里で何か起きたのが原因ではないかというのが姉上の証言だ。なにか変わったことは無いか?」
『変わったこと・・・あ、英雄。俺、気って奴に目覚めたらしい。そのせいじゃないかな・・・』
「なんと!?兄上は魔術だけでなく気も扱えるようになったのか!なにか巨大なものが発現したと報告を受けていたが、兄上だったのか!」
『俺、正直魔術の素養は無いんだ。でも気って奴には恐ろしいほど適正があったらしくてな、ちょっと待ってくれ・・・』
一呼吸置いて士郎は、
『うん。抑えきれない気がパスを通じて流れていたみたいだ。今止めたからじきに良くなると思う』
「そうか!いやはやヒュームが言うには武神なみという話だったから何事かと。それならば九鬼も安泰だな!」
『過信はしないでくれよ?俺も人間だ。いつ死ぬかなんて・・・あいたっ・・・んん。分からないし。それに人クローンだって大量にやったら俺も動くからな』
と士郎は釘を刺した。途中何やらあったようだが、ともかく士郎はそう言った。
「わかっている。今後は兄上の意見も含めて議論をする。ともかく兄上、ありがとうございました」
『ああ。こっちはもう風魔の里を出てる。三日後には着くだろうから安心してくれ。じゃあな』
「うむ!」
ピ、と電話が切られる。すると、
「フハハハ!九鬼揚羽再臨である!」
「おお、姉上!」
揚羽がはつらつとした様子で現れた。
「調子はいかがですか?」
「うむ。微熱のようなものはなくなった。やはり士郎か?」
「そのようだったようです。それと別件で・・・」
英雄はあずみの事を揚羽に話す。
「またか!しかし身内からとはな・・・よかろう!後は任せるがよい!」
「兄上もそうですがあずみのこと、よろしく頼みます」
「うむ。しかしあずみか・・・何か面妖なことでもあったのか?終始英雄に執着していた様子だったが・・・」
「そ、そうですか?」
「なんだ英雄。気付いてなかったのか。あれに気付かぬのなら・・・お前はあずみに相応しくなかろう」
「ぐっ・・・」
痛い所を突かれたと英雄が呻く。
「ま、もう済んだことよ。あずみにはルールの説明をせねばな・・・」
フッフッフと怖い笑い声をあげる姉に、英雄は苦笑を漏らすのだった。
――――interlude out――――
ところ変わって九鬼の車の車内では。
「あたいを嫁にしといて早々に死ぬとか言うな!」
「悪い悪い・・・でも必要なことだろう?」
正直セイバーの宝具で死にかけた身としては冗談ではない。
「忍足あずみ、いい顔してるな」
「まったくです。シロウも気楽なものですね・・・」
「いや、ちゃんと話し合った結果だよ。大丈夫俺はもう受け入れることにしたから・・・」
ハッハッハと固まった表情で言う士郎。
「しっかし、お前に気の才能があるとはなー・・・完全に武神じゃねぇか」
「あずみ、それはちょっと・・・」
「ちょっともかかしもあるか!今回の事で正真正銘の武神になったんだからちっとは用心しろ!」
ボカ!
「あいたっ!もう一々叩くなよ・・・しかしそうだなぁ・・・気か」
少しならばよかったが、これ程になると鍛錬法を変えねばなるまい。
「とりあえず車内でも出来る気配探知からしてみたらどうだろうか?」
「林冲の言う通りですね。シロウは視線や目線を感じ取ることが出来るのですから気配探知が出来れば尚いいでしょう」
「そうか。じゃあやってみるか・・・」
スッと瞑想の様に目を閉じる士郎。
(この流れる力を広く・・・薄く・・・)
まるで雫の滴りを感じるように・・・
「・・・すげぇな」
思いのほかさらりと集中する士郎にあずみは驚いたように言った。
「士郎は瞑想もよくやっていたから」
「魔術の使用にも集中力は必要不可欠です。この程度ならばシロウには造作もないでしょう」
林冲とセイバーのお墨付きだった。ところが・・・
「・・・これ」
「どうしたんだ士郎?」
「何か不都合でもあんのかよ」
「どこまでも拾えるんだが・・・」
「はぁ?」
「探知用に切り替えると何処までも拾える。これは・・・九州辺りか?」
「九州!?」
関西である。一体何処まで拾えるというのか。
「何処まで拾えるか確認したほうがいいんじゃないか?」
「んー・・・そうか」
何かに気付いたように、
「――――
と唱えた。
「うわぁ・・・」
ドン引きした声が響いた。
「何処まで行けたんですか?」
「地球一周した」
「「「・・・。」」」
「これは探知しすぎだな・・・もう少し狭めて・・・」
士郎はおもむろにバンダナを投影して両目に巻き付ける。
「・・・うん。問題ないな」
「まじかよ」
「マジ」
試しにあずみが頭をひっぱたこうとすると、
「・・・だから、叩くなって」
パチンと手を払った。
「マジで見えてやがる」
「家に着いてからが楽しみですね」
「うーん・・・でもこれどう鍛錬するかな・・・」
「川神院の鉄心に相談してみてはどうでしょうか?」
「ヒュームのジジイに頼むのもありだぞ」
「うーん・・・」
士郎としては二人のどちらにも借りを作りたくないのだが・・・
「学園長に相談してみるか・・・」
ヒュームは戦闘力こそ上がりそうだがあまり色々な術を覚えられ無そうである。
とりあえず帰りの間は目隠しをして気配探知の訓練だ。
川神に着くと何故か英雄と揚羽が待ち受けていた。
「お帰り。士郎」
「ただいま。揚羽、英雄」
「ただいま」
「ただいま戻りました」
「・・・。」
「あずみ。心の整理はついたか?」
「・・・はい。揚羽様。英雄様も、急にお暇を頂きすみません」
「なに、あずみの心が癒えたのなら良かった。またよろしく頼むぞ」
「はい!」
「林冲、セイバー。お前達にも迷惑をかけたな」
「いや、貴重な体験をさせてもらった」
「私も少しうっぷん晴らしが出来たので問題ありません」
「・・・。」
あれは本当にヤバカッタナーと遠い目をする士郎。
「皆無事で何よりだ。それより士郎。お前随分愉快なことをしているな?」
「愉快じゃないぞ。まったく百代なみの気なんて俺には過分だ」
「だができることは増える。違わないか?衛宮士郎」
「ヒューム爺さん・・・」
その手に紋白を抱いて現れたヒューム。もちろん気配は捉えていた。
「兄上ーどんな力に目覚めたのですか?」
「どんな、か・・・多分大抵のことは出来るんじゃないかなぁ・・・」
バンダナを解き士郎は顎に手を当てて考える。
「川神百代のようなことが出来るのですか!?」
「紋、流石にそれは「よっと」!?」
ぎゅん!と空間に入り込んだかと思えば遠く離れた所にいた。
「「シロウ」士郎!?」
「あんのバカ・・・!」
急に離れ業を成し遂げた士郎はまた空間から現れる。
「んーこれ気を使った大道芸みたいなものなのか・・・実際に使ってみると大して捻りが無いな」
「膨大な気を使って空間を湾曲させるか・・・揚羽様。衛宮士郎を私に――――」
「ちょいと待った」
「学園長」
「衛宮君。潜在能力の開放おめでとう。武を志す者として、友人として、頼もしい限りじゃわい」
「学園長、俺は武道家ではないんですが・・・」
「そりゃわかっとるがコントロールの鍛錬は必要じゃろ?どうじゃ、川神院に――――」
「おい川神鉄心。俺がこいつを鍛える。横やりはやめてもらおうか」
「横やりもなんもお主の所は戦闘技術だけじゃろ。わしの所でなら色んな技教えちゃうぞい」
バチバチとメンチきりあっている二人の翁にはぁ、とため息を吐き、
「くだらないことで喧嘩しないでください。お二人がバトルしたら九鬼ビルが倒壊します」
「しかしじゃなぁ・・・」
「プライドというものがある」
「・・・この際ヒュームと川神鉄心、両方に教えを乞うのはどうだ?」
と揚羽は提案した。
「「むう・・・」」
「士郎は色々な技を習得したいだろうし、いいんじゃないか?」
「潜在能力、素質が解放されたとはいえ今のままでは力を振るうこともままなりません。今の内に教えてもらえるなら受けた方が良いでしょう」
「林冲・・・セイバー・・・」
「あたいも賛成だな・・・旦那が強くなるならいらねぇ心配もしなくて済むしな・・・」
ポソっというあずみ。
「そういえば川神鉄心、貴様何故ここへ来た」
「そりゃお前、モモの同類を確かめにじゃよ。ああそれと衛宮君。モモの解析眼が発露してしまっての。また強化もされたもんで頭痛に悩まされておる。早く封印してやってはくれぬか?」
「百代が?分かりました。すぐ行きます」
そう言って踵を返す士郎に、
「おい!えみ・・・士郎!」
「あずみ?なにか・・・むぐ!?」
「その・・・なんだ。嫁が沢山いることは我慢してやっから、浮気、すんなよ」
「わかってる」
そう言って士郎は林冲とセイバーを連れて先ほどのワープを使用し消えていった。
「ほう。見事なものではないかあずみ」
「揚羽様・・・」
「よいよい。士郎を囲む者は多い方がよいからな。それよりもルールの説明をするからこっちへ来い」
「わしが!」
「俺だ!」
「フハハハハ!この二人がいがみ合うととても止められんな!」
「頑張るのだヒューム!」
とそんな二人を取り残して英雄と紋白も九鬼ビルに戻っていくのであった。
「二人とも、大丈夫か?」
「問題ない。百代に一度この技で移動させてもらってる」
「私も問題ありません。よくマーリンが面白半分に悪戯していたので」
「・・・。」
林冲はいいがセイバーはそうでもないんじゃなかろうか?
何はともあれ士郎は中距離を連続してワープすることでほんの僅かな時間で川神院に辿り着いた。
「っと、到着だ」
「あ!士郎!」
鍛錬中であろう一子が駆けよってきた。
「よう一子。今日も勇往邁進してたか?」
そう言って頭を撫でてやる。一子はその頭に透明な両耳を浮かばせて、
「もちろんよ~!でもセイバーさんには負けちゃったわ。まだまだね!」
「私もそう易々とはやられませんよカズコ・・・おっと一コ、かず子・・・」
ゴニョゴニョと名前を練習したセイバーは、
「一子」
「お、セイバー訛りみたいなの直してるのか?」
「はい。ただ、シロウ達は特別です・・・」
顔を赤くして俯くセイバーに笑いかけて、
「そっか。なんだかくすぐったいな」
と綺麗な笑みを浮かべた。
「士郎、今時間ある?」
「ああ。百代の事だろう?」
「うん。ずーっと寝込んでるの。あの解析眼、また目を閉じてても色々見えるみたいで・・・」
「丁度いい。俺も川神院に通うことになりそうだから一緒にコントロールの練習だな」
「・・・やっぱり、三日前の巨大な気配って士郎だったんだ」
「ここまで届いてたか?」
「うん。あたしは秘密基地に居たんだけど、こう、ぶわー!って!」
「風魔長老め、段階的に開放したんじゃないのか・・・?」
額に手を当てて肩を落とす士郎。
「いくら段階的でも開放の瞬間はやっぱり爆発したんじゃないか?」
「そうですね。あくまで段階的なのはシロウの身体の為だけであって、周囲への配慮まではされていないのでしょう」
実は解放時セイバーも林冲も巨大な何かを感じていた。林冲はそれが気だと分かっていたがセイバーは直感が働いたのだ。
「カズコー!鍛錬を再開するヨー!」
「あ、はーい!ちょっと待っててくださーい!」
そう言って一子は院内に入って行った。
「俺達も・・・」
「シロウ。私も川神院には興味があります。見学しているので行ってきてください」
「私も鍛錬に混ぜてもらおうと思う。士郎、まかせた」
二人とも外で鍛錬している訓練生の元へと行ってしまう。
「・・・気を使わせたかな」
独り言ちて士郎は一子の後を追った。
「お姉さま!士郎が来たわ!」
「ワン子~静かに頼む~・・・」
やはり頭痛が酷いのだろう。ぐったりとして袋に入った氷が額に当てられていた。
「百代、今楽にしてやるからな」
「介錯するみたいに言うなー。とにかく止めてくれ~」
「――――
スウッと百代は様々なものが見えていた左目が落ち着くのを感じた。
「遅いぞ士郎~」
「悪い悪い。思いのほか時間がかかった」
甘えてくる黒髪を撫でつつ士郎は周りを見た。
(何気に百代の部屋に来たのは初めてだな)
意外と整理整頓されている、落ち着いた部屋だった。
「彼氏がうちに来た」
「何言ってるんだ?」
「なんでもない」
グイグイと足を引っ張るので何事かと思ったら。
「膝枕ならぬ太もも枕か・・・」
片膝を立てて座った士郎の足に頭をのせてご機嫌の様子だ。
「もう大丈夫そうね!」
「ああ。こっちは俺が見てるから鍛錬、頑張ってこい」
「うん!」
トットットと軽い足取りで一子も鍛錬に戻って行った。
「気に目覚めたんだな」
「ああ。潜在能力・・・だったらしい」
今でもこうして信じられないでいるが今なら素手で百代とやり合えそうな気がする士郎。
これは確かに堕落してしまいそうな力だった。
「気の鍛錬、うちでするんだろ?」
「あー・・・それが、川神院と九鬼の合同になりそうなんだ・・・」
士郎は困ったようにガシガシと頭を掻いた。
「なんだって!?」
「詳しくは学園長に聞いてくれ。俺も正直困ってる」
何ゆえに二か所に通わないといけないのか、と士郎は思っていたりする。
「ジジイどもめ・・・」
カシャ、と額に当てられた氷の袋がなる。
「それより大丈夫か?頭痛の方は」
「んー・・・収まったけどまだこうしてたい」
すりすりと猫の様に匂いをつけるようにする百代に優しい笑みを浮かべて黒髪をなぜる。
と、
「ん?なんか違う女の匂いがする」
「え?」
「この匂い・・・あずみさんか!」
「!?」
ガシ!
「お・ま・え!どんだけ美女を誑し込めば気が済むんだ!」
「いやこれは・・・」
「あん?」
「なんでもないです」
諦めて士郎は白旗を振った。
「まったく・・・お前、魅力振りまくのも大概にしろよ・・・」
士郎の手を取ってカプリと甘噛みする百代。
「俺に魅力なんてあるかなぁ・・・」
「あるんだよ!もう・・・」
バタン!
「!百代?」
「今日はやめとくつもりだったけど・・・お前が悪いんだぞ」
そう言って士郎は押し倒されてしまった。
夕方、川神院には由紀江、義経、マルギッテが訪れていた。
「大丈夫ですか?士郎先輩」
「ああ。みんなにも迷惑かけたな。すまない」
「大したことはない。義経は士郎君が無事で嬉しい」
「それで、何があったのですか?」
「実は――――」
士郎は風魔の里で起きたことを説明した。
「気の開放ですか・・・」
「士郎君はもっと強くなったってことだね」
「まだまだ士郎先輩には追いつけませんね・・・」
「反り立つ壁だよなー」
「それで何だけど、正直俺一人じゃ持て余してるんだ。だからみんなに供給出来れば、みんなを強くできるんじゃないかな」
「義経の、遮那王逆鱗みたいに?」
士郎は頷く。
「俺は一芸を極めるよりやっぱり多くを修める方が性に合ってる。だから今後はみんなとも鍛錬がしたい」
「そうですね。また何かの拍子に体調不良を起こしてもいけませんから、そうするのが適切でしょう」
そう言ってマルギッテは携帯である所に電話をかけた。
「マルギッテ少尉です。はい・・・はい。士郎、代わってもらえますか?」
「ん?フランクさんか?」
「はい。私とお嬢様の事で相談があります」
「お嬢様・・・とはクリスさんのことか?」
「そうでしょう。でも士郎先輩に何の御用事でしょうか・・・?」
「代わりました。衛宮です」
『おお。久しぶりだね。衛宮君。君の勇猛さはここドイツまで届いていたよ』
「・・・。」
それも問題があるような気がする士郎。
「それで相談というのは・・・?」
『クリスをそちらで卒業させようと思っていてね。士官学校はドイツだが、最後の一年は川神で過ごしてもいいと私は思っている。直江大和君にもそう伝えてほしい』
「それは構いませんが・・・もしや、俺にも護衛をしろと?」
『うむ。マルギッテもついているが君にも護衛してもらえたら尚安心だ。もちろん四六時中というわけではなく、マルギッテの手を離れて過ごす場合が多いだろう?その時に頼みたい』
「いいですけど、監視のようなことはしませんよ?」
『もちろんだ。そちらの方はマルギッテに頼んである。監視というか観察をね。それでマルギッテの方なのだが・・・』
「はい」
『ご両親が君に挨拶を、と言っていてね。近々来日するので備えていてほしい』
「は・・・はい!?」
寝耳に水だった。まさか向こうから挨拶の申し入れがあろうとは・・・
「俺の方から行こうと思っていたのですが・・・」
『それは分かっていたさ。君の様に誠実な青年がほったらかしにするはずがないからね。ただ、今回の気の覚醒でしばらく日本を離れられないだろうという事で踏み切ったそうだ』
「・・・わかりました。電話で事前にお話しをしてもいいですか?」
『構わないとも。当日は私も来日するので落ち着いて対応をしてほしい』
「わかりました」
『では当日を楽しみにしているよ』
ピ、と電話が切られた。
「マル・・・」
「な、なんですか?」
顔を赤くして問うマルギッテ。
「このこと前から知っていただろ」
「・・・はい。私から士郎に言うはずだったのですが、中将に待ったをかけられてしまって・・・」
「これは、揚羽にも力添えしてもらわないとまずいな・・・」
と言っていた士郎だったが後日、
『これより日本は――――多重婚を認めるものとする』
という大々的な発表がされそれも含めてフランクやマルギッテのご両親に説明することになるのだった。
「ただいまー」
「ただいま」
「ただいま戻りました」
マルギッテは島津寮にお邪魔するとのことで、探索に出かけた士郎達三人が帰ってきた。
「お帰りー!九鬼から連絡があったけど無事でなによりだよ」
「心配してくれてありがとう、天衣」
「それで?噂の忍者は捕らえられたの?」
ニヤニヤとした表情をする凛。だが・・・
「リン」
「なによ」
「婚約者が・・・増えました」
「んな・・・」
ガーン!と口を開いて固まる凛。
「ちょっと士郎!どういうことよ!」
「あー・・・その、吊り橋効果・・・?的な奴で・・・」
ドカン!
「ぐっふぉ・・・」
マジカル八極拳が火を噴いた。
「あんた。まじでブッチKILLわよ」
「しょうがないじゃないか!俺も知らないうちに進行してたんだから!」
「忍者の色気にやられたとかじゃないの?」
「凛。本当に婚約したんだ。士郎は後日指輪を渡しに行くんだよな?」
「ああ。それがルールだからな。今日から作り始めないと・・・」
「また嫁が増えた・・・か。では士郎。これを見てからの方が良いぞ」
史文恭が投げてよこしたのは夕刊だった。
「なになに・・・」
そこには多重婚の事が書かれていた。
「明日正式発表・・・!?」
「一年後という話だったからな。丁度今くらいだろう」
「マジか・・・」
デカデカと、日本、多重婚導入!の記事を見ていよいよだなぁと思う士郎。
「もしかしてマルギッテのご両親はこのことを知って連絡してきたのではないですか?」
セイバーが落ち着きを払っていう。
「だとしたら、相当に覚悟が必要だな・・・」
「いや元から覚悟しときなさいよ。ほら、来るわよ」
「先輩・・・またお嫁さんが増えたって本当ですか・・・?」
「さ、桜!?そ、そうなんだ。忍足あずみっていう・・・」
「まーた悪いことをしてきたんですねぇ・・・ちょっとクウクウお腹が――――」
「サクラ。ケジメは我が聖剣でつけましたので許してください」
「セイバー・・・!」
全然、ちっともよくないが援護に回ってくれたのは大きい。
「・・・セイバーさんがそういうなら」
ひょっこりと大きくなっていた影の巨人がスルスルと小さくなっていく。
「しかし、これほどの嫁を迎えた王はいたでしょうか・・・4,5人ならいたような気もしますが・・・」
「士郎は私達全員だからな・・・上限とかないといいな」
「もしあったら死闘になってるよ・・・」
「安心しろ。誰もお前の様にできるなど思っていないだろうから上限など考えておらんよ」
「安心、していいのかな・・・」
「なんにせよ。目の前の障害から片付けていくしか無かろうよ」
史文恭の言葉に一応頷き士郎は荷物を片付け、
「晩飯つくりますか」
「現実逃避だな」
「ソユコトイワナイ」
と、また新たな明日に向けて邁進していく士郎だった。
とこんな感じでした。
士郎の気の強化はもうちょっと時間をかけるつもりです。
そして第一の爆弾エーベルバッハ一族襲来と、第二の爆弾、多重婚開始を取り入れました。
マルギッテの両親は存命なのはわかるんですが名前が出てきていないのでオリジナルの名前にしようと思っています。……作者は名前をつけるのが超へたくそなんですが頑張ります。
ご感想いつもありがとうございます!もうね、暖かい感想のおかげで日々頑張れてます。スランプ気味の時でもなんとか乗り越えられています。これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします!