今回も旅館編かな…もちろん鍛錬もしますよ~では!
士郎のマルギッテを嫁に頂きたいという申し出から数時間後。フランク、ニコラウス、士郎の三人は露天風呂で寛いでいた。
「・・・うむ。女将さんからもらったこの清酒、とても美味いな」
「フリードリヒ中将。お酒お召し上がりになって大丈夫なんですか?」
「大丈夫だともニコラウス。今日は完全にオフにしてきた。まぁ軍務で呼ばれる可能性は無きにしも非ずだが、このくらいならば飛行機の中で抜けているよ」
(・・・本当にそうかなぁ)
とこちらも川神水を御盆にのせて飲む士郎。士郎は断ったのだが女将さんから是非にという事で頂いている。
なんでも、これが川神水・大吟醸なのだとか。お土産に一本くれるらしいのでまた弁慶行きかな、と思っている。
「そう言えば衛宮君、気の鍛錬の方はどうだい?」
「順調です。確かドイツまで届いていたとか・・・」
「それだよ衛宮君。私はこれでも現役時代は身体強化に特化していてね。今でもこの通りだ」
むん!と力こぶを出すニコラウス。さしもの士郎も大柄なニコラウスの筋肉量には負けてしまうが十分に引き締まっている。
「身体強化ですか・・・俺は今、気を練るのと川神院の技を習得しています」
「ほう。川神院の。どんなものだい?」
「んー・・・例えば・・・」
気を練って士郎は風呂の湯に浸透させる。すると・・・
「「おお!!」」
ぱちゃりと、お湯でできた鯉が風呂を跳ねる。そして小さな水球から沢山の魚たちを作り出し空を泳がせる。
「気のコントロールでこんな感じです」
「凄まじいな!ここのお湯全てを操っているというわけか!」
「素晴らしい・・・ここまで幻想的なのは初めて見たよ」
絶賛の嵐である。しかし技を放つわけにはいかないのでこの程度が限界だった。
「衛宮君!クリスの像を作れるかね?」
「・・・出来ないことも無いですけど」
ばちゃん!と人型が出てきたらと思ったら・・・
「おお!クリス!!」
バシャーン!
「何やってるんですか!危ないですよ!?」
「抱き着いて溺れる可能性があったな。ナイスだ衛宮君」
わははは!と童心に帰る大人たち。
「衛宮君は身体強化はしないのかね?」
「目下練習中です。気の量が多すぎて多い分をどうすればいいかわからなくて・・・」
「ふむふむ。それなら力になれるかもしれない」
とニコラウスは言った。
「多すぎる気、と言ったね。強化をしてみてはくれないか?」
「こう・・・ですか?」
「うん。そうしたら次の段階だ。それを圧縮して体に封じ込める!こうだ!」
「!?」
ニコラウスの気が体内に急速に凝縮されて行く。
「この状態になれば銃弾も刃物も効かない!天然の防壁だ!」
「よし、試してみよう・・・」
ギュイン!
体の外に漏れ出ていた気を圧縮する。
「ぬ・・・これ以上は・・・」
「よし!実にいい!君の身体だとそれが限界だろう。残りは攻撃や第二の壁として展開すると良いぞ!」
相当に圧縮したがまだまだ気は残っている。これは百代も慢心するわけだと、改めて思う士郎だった。
一方女湯では、
「あら?マル、貴女タトゥーなんか入れたの?」
「ち、違います!これは・・・」
「ほう・・・お前はそんなところに刻まれていたのか。それは見せられんなぁ・・・」
「放っておきなさい!全く、忘れていました・・・」
「で、タトゥーじゃなくて何なの?」
「極秘事項なので詳しく言えませんが・・・士郎との繋がりです」
「・・・やっぱりタトゥーじゃ・・・」
「母上殿。それはタトゥーでは決してありません。我の肩にも同じものが刻まれています」
「あらあら?本当だわ?どういうものなの?」
「士郎と気のやり取りや、念話という声を出さずに会話をすることが出来ます」
「もともとはランダムで体のどこかに浮かび上がるものですが・・・マルギッテ。お前のは刻み直した方がよいのではないか?」
「いいのです。目下問題はありませんし・・・」
「こうして我や他の者と風呂に入る時や、水着になる時問題ではないか」
「・・・正直なことを言えば怖いのです」
「どういうこと?」
「この士郎との繋がりは常に士郎の存在を感じ取れます。それが無くなってしまうのが・・・私は怖い」
「一瞬の事であろうが」
「そうよ。女の子としてそこは良くないわ」
「母様・・・」
「よし念話で・・・はダメだな。まだ混線したままだったわ。今晩こっそり伝えにいけい」
「九鬼揚羽!?」
「善は急げよ。がんばりなさい」
「うう・・・」
「それにしても母上殿は豪胆ですな」
「豪胆?私が?」
「マルギッテの事もそうですが、あの偉丈夫と結婚するようには見えなかったので・・・んん。失礼を申し上げました」
「ふふ。いいのよ揚羽さん。ママ友の中ではよく言われる話よ」
「そうなのですか?というかママ友?」
「あら。マルギッテの士官学校時代のお友達は大体お友達になったわよ?」
「初耳です!?」
「それは聞かれなかったからねぇ・・・あの人はすっごくシャイなのよ。可愛い所があるの」
「まぁ士郎の真っ直ぐな言葉に涙をこぼすのは可愛いといえなくもありませぬが」
「本人、自覚してるから普段はいかつい顔をしてるけど本当は違うのよ」
そんな時、男湯の方から、わははは!と笑う声が聞こえて来た。
「ね?」
「そうみたいですね・・・」
「男は皆子供のようなものだ」
こちらもクスクスと笑って和やかな空気だった。
夜、マルギッテは一人士郎の部屋を目指していた。
(士郎は部屋にいるでしょうか・・・)
いつもはもっと遅くに眠るので起きているかもしれない。
コンコンコン
「士郎、起きてますか?」
「マル?ちょっと待ってくれ」
ガサゴソと布を擦る音が聞こえ、
ガチャ。
「どうしたんだ?こんな夜更けに」
もうご両親もフランクも寝床についているだろう時間に何用だろうか?
「あの・・・ここでは話し辛いので中に入れてもらえませんか?」
「ああ。いいぞ。珍しいな。時間に厳しいマルが」
「今日はその、特別です・・・」
中に入った二人はベッドに腰かけ今日の事を話し合う。
「今日はありがとうございました。父さんの説得と心づくし・・・最高でした」
「そうか?俺としては馬鹿正直に行き過ぎたかなと思ってるんだが」
「それが逆に良かったのです。嘘や湾曲した言い方をすれば父さんは激怒していたでしょう」
「そっか。それは良かったよ。明日もあるからゆっくり旅館を楽しもうな」
そう言って笑みを浮かべる士郎の顔を見てマルギッテはドキリとした。
(ええい、やめなさい衛宮スマイルは!)
一般生徒にも浸透している通称衛宮スマイル。どこか透明な儚さを持つ綺麗な笑顔を浮かべるのが問題となっているのだ。
「それを言いに来たのか?」
「いえ、その・・・ですね・・・」
いざ言うとなると恥ずかしくなるマルギッテ。しかし、ふぅと息を吐き、
バサ!
と浴衣の紐を解いた
「ま、マル!?」
「士郎が悪いんですよ・・・」
ズンズンと下着姿で迫るマルギッテ。
「こんな所にパスの証を刻み込んで・・・」
「あ、ああー・・・」
めくられた下着に士郎は困った顔をして、
「解除に来たのか?」
「いえ違います。このままでは不都合があるから刻み直した方が良いと九鬼揚羽と母様が・・・」
「・・・そうだよな。それは良くない。解除は簡単なんだが・・・」
言い辛そうに士郎は口ごもる。
「どうしたのですか?」
「・・・Fateってゲームの遠坂ルート、覚えてるか?」
「ああ、あの時・・・は・・・」
思い出してマルギッテは赤くなった。
「その士郎?他に方法は・・・」
「ない。少なくとも俺には出来ない」
あれは一度経験済みだからできるが他の方法は皆無である。
「・・・。」
ヌギ!
「ま、マル!」
「やるならやりなさい。ただし・・・」
するりとマルギッテの手が士郎の胸板に当てられる。
「激しく、です」
「・・・ニコラウスさんに殺されるな・・・」
そう言いながらも苦笑を浮かべてその手を取ったのだった。
翌日、士郎達は箱根神社と芦ノ湖を訪れていた。
箱根神社では、
「朱色の漆塗りが美しい」
「神社と宝物殿か・・・ワクワクするな」
「ふふ。父さん、あまりはしゃぐと母様に嗜められますよ」
「ううむ・・・衛宮君からもらったリザ君のグローブの方が神秘的な感じがするな・・・」
思わず、といった感じでフランクは言った。
「その後順調ですか?」
「ああ。彼女はあの兵装で一段と強くなった。今はグローブ無しの・・・鉄甲作用だったかな?それの習得に向けて鍛錬しているようだ」
「グローブでの経験があれば習得もしやすいかと思います」
「お二人で何のお話を?」
はしゃぐ夫を嗜めていたヒルデがそう言ってきた。
「母様、リザの事です」
「ああ!西洋ニンジャのあの子ね?マルの同級生じゃなかったかしら?」
「はい。そのリザです。彼女には士郎手製の武装が与えられたのです」
「ふむ?どんな武装だい?」
「電磁加速グローブです」
「・・・。」
「・・・まぁ」
胡乱な目つきになる二人。だが、
「本物だよ、ニコラウス。軍でも調査をしたが間違いなく電磁加速現象を応用したグローブさ」
「それはつまり・・・レールガンを手元で可能にすると?」
「はい。本来は投擲技法、鉄甲作用の習得が主軸だったのですが、習得の難しさに難儀していたところ、士郎からもたらされたものです」
「君の技術力はどうなっているのかね・・・」
頭が痛いという風に頭を振るニコラウス。
「衛宮君は今学生だけど独り暮らしと聞いたわ。何か手に職を付けるようなことをしているの?」
「母様。士郎は既に立派な鍛冶師として大成をなしていますよ」
「鍛冶師か・・・それほどのものなのかね?」
「士郎。言ってもいいですか?」
マルギッテの問いにコクリと頷く士郎。
「士郎の作る武器は“無限流”と言われています」
「なんだって!?」
ニコラウスが驚いて仰け反った。
「君があの無限流なのかい!?」
「はい。俺が鍛えたものには基本そう刻ませてもらってます」
「なんと・・・」
「貴方が知っているという事は余程有名なのね?」
「古今東西を問わず、様々な名刀を生み出す名工だという噂だ」
「それも正しい。私の方でも部隊の武器作成を彼に依頼しているからね」
「私のトンファーも作り直してもらっています」
魔剣持ちが増えたのでマルギッテも魔剣仕様に切り替えていた。
マルギッテは、パスを通じて気のやり取りを始めてからすぐに仕様を把握し、既に完璧に使いこなしている。
「そうか・・・既に大成していたのだな・・・」
「頼もしいじゃないですか。それほどの人なら安心してマルを託せます」
ヒルデも笑顔で応じる。
「すみません。本当はお土産として包丁を一振り作ったのですが、空港で止められてしまうので・・・」
「いいのよ。気になさらないで。それこそ、マルの花嫁修業に使わせてやってくださいな」
「か、母様・・・」
顔を赤くしては母に問うマルギッテだが、
「必要でしょう?貴女はガサツではないけれど任務一筋だったのだから料理なんて出来ないでしょう」
「それがそうでもないんですよ。マルも料理を手伝ってくれていて・・・なかなかに上達しています」
「あらあら。もう実戦済みだったのね」
「うう・・・」
恥ずかしそうにするマルギッテ。
(士郎・・・その辺にしてください)
あまりの恥ずかしさに、繋ぎ直したパスを通じて白旗を上げるマルギッテ。
「次は芦ノ湖だったな・・・む」
ピピピ、とフランクの携帯が鳴った。
「君か。うむ・・・うむ・・・わかった。すまないなニコラウス。私はこの辺でお暇しないといけないようだ」
「そうか・・・いやありがとう。フリードリヒ中将。貴方のおかげで私も安心して臨めたよ」
「本当にありがとうございますわ」
「気にしないでくれ。マルギッテは私の娘でもあるからね。彼女の為なら喜んで力を貸すとも」
がっちりとニコラウスと握手をしてフランクは士郎とマルギッテを見た。
「二人ともお幸せにな」
「「ありがとうございます」」
「では先にお暇するよ」
そう言ってフランクはドイツに帰ってしまった。
「フリードリヒ中将はお忙しいな。現役時代を思い出すよ」
「あの頃は貴方も忙しかったものね。デートに何度遅刻したことか・・・」
「か、母さん!娘の前だぞ!」
「ふふ。父さんも隅に置けませんね」
そんな会話を士郎は懐かしそうにみていた。
芦ノ湖でボートを楽しみ、旅館へと帰ってチェックアウトを済ませ空港に九鬼の車で送ってもらった。
「ではマルギッテ。私達はドイツに帰るよ」
「貴女も、たまには帰って来てね」
「衛宮君。娘の事をよろしく頼むよ」
「もちろんです。何かあれば全力で助けに行きます」
「・・・。」
「ほらマル。赤くなってないで貴女も父さんにいう事があるでしょう?」
「・・・その、私は間違った選択をしたとは思っていません。だから・・・」
「うむ。分かっているよ。幸せになるんだぞ、マルギッテ」
ぎゅっと抱き合って離れた。
「では、失礼するよ」
「結婚式でね」
「「はい!」」
そうして二人も帰って行った。
「行ったか。婚姻届けも持参したというのに問題なかったな」
「九鬼揚羽。今回の事、感謝します」
「なに、我とお前も家族になるのだ。これくらいどうという事も無い」
「俺からも礼を言わせてくれ。ありがとう、揚羽」
「この埋め合わせ、期待しているぞ」
「・・・。」
「あははは・・・」
何だかんだ牽制しあう二人だった。
「それで、お前はまた九鬼の旅館に泊まるのだったな」
「ああ。キャップがくじ引きで当てて来たからな・・・春休みにでも来るつもりだ」
「初耳です。ではお嬢様も?」
「来る予定だぞ」
「では私も・・・いえ、士郎にお任せします」
「何も問題ないよ。初のメンバーはセイバーと桜に遠坂だからな。マルが心配することはあり得ないさ」
言外に大和に嫁は出来ないと言っておく。
「では、我らも帰ろうか」
「ああ。帰りも頼む、揚羽」
「まかせておけい」
そうしてエーベルバッハ一族の到来は無事落ち着くところに落ち着いたのだった。
マルギッテの両親が来てから数日。士郎はまた鍛錬の日々に身を置いていた。
「ううむ・・・川神流・玄武甲凱まで身に付けてくるとは・・・」
「え?これ川神流なんですか?」
ニコラウスに教えてもらった技を聞いてみると意外や意外。源流は川神流のようだった。
「そうじゃぞ。お主どこで身に付けたんじゃ」
「マルギッテのお父上に教えてもらったんですが・・・」
「・・・まぁ理屈は単純じゃし他の者が似たような技を考えつくこともあろう。しかしこうもなるといよいよモモしか傷をつけることは叶わんな」
「・・・。」
まだ言わない。セイバーやレオニダスはそうではないことを。
「今日はこの二人と鍛錬じゃ」
「よろしくお願いします、士郎先輩」
「士郎、よろしくお願いします」
由紀江とマルギッテと鍛錬をし、
気を供給しながらの鍛錬は九鬼でも変わらず、
「今日もこの三人と鍛錬だ」
「士郎君よろしくお願いする!」
「頼むぞ、士郎」
「ほどほどにな?士郎」
とにかく気を使い続ける鍛錬が外では続いた。だが内では・・・
「では始めましょう」
「タイマーをセットします」
「じゃあ始め!」
気と魔力の同時操作の鍛錬をしていた。元々は融合、増幅できないものかと試したのだが、
「・・・気持ち悪い・・・」
「気はマナと同じものだと思ってたけど違うのね」
「恐らく気は加工されていないマナで、私達がマナと呼ぶものは魔術回路や竜の炉心で変換されたものではないでしょうか?」
「それじゃあダメね。同時並行の訓練にしましょうか」
という事で気と魔術の強化の並列行使、投影は問題なかったのでこちらも武器の二重強化の鍛錬をしていた。
「なんだろうな、気の方が強く強化されてる気がする」
「概念の強化と物理的な強化は違うもの。貴方は今内と外、両方に働きかけてるのよ」
「内側である魔術に、気が勝つことが出来ないのは、完全に別系統だからというわけですな」
「身体強化はまだしも魔術に対抗するには魔力や概念を用いたものしか通用しないから気を付けるのよ」
「ううん・・・これは集中力を使うな・・・」
「今だけよ。慣れればずっと使えるわ。正直言って、士郎の魔術は完成を見たんだから、あとは気をどうコントロールするかだけよ」
など。本当に様々な鍛錬をすることになった。そしてある日、
「東!川神百代!」
「はい!」
「西!衛宮士郎!」
「はい」
百代と士郎のエキシビションマッチが組まれていた。士郎の攻撃を川神院の結界では防げないので無観客、ライブ放送にて観客は見守ることとなった。
「両者見合って・・・始め!」
「川神流奥義!無双正拳突き!」
「!」
ガイン!と、とても人の身体が打ち合った音ではない音を響かせて双剣と拳が打ち合う。
「かったいな!拳を打ちこんで痛みが走ったのは初めてだぞ!」
「早々私も負けてはいられないのでね」
その後もキン、ガン!キィン!と強烈な音を発して戦い続ける二人。
「川神流!生命入魂!タイプドラゴン!」
「――――
「真!光龍覚醒!」
ゴオン!という雷鳴と共に巨大な竜が出現する。
「これでどうだ!」
強力な破壊光線が浴びせかけられる中、士郎は静かに、
「――――邪悪なる竜は失墜し、世界は今落陽に至る!」
構えるは竜殺しの伝説を持つ英雄の剣。
「撃ち落とす!
竜殺しの伝説が振りかざされる!
「ぐあああああ!!!」
雷鳴のドラゴンは消え去り、百代はそのまま落下する。
それを、
ドサ!とキャッチする士郎。
「・・・また負けた」
「生きてるのが不思議なくらいだぞ?百代」
「瞬間回復全部使い切った・・・ドラゴン、破られたなぁ・・・」
「悔しいか?」
「もうすっごい悔しい!正面から行って正面からやられたのは士郎が初めてだ・・・」
「・・・。」
「また、戦おうな」
「もう正直勘弁してもらいたいのだが」
控室にいた仲間達が駆け寄ってくる。
「お姉さま!」
「姉さん・・・」
「「「モモ先輩!」」」
「あー負けた!悔しいー!!!」
武神が二度も下されたという事で百代は武者修行に出た。出たのだが・・・
「お姉さまー!」
ヒューン、ドン!
「呼んだかー、妹よー」
どこに居ても呼べばすぐ帰ってくるあたり、修行が必要なのだろうか?と疑問に思う事も多い。
「正直私に勝てるの士郎しかいないからなー。武者修行意味ないかも・・・」
「それより依頼受けんかい。溜まっておるぞ!」
「ええー「お姉さま、返済日」やるかー!」
と、結局適当になる武神であった。
「次はいつ士郎とやれるかなー」
「・・・もうせんというとるのに」
「あはは・・・お姉さま、相変わらずね」
そして時は流れ春休み。
「旅館かー!楽しみだ!」
「一度行ったことあるけどな」
「そういう事言うなよー!」
「あたた!痛い!」
「今日はセイバーさん達もいるんだから!」
「目一杯楽しみましょう」
「はい。姉さん」
「ここはこうですね・・・」
「マジか、セイバーさんキャップと互角に・・・!?」
「はう!?また貧乏神が~・・・」
「オラが守ってやる!いけーまゆっち!」
「なんだかすごいバトルしてるよ・・・」
「たかが桃鉄でもセイバーには幸運があるからな・・・」
バスの中は賑やかに、かしましかった。
「士郎~お腹すいたにゃん・・・」
「もう旅館だぞ。いま食べるのか?」
「ちょっと。何かって言うと引っ付くのやめなさい」
「お?凛ちゃん嫉妬か?」
「違うわよ!この駄武神!」
スパン!
「おお?躱したのに・・・さては凛ちゃん、やるな!?」
「ちょ、こっち来ないでよー!」
「先輩、先輩は私の方がいいですよね!」
「「そこ!抜け駆け禁止!!」」
「愉快な仲間達だな!」
「愉快過ぎるよ・・・」
数少ない常識人がモロなのかもしれなかった。
旅館に到着しチェックインを済ませていると、
「フハハハ!九鬼英雄!降臨である!」
「英雄?」
あずみを護衛にした英雄が現れた。
「なんで九鬼英雄がここに?」
「・・・九鬼グループの旅館だから?」
「そうだったな!」
「絶対今気づいたろ」
さも知っていたとばかりに言うクリスにツッコミを入れる士郎。
「兄上!今日はわが友トーマと来ているのだ」
「士郎君、大和君よろしくお願いしますね」
「ああ・・・俺の癒しはいないのか・・・」
「もうハゲはいつもそればっかりー」
「それにしか興味ねぇよ!!気配はするんだけどなぁ・・・」
「フハハハ!井上は相変わらずであるな!」
「あーそれとは別に、ゲーム持ってきたからみんなでやんね?」
「いいわね!クリ!対決しましょう!」
「いいだろう!決闘では負け続きだがゲームなら・・・!」
「それフラグだろ・・・」
「意外とそうでもないかもよ?ズマブラはまだしもパーティゲームとかだと頭の方も要求されるぜー」
「だが我は!断然!ズマブラ推しだ!!」
(・・・おい。あたいんとこくんなよ)
(わかってるよ。お互い警戒を緩めずにな)
などと、独特の会話をしながら一同は割り当てられた部屋へと向かった。
「男子はそっちね!」
「女子はこっちだから間違えるなよ。いいか、間違えるなよ!」
「クリス、誰にそんな念を押してるんだ?」
「どこかの誰かさんはすぐに覗くんだ」
「・・・その心配はないぞクリス」
「ん?何か根拠があるのか?」
「だってセイバーと遠坂がいる」
「・・・。」
「・・・。」
「「「・・・。」」」
覗きなんかしたら物理的に消されそうである。
「まぁ一番心配なガクトも彼女が出来たし、問題ないだろ」
「それは・・・そうだが」
「あんまり気を張り詰めるのも良くないぞ」
「・・・士郎がそういうならそうしよう」
はあ、とため息を吐くクリスに士郎は苦笑して、
「それより井上たちの所に行かないか?男子はもうみんな行ったぞ」
「なに!?すぐに行こう!犬!まだか!?」
もうちょっとーという声がして士郎は笑った。
「じゃあ先に行くな」
英雄たちの部屋に行くと既に激しい戦いが繰り広げられていた。
「あずみ!こちらだ!」
「はい!英雄様!」
あずみが飛ばしたガクトの赤い帽子の配管工を、英雄のキングなクルールがメテオ落としした。
「あ!この!大乱闘だろうが!」
「あの二人は自然にコンビネーションするからなー」
「来たぞ俺も混ぜてくれ」
「よいぞよいぞ!さあ兄上!どうぞこちらに!!」
「「・・・。」」
英雄に空けられたのは忍足あずみの隣。
「英雄様・・・」
「ん?なんだあずみよ!恥ずかしがっているのか?」
「ちが・・・」
「兄上!早くしないと一子殿達が来てしまいますぞ!」
「・・・お言葉に甘えて」
座った途端絶妙な角度で士郎の背中をつねるあずみ
「あいた!?」
リーンク!
「よし、キャラ決まったな!」
「あ!まてキャップ・・・!」
レディ・・・GO!!
「ぬ!この!小癪だぞ!あずみ!」
「何のことか存じ上げません☆」
「うわー。やることえげつない」
「そんなこと言ってていいの?ハゲー」
「ハゲはやめなさい!坊主だけど」
等と言いながら結局最初に準が脱落し、
サドンデス……!GO!
「吹き飛べや!」
初手空中に出現したボム兵を士郎に投げつけるあずみ。
「残念だが、返すぞ!」
そのボム兵をキャッチしてそっくりそのまま投げ返す士郎。
「お二人さん!俺も・・・」
「「お前は邪魔だ!!」」
キャップのキャプテンが星になった。
その後も激しい戦いが繰り広げられたが勝者は・・・
「リンクも強いんだな」
「あたいのシークが・・・!?」
しれっと士郎が勝っていた。
「ここよね」
「お、一子達が来たぞ。詰めろ詰めろ」
「テレビ大きいけどやる人前に出ちゃうから狭いね・・・」
等と言いながら風間ファミリーは早速旅館を満喫するのであった。
はい。無事マルギッテのご両親を送り出して、士郎は引き続き鍛錬。対百代戦は百代がドラゴン最強だろと思っていたのが敗因ですね。
ファミリーとの旅館も書いてしまいましたが尺が微妙だったのは秘密です。最近一万字いけないなぁ・・・次回は旅館(風間ファミリー+α)編です。次回も愉快に書けたらいいなと思います。
では次回!