真剣で衛宮士郎を愛しなさい!   作:Marthe

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みなさんこんばんにちわ。どうにも一日中眠い作者でございます。

今回は以前作った天神館のフラグを回収していきたいと思います。

天神館のメンバーがどんな反応をするのか書いて行ければなと思います。

では!


天神館

――――interlude――――

 

九州に位置する天神館。川神に負けぬ強者揃いのはずだったが、東西交流戦で完勝されてしまった今ではなんだか静かな毎日を送っていた。

 

「おい、お前らもう少し元気にしろ。もっと元気だったじゃねぇか」

 

「鍋島館長・・・」

 

「でも、もうすぐ東西交流戦ですよ・・・?」

 

「またボロクソにやられたら・・・」

 

「・・・こりゃあまずいな」

 

完全にあの時の事がトラウマになってしまっている。

 

それも仕方ない。初手士郎の弓で本陣は壊滅。残る部隊も東の武士娘と屈強なスパルタ兵達に成す術なくやられてしまった。

 

中でも西方十勇士が完膚なきまでに倒されてしまったのも影を落としていた。

 

「あの計画、前倒しするか」

 

そこで鍋島は以前川神学園に相談したことを決行することにした。

 

「・・・なんだ、鍋島館長」

 

集合をかけられた十勇士の代表として石田が問いかけた。

 

「もうすぐ東西交流戦だってのに三年の士気が低い。そんで――――」

 

東に出向いて来いと、鍋島は言うのだった。

 

 

――――interlude out――――

 

一方川神はいつもの様に流星の中登校していた。

 

「ホントに士郎先輩なの?お姉ちゃん」

 

「はい。学校からこの橋の警備をしてくれてるんですよ」

 

「沙也佳ちゃんの気持ちもわかるぜ」

 

「最初は僕たちも何事かと思ったもんねぇ・・・」

 

なぜなに状態だったのが、

 

「ねぇ・・・ふぎゃん!」

 

服の上にブラジャーを装備した変態(男)が瞬時に昏倒させられる。

 

「お目汚しをしました」

 

そうして九鬼の従者に引きずられて行く。

 

「これで士郎がやってるって分かったんだよな」

 

「というか貴方達も大概ね。普通こういう人に出会ったら怖いでしょうに」

 

凛がそう言って腕をさすっている。鳥肌がたったらしい。

 

「セイバーさんはいつも早く登校してますが大丈夫なんでしょうか・・・」

 

「騎士王ならこんな蛮行許さないはずだな!」

 

「蛮行って・・・間違ってはいないけど・・・」

 

「でもセイバーさん出て来てなくね?」

 

「きっと決闘で手を取られてるんじゃないか?」

 

まだまだ整理券は配られているらしく、セイバーはもうこの際複数人でかかってこいと言う始末。流石に有象無象全てを一人一人相手にしていたら埒が明かないと思ったようだ。

 

『私の決闘は基本間引かれた状態で数少ない挑戦者が居たくらいですから。皆には悪いですがこの手段を取ります』

 

とはセイバーの言だ。

 

「そりゃあ騎士王にいきなり決闘申し込んでも蹴散らされちゃうよね・・・」

 

「何より円卓の騎士が居たんだから一層セイバーさんには届かなかったと思うよ」

 

ぺらりと歩きながらだというのに本を読む京。

 

「円卓の騎士かー・・・どんな人たちなんだろ」

 

「自分はガウェイン卿が気になってる」

 

「ああ、聖者の印がどうのとかいう・・・」

 

「えっと・・・あたしはやっぱり円卓最強の騎士ランスロット卿かしら」

 

セイバーが来てからとっかえひっかえアーサー王伝説を読み漁っていたファミリーは結構、円卓の騎士に詳しくなっていた。

 

「でも、セイバーさん円卓の騎士のこと教えてくれないからなー」

 

「それな!俺様もわりと知りたいんだけど・・・」

 

「円卓の騎士は崩壊してるんだからそりゃ話したくないよ」

 

「かもね。セイバーはその辺敏感だから」

 

「遠坂さんも知らないのー?」

 

一子が聞くが凛は首を振った。

 

「私も全然ね。桜は?」

 

「あの・・・一人だけ教えてもらった人が・・・」

 

「え?」

 

「だれだれ!?」

 

桜は一呼吸おいて、

 

「その、先輩が『パーシヴァル』卿みたいだと・・・」

 

「パーシヴァル?」

 

「どんなことした人だっけ」

 

「聖杯探求でギャラハット卿と共に成功した一人よ」

 

と、凛が答えた。

 

「そんなすごい人なんだ!」

 

「毎回思うけど死んでるんだよなー、聖杯で」

 

「キャップギャラハット卿かパーシヴァル卿の生まれ変わりだったりしない?」

 

「そうだったらめっちゃ楽しいな!で、なんで士郎がパーシヴァル卿と似てるって?」

 

話がズレないようにキャップは再度問うた。

 

「パーシヴァル卿はよく、ご飯を食べさせるのが好きだったようで・・・」

 

「「「ぷっ!」」」

 

その一言に凛を含めた全員が笑った。

 

「がっはっはっは!!確かにちげぇねぇ!」

 

「ひー、ひー、確かに士郎っぽいわ!」

 

「くっくっく、士郎らしいよね」

 

皆でお腹を抱えて笑っていると、

 

「ンガ!?」

 

ガクトの頭に矢が落ちて来た。

 

「矢文だわ!」

 

「どれどれ・・・」

 

『誰がパーシヴァル卿だ!いいから早く登校しろ!』

 

「あれぇ!?バレてる!?」

 

「あいつ読唇術使えるからねぇ・・・」

 

「まじか」

 

「まじよ」

 

それでも一部はくっくっくと笑いながら歩く。愉快な仲間達は今日も健在だった。

 

 

 

 

 

「まったく。あいつらときたら・・・」

 

「どうしたんだ、士郎」

 

「キャップ達が俺の事パーシヴァル卿みたいだとかで笑ってた」

 

「?パーシヴァル・・・?」

 

「ああ、林冲は知らないのか」

 

それならそのままにとそれ以上士郎は何も言わなかった。

 

「えっと・・・円卓の騎士のパーシヴァル、のことだろうか?」

 

「・・・そうだよ」

 

不貞腐れたように言う士郎にクスクスと林冲は笑って、

 

「セイバーが言っていたな。食べさせるのが好きな男だったと」

 

「知ってるんじゃないか・・・」

 

カク、と肩を落として士郎は苦笑した。

 

「俺が食べさせたいというよりみんながよく食べるんだけどなぁ・・・」

 

士郎や凛、桜は普通盛なのにセイバー達ときたら毎回大盛だ。桜はまた体重が・・・と、どんよりしていた。

 

「それはそうと・・・こんなもんで終わりかな・・・」

 

そう見切りをつけた時、

 

ガチャ。

 

「衛宮君はおるかのう」

 

「学園長、こんな所に何用ですか?」

 

「んーまた正の奴が来るでのう。一矢頼む」

 

そう言って渡されたのは矢文だ。

 

「正とは鍋島館長の事ですか?」

 

「そうそう。十勇士を連れてくることになっておるんじゃよ」

 

「ほう。それはそれは・・・」

 

どうやら今年も賑やかな一年になりそうだ。

 

「それなりにやりますよ?」

 

「構わん。死ななきゃOKじゃ」

 

矢文を番えて橋を見ると、

 

「――――」

 

パシュンと、以前とは比較にならない速度と強さで射られたそれは――――

 

「うーん・・・」

 

「どうじゃ?」

 

「鍋島館長の式神と十勇士総出で止められました。中ってはないです」

 

「まぁ前回やったからのう・・・しかし教え子に守られるとは、あいつもちとたるんどるのう・・・」

 

長いひげを撫でて難しい顔をする学園長。

 

「まぁよかろう。一応彼らが来るまで警護を頼めるかの。小島先生には言っておこう」

 

「わかりました」

 

「林冲ちゃん。お主は戻るんじゃぞい」

 

「・・・はい」

 

「言わんと戻らん気じゃったろ」

 

「そんなことはないです」

 

どこかプンスカとしながら林冲は言った。

 

「林冲。大丈夫だからクラスメイトも大事に、な?」

 

「士郎がそういうなら・・・」

 

「ふぉふぉ。好かれとるのう。衛宮君」

 

そんなこんなで士郎は橋の警護を続けることになった。

 

 

――――interlude――――

 

士郎が鍋島を狙っていた時、彼らは、

 

「館長、ここまで防御を強固にする必要があるのだろうか?」

 

黒髪で鼻に絆創膏を張った少女、大友焔が言う。

 

「ああ。前回はアウトだったからな。今回は油断せず行くぜ」

 

「俺にも本気で、とは、衛宮士郎は相当な腕前なんですね?」

 

「そりゃああんな射手居ねぇよ。ほら、さっきから飛んでるだろ」

 

「・・・まさか」

 

いかつい顔の島右近が難しい顔をする。

 

「この流星、全て衛宮が射っているのか」

 

彼ら十勇士のリーダー的存在、石田が額に汗を浮かべて言った。

 

「この矢全部か・・・ヨシツグ、防げる?」

 

褐色の肌の尼子春が問う

 

「俺に集中されたら無理だ。流れ弾くらいなら――――」

 

「おい!来るぞ!」

 

鍋島の声で全員戦闘態勢に入る。

 

果たして飛んできた一矢は式神をいともたやすく食い破り、

 

「サイクロンスマッシュッ!!!」

 

大村ヨシツグの強力な攻撃に僅かに威力減退し、

 

「鉢屋!!」

 

「承知!!」

 

ボンと入れ替わった丸太を砕き、

 

「くっ・・・!」

 

大友の大筒を粉砕し、

 

「これで!」

 

「終いだ!」

 

島右近の槍と石田の剣で矢は叩きおられた。

 

「っだ!はっはっは・・・なんだ今の一撃は!?」

 

「みんな無事か!?」

 

「なんとかな」

 

「龍造寺の奴気絶してるわ」

 

「パワータイプの長曾我部と宇喜多は間に合わなかったか」

 

「すまねぇ。盾になろうとしたんだが貫かれる幻を見た」

 

「うちもや。ハンマー砕かれとったかもしれん」

 

「実際、ほむの大筒壊されたしね・・・」

 

「国崩しが~・・・」

 

「その、なんだ、悪かったよ。武器の修理費は出してやっから。ともかく恐ろしい兄ちゃんだぜ・・・」

 

「鍋島館長の式神全部けちらされたもんね」

 

「俺のサイクロンスマッシュを受けてあの程度の減衰か・・・末恐ろしいな」

 

ヨシツグも手を握ったり開いたりして矢の衝撃を確かめるように呻いた。

 

「こりゃしかられるなっと」

 

折れた矢についていた紙を広げる鍋島。

 

「・・・。」

 

『適当な防御しかせんとか気抜きすぎ。反省』

 

「あちゃー・・・」

 

「なんぞ、矢文か?」

 

どれどれと皆でのぞき込むそして一様に頬がひきつった

 

「まじかいな・・・」

 

「俺たち総出だったんだぞ!?」

 

「御大将の言う通りです!」

 

「衛宮の兄ちゃんならこの状態でも射抜けた。そういうこったろ」

 

「あれで手加減・・・!?」

 

「神弓の衛宮・・・恐るべし・・・!」

 

「何と美しく力強い矢なのか!」

 

そんなやり取りがされていたのだった。

 

 

 

――――interlude out――――

 

 

「えー、今日は九州の天神館からの留学生を紹介するぞい」

 

朝礼に遅れていくとそのように始まっていた。

 

「遅れました」

 

「いいぞ。学園長から話は受けていた。任務ご苦労」

 

梅子とそんな短い会話をして士郎も列に並ぶ。

 

「天神館の奴等だぜ」

 

「知ってる。狙撃してたからな」

 

「それで遅くなったのか」

 

なるほど、と大和達が頷く。

 

「彼らは西方十勇士。ちと数が多いでの。名前だけの自己紹介じゃ」

 

そう言ってマイクを鍋島に譲った。

 

「石田三郎、島右近、長曾我部宗男、毛利元親、尼子晴、大友焔、鉢屋壱助、宇喜多武美、大村ヨシツグ、龍造寺隆正。この10名だ。昨年は世話になったな。こっちも勉強させてもらうぜ」

 

「ふむ。全員去年の東西戦二年の部で活躍した猛者たちじゃ。じゃが・・・うちがあまりに圧倒的だったからのう・・・勉強に来たというわけじゃ」

 

「勉強ねぇ・・・レオニダスさんが主なんじゃね?」

 

「どうだろう・・・最近セイバーさんが剣術指南してることも多いよ」

 

「スパルタにブリテンか・・・こりゃ今年もエグイことになるな・・・」

 

大和達はどこかあきれ顔。士郎もやっぱりやりすぎだよなぁと苦笑している。

 

「勉強は通常通り三年生に混ぜて行う。そして、体育も一緒に行う」

 

ざわざわ!

 

「敵に塩を送ろうというの?」

 

「それはどうなんだろう・・・」

 

「まだ私達もレオニダスさんの授業受けてないのに・・・」

 

等など、感触はあまりよくないようである。

 

「その代り・・・今年の東西交流戦は三年の部は無しじゃ」

 

「え?」

 

「私達はやらないのか」

 

「そりゃあ手の内わかっちゃうからなぁ・・・」

 

軍師たちとしても苦難を越えずに済んだ、という形だ。

 

「学校は違っても同級生じゃ。仲良くやるように」

 

という学園長の言葉で朝礼は終えられるのだった。

 

「では全員F組に編入となる。喧嘩やいじめなどないように」

 

「おっとそこ詰めろ詰めろ」

 

「これで十人分空いたかな」

 

「どうぞ~」

 

と委員長の真与が呼びかけた。

 

「・・・なぜ出世街道を行く俺がF組なのだ」

 

「他のクラスはいっぱいだからでしょ。ほらほら」

 

「お邪魔いたします」

 

「失礼する」

 

次々と十勇士が入ってくる。

 

「あれ、一人いなくね?」

 

「龍造寺なら仕事だ」

 

「テレビの仕事があるからな」

 

「そんなんで成績維持できるのか?」

 

「そこそこだよ」

 

尼子晴がそう返す。

 

「・・・まぁもう職に就いてると考えれば、問題ない、のか・・・?」

 

「私語はその辺にしておけ。レオニダス。丁重に頼むぞ」

 

梅子の言葉にイイ笑顔で、

 

「お任せください!立派なスパルタ・・・ああいえ、強者に育て上げましょう!」

 

「だからその癖直せ、スパルタ人」

 

ビシっとツッコむ士郎。

 

「それではHRを始めるぞ。今日は一応、十勇士の皆を案内する予定が入っている」

 

「ま、迷子になっても大変だしな」

 

「一応マンモス校だからね」

 

「梅先生、みんなで行くんですかー?」

 

「うむ。なので今日の授業は体育を除いて自習となる。折角の機会だ、友好を育めよ」

 

「今日の体育は・・・四時限目か」

 

それまで自習とはありがたいことだ。

 

「では早速案内をするぞ。衛宮、お前が先頭だ」

 

「・・・もしかしなくても護衛ですか?」

 

「念のためな」

 

「はぁ・・・もう少し血の気を抑えて欲しい・・・」

 

頭が痛そうに言う士郎。

 

「おい衛宮。俺たちは護衛してもらうほど・・・」

 

ピッ

 

「ほい死んだ」

 

「なっ・・・」

 

いつの間にか間合いを詰めた士郎が文句を言い立てた石田の首元に指を突き付けた。

 

「朝あれだけ痛い目にあったのにもう緩んでるのか?この学園には決闘っていうシステムがあるんだよ。それの防止だ」

 

「ぬ・・・」

 

「それに、なにもお前達を馬鹿にしてるんじゃない。余計なことに巻き込まれないための防止策だ。ここでいきなり決闘騒ぎが起きてちゃおちおち見学もできないだろう?」

 

「それもそうだね。ありがとう、衛宮」

 

「感謝します」

 

「大友は早く学園を見たいぞ!」

 

「はいはい。そういう事でレッツゴー」

 

まずはぐるっとF~S組を見て回る。

 

「ううむ・・・個性的なクラスが多いな・・・」

 

「うちのクラス分けは、普通にしてるから余計にだね」

 

川神学園は成績でクラス分けされているので同じ実力の者同士が揃いやすい。・・・類は友を呼ぶという事で個性も似たようなのが多い。

 

「おい衛宮。S組を見学させろ」

 

「御大将ここは穏便に・・・」

 

「構わないぞ。どうせガリガリ勉強してるか寝てるかだけだからな」

 

「勉強は分かるが・・・」

 

「寝る・・・?」

 

長曾我部と鉢屋が不思議そうにする。

 

「見ればわかるさ」

 

ガラガラ

 

「お、おじさんのクラス見学?」

 

丁度クラスから出て来た巨人にそうだと伝える。

 

「見学は良いけど血の気は抑えてね。これでも不思議なバランスで纏まってるんだから」

 

「義経などが仕切っているのではないのか?」

 

「そう言った話は聞かないな。イベント事の時はそうらしいが・・・」

 

「士郎、どうしたのですか?」

 

「ああ、マル。彼らの見学だ自由に過ごしていてくれ」

 

「!!」

 

「なんだ?井上の奴が起きたぞ」

 

「今度こそ!今度こそ女の子だな!?」

 

「あ、あー・・・はるが言ってた変態かー・・・」

 

「そう言えば弟?兄?どっちかは分からないが彼は一緒じゃないのか?」

 

「すごいね。そこまで見抜いてたんだ。そうだよ私が姉で、はるは弟。今日は私だけだよ」

 

「ああ・・・癒される・・・」

 

「・・・ごめんちょっと隠して」

 

ひょいと士郎の背中に回る晴。流石に気持ち悪かったらしい。

 

「おい井上。気持ち悪いからやめろ」

 

「俺は何もしてない!ただ慈愛の目で・・・」

 

「それが気持ちわりぃんだよハゲ!」

 

「ウボァ!?」

 

ドゴーンとあずみが蹴り飛ばした。

 

「・・・。」

 

「・・・。」

 

「これが・・・エリートクラスなのか・・・?」

 

「そうだよ。外の掲示板に成績張り出してあるだろ」

 

「勉強に勤しむ者は分かりますが、本当に眠っている生徒もいますな・・・」

 

「Zzz・・・」

 

「おい。英雄様を起こすんじゃねぇぞ」

 

「わかってる。それよりあずみ、鉢屋壱助が居るが二人は交流、何もないのか?」

 

「・・・ドーモ。鉢屋=サン。忍足です」

 

「ドーモ。忍足=サン。鉢屋です」

 

何とも特徴的な挨拶をしていた。

 

「・・・それ、もうネタが古いんじゃ・・・」

 

「・・・。」

 

「黙っとけタコス!」

 

なんだか散々な状態になるS組だった。

 

 

 

 

学園内を案内して四時限目。体育の時間だ。

 

「女子が先に行くのは分かるが・・・」

 

「俺達もこんなに早く行くのかい?」

 

「えっと・・・大村、だっけ。病弱なフリはやめたのか?」

 

「尼子の時もそうだがバレているのに隠しているのも恥ずかしいものだな。今回は本気で臨め、といわれているのでね」

 

「ヨッシーを本気にさせることはそうないぞ。それに値する体育なんだろうな?」

 

「それは保証する。それよりお前達もアップしたほうがいいぞ」

 

「・・・体育の前にですか?準備運動ならわかりますが・・・」

 

男子達は意味が分からないとクエスチョンマークを浮かべていたが、

 

「尼子!大友!」

 

「宇喜多まで、どうしたというんだ?」

 

「うーん、なんか体育ではこれが普通、らしいよ」

 

「大友はもう動けないぞー・・・」

 

「パワータイプのうちもへとへとや」

 

口々にアップのしんどさを口にする大友達。

 

「衛宮。これはどういうことだ?」

 

鉢屋が思わず問う。

 

「だからアップだって。後五分だ。俺らもストレッチして走るぞ」

 

「「「???」」」

 

男子も遅れながらアップを開始した。

 

「セイレエェェツゥッ!!!」

 

「「「!!?」」」

 

ビリビリと腹の底から響く声に、はっとさせられる十勇士。

 

「・・・む?一部準備が出来ていない生徒がいるようですね」

 

あたりを見渡したレオニダスがそう言う。

 

「これはいけません!怪我をしてしまいますからな!次回は十分に体を慣らしておくように!今日は軽めで対処いたしましょう」

 

「軽め・・・?」

 

「何のことだ?」

 

まだわかっていない石田と長曾我部は士郎に聞くことにした。

 

「おい。俺達とて十分にアップをしただろう」

 

「軽めってなんだ?」

 

「あー・・・これだよ」

 

士郎は自分のリストバンドを見せた。

 

「ただのリストバンドではないか」

 

「・・・持ってみろ」

 

「なん・・・!?」

 

ズン、と石田の両腕が下がった。

 

「これは・・・!重り、か!?」

 

「そうだ。レオニダスの指示で大抵の奴がつける。多分お前達も今日計測して明日からは各々適した重りでやることになるぞ」

 

「こんなものをつけてだと!?」

 

「大丈夫大丈夫」

 

「すぐ慣れる」

 

「ではぁ!基礎中の基礎、腹筋、腕立て背筋からやりますぞ!十勇士の皆さんはこちらで測定です。義経嬢!お任せしてよろしいかな?」

 

「は、はい!腹筋始め!1!」

 

「「「1!!!」」」

 

見るも壮絶な基礎鍛錬が始まった。

 

「・・・。」

 

「これは・・・」

 

「負けるな・・・」

 

「皆十勇士クラスの基礎鍛錬を行っている・・・一部違うのは・・・鍛える箇所の違いだろうか?」

 

「それより早くレオニダスの下に行け。奴は団体行動を乱す奴に鉄槌を下すぞ」

 

「わ、わかった」

 

すごすごと石田たちはレオニダスの下に行った。そして授業の半分を超えたあたりで・・・

 

「ぐっ・・・」

 

「ぬう・・・」

 

既に一杯一杯という感じの石田たちが居た。

 

「まだ半分だぞ」

 

「これから本番だからな」

 

「わかっている!」

 

「忍者に筋肉は・・・」

 

「それ言えよ。適したのにしてくれるから」

 

「ぐぬぬ・・・」

 

忍者に適した筋肉とはなんぞや、という事になりかねないが。

 

「今日は十勇士の方もいるという事でサッカーなるスポーツをしますぞ」

 

「この状態でか!?」

 

「途中でぶっ倒れてもいいサッカーだ。存分に体力を使い果たせよ」

 

「「「・・・。」」」

 

その後激しいサッカーが繰り広げられたがそれはまた別の話・・・

 

 

 

熾烈な体育が終われば昼である。

 

「鍋島館長の依頼で十勇士はうちの定食を出すことにしてるから受け取りに来いよ」

 

それだけ言って士郎は食堂へ急いで行った。

 

「はぁ・・・はぁ・・・食べる気などせんわ・・・」

 

「大丈夫ですか、御大将・・・」

 

「長曾我部は流石だね」

 

「がっはっは!筋肉には自信があるからな!だが・・・明日からは筋肉痛だろう」

 

「俺もだな・・・衛宮や尼子達が入念にアップしていた理由が分かった」

 

ヨシツグは一子相伝の拳法を引き継ぐ身で、十勇士の中でも飛び切り強い。

 

その彼をして辛かった、と口にしているあたり、本当に一杯一杯のようだ。

 

「ねぇねぇ、学食いかなくていいの?」

 

一子が不思議そうに言う。

 

「食欲が、ね・・・」

 

「胃がぐるんぐるんしとるわ・・・」

 

「今食べたら大友は大変なことになってしまう・・・」

 

「うーん・・・でもご飯を抜くのは良くないわ。多分士郎もそれ用にしてるから行きましょう?」

 

「衛宮が?どういうことだ?」

 

大友が聞いた。

 

「士郎は『衛宮定食』っていう50食限定の特別メニューを出してるの!低価格栄養満点の人気メニューよ!」

 

「それで衛宮を追いかけるようにして学食に行った生徒がいたのか」

 

「じゃあ、行ってみようか?」

 

晴の言葉に皆頷いてノロノロと動き出した。

 

学食には既にすごい列が出来ており、衛宮定食が半分を切ったことが伝えられている。

 

「限定50食と言っていたな・・・もう25食しかないのか・・・」

 

「でも、いい匂い・・・」

 

グゥと誰かのお腹が鳴った。

 

「早速貰いに行くか・・・」

 

というわけで十勇士用特別券を持って衛宮定食に並ぶ。

 

ラストの25人目を見送って彼らは食堂に立つ。

 

「おい。衛宮定食とやらを貰いに来たぞ」

 

「ん?今ので最後・・・ああ、十勇士だね。ちょっと待って。大将!十勇士が来たよ!」

 

「おう。よく来たな」

 

「美味そうだが、俺たちは食欲がない。何か出せるのか?」

 

「ああ。初日はそうなるだろうと思ってたよ。今持ってくるから」

 

そう言って士郎が持ってきたのは何やら雑炊のようだった。

 

「はい。衛宮定食特別メニューの雑炊だ。量は少なめにしてある。しっかり食って午後に備えろよ」

 

「これは・・・」

 

「美味そうな匂いが胃に直撃するわー」

 

口々に好印象の返事をして受け取る。

 

「それと初回はデザートが付くんだが・・・次回からの方が良いだろう?」

 

「そうですな・・・お心遣い感謝いたします」

 

島がビシと頭を下げて一同は去って行った。

 

「ふぅ。これで終わりかな」

 

「大将ー後片付けもOKー」

 

「じゃあ俺達も飯にしよう。あ、弁慶、この前川神水の大吟醸貰ったんだが・・・」

 

「聞いてないよ!?もしかしてくれるとか・・・」

 

「ああ。弁慶にあげるよ。特別ボーナスだな」

 

「ひゃっほうー!!!」

 

相変わらずの弁慶であった。

 

「雑炊か・・・」

 

「何故粥など・・・」

 

「まぁまぁ、食べてから判断しようよ」

 

「大友は早く食べたいぞ!」

 

「うちも。これはごっつうまそうやない」

 

手近な席に座り、

 

「いただきます」

 

「「「いただきます!」」」

 

一斉に蓮華を口に運ぶ。

 

「「「!!!」」」

 

そしてカッ!と目を見開いた。

 

「う、」

 

「「「美味い!?」」」

 

「出汁が効いていて、それでちっともくどくあらへん!」

 

「とじられた卵もふわふわ・・・。あ、お肉があるよ」

 

「鶏肉ですな。何と丁寧な処理・・・」

 

食欲が無かったことなどすっかり忘れて一目散に食べる。とはいえ、量は抑えられていたのですぐに無くなってしまった。

 

「む。もう無い・・・」

 

「あははは・・・食欲無かったのにね」

 

「これでは逆に物足りんな」

 

しかし時間も時間である。思いのほかゆっくり来たせいで追加注文する時間は残されていない。

 

「衛宮・・・やる男だ」

 

「お、鉢屋が珍しく対抗意識持ってる」

 

「任務でも散々にやられたからな」

 

「ほんまに珍しいな。依頼の事は何にも話さへんのに」

 

「やり方を変えた。それだけだ」

 

鉢屋はあの誘拐事件の後、きちんと情報を洗ってから受けるようになっていた。それというのも士郎の敵にならないためである。

 

今度ばかりは命が無いと思った鉢屋は非道系の任務から手を引いたのだ。

 

「でもいつにもまして忙しそうだけどね」

 

「今回も鉢屋に合わせたからな」

 

「うむ・・・不思議なことに、方針を変えたら依頼が来やすくなった」

 

安心と安全を売っていることにまだ気づいていない鉢屋だった。

 

 

 

 

午後も自習だったためゆっくりと体を休めた十勇士はとりあえず宿となる九鬼のホテルにチェックインしていた。

 

「ホテル通学かー」

 

「なんだか家出をしたようであるぞ」

 

「俺にとっては珍しくもないが皆には新鮮か」

 

「鉢屋はどうやって通学してるのか不思議だよ」

 

「そこは忍者の極意なり・・・」

 

「人数分のカギを貰いましたぞ」

 

「じゃあ荷物置いて一心地だね」

 

「地下にミニシアターやコインランドリーなども完備しているようだ」

 

「いいホテルを取ってくれたようだな」

 

「そう言えば館長は?」

 

「川神学園で話し合いのようだ。迷惑をかけるな・・・」

 

「それもこれも我らが強くなればいい事よ」

 

「・・・そんなこと言って、今日はもう無理って雰囲気出てるよ」

 

「・・・くっ」

 

「図星かいな」

 

何はともあれ波乱の一日を終えた一同であった。

 




いかがだったでしょうか。今回はこんな感じに収まりました。

今回は士郎視点より十勇士視点多めにしています。
十勇士のメダルどうしようかな・・・ちょっと悩んでます。

次回からは士郎視点なのであしからず。

では次回!
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