真剣で衛宮士郎を愛しなさい!   作:Marthe

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皆さんこんばんにちわNintendo Switchを買ってウハウハな作者です。

今回は士郎視点で天神館のメンバーを見ていければなと思います。

レオニダスの体育と訓練にもみにもまれる彼らが書ければいいなと思います。

では!


強さとは

天神館の十勇士がやってきてから三日。彼らは必死にこの日常に慣れようとしていた。

 

「戦闘訓練がしたいと?」

 

「そうだ。俺たちの目的はむしろそちらだ。ここで筋肉をつけることではない」

 

「ふむ。道理ですが、何事も下地が出来てこそ。戦闘の稽古ならば放課後につけていますのでそちらでいかがですかな?」

 

「それなら構わん。放課後に参加する」

 

という事で石田三郎発案で放課後の訓練に参加することにしたそうだが、

 

(分かって無いな石田。その先は地獄だぞ)

 

そっとそんな事を思う士郎である。

 

「一子、一旦休憩だ。やりすぎは体を壊す」

 

「押忍!」

 

以前教えたアレンジ套路で持久走をしていた一子にそう指示を出して一旦休ませる。

 

「どうだ?辛いだろ」

 

「はぁ、はぁ、うん。でも全身が鍛えられてる気がする!」

 

「それは何よりだ。それはそうと、放課後のレオニダスの訓練、一子は行ったことがあるか?」

 

「うん。もう限界ー!ってところまで搾り上げられるわよ。あたしは何度か吐いちゃった」

 

「一子が?一体何をしてるんだ・・・」

 

というか吐くまでやるとかやりすぎだと思うのだが・・・

 

「なんでも、純粋に強くなりたいのなら情けも容赦もしないって。あたしはそれでもよかったけど川神院の稽古に支障が出るからやめたわ」

 

「みんな吐くまでやってるのか?」

 

「それがね、不思議なことに始めた三日くらいだけなんですって。最初だけってことね」

 

「ふむ・・・それならいい・・・のか?」

 

「武道系の女子や男子が多いからそのくらい何でもないって挑みかかってるわよ」

 

「そうなのか・・・みんな負けん気が強いな」

 

少なくとも無理をさせているわけではないことがわかって安心した。

 

「あ、衛宮」

 

「尼子?」

 

ちょうど走ってきたところの尼子晴と会った。

 

「どうしたの?なんか特殊な動きでじりじり前に進んでたけど」

 

「あれは中国拳法の套路のアレンジさ。効率的に体を鍛えることが出来る。尼子は普通に走ってたのか?」

 

「うん。この重り付けにも大分慣れて来たしね。にしてもすごいや。東はこんな特訓してたんだね」

 

「・・・ただの体育なんだが・・・」

 

なんだか複雑な気持ちの士郎である。

 

「なんか放課後戦闘訓練があるって言うし、私達も負けてられないよ」

 

「そうか。無理はするなよ」

 

「うん。ありがと。またね」

 

タッタッタと軽快な動きで走り去っていった。

 

「じゃあ再開しようか」

 

「押忍!」

 

そうして今日も暑苦しい体育の時間が終わった。

 

今日は二時限目が体育だったので、昼までの残り二時間は通常通りの授業なのだが、

 

「石田ッ!何を眠っているかッ!!」

 

バチィン!

 

「ンガ!?」

 

「御大将。起きてください」

 

「・・・俺ともあろうものが眠っていたというのか・・・!?」

 

きっちりレオニダスの体育で体力を削られており授業中に眠ってしまう者もしばしば見受けられる。

 

「なんか新鮮だねー」

 

「レオニダスさんが初めて体育やった時を思い出すわー」

 

「あの時は悲惨だったからな・・・」

 

忠勝も同意するほどの事態だったようだ。

 

その根源たる士郎は林冲と秘密作戦を実行に移していたわけだが。

 

「そんなに酷かったのか?」

 

「石田君みたいにみんな寝るかダウンしてたもんね」

 

「先生の体育は特別だぜ・・・」

 

うんうんと頷く皆に苦笑する士郎。

 

「ほどほどにって言ったじゃないか」

 

「なんと、マスターまでそんなことを言うのですか!このレオニダス遺憾でありますぞ!」

 

プンスコという感じだが実際被害が出ているわけで。

 

「スゥ・・・スゥ・・・」

 

「大友!お前もか!」

 

バチィン!

 

「うわあ!?」

 

「つい眠気が・・・」

 

「ほむ、ダメだよ授業ちゃんと受けなきゃ」

 

「・・・むにゃむにゃ」

 

「尼子弟!!」

 

バチィン!

 

「いたい!?」

 

「・・・ハル。勉強教えてあげないよ」

 

「それはだめだ!姉さん!」

 

「今日も小島先生の鞭が迸っていますなぁ・・・」

 

「・・・お前のせいだって」

 

本当にどうしてくれようか。このスパルタ人は。

 

そうして何とか午前の授業を乗り越えれば癒しの昼だ。

 

「おい。衛宮定食だ」

 

「はいよ。たんと味わってくれ」

 

「・・・。」

 

「御大将?」

 

「衛宮。あのデザートは付かないのか?」

 

どうやら彼も士郎のデザートに魅了された一人らしい。

 

「あれは初回だけだって言ったろう?もしどうしてもって言うなら、残りを賭けた決闘を放課後やってるから混ざってこい」

 

「ぬ・・・放課後か・・・」

 

「レオニダスも無理に都合を合わせるような奴じゃないから、デザートを賭けた決闘をしてから訓練に行けばいいんじゃないか?」

 

「御大将、ここは衛宮殿のアドバイスを聞いてはいかがでしょうか」

 

「だね。私達もあのデザートが食べられるなら挑戦したいし」

 

「大友もまた食べたいぞ!」

 

「血気盛んだな。まぁいい運動になるだろうさ。てことで定食11個な。トッピングは弁慶に言ってくれ」

 

「トッピング?何があるんだ?」

 

長曾我部が興味深そうに聞いた。

 

「生卵、ふりかけ、納豆から選べるよ。売れ行きは生卵がトップだね」

 

「生卵か。いいな。俺は卵付きで頼む」

 

「はいよ。他には?」

 

「どうする?ほむ」

 

「大友も生卵付きで頼むぞ!」

 

「俺も生卵付きだ」

 

「おお、鉢屋が対抗心燃やしてる」

 

「多少の出来ならば気にも留めなかった。だが、衛宮の作る定食は絶品だ。勉強させてもらう」

 

と、違う所でも切磋琢磨しているのであった。

 

「やれやれ。本当に血気盛んな奴等だ」

 

「大将も似たようなもんじゃないの?」

 

「俺が?どうして」

 

心底不思議だと首を傾げる士郎。

 

「依頼。また受けてるんでしょ?」

 

「・・・。」

 

そっちか、と肩を落とす士郎。

 

「主が不安がってる。たまにはS組にも顔出してよ」

 

「そうだな・・・心の所にも行かないとだな」

 

(これで多少マシにはなるだろうけど・・・)

 

「英雄がまた兄上兄上言いそうなんだよなぁ・・・」

 

(クラスにゃ嫁さんが多いか)

 

そうため息をついて弁慶は自分の昼ごはんの準備を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

五時限目と六時限目の間の休み時間。士郎は弁慶の言う通りS組を訪れていた。

 

「!士郎君!」

 

「やあ義経。勉強、がんばってたか?」

 

「うん!今日はどうしたの?」

 

「あー・・・特に理由は無いんだが・・・」

 

「・・・。(ジィー)」

 

「・・・。(ジィー)」

 

「・・・。(ジィー)」

 

「・・・。」

 

視線が、痛い。言外に自分は?というのが見て取れる。

 

「その、心配をかけてるって言われてさ。様子見に来た」

 

「・・・弁慶だな。もう。でも士郎君に会えて義経は嬉しい!あの後はどう?」

 

「技も結構覚えたよ。後はどう生かすかだな」

 

「川神院にも通っているんでしょ?」

 

「ああ。学園長とヒューム爺さんがいがみ合っちゃって今はそうだな」

 

「なんぞ。難儀をしておるな」

 

「心。心の所にも行こうと思ってたんだ。調子どうだ?」

 

(いいですよお嬢様ー!)

 

(義経から一本取りました!)

 

((お強くなられて・・・))

 

「お、お主に心配されるほどじゃないのじゃ」

 

「心ー。なに恥ずかしがってるの?」

 

「恥ずかしがってなどいないのじゃー!」

 

相も変わらず小雪にいじられる心である。

 

そんな間に、

 

「士郎君、義経は――――」

 

すっかり取り戻されてしまい、ヒューマンコミュニケーションの拙い心は置いてきぼり。

 

(此方の相手もするのじゃー!)

 

ところが、意外なところに神はいたのか、

 

「!不死川心!!」

 

「なん・・・にょわあ!?」

 

偶然だった。偶然転がっていた鉛筆を踏んずけ、つるりと滑り、

 

バフ!

 

「・・・にょ?」

 

「大丈夫か?心」

 

「し、士郎!?」

 

少し離れていたはずの士郎の元に抱きとめられていた。

 

「無事なら良かった。足元には注意するんだぞ?」

 

とん、と下されて頭を撫でられる。

 

「にょわあ・・・」

 

それを心地よさそうに受ける心。

 

(・・・速かったですね)

 

(ああ。お前が不死川の名前出した瞬間だ)

 

こちらはこちらで士郎の反応速度に舌を巻いていた。

 

(アレに女王蜂も捕らえられたわけですね)

 

(速攻で尻尾振ってた猟犬には言われたかねぇ)

 

バチバチとメンチも切り合っているが。

 

「そろそろ時間だな。時間を取らせて悪い」

 

と言って士郎は去って行った。

 

しっかりあずみとマルギッテに目を合わせ、

 

(喧嘩するなよ)

 

と釘を刺して行った。

 

「あいつ何処まで見えてんだよ・・・」

 

「武神より武神らしいですね」

 

それにすっかり毒気を抜かれてしまう二人。

 

「はいはい。おじさんの授業ですよっと」

 

「ぬ!授業であるな!?」

 

「おはようございます、英雄様」

 

「うむ。今回も良き夢が見れたぞ」

 

「おじさんの声で起きたわけじゃないのね・・・」

 

相変わらずうだつの上がらない巨人であった。

 

 

 

 

 

 

 

「さて放課後は何を・・・」

 

「おう、衛宮は居るな?」

 

「鍋島館長?どうしてこちらに?」

 

「この辺で腕のいい鍛冶師を探してたらお前さんに行き当たってな?なんでもすげぇ名工だそうじゃねぇか」

 

「恐縮です。刀剣のご依頼でしたら最短で2年待ちですが・・・」

 

「マジかよ。だがそれも悪くねぇ。そこをな、何とかならねぇもんか?」

 

「・・・というと?」

 

「お前さんの初日の一矢でよう、武器が壊れちまった奴がいるんだ」

 

「大友さん、ですね」

 

確かにあの時、砲身を砕いてしまった。

 

「そうそう。でよ。折角なら名工に一つお願いしてみねぇか、ってことなんだが、どうだ?」

 

「一応あの時の矢は学園長に許しを貰って射った一矢なんですがね」

 

その責任を問われても困るのだが・・・

 

「そこをなんとかよう!頼む!」

 

「・・・。」

 

はぁ、とため息を吐いて、

 

「特別ですよ。それと費用はそちら持ちで」

 

「おう!元からそのつもりよ!」

 

「では十勇士を迎えに行かないと」

 

「?なんでアイツら居ねぇんだ?」

 

「放課後のデザート決闘とレオニダスの訓練を受けに行くって言ってましたよ」

 

「こりゃいけねぇ鉢屋に電話だな」

 

素早く電話をかける鍋島。

 

だが、

 

「・・・だめだこりゃ。自分の足で行くしかねぇや」

 

かっかっか!と笑って去って行く鍋島。

 

「大砲の砲身か・・・」

 

これまた厄介な依頼を受けたなぁと後ろ頭を掻く士郎。

 

「まぁ、なんとかなるだろ」

 

よし、と気合を入れて帰る準備をする。今日の依頼は無しだ。

 

帰り道、賑やかにも十勇士を引き連れて自宅に向かう。

 

「まさか衛宮が鍛冶師だったとは・・・」

 

「大友も知らなかったろ?どうだ?そこでなら作れるんじゃねぇか?」

 

「ぐぬぬ、しかし・・・」

 

「しかしも何もねぇだろ。それで今日負けちまったのもあるんだからよう」

 

長曾我部がそう言った。彼の言う通り、焔は今日の勝てる戦(デザート券)を逃していた。

 

「しかし大友の国崩しは秘伝の・・・」

 

「そういう事なら場所だけ貸すから頑張ってくれ」

 

「ぬぬ・・・」

 

というわけで帰宅。

 

「ただいま」

 

「「おかえり」」

 

「なんだ。また小僧どもを引き連れて。遊ぶのか?」

 

「小僧とは・・・ムグ」

 

「御大将、ここは抑えてください」

 

「あれは傭兵集団、曹一族の武術指南だ。俺達では話にならん」

 

「鉢屋がそこまで言う相手か・・・」

 

唐突に現れた強者に背筋が伸びる十勇士。

 

「遊ぶと言うか・・・依頼関係だよ。橘さんはいるかな」

 

という頃にはエプロンで手を拭っている天衣が現れた。

 

「おかえりー!今日も沢山友達連れて来たんだな」

 

「ちょっと依頼を受けまして。人数分のお茶を頼めますか?」

 

「わかった。さぁ、上がってくれ」

 

「失礼する」

 

「お邪魔します」

 

「邪魔するぜ」

 

そうして居間へと案内してまずは一心地つける。

 

「さて、大友さんの武器の作成、という事でよろしいかな?」

 

「おう。頼むぜ」

 

「ほむ?いつまで意地張ってるの?」

 

「・・・ぬぬぬ」

 

どうにも本人は気が進まないようだ。

 

「お前さんと大友は武器作成するとして、俺らはお前さんの作品の見学でもしたいんだがダメか?」

 

「構いませんよ。ただ、自慢の品は売りに出しているのでそこそこのものしかありませんよ?」

 

「いいぜいいぜ。小耳に挟んだんだがな?お前さんの武器は逸脱しすぎた一品だから、本人はそこそこなんて言って名刀を蔵送りにしてるって聞いたもんでよ」

 

「そうですかねぇ・・・まぁ使い道も無いですし別段構いませんよ」

 

ということで士郎は一心地つけた後、まずは武器の保管庫に足を運んだ。

 

「言っておきますけどそこそこですが真剣が多いので下手に触らないでくださいね」

 

「俺とて刀の使い手だ。心得ている」

 

「御大将と自分は刀と槍。なので大丈夫です。衛宮殿」

 

「・・・ここに入った人はみんな目の色変えるから心配なんだよ」

 

そう言って士郎はため息を吐いた。

 

ランタンを手に地下へと潜っていくといつもの保管庫に辿り着いた。

 

「ではどうぞ」

 

「おお・・・」

 

「雰囲気あるな・・・」

 

「俺は大友さんと上に上がるんで。見終わったら教えてください。入口の隣の鍛造所にいます」

 

「・・・。」

 

無言を貫く焔を連れて士郎は上に上がる。

 

「さ、ここが鍛造所だ」

 

「小さいが、立派な炉であるな!」

 

やはりこういう場所には一方ならぬ思いがあるのだろう。少し気分が上がったようだ。

 

「さ、どうする?俺に依頼するか、ここで自分で作るか」

 

「・・・。」

 

その言葉を聞いて焔はまた黙ってしまった。

 

「大友さん?」

 

「・・・言っても笑わないと誓ってくれるか?」

 

急な申し出だった。どうにも事情在りと見た士郎は、

 

「もちろんだ。俺は鍛冶師だぞ。鍛造の事で笑いごとはないと自負してる」

 

「・・・実は――――」

 

ようやっと重い口を開いた。だが、

 

「作り方を知らない?」

 

「うむ・・・」

 

予想外の事態だった。

 

「いつもは会長・・・うちの爺が準備してくれていたのだが・・・」

 

「なるほど・・・秘伝でありながら外注品だったってことか」

 

ようやく彼女が言い出し辛くしていた理由が分かった。

 

「だが、作り方は秘伝そのものなのだ。だから衛宮に頼むわけにも・・・」

 

「ふむ・・・」

 

少々困ったことになった。

 

大友焔の大筒は一対で運用されている。なので片方を視れば(・・・)作り方は分かる。

 

しかし、

 

「俺が作ると秘伝じゃなくなるか」

 

「うむ・・・この際それを我慢するにしても製法が――――」

 

「それなら当てがあるぞ」

 

「なに?」

 

「残った片方の大筒を見せてくれないか?」

 

「う、うむ・・・」

 

背中に背負っていた片方を台の上に置く。

 

「ちょっと触るぞ」

 

 

 

――――同調、開始(トレース・オン)

 

 

 

その一言で詳細なデータが士郎の脳裏を通る。

 

(元は花火打ち上げ用の大筒か)

 

結果、内容は花火打ち上げ用の大筒を改良したものだと分かった。

 

「大友さん。俺には作り方が分かった。同じものを仕上げるのも可能だ」

 

「なっ・・・」

 

驚愕の顔で固まる焔。だが、と士郎は続けた。

 

「どうせ作るならひと手間加えないか?」

 

「ひと手間・・・?」

 

この後、焔は驚天動地に見舞われるのだが、その前に、

 

「おい衛宮!」

 

石田が物凄い勢いで上がってきた。

 

「どうした?」

 

「あれで、あの出来で納得いかんと言うのか!?」

 

「あー・・・」

 

またこのパターンか、と士郎は呆れる。

 

「一応言うが、そうだ」

 

「お前は阿呆か!?あそこにあるものすべて、この俺の刀以上の物だぞ!?」

 

「阿呆も何も鍛冶師としては納得いかないものなんだよ。欲しいなら安値で売ってやるぞ」

 

「石田。そんなにすごいものなのか?」

 

「そうだ!大友も見るがいい!刃物の心得が無くとも一目でわかるぞ!!」

 

士郎と焔は顔を見合わせてクスリと笑った。

 

「そうか!ならばまずそちらを見てから依頼するか決めよう!」

 

「それがいいな」

 

そう言って焔と士郎は武器庫に降りて行った。

 

 

 

 

 

夕方、予想外の追加依頼を受けて士郎は十勇士を送り出していた。

 

「それじゃあまた明日、学校で」

 

「うん。今日はいいものが見れたよ」

 

「石田もあの調子だからな」

 

夕日に向かってウオー!と叫んでいる石田。

 

「鉢屋も特別なの依頼したんだって?」

 

「うむ・・・未だに信じられんが、確かに本来あり得ない工程だった。あのような妙技を組み込まれる愛刀が楽しみだ」

 

石田は蔵の中からお気に入りの物を買い、鉢屋は何と、一からのオーダーメイド。それも魔剣仕様のものを依頼した。

 

「うちらじゃ石田と同じパターンが精一杯なのに、鉢屋は凄いな」

 

宇喜多が羨ましそうに鉢屋を見た。

 

「忍者にとって武器は己の分身。妥協はしない。だが、留学が終わったらしばらく依頼漬けだ」

 

「俺は素手だからしょうがないが、なんで今回鉢屋に秘奥を見せたんだい?」

 

ヨシツグに問われて士郎は、

 

「風のうわさで聞いたよ。非道な依頼から足を洗った忍者がいるって。多分鉢屋だろう?」

 

「依頼内容は俺達も知らねぇよ。でもそうか・・・なんでも依頼だから、って割り切ってた鉢屋がねぇ・・・」

 

鍋島も感慨深そうにしていた。

 

「それなら預けてもいい。そう思ったのさ」

 

「衛宮・・・」

 

ゴソゴソと鉢屋は懐を探り、

 

「これを」

 

渡されたのは凝った作りをしたメダルだった。

 

「これは・・・」

 

「西では信頼できる友だけに自身の象徴のメダルを贈る。受け取ってほしい」

 

「鉢屋・・・」

 

それは初めて聞いた。西の天神館には随分と粋のある伝統があるらしい。

 

「最初は敵だったが、よろしくな」

 

「こちらこそだ」

 

スッとお互いに頭を下げてメダルを受け取った。

 

「そんじゃ行くぜ。しばらく大友が世話になるからよう、よろしく頼む」

 

「承りました。帰り道気を付けて」

 

「またねー!」

 

「またな」

 

「ほら石田、いつまでも叫んでないで、いくで?」

 

満足そうに彼らは帰っていった。

 

入れ替わりに、

 

「ただいま」

 

「ただいまー!」

 

「ただいま帰りました」

 

清楚と凛たちが帰ってきた。

 

「おかえり。今日はずいぶん遅かったな」

 

「それが・・・姉さんもセイバーさんの決闘に巻き込まれて・・・」

 

「どいつもこいつも本気出せー!っていうから本気でぶっ飛ばしてやったわ」

 

「あはは・・・こりゃ遠坂も武士娘の仲間入りだな・・・」

 

「なによ武士娘って」

 

「武士の家系の女の子をそう呼ぶらしいぞ。百代とか一子もそうだしクリスや由紀江、京もそうだな」

 

「ふーん。結構強かったから軽く強化したけど・・・そうなのね。だから血気盛んなのか」

 

「・・・一応聞くけど無事・・・なんだよな?」

 

「この通りよ。見てわからない?」

 

自慢げにふふんと笑う凛だが、

 

(相手は一応無事です)

 

(一応、なんだな・・・)

 

セイバーの耳打ちにがっくりと肩を落とす士郎。

 

「清楚はどうだ?大学、楽しいか?」

 

「うん。学べることが多くて楽しいよ。それに・・・」

 

ふっと目が赤くなった。

 

「こちらも決闘がよくあるからな!退屈せん!」

 

「清楚が楽しそうで何よりだ。さぁ、上がってくれ今晩飯の用意してるから」

 

「この匂いは・・・カレーですね!」

 

「シロウ。以前食べたカツカレーを所望します」

 

「わかってるよ。カツもチキンカツと、トンカツ、両方準備してるぞ」

 

「先輩、遅くなっちゃいましたけど手伝います?」

 

「助かるよ。桜頼む」

 

「桜ちゃんがやるなら私も手伝おうかな。・・・力仕事なら任せておけい!」

 

「じゃあ清楚には米を研いでもらうか」

 

と、イベント事はあったものの今日も賑やかで温かい衛宮邸であった。

 

 

 

 

 

 

十勇士が来て一週間。本来否定的だった生徒達も彼らに心許したのか、穏やかな日々が続いていた。

 

「衛宮。学食の秘訣を教えてもらいたい」

 

「構わないぞ。どんなことが知りたい?」

 

「大和!今日も大友の大筒について語ってやろう!」

 

休み時間で遊びに来ていた大和や京を巻き込んで今日も賑やかにしていた。

 

「もうすっかり馴染んだわねぇ・・・」

 

「私達も、よく声をかけられるようになりましたね」

 

千花と真与がニコニコして言った。

 

「チカリン・・・あたい、龍造寺君仕留めた系」

 

「羽黒・・・あんた容赦ないわね」

 

「・・・大丈夫か龍造寺」

 

「ここの所ブスにばっかり食われてダウン寸前だ・・・」

 

「おいおい。体育あるんだぞ。大丈夫なのかよ」

 

「大体なんだあの体育は。体育ってレベルじゃないぞ」

 

「でもそれが目的なんでしょう?」

 

「そうなんだがねリトルレディ。何事もやりすぎは・・・」

 

「はいはい。いちいち口説かへんの。もう無理やて。お前には逞しさが足りん言われとったろうに」

 

「がっはっは!俺のスーパーな筋肉でも悲鳴を上げるからな。龍造寺ではひとたまりも無いだろう!」

 

「・・・大串君にも負けてるからね」

 

「まったくなんで俺に筋肉なぞ・・・だが、健康であらねばオタクは出来ん」

 

「ホントそこだよね。不健康な生活送りがちだからね僕ら」

 

「師岡は今期のアニメ何処まで見る?」

 

「もちろん全部見るさ!個人的には――――」

 

わいわいがやがやと十勇士を含めて会話が飛び交う。

 

そんな中、

 

「Zzz・・・」

 

一人眠りについている者が一人。石田だ。

 

「石田はどうしたんだ?」

 

「御大将は昨日も夜遅くまで趣味に明け暮れていたようで・・・」

 

「趣味?」

 

「御大将は鉄道が趣味なのです。模型を何処からか調達して組み立てに励んでいます」

 

「へぇ・・・鉄道か。キャップと気が合いそうだな」

 

「Zzz・・・ん?呼んだかー?」

 

「呼んだ呼んだ」

 

「石田が鉄道好きなんだと」

 

「模型作ってるらしいよ」

 

「マジか!鉄道模型とかワクワクするじゃねぇか!」

 

「はっは。そう言っていただけて御大将も喜ぶでしょう」

 

ガラガラ。

 

「うん?石田はまた眠っているのか・・・」

 

「小島先生、まだ休み時間故・・・」

 

「構わん。休み時間までどうこうする気は無い。少し早めに来ただけだ」

 

そう言って梅子は今日のテキストを準備している。

 

「御大将、御大将!」

 

「む・・・島か」

 

「もうそろそろ時間でありますぞ」

 

「そうか。くぁ~・・・」

 

「なんだかすっごい馴染んでる・・・」

 

「留学生って言われてもわからないくらいですねぇ」

 

「それじゃ俺達も戻るよ」

 

「またね」

 

大和達もS組に帰って行った。

 

キーンコーンカーンコーン。

 

「鐘が鳴ったな。委員長。号令を!」

 

「はい!」

 

とここまでは穏やかな一日だったのだが、

 

「基礎訓練はここまで!次は本命に移りますぞ」

 

「はぁ、はぁ、今日は何だ?」

 

「大丈夫ですか・・・御大将」

 

「レオニダス王の前で無様なことに数度なったのだ。このくらいは慣れたわ」

 

石田を筆頭に十勇士はもれなく放課後の鍛錬でみっちりと絞られていたので割かし早く適応していた。

 

「はっはっは・・・あれ何だろう。レオニダスさんが大きな箱を持ってきたよ?」

 

「ぐぬー・・・大友はもうきついぞー・・・」

 

「今日は趣向を凝らして、代表者一名にこの中から次の体育の内容を選んでもらいます!」

 

「代表者・・・」

 

「1名?」

 

「もしかして・・・」

 

「今日の体育はこの後代表者を賭けた決闘、いえ、大乱闘といたします!」

 

「マジかよ!」

 

「おい俺たち非戦闘員はどうするんだよ」

 

「なお、この決闘に参加しないのも自由です。参加しないものは選ぶ権利は得られませんが医療班として活躍していただきます」

 

「よかった・・・」

 

「それにしても大乱闘か・・・」

 

「ズマブラのようにはいかないぞ」

 

「みんな敵っていうのも珍しいな」

 

「・・・なんだかレオニダスらしくないな」

 

「士郎?」

 

「あいつは戦闘を訓練に組み込む時には事前に告知する。にもかかわらずこの不意打ちのような大乱闘は・・・」

 

ちらりと校舎を見ると双眼鏡片手にこちらを見る鍋島と学園長の姿が。

 

「おいレオニダス。お前鍋島館長になにか吹き込まれたな?」

 

「・・・さて、今回のは私の発案ですぞ?」

 

目をあちこちに逸らしながら言うレオニダス。

 

「嘘ですね」

 

「嘘だな」

 

「嘘です」

 

「そんなことよりも!早速始めますぞ!医療班はあちらのゴールネットの方に!」

 

モロやスグル。千花や真与達はゴールネットの方に移動した。

 

「・・・もう非戦闘員はいませんな?では!体術訓練、始めッ!!!」

 

「川神流奥義!大蠍打ちッ!!」

 

ドゴーンと生徒が舞う。

 

「流石ワン子!切り込み隊長なだけあるぜ!」

 

「技も進化してないか!?」

 

「一子も鍛錬してきたからな」

 

冷静に一人ずつ対処していく士郎。

 

「川神流奥義――――」

 

「やばい!来るぞ!!」

 

「無双正拳突き!!」

 

ドッパアン!と士郎が正拳突きを放った場所に大穴が出来る。

 

「フハハハ!流石兄上よ!」

 

「猟犬!」

 

「いいでしょう。合わせます!」

 

「忍足流――――」

 

「トンファー―――」

 

「「剣舞五連!!」マールシュトローム!!」

 

高速の連携技に対し士郎は気を高め、

 

「九鬼家決戦奥義――――」

 

上下左右から襲い来る剣とトンファーを一呼吸で弾き返し、

 

「古龍昇天破ッ!!」

 

ドゴーン!!とマルギッテとあずみが吹き飛ばされる。

 

「まずいぞ!士郎を止めろ!!」

 

「がっはっは!オイルはないがこの俺がいくぞ!」

 

長曾我部が猛進する。

 

「川神流奥義――――」

 

「待て長曾我部!」

 

「鉄山靠ッ!!」

 

「ゴッハアア!?」

 

そのままゴールネットにシュートされる長曾我部。

 

「スゥフゥ!!」

 

「まずいまた来るぞ!」

 

「九鬼家奥義――――」

 

士郎は体を引き絞り、

 

「画竜点睛ッ!!」

 

回し蹴りを放つ。直撃を食らった生徒もだが、蹴りの延長線上にいた生徒も強烈な風に巻き上げられ吹き飛ばされる。

 

「つ、強い・・・!」

 

「神弓の衛宮・・・弓無しでもこの強さか・・・!」

 

「どうした?怖気づいたか?」

 

「・・・。」

 

「御大将・・・」

 

「まさかよ!光龍覚醒!」

 

黄金の気が立ち上る。

 

「俺とて川神に来て様々な鍛錬をしてきた!負けはせんぞ!衛宮!」

 

「・・・いい顔だ」

 

士郎はちょいちょいと石田を誘う。

 

「舐めるなッ!」

 

「ジェノサイドチェーンソッ!!」

 

カッターのような鋭い蹴りが石田を蹴り上げる。

 

「ぐあ!」

 

「御大将!!」

 

「川神流奥義!大蠍打ち!!」

 

ズパァン!と蹴り上げられた石田が地面に叩きつけられる。

 

「さぁ、俺を止める奴はいないのか?」

 

「いくよ!鉢屋!!」

 

「承知!」

 

「顕現の三。毘沙門天!!」

 

「「ぐわあ!?」」

 

巨大な足で踏みつけられる尼子と鉢屋。

 

「学園長の技まで・・・!」

 

「あんなんどうやって止めんだよ!?」

 

「やるしかねぇだろ!いくぞー!!」

 

「ハンサムラリアーット!!」

 

「川神流――――」

 

ガクトのラリアットを見据え、

 

「大車輪!!」

 

「うおッ!?」

 

腕を掴み、体捌きでガクトを回転させる。大車輪で巻き上げたガクトをそのまま空中で一回転させ、叩きつけた。

 

「飯綱落とし!!」

 

「ぐわ!?」

 

「ガクトー!?」

 

「さぁ、まだまだいくぞ」

 

「今度は俺が相手だ」

 

「ヨッシー!」

 

「月光砕き!」

 

「頑張って!」

 

「川神流――――雷光一閃!!」

 

月光を砕くはずの一撃が雷光の一撃によって相殺され、押し込まれる。

 

「くっ!グランフォール!!」

 

「ジェノサイドチェーンソッ!!」

 

「ぐはっ・・・」

 

「追い詰められたら空に飛ぶ癖は直した方が良い。次ッ!!」

 

そうして士郎の独壇場となった戦場をみて満足気に頷く学園長。

 

「うむうむ。まだまだ成長途中じゃが気のコントロールは完璧じゃの」

 

「折角持ち直してきたってのにまたしょげるぜあいつ等」

 

はぁ、とため息を吐く鍋島。

 

「それになんだありゃ?川神流から九鬼の奥義まで・・・」

 

「そりゃあヒュームと勝負しておったからの」

 

「なんのでぇ?」

 

「どっちが衛宮君を最強にできるか」

 

「・・・。」

 

「こりゃまだ勝負は引き分けじゃな。ていうかわしの技も真似られちゃっとるし」

 

「それを言ったら九鬼のジジイの蹴り技もだろうよ。底知れねぇ兄ちゃんだぜ・・・」

 

結果、最後に残ったのは士郎と一子。

 

「すごいわね士郎・・・お姉さま並みね」

 

「師範代を目指す一子はどうするのかな?」

 

「もちろん挑ませていただきます!押忍!」

 

「良い覚悟だ」

 

結果一子は負けてしまったが、武の道の先を視れた一子は笑って気絶したのだった。

 

「はいはい、手当てするヨ」

 

「はい、このハーブを食べると良くなるよ」

 

「すまぬ・・・」

 

「君は肩の骨が外れているね・・・ほイ!」

 

ボキィ!

 

「っだっはっは・・・痛みが無くなったぜ・・・」

 

「衛宮君強かったわね~・・・」

 

「ありゃモモ先輩の再来だぜ・・・あれで武道家じゃなくて鍛冶師で、得意なのは剣と弓って言うんだから反則もいいとこだ」

 

「おう・・・大丈夫かガクト、キャップ・・・」

 

「大和も戦いに出てたのか?」

 

「これも経験と思ったんだけどな・・・瞬く間に蹴散らされたよ」

 

「こんなんとやり合うとか考えたくねぇよもう・・・」

 

そんな士郎は表彰台の上で箱に手を突っ込み、

 

「・・・。」

 

バスケット、と書かれたボールを取り出すのだった。

 

「んで次はバスケかー・・・」

 

「こりゃキッツイ・・・」

 

「風間、お前達の仲間はどうなっているんだ?」

 

気絶から復帰した石田が問いかける。

 

「どうもなにも」

 

「あの通りだよ」

 

視線の先には、やりすぎたなぁと困った表情をする士郎の姿があった。




はい。後半やりすぎちまったかなぁと思う作者です。でもスピード感出てたように感じるのでよしとします。

今回は鍋島館長の発案でしたが学園長もいいねそれ、という感じで賛成した感じです。
今回の戦いはいかがだったでしょうか?見覚えのある技からオリジナル技まで…士郎もそうですが、一子もニヤッとしていただけたら嬉しいです。

次回も何気ない(多分)日常ですどんどん馴染んじゃって特徴のある喋り方で書かないと誰か判別できないよう……

という事で次回!
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