真剣で衛宮士郎を愛しなさい!   作:Marthe

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皆さんこんばんにちわ風邪がお腹に来た作者です。

誤字修正の件、ご協力ありがとうございます!それと大量の晴→春誤字すみません。

今回は新しく婚約した二人の事と……ワン子に踏み入っていきたいと思います。

二人がなぜ士郎を好きになったのかとかも書きたいなぁと思います。

では!


婚約

――――interlude――――

 

 

十勇士はホテルのエントランスに集まり、焔と晴の婚約報告を聞いていた。

 

「なんや、めでたいなぁ」

 

「おめでとうございます」

 

「おめでとう」

 

「島、ヨシツグ、みんなもありがとう」

 

「大友も感謝するぞ!」

 

「ドゴーンちゃんが嫁入りするとはな・・・衛宮は多数の嫁がいるそうだが、よかったのか?」

 

「龍造寺が言えることではない気がするが・・・うむ!みな志を同じくしたママ友ぞ!」

 

「正確にはママ友じゃないんだけど・・・」

 

「尼子。いつから衛宮を気にかけていたのだ?」

 

石田が問うた。

 

「・・・去年の東西交流戦の話になるけどいい?」

 

「去年のか・・・随分片思いが長かったじゃないか」

 

「うん。今回の機会が無かったら直江君とアドレス交換してたほむに頼むつもりだったからね・・・」

 

 

~~~~去年の東西戦~~~~

 

 

瓜二つであることが強みである尼子晴は弟のハルが戦場に、姉の晴は救護班として参加していた。

 

「またやられた!」

 

「一体どうなってるんだ!?」

 

「わからないわよ!表に出たらやられるの!・・・きゃっ!?」

 

「気を付けろ!射線通ってるぞ!」

 

外は阿鼻叫喚の状態だった。開始と同時に矢が飛来し、既に本陣は壊滅的な打撃を受けていた。

 

「晴ちゃん!十勇士が・・・」

 

「うん。龍造寺なんかはダメだろうね」

 

『あ、あー。・・・んん。敵の弓兵は矢に制限ありだぜ。上手く耐えな』

 

「あ、館長だ」

 

「情報をくれるってことは武神と同じ枠ってことか」

 

「ぬー・・・不覚であるぞー・・・」

 

「ほむ!」

 

運ばれてきたのは焔だった。

 

「ほむまで矢に?」

 

「流石にそれはない。だが東の者どもの強さたるや・・・」

 

うむむ・・・と唸る焔。

 

「そんなに強いの?」

 

「強い」

 

即答だった。

 

「東があれほどに力をつけているとは大友も思わなかった」

 

「ほむは前線にいたはずだもんね。一番最初に当たったわけか」

 

「うむ。これは大友の勘なのだが・・・恐らく御大将も無事ではすまないだろう」

 

「石田ならすぐに撤退したと思うよ。そう簡単に――――」

 

「次だ!」

 

「う、美しい・・・」

 

「毛利か」

 

「毛利は今まで戦場に居たんでしょ?相手の射手、どうだったの?」

 

「今までにない美しい光景だった・・・流星の中にいるようだった」

 

「流星・・・流れ星みたいだったの?」

 

「言われてみれば・・・大友はゆっくり見る暇が無かったがそうかもしれない」

 

「流れ星かぁ・・・」

 

敵ながらどんな人なんだろうと興味が湧いた。

 

「む、無念・・・」

 

「「鉢屋!」」

 

「鉢屋までやられたの!?」

 

「ぬう・・・東に現れたという英雄・衛宮士郎・・・恐ろしい相手だ・・・」

 

「その人が矢を放ってた人?」

 

「そうだ。矢が尽きたため射るのをやめたが・・・大将の護衛についていた」

 

「鉢屋が負けるなんて・・・相当強いんだね」

 

「噂では武神を圧倒したとも言われている。与太話と思っていたが・・・」

 

どうやら噂は本当のようだ。

 

「・・・。」

 

晴はますます興味が湧いた。矢の流星を放ち、鉢屋や武神までも圧倒する人物。どんな人なんだろう?、と。

 

結局東西戦は東の圧勝という事で幕を閉じた。

 

「負けか」

 

「ほむの予想通りだったね」

 

「うむ・・・無念であるな」

 

「ちょっと失礼・・・」

 

そう言って一人の東の男子がやって来た。もちろん、大和だ。

 

そのまま焔と会話に花を咲かせる姿を見て自分も連絡先交換しようかな、と思った時だった。

 

「大和。もう西の子とパイプ繋いでるのか?」

 

ドキリとした。見慣れない赤い装束を着た背の高い男子。きっと彼が。そう晴の勘は言っていた。

 

(かっこいい・・・かも)

 

赤い装束に包まれてはいるが、素の状態でも随分と筋肉が発達しているのが分かる。きっとびっしりと鍛え上げられているのだろう体は、無駄というものが無く、ともすればスタイリストのようでもあった。

 

「士郎が弓で壊滅状態にしたから断られるんじゃないかとひやひやしたよ」

 

「大友はそんなことでは偏見を持たんぞ。・・・しかしそうか。お前が衛宮士郎だな。テレビで活躍は見ていたぞ!」

 

「活躍?」

 

晴は知らなかった為聞き返した。

 

「うむ!現総理と総理官邸を単独で守り抜いた、英雄その人ぞ!」

 

「そんなに持ち上げないでくれ。俺は自分にできることをしただけだ」

 

困ったようにそう返す彼は、何処か・・・そう。透明だった。澄んでいると言い換えてもいいかもしれない。

 

晴はそんな彼に好奇心が湧いた。

 

(えっと衛宮士郎、君だったよね)

 

ゴソゴソと連絡先を交換しようとポケットから携帯を出そうとした晴だったが、

 

(!!無い!)

 

そう言えば海への水没を懸念して鞄の中に入れたままだった。

 

当然メモ用紙のようなものもなく、

 

「それじゃ、大友さんよろしく」

 

「うむ!また大友の大筒の話をしてやろう!」

 

「いくぞ士郎」

 

「ああ」

 

「あ!まっ――――」

 

待ってという言葉は出きらなかった。それは、大和と呼ばれた少年と立ち去る時に見せた笑顔があまりにも綺麗だったから。

 

この時、尼子晴は、心を掴まれてしまった。そう今でも覚えている。

 

「ううむ・・・なんだかこちらが恥ずかしくなるような笑みを浮かべる男だったな・・・龍造寺とは大違いだ」

 

「――――」

 

「尼子?」

 

「え!?」

 

ポケッと惚けていた晴は失念したと心がすぼんでしまった。

 

「・・・もしかして連絡先を交換するつもりだったのか?」

 

「・・・(コクリ)」

 

やってしまった。彼と自分は東と西という大きな距離で隔たれている。この機会を逃せば次は無いかもしれないのに。

 

「もう行ってしまったからな・・・大友達もそろそろ戻らないと」

 

「ほむ~・・・」

 

「わかっておる。直江と仲良くなったら尼子も紹介しよう」

 

「うん・・・」

 

気になっているのは直江大和ではなく衛宮士郎だとは、言えなかった。

 

 

~~~~去年の東西戦 終~~~~

 

 

そんなことがあってから晴は何度かコンタクトを試みようとしたが、東との戦いに負けたことから猛特訓の日々に揉まれ、疎遠になってしまった。

 

「そんな中、今回の館長の誘いがあったんだよ」

 

「そうだったのか」

 

「一年越しの恋が(みのる)たぁめでたい」

 

「難儀してたんやなぁ・・・で、大友は?」

 

話しの矛先が焔に向いた。

 

「最初は鉄に一心に向き合うすごい奴、程度だったと思うのだが・・・」

 

改めて考え込むように焔は言った。

 

「一日一日・・・大友の大筒を作ってくれる姿があんまりにも眩しくて、かっこよかった」

 

焔は顔を赤くして俯いた。

 

「気遣いもすごくしてくれて、だからこそ鉄を知り尽くした人なんだなと思ってた時、晴が・・・」

 

ちらりと彼女を見た。

 

「その、士郎を想っていると言われて応援しようと思ったのだ。しかし鉄を鍛える士郎を見て・・・」

 

「取られたくないって思ったんやね」

 

「うむ・・・」

 

気恥ずかしそうに焔は言った。

 

「その後は何とか身を引こうとしたが上手くいかなくて。晴にきちんと打ち明けて終いにしようと思ったのだが・・・」

 

「私が止めたんだよ。諦めないで、って」

 

晴が微笑みを浮かべて言った。

 

「士郎はもう複数人の嫁がいる。そして嫁入りするには何か条件があるってことは分かってたから、きっとほむも受け入れてくれると思ったんだ」

 

「結果、受け入れられたということか」

 

「うん」

 

「そうか。いや、本当にめでたいな。あんなに美しい男はそうはいまい」

 

「毛利、ちょっと言い方が・・・」

 

あははは!とみんなで笑って、その中の二人は、ふわっと、こちらまで幸せになるような笑顔で笑った。

 

「なんやかんや、結果オーライやね」

 

「これだけでも、東との交流は意味を成したように思えますな」

 

「島。寝言は寝て言え」

 

「は?」

 

島の言葉に不敵に微笑んで、

 

「出世街道を行く俺がこのままで済むものか。きっちり俺達も成果を出すぞ」

 

「・・・そうだな。尼子と大友を見習って我らも精進せねば」

 

「お?鉢屋も女作るのか?」

 

「そりゃあいい!この俺様が四国の女を紹介してやるぞ?」

 

「・・・うつけめ。今のは比喩表現だ。それがしは生涯童貞だ」

 

プイとそっぽを向く鉢屋に笑って、

 

「さ、今日もそろそろ寝ようか」

 

「うむ!明日も体育に訓練、大友の大筒も完成が間近だからな!」

 

晴と焔の声を皮切りに皆一斉に各々の部屋へと戻る。

 

留学の半分を終えて、それでも和やかに過ごすことの出来ている十勇士だった。

 

 

――――interlude out――――

 

 

十勇士が来て一月。残る留学期間は一月となったわけだが、

 

「腰が入っていませんぞ!ぬん!」

 

「ぬおおお!?」

 

バッターンとレオニダスが組み合った長曾我部を投げる。

 

「ぬう・・・俺のオイルレスリングでも歯が立たないとは・・・」

 

「はっはっはっは!これでもオリンピアでは香油をつけての参戦もしておりましたからな!何も珍しくなどありません!」

 

ヌルヌルになりながらも高らかに笑うレオニダス。

 

「さて、長曾我部殿で最後でしたな。皆の健闘を祝して!このレオニダス飲み物をおごりましょう!」

 

「ありがとうございます!」

 

「なににしようかなぁ・・・」

 

「頑張った後にこそ、コーラぞ!」

 

この光景にもすっかり馴染んだ西の子らを見て学園長室から覗いていた鍋島と学園長は満足げに話し合っていた。

 

「最初はどうなる事かと思ったがなんとかやっていけてるじゃねぇか」

 

「彼は真正のスパルタ人じゃからのう・・・ついて行けなくなるかもとは思っとったがなに、西の子らも中々やるのう」

 

「で、この成果を持ち帰って研鑽して、卒業か。寂しくなるぜ」

 

「正が十人も選ぶなど珍しいからのう。想いもひとしおか」

 

「だからこそ惜しく思うぜ。ここで鍛えられた奴らが自分の力を試せないのがよう」

 

「そのことなんじゃが、最近面白い話が入ってきておるぞ?」

 

と、導いた側も上々の結果に微笑む中、士郎はと言えば、

 

「・・・よし。次」

 

黙々と焔の大筒作りをしていた。

 

カン!カン!という音が鳴り響く。

 

彼女の大筒も完成が間近に迫っていた。

 

そんな折、

 

「士郎、ちょっといいか?」

 

「・・・林冲?」

 

それまで鉄に集中していた彼の目線が入口に来た林冲に向いた。

 

「翔一達が来た。出迎えなくていいのか?」

 

「あー・・・限界か」

 

依頼事でちっとも遊べていなかったので我慢が出来なくなったのだろう。嬉々として突撃してくるキャップの姿が思い浮かんだ。

 

「今行くのはちょっとなぁ・・・。もう少しで切りのいいとこまで行くんだが」

 

作成するパーツはあと2~3個だ。それさえ済めば後は組み立てなので一息つける。焔が来てもう一月だ。残りは一月。そろそろ得物の調整も必要だろう。

 

「よう!来たぜ士郎」

 

「キャップ。もう少し待てなかったのか?」

 

メンバーの迷惑になるようなことをしないこの男にしては珍しいと士郎も口を開く。

 

「それなんだがよ。面白れぇ噂が立ってるんだ。仕事が終わったらでいいからちょっと聞いてくんね?」

 

「・・・。」

 

面白い噂・・・?と士郎は首を傾げた。

 

「キャップ、本当に面白いんだろうな?」

 

「ああ!とびきりだぜ!」

 

「そうか。悪いが遅くなるぞ。もう仕上げだからな。金曜集会くらいの遅さは考えててくれ」

 

「いいぜ。今の内にみんなで士郎の家でゲームとかで遊んでるからよ。今日の夕飯もこっちでいいって麗子さんの許可ももらったし」

 

「そりゃ橘さんが居るからな」

 

さもありなん。と肩をすくめる士郎。

 

「じゃあ依頼がんばれよう!」

 

「おう」

 

「・・・相変わらず台風みたいな男だな」

 

「それがいい所でもある。騒がしいけどな」

 

苦笑してグイっと首にかけられたタオルで汗を拭う士郎。

 

「さ、もうひと踏ん張りだ」

 

「頑張ってくれ。私はセイバーと稽古してるから」

 

「わかった。怪我するなよ」

 

「うん。士郎も色々気を付けて」

 

おう、と返して士郎は引き続き大筒のパーツを鍛造していった。

 

 

 

――――interlude――――

 

 

 

「士郎なんだって?」

 

「まだ時間かかるってよ。今回のは仕事だからなぁ・・・」

 

「それでも帰れって言わないあたり士郎だよねぇ・・・」

 

「俺様、大分この家にも馴染んできた気がするぜ」

 

「士郎が来るまでは誰も近寄らなかったからね」

 

「Zzz・・・ワン!?・・・Zzz」

 

「なんだ。ほんとに犬じゃないか」

 

「よそ見してていいのかクリス」

 

「ん?ああ!?大和ー!!」

 

「クリスさんも平常運転ですね・・・」

 

「何気ない日常、大事」

 

「よく喋りますね、この馬」

 

「天界からオラの声を聞け♪」

 

「歌い出すし。あ、D4です」

 

「なぬ!?」

 

「流石S組、UNOでも容赦ねぇ」

 

「モモ先輩は来るって?」

 

「一応そうらしいぞ。姉さんは今・・・ベネチアだって」

 

「ベネチアってどこ?」

 

「イタリアの北東の街。118の島からなる海上都市」

 

「なんだってそんな所に・・・」

 

「依頼だろ」

 

「っていうかそこからどうやって今日中に来るんだよ・・・」

 

「こうやってだ」

 

「うお!?」

 

「うわぁ!?びっくりした・・・」

 

ブオン!と百代が瞬間移動してきた。

 

「相変わらず滅茶苦茶だな」

 

「姉さんどうやって来たの?」

 

「ていうか依頼いいの?」

 

「あ、その顔は良くないぞう。この技を開発したのは士郎なんだからな。依頼は完了したから大丈夫。ベネチアまでの護衛依頼だったから。橘さーん!ピーチジュースをお願いしまーす!」

 

「お、おう。返事しといてなんだな。ちゃんとあるんだな・・・」

 

「そりゃ士郎ですからね」

 

「いい加減慣れてるだろ」

 

「それにしても、俺らこうして寛いでるけど、家主は仕事中なんだよなぁ・・・」

 

「士郎の事だから、いつもの事、とでも思ってるのかもね」

 

「それあり得そうだなー。こうしてピーチジュースも常備してくれてるし。ゴクゴク・・・ぷはー!」

 

「姉さんオヤジくさいよ・・・」

 

「なにぃー!この、弟が、この!」

 

「うごごご・・・」

 

「うわぁ!?大和の身体が変な方向に!」

 

ベキン!

 

「・・・(チーン)」

 

「ああ!?大和ぉ!?」

 

「次回、引き裂かれる恋。なんちゃって」

 

「はいはい。整体しただけだからねー」

 

なんとものんびりとした光景だった。

 

 

――――interlude out――――

 

 

「士郎よ、いるか」

 

「お邪魔してるよ、士郎」

 

「おう二人とも。・・・パーツは全部鍛え上がった。いよいよ組み立てだぞ」

 

「遂にか!どれだ!?どれから組み立てるのだ!?」

 

「ほむ、落ち着いて。私も手伝おうか?」

 

「焔がいいって言うならな」

 

「ほむ?」

 

「晴ならいい。だがここが正念場ぞ。慎重にいかねば・・・!」

 

「そう言いながら今にも飛びつきそうだよ・・・」

 

困ったように笑いながら晴も参戦。

 

慎重に一つ一つ丁寧に組み立てて行く。

 

「次はそのパーツだ。ここまで組み上がれば強度も相当なものだろう。最悪、近距離戦も行けるはずだ」

 

「大友は国崩しを撃つことしか知らん!だが、なにごとにも使い道が多いほうがいいな」

 

「でも重くなりそう・・・ほむ、大丈夫?」

 

「うむ!このためにレオニダス先生の体育と訓練をしてきたからな!問題ない!」

 

最後に取っ手の部分や各部木材の部分を取りつける。

 

「・・・これも士郎が一から作ったんだよね?」

 

「ああ。俺が削った」

 

ニスで艶の出た部品一つ一つ全て士郎の手作りだ。だが、その技量は凄まじく、売り物だと言われても違和感がないほどだ。

 

「焔そこのところを開けてくれ」

 

「うむ。例の機構だな?」

 

「ああ」

 

よく見ると抱え込む部分が一部円形に開くようになっている。

 

「そこに何かはめ込むの?」

 

「うむ。大友の魂ぞ」

 

「魂?」

 

「ちょっと通るぞ」

 

士郎は宝石箱のような箱の中から一枚の薄く、文様の刻まれた丸いプレートをピンセットでつまんでそこにはめ込む。

 

ガシャン!

 

「――――同調、開始(トレース・オン)

 

「わぁ・・・」

 

ヒュンヒュンと青いラインがプレートをはめ込んだ位置から全体に広がる。

 

「今のなに?」

 

「新しい大友の秘伝だ。これにて完成、だな?」

 

「まだ試射があるけどな。一応、完成だ」

 

「やったーーーッ!!!」

 

待ちに待った瞬間だろう。焔は涙を浮かべ、士郎に抱き着いた。

 

「ちょ、ほむってば、危ないよ!」

 

「よくぞ!よくぞやってくれたー!!!」

 

「はは。くすぐったいぞ、焔」

 

胸元に頭をぐりぐりとする焔の頭を撫でてやる。

 

「・・・。」

 

「早速試射しよう。・・・と言いたいところなんだが、時間も時間だ。明日、九鬼の演習場を借りてるからそこで試そう」

 

「うむうむ!いいぞいいぞ!はぁー・・・やっと帰って来たぁ・・・」

 

「士郎、ほむの大筒に何したの?」

 

気になって問う晴だが、

 

「秘伝、だからな」

 

しーっと口に手を当てた。

 

「戻ったぞ」

 

「ただいま・・・ってみんな勢ぞろいだね」

 

居間には十勇士と風間ファミリー+沙也佳ちゃんが勢揃いしていた。

 

「おう!世話になってるぜ!」

 

「大友、大筒完成おめでとう」

 

「おめでとう」

 

「おめでとうございます!」

 

「おめでとさん!」

 

やいのやいのと持ち上げられて恥ずかしそうにする焔だが、ガション!と出来上がった大筒を背負って、

 

「大友の国崩しは不滅!なのだッ!」

 

かーっかっかっか!と高らかに笑い声をあげたのだった。

 

 

 

 

 

その日の夜は大宴会となり、

 

「流石衛宮だ。業務用炊飯器まで完備しているとは・・・」

 

「今日は人数が多い。鉢屋、残ってもいいから多めに炊いてくれ」

 

「承知」

 

「えっさ」

 

「ほいさ」

 

「士郎ー!土蔵からテーブル持ってきたぞー!」

 

「上手く置いてくれ!」

 

「「よいしょ」」

 

「今日はなんだか豪勢だな」

 

「何せ十勇士も含めての大宴会だからなぁ・・・」

 

「士郎ー!じーちゃんと鍋島さんも来るって―!」

 

「了解。春なのに暑くて良かったな」

 

流石に収まり切らぬと庭を開放して立食パーティ形式にした。

 

不思議なことに今年の春は夏並みに熱い。なにか異常気象でも起きているんだろうか?

 

「まぁなんにせよ結果オーライだな」

 

ふうと大量の料理を作って一息つく士郎。

 

「シロウ。こちらはテーブルに運んでいいですか?」

 

「ああ。それとこれとこれも今出来上がるから・・・」

 

「士郎。覇王が来てやったぞ」

 

「清楚。箸やらをテーブルに運んでくれ。水はピッチャーで用意するから」

 

「うむ。よかろう。紙皿はあったか?」

 

「それが切らしててな・・・今史文恭に買いに行ってもらってる。適当に皿を持って行ってくれ」

 

各自指示を仰いでくれるのでてんてこ舞いにならずに済む。

 

「戻った。適当に用意してきたぞ」

 

「おかえり、史文恭。って」

 

ドーン!と聳え立つ紙皿。ペラペラの白い巨塔である。

 

「こんなに使いきれないだろ・・・」

 

「なに、どうせまた宴会のようなことをするだろう?もう暑いが夏はこれからなのだからな」

 

「まぁそう言えなくもないけど・・・」

 

消耗品なのでいつかは無くなるはずである。

 

「じゃあ適当に運んでおいて。BBQコンロの方はどうだ?」

 

「もう準備万端だぜー!」

 

「いつでも行けるな」

 

その辺はレジャー担当という事でキャップ達にお願いしていた。

 

「何気なく宴会の雰囲気だが・・・」

 

「私達まで良かったのでしょうか?」

 

「いいのいいの。宴会は人数が多い方がいい」

 

「それに今日は大友さんの復活記念だろ?祝わせてくれ」

 

「卓也、本当に俺なんかでいいのか?」

 

「うん。ヨシツグは強いけど・・・僕らと同じPC好きなのには変わらないでしょ?」

 

「ああ。・・・黙っていて悪かったな」

 

「いいよ。なにか事情があるんだろうし」

 

なにやら新たな友情も芽生えているようで何よりだ。

 

「おうい、衛宮君」

 

「俺らも来たぜ」

 

「学園長、鍋島さん」

 

「衛宮。米が炊けた。そろそろ我らも行かないか?」

 

「そうだな。じゃあ台ごと縁側に運んで・・・」

 

よいしょっと鉢屋と二人で運んで、いざ。

 

「乾杯するぞー」

 

「おう!」

 

「待ってました!」

 

ジュースや酒を片手に、

 

「今日は焔の大筒完成記念と・・・二人が俺に嫁入りしてくれたってことで宴会だ。存分に食ってくれ」

 

「ヒューヒュー!」

 

「お熱いねぇ」

 

「こ、これは恥ずかしいな、晴」

 

「うん。でも嬉しいかな」

 

二人は気恥ずかしそうに言う。だが幸せそうだ。

 

「長ったらしい話は無しだ!乾杯!」

 

「「「乾杯!!」」」

 

わあっと、料理にありつく十勇士とファミリー。セイバー達も負けていない。

 

「うっわこれうま!」

 

「ぐまぐま!ぐまぐま!!」

 

「士郎の料理は外れが無いなー」

 

「御大将、この串などいい塩梅ですぞ」

 

「それは野菜が多い。こっちだ」

 

「どれもスーパーな味付けだな!」

 

「美しい銀シャリと共に頂く・・・」

 

「口説けないのは無念だが宴料理はいいものだ」

 

「龍造寺はいっつもそれや・・・」

 

「加減というものを知らないのかこの種馬は」

 

「ゴクゴク・・・ぷはぁ。酒まで準備されてるとは予想外でい」

 

「我ら大人組も居るからな。川神鉄心。一献どうだ」

 

「いただいちゃおうかの。んぐんぐ・・・ぷはぁ」

 

まさに東と西の交流の場と言えなくない光景だった。

 

「衛宮よ。感謝する。御大将を含めそれがしらがこれほど華やいだのは久方ぶりの事だ」

 

「なにも感謝することなんてないさ。みんなで一緒に飯を食えば自然と華やぐ。いつものことさ」

 

「モグモグ・・・ん?俺の酒どこ行った?」

 

「なんだこれは!随分美味い飲み物ではないか!」

 

「お、御大将!それは館長の清酒です!?」

 

「あちゃー・・・もう酒の味を覚えやがって」

 

皆は真似してはいけない。お酒は二十歳になってから。作者との約束だ。

 

その後も東と西の交流は続き、

 

「衛宮。これを」

 

毛利がメダルを差し出した。

 

「・・・いいのか?」

 

「今回の宴会、そして婚約した二人の顔。実に、実に美しい光景だった。是非受け取ってくれ」

 

「わかった。ありがとう。大事にするよ」

 

「なんや、毛利もメダル贈ったんかいな」

 

「そういう宇喜多も椎名京に贈ったと聞いたが」

 

「せや。椎名とは気が合うからな。うちからの特別な贈り物や」

 

「この調子だと・・・やはり」

 

鉢屋の言葉に遠くにいたモロにヨシツグもメダルを贈っていた。

 

「衛宮。俺からも贈らせてもらおう」

 

「龍造寺?」

 

何故彼がメダルをくれるのだろう?

 

「ハーレムを作っていると聞いた。その度胸をたたえるメダルだ」

 

「あー・・・ハーレム・・・になっちゃうか・・・」

 

何とも言えない顔をする士郎。

 

「気にするな衛宮。寝首はかかれるかもしれないが、お前はそれに値する男だ」

 

「おう。衛宮は立派な男だ。二人も幸せそうだしな」

 

「長曾我部・・・。鉢屋、寝首なんかかかれないぞ・・・?」

 

「こう言いながらハニトラにかからないのだから立派な男児よ」

 

「がっはっはっは!面白い男もいたもんだ」

 

とにもかくにもとても良い宴会となるのだった。

 

 

 

翌日。無事依頼の一つを終えた士郎は休日を利用して鉢屋の刀を鍛えていた。

 

「士郎ー!」

 

「一子じゃないか。どうした?」

 

目は鉄から逸らさず問う。

 

「お姉さまがね、遊びたいんだって」

 

「ん。分かった。切りのいいとこまでやるからもう少ししたら呼ぶって言ってくれ」

 

「わかったわー。お姉さまー!切りのいいとこまでやったら呼ぶってー!」

 

「・・・もう来てるのか」

 

わかったーという声が母屋から聞こえて士郎は仕方のない奴だなぁと思っていた。

 

「・・・。」

 

「どうした?」

 

「ねぇねぇ、見ててもいい?」

 

「構わないぞ」

 

熱した鉄を叩き、何層にも重ねて刃として形成する。

 

(焼き入れは・・・確か村正文だったな)

 

温度を解析して見ながらちょうどいい塩梅で焼き入れを行う。

 

「わあ・・・すごい」

 

「焼き入れを見たのは初めてか?」

 

「うん。あたしの薙刀の時もそこまでは見なかったから一気に蒸発するのね!」

 

「今回は水でやったけどグリスでやることもあるんだ。・・・よし後は鍛冶研ぎのみと」

 

シャ、シャと打ち上がった刃を研いでいく。今回は真剣なので切れ味も考慮しなければならない。

 

「・・・。」

 

「――――」

 

無言で研ぐ士郎を一子はじっと見ていた。

 

しばらくして。

 

「よし、完成」

 

無限と銘を切り、大事に箱に納める。

 

「これで終わり?」

 

「まだだ。鞘も特注だし柄もつけてないだろう?それはまた今度。ほら百代が待ってるんだろ?行こう」

 

そう言って外に出る。やはり春なのに気温は高かったが、鍛造所ほどではない。澄んだ風が心地よかった。

 

「遅いぞ士郎ー」

 

「悪い悪い。仕事だったんだよ。それよりよく来たな。依頼は今のとこないのか?」

 

「うん。私への依頼は高額だからな。そんなに来ることはない」

 

「今はお姉さまも指導してくれるのよ」

 

「そうなのか。百代もすっかり跡取り娘だな」

 

「まだお前に勝ててないけどな。これでも一応武神だから」

 

百代が士郎に負けてから、武神の名を降りるのかと思いきや、士郎は武神の名を頂戴しないという事で今でも武神を名乗っている。

 

それに納得がいかないと言った百代だったが、

 

「俺達、結婚するんだぞ。どっちが武神でも同じことだって」

 

という士郎の言葉で見事に撃沈。渋々名乗っているのである。

 

「そう言えばさ、キャップが面白い噂が立ってるって言ってそのままなんだが・・・百代はなにか知ってるか?」

 

「ああ、それな。一応まだ秘密だったんだ。宴会の時ジジイと鍋島館長が居たろ?だから話せなかったんだ」

 

「そういうことか。未公開の情報を得てくるキャップもすごいな」

 

ずず、と自分用に入れたお茶を飲みながら言う。

 

「それで、噂っていうのは?」

 

「えっとどこだっけ・・・そうだ!南半球にあるオニュクス王国ってところの王様が来て、川神学園の生徒と御前試合をするんだそうだ」

 

「オニュクス王国?」

 

初めて聞く名である。

 

「なんでも、今時珍しい絶対王政の国なんですって」

 

「遠坂。遠坂も知ってたのか?」

 

「知ってたもなにも、川神学園で今一番熱いニュースだからね。レオニダスに追加訓練を頼む人が続出してるって話よ」

 

「セイバーさんも剣術の指南を頼まれているそうです」

 

桜も知っているらしい。それで、このところセイバーが忙しくしていたわけだ。

 

「オニュクス王国か・・・どんな国なんだろうか」

 

士郎は絶対王政という所に懸念を覚えた。

 

・・・後に、この懸念が当たり、大事になるのはもう少し後の話。

 

 

 

 

十勇士の留学も半分を切ったことで、彼らも一層鍛錬に励んでいた。

 

「毎日毎日結構なことだな」

 

「そう言う士郎も依頼受けてるじゃない」

 

今日は放課後を使って本格的な修理依頼を受けていた。

 

「失礼します」

 

「おお来たか来たか。全く、正の奴にも困ったもんじゃい」

 

「またエアコンですか?」

 

「そうなんじゃが、今回は正の奴が気をぶつけてしまってのう・・・無理そうなら学園で新しく買うので一応見てはもらえんかのう」

 

決闘事があり、そこに鍋島館長も巻き込まれ、本気を出した結果・・・ということらしい。

 

「じーちゃん士郎に頼み過ぎよぅ・・・」

 

「わかっておるわい・・・旭ちゃんからしっかり引き継いだ直江君にまたネチネチ言われるのう・・・」

 

はぁ、とため息を吐く学園長。

 

まぁその辺は覚悟してもらおう。今回ばかりはダメもとでという話なのだから。

 

「エアコンの取り外しはしてある。この教室に行ってくれるかのう」

 

「わかりました」

 

「一子や。衛宮君の手伝いをしてやりなさい」

 

「承った!」

 

そういう事で一子も一緒にやることになった。

 

「で、これか・・・」

 

「これ天井から冷やしてくれたり温めたりしてくれる奴よね・・・」

 

川神学園には各教室に通常タイプのエアコンが多数取り付けられているが、今回は天井に羽がついている業務用の奴である。

 

「流石にこんな大きなものは初めてだな」

 

「多分このタイプだから鍋島さんも気付かなかったのね」

 

とりあえず見てみないと分からんという事で、

 

――――同調、開始(トレース・オン)

 

「んー・・・回路が焼け付いた場所が数か所・・・部品交換が数か所か・・・」

 

「今日中に終わるの?士郎」

 

「ちょっと無理だな。二日は欲しい。それ以外は何とかなる。元々ガタが来てたんだろう。そこに気をぶつけられてショートした感じだな」

 

「じーちゃんに知らせてくるわね」

 

「頼んだ。一子」

 

その後士郎は修理に明け暮れ、

 

「一子、一子」

 

「Zzz・・・」

 

一子は待てずに眠ってしまった。

 

「仕方ないな・・・」

 

一向に起きない一子を見て、士郎は彼女をそっと抱き上げて背負う。

 

コンコンコン。

 

「学園長」

 

「衛宮君か。報告は聞いておるぞ。いつ頃に直りそうじゃ?」

 

「何もなければ明日には。今日は切りよく終わったので帰ります」

 

「一子も眠ってしまってすまんのう」

 

「いえ、今日は・・・いえ、今日も元気に手伝ってくれましたから」

 

正直、彼女が手伝えたことはそう多くない。けれど、どんな時も一子は一生懸命に手伝ってくれた。

 

「モモ、モモ!おらんかのう」

 

「来たぞジジイ」

 

「今のでよく来たな」

 

「これも士郎の技の発展形だ。ワン子を連れて帰ればいいんだろう?」

 

「うむ。わしはまだ仕事があるでのう」

 

「それじゃ・・・」

 

「・・・嫌」

 

「一子?」

 

「Zzz・・・」

 

「寝言か」

 

「・・・仕方ない私が士郎の荷物を持とう。特別だぞ?」

 

「あ、百代・・・」

 

そう言って足早に出て行った百代を追って士郎は問う。

 

「今日は何してたんだ?」

 

「ん?訓練生の相手。ジジイが居ない間は基本私が見てる」

 

「・・・また物騒な師範が居たもんだ」

 

クック、と笑う士郎。百代は拗ねたように、

 

「この荷物、捨てちゃおうかな」

 

「おい」

 

あはは、と互いに笑って帰路に着く。

 

「ワン子は活躍したか?」

 

「もちろん。いるだけで元気を貰えるよ」

 

「元気っこだからな」

 

さら、と百代は一子の髪を撫でて、

 

「士郎はさ。ワン子のことどう思ってる?」

 

「どうって?」

 

「その、女の子として」

 

「・・・。」

 

士郎は沈黙してしまった。

 

「そうだな・・・この子が傍に居たらいつも笑顔でいられそうだな」

 

「む。無難な回答だな」

 

「だって俺たちの妹になるんだぞ?なにも思わない訳が・・・」

 

「ワン子は多分、そう思ってないぞ」

 

「・・・どういうことだ?」

 

百代は少し迷った素振りを見せる。

 

と、

 

「・・・(ぎゅっ)」

 

「ん?一子?」

 

「Zzz・・・」

 

「なんだ寝返りうとうとしたのか?」

 

「ワン子はさ。多分お前の事が好きになったんだよ」

 

「え?」

 

百代の言葉に士郎は思考が真っ白になった。

 

「必死になって否定するけどさ。多分男の人の所に行くなら士郎以外考えられないと思ってる」

 

百代の脳裏を過るのは士郎のいない時の一子。

 

 

 

『お姉さま!士郎がね・・・』

 

 

 

『士郎ってばまた・・・』

 

 

 

『士郎が――――』

 

 

士郎が、と。繰り返す妹に百代はいらぬお節介を焼きたくなった。

 

「いっつもお前の事を話すんだ。士郎が、士郎が、って」

 

「・・・。」

 

「元々は私を焚きつけるつもりだったんだと思う。でも今は――――」

 

「一子が・・・か」

 

思えば彼女との一年間は他の誰よりも濃密だったかもしれない。

 

ファミリーになる前から彼女とは師弟の間柄だった。

 

『士郎!こうしたいんだけど・・・』

 

『ダメ。オーバーワークだ。自分を信じろ。一子は確実に一歩を進んでる』

 

『士郎!クリがね・・・』

 

『そりゃまた難儀な・・・』

 

『士郎ー・・・』

 

『なんだいつになく落ち込んでるじゃないか』

 

「・・・。」

 

「な?心当たりないか?」

 

「・・・。」

 

「Zzz・・・(きゅっ)」

 

「一子、起きてるんだろ?」

 

「・・・うあう」

 

小さな悲鳴を上げて一子は士郎の背中に抱き着いた。

 

「ほらワン子。お前も正直に、な?」

 

「・・・。」

 

「・・・あたしね。九鬼君に言ったの。武の道を歩くから九鬼君とは付き合えないって」

 

「・・・。」

 

「でも、士郎の事、考えること多くなって行って。それもお姉さまの為だって思ってたけど」

 

「ワン子・・・」

 

「やっぱり、ダメかなぁ・・・?妹じゃなくて、師弟じゃなくて。旦那様と奥様じゃダメかなぁ・・・?」

 

「・・・。」

 

「士郎・・・」

 

士郎は大事に大事に言葉を探して言った。

 

「ああ、きっと一子が一緒なら――――」

 

このお日様のような子が居れば。自分はもう間違わないのではないかと、そう思った。

 

 

 

 

 

「えへへ・・・」

 

ニコニコと照れ笑う一子に士郎は苦笑。

 

「でもどうするんだ?揚羽に言わないといけないだろう?」

 

「ガクガクブルブル、ガクガクブルブル」

 

「大丈夫だよ。私がもう言っといた」

 

「「え」」

 

「だから言ったろう?分かりやすかったんだって。気付かなかったのは士郎とワン子だけだぞ?」

 

「その、他のみんなも?」

 

「どうかな。私はすぐに分かったけど、気づいてる奴はいるんじゃないかな」

 

 

 

 

「へっくち」

 

「なんだ京。風邪か?」

 

「ううん。・・・多分フラグ回収したんだと思う」

 

「フラグ?」

 

「そんなことよりあなたー♪」

 

「うわぁ!?」

 

 

 

「・・・なんかイラっと来た」

 

「奇遇だな。私もだ」

 

はぁ、とため息を吐いて、

 

「ほら一子。着いたぞ」

 

「むむむ・・・チラ」

 

「・・・(バッテン)」

 

「・・・(涙目)」

 

「なにやってるんだよ。また明日学校で、な?」

 

「そこはお前、ぐへへ・・・姉妹丼にあぶぶ・・・」

 

「う、うん!また明日ね!」

 

「もがもが・・・」

 

「ああ、また明日」

 

危ないことを口走りそうになった百代を一子が止めて先を促した。

 

 

 

――――interlude――――

 

「もう!お姉さまったら・・・」

 

先ほどの事を思い出して顔を赤くしてブンブンと頭を振る一子。

 

「ひゃー・・・恥ずかしい」

 

百代にバラされたこともだが、自分自身が気づいていないのが本当に恥ずかしかった。

 

「でも・・・」

 

『士郎ー!』

 

『ん?』

 

また明日もお話できる。自分の気持ちを認めた今ならまた違う明日が見られると思って。

 

「おやすみなさいっ」

 

パチンと明かりを落とすのだった。

 

 

――――interlude out――――

 




はい。長くなりましたがこんな感じです。晴ちゃんは随分と前にハートをぎゅっとされていたのでした。

新年あけてました!今年もよろしくお願いします。色々言いたいこともありますがまずは一言。次回100話です。もうね、何だろうね…万感の思いです。あんなに拙かった、お世辞にもうまいとは言えない作者の作品が100回も投稿できていることになんだかホッとしています。いつも感想をくれる方々。本当にありがとうございます!

誤字報告もありがたく拝見しております。いやーホント申し訳ない。今回も沢山の春ちゃん直さないと・・・前のあとがきでああは言いましたが、いつもはホントにありがたく思っていますので見つけた際にはズズイっと誤字報告してくだされば助かります。

今年も色々書ければいいなと思っていますのでよろしくお願いいたします!
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