ホロライブオルタナティブ~彗星に捧げる星詠みの詩~ 作:星夜見流星
「もう二度とあんな思いはしたくねぇ!」
俺が放ったその言葉は嘘偽りはなく俺自身の本心だった。
別に漫画やアニメに出てくる正義の味方になりたいわけじゃない。
ただあの日を境に俺の人生は狂いだし、両親を殺した奴に復讐する為に力を欲した。
師匠に拾われ弟子入りして魔術師の世界でも上位に入るレベルの力は手に入れた…つもりだった。
力を得る事で捨てなきゃいけないものがあった事に気付けなかった俺は馬鹿だと散々自分を責めてきた。
任務や依頼をこなし成果をあげれば周りから期待や信頼を得る代わりにそれ以上に俺という力を恐れる者が現れ、俺は一人孤独に戦場に向かう。
それ故に付けられた二つ名は『孤高の翼』
そして何よりこの業界で力を得るという事はもう普通の人間ではない事を意味する。そりゃあそうだろう、こんな一瞬で人を殺せる力をいくらでも振るえる奴がただの人間でいられる訳がない。言うなれば破壊者と言っていいだろう。
だから俺は出来る限り学校では人と親しくしなかった。まぁ冷たくあしらっても懲りずに絡んでくる奴もいるがそれが俺にとって数少ない救いな気がする。
その救いの中には今後ろにいる少女も入っている。
最初に聴いたのは偶々街に出かけた時に立ち寄った店で流れていた時だったか。その時の彼女はまだ駆け出しもいいところだったが何か惹かれるものがあったのか聴き惚れてしまった。その後中学生になってからはなんの偶然か同じ学校になりクラスも一緒で早一年以上。気がつけば彼女はトップアイドルにまでなっていたが俺は変わらず破壊者のままだった。
そんな世界に必要とされている彼女が今命を狙われているのなら世界に必要ない俺が命を落としてでも守ったって誰も文句は言うまい。
「行くぞ…《我が魂は焔の如く、我が意志に歯向かう敵を殲滅せよ!》」
前に師匠が毎回派手に開戦するのは自分の闘争心を奮い立たせる為だと言っていた。それを参考に作った魔術がこれである。
この魔術に名称は無く、ただ対象の周りに多数の魔法陣を展開しそれら全てから炎の柱を出現させて対象の頭上に爆破特化の魔法陣を設置し起爆する。
「さーて普通の魔物なら黒焦げだが」
とてつもなく大きな爆音が鳴り響き爆発するのを眺めていると爆炎の中から黒い影が姿を現した。
「おいおい、ノーダメージかよ」
炎の中から現れたターゲットは爆炎を物ともせずその大きな巨体を現しその身体には目立った外傷はなく無傷と言っていいほどだった。
「これでも俺の持ちうる中で火力は高い方なんだがな」
(やっぱり近接戦しかないか)
かなり危険な択だが他に選択肢がない以上仕方がないのでポケットから残り二つの匣をリングを使って開ける。
中から出てくるのは二刀一組の戦斧と双剣。戦斧は連結させ薙刀状にする事で少しでも間合いを長くし双剣は魔力制御で空中に浮かせいつでも飛ばせる様に待機させておく。
(少しでも止まったら死ぬな)
今までの戦闘経験で相手を見ればなんとなく相手がどれぐらいのレベルかわかるがこのキマイラからは歴戦の圧を感じる。
(覚悟はとっくにできてる…なら)
「戦いながら対応するまで!」
彼がキマイラと戦い始めてから私は指示通り少し離れた場所に隠れて見守っていた。
彼の魔術?による爆破音や硬い物がぶつかり合う音が聞こえてくる中ただただ自分は無力だと思い知らされる。でもここで私が飛び出したところで足手纏いになるのも、それで二人揃って死ぬ事もわかりきっているからこそ今はここで待つ事が今の私にできる最善策だった。
これがゲームなら何かできるのだろうが生憎現実の出来事である為戦えてる彼がすごいのであって私が普通なのだろう。
時間が経てば経つほど戦闘は激しくなっていき、ぎりぎり目で追えるぐらいの速さで戦っている一人の人間と一体の魔物。
この僅かな時間でも両者共に只者ではない事は素人である私から見ても一目瞭然だった。
さっきから互いに攻撃してはかわすかいなすかして致命傷を避けるという一連の流れを繰り返しているのだが段々と攻撃する速度が上がっているのだ。
「すごい…」
私はただただそう言うしかなかった。
やっぱりこいつただのキマイラじゃねぇな。さっきから攻撃速度上げ続けてるのに余裕でついてきてやがる。
薙刀で休みなく連続攻撃をして隙をつく様に死角から設置魔術と遠隔操作の双剣で仕掛けているが全て避けられて一向に決定打が作れない。
このまま長期戦になれば体力と魔力量の差で先にこっちがバテてしまうのは目に見えていた。
(一か八か全魔力を使って勝負を決めに行くしかないか)
一瞬だけ思考を巡らし考えていると頭上から考える暇は与えないと言わんばかりにキマイラの右手が振り下ろされそれを薙刀を使い受け止める。
(チッ、考える暇は与えないってか!)
あまりの力に膝をついてしまうがもうこうなってしまった以上やるしかないと行動に移す為に薙刀から手を離し瞬時に後ろに飛ぶと同時に大アルカナである戦車と世界を取り出し二枚のカードを重ね魔術詠唱の時間を稼ぐ為予めキマイラの周りに設置しておいた魔法陣から火柱を出す。
「《我は神を斬獲せし者 我は始原の祖と終を知る者 素は摂理の円環へと帰還せよ 五素より成りし物は五素に 象と理を紡ぐ縁は乖離すべし いざ森羅の万象は須らく此処に散滅せよ 遙かな虚無の果てに》!」
やたら長い詠唱を終えると重ねたカードを中心に巨大な魔法陣が出現し
ありとあらゆる物を分解消滅させ今使える最大火力であるその魔術の名を叫ぶ。
「消し飛べ!イクスティンクション・レイ!」
前に暇な時に読んだ本に出てきたのを興味本位で作ったのはいいが出来るだけ同じ物を作った結果威力は抜群なのだがあまりにも消耗が激しく極力使うのを避けていたが出し惜しみなんてしていられない。
魔法陣から放たれた光は全てを飲み込みキマイラに向け直進していく。
対するキマイラは少しの予備動作をすると光に飲み込まれていった。
魔術発動の反動で身体の力が抜け崩れ落ちそうになるが直ぐに立ち直り正面を見ると砂煙が舞っていてよく見えないが生き物の気配はしなかった。
「ふぅ…ざっとこんなもんか」
一息ついて先程までキマイラがいた場所まで歩き出すと隠れていた星街が飛び出してこちらに向かって叫んでくる。
「焔君上!」
「上?…っ!?」
言われた通り上を見上げれば空高く見えるは謎の影、いやキマイラの姿が。
「マズッ!」
踏み潰そうと真上に降ってくるキマイラをバックジャンプで避けると奴はそれを見逃さず尻尾を使い殴りかかってくる。
「ガハッ!?」
腹部を殴られた事で身体の空気が抜け木々の方に吹き飛ばされて木に激突すると衝撃と痛みで一瞬意識が飛びそうになるがなんとか意識を繋ぎ止める。
「いった…ヤッベ!」
顔を上げたとたん目の前にはトドメを刺そうと飛び掛かって来るキマイラがいた。
こちらも身体を動かそうとするが魔術を使った反動と今のダメージで上手く力が入らず動けなかった。
(動け!動けよ俺の身体!)
自分に言い聞かせ動かそうとするが身体は言うことを聞かずピクリともしない。
(俺はここで終わるのか…)
自分の死を悟り目を瞑る。そして考えたのは元々生きる事に執着もない俺には丁度いいのかも知れないという事だった。
(師匠…すみません)
最後にこんな自分を拾ってくれた師匠に心の中で謝ると突然聞き慣れた銃声が鳴り響きキマイラは音の鳴った方に身体を向けた。
「焔君!」
目を開けると右手に銃を持って走ってくる星街の姿があった。
「目瞑って!」
左手に渡した閃光弾を持ちそれを放り投げるのが見え急いで目を瞑ると直ぐに爆発音が聞こえ起爆した事がわかる。
爆発音に紛れてキマイラが悲鳴をあげたのが聞こえたから恐らくは効き目があったのだろう。
「焔君無事?!」
再び目を開けると目の前には駆け寄ってきた星街の姿があり身体を支えて立たせようとしてくる。
「バカッ!なんで出てきた!」
「当たり前でしょ!目の前で殺されそうなのを見過ごせって言うの?!」
何故危険を犯してまでこちらに来たかを聞くと正論で返されてしまい何も言えなかった。
身体を支えてもらいやっと立つ事ができると彼女は「逃げるよ」と言ってきてまともに動けない俺は従うしかなかった。
ということでロクでなし魔術講師と禁忌教典からイクスティンクション・レイでした。詠唱が好きなのでどうしても出したかったんですよね。
遅くなりましたが詠唱はロクアカなどを参考にさせていただいてます。
そしてホロライブ3rdフェスお疲れ様でした。とても素晴らしい配信でしたので来年も開催される事を楽しみにしております。
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