ホロライブオルタナティブ~彗星に捧げる星詠みの詩~ 作:星夜見流星
「とりあえずは追ってきてないみたい」
星街に連れられ再度森の中に逃げた俺達は座って身体を休めていた。
徐々に身体の力は入るようになってきているがそれでも本調子とは言えない。
そして気になった事があるので周りを警戒してくれてる彼女に一つ聞いてみる事にする。
「なぁ…一つ聞いていいか」
「何?」
「なんで死ぬかも知れないのに助けにきた」
自分が死ぬかも知れない状況下で、ましてや渡した護身用の武器を使ってまで彼女は俺を助けにきた。
いくら同じ学校のクラスメイトだからと言ってそこまでする義理はないはずだ。
「しいて言えばキミと一緒かな」
「俺と?」
「『誰も失いたくない』、それはキミだけじゃなくて私もそうだから。目の前で人が死ぬのなんて見てられない、そう思ったら身体が動いてただけ。ほら、傷見せて」
そう言って星街は上着の袖を捲ってくる。
「傷が多い…。どうしよう、今手当てできる物持ってないんだよね…」
自分のバッグの中を見ながら困っている星街に「心配すんな」と言ってまた回復魔術を唱えようとするが一つ問題があった。
「魔力がねぇ…」
さっきの戦闘で魔力を使い過ぎて枯渇状態だった。
するとそれを聞いたすいせいが一瞬何かを思いついた様な仕草をすると尋ねてくる。
「ねぇ、それって私じゃ使えないの?」
「使うって、そんな素人が使える様な魔術じゃ…」
「少しでも可能性があるならやってみる価値はあるんじゃない?」
確かに言っている事は一理あるが回復系の魔術は初歩的な物でも難易度が高く早くても半年はかかる。それを今日初めて触った彼女が使えるとは思えないが彼女の眼は真っ直ぐにこちらを捉えていた。
「まぁやるだけならただか」
「なら急ご」
キマイラが来る前にと急かす星街に回復魔術の詠唱とコツを軽く説明し始める。
「まず対象の身体に触れるか回復させたい傷に触れないぐらいの位置に手を翳して頭の中で傷つく前の状態をイメージする」
星街は俺の左手を自分の右手で握りイメージする為に目を瞑った。
「イメージが出来たら後は《力無き者に癒しの風を》って唱えるだけだ」
「スゥ、《力無き者に癒しの風を》」
星街が詠唱すると彼女の手が淡い黄緑色に光り輝き発動した事がわかる。
「初めてなのに発動するってまじかよ」
「どう?私も少しは役に立つでしょ?」
「少しはってか…」
誇らしげに笑みを浮かべる星街を見てから彼女の手に視線を落とす。
発動を意味する黄緑色の光は彼女の手から俺の身体に渡り傷を癒していく。
そして誤算だったのがもう一つ。
(魔力が回復してく?)
俺が教えた魔術はただ身体を活性化させる事で傷を治すだけの筈なのだが何故か魔力まで回復していた。
(もしかして魔術特性か?だとしたらこいつの属性は…)
「ん?どうかした?」
考えていた事に気づいた星街が首を傾げるが「なんでもない」と答え自分の右手に力を入れて状態を確認する。
「力は戻ったな、魔術も問題なさそうだ」
一瞬だけ右手に炎を出して直ぐに消すとそれを見ていた星街が尋ねてくる。
「ねぇ、キミの炎少し黒くなってない?」
「ん、嗚呼これか。どうせ出し惜しみしてる場合じゃないって思ってたし見せてやるよ」
「少し離れてろ」と言い星街が離れたのを確認してから自分にかかった枷を外す。
「《術式反転 我は深淵に触れし者 我は終を告げる者 我は全ての闇を受け入れよう》」
俺の身体を中心に巨大な赤色に輝く魔法陣が出現するとその色が赤から黒に染まりそのまま消えていく。
そして右手で炎を出すとその色は完全に黒くなっていた。
「完全に黒くなってるんだけど!?」
「説明は後でしてやるよ。それより今ので俺達の居場所もバレたしアイツが来るぞ」
「えっ!?」
俺がそう言った途端遠くからキマイラの遠吠えが聞こえた。
「ほらきた」
「そんな呑気にしてる場合!?」
キマイラが来る事がわかり慌てる星街。
だが今は断言できる事がある。
「呑気ってかもう
「行くって…本気で言ってる?」
「当たり前だろ。あとお前はここで待ってろ」
俺が
「私も行く」
「…ハァ、どうせ止めても走って追いかけて来るんだろ?」
今までの行動とさっき言っていた事が本当ならどうせ着いて来るのは目に見えており、相変わらずその綺麗な瞳で何かを決意した眼差しを向けてこちらを見ている彼女にダメだとは言えなかった。
「危なくなったら今度こそ逃げる事。それが守れるなら着いてきてもいい」
あっさり許可した事が意外だったのか言われた本人はきょとんとした顔をしたが直ぐ元に戻り頷く。
「うん、約束する」
「それじゃあ行くか」
星街を連れ改めて
「星街、お前は下がってろ」
「焔君、気をつけて」
それだけ言い残して彼女は後ろの方に駆けていく。
(まさかこんな風に師匠以外に心配される日が来るなんてな)
「さて、第二ラウンドと行こうか。今度こそ出し惜しみはしねぇ」
匣から戦斧を出し、いつもは薙刀状に連結させているが力を解放させた今は違う。
連結させた形状は両剣でありこの武器本来の姿。
その両剣を大きく薙ぎ払うと同時に刃から黒い斬撃波が放たれる。
「《デスサイズ》」
高速で飛んでいくその斬撃は一直線にキマイラに向かう。
しかしキマイラも簡単にやられるわけもなくその場で跳躍する事で回避するが避けられる事は読めていた。
「逃がさねぇよ、《黒の呪縛》」
跳躍したキマイラの真上に黒い円盤の様なものが出現するや否やキマイラの巨体は地面に叩きつけられる。
《黒の呪縛》対象の付近に特殊な魔法陣を形成し任意の方向に向けて重力を発生させる拘束魔術。
「こいつはちょっとやそっとじゃ逃げられねえよ。チェックメイトだ」
なんとか立っているキマイラに今度こそとどめを刺す為両剣を
構えるとキマイラの尻尾が真上に勢いよく伸び、それが重力を発生させていた魔法陣に突き刺さると亀裂が入り粉々に砕け散っていく。
「あれの影響下でも動けんのか、そうなると抑えるのは無理だな。
自分の目の前に
「読めてんだよ!」
尻尾を避けて後ろ足に斬りかかる。
「オラァ!」
両剣を薙ぎ払い急いで離脱して体制を立て直す。手応えはあったが避けられたらしく掠っただけだったがそれでもダメージが入っただけマシだろう。
奴に反撃の隙を与えないようにすぐさま両剣をブーメランの様に投げて匣を取り出し中から双剣を出す。
双剣は空中に浮かせ遠隔操作でキマイラに攻撃をさせその隙に魔術を発動させる。
「《
自分の周りに黒い魔力で出来た無数の弾丸が現れたのを確認して次の工程に移る。
「《ブラックストーム》」
魔術の名を呟くと何処からともなく風が吹き始めキマイラを囲む様に黒い竜巻が発生しその勢いはどんどん増していく。
「最後の仕上げだ」パチンッ
指を鳴らすと弾丸が射出され竜巻の中に入りその風力も合わさり弾の速度も加速していく。
弾丸は竜巻内で縦横無尽に駆け巡りキマイラにダメージを与えていきしばらくすると竜巻が収まり中にいたキマイラが姿を現す。
「あれくらってまだ生きてんのか。なら俺の手で引導を渡してやる」
立つ事もままならなくなり威嚇するキマイラに近づき両剣を振り上げる。
「じゃあな。久しぶりに本気で戦えて楽しかったよ」
両剣を振り下ろしキマイラの身体を斬り裂こうとしたその瞬間。
「焔君ストップ!」
背後から聞こえた事に呼び止められ、俺の両剣は既の所で止まった。
「急にどうした?」
声がした方を見てみると呼び止めた人物である星街が立っておりよく見えないがその背後に何かいるのがわかる。
「そのキマイラ殺さないであげて。その子には子供がいるの」
そう言った彼女の傍を抜けて小さいキマイラが俺を無視し目の前にいるキマイラに駆け寄って行く。
「殺すなって言われてもこいつを野放しに出来ないだろ」
「だから…なんとかならない?」
俺はどうしてもと言う彼女の願いを聞き入れる為武器を下ろす。
「《力無き者に癒しの風を》」
目の前で倒れているキマイラに回復魔術を使い本来はこの場所にないはずのものに干渉する。
「次元干渉 《
(本来こんな所に魔界と繋がるゲートなんてないはずだが一体誰が…)
この場所に来てからというもの変な違和感を感じながら戦っていたが力を解放させた事ではっきりと感知できる様になりこのキマイラ達が通ってきたであろうゲートを見つけた。
「ここを通れば元いた場所に帰れる。もう迷い込むなよ」
そう言うとキマイラは立ち上がり子供を連れてゲートを潜り去って行く。
去り際に一瞬だけこちらを見た気がしたが気のせいだろう。
「ハァ、これでこの依頼は達成か。割に合わない仕事だったな」
「無理言ってごめん」
「別に謝るほどじゃねえよ。始末書は書かされるだろうけどな」
近づき謝って来る星街に苦笑いで返し背伸びをする。
「んー、流石に疲れたな。星街もこんな事に巻き込んでごめん」
「私は守ってもらってたし別にいいって」
「それ言ったら俺だって…いや、これ以上言っても終わらないか」
俺はこれ以上言ってもお互いに納得しない事を察して話を切り上げる。
「さて、仕事も終わったし帰るか。今度こそ送ってくよ」
「それじゃあお言葉に甘えて送ってもらおうかな」
「任せとk、あれ?なんか身体がふらついて…」
急に身体から力が抜けてバランスを崩し地面に倒れ込む。
必死に呼び掛ける星街の声が聞こえるがどんどん瞼が重くなり俺はそこで意識を手放した。
あくたんのこと好きすぎソング入ってなかったのが意外でしたけどほかのホロメンの曲思いっきり歌ったので満足しました。
すいちゃんのキャラ崩壊について
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