ホロライブオルタナティブ~彗星に捧げる星詠みの詩~   作:星夜見流星

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にじほろ古戦場が楽しみです。
まあこっちも走らないといけないんですけどね…。


stardustmemory〜宿泊の記憶II〜

「ふわぁ、今何時だ?。ん?もう十時過ぎじゃん」

 

時計を見れば時間は十時三十分。

いつもはまともに寝れてないが今日は数年ぶりによく眠れた気がする。

こんなに眠れるようなことなんかやっただろうか。

 

「そういえば昨日は星街が泊まって…ん?」

 

昨日のことを思い出していると左腕に謎の違和感を感じる。

そう、まるで何かに抱きしめられてるような。

まさかなと思い布団の中を覗くと。

 

「なんで俺のベッドにいるんだ?」

 

そこには髪をおろして水色のパジャマに身を包んだ星街が左腕を抱きしめてすやすや眠っていた。

 

(考えろ昨日寝る前は確かに俺しかいなかった。つまり俺が寝た後に潜り込んだわけで俺は悪くないし何もやってない、というかこの状況はすごくまずいのでは?。第一俺が寝てる間に一体何があった?)

 

寝起きの頭をフル回転させ今の状況を整理するがわからないことが多すぎる。

 

「ん…」

 

寝返りをうち気持ちよさそうに眠っている星街を見てると起こすのも悪いしどうしたものか。

 

「…とりあえず引き剥がすか」

 

何もわからない状態で考えても仕方ないしなにより当たってはいけないものが左腕に当たっている為さっさと星街を引き離すことにする。

起きないように少しずつゆっくりと抱きついている腕を動かしていき引き離していく。

 

(あと少し…)

 

彼女の左手を持ち上げ慎重に左腕を引き抜いていき、ようやく抜けたと思ったその時。

 

「んん…?」

 

左腕を抜いたことで違和感を感じたのか星街が起きてしまった。

 

「お、おはよう」

 

「おあよ〜ってなんで焔君がいるの〜?」

 

「いやそれはこっちの台詞だよ」

 

寝ぼけているのか眠そうに目元を擦りながら欠伸をする星街は急に「あっ」と言って話し始める。

 

「そういえば寝れなくてこっちに来た後そのまま寝ちゃったんだった」

 

「いや来た後何があったし!?」

 

「まあそんなことは置いといて」

 

一番聞きたかった部分が曖昧すぎて思わず勢いよくツッコんでしまうが星街は気にせず話を続けた。

 

「焔君はこの後用事ある?」

 

「用事?。特にこれといった用事はないけど」

 

「じゃあさ、少し付き合ってよ」

 

 

 

 

 

場所は変わって街にあるショッピングモール。

俺は星街に連れられ色んな店を回っていた。そして今は新しい服が欲しいとのことでアパレルショップに来ている。

 

「ねぇ焔君。これとこれならどっちがいい?」

 

両手に一着ずつ服を持って聞いてくる星街に「右の方がいいんじゃないか?」と言うと「うーん」と悩み出す。

ちなみに星街が右手に持っているのは真っ白のワンピースで如何にも女の子といった感じのデザインがされている。

 

「やっぱりこっちかぁ。でもこっちもかわいいんだよなぁ」

 

星街はしばらく悩み俺に意見を聞きながら考えると答えが出たのか「決めた」と言ってこちらを見る。

 

「どっちも買う」

 

「どっちもって、だいぶ買ってるけど大丈夫なのか?」

 

ここに来るまでにかなりの数を買っているが流石の売れっ子アイドルといえどそろそろきついはずだ。

実際目の前にいる本人が「うぐっ…」と言っているのがいい証拠だし。

 

「全くしょうがないな。俺が払ってやるよ」

 

「え!?悪いからいいよ!それに結構高いし…」

 

そう言う彼女から服を奪い取りついているタグを見るとワンピースは四桁後半、もう片方は五桁を超えたぐらいの値段だった。

確かに普通の中学生が買うにはかなりのお値段だが生憎俺は普通の学生ではない。

 

「確かに思ってたよりは高いけど全然払えるな」

 

仕事柄短期間で高額な物を大量に買うことがある俺には師匠経由で限度額なしのカードが持たされている。

それに受けた依頼の報酬で余った分は貯金してるし何も問題はない。

 

「金なんて使わなきゃ意味ないし殆ど仕事でしか使わない俺よりお前に買ってやったほうがいいだろ。だから気にすんな」

 

最初は遠慮していた星街も説得で折れたのか「そ、それじゃあ…お言葉に甘えて」と言い許可も出たのでこの際だから追加で二着ほど選ばせて会計をして店を出ると星街は服の入った袋を持って心配そうに尋ねてくる。

 

「本当によかったの?」

 

「なにが?」

 

「なにがって、追加で買った分かなりの金額になったでしょ?」

 

星街が言ってくるのは恐らくだが追加分で五桁半ばぐらいになったからだろう。

やはり気にするなと言っても彼女が気にしてしまうのは仕方がないか。

 

「だから気にすんなって、日頃頑張ってるお前に俺からのプレゼントだと思ってくれればいいから」

 

「じゃあいつか必ず同じくらいの物返すから!」

 

宣言する星街に「楽しみにしてるよ」と言って移動する為に歩き出すと彼女もついてくる。

 

「そういえば今日も泊まってくのか?」

 

「うん、明日からお仕事あるし今日までは泊まってこうかな」

 

「ならついでに夕飯の買い物も済ませとくか」

 

俺は星街に「なんかリクエストあるか?」と聞くと彼女は唐突に「その言葉そっくりそのままお返しするよ」と言われて予想してなかった言葉に「は?」と声が出てしまう。

 

「昨日作ってもらったし今日は私が作るから」

 

「作るってお前料理でき…たんだったな。すっかり忘れてたわ」

 

今思い返せば二人きりの時は話した事がなかったが配信で料理ができる事は言っていた気がする。

問題はお菓子ぐらいしか聞いた事がないから何が作れるか分からないところだが。

 

「ちなみになんでもいいって言ったら?」

 

「それが一番困るけど気分的にはオムライスあたりかな」

 

「じゃあそれで」

 

間違いなく下手に俺が決めるより本人が決めたほうが作りやすいだろう。

 

「…もしかして面倒くさいって思ってる?」

 

「そんなわけないだろ。ただ俺が決めるよりそっちが決めたほうがいいだろうなって思っただけだ」

 

それを聞いた星街は「フーン」と言いながら疑いの眼差しを向けながら俺を見つめてくる。

一般のファンからすればこんな至近距離で推しに見つめられれば心臓に悪いだろうがお生憎様半年以上近くで見てきた俺にとっては慣れ親しんだ顔だ。

 

「まあいっか。焔君が読めないのはいつものことだし」

 

「それは褒め言葉として受け取っていいのか?」

 

「どうだろうね〜」

 

顔を離してはぐらかす星街を問い詰めたくなるが場所が場所なので今は我慢する。

 

「それより早く行かない?急がないと暗くなっちゃうし」

 

そんなことを知らない星街に腕を掴まれ走り出す。

スーパーに着き買い物が終わった頃にはすっかり夜になっていたのは言うまでもない。




少し前に新しく外伝の一つをあげたのでよろしければそちらの方も宜しくお願いします。

すいちゃんのキャラ崩壊について

  • 流石にし過ぎ
  • いいぞもっとやれ

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