ホロライブオルタナティブ~彗星に捧げる星詠みの詩~ 作:星夜見流星
時間軸は本編開始後の未来で二人が付き合い始めた後のお話になります
Merry Xmas
外の景色はすでに暗く窓ガラスの外を見れば男女二人組で歩いている人が多く、いかにもカップルですと言わんばかりにいちゃついてるのが見える。
「クリスマスイブ…か」
世間はクリスマスイブということもありクリスマスデート真っ最中のカップル達が闊歩するなか鏡華はすいせいの所属する事務所の二階にある一室で書類仕事をしながら窓の外を眺めていた。
「んー、今年も後一週間かぁ。早いもんだな」
背伸びをしてそう言いながら広げている書類の傍らには自分のスマホが置いてあり、その画面にはサンタ衣装に身を包み後輩二人と楽しそうにライブをしているすいせいの姿があった。
「あっちも頑張ってるしこっちも頑張るか」
かれこれ1時間以上書類と向き合っている鏡華は画面に映っているすいせいを見てそう思い書類を手に取り書類の内容を確認していく。その内容は来年分の契約更新だったりすいせいの仕事に関するものだったりと色々含まれているのだが自分が望んでやっている事なので苦ではなかった。何よりこの仕事をする事で画面の向こうで満面の笑みを浮かべファンサービスしている彼女が喜ぶのなら本望である。
「もうすぐ二十時か」
壁に掛けてある時計を見ると小さい針が八を指そうとしていた。
「あっちも終わりそうだしこっちもさっさと終わらせますか」
鏡華は自分のパートナーとの約束を果たすべく手元にある資料に視線を戻し作業を再開する。
そう、ライブが終わり準備が出来次第すぐに鏡華もすいせいと出かけるのである。事の発端は数日前に遡る。
「ねぇ、鏡君。二十四日って予定ある?」
自宅のリビングにあるソファに座り、スマホを操作しながらのんびりしていた鏡華にすいせいはマグカップを二つ持ちソファに向かいながら言った。
「二十四日?確か何もなかった筈だけど」
自分の隣にきて二つのカップをテーブルに置き、ソファに座るとカップを一つ差し出してくる彼女に「ありがとう」と礼を言う。
「じゃあさ、どっか出かけない?」
「出かけるって、お前その日にライブじゃなかったっけ?」
「ライブが終わったらどっかいこ?」
「えぇ…」
急に予定を決めるのは今に始まった事ではないがいくらなんでもライブの後すぐに行くのは彼女がもたないのでは?と思う鏡華。
「なに?嫌なの?」
「嫌じゃないけどライブ直後で体力持つか?」
「もしかしてすいちゃんの体力舐めてる?」
「逆に聞くけど行ける自信ある?」
「ある」
真顔できっぱりと言ってくるすいせいを見て鏡華も折れたらしく了承する事にする。
「はぁ…そこまで言うならわかったよ。予定空けとけばいいんだろ?」
「うむ、よろしい」
「それで?何処か行きたい所でもあるのか?」
鏡華が行き先を尋ねるとすいせいは笑って答えてくる。
「ふふん、それはね?」
「まさか自分の所属事務所が設置したツリーを見に行きたいとは」
すいせいが提案したのは事務所が駅前広場に設置したツリーを一緒に見に行く事だった。てっきりいつもみたいに買い物に行くのかと思っていた鏡華は予想外の回答にびっくりしたが流石の彼女もライブ後に買い物は行きたくないらしく満面の笑みで買い物は次の日に行くと言われた。
「デートしたいならデートしたいってはっきり言えばいいのに」
肝心なところで素直になれないのはお互い様なのだがデート自体は鏡華も満更ではない為誘われた時は嬉しかった。それもあってかこうして早めに事務所に来て書類を片付けながらすいせい達のライブが終わるのを待っているのである。
そんな事を考えていたら部屋の扉がガチャリと開き画面の向こう側で楽しそうにしていた三人が入ってくる。
「たっだいまー!」
「あー疲れた」
扉が開き白のサンタ衣装に身を包んだ金髪と紫髪の二人が先に入って来てその後ろからすいせいも入ってくる。
「あ、鏡君来てたんだ」
「あ、本当だ!焔先輩やっほー!」
金髪の少女はすいせいが言ったのを聞き鏡華の方を見るや否や手を振って声をかける。
「おーすねね、相変わらず元気そうだな」
「まーねぇー」
鏡華と話している金髪元気っ子は桃鈴ねね、自称宇宙人らしいがどこからどう見ても地球人にしか見えない。
「トワもお疲れ様」
「よーっす」
もう体力が残っていないのか今にも倒れそうな声で返してくるのは種族は悪魔なのに天使の様な内面を持つ常闇トワである。
「ん?なんか今変な事考えてなかった?」
「いや、トワ様は天使だなーって」
「おいコラ、悪魔だっつってんだろ」
鏡華はトワといつも通り定番ネタをするとねねが不思議そうにこちらを見てくる。
「そういえば焔先輩なんでいるの?」
「迎えついでに書類片付けてたんだよ」
鏡華がそう言うとそれを聞いたねねは鏡華とすいせいを交互に見ると顔をニヤニヤさせてすいせいに小声で話しかける。
「いやーすいちゃん愛されてるねぇ。いいなぁねねもこんな優しい彼氏欲しいなぁ〜」
「ちょっ、ねねちなに言って!?」
ねねに言われて顔を真っ赤にさせたすいせいは慌て出すが今がチャンスとばかりにトワを連れて部屋を出ようとする。
「ねね達はお邪魔になりそうだから先に帰るねー。それじゃあ焔先輩またねね〜!ほら、トワ先輩行くよー」
ねねは有無を言わさずトワの腕を引っ張り部屋を出ると「それではごゆっくり〜」とニヤニヤしながらバタンと扉を閉める。扉の奥からトワがぎゃーぎゃー騒いでる声が聞こえるがそれもどんどん遠くなっていく。
「な、なんだったんだ?」
嵐の如く去っていったねねに困惑している鏡華にすいせいは下を向いたまま近づきぽすんと彼の胸に顔を埋める。
「す、すいちゃん?」
「キャラじゃないのはわかってるけど…今はこうさせて」
「もしかして妬いた?」
自分の胸に顔を埋める彼女は何も言わなかったが顔だけはこくりと頷いていた。
鏡華はそんな彼女の頭に手を当てゆっくり撫でるのだった。
あれから十分ぐらい撫でるとすいせいは自分から離れていきいつもの調子に戻っていた。
「よし、元気出た」
「そりゃよかった」
「じゃあ着替えてくるから少し待ってて」
「なら先に入り口で待ってるよ」
「うん、わかった」
それを聞いたすいせいはそそくさと更衣室に向かう。
「さて、準備するか」
鏡華は広げていた書類をフォルダに仕舞いバッグに入れると使っていた椅子から立ち上がり部屋から出る。すれ違う顔見知りのスタッフ達に挨拶をしながら一階に降りて事務所のロビーに行きすいせいを待つ。
壁に背中を預けスマホを操作して待っているとバッグを持ったすいせいがこちらに走ってくるのが見えた。
「お、お待たせ」
「別に走って来なくていいのに」
「はぁはぁ、もう君を待たせたくないの」
すいせいは息を整えると自分のバッグから変装用のサングラスを取り出してかける。といってもあくまで子供だまし程度にしかならないのだが何故かバレた事がないので謎である。
サングラスをかけたすいせいは何も言わずに鏡華の左腕に抱きつき上目遣いで鏡華を見ると「いこ?」と言ってくる。あまりの可愛さに鏡華は顔を背ける。
「その顔本当に反則だって」
「ふふん、すいちゃんの勝ち。じゃ行こっか」
勝ち誇った顔をして鏡華から離れたすいせいがそう言うと二人は外に向けて歩き出した。
二人は事務所から出て十分ぐらい歩き駅前に着く。広場まではまだ距離があるというのに目的のツリーは遠くから見ても光り輝いていた。
「目立つなぁ」
「綺麗…」
ツリーは遠くからでもわかるほど白く光り輝いてはいるがその周辺にはかなりの人だかりができている。
「どうする?近くまで行くか?」
「んー、遠くからでもツリー見れたしいいかな。それより寒いから早く帰りたい」
「それもそうか」
そんなやりとりをしていると空から白く冷たいものが降ってくる。
「ん、雪か」
「雪だね」
二人は空を見上げて降ってくる雪を眺める。
「まさにホワイトクリスマスだな」
鏡華がそう言うと隣にいたすいせいがまた左腕に抱きついてくる。
「ねぇ鏡君」
「んー?」
「大好き」
普段の彼女からは想像できないほど素直な言葉を聞いた鏡華は「ありがと」と言ってすいせいを連れて自宅に向け歩き始めるのだった。
かなたんデビュー2周年おめでとうございます。
次回更新はニューイヤー回を予定しております。
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