ホロライブオルタナティブ~彗星に捧げる星詠みの詩~ 作:星夜見流星
気づけば夏も終わってましたが没にするのもアレなのでスランプ気味でしたが手直しに時間かけておりました。
それではどうぞ。
夏と言えば海や川やプールで水遊び、そしてバーベキューが思い浮かぶ人がいれば暑さが嫌で家にずっといたいと思う人もいるだろう。
しかし今日はもう一つの夏に関するビックイベントが開催される。
「鏡君お待たせ~!」
公園の木に寄りかかりスマホをいじっていた鏡華の元に浴衣を着たすいせいが走ってくる。
「全然待ってないから大丈夫だよ。でも本当に俺と一緒でよかったの?、みんなも夏祭りに行くんでしょ?」
「すいちゃんは鏡君と一緒に行きたいからいいの!それより浴衣どう?」
すいせいはその場でくるんと回って自分の着物を見せる。彼女の浴衣は生地を水色と白でまとめ金魚の柄が描かれておりスタイルのいい彼女にとても似合っていた。
「似合ってるよ。すごく可愛い」
「えへへ、ありがと」
褒められたことに照れているすいせいに鏡華は左手を差し出すと彼女は右手で握り返して二人揃って歩き出す。
今日は浴衣できていることもあり変装をしていないので普通なら本人だと直ぐにバレるが、今回の祭りはすいせいの所属している事務所主催でみこの家であるさくら神社の敷地内にて行われる。来るメンバーや祭りのスタッフは事務所関係者ということで遠慮なく祭りを楽しめる。と言っても鏡華が行くのは祭りに招待されただけではなく会場警備も兼ねていて、会場がさくら神社であってもいつ何時何が起こるかわからないから用心をしといたほうがいいだろうという社長の判断だった。
「歩きづらかったり足痛くなったりしたら直ぐに言えよ?。下駄なんてほとんど履いたことないだろ?」
「気をつけてればいいから大丈夫だって。それに何かあったら鏡君がなんとかしてくれるんでしょ?」
「当たり前だろ。大切な彼女なんだから」
「ありがと。頼りにしてるから」
辺りはすっかり暗くなり誰も歩いていない歩道を歩き続ける二人。誰もいないことに不気味さを感じそうになるがこれは鏡華がスキャンダルにでもなったら面倒だからという理由で人払いの結界を張っているからだった。すいせいはマスコミにバレようが自分の信念を貫き通す意志があるので別に良かったのだが当の本人はお互いの仕事に支障をきたすと嫌だとそこは徹底していた。
「よし、ここら辺でいいだろ。
周りに人がいないことを確認した鏡華は目の前に黒い門を出現させるとその先に見えたのはさくら神社の鳥居だった。
先に門を潜った鏡華は残ったすいせいに手を差し伸べる。
「どうぞお姫様」
「ん」
すいせいが差し出した手を握り門を潜ると鏡華が握られた手を見つめていた。
「ん?、鏡君どうかしたの?」
「いや、昔のこと思い出してな。あの時はドン引きされたなって」
「あの夜のこと?。全く付き合いない人にあんなこと言われたら誰だって引くって」
握っていた手を離すすいせいに「じゃあ今は?」と鏡華が聞くとすいせいは体を背けて小声で「…嫌じゃない」と言う。
「ふっ」
「あ!今笑ったでしょ!」
勢いよく振り返り顔を赤くしながら言うすいせい。鏡華はそんな彼女に「悪い悪い」と言う。
「随分素直になったなって思ってな」
「…素直で悪い?」
「いーや別に」
「ああもう!、先行くからね!」
早足で会場に向かうすいせいの背中を見て鏡華は「ほんと可愛い奴」と呟きその背中を追いかけるのだった。
「あー!、やっと来た!。二人とも遅過ぎ!」
二人が会場に着くとこの神社の巫女であるみこが浴衣姿でたい焼きを片手に叫んだ。
「遅過ぎも何もまだ始まってすらないだろ」
「てかみこちなんか食べてるし」
みこに近づきながら一言ずつ言うが距離もあってみこには聞こえない。
鏡華はポケットから予め渡されていた腕章を腕につけてこれからの予定をすいせいに話し始めた。
「それじゃあ打ち合わせに行ってくるから」
「うん。私はしらけんのみんなと一緒にいるね」
「オッケー。なら終わったら連絡するわ」
「また後でな」と言って会議に行く鏡華を見送ったすいせいはみこの元に行くとみこは首を傾げる。
「あれ?、鏡華は?」
「打ち合わせだってさ」
それを聞いたみこがすいせいを見て顔をにやつかせながらながら「ふーん」と言う。
「何、急に気持ち悪い顔して」
「いやー天下の星街すいせいも彼氏がどっか行ったら寂しそうにするんだなって。ていうか気持ち悪いとか言うなよ!」
すいせいはキレているみこを無視して「え?、そんな顔してた?」と尋ねると言った本人は少し落ち着いてから口を開いた。
「顔には出てないけど言い方でわかるよ。すいちゃんは顔で隠せても声までは隠しきれてないんだよ」
みこから出た言葉が彼女にしてはあまりにも珍しく、そんなことを言われると思ってなかったのもあってすいせいは空いた口が塞がらなかった。「なに?どしたの?」と顔を覗かせるみこを見て我に返ると「みこちのくせに生意気」と言ってそれを聞いたみこは「喧嘩売ってんのかテメェ!」とまた騒ぎ出す。
すいせいは口には出さなかったが内心で気にかけてくれたみこにお礼をしつつ騒いでる彼女を宥めていると騒ぎを聞きつけて少し遠くから声が聞こえてきた。
「おーい、お二人さんなーに騒いでんのー?」
「あ!ぽぅぽぅー!」
ぽぅぽぅと呼ばれたフェネックの獣人である尾丸ポルカを先頭にハーフエルフの不知火フレアと白銀ノエルが近づいてくる。
三人含めこの五人は不知火建設と呼ばれるグループとして活動しており、今回はせっかくの夏祭りならみんなで回ろうと言うフレアの提案で集まっていた。
「それで?みこちはなんで騒いでたわけ?」
ポルカの問いかけにみこが話し始めるとすいせいの元にフレアが近付いてくる。
「焔君がいないってことはそれで騒いでたんでしょ」
「うん、警備があるからそれの会議に」
「なるほどねー」
状況を聞いて来るまでに何があったかを察したフレアはすいせいに小声で一言。
「こっちは大丈夫だから適当なタイミングで行ってきなよ」
「え?」
「せっかくの夏祭りなんだし遠慮しないで二人でのんびりしてきなって」
左目でウインクをするフレアにすいせいは「ありがとうフーたん」と御礼を言い、それを見たフレアは微笑んでから「しゅうごーう」と言ってみんなを集めるのだった。
夏祭りが始まり一時間が過ぎた頃、鏡華は会場の上空にいた。魔力で作った足場に座り狙撃モードに変形させた愛銃を構えて会場の周囲をスコープ越しに偵察する。この足場は下からだと何もないように見えるためここに鏡華がいるとわかるのはごく一部の人間だけだ。
「周囲の森に異常はなし、索敵にも反応なし…か」
鏡華はそこそこの大きさに作った足場に寝っ転がりながら夜空を見上げる。今日の天気は快晴、夜空には満天の星が広がり祭りにはもってこいの天気だった…はずなのだが長距離での索敵が出来る人員が鏡華しかいなくすいせいと回るはずだった自由時間を割いてまで仕事していた。
「拗ねるだろうなぁ」
「誰が拗ねるって?」
本来聞こえないはずの声がして起き上がってみれば両手に袋を持ったすいせいが立っていた。
「よくここがわかったな」
「他の人を騙せてもすいちゃんは騙せないよ」
すいせいはゆっくり歩いて近づき鏡華の隣に腰掛けると手に持っていた袋を一つ渡してくる。
「お腹すいてるだろうと思って鏡君の好きなもの買ってきたから一緒に食べよ?」
鏡華が袋を受け取り中を見てみるとフライドポテトや焼きそばなどが入っていて、今の今までなにも食べていなかった鏡華にとってかなりありがたかった。
「悪いな、気を使わせて」
「どうせ鏡君の事だから他に出来る人がいないから代わりにやってるってとこかな」
「出来る彼女に感謝しないとね」と自慢げな顔をするすいせいに鏡華は苦笑いを浮かべる。
それを見たすいせいは持っていたもう一つの袋の中から何かを取り出そうとしながら鏡華に問いかける。
「それで?、仕事はいつ終わるの?」
「流石に花火までには切り上げるよ。俺だって一緒に観たいしな」
「じゃあ頑張ってもらわないとね。はい、あーん」
すいせいが袋からフライドポテトを数本取り出して鏡華の口に差し出すと鏡華はそれを咥えて食べ始める。
その姿を見たすいせいが一言。
「抵抗しなくなったね」
「もう諦めたからな。っと来やがったか」
鏡華はポテトを食べきると同時に傍に置いてあった愛銃を手に取り立ち上がるとある一点を見つめライフルを構えてスコープを覗いた。
「てっきりもっと多いと思ってたけどかなり少ないな」
「そんなに?」
「ああ、ほらよ」
鏡華が指を鳴らすとすいせいの前に突然として何処かの森の様子が映し出され、そこには見えづらいが薄らと何かが映っていた。
「もしかしてゴースト?」
「正解」
手短に答える鏡華は慣れた手つきでライフルのマガジンを交換する。交換したマガジンには対ゴースト用の弾丸が詰め込まれていた。
マガジンを交換し終えると構えて引き金に指をかけしっかりと狙いをつける。
「まずは一体」
引き金を引くとライフル特有の銃声とともに弾丸が射出されその軌道はぶれることなく真っ直ぐ標的に命中する。
「おー流石鏡君」
狙撃の腕前に拍手しているすいせいに「すいちゃんもやる?」と問いかけるとすごい勢いで顔を横に振り出す。
「そこまで拒否らなくても」
「だって鏡君のライフル重いし癖強いんだもん!」
「そんなにか」と呟きながら構え直して照準を残ったゴーストにあわせ次々に処理していく。数が十体程度だったのもあり殲滅するまで然程時間はかからなかった。
「これでラスト」
最後の一体に対して引き金を引き弾丸を放つ。少しのタイムラグの後に
標的に命中するとゴーストは粒子状の光を纏い消滅していく。
「さて、これで仕事終わりと。花火まで時間ないしどっか行くか?」
鏡華がライフルを二丁の銃と専用のパーツに組み替えながらすいせいの方を向くとすいせいは置いてある袋の中身を取り出していた。
てっきりすぐに移動すると思っていた鏡華はすいせいに問いかける。
「あのー星街さん?花火まで時間ありませんけどなにをしておいでで?」
「何処か行く前にまずはご飯でしょ?鏡君全然食べてないんだし」
「いや俺は別に…」
そう言いかけた鏡華にジト目で見続けるすいせい。数十秒の沈黙の後先に折れたのは鏡華だった。
「わかったよ。じゃあ二人で花火見ながら食べるか」
「よろしい。それにここなら花火もよく見えるし屋台は花火の後でも遅くないからね」
すいせいはウインクしながら買ってきた焼きそばを鏡華に渡すと別の袋から自分の分を取り出し、鏡華も渡された焼きそばのパックを開けて食べ始める。
二人は夜風にあたり、食べながら雑談に花を咲かせていると少し遠くから花火の打ち上がる音が聞こえた。
「ん、時間になったか」
打ち上げられた花火は空に上がり綺麗な花を咲かせ、二人は何も言わずにその光景を目に焼き付ける。
しかし鏡華はこの光景を観ながら一つだけ気になっていることがあった。
「綺麗なんだけどさ、あいつはあんなとこでなにやってんだ?」
鏡華が足場の下を見ると視線の先には特設ステージの上でDJをしているポルカの姿があった。
「ん〜、どうせぺこら辺りにのせられただけだと思うよ」
「なるほどな。ま、本人も楽しそうだしいっか」
隣にきて下を見ていたすいせいの話を聞いて納得する。すいせいはそんな彼の左手に自身の右手を重ね顔を近づけると鏡華もそれに応えるように自身の顔を近づける。
一際大きな花火が打ち上がり空を彩ると同時に二人の影は重なり暫くの間離れなかった。
本編もちょこちょこ書いてますのでもう暫くお待ちください。
すいちゃんのキャラ崩壊について
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流石にし過ぎ
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いいぞもっとやれ