ホロライブオルタナティブ~彗星に捧げる星詠みの詩~   作:星夜見流星

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フブちゃん金コイキングと公式マークおめでとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ


stardustmemory〜始まりの記憶〜

あれは良く晴れた平日の朝だった気がする。当時中学二年だった俺は両親が死に親族なんて知らない為数年間師匠が用意してくれた家に一人で暮らしていた。

その頃から定期的に軽い依頼をこなして生活していたのだがその日は夜遅くまで仕事の準備をしていてかなり眠かった。

 

「ふわぁー…ねみぃ」

 

「どうした焔、朝から眠そうだな」

 

そんな俺に数少ない悪友が前の席に座り話しかけて来る。

 

「うるせぇ、こちとら寝不足なんだよ」

 

「ちゃんと寝ないと身長伸びないぞ?」

 

「余計なお世話だバーカ」

 

そんな話をしていると教室の扉が勢いよく開きセーラー服を着た一人の少女が現れる。

 

「おっはよー!」

 

彼女が来たとわかった瞬間教室にいる他の連中が騒ぎ始める。

 

「すいちゃんおはよー!」

 

「星街さんおはよう!」

 

「すいちゃんいつものやって!」

 

などと言われるすいせいは「おはよう」と返した後に言われた通りいつもの決め台詞を言う。

「彗星の如く現れたスターの原石!アイドルVTuberの星街すいせいです!すいちゃんはー?」

 

「「「「「今日も可愛いーーー!」」」」」

 

仕事と勉学の両立をしている為なかなか登校できないすいせいが来る事で教室がわーきゃー騒がしくなるのはもはや恒例行事になっていた。そんな騒がしい中悪友は鏡華に話しかける。

 

「本当星街は凄いよな、俺達と同い年なのにトップアイドルだもんな」

 

「ふわぁ、こっちはうるさくされていい迷惑だわ」

 

「でもそんな事言ってお前だって携帯に星街の曲入って…ってもう寝てるし」

 

悪友が鏡華の方を見ると寸前まで話していた鏡華はすーすーと寝息をたてて眠っていた。

 

「相変わらずこいつはマイペースだな」

 

悪友はそう言いながら騒いでいる奴らを見ながら担任が来るのを待ち、担任が来たら鏡華を起こすのだった。

 

 

 

 

 

悪友に起こされ眠すぎて回らない頭で授業を受け、なんとか学校を終わらせた鏡華はさっさと家に帰り数時間仮眠をとった後仕事の準備をしていた。

 

「これでよし」

 

最後の確認を終え家を出た鏡華は目的地である展望台近くの公園に向かう。

十八時ぐらいになるとあまり人が来ないうえ広さもかなり広いので戦闘し易いのだ。

今の時刻は十七時半、一時間ぐらいで着く為着いた頃には丁度いい時間だろう。今日はただの周辺調査だから戦闘もないだろうしあったとしても軽い雑魚処理程度になるだろう。

 

「はぁ、流石に寒くなってきたな」

 

季節はもう秋になり月日も十月の半ば、流石にこの時間になると辺りは暗く仕事や部活が終わり帰宅している人が増えている。市街地に入るにつれ人混みが多くなりその中をすり抜け郊外に出る。

目的地の下あたりに着き、少し長めの坂を登りきると目指していた公園が見える。

 

「やっと着いたか」

 

着いた段階で少し疲れてはいるが休めば何とかなるだろう。幸い市街地を見渡せるほど見晴らしのいい場所にベンチがあるのでそこで休める為その場所を目指して足を進める。

公園の入り口を通過しベンチに近づくにつれ先客が居るのか歌が聞こえてくる。その歌は自分がよく聞く歌であり聞こえてくる歌声も本人そのままだった。後ろからでしか見えないがその歌声とチェックの帽子を被って水色の髪を片方に纏めた姿で誰だかがよくわかる。しかしその歌声は何処か悲しそうな気がした。

 

「どうした?いつもより元気ないな」

 

そう声を掛ければ彼女は気づいていなかったのか身体をビクッとさせこちらに振り向いた。

 

「よっ、アイドルがこんな時間にこんなところで何やってんだ?」

 

「それはこっちの台詞。キミもこんなとこに何しに来たの?」

 

一人でいる時間を邪魔されたのが相当嫌だったのか不機嫌に返してくる彼女はまさに星街すいせいその人だった。

 

「俺は用事があってきたんだよ」

 

「こんな場所に用事?一体何しにきたわけ?」

 

「それよりそっちはなんでいるんだよ」

 

「おい、話を逸らすな」

 

すいせいがジト目で鏡華を見つめる。

 

「キミが教えてくれたら教えてあげる」

 

そう言ってきたすいせいに鏡華は「はぁ…」とため息を吐いた後コートの内ポケットから何かを取り出しすいせいに投げる。

 

「ほらよ」

 

投げられた物を受け取ったすいせいはそれを見ると一枚の免許証だった。

 

「これって」

 

「一級魔導師の資格免許だよ」

 

鏡華がそう言うとすいせいは鏡華と免許証を交互に見る。

 

「まじ?」

 

「偽物に見えるか?」

 

鏡華がすいせいに渡した物はこの世界で魔術師や魔法使いが仕事をする為に必要な技量を証明する為の免許証だった。魔術師と魔法使いを総じて呼ぶのに魔導師と書いてあるが実際には魔術師の存在を秘匿しつつ魔術師が仕事や依頼を受けれる様にする処置でもある。鏡華は最高ランクの一級、別の呼び方ではSランクと言われる層に属している為全ての依頼を受ける事ができる。

 

「いつも学校で気怠げにしてるキミがねぇ」

 

「なんだよ、悪いか?」

 

「悪くはないけど意外だなって」

 

鏡華は「そりゃどうも」と返すとすいせいに聞き直す。

 

「それで?星街は何でこんな所にいたんだ?」

 

「教えたんだから教えてくれるよな」と言う鏡華にすいせいは言いたくないのか少し黙るが自分から言い出した事だからか渋々話出す。

 

「仕事が上手くいかなくてね」

 

「ふーん、やっぱアイドルって想像以上に大変なんだな」

 

「そういう事、だから気分転換でここに来たわけ。ここは星が綺麗だし一人になれるから」

 

「なるほどな。それで元気がなかったわけか」

 

アイドルと魔術師、立場は違えど意外と似ているのかも知れないなと思う鏡華は気になった事があった為一つすいせいに尋ねる。

 

「それよりこんな時間だけど帰らなくていいのかよ。確かお前姉さんいるだろ」

 

「別にまだいいし…ていうかなんでお姉ちゃんの事知ってるの?」

 

「あっ…」

 

鏡華はうっかり言ってしまった事に気が付き彼女から目を逸らしなんとか誤魔化そうとする。

 

「あーほら、配信とかでよく言ってるだろ。ただ偶々それを観て…」

 

「嘘。絶対それだけじゃない」

 

話している途中で睨まれている事に気が付きすいせいに核心を突かれた鏡華は観念して白状した。

 

「はぁ…何度かお前の姉さんに会った事あるんだよ。なんならお茶もご馳走してもらったしお菓子なんかも貰った」

 

鏡華から出た解答に驚き声を上げベンチから立ち上がるすいせい。

 

「はぁ!?私全然知らないんだが!」

 

「後で何か言われるだろうから黙っててもらったしな」

 

「あのお姉ちゃんが…?」と言いながら自分の姉を疑い始めたすいせいが急にはっとしてガシッと漫画ならそんな音が書いてありそうな勢いで鏡華の肩を掴む。

 

「私の部屋見てないよね!?ね!?見てたら今ここで殺す!」

 

「見てない!見てないからっ!だから揺するのやめ!あと物騒な言葉が聞こえたんだが!?」

 

すいせいははっと我に返ると揺らすのをやめて少し離れる。

 

「はぁ…はぁ…死ぬかと思った」

 

「ご、ごめん」

 

「まぁ誰だって知らない間にクラスメイトが自分の家に入った事があるなんて言われたらこうもなるさ」

 

「こんなに揺らされるとは思わなかったがな」と付け加え話を続ける。

 

「流石の俺も人の部屋、しかも異性の部屋見るなんてことしねえよ信用ねえな」

 

「だってキミとちゃんと話したのこれが初めてじゃん」

 

「そうだっけか」

 

「うん」と頷く彼女を見るに本当にそうなのだろう。

 

「とにかく本当に俺はお茶して帰っただけだからな。強いて言えばお前の学校でどう過ごしたか聞かれただけ」

 

「それならいいんだけど」

 

安心したのかベンチに座り直す彼女の隣に行き「隣いいか?」と聞くと彼女は「いいよ」と了承する。鏡華は持ってきた荷物をベンチの脇に置き座る。座った鏡華はすいせいの姉について話し出す。

 

「にしてもお前の姉さんいい人だな」

 

「あれがいい人に見えるってマジ?キミ大丈夫?」

 

「あれって言うなあれって。俺からしたら羨ましい話だぞ」

 

「キミだって家族とかいるでしょ?」

 

そう言われた鏡華は少し言葉を詰まらせたがすいせいに気づかれない様に返す。

 

「…あぁ」

 

「お姉ちゃんも早く妹離れしろって感じなんだけど。そういえばこの前そのお姉ちゃんがね」

 

鏡華の様子に気づかないまま話を続けるすいせい。一人の時間を邪魔されたからかここぞとばかりに話し続ける彼女の話を聞いては返してを繰り返す鏡華。話の内容はお互いの学校や仕事、はたまた趣味やプライベートまで幅広く話しているうちに二時間ほど経っていた。

 

「もうこんな時間か、お姉ちゃんが心配するしそろそろ帰らないと。キミもありがとうね」

 

立ち上がり帰ろうとするすいせい。

 

「夜も遅くなってきたから家まで送ってやるよ」

 

「え?でも仕事あるんでしょ?」

 

「急ぎじゃないし別にいいよ。お前の姉さんには世話になってるし、なにより最近物騒だからな」

 

公にはされていないがここ数日でかなりの人が襲われる事件が発生している。被害者の共通点は魔力持ちと言う事、そして全員外傷がない事。つまり魔力だけ抜かれているのだ。

鏡華の仕事もそれの調査である為、場所自体はどこでもよかった。送って行く間に近場で反応があれば途中で別れて向かう事にしよう。鏡華は自分の傍らにある自分の荷物を持ち立ち上がりすいせいに声をかける。

 

「よし、行くか」

 

「本当にいいわけ?」

 

「別にいいって、逆に送らないとあの人に何言われるかわかったもんじゃない」

 

「誰?」

 

首を傾げるすいせいに鏡華はその人物を答える。

 

「俺の師匠だよ」

 

「女の子の事になると五月蝿いんだよ」と苦笑いで言う鏡華。

 

「ふーん、じゃ遠慮なく。エスコートよろしく」

 

「かしこまりましたお嬢様」

 

「え、きも。正直そこまでいくと引くんだけど」

 

「俺も言わなきゃよかったって後悔してるわ…」

 

柄にもない事を言って後悔している鏡華を見てすいせいは笑みを浮かべる。

 

「あはは、焔君って意外とノリがいいんだ」

 

「そういう星街だってそんなキャラだったか?」

 

「学校の事?あんなの学校用のキャラに決まってんじゃん。どっちかと言えば配信とか今みたいに話してる時がすいちゃん本来の姿」

 

「なるほどねぇ、つまりそれがお前の素と」

 

「そゆこと」

 

「わかった?」と言ってこちらを見る彼女に鏡華は一瞬見惚れてしまったが我に帰ると照れ隠しで「わかったからもう行くぞ!」と言う。

そうして先に歩き始めた鏡華を見てすいせいは「結構可愛いところあるじゃん」と小声で呟くと「なんか言ったかー?」と言ってくる鏡華。すいせいは「なんでもない!」と言って鏡華の隣に駆けていく。

 

「そういえば焔君家ってどこなの?」

 

「お前の住むマンションの近く」

 

「キミの事一回も見かけた事ないんだけど?」

 

「そりゃあお宅のマンションからじゃ分かりづらッつ!?」

 

喋っていた鏡華は突然現れた魔力反応を感知し咄嗟に手に持っている荷物をその方向に思い切り投げつけすいせいを抱き寄せ彼女が怪我をしないように倒れる。

 

「なっ!?」

 

咄嗟の事ですいせいは声を上げるがその瞬間鏡華が荷物を投げた方向から強い光が現れ二人を照らす。すいせいは鏡華に抱かれている為その光が何かわからなかったが対する鏡華ははっきり捉えていた。

 

「俺の対魔力コーティングのバッグが石化するほどの威力…一体何もんだ?星街大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫。ありがと…じゃなくて今の何!?」

 

「さあな、こっちが聞きたいわ」

 

鏡華は腕の中にいるすいせいが無事なのを確認すると彼女を離し立ち上がると周りを警戒しながら表面の半分が石化した自身のバッグに駆け寄り被害を確認する。

 

「石化したのは表面だけか。中身が無事なのは救いだな」

 

「冷静に分析してる場合?」

 

「逆にここで焦ったら二人揃って全滅だっと」

 

鏡華はバッグの中身を取り出し装備していく。それを眺めていたすいせいは不思議に思い本人に尋ねる。

 

「なにそれ」

 

「俺が戦闘に使う装備。襲われると思わなかったから一部しか持ってきてないけどな」

 

慣れた手つきでかちゃかちゃと装備していく鏡華。足にはマガジンホルダーを複数、腰には何かのカードが入っているケースを付ける。一通り装備し終わると着ているコートの内ポケットから匣を一つ取り出し右手につけている指輪から藍色の炎を灯す。

 

「え!?指輪から炎出てるんだけど!?」

 

「まぁ後で説明してやるよ。それより今は襲撃者を炙り出すのが先だ」

 

鏡華が指輪を匣の窪みに嵌め込むと匣が開き二丁の銃が出てくる。

 

「キミってテレビとか本とかで見る魔法使いと違うんだ」

 

この世界で魔法は一般的な為テレビや書物などで幅広く知る事ができるが鏡華は媒体を使って戦うのを好む為、他の魔導師より重武装になりがちだった。

本人が一部と言ったように自宅には魔導書や長距離用の狙撃銃など様々な道具が置いてあったりする。

 

「昔からの媒体なしの術式起動が苦手なんだよ。その変わりこっちにも利点あるぞ?」

 

「例えば」と言い鏡華は自身のポケットに手を入れて何かを握りポケットから手を出しそれを上に放り投げ、投げた物の正体は銃の弾丸でそれは落下する事なく宙に浮く。

 

「この銃に魔力を込めてやると連動して今投げた弾に魔力が供給されるんだがあれには予め術式刻んでてな。銃側に発動したい魔法を使ってやると弾の方にも伝わるんだよ。こんな風になっ!」

 

銃が蒼白く発光すると鏡華は銃を光が現れた方向より左に向け発砲すると浮いていた弾丸も蒼白い光を放ち同じ方向に射出される。

 

「すご…」

 

すいせいは鏡華の魔術を見て感動していた。魔法を全く知らない素人であるすいせいでもわかるほど鏡華の魔術は無駄がなく、そして綺麗だった。

 

「ざっとこんなもんか。さて、何が釣れるか」

 

銃弾が森の方に飛んでいくと暗闇の中から月明かりに照らされ何かが高く飛び上がり二人の前に着地する。

 

「こいつはまた厄介な奴が出てきたな…」

 

二人の目の前には自分達よりも巨大な身体を持ち顔はライオンに近いのだが背中には翼があり尻尾は蛇のような見た目をした生物、通称キマイラであった。気性が荒くはないのだが自身の縄張りに入る者に容赦が無く危険生物の一種に指定されるレベルの魔界生物である。

 

「どうやってこの世界(こっち)に迷い込んできたかは知らないが流石の俺でもコイツは手に余るぞ…」

 

キマイラの特徴として個体差はあるものの俊敏な身のこなしだけでなく鋭い爪による殺傷能力の高さ、そして個体別の固有能力がある。

 

「さっき石化してきたから一つはわかったが能力がまだあるのかそれともないのか…ん、どうした?」

 

普通ならこんなのを見たら悲鳴の一つは聞こえてもおかしくはないのだが後ろにいる彼女はやたら静かなのだ。

 

「おーい星街ー?」

 

後ろを振り向くと彼女はポカーンとした感じで口を開けて正面にいるキマイラを見上げていた。

 

「おーい星街すいせいさーん?聞こえてるかー?」

 

鏡華が声をかけても無反応のすいせい。そんな格好の的である二人を見逃す訳も無くキマイラは戦闘体制になり鋭い爪を構えながら二人に飛びかかる。

 

「あぶねぇ!」

 

鏡華はぼーっとしてるすいせいをお姫様抱っこで抱きかかえ後ろに高く飛び去り攻撃を回避する。先程まで自分達がいた場所を見ればキマイラの爪が地面にめり込みその攻撃力の高さを見せつけていた。

 

「やっぱあれはやばいな…戦ったらこっちもただじゃ済まない。おい星街ってば!」

 

鏡華は彼女を下ろし肩を揺すると今まで黙っていたすいせいがやっと声を出した。

 

「す…」

 

「す?」

 

「スゲェェェェェェ!なにあれなにあれ!あんなの漫画でしか見た事ないんだけど!キミいつもあんなのと戦ってるの?もっと早く教えてよ!」

 

「教える訳ないだろ馬鹿!それより急いで逃げるぞ、あんなの相手にしてたらこっちの命がいくらあっても足りないわ!」

 

鏡華は何故かテンションが上がっているすいせいの右手を掴み叫ぶ。

 

「走れ!」

 

その声を聞いた途端すいせいは鏡華に手を引かれ走り出した。




更新遅くなり申し訳ないです。最近動画の方で毎日投稿を始めた為三月終わりまで更新頻度が落ちます。
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