ホロライブオルタナティブ~彗星に捧げる星詠みの詩~   作:星夜見流星

9 / 27
今回は少し短めです。


stardustmemory〜逃走の記憶〜

キマイラから逃げる為走り出した二人は最初にいた公園から離れた場所にある森の中に入り全速力で逃げまわっていた。

 

「森の中に入ったの失敗だったか?。あいつが目で追ってたらと思ったが臭いと魔力で追って来てんな」

 

キマイラの障害になればと思い森を逃走経路に選んだのだが、キマイラが視覚以外で追ってくる事を失念していたのもあり逆に木々が邪魔なうえ足場も悪く二人を苦しめていた。

 

「ハァ…ハァ…きっつ」

 

そして一番の問題点は、かなり走っていた事により隣に居るすいせいの体力が限界を迎えていた。

 

「このままじゃまずいな」

 

周りを見渡してもあるものといえば木々や茂みだけでとてもじゃないが逃げ切れそうもない。

 

「仕方ないか。星街、急いであそこにある茂みの後ろに隠れろ」

 

そう言って今いる位置から離れた場所にある茂みを指差す。

 

「ハァ、キミはどうするの?」

 

「あいつの狙いは俺だ。俺が囮になってる間にお前は逃げろ」

 

「でもそれじゃあ」

 

「俺の事はいいから早く行け!ここで二人揃ってやられるよりマシだ!」

 

真剣な表情ですいせいに訴えかけると彼女も分かってくれたらしく茂みに走り裏に隠れる。

隠れたのを確認し胸ポケットから匣を取り出してリングを使い匣を開ける。出てきたのは愛用している魔力弾と実弾を切り替えられる二丁の銃。

決定打になる可能性は低いが近接戦を仕掛けたらこちらもただでは済まないという判断で遠距離を挑みに行く。

 

「さぁ、こいよ」

 

鏡華が足を止め待ち構えると木々の間から自分達を追ってきているキマイラが顔を覗かせゆっくり歩いてくる。

鏡華が逃げる事をやめたのを察したのかキマイラも足を止め、警戒しているのか「グルルル」と唸り声を上げながら威嚇していた。

 

(にしてもこんな大物とやり合うのは久しぶりだな。ん、あいつどこ見て…まさか!?)

 

鏡華は目の前にいるキマイラの視線が自分に向けられていない事に気づくと瞬時に思考を巡らし、この状況下で起こり得る最悪の展開に行き着きすぐさま腰に付けたケースからカードを五枚取り出して魔力を込め走り出す。

向かう先はすいせいが隠れている茂みただ一つ。

 

(間に合えっ!)

 

距離はさほど離れて無いが走り出したのを見てキマイラも構えだす。

恐らくはさっき撃ってきた咆哮のようなものだろう。

あれが直撃すれば間違いなく石化した後に砕かれて死ぬのは間違いない。

 

『一に守護 ニに鉄壁 三、四に柱 五に領域 我が身を護るは絶対守護の砦なり』!

 

走りながらカードを媒体にした設置型の防御魔術を詠唱し、カードをキマイラの正面に投げる。投げたカードはキマイラの射線に入ると宙に浮き、茂みを守る為五芒星の形に配置されたカードを中心とした円形の魔法陣が形成される。

魔術が発動したのを確認し、急いで茂みに向かいすいせいがいる茂みの隣を飛び越えるとそのすぐそばに隠れている彼女を見つけた。

 

「星街!」

 

勢いよく飛び越えて来たのもあり彼女は驚いているが今はそんな場合じゃない。

 

「いいかよく聞け、俺が抱き抱えてやるから急いでここから逃げるぞ」

 

「ちょっと急に何を言って」

 

「詳しい事は逃げながら話してやるからお前は大人しく…」

 

鏡華がすいせいを説得している途中でキマイラが先程撃ってきた以上の咆哮を放ち、魔法陣とぶつかり合うとそれにより衝撃波が発生し強い突風が二人のいる茂みを襲う。

鏡華は咄嗟にすいせいを抱き寄せ自分のコートを使い自分と彼女を覆って風から守るが、衝撃で飛んできた木や石などは防ぐ事が出来なく鏡華の背中に打撃となって襲い掛かっていた。

 

「ッ!」

 

腕や肩に何かが擦り痛みで顔が歪むが命があるだけマシだろう。

しばらくすると風が止み、すいせいを離し立ち上がろうとするが力が入らずすぐに膝をついてしまう。

 

「焔君!?」

 

心配したすいせいが身体を支えてくれようとしているが今は急がなければならない。

 

『力無き者に癒しの風を』

 

苦手な分野だが自身に軽い回復魔術をかけ擦り傷を治し立ち上がる。

 

「はぁ、これでなんとか動けるな」

 

「動けるって…本当に大丈夫なの?」

 

「応急処置程度だから完全じゃないけどな」

 

茂みからチラリと魔法陣を見れば媒体にしたカードの半分が石化していて効果が薄くなっていた。

 

「不味いな、急ぐぞ」

 

「少し我慢しろよ」と言い有無を言わさずすいせいをお姫様抱っこすると彼女は何も言わなかったがコクリと頷いてくれる。あまりにも素直に従ってくれるので一応確認だけはしておく。

 

「別に嫌なら嫌って言ってくれてもいいんだぞ?」

 

「今はキミの判断に任せる。なによりキミは信用していい人だと思うから」

 

やはり一業界のプロだからか咄嗟のことには決断が早いらしく即答してくる。

 

「なら、無事にお前を姉さんの所に帰さないとな。行くぞ、しっかり掴まってろよ」

 

鏡華も覚悟を決めると自身に速度強化の魔術の詠唱を始める。目指す場所は出来るだけ遠くにある開けた場所、それも被害が出ても問題がない場所に。

 

『我が魂は風と共にあり 疾風(はやて)の如く駆け抜けるであろう』

 

自分の周りに心地よい風が纏われ、魔術が発動した事を知らせる。

 

「目指すはさっきの公園!久しぶりの大博打だ!」




推し四人のファスモコラボは最高でした…
次回はバレンタイン回を予定しております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。