「――――――――――――――――」
ローブで身を包み顔が見えない男たちが口を揃えて何かを呟く。
男たちは円形に並び、その中心には、一人の長い黒髪の少女が台に横たわっている。
少女は薄絹を一枚被せられただけの状態で目を閉じていた。あたかも、既に息はないかのように。
男たちの詠唱が始まって1分経ち、10分経ち、30分経ってもまだ変化はない。その間、男たちは微動だにせず、ひたすらに口を動かし続けた。
そして一時間が経過し、男たちも顔色が徐々に悪くなり始めた頃、ようやく変化が訪れた。
少女が横たわる祭壇から僅かに浮かび上がり、光を放ちだした。
いつの間にか、男たちが囲む円の中には複雑怪奇な紋様が現れ、少女を中心に回転する。
それも束の間、少女に掛かった布が体に巻き付き、形を変え、色を変え、少女の
今度は髪に変化が起きた。流れるような黒髪の、前側右端の一房、その一部が銀色に染まる。根元から先へ、まるで闇夜に一筋の月光が差し込むように。
やがて、少女の頭上に光輪が生まれ、腰から一対の純白の翼が広がり、遂にその目を開いた。
染まった銀髪と同じ輝きを持つ双眸で男たちを見据え、呟いた。
「…わたしを呼んだのは、あなた達?」
はぁ、やっぱりまた少女の肉体でしたか。
うんざりしながらも周囲の男たちに問いかける。
任務である以上はしっかり役目は果たしますけど、今まで僕が入った器たる依代が全部女体ってどうなのですか。僕はこれでも男ですよ。
…っと、この体、誰かの物だったんですか。記憶が一部流れ込んできましたよ。
ふむ、死因は…病死?どうやら流行り病だったようです。可哀想に。せめて来世は長生きしてくださいね。
あ、自分が男たちに問いかけたのは忘れてませんよ?ちょうど今、偉そうな人間が近くによってきました。
「天使様、我らが呼びかけに応じてくださり、感謝致します」
「…愚か者」
「…え?」
「…感謝を伝える相手、間違えている。わたしは、我らが創造神様が聞き届けたあなた達の願いを遂行する為に来た。感謝するのはわたしではない」
「は、はぁ…申し訳ございません」
「…良い。では、いくつか質問をする。素直に答えて」
いけません、つい早口になってしまいました。
よくあるのですよね、こういう勘違い。あくまで僕達天界人は与えられた任務を創造神様に代わって行っているだけなのですから、感謝されるべきは僕ではないのです。
さて、では早速、降霊後の第一の任務、天界及び我らが創造神様についての質問タイムに参りましょうか。
感想もらっちゃったので、一応書いてみました。
いかがだったでしょう?