頭文字D 〜公道のハヤブサ〜   作:Many56

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どうも、Many56です。
およそ3週間ぶりとなりました。
もうちょっと早く投稿したかったのですが、全然書き進められずにズルズルと投稿日を伸ばしてしまいました。
本当に申し訳ありません。
少し近況報告を。
ドリスピで昨日まで開催されていたMFゴーストコラボのボスバトルイベントで初めて5000位以内到達しました。
(決してイベントのやり込み過ぎで執筆が遅れた訳ではありませんよ)
更に、頭文字DACのオンラインランクがクリアブルーに到達しました。
さて、今回は短めです。
インパクトブルーとのバトルが決着します。


Act.14 青い衝撃(後編)

 

 

 

暗闇が包む碓氷峠に甲高い2つのスキール音が鳴り響く。

直後、青と白の2台の車が閃光のように駆け抜ける。

“秋名のハヤブサ”と“インパクトブルー”のバトルは未だ続いていた。

 

「次のコーナー、砂が浮いてるよ。インベタグリップね!」

 

「オッケー!」

 

そして、さらにシルエイティはペースを上げつつコーナーをクリアしていく。

 

「対向車ナシ。次は流して!」

 

真子は紗雪の指示に合わせて完璧にコーナリングしていく。

 

(後ろのインプレッサに気を取られすぎて、自分本来のペースに乗り切れていなかった。どこかでどんな強敵でも、それも碓氷峠(このコース)では私達には誰もついてこられらヤツなんていないと思っていた)

 

そんな事を考えつつ、真子はシフトアップして加速していく。

 

(でも、やっと目が覚めた。意識を後ろにばかり向けてたら、速く走れる訳がない。もうバックミラーなんて、2度と見ない)

 

 

 

●●●

 

 

 

スタート地点

 

「もしかして隼人のヤツ、まだついていってるのかな? そろそろ振り切られて、終わるんじゃないかな?」

 

「何言ってるんですか健二先輩⁉︎ 隼人は簡単に負けるようなヤツじゃないですよ! 1本目さえ凌いじゃえば、あとは車の性能と隼人のテクニックで2本目楽勝っすよ‼︎」

 

「そりゃそうなんだけどさ……」

 

健二とイツキがそんな話しをしている中、池谷は考え込んでいた。

もちろん、考えているのは真子の事である。

出会った時のこと事、“インパクトブルー”が真子だと知った時の事、隼人に挑みたいと言われた時の事、それらが頭をよぎる。

 

「何ボケってしてんだよ、池谷?」

 

「ボケっとなんかしてねえよ」

 

「嘘つけ。真子ちゃんの事考えてたんだろ? 顔に書いてあったぜ」

 

「べ、別にそんな事ねえよ!」

 

「誤魔化さなくたっていいさ。いい子だよ、真子ちゃん。それは認めてやる。だから、このバトルが終わったらもう一度アタックしてみたらどうだ?」

 

「健二……」

 

「お前と真子ちゃんとの間に何があったかは知らねえが、簡単に諦めるには勿体ないと思うぜ」

 

「……!」

 

 

 

●●●

 

 

碓氷峠にシルエイティとインプレッサのスキール音がこだまする。

2台はコース終盤のめがね橋が見える場所まで来た。

 

「ここは流して!」

 

沙織の言葉に合わせて、全開四輪ドリフトで駆け抜けていく真子。

そして、その走りを忠実に再現しながら背後霊のように食らいついていく隼人。

そんな中、道の先に光点が現れた。

 

「対向車来てるよ。でもすれ違うのは3つ先のコーナーだから、ここは気にせず流して!」

 

「オッケー、紗雪!」

 

その言葉に合わせて、コーナーへと突っ込んで行く。

そしてすぐに切り返して連続コーナーを駆け抜けていく。

 

「クッ……!」

 

(嘘だろ? まだペースが上がるのかよ……!)

 

少し余裕が生まれていた隼人だったが、また少しずつ余裕がなくなっていた。

 

「次、対向車来るよ。イン側に寄せて!」

 

それに合わせて、真子はインベタでコーナリングしていく。

その後ろを、隼人のインプレッサが追い縋る。

そして、どちらも対向車と僅か数センチのまで寄せつつ、最速で曲がっていく。

 

「ふう……。結構怖い事やりやがるな」

 

そう愚痴を溢す隼人。

 

「ピッタシ」

 

「さすが紗雪」

 

(紗雪は対向車の読みを絶対に外さない。いくつも先のコーナーから木の葉を照らすヘッドライトの僅かな光さえ見逃さないからね)

 

間髪入れずに、次のコーナーが見える。

 

「グリップ、イン側に思い切って!」

 

「うん!」

 

すぐにガードレールスレスレまで切り込んで立ち上がっていく。

 

「真子、上手い! 良いよ、この感じ!」

 

「ええ!」

 

(それにしても、本当に凄い……! 上手い走り屋は、常に安全なマージンを残して走る。側から見れば限界ギリギリの全開走行でも、タイヤのグリップをフルに使うのはコーナーの出口だけ。ブレーキングからターンインの時にはタイヤのグリップに僅かに余力を残す。エスケープゾーンのない峠道ではワンミスした瞬間クラッシュだから。でも、今の真子にはその余力が全く無い。ハイテンションで熱くなりすぎてるからか、真子自身もそれに気付いていない。言うべきか、それとも黙っておくべきか……)

 

そう考えつつ、紗雪はパートナーである真子の顔色を伺う。

それ真剣そのもので、口を出す余裕などまるでなかった。

 

(本来なら言うのが私の役目だけど……。こんな最高の走りをしている真子相手に水を差すような事は言えないわ! 私も覚悟を決めた。私達はベストパートナー、アンタの腕を信じるよ。今日の真子は、今まで見た中で1番の出来だよ‼︎)

 

そう心に決めて、紗雪は自分の役割に集中し、真子に次の指示を出した。

一方、後ろを追いかける隼人もギリギリの状態だった。

 

(やっべ……なんつうツッコミだよ。これ以上やられると、いくらなんでもタイヤのグリップが限界を超える。今でさえ、タイヤ4つを全部使ってズルズルの状態だってのに……! これは、タイヤのグリップ全部使い切ってでも引き離すつもりか‼︎)

 

しかしそれがどうしたと、隼人も意地で食らいついていく。

そして、残りのコーナーの数が1桁となった頃だ。

 

「ここで離さなきゃ、もう勝負できるとこ無いよ!」

 

「分かってる!」

 

「対向車ナシ! 思いっきりツッコんで‼︎」

 

そして、真子はアクセルを底まで踏み込む。

もちろん隼人もそれに合わせてアクセルを踏み込む。

しかし、すぐにある事に気付いた。

 

(待てよ? このペースだと……あ、コレはアカン)

 

そう考えて、すぐにブレーキを踏み込む。

 

(インプレッサがついてこない?)

 

紗雪はそう疑問に思った瞬間、すぐに気付いた

 

「真子、これオーバースピード! 曲がりきれない‼︎」

 

その言葉に真子はハッとなり、すぐにブレーキを踏み込む。

しかしながら、タイヤマネージメントはおろか安全マージンさえ全く考えない走りでタイヤを消耗していた事に加え、ブレーキングの開始も遅れた事で、当然シルエイティはアウト側に膨らんでいく。

なんとか岩壁には残り1センチあるかないかというギリギリで踏みとどまれたものの、イン側には車1台余裕で入れるスペースが空いていた。

 

(もらったぁ‼︎)

 

その瞬間、隼人は狙い澄ましたように、そのスペースにインプレッサのノーズを差し込んでいく。

 

「コーナーからの立ち上がり勝負は、4WDの十八番(オハコ)だぜ!」

 

直後、立ち上がり加速ですぐ様前へと飛び出した。

 

(やられた……!)

 

その後、シルエイティは抜かそうと仕掛けるも、残り少ないコーナーで抜ける訳もなく離されていき、そのままインプレッサが前でゴールした。

こうして、隼人は碓氷峠での激闘を制したのだった。

 

 

 

ゴール地点

 

「負けたわ。まさか、このコースで、しかも道路幅狭いのに追い抜かされて負けるなんて思わなかったわ」

 

「ええ、俺も1本目で勝って終わるとは思ってなかったです。1本目でそちら側の走りをコピーして、2本目で千切るつもりだったんで」

 

「やっぱりね。途中から薄々そんな作戦なんじゃないかって思ってたわ。1本目で私達の走りをコピーしてコースに対する練度の差を潰してしまえば、2本目以降は車の性能の差がものを言うものね」

 

紗雪と隼人が話している中、黙っていた真子がおもむろに口を開いた。

 

「……私、実は今回のバトルを最後に走るのをやめようって考えていたの」

 

 

「え? いやいやいや、ちょっと待って下さいよ! あれだけのテクニックを持ってるのに、流石にもったいなさ過ぎるんじゃ……!」

 

突然の告白に衝撃を受ける隼人。

 

 

「ここ最近、走る事に対するモチベーションが落ちてきていたの。でも、今回は走り始めた頃の楽しくてピュアな気持ちで走れた。だから私、走り続ける事にしたわ。それに今やめたら、凄く中途半端でしょ?」

 

「真子……。アンタ、良いの?」

 

「うん。だから、これからもよろしくね、紗雪!」

 

ニッコリと笑顔を浮かべながら、真子はそう言った。

 

「とりあえず、上に戻りましょうか。池谷先輩達が心配してると思いますから」

 

「そうね、そうしましょうか」

 

そして、2台はスタート地点へと戻っていった。

3人がその場去った後、影に隠れていた女性が姿を現した。

 

「ふーん。まさかあのコンビが、この碓氷で負けるなんてね。アレが涼介の弟、啓介を破った“秋名のハヤブサ”……か。フフフ、思っていたよりも面白そうな相手じゃない」

 

彼女はそう呟くと、自身の愛車である青色のカプチーノへと乗り込んだ。

そして軽自動車とは思えないエンジン音を響かせて、その場から走り去って行った。

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
これからも先、クソみたいな投稿頻度が続きますが、読んでいただけると幸いです。
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