今回1週間で投稿したのは、前回3週間も待たせてしまったからというのと、そこそこ書き進められたからです。
次はさすがに1週間で投稿できないと思うので、ご理解下さい。
さて、今回はリクエストされたキャラが登場します。
あのバトルの後の顛末を話そう。
戻ってバトルの結果を報告した後、沙雪さんが一緒に泳ぎに行くことを提案したのだ。
そして分かった事だが、実は池谷先輩と真子さんは両想いだったのだ。
お互い好きだったけど、両方奥手だったせいで上手くいかなかったって感じだな。
けど、意外にも健二先輩が池谷先輩を後押しした事で、池谷先輩が告白して付き合う事になったのだ。
どうぞお幸せに。
碓氷でのバトルから数日が経った。
夜の秋名山に、ダッサいエンジン音と甲高いスキール音が混じり合った、なんとも言えない不協和音が響き渡る。
現在、俺はイツキのハチゴーを秋名のダウンヒルでぶん回している最中である。
「ギャァァァァァァ‼︎」
車内にはイツキの汚い叫び声も加わる。
マジでコイツ黙らないかな?
「おーい、イツキ。叫ぶのいい加減やめろ」
「だって怖えんだもん!」
池谷先輩のS13に乗せてもらった時の拓海とまんま同じ事言ってる。
「ドリフト教えてくれって言ったの誰だったっけ? これでもセーブしてんだぞ?」
そもそもこの車自体遅いし、サイドブレーキを引いて流しているから全然速くない。
イツキにツッコミしつつ、コーナーにもツッコミをかける。
そしてまたしてもエンジン音もスキール音とイツキの叫び声が合わさった不協和音が響く。
仕方ない。ペースを落として、下り切ったら一旦休みを挟むとしよう。
そんな事を考えていると、後ろから車が迫ってきた。
しかもかなりのスピードだ。
あっという間にケツについて煽ってくる。
自分の車じゃないからちょっと気が引けるが、ウズウズしてしょうがない。
「イツキ、ちょっと飛ばすぞ」
イツキに断りを入れて、すぐ様アクセルを底まで踏み込む。
「え、ええええええ〜‼︎」
さてと、イツキのハチゴーが事故った時に親父が修理がてらLSDをつっこんで足まわりも強化した。
以前よりは明らかに速くなっているのだ。
どんな感じかな?
そう考えつつ、フルブレーキングして四輪ドリフトに入る。
甲高いスキール音が、秋名の峠に響き渡る。
さすがは親父、かなり良い足を作ったみたいだ。
結構スピード乗っても曲がる。
だが、後ろから相手の車も当然のように食いついてくる。
おいちょっと待て。
後ろの車カプチーノじゃねえか!
となると、コーナーワークではどうやっても負けるな。
だが、いくらポンコツエンジンのハチゴーでも80馬力は出る。
一方、軽のカプチーノは64馬力。
僅かだが、ストレートには勝ち目がある。
コーナーを抜けた瞬間、アクセルを踏み込んで一気に立ち上がる。
しかし、カプチーノは全く離れる気配がない。
それどころか、むしろ迫っているように見える。
今は前半のストレートの長い区間を走っており、普通ならハチゴーの方が有利なんだが……。
高速コーナーを1つ抜けて、スケートリンク前ストレートの手前にある2連続ヘアピンへと突入する。
立ち上がりを少しでも稼ぐために、いち早く旋回を終わらせてアクセルを踏み込む。
しかしながら、立ち上がりでも全く引き離されない。
2つ目のヘアピンを同じように立ち上がりを稼ぐ走りをするが、全く離されない。
そしてスケートリンク前のストレートで確信した。
このカプチーノ、エンジンをチューニングしてるわ。
それもかなり本格的な内容になってるだろう。
もしくは積み替えているか。
低く見積もっても、100馬力以上は確実に出ている。
純正の倍以上と言われても納得できるほどだ。
そして車もさることながら、テクニックも間違いなく本物だ。
キッチリ車をコントロールしている。
それに、本気で走っている感じがしない。
やれやれだな。
アクセルを抜いて、ハザードを出した。
これ以上やる意味はない。
相手もこちらの意思に気付いて、そのまま通り過ぎて行った。
カプチーノが前に出た時、ハチゴーのヘッドライトがナンバープレートを照らした。
ナンバープレートの色は黄色ではなく白だった。
となると、軽としてではなく普通車として登録しているみたいだな。
まあ、あれだけパワーが出るエンジンを排気量660cc以内で組むのはちょっと難しいもんね。
そして、長野ナンバーになっている。
どうも県外から来た相手らしい。
次に会えたら、愛車であるインプレッサで勝負したいものだ。
あのカプチーノと会ってから、さらに数日が経った。
バイト終わりに、スタンドにはスピードスターズのメンバーが集まっていた。
「昨日、余所者にかもられた?」
「ああ、とんでもなく速い相手だったよ」
チームメンバーがそんな話をしている。
もしかして……
「車種は?」
池谷先輩が聞いてくる。
「ええっと、青色のカプチーノだったな」
「そんでもって、白プレートの長野ナンバーだったりします?」
「おお、隼人。なんで知ってるんだ?」
「実はこの前、イツキにドリフト教習していた時に会ったんですよ。少しバトルしましたけど、乗ってた車がハチゴーだったんで途中で降りたんですよ。車もテクニックもかなりの物でしたね。あのまま続けてても負けていたかと」
「隼人がそこまで言うとはな」
「もしかしてソイツ、ちょくちょく赤城に現れるヤツかもしれないな」
「知ってるんですか、健二先輩?」
「ああ。知り合いから聞いた話だと、時々赤城に現れてはレッドサンズにちょっかいかけているらしい。とんでもなく速くて、レッドサンズの1軍でも勝てないんだとか」
「マジかよ……!」
やっぱり只者じゃないな。
一体何者なんだろうな……?
長野県軽井沢町
とあるファミレス
駐車場には、青色のシルエイティが停まっている。
そして、その
そんな中、ファミレスの駐車場に1台の青い車が入ってきた。
車の大きさは小さく、その大きさは軽自動車の枠組みに入るだろう。
だが、そのエンジン音と見た目は軽自動車らしからぬ物であった。
そして何より、取り付けられた白いナンバープレートが、それが軽自動車ではない事を証明していた。
スズキが生み出したライトウェイトスポーツカーである、カプチーノ。
そのカプチーノに、本格的なチューニングを施した車である。
ドライバーは駐車場に車を停めて、店の中へと入って行った。
「沙雪ちゃん、真子ちゃん、お久しぶりね!」
「ちょっと、呼び出しておいて時間までに来ないなんて酷いですよ、文乃さん」
沙雪がそう文句を垂れる。
「アハハ、仕事がちょっと長引いちゃってさ。ごめんね」
そう謝って、カプチーノのドライバーの女性 篠田 文乃は真子たちの前に座った。
文乃は真子がと沙雪が碓氷を走り始めた頃に会った女性で、初心者だった頃は時たまに彼女らに走りを教え込んでいたのだ。
「ハイこれ。秋名湖行った時のお土産ね!」
「ありがとうございます。それで、私達に話って何です?」
真子が早速聞いてくる。
「うん、ちょっと聞きたい事があってね。この前、“秋名のハヤブサ”とバトルしてたでしょ?」
「え?」
「なんで知ってるんですか⁉︎」
「実はあの時、碓氷に来てたのよ。あの様子だと、負けたみたいね」
「ええ、もう完敗ですよ」
「でも、凄く楽しかったです」
沙雪と真子はそう答えた。
「そう。それじゃあ、バトルの内容について教えてくれる?」
「はい、バトルは普段通り先行後追い形式で。私達が先行でした」
「あら、そんな有利な状況で負けたの? てっきり、ちぎられて負けたのかと思っていたけど、あのコースでぶち抜いて勝つなんて……!」
沙雪の言葉に驚く文乃。
そんな文乃に、真子が言葉を加える。
「まあ、終盤のコーナーでアンダー出して、そこを突かれたんですけど……」
「それでも、終盤まであなた達の走りについて行くなんて相当よ。碓氷を走った回数だって、そんなに多くはないでしょう?」
「そんなに多くないどころか初めてって言ってましたね」
「え、初めて?」
「ええ。でも、後追い選んだのはそれをカバーするための作戦だったみたいなんですよ。私達の走りをコピーして、食いついていくための。実際、私達の分身体に追いかけられてるような気分でした」
そう沙雪が話した。
「なるほどね。鏡写しのように走りをコピーしちゃえば、同じタイムが出せる。そうすれば、少なくともちぎられたりはしない。スキが生まれればそこで抜けるし、それが出来なければ2本目で車の性能差を使って引き離せばいいって訳ね」
「私達としても、まさか負けるなんて思ってなかったです」
「ふふふ、ますます興味が湧いてきたわ。どんな子だった?」
「私達より年下、高校生でしたね」
「高校生? もしかして、私と同じでカートとかやっていたのかしら?」
「そういえば、そんな事言ってましたよ」
「なるほどね。参考になったわ」
翌日
赤城山
暗く静まり返った赤城の峠に、甲高いエンジン音が響き渡る。
13B-Tロータリーターボエンジンのサウンドだ。
その音と共に赤城の峠を駆け上がるのは白のFC3S型RX-7だ。
無論ドライバーは赤城レッドサンズのリーダー、高橋涼介である。
FCが山頂付近の駐車場まで来ると、そこには青いカプチーノが停まっていた。
「久しぶりね、涼介。3年振りかしら」
「やはり、うちのチームメンバーにちょっかいをかけていたのはお前だったか、文乃」
「そうすれば、あなたがその内出てくると思ってね」
「3年前の事で、俺にリベンジでもしに来たのか?」
それはまだ涼介が赤城レッドサンズを作る前の事だ。
文乃と涼介は1度バトルをし、文乃が負けたのだ。
彼女はそれ以来より熱心に走り込むようになり、カプチーノのチューニングも見直して、さらに速くなっていた。
「そうね。でも、その前に1つ聞きたい事があるの。最近、群馬エリアで話題になってる2人の走り屋がいるでしょう?」
「“秋名のハチロク ”と“秋名のハヤブサ”の事か?」
「そう。あなたから見て、その2人はどうなの?」
「ハチロクの方だが、かなりの腕だぜ。無駄な減速を一切せずに、最速かつ最短のラインを描けるスーパーテクニック。正直、俺もあれほどの領域でFCをコントール出来ていない。奴は、俺の提唱する公道最速理論の完成形に最も近いサンプルの1つだと言えるな」
「へえ、あなたがそこまでベタ褒めするなんてね。ハヤブサの方は?」
「そっちはまだなんとも言えんな。だが高性能なインプレッサとはいえ、車はほぼノーマルであるにも関わらず啓介を倒せるとなると、かなりの腕前だろう。まあ、ハチロクに比べれば多少は見劣りするだろうが……」
「なるほどね。よく分かったわ」
「それで、何故そんな事を聞きに来たんだ?」
涼介が訝しげに聞いてくる。
「実はね、以前私が走りを教えてた子達が“秋名のハヤブサ”に負けたの。今じゃ碓氷最速って呼ばれるくらいになっていたんだけどね……」
「……まさかお前」
「ええそうよ。私がハヤブサに勝ったら、あなたにリベンジさせてもらうわ!」
「‼︎」
「こうすれば、弟が負けて面目潰れかけてるあなたは私とのバトルを受けざるを得なくなる上に、後輩達のリベンジが出来る。一石二鳥って訳」
「お前とハヤブサとのバトルか……。興味深いな」
「決まりね。日程決まったら、連絡するわ」
文乃そう言うと、カプチーノへと乗り込んで赤城の峠を下って行った。
今日も今日とてクソ暑い中GSでバイトである。
そんな中、1台の車がスタンドに入ってきた。
音からして走り屋の車だろうと思い、お客さんの元へ向かう。
「いらっしゃいま……!」
それは見覚えのある車だった。
白い長野ナンバーのナンバープレートを付けたカプチーノ。
あの時のカプチーノで間違いない。
というか、ドライバー女性だったんだ……。
「ハイオク満タンで」
「あ、はい。かしこまりました」
おっといかんいかん。
そんな事はさておき、仕事の方だ。
給油ノズルを差し込んで、窓拭きを始める。
窓拭きをしている間、ドライバーの女性がメチャクチャこっちを見てくる。
視線からして、名札を見てるのかな?
正直凄く落ち着かない。
「“秋名のハヤブサ”って、あなたの事でしょ?」
「‼︎」
「碓氷でのバトル見てたの。まさか、あそこであの子達が負けるなんて思わなかったわ」
「……“インパクトブルー”のお二方とお知り合いで?」
「ええ。あの子達にドラテクの基礎を叩き込んだのは私なの」
なるほど。だから俺のことを知ってて、その上あれだけのテクを持ってる訳だ。
「単刀直入に言うわ。私とバトルしてくれる、秋名の下りで?」
「構いませんよ。日時はどうしますか?」
「そうね、次の土曜日の9時からでどう?」
「分かりました、そうしましょう」
「決まりね」
そして給油作業が終わり、給油口のキャップを閉じる。
「それじゃあ土曜日ね。楽しみにしてるわ」
そして、カプチーノはスタンドから出て行った。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
次回、文乃VS隼人
ご期待下さい!