前回、1週間では投稿できないと言ったな?
あれは嘘だ
ウワアアアアアアア‼︎
はい、という訳1週間以内に投稿出来ました。
最近モチベが復活したのと、暇な時間が増えた事で自分でもちょっとビックリするくらい速いペースで書き進められたんですよね。
上手くいけば、しばらく7〜10日くらいのペースで更新出来ると思います。
さて、前回も予告した通り隼人VS文乃です。
隼人くんは軽量コンパクトなカプチーノ相手にどう戦うのでしょうか。
カプチーノを見送ると、池谷先輩が駆け寄ってきた。
「おい隼人、今の車って……」
「はい、俺がこの前会ったカプチーノですよ」
「何か話してたみたいだけど、もしかして」
「ええ、俺への挑戦でしたよ。しかも、あの真子さんに走りを教えた人でした」
「なんだと、本当なのか⁉︎」
「俺の事を知っていたんで、間違いないでしょう」
「そんなヤツが次の相手なのか……。勝ち目はあるのか?」
「一応あるとは思いますけど、これはかなり骨が折れそうですね」
土曜日
秋名山
秋名の峠には、“秋名のハヤブサ”が県外から来た走り屋とバトルすると聞いてやってきたギャラリーで埋め尽くされていた。
「とうとうこの日がやって来たな」
「ハヤブサのドリフト、早く見てえな」
「ああ、4WDとは思えない豪快なドリフトするもんな」
「そういえば、ハヤブサの相手はどんなヤツなんだ?」
「なんでも、女らしいぜ。しかも、車種は軽のカプチーノ」
「女でカプチーノだあ? こりゃ流石にハヤブサの楽勝だろう」
「でも、長野じゃ結構有名な走り屋らしい。油断は禁物だと思うぜ」
そんな会話が峠の道端でされている頃、スタート地点にはすでにスピードスターズのメンバーが集まっていた。
そして、秋名を流していた隼人がスタート地点へと戻って来た。
「車の調子は良いです。あとは、相手が来るのを待つだけですね」
「それで隼人、作戦とかあるのか?」
池谷が隼人に聞いてくる。
「そうですね、一応2つ用意してあります。1つ目は、馬力と駆動方式の差を活かしてストレートでちぎる作戦です。軽量コンパクトなカプチーノを相手にする以上コーナリングではまず勝ち目は無いので、上手くストレートで引き離しにかかります」
「それで、2つ目は?」
「それは秘密です。でもまあ、この作戦は結構な博打になりますね」
「おいおい、それ大丈夫なのか?」
「分かりません。だから出来れば1つ目の作戦で勝ちたいですね。でも、そう簡単に行くとも思えないんですよねー。どの道、どちらかの作戦が上手くいかなきゃ負けるだけです。まあ、負けるつもりなんて毛頭ありませんけど!」
そんな話をしていると、下の方から車が1台上がって来た。
青いカプチーノである。
そしてカプチーノはインプレッサの隣で止まり、ドライバーが降りてきた。
「それじゃあ、今日は宜しくね」
「ええ、こちらこそ。そういえば、名前聞いてませんね」
「ああ、言ってなかったわね。私は篠田文乃よ」
「あらためて、中島隼人です」
お互いに自己紹介を終えると、そのまま車に乗り込んだ。
「スターターは、俺がやるよ」
そう言って、池谷が2台の前に立った。
「それじゃあカウント始めるぞ! スタート5秒前……4……3……2……1……GO‼︎」
池谷の合図で、2台はホイールスピンさせながら一気に加速していき、そのまま暗闇の中へと消えて行った。
「どうなるかな、今回のバトル」
「さすがに隼人の圧勝じゃないっすか? チューニングしているとは言え、隼人が軽のカプチーノなんかに負けるとは思えないっすよ」
軽いノリでイツキが答えるが、池谷と健二の顔色は険しい。
「いや、油断はならないぞ。隼人の言った通り、ストレートはインプレッサの方が圧倒的に有利だが、コーナー勝負じゃカプチーノの方に分がある」
「ああ。なんたって、車重がインプレッサの半分なんだからな。それにたった100馬力でも、軽のカプチーノなら十分な
「車の事はよく分かんないけど、相手のドライバーかなり上手いと思いますよ」
池谷と健二に続いて、拓海も言った。
「走りも見てないのに分かるのか?」
「なんとなく、雰囲気がそうなんです」
「……そうか。これは、下手すると高橋涼介以上の強敵かもしれないぞ……!」
拓海の言葉を受けて、ぽつりと池谷は呟いた。
スタートダッシュを決めた2台はグングンと加速していく。
しかしながら、馬力と駆動方式の差でインプレッサがじわりじわりと突き放していく。
だが、隼人の顔はあまり芳しくなかった。
(思っていたよりも
そんな事を考えつつも、インプレッサはすぐ様第一コーナーへと侵入する。
ブレーキランプを灯らせて、甲高いスキール音と共にコーナー駆け抜けて行く。
「うおお、ハヤブサ凄え‼︎」
「4WDであんなドリフト普通は出来ねえよ‼︎」
「さすがにカプチーノじゃあ分が悪いか?」
そう呟いたギャラリーの前を、強烈なスキール音と共にカプチーノが駆け抜けて行った。
「おいおい、マジかよ……!」
「今のコーナリング、“秋名のハチロク ”より速いんじゃないか……?」
ギャラリー達が驚いている中で、隼人はバックミラーを覗いていた。
(さすがというか、コーナーはクソほど速いな。やはり、前半のストレートの長い区間で、どこまでアドバンテージを取れるかにかかってくるが、はてさてどのくらい離せるだろうか……)
そう考えつつアクセルを底まで踏み込む。
それに引き離されまいと、カプチーノも追い縋る。
インプレッサは、緩い右を抜けた直後に現れるヘアピンを甲高いスキール音を立てながら、四輪ドリフトで抜けていく。
インプレッサがヘアピンを抜けから、すぐにカプチーノもヘアピンをクリアする。
そのコーナリングに、ギャラリーは驚嘆していた。
「嘘だろ、カプチーノってあんなに速く曲がれるのかよ……!」
「ハヤブサも凄かったけど、カプチーノの方が桁違いに速い……!」
「これ、ハヤブサちょっとヤバいんじゃないか?」
カプチーノが詰めてきている様子を、隼人もバックミラーで確認していた。
(詰められてる……。どんだけコーナー速いんだよ。これは、前半のストレート区間でマージンを取るプランAじゃ負けるな。となると、プランBで行くしかない。やれるかどうかは分からないけど、出来なきゃ負けるだけだ!)
そう決めて、すぐに思考を変えた。
(さすがね。“秋名のハヤブサ”と呼ばれるだけの事はあるわ。押さえるべきポイントをしっかり押さえてて、4WDの加速力を存分に活かしてる。でも、今のところは面白みが無いのよね。ただ淡々と無駄なく走っているって感じ。もしこれが全開だとしたら、あの子達でも楽勝出来たはず。だから、間違いなく1つ上のギアを隠してる。余裕からなのか、作戦なのか……)
文乃はインプレッサの動きを眺めながら、そう考えていた。
その後もカプチーノがストレートで離されつつも、コーナーで詰めるという展開を繰り返す。
そして2つのヘアピンを抜けて、秋名の峠の中でアクセルオンが最も長くなるスケートリンク前のストレートへと出た。
そしてその頃には、既にカプチーノはインプレッサの真後ろに張り付いていた。
(アクセル全開でも離れない。まあ、
隼人は気を引き締める。
一方の文乃は、馬力と駆動方式の差をスリップストリームを利用して上手く埋めていた。
(後ろから観察して分かったけど、流している事を加味して考えてもコーナーワークのテクニックに差はほぼ無いわね。車の勝負なら、ストレートで離すべきなのに全然やる気が見れない。そっちその気なら、先に仕掛けさせてもらうわよ!)
そして、カプチーノが動いた。
コーナー侵入前に、インプレッサの影から出る。
(なっ、いきなりかよ!)
インプレッサがブレーキングに入る直前に、カプチーノはイン側のラインへと飛び込んでインプレッサより奥のポイントでブレーキングを開始し、そしてそのままターンインに入るタイミングでインプレッサの前へと出た。
「うわあ、ハヤブサが抜かれちまった!」
「こんなところで仕掛けてくるなんて……!」
「これはハヤブサも驚いただろ……」
隼人が抜かれた事は、スタート地点にいる池谷達にも伝わった。
「……そうか、隼人が抜かれたのか」
「ちょっとヤバいんじゃねえのか、池谷」
「落ち着けよ、健二。まだ負けた訳じゃない。それに、隼人はあらかじめ2つ作戦を用意していた。ストレートと立ち上がり加速で引き離すプランAがダメでも、まだプランBがある」
「でも、博打とも言ってただろ?」
「ああ。それでも、隼人は勝ち目があると考えてバトルを受けたんだ。だから、アイツを信じよう」
スタート地点でスピードスターズのメンバーが心配している間も、バトルは続いていた。
(あの2人から聞いた限りだと、“秋名のハヤブサ”は走りのコピーを得意としている。けど、私の走りはコピー出来ないでしょう?)
碓氷峠でのバトルにおいて、インプレッサと駆動方式の異なるシルエイティの走りを隼人がコピー出来たのは、車重や馬力、車の大きさなどがある程度近かったからだ。
しかしながら、カプチーノ相手にはそれが出来ない。
車重がおよそ半分な上に、車体の大きさもまるで違うからだ。
車重が軽ければ、タイヤの負荷を減らして遠心力に対抗するためのグリップをより多く使える。
車体が小さければ相対的に道幅が広がるため、ラインの自由度が変わる。
実質的に、よりイン側に、よりアウト側に車を寄せられるようになる。
その上、コースのレイアウトもカプチーノを味方していた。
(スケートリンク前のストレートを抜ければ、しばらくは高速コーナーの乱立する。インプレッサが
一方の隼人は、抜かれたにも関わらず落ち着いていた。
(思っていたよりも早く抜いてきたな。さてと、問題はここからだ。このバトルには
そして、カプチーノを追撃して行った。
カプチーノは高速でコーナーの乱立するエリアを駆け抜け、その勢いのままにヘアピンコーナーをクリアする。
「うおっ、カプチーノ速え!」
「軽って、あんなに速く曲がれるのか……!」
ギャラリーが驚いている間に同じヘアピンにインプレッサが高速で侵入し、そのまま四輪ドリフトでコーナリングしていく。
その直後だった。
インプレッサがコーナーを脱出すると同時に『カンッ』という軽い音がその場に響いた。
「……今、リアバンパー擦ってなかったか?」
「あ、ああ。間違いなく接触してたぜ」
「限界ギリギリまで攻め込んでるってことかよ……!」
そんなギャラリー達を気にすることなくインプレッサは加速していく。
(うおおお、ケツ擦ったぁ‼︎ やっぱり、上手くいかないな……。良くて5割ってとこか。だけど、ここでビビってたら勝てない。神業じゃない、人間がやってる技なんだから俺だってやれるはず。集中しろ、一瞬でも集中を切らしたら1秒足らずでクラッシュなんだから……!)
その頃、文乃は違和感を抱いていた。
予想よりも、インプレッサが離れていないのだ。
(あれ、思っていたよりも離れてない。ストレートで詰められてるから? それともタイヤの消耗覚悟で突っ込んでいるのかしら?)
そう疑問に感じたものの、特に気にせずストレートを突っ切っていき、すぐに次のヘアピンカーブを抜けていく。
そのすぐ後にインプレッサもコーナーへと侵入して、そのままクリアしていく。
そのヘアピンには、“インパクトブルー”の2人もいた。
「流石ね。やっぱり、文乃さんもハヤブサもそんじょそこらのドリフト小僧とは桁違いにレベルが高い」
「でも勝負あり。このバトル、文乃さんの勝ちね」
「そうかしら? 確かに前に出たからには、文乃さんは抜かせるつもりなんて毛頭ないでしょう。でも、ハヤブサのラインはとんでもなくシビアだった、文乃さんのカプチーノ以上にね。アイツは、まだ勝負を諦めてないわ」
急接近してくるインプレッサを見て、文乃にも焦りが生まれる。
(詰められてる……! コーナーでほとんど離せていない? 一体どうやって……?)
そう考えている内に、1つの結論へとたどり着いた。
(まさか……“秋名のハチロク”⁉︎ ハチロクの走りを
実際、その通りであった。
隼人は1度ハチロクに乗せてもらい、そこで拓海の走りを “秋名のハチロク”の走りを体験していた。
それに加えて、拓海が妙義ナイトキッズの庄司慎吾とバトルした時に、隼人は後ろから追走してその走りを見ていた。
その経験から、不完全ではあるが隼人は“秋名のハチロク”の走りを再現してカプチーノを追撃していたのだ。
(よし、ついて行けてる。ちゃんと差を縮められている。走れてる! さあ、もう一踏ん張りだ。頼むぜ、インプレッサ‼︎)
そしてストレートで差を詰めていき、高速コーナーを抜けてテールトゥーノーズの状態へと持ち込んだ。
(大丈夫。この先は5連続ヘアピン、タイトなヘアピンが連なっているあの場所でインプレッサに抜かれるなんてあり得ないわ。ここで少しでもアドバンテージを作る!)
( なんて考えてたりするのかな。だとしたら、俺を甘く見すぎだ)
そして、2台は5連続ヘアピンへと侵入していく。
甲高いスキール音を響かせ、高速パラレルドリフトでヘアピンを駆け抜けていく。
(くっ、コーナリングの差が小さいせいで、加速力の差が際立っている……! でも、最速ラインを外さなければ抜かれない。ストレートだって、ブロックすれば問題ない。負ける要素は無い。なのに、この嫌な気配はなんなの?)
そして3つ目のヘアピンを抜けた瞬間、隼人が仕掛ける。
「ここだ! 拓海借りるぜ、お前の技‼︎」
コーナーの立ち上がり、カプチーノがアウトにラインを振って空いた隙間にインプレッサを滑り込ませる。
(無茶よ! こんな場所で抜けるわけが無い、オーバースピードだわ‼︎)
そんな事はお構い無しとばかりにインプレッサは高速でコーナーへと入る。
オーバースピードに思われたインプレッサだが、『ドゴッ』という音を出した瞬間、ジェットコースターのようにヘアピンを脱出して行った。
「嘘……でしょ。そんな事、ある訳……」
あまりの衝撃に、ポカンとなる文乃。
そんな事はつゆ知らず、インプレッサは4WDの加速力で引き離しにかかる。
4つ目と5つ目のヘアピンは少し離れており、少し長いストレートがある。
隼人はそこを狙い、4つ目のコーナーで抜いたのだ。
(よし、あとは全力で逃げるだけ!)
だが、文乃も食い下がる気はなかった。
(引き離される訳にはいかない!)
逃げるインプレッサを全力で追いかけるカプチーノ。
しかしながら、そう簡単には抜き返さない。
続く2つのヘアピンで、カプチーノはツッコミでインプレッサに食いつくものの、立ち上がり加速の差で引き離される。
(ツッコミがコース前半よりも速い。タイヤを温存していたのね、ここで勝つために!)
隼人がコース前半で全開で走らなかったのは、ここのポイントでタイヤのおいしいところを使うためだった。
残ったグリップを存分に使い、隼人は全力で逃げにかかる。
そして、最後のヘアピンを抜けて、コース終盤の長いストレートへと入る。
(行っけえ‼︎)
その瞬間、隼人はアクセルを底まで踏み込んでフル加速していく。
直後、カプチーノもヘアピンを抜けて立ち上がる。
しかしながら、コース前半のスケートリンク前のストレートの時のように詰める事は叶わず、差は開いていく。
スリップストリームの恩恵を受けられる場所まで、詰める事が出来なかったのだ。
そこからカプチーノは追い縋るものの、終盤の長いストレートで生まれた差を詰める事は叶わず、そのままインプレッサが先にゴールラインを横切った。
麓の駐車場にて
「完敗ね。私の負けだわ」
「ハハハ、ギリギリでしたけどね……。フロントタイヤ、見てもらえます?」
俺がそう言うと、文乃さんはインプレッサのタイヤを見た。
「‼︎」
「見ての通り、フロントタイヤのグリップほとんど使い切ったんですよ。しかも切れたのが丁度最後のヘアピンのあたり。あそこで食いつかれたら、負けてたのは俺ですよ」
「そう……。でもそれはタラレバ話、バトルの結果が全てよ」
一呼吸置いて、文乃さんは俺に向き直った。
「今のあなたなら、アイツにも……“赤城の白い彗星”にも勝てるはずよ。頑張ってね」
文乃さんは意味深なことを言うと、カプチーノに乗り込んで市街地へと走って行った。
「……“赤城の白い彗星”?」
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次回、あの男が動き出します。
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