ただ、それ以上に嬉しい事が今日起きました。
SSRアリスがやっと来ました‼︎
頑張った甲斐がありましたよ!
その後、SSRリリーピックアップガチャにてたった10連でリリー来ました……。アリス以外は何故こんなにも出てくるんだろ?
因みに56の由来は、誕生日が6月23日なのですが23に2+3にして6と前後逆にすると56になるからなのと、暗殺教室が1番最初にハマった漫画だからです。
さて、今回は拓海と隼人の2連戦です。
2人は初めてのコースをどう走るのでしょうか。
雨が降りしきる中、ダウンヒルのスタートラインにS14とハチロクが並べられる。
スターターは、高橋啓介がやるようだ。
「それじゃあカウントいくぜ! スタート5秒前……4……3……2……1……GO‼︎」
合図と共に、2台はカタパルトから射出されたようにスタートダッシュした。
「さすがに、スタートダッシュはS14だな」
「ああ。ノンターボとはいえ、エンジン排気量は2リッターもあるからな」
「単純な排気量の差だけじゃないですね。滑る路面にも関わらず、上手くクラッチを繋いでいきました。自分で雨が得意だって言うだけの事はありますね。でも、拓海のスタートダッシュには余裕が感じられました。俺には、走り出してしまえばいつでも追いつけるって考えているように見えましたよ」
「そうか?」
「ええ。アイツが雨だからって理由で負けるとは思えませんよ」
そんな話をしている内に、2台はコーナーの先へと消えていった。
妙義の峠で、最も高いポイントのコーナーをS14が駆け抜けて行く。
しばらくして、同じコーナーをハチロクが疾走する。
「随分差が開いたな。やっぱり、テンロクのハチロクには上りはキツいか」
「だけど、ここから麓までは永遠と下りコーナーが連続する。下りになれば、群馬でトップクラスのダウンヒラーであるハチロクのスーパーテクニックが出る。このままやられっぱなしって事はねえだろう」
ギャラリーがそんなやり取りをしているのにも目をくれず、ハチロクはさらにコーナーを駆け抜けていった。
一方、S14を駆るケンタは全力で逃げる事に集中していた。
(絶対追いつかせるもんか。このマージンをどんどん広げてやる! 雨が降っているこの状況なら、俺のQ'sはターボ車だってちぎれるんだからな‼︎)
その頃、頂上では池谷達が拓海の事を心配していた。
「ちくしょう、また激しくなってきやがったぜ」
「どちらの地元でもないし、条件は五分と五分。問題は、この雨だな」
「アイツ、雨でも走れるのかな?」
そんな心配そうにしている2人に対して、1人だけ平然としている者がいた。
「走れるでしょ、雨だろうが雪だろうが毎日とうふの配達で秋名を走ってるんですから」
隼人であった。
「「‼︎」」
「そうだよな、絶対そうに決まってる!」
「となれば、拓海のハイレベルなドライビングテクニックは、雨でも関係なしに通用するって事になる!」
実際その通りであった。
ハチロクは序盤こそ距離を離されたが、着実にその差を埋めてきていた。
そんな事もつゆ知らず、S14は妙義の峠を下っていく。
「あのS14、雨の中だってのに良い走りしてるぜ」
「FRって、雨だと本当に難しいからな」
「ああ。踏んでも横向くだけで、全然前に進まないもんな」
ギャラリー達がそんなやり取りをしている内に、ハチロクもその場所に侵入し、先程のS14を遥かに凌ぐハイスピードでコーナーをクリアしていく。
「し、信じられねえ! 雨の中で、あんなドリフトが出来るのかよ‼︎」
そして、その勢いのままに立ち上がっていく。
「ゾッとしたぜ……!」
「鳥肌立った……!」
だが、1番驚いていたのは同じハチロクに乗っているイツキだった。
(こ、これがついさっきまで色ボケしてた男の走りか……? 無理しねえとか言ってくせに、こんなとんでもない走りが拓海にとっては普通なのかよ! しかも、雨と夜で何も見えない。道路がどこにあるかさえ分からねえじゃねえか‼︎)
イツキが衝撃を受けている間にも、拓海はそのテクニックで車をコントロールしていく。
そして、その視界には赤い光点が見え始めた。
一方、ケンタはハチロクとの差が僅かとなっている事にも気づかずに妙義の道路を攻め込む。
(乗れている。今日の俺は絶好調だぜ! “秋名のハチロク”の不敗神話も今日限りだ。啓介さんでもなく、涼介さんでもなく、この俺がハチロクを倒すんだ‼︎)
そう意気込んでいるのも束の間、バックミラーに2つの光点が映る。
「何!」
ハチロクが、S14の真後ろのところまで追いついたのだ。
(ハチロクが、すぐ後ろに……! いつの間に、嘘だろ? まだ本格的な下りに突入してから、数えられるほどしかコーナーを抜けていないっていうのに……。俺が、雨のダウンヒルでこんなに呆気なく追い詰められるなんて……! でも……まだ負けた訳じゃない‼︎)
そう切り替えて、ケンタはアクセルを踏み込んでいく。
しかし、次のコーナーであった。
ハチロクはインカットしてS14の内側に潜り込み、そのままコーナーでぶち抜いて行った。
「す、凄え……!」
「アッサリ抜いていきやがった……!」
「ずぶ濡れになって待っていた甲斐があったぜ!」
そのオーバーテイクに、ギャラリーは唖然とする。
抜かれたケンタは必死に追い縋ろうとするものの、まるでハチロクについていけない。
(コーナー1つ抜ける度に、確実に差が開いていく。同じスピードで、コーナーに飛び込めない! 俺とアイツの何がそんなに違うんだ、雨は俺の味方じゃなかったのかよ⁉︎)
そう考えながら必死にコーナーを攻め込んでいくが、一向に差は埋まらず、遂にはハチロクの姿は見えなくなっていた。
“秋名のハチロク”VSレッドサンズのS14の勝負は、ハチロクが勝った事がスタート地点に伝えられた。
まあ、当然だよな。
アイツの走りに、天気は関係ないんだ。
さてと、俺もそろそろ準備しないとな。
「それじゃあ池谷先輩に健二先輩、俺はそろそろ行きます。悪いんですけど、ここで待ってて下さい。後で拾いに来るんで」
「チェッ、つまんねえな。折角なんだから乗せてくれたって良いのによ」
そう健二先輩が言うが、無理な相談である。
「いやいや、3人も乗ったら重量オーバーでブレーキ死にますって」
「諦めろ健二。俺達が、2人の本気のバトルを邪魔する訳にはいかないだろ」
「すいませんね、池谷先輩」
俺はそう言い残して、すぐに車の方に向かった。
車の所まで来たら、エンジンをかけてスタートラインにインプレッサを止める。
そのすぐ隣には、疾風さんのレガシィが並ぶ。
今度のスターターは、中里のようだ。
「カウントいくぞ! 5秒前……4……3……2……1……GO‼︎」
そして、バトルが始まった。
スタートダッシュで頭を取ったのは、レガシィだ。
「さすがは小山、雨だってのに完璧なスタートダッシュをキメやがった」
「だが、ハヤブサの方はあえて後ろに付いたといった感じだな」
「なるほど、ここは小山のホームコース。後ろから観察しようって魂胆なんだな」
それが、スタートダッシュを見た高橋啓介と中里の考えだった。
(さーてと。後ろから見させてもらいますよ、疾風さんの走り!)
(後ろから見てぶち抜く気か。その余裕が命取りにならなきゃいいがな!)
お互い強い気迫を発しながら加速していき、最初のコーナーを抜けてすぐ次のコーナーへと入り、そのままスタート地点からは見えなくなっていった。
(先輩達から聞いた通り、かなり弄ってるな。それに、結構上手い。GT-Rに乗り換える前の中里と互角にやり合ったって自分で言うだけの事はあるな)
疾風は雨で滑りやすくなっているにも関わらず、コーナーの立ち上がりでアクセルを踏み込んでいく。
しかしながら、隼人も負けじとそれに食らいついていく。
バトルの展開に変化はなく、いまだ硬直した状況が続く。
そのまま、新たなコーナーが見えてくる。
どちらも最小限の減速を終え、ドリフト状態でコーナーをクリアしていく。
「うおお、どっちも凄え!」
「前走ってんのレガシィだろ? レガシィってあんなに速く走れるのかよ!」
他所の峠から来たギャラリーが驚く。
そして、その言葉にギャラリーしていた妙義の走り屋が答える。
「ああ。レガシィの小山疾風は、妙義じゃ5本の指に入る凄腕だ。特にレインバトルじゃ負け無しで、雨ならナイトキッズの中里や庄司にさえ勝っちまうほどなのさ!」
「マジかよ、それ!」
「レガシィなのにか?」
その言葉に驚く他のギャラリー達。
そんな中、2台は次のコーナーへと消えていく。
(さすがは“秋名のハヤブサ”、このくらいじゃあ離れないか。だが、ここからが本番だ。妙義最強のレインバトラーの俺について来れるかな!)
疾風はさらにペースを上げていく。
さらにアクセルを踏み込んでいき、滑る路面をものともせず加速していく。
そして、次のコーナーでタイヤを滑らせる事なくブレーキングし、そのまま高速四輪ドリフトに移る。
「うわあ!」
「マジかよ、まるでWRCのラリーカーじゃねえか!」
「レガシィメチャクチャ速え!」
ギャラリーから驚嘆の声が上がる。
だが、そんな走りにも臆する事なく隼人はレガシィすぐ後ろで食いついていく。
(速い。雨が降っているのにこれだけのペースで走れるとは。でも、ついていけない訳じゃない。それに、弱点だってある。このバトル、勝たせてもらいますよ!)
そう意気込み、レガシィに食いついていった。
そしてその頃、バトルの状況がスタート地点に伝えられていた。
『今、レガシィとインプレッサが通過。差はほとんど無し!』
「そうか、分かった」
報告を聞いて、中里は電話を切った。
「どうだって?」
「相変わらずさ。レガシィが前、そのすぐ後ろをインプレッサだそうだ」
「そうか……。それで、お前はこのバトルについてどう読んでるんだ、中里?」
高橋啓介が聞いてくる。
「これはさすがに、ハヤブサには分の悪いバトルじゃないか。小山はここのコースを知り尽くしている。それに、アイツはレインバトルが得意なのさ。『雨の日は他の走り屋がほとんど居ないから好きなだけ走れるし、タイヤの消耗も少なくてサイフに優しいから』とか言って、雨の日にはほぼ必ず妙義に来て走り込んでいるからな。ハチロクと同じで、ハヤブサにも天候は大して関係ないだろうが、それでも難しいだろ。アイツは、雨の日に限れば俺や慎吾にさえ勝っちまう、妙義最強のレインバトラーなんだからな」
「なるほどな、確かにハヤブサが不利だ。だが、アイツはそう簡単にはやられはしないだろう。何せ、ハチロクのあの技を目で見て
「あの技って、まさか!」
「ああ、イン側のタイヤを溝に引っ掛けて曲がるアレだ。それに、車じゃあインプレッサの方が有利だ。レガシィよりコンパクトで軽量な車体のインプレッサは、コーナーでも速い。特に、この雨の状況ならな」
頂上にて2人が話し合っている中、疾風は追い詰められつつあった。
(は、離れない……! こっちはこれ以上踏み込めないギリギリだってのに、平然と食いついてくる。確かに、車が軽量コンパクトな分コーナリングは俺のレガシィより良いだろうが、それでもここまでアッサリいくものなのかよ! クソッ、このままじゃあジリ貧か……いや、ここが踏ん張り所なんだ!)
それに対して、隼人は相手の隙が生まれる瞬間を今か今かと待ち構えていた。
(あと少し、あと少しだ。次のあのコーナーで抜けるはずだ!)
そして、隼人の狙っていたパッシングポイントがやってくる。
コースのおよそ3分の1のポイントにある緩い左の高速ヘアピンで、インプレッサは一気に外側のラインへと回り込む。
(なんだと!)
(レガシィは、インプレッサに比べて車体が大きい上に車重もある。オマケに、峠での全開走行を前提とした設計になっていない。それ故、クイックなハンドリングが要求される複合コーナーやS字コーナーに弱い。それが、その車の弱点だ‼︎)
そしてインプレッサは直後に現れるキツイ右コーナーでインカットし、レガシィを抜き去っていった。
「うおお、ハヤブサが前に出た!」
「凄え、ギリギリな所をキレイにインカットしていきやがった!」
「強烈だぜ……!」
“秋名のハヤブサ”のパッシングに、ギャラリーから大歓声が上がる。
それとは対照的に、疾風は悔しそうな顔を浮かべる。
(くっ、やられた! でも、まだ負けた訳じゃない。最後まで諦めねえぞ!)
疾風は切り替えて、すぐに追撃体制へと移る。
しかしながら、コーナーを抜ける度にじわりじわりと離されていく。
エンジンパワーでは僅かにレガシィが上回っていたものの、ダウンヒルではである以上その差はまるで役に立たない。
その上100キロ以上も軽く、車体も一回り小柄なインプレッサはレガシィよりもコーナーが速い。
そして何より、ドライバーのテクニックの差がインプレッサとレガシィの差を埋める事を許さなかった。
最終的に、5秒以上の差をつけてこの日最後のレインバトルは“秋名のハヤブサ”の勝利に終わった。
疾風さんとのバトルを終えて、俺は頂上のスタート地点まで戻ってきた。
「隼人、疾風、お疲れ様」
「どっちも凄え走りだったそうじゃねえか」
「ああ。後輩の成長が嬉しいよ」
池谷先輩と健二が迎えてくれた。
「ありがとうございます、負けましたけど……」
項垂れながらそう答える疾風さん。
バトルする以上、全力を尽くすのが礼儀だ。
だがしかし、今俺の心は気まずさで溢れかえっている。
「それで、お前は楽しかったのか?」
「え?」
「だから、今回のバトル楽しめたのかって聞いてんだよ」
「走る理由の原点は楽しむ事だって言ったの、お前だろ?」
池谷先輩と健二先輩が言い募る。
「……それはもちろん。負けた悔しさはありますけど、どこか清々しい気分ですね」
「ならよかったじゃねえか」
「お前らが楽しむ事が出来たんであれば、俺達それで満足だよ」
「そうそう」
「それと、なんか困った事があれば、秋名に来い」
「俺達が出来る事であれば、なんでも聞いてやるからさ」
「先輩……ありがとうございます!」
その言葉を聞いて、疾風さんの顔もちょっと明るくなった。
そして、疾風さんがこちらを向く。
「聞いたぜ。来週、高橋涼介とバトルするんだろ?」
「ああ、はい」
「俺も見に行くよ。お前の走り、楽しみにしてるぜ」
「……はい!」
こうして、妙義でのトリプルレインバトルは幕を下ろした。