頭文字D 〜公道のハヤブサ〜   作:Many56

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どうも、2日連続投稿なんて初めてやったMany56です。
最近のアプデで色々変わった頭文字DACの対戦で使用する3台に悩みまくってます。
アプデで番車が結構変わりましたからね。
特にテクニカルコースなんて大概ロードスターで埋まっていたのが、コースごとに変わってきてますから。
現状EG6、S13、MR-2あたりが妥当かなって思ってます。
さて、ついに高橋涼介戦です。
隼人は群馬のカリスマ相手にどんな走りをするのでしょうか!


Act.21 Last Battle of Summer

 

 

 

10時を目前に、秋名山頂上には2台の車が並べられる。

1台は、マツダの生み出したロータリーエンジンを搭載したFR最強クラスのコーナリングマシン、FC3S型RX-7。

もう1台は、ラリーでの勝利を目標にスバルが製作してWRCにて世界最強の称号を3度も手にした超高性能ラリーカー、GC8型インプレッサWRX。

 

「高橋涼介だ」

 

「中島隼人です」

 

お互い端的に自己紹介を終えると、すぐさま車に乗り込んだ。

そして、エンジンを温めるために空ぶかしを始める。

スターターとして、2台の前に涼介の弟、啓介が立った。

 

「それじゃあカウント始めるぞ!」

 

その言葉で、周囲の緊張感はさらに高まる。

 

「スタート5秒前………4………3………2………1………GO‼︎」

 

そして合図と共に、2台はフルスロットルでスタート地点から飛び出していった。

 

「始まった。秋名山史上最高のダウンヒルバトルが‼︎」

 

「よし、インプレッサが頭を取った‼︎」

 

「隼人、行っけえ‼︎」

 

そのスタートに、スピードスターズのメンバーを始め、多くのギャラリーが興奮する。

だが、それとは対照的に落ち着いていた人物がいる。

スターターを務めた啓介だ。

 

(いつものアニキのやり方だ。ここ一番のバトルの時は、わざと相手を先行させて勝負所で後ろからブチ抜く! どんなヤツが相手でも、そうやって勝ってきたんだ‼︎)

 

前を譲られた事はバトルしている隼人も気づいていた。

 

(わざと前を譲ったな……後ろからブチ抜くつもり満々って訳か。やれやれ、こうされると死ぬほど走りにくいんだよなぁ〜。でもそんなの関係ねえ、最後にゴールするのは俺だ!)

 

2台はそのままどんどん加速していき、第1コーナーへと突入する。

強烈なレイトブレーキングから、流れるように四輪ドリフトへと移る。

甲高いスキール音を奏でながら、2台ともそのままの勢いでコーナーを抜けていく。

そのコーナーワークに、ギャラリーのボルテージは一気に上がる。

 

「うおおおおお、今にも当たりそうなツインドリフト!」

 

「どっちも凄え!」

 

「ああ。乗っけから、2人とも見せつけてくれるぜ‼︎」

 

さらに、2台とも次のコーナーを超高速で駆け抜けていく。

無論、このコーナリングにも歓声が上がる。

 

「スゴすぎるぜ、どっちもよ!」

 

「ドリフトの次はグリップ走行だ!」

 

「2台とも、あんなギリギリのラインを描けるなんて、ヤバすぎるぜ‼︎」

 

その頃、涼介は隼人の走りを観察して少し驚愕していた。

 

(驚いたぜ。文乃とバトルした時よりも、さらにライン取りが理想的になっている。以前ならばクリッピングポイントやコーナー脱出時のライン取りで空いていたスペースが小さくなっている。壁まで3〜4センチといったところか。この短期間でヤツは進化している。だが結果は変わらない、俺が勝つ)

 

そう考えつつも、涼介はしっかりハヤブサの走りをトレースしていく。

もちろん、隼人も全力も尽くして逃げに徹するが、それでも涼介のFCを振り切れずにいた。

 

(さすがは“赤城の白い彗星”! 最初から本気のライン取りをしているにも関わらずピッタリとついてくる。これは間違いなく、俺のラインとリズムを再現(コピー)しながら走っている。想像以上だぜ……!)

 

涼介のテクニックに驚きつつも、隼人は冷静さを保ちつつ秋名の峠を攻め込んでいく。

そしてスケートリンク前にある、コース最長のストレートに出る。

4WDの駆動方式を利用して、隼人はフルスロットルで駆け抜けていく。

FRである涼介はそこで僅かに離されるものの、次のコーナーのブレーキングですぐに差を埋めていく。

そしてそのまま、トリッキーな複合コーナーをどちらも四輪ドリフトで抜けて行った。

 

「凄え……! この難しい複合コーナーを、2台とも流しっぱなしで抜けていきやがった」

 

「にしても、ハヤブサはちょっと苦しいだろうな」

 

「ああ、あんなにベッタリ貼りつかれたら、とんでもないプレッシャー感じるだろうな」

 

「逃げるより追いかける方が、技術的にも心理的にも有利っていうのは走り屋の世界じゃあ常識。アイツらレベルになれば、目の前の車の走りを観察して、そのラインとリズムのコピーくらいやってのける。ましてや、後ろにいるのはあの高橋涼介だ。煽られるプレッシャーは半端じゃない……!」

 

そんなプレッシャーを浴びつつも、隼人はなんとかパニックにならず落ち着いていた。

起死回生の一手を、まだ残していたからだ。

 

(さすがだよ、高橋涼介。レースでここまで精神的にきたのは久しぶりだ。でも、これ以上長引かせると気持ちが持たなくなるんで、そろそろ千切らせてもらいますよ。いくらアンタでも、これは再現(コピー)出来ないでしょう‼︎)

 

そして、次のS字コーナーのRが右から左に切り替わる場所で、隼人はイン側のタイヤを側溝に引っ掛ける。

『ドゴッ』という鈍い音を響かせて、そのまま超高速のグリップ走行でコーナリングして、FCを引き離すはずだった。

響いたのは、『ドゴドゴッ』という音だった。

そして、超高速でコーナリングするインプレッサに、後ろのFCはいとも容易く張り付いていく。

 

(嘘……だろ? この技も再現(コピー)できるのかよ……‼︎)

 

FCも同じようにタイヤを側溝に引っ掛けて、そのままコーナリングしてきたのだ。

その事に隼人はショックを受けるが、衝撃を受けていたのは涼介もであった。

 

(凄いぜ、鳥肌モンだ……! ストレートで速い走り屋は初心者、コーナーを極めて中級、上級者はストレートでもコーナーでもない『第3のポイント』で差をつける。そのポイントを極める事こそが、俺の『公道最速理論』のメインテーマだ。“秋名のハチロク”は、その理論の限りなく完成形に近いサンプルの1つと呼べるが、その走りをこれほどのレベルで、しかも単独で再現してくるとはな。俺でも後ろから見てラインとリズムをコピーしながらであれば可能だろうが、単独では不可能と言い切っていい。恐ろしいヤツだぜ……‼︎)

 

だがしかし、隼人はそれに気付いてはいなかった。

 

(俺と同等の再現能力も持っているなんて……。こんなの、どうやったら勝てるんだよ……?)

 

その大きすぎるショックが、ミスを生む。

高速コーナーの乱立する区間を抜けてすぐに、低速ヘアピンが現れた。

 

「しまっ……!」

 

そこで、ブレーキングの開始が僅かに遅れてしまったのだ。

 

「オーバースピードだ、そんな速度じゃ曲がれない!」

 

「クッ……! 頼む、曲がってくれ」

 

ギリギリガードレールに衝突せずに踏み止まったものの、大きく失速したインプレッサは空いたイン側のラインを突かれてそのままパッシングされる。

この事は、頂上の啓介達にも伝わる。

 

『こちら、中間地点! 手前のヘアピンで、ハヤブサがアンダーを出してその隙に涼介さんのFCが前に出ました!』

 

「そうか、アニキが! それで区間タイムは?」

 

『タイムの方なんですけど、前回ハヤブサが叩き出したタイムを7秒近くも縮めてるんですよ! このペースでいくと、ゴールする頃にはどうなっていることやら……‼︎』

 

「何だと⁉︎」

 

「啓介さんの時より、7秒も⁉︎」

 

その報告に、その場にいる全員が驚きの声を上げる。

 

「やっぱり、ダメだったか……」

 

池谷が暗い雰囲気でそう言う。

 

「負けても隼人の評価が変わる訳じゃない。高橋涼介が凄すぎるんだ……!」

 

報告を聞いた啓介も、勝負ありと感じる。

 

(勝負あったな……。あとは、アニキが突き放して終いだ。それにしても、あの2人は何てことをしでかしたんだ。こんなタイム、普通は出ねえ……。ゴールする頃にはどうなってる事か……!)

 

もちろん、そんな中でもバトルは続いていた。

 

(バトル慣れしている方なのに、意外な脆さも持ち合わせていたんだな。後ろにつかれれば厄介な相手だが、逆に後ろについてプレッシャーをかければ、呆気なく崩れ去る。もう少し後ろにいて手の内を見せないでおくつもりだったんだがな。だが、前に出たからには向こう立ち直る前に、一気に突き放して勝負を決める!)

 

そして、勝負を決めるために一気に加速して行った。

だが、隼人も諦めていなかった。

それどころかすでに立ち直り、開き直ってさえいた。

 

(なんか、久しぶりに全力で逃げても食いつかれる相手にあったせいか、高橋涼介の事をとんでもなくヤバい相手だってどこかで思っていたな。まあ、実際ヤバい相手なんだけどさ。でも、抜かれた瞬間がどこかあの時に似ていた。アイツと初めてカートでレースして負けた時だ)

 

隼人は、カート時代のライバルの事を思い出していた。

驚異的な学習能力で頭角を表して、当時ほとんど無双状態と化していた隼人をブチ抜いて優勝し、それ以降最強にして最高のライバルだった少年の事だ。

 

(アイツって、レース以外はとことんふざけたヤツだったから大したように見えなかったんだけど、よく考えてみたらレースに関しては本当にヤバい相手だった。んで、ソイツと高橋涼介はヤバさで言えば同等に見える。そう考えたら、途端になんとかなりそうな相手に見えてきたわ、ハハハ……)

 

こうして一瞬にして立ち直った隼人は、いつも通り目の前の車の走りを再現(コピー)する事にした。

そうとは知らずに、全開走行で秋名を下っていく涼介。

 

(軽量コンパクトなロータリーエンジンの最大の魅力は、パワーではない。理想的な前後の重量配分によって実現する、高い運動性能だ。俺は、ロータリーエンジンの血統に脈々と受け継がれているスピリッツが好きだ。コーナリング勝負で、負ける訳にはいかない!)

 

そして、今まで以上の全開スピードでコーナーへとツッコミ、そのままの勢いでヘアピンコーナーをクリアしていく。

だが、コーナリング性能であればインプレッサも負けていなかった。

 

(さすがだな、マツダのロータリーエンジン車だけが実現できる前後重量配分50:50はマジでヤバいよ。それに、あの高橋涼介のテクニックが加わっているんだから、コーナーがメチャクチャ速い。だが、スバルの水平対向エンジンだって負けちゃいない。水平対向エンジンの強みは、なんといっても桁違いの低重心。横Gに強く車体が流れないから安定感が抜群に高く、単純にコーナーの限界スピードが高いんだ! いくら相手がロータリーでも、コーナリングで遅れは取らない‼︎)

 

そしてギリギリのラインを描きながらFCと同等の超高速でコーナーを抜ける。

 

(そんでもって、4WDだから初っ端からアクセルを底まで踏み込んでも流れずぶっ飛んで加速していく。捉えたぜ、高橋涼介!)

 

その瞬間、涼介は今まで感じたことのない強烈なプレッシャーを受ける。

 

(何だと……!)

 

そこには、3人の女性がヘアピンを抜けていく2台を眺めていた。

 

「中々面白い勝負になってるわね」

 

文乃がそう呟く。

 

「涼介は重要なバトルの時はあえて前を相手に譲り、そこからブチ抜いて引き離しにかかるわ。今も、本気でハヤブサをちぎりにかかってるわね」

 

「そうですね。前に出たからには、勝ちに行くでしょう」

 

文乃の言葉に、沙雪が乗る。

 

「でも、今のコーナリングは明らかにハヤブサの方から速かった。1度は少し引き離したんだろうけど、すぐに詰められたって感じかしら」

 

「ハヤブサは、前に出すより後ろに着かれた方が圧倒的に恐ろしい相手ですからね。むしろ、涼介さん側が厳しくなったんじゃないですか?」

 

((涼介“さん”?))

 

真子の言葉に2人は疑問を持ったが、その事は聞かなかった。

そのまま、インプレッサを背に涼介は全力で峠を攻めていくが、まるで離れる気配はなかった。

そして、そのまま5連続ヘアピンへと突入する。

 

「いよいよくるぞ!」

 

「手前の長いストレートからの、ハードなブレーキング競争が見ものだな!」

 

そして、ヘッドライトの光点が現れる。

 

「先行は……FCだ!」

 

「だけど、すぐ後ろをインプが食らいついてるぜ!」

 

「接戦じゃねえか‼︎」

 

そして彼らの目の前でギリギリのブレーキングが行われ、そのままドリフトでコーナーを抜けていく。

 

「うわあ、もの凄えドリフト!」

 

「赤城……いや、群馬最速と言われている高橋涼介に全然負けてねえ!」

 

そしてすぐ立ち上がってまた次のヘアピンへと侵入していく。

 

「あの高橋涼介が振り切れないなんて、“秋名のハヤブサ”凄すぎるぜ‼︎」

 

「このバトル、どっちが勝っちまうんだ……⁉︎」

 

そして、その状況は頂上にも伝わる。

 

『こ、こちら5連続ヘアピン! 今、FCが通過しました。でも、ケツにはハヤブサがベッタリと食いついています!』

 

「何、まだハヤブサが食いついているのか‼︎」

 

『はい……。涼介さん、完全に煽られてます!』

 

先ほど、勝負ありと感じていたがそれは間違いだったと思い知らされる啓介。

 

「マジかよ……!」

 

さらに驚愕の報告が上乗せされる。

 

『それでタイムなんですけど、12秒近くもレコードを更新してます!』

 

「何てヤツらだ、狂気の沙汰だぜ……‼︎」

 

5連続ヘアピンを抜けた直後、突如として異変は起きた。

コーナリング中に、FCのフロントタイヤが僅かに流れる。

 

(くっ、フロントタイヤの食いつきが……! この土壇場で熱ダレしてきたか!)

 

4WDのインプレッサ相手には、コーナーからの加速勝負でFCはどうやっても負けてしまう。

それをブレーキングとコーナリングでそれをカバーしていたのだが、その分フロントタイヤに負荷がかかっていたのだ。

 

(だが多少タイヤがヘタろうとも、俺の技術に破綻はない‼︎)

 

だが、それでもコーナーへのツッコミはやはり鈍くなってしまう。

もちろん、その事に気付かない隼人ではなかった。

 

(コーナーへのツッコミが急に鈍くなり出した。さてはフロントタイヤがタレてきているな? こっちのタイヤにはまだ手応えがある。掴むぜ、このチャンス!)

 

さらにプレッシャーをかけていく隼人。

その姿はまさに、獲物を狙うハヤブサである。

 

(何てプレッシャーだ。まさかここまで(もつ)れるとは思ってなかったぜ。だが、負けやしない。絶対に逃げ切る!)

 

気合いを入れて、さらにシビアな走りに移る涼介。

そこには、付け入る隙は無かった。

 

(クッソ、ツッコミでも立ち上がりでもこっちが勝ってるのに前の車を抜けねえ‼︎ 折角残したタイヤのグリップも、これじゃあパアだ。何か方法はないのか……。いや、ある。試してみるか、親父から聞いた“消えるライン”)

 

“消えるライン”とは、ミラーの死角をついて最短距離をカットしながら相手のラインへ進入していく技術であり、プロのレースでも使われるテクニックである。

しかしながら、今までのツッコミでは隼人のテクニック的に無理があった。

どうしても、アンダーが出て抜ききれないのだ。

 

(だから、ツッコミをより速くするんだ。幸いにも、まだ“100%本気のブレーキング”は見せていない)

 

隼人は、普段から限界ギリギリのブレーキングをしないように心がけていたのだ。

ここぞという勝負の駆け引きにおける切り札とするために。

 

(それでも成功率出来るかどうかは賭けだが……。しかも、例外的にカプチーノ戦で頻繁に使っちまったから見られてたらさらにヤバい。だが、出来なきゃ負けるだけだ。仕掛けるポイントは次のヘアピン。行くぜ、インプレッサ‼︎)

 

強いプレッシャーをかけながら、涼介を追い詰めていく。

そして、ヘアピンが見えた。

 

「行っけぇー‼︎」

 

インプレッサは、今までではあり得ないほどの制動を見せながら、コーナーへと飛び込んでいく。

そして完璧に、“消えるライン”に車体を滑り込ませていく。

 

「‼︎」

 

コーナーの出口でポジションが入れ替わり、インプレッサが前に出る。

そのインカットに特に驚いたのは、その場でギャラリーしていた疾風だ。

 

(なんてブレーキングからのインカットだよ……! アイツ、あそこまでのブレーキングが出来たのか。俺の時は、まだまだ全力出してなかったんだな)

 

そして、その先に待っているのは長いストレートだ。

コーナーを抜けた瞬間からからアクセルを底まで踏み込めるインプレッサは、爆発的な加速をする。

リアタイヤが流れないよう調整しながらアクセルを踏む必要のあるFCは、当然離される。

しかし、馬力には大きな差は無いためその差は僅かである。

 

(まさか、1度抜いた車に抜き返されるとは思わなかったな。だが、まだ負けてない。もう1度抜き返す!)

 

涼介はすぐに切り替えて追撃体制に移る。

それに対し、隼人もいち早く察知して気を引き締める。

 

(まだ諦めてないな。パッシングできるポイントは残り僅か。絶対に前に出さない!)

 

隼人はストレートを抜け、次のコーナーでインプレッサを最速ラインに乗せて曲がっていく。

そして、それにアンダーステアを押さえ込みながらついていく涼介。

一瞬たりとも気の抜けない張り詰めた空気がお互いの車内に充満する。

そして、最後にして最大の勝負どころが現れる。

最終コーナーの1つ手前にあるコーナーだ。

コーナーの手前には、ブレーキング勝負に必要なスピードの乗る長いストレートが存在し、唯一の3車線のコーナーであるためラインの自由度も高い。

まさに、大どんでん返しをいくらでも引き起こせるコーナーである。

 

(最後の勝負所、行くぜ!)

 

(ここで抜かなければ負ける、必ずブチ抜く!)

 

ドライバーの想いに応えるように、お互いのエンジンが咆哮する。

 

((勝つのは、俺だぁ‼︎))

 

同時に限界ギリギリのブレーキングし、四輪ドリフトのスキール音が峠中に鳴り響く。

イン側からFCがじわりじわりと寄せていく。

直後、クリッピングポイントの手前であっと言う間に遠心力に流されていく。

岩壁ギリギリのところなんとか踏みとどまる。

しかしながら、そこでFCの勢いが一瞬にして消えてなくなった。

同時に、力強いボクサーサウンドを轟かせながらインプレッサが前に出て立ち上がり、最終コーナーへ突入してそのまま突破する。

遅れてFCが最終コーナーを脱出してくる。

それと同時に、インプレッサはゴールラインを越えた。

 

「“秋名のハヤブサ”の勝ちだ……!」

 

ゴールラインを横切ったインプレッサを見て、ギャラリーの誰かがそう言った。

誰も言葉を発しない。

歓喜する者も、落胆する者もいない。

ただ、秋名にいた全員がその場で立ち尽くしていた。

こうして、奇跡とも言える伝説のバトルは幕を閉じた。

 

 

 

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