1ヶ月以上も間を空けてしまい申し訳ありません。
リアルが忙しかったのと、モチベ低下と、書き上げた後に読み返して納得がいかなかったので書き直しをしていたのが原因です。
投稿頻度に関しては少しずつ戻していくつもりです。
それではお待たせしました、ついに隼人のインプレッサがお披露目となります。
「おお〜、中々面白い勝負が見れたな」
涼介と須藤のバトルの結果を見て、その青年は感嘆した。
「さすがは涼介さんだぜ!」
「来週はエンペラー最終戦、“秋名のハヤブサ”が出るな!」
レッドサンズのメンバーのやり取りに、顔を顰める青年。
(“秋名のハヤブサ”……?)
「ああ、来週が楽しみだぜ」
「インプレッサ対ランエボ、ハヤブサには絶対負けて欲しくないよな」
「あの、すいません。“秋名のハヤブサ”って?」
青年は、レッドサンズのメンバーにそう聞いた。
「知らないのか? 群馬エリアじゃ有名な走り屋だぜ」
「すいません、別のエリアから来たもんで……」
「そうか、じゃあ知らないのも無理ねえか。“秋名のハヤブサ”ってのは、この夏に秋名に彗星の如く現れたインプレッサ乗りだ。俺達のチームのリーダーの涼介さんや啓介さんを倒しちまった、とんでもない走り屋だ」
「あの時は驚いたよな。特に涼介さんが負けるなんて考えられなかったからな……!」
「確か名前は中島……なんだっけ?」
「中島隼人だったりします?」
「そうそれ、なんだ知ってるんじゃねえのか」
その瞬間、青年の雰囲気はガラリと変わる。
「ありがとうございます、それじゃあ失礼します」
そう言うと、そばに停めてあったMR-Sに乗り込んで走り去って行った。
(そうか、アイツも走ってるのか。雪辱を晴らす時だな……!)
翌日
学校
「昨日のバトルの結果聞いたか? 俺嬉しいぜ、高橋涼介が勝ってくれてよ! これで、群馬エリアのレベルが高いって事の証明になったからな」
朝からイツキは興奮しっぱなしだ。
「高橋涼介に続いて勝ってくれよ、隼人。拓海は負けちまったんだから、秋名の走り屋としてこのままやられっぱなしは嫌だぜ!」
「勝つさ、今のセットアップが完成すれば絶対負けやしねえ」
「凄え自信だな。それで、インプレッサはいつ完成するんだ?」
拓海が聞いてきた。
意外だな、こういう事聞くタイプじゃないと思ってたのに。
「今日の夕方には仕上げるつもりさ。夜には、早速シェイクダウンだ」
「へえ、凄え楽しみだよ」
3人で廊下を歩いていると茂木が階段から降りてきた。
拓海との時間邪魔しちゃ悪いな。
「それじゃあ、先行ってるな」
イツキを連れて次の教室に向かった。
拓海は茂木とまたなんか話すんだろうな。
そう思って振り返ると、明らかに茂木に素っ気ない感じだった。
何かあったのかなとは感じつつも、そのまま俺は先に行った。
学校が終わってすぐに帰宅した。
そして、インプレッサの最後の仕上げに入る。
「これで完成だな」
「サンキュー、親父! それじゃあ、秋名流してくるわ」
そして、俺は秋名に向かった。
到着した頃には、既にスピードスターズのメンバーを集まっていた。
早速弄ったインプレッサのお披露目である。
「「「おお〜」」」
全員声を揃えて感嘆した。
「凄え、カーボンボンネットにGTウイングじゃねえか!」
「かなり印象変わったな」
「ええ、見た目は個人的にも結構気に入ってます。中身も色々弄りましたよ。エンジンの取り付け位置の低下による重心低下、タービンをあえて少しサイズを下げた物にした上でECUも書き替えをして若干の馬力増加とレスポンスの向上。足回りも一からやり直しました」
「ほほう、そんなに変わったんだな」
「でも、どうしてタービンのサイズ下げたんだ?」
「取り回しの改善ですね。さすがにドッカンの毛色がキツかったし、下からキッチリついて来るトルクが欲しかったんで。下りはトータルバランスですからね」
「なるほど。性能の強化より取り回しの改善って訳か」
「それじゃあ、俺は下まで流してきます」
そのまま乗り込んで、俺は頂上を出発した。
さーてと、親父は足回りに関しては何も言ってなかったけどどうなってんのかな?
まあ、少なくとも中途半端な足にはしていないだろう。
何せ、元はレーシングチームのメカだったんだから。
そう思って第1コーナーへと入る。
ブレーキングして、ターンインに入る。
そしてそのまま抜けて、一気に加速していく。
なるほどな、そういう感じか。
多分だけど、前後のトルク配分を変えている。
以前よりもリア寄りになってら感じかな。
挙動がFRに近づいて、低重心化も含めてかなりハンドリングが良くなっている。
それに、変更した外装パーツも結構効いてる。
GTウイングのおかげで、無駄にリアが流れる事がないからより思い切って踏める。
それに、ターボラグが小さくなってレスポンスもかなり改善されてる。
いやあ、前は明らかなドッカンだったから思いっきり踏み込めなかったけど、これはかなり良いタイム出せるんじゃないかな。
そう思いつつスタート地点に戻ってきた。
「それで、どうだった?」
「かなり良いですよ、確実に速くなってる。これなら自信を持って、エンペラーとのバトルに挑めますね」
「そうか」
「取り敢えず、今日からまた走り込みます。速くはなってますが、完全に性能を引き出し切れてませんから」
そう言い残して、俺はまた秋名を下って行った。
確かにかなり速くなった、以前よりも確実に戦闘力は増している。
だが、色々と変わっている分乗り方も変えないといけない。
俺は拓海ほど器用じゃないからな。
強化したインプに対応して、さらに速くなってみせる!
数日後
GSゼネラル
学校帰りに、今日もバイトである。
インプに関してだが、それなりに慣れてはきた。
だが、自信を持ってバトルに挑める感じがしない。
速い事には速いのだが、限界まで踏み込めてない。
ああ、いい感じの練習相手とかいればなあ……。
そう考えていると、1台車が入ってきた。
MR-Sで、しかもかなり弄っているみたいだ。
「いらっしゃいませ」
「よう。久しぶりだな、中島隼人」
ポクポクポクチーン……。
「……誰?」
そう言った瞬間、MR-Sのドライバーはズコってなった。
ごめん、本当に分からないんだって!
「俺だよ、俺!」
「……オレオレ詐欺?」
そう言うと、白目になるそのドライバー。
「櫻井祐太だよ、覚えてねえのか⁉︎」
「あ、ああ〜!」
その名前を聞いて思い出した。
カート時代に大会でちょくちょく会ってたヤツだ。
会う度突っかかってきてはレースで叩きのめしたんだっけ。
「やれやれ、やっと思い出したか」
いやだってそこまで印象に残ってなかったし。
かなり速かったけど、駆け引きとかあまり得意なタイプじゃなかった。
だから、いっつもコイツのケツに張り付いて走りをコピーして、隙を見て抜かすってのをよくやっていた。
中々良い見本としか思ってなかったから、ちゃんと覚えてなかったのだ。
「何の用ですかね?」
「明日の夜10時、俺とバトルしろ。秋名の下りでだ! カート時代の借りを返してやる」
そう言い残して、彼は去って行った。
やれやれ、面倒事が出来たな。
そして、俺はその事を池谷先輩や拓海、イツキに話した。
「なるほど、カート時代の相手がバトルを挑んで来たのか」
「へえ」
「それで隼人、ソイツ速いのか?」
「まあ、結構速かったな。でも、駆け引きとかはあまり上手くはなかったから、そんなに手強いって感じなかったな。今はどうか知らないけど……」
「ふーん」
「エンペラーの前に前哨戦だな。強化したインプがあれば、簡単には負けないだろ」
イツキが楽観的に言うが、そうは思えない。
「いや、そう簡単にいくかな? 何せ相手はMR車、しかもボルトオンターボ化してあるみたいだったから」
「それは確かに厄介そうだな……」
「MRって?」
ああそうだ、メカ音痴の拓海にも分かるよう説明しないとな。
「MRっていうのは、駆動方式の1つさ。
「要するに、曲がる止まる加速するの3つの要素が高いバランスでまとまってるんだ」
「下手したら、車に関してはエンペラーの須藤のエボⅢ以上にヤバいかもな……」
「はあ……」
うーん、分かったんだか分かってないんだか……。
翌日
秋名山
夜10時前、隼人達が秋名山頂上で待っているとMR-Sが上ってきた。
その場には、ピリピリとした緊張感が漂う。
「んじゃ、早速始めるか」
「ああ、ここで必ず雪辱を晴らす!」
「さあ、どうなるかな?」
そして2台の車が並べられ、その前に池谷が立つ。
「カウント始めるぞ! 5……4……3……2……1……GO‼︎」
合図と同時に、2台はダッシュする。
先行したのは、隼人のインプレッサだ。
だが、本人はあまり嬉しそうにない。
(なるほどね、ケツから観察しようって魂胆ですか。以前はそういうタイプじゃなかったんだけど、今は違うって事か)
(俺だって成長している。カート時代とは違うって事を見せつけてやるぜ!)
そして、第1コーナーへと入っていく。
2台とも、わずかなブレーキングをしてそのままコーナリングしていく。
(まあ、ついてくるわな。コーナーはもちろんだが、300馬力の4WDのコイツにストレートで負けてない。多分、向こうも同じくらい
第1コーナーの立ち上がりで、インプレッサはMR-Sを引き離す。
しかし、次のコーナーへのツッコミではMR-Sが詰めていく。
ツッコミではMR-Sが、立ち上がりではインプレッサが優勢だ。
そして、コーナーを4つ越えた先のS字に突入する。
(ここだ!)
その瞬間、ツッコミでMR-Sが一気に詰めて行く。
(いきなりか。まあ、予想してたけどさ)
それを見た隼人はすぐさま対応する。
左への切り返しで一気にリアを振り、グリップからドリフトに移行する。
そして外からMR-Sのラインを完全に潰して、そのままコーナーを立ち上がって行った。
「チッ……。まあ、そう簡単にはいかないか。だが、次も防げるかな?」
(やはり、仕掛けてくるのはS字や複合コーナーみたいだな)
MR車は、
つまり、フロントがとてつもなく軽い。
その結果、クイックなハンドリングを可能にし、S字や複合コーナーにめっぽう強くなっているのだ。
そして相手の隼人が駆るのは4WDのインプレッサのため、その影響はより顕著に表れている。
(となると、間違いなくあのポイントで勝負を仕掛けに来るな)
そのまま2連ヘアピンを抜けて、スケートリンク前にあるコース最長ストレートへと入る。
(問題は、この先だ)
コース最長のストレートを抜けると、勾配がキツくなると同時に高速コーナーの乱立するエリアとなる。
(あそこはS字が続いてるようなもんだから、まず間違いなく仕掛けに来る。さて、どうしようかな……?)
そして2台はストレートを抜けてコーナーの多い区間に入る。
MR-Sが果敢に攻め込み、そのラインをインプレッサがブロックしていく。
コーナー区間の最後の低速ヘアピンの手前に現れる高速コーナーだった。
「行っけえ!」
祐太は、わずかに空いたイン側のスペースにMR-Sをねじ込んでいく。
そして次のヘアピンでインプレッサのラインを被せて、一気に立ち上がっていく。
(前に出れた。あとはこのまま逃げ切ってやる!)
祐太はアクセルを底まで踏み込み、MR-Sはさらに加速していく。
(なるほどね。分かってきた、コイツの乗り方。さて、そろそろアイツの弱点突いてやるかな!)
隼人もアクセルを踏み込んで、MR-Sの背中に張り付いて行く。
そのまま2台はストレートを駆け抜けて行き、その勢いのままヘアピンを突っ切る。
(気付かない訳ないよな、その車の致命的な弱点くらい!)
そして次の直角コーナーを抜けた直後、隼人は仕掛ける。
MR-Sのリアフェンダーをわずかにプッシュした。
「‼︎」
一瞬、MR-Sのバランスが崩れる。
祐太はすぐさま体制を立て直すが、一気にスピードダウンする。
そして、その頃にはすでにインプレッサのノーズが前に出ていた。
(クソッ、やられた!)
(ターボっていうのは直線じゃあ強力だが、コーナーだとそのパワー故に車の挙動を乱してしまう。ピーキーな運動特性を持つMRなら尚更だ。2.0Lターボでかなりピーキーだった先代のMR-2からの反省で、わざわざ
バランスを崩した影響で、アクセルを全く踏み込めなかった祐太は立ち上がりで一気に引き離される。
(逃がしてたまるか!)
祐太はすぐに追撃体制に入る。
前に待ち構えているのは5連続ヘアピンだ。
先に入って行ったインプレッサを追いかけて、祐太もコーナーをクリアしていく。
高い旋回性を活かし、次々とヘアピンを抜けていく。
だが、一向にインプレッサとの差は埋まらない。
いや、それどころか離れて行っている。
(差が埋まらない……!)
理由はMR-Sのチューニング内容にあった。
祐太のMR-Sに搭載されているエンジンは元々NAだった2ZZ-GEをボルトオンターボ化したもので、最高出力310馬力を叩き出す。
要するに、ドッカンターボなのだ。
そんなエンジンでは、ヘアピンとヘアピンの間を繋ぐ短いストレートの区間で十分な加速は不可能になる。
逆に、タービンのサイズを下げた隼人のインプレッサはレスポンスが向上しており、オマケに4WDの
その結果、短いストレートでも十分加速していく。
その差が露骨に現れたのだ。
(クソッ……!)
さらに引き離された祐太に巻き返しのチャンスが訪れる事は無く、そのまま隼人の勝利で幕を閉じた。
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