2ヶ月も待たせてしまい大変申し訳ありませんでした!
リアルが忙しかった&モチベ低下が原因ですね、次回もお待たせする事になるやもしれません……。
因みに、頭文字DACの東方コラボイベントはかなり進められてますね、このままイベント限定アイテムコンプリートしたいと思います。
さて、いよいよあの男が登場します。お楽しみ下さい!
土曜日
いろは坂
その日、ランエボ同士のバトルが行われていた。
先行するのは、群馬ナンバーの赤いエボⅣ。
カーボンボンネットにGTウイングを装備しており、リアフェンダーには『零』という特徴的なマークが貼られている。
最近現れた、“赤城の零戦”の異名を持つ走り屋だ。
少し遅れてその後ろを追いかけるのは、黒のエボⅢ。
エンペラーのリーダー、須藤京一だ。
(は、速い! 先行で、それも地元でもないのにこれほどのペースを作れるとはな……‼︎)
零戦は、まるでホームコースを走る様にタイトなヘアピンを次々と抜けていく。
京一は先行する零戦について行けてはいるものの、少しばかり苦しい状態だった。
(まあついてくるよな、ホームコースなんだから。でも、大して追い詰められてる感じはしない)
一方の零戦は、これが当然と言わんばかりに余裕があった。
馬力では京一のエボⅢが勝っている。
しかし、まるで追い抜けそうにない。
(確かに上手いが、そのエンジンパワーをどこまで活かせているのやら……。結局どれだけパワーがあろうと、最大限踏み込めないんじゃ意味がないんだから)
ストレートの伸びでは、京一のエボⅢが勝っている。
しかしながら、コーナリングでは完全に置いて行かれていた。
零戦のエボⅣは、純正で搭載されている二次エア供給システムをECU書き換えによって稼働状態にする事で、京一のエボⅢと同じようにNAに近いレスポンスを得ている。
それと同時に、AYCによるトルク制御によって高い旋回性を得ていた。
車重こそエボⅢの方が軽いが、それは些細なものであった。
ストレートはともかく、コーナーでの踏み込みとパワーを路面に伝える力に大きな差が生まれていたのだ。
特に、低速コーナーで埋め尽くされているいろは坂ではその差は歴然だった。
結局、京一は追い抜く事は愚か差を詰めることさえ叶うことなく2台はゴールし、“赤城の零戦”の勝利でバトルは幕を閉じた。
翌日
秋名山
拓海は秋名湖へのとうふの配達を足早に終えると、帰りにいつも走り込んでいる秋名の峠に入っていった。
普段ならば、峠を下り終えたらそのまま家に帰るのだが、今日の拓海にそんなつもりはないらしい。
1度麓まで下り終えると、Uターンして峠を上っていく。
そして頂上までたどり着くと、またしても秋名の峠を下り始めた。
「クソッ、やっぱ分かんねえ!」
拓海は、新しいエンジンを積んだハチロクの走らせ方を考えていた。
しかしながら、どれだけ考えても、どれだけ走り込んでも一向に分からないという状態が続いていた。
学校
眠い、ものすんご〜く眠い。
何故かって?
もうすぐ定期テストだから、昨日は結構勉強したのだ。
でも、だからといって走り込みを疎かにもしたくない。
という訳で、走り込みの時間がかなり深夜になって、結果睡眠時間かなり削ることになってしまったのだ。
そんな風に廊下を歩いていると、同じく眠そうにしている拓海がいた。
「おはよう、拓海」
「ああ、おはよう」
それにしても、今日は一際眠そうだ。
もうこの場ですぐ寝ちゃうんじゃないかってくらいだ。
「なんかいつにも増して眠そうだな。どうした?」
「今日の朝、配達終わった後に秋名を何回か往復したんだよ。今のハチロクの走らせ方で何か掴めないかなって思ってさ」
「なるほどね。それじゃあ、今日一緒に走ろうぜ。俺が見れば何か分かるかも知れない」
「……それじゃあ頼む」
その日の夜
秋名山
「それじゃあ、早速走ってもらおうかな。後ろから追いかけて見てやるからさ」
まずは後ろから動きを見ることにした。
どう遅いのか、見ないことにはわからないからな。
「分かった」
拓海はそう返し、ハチロクに乗り込んだ。
俺もインプに乗り込み、そのまま秋名を下り始める。
はてさて、どんな感じかな?
そう考えつつ、フル加速していく。
そして、すぐに最初のコーナーが見えてきた。
お互い最小限のブレーキを済ませ、コーナリングに移る。
しかし、相変わらずエゲツないドリフトするな……。
未だに完コピ出来ねえや。
その流れのまま、コーナーを抜けて立ち上がっていく。
なるほど、確かに加速にキレが無い。
以前の方が伸びていた気がする。
目の前を走るハチロクは、ペースを落とさず次のコーナーへと入り脱出していく。
さらにいくつかコーナーを抜けて分かった。
ツッコミはわずかながら速くなっている。
だけど、立ち上がりが遅い。
致命的に遅い。
夏までは五分五分だったが、今ならアッサリ抜けそうだ。
本当にこの程度しかパワーは無いのだろうか?
エンジンの状態が悪いのか?
それともパワーを封印してある?
そう考えつつ、俺達は秋名を下り切り、そのまま上に戻ってきた。
「どうだ、何か分かったか?」
「うん、確かにパワー出てないな。立ち上がりにキレが無い。今なら余裕で抜けそうだ」
「だよな」
「とりあえずエンジン見せてくれ」
拓海は頷き、ボンネットを開ける。
俺はそのままエンジンルームを覗き込んだ。
なるほど、ハチロクに純正で搭載されているのは“青文字”の通称を持つ4A-GEUだがコイツは4A-GE、いわゆる“銀ヘッド”だ。
16バルブから20バルブに増えており、多少のパワーアップは確実にしているはずだが……ってちょっと待て待て待て!
「え、マジで? こんなエンジン積んでたのかよ……‼︎」
「どうかしたのか?」
「どうもこうも、このエンジンかなりトンデモない代物だぜ。金だけで買えるようなエンジンじゃない……! コイツは、TRD製AE101用グループA 20バルブ 4A-GE 同時点火仕様。つまり、本格的なレース用のエンジンなんだ」
「……‼︎」
「ハチロク乗りなら、誰もが喉から手が出るほど欲しがるエンジンだ。こんなの積んでて遅いなんて、普通は考えられないんだけどな……」
「でも、本当に遅いんだよ……」
「うーん、となるとなんか細工でも施してるんかな? 家帰ったらさ、エンジンに何か細工してないか聞いてみてくれないか?」
「そうしてみるよ」
翌日
「細工なんてしてない⁉︎」
「ああ、親父はそう言ってた」
「んなアホな、それ以外であのエンジンがパワー出ないなんてあり得ねえって!」
「でもよ、親父が妙な事を言ってたんだよな」
「妙な事?」
「ああ、『細工はしてないけどパワーは封印してある』って言ってたんだ」
「は、何だソレ?」
「俺もよく分かんねえ……」
俺と同じく、拓海も訳が分からない様子だ。
なぞなぞか何かなのか?
同時刻
GSゼネラル
イツキはいつも通り、スタンドでバイト中だった。
因みに、隼人と拓海は今日は非番である。
特に話し相手もおらず、外で店番をしていた。
そんな中、スタンドにはターボのウエストゲートの音が響いてくる。
(あの車……)
イツキは、その車に見覚えがあった。
店の中に入ってきたのは、白黒のハチロクレビンだった。
「ハイオク20
イツキはそう言われて給油作業を始める。
すると、ハチロクの方から声がした。
「やっほー、イツキ君」
「ああ、和美ちゃん!」
和美が小銭が足りなくて困っていたところを、イツキが助けて以来仲良くなったのだ。
「よお、和美が世話になってるみたいだな」
イツキに話しかけてきたのは、ハチロクのドライバーだ。
「俺は、秋山渉。和美は俺の妹だ、よろしく」
「はい、こちらこそ」
「ああ、そうそう。ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ……」
「はい、なんでしょう?」
「群馬エリアに凄いハチロク乗りがいるって聞いたんだけど、知らないかな?」
「え、ハチロクですか?」
「ああ。下りじゃほとんど負けた事がないって聞いてる。群馬エリアと言っても広いけど、もし有名なら噂くらい聞いたことあるんじゃないかって思ったんだけど……」
「知ってます知ってます。それ、俺の友達っすよ!」
「マジかよ、それ? 驚いたな、まさかこんなに身近なところにいたとは……! あのさ、初対面でこんなこと頼むのもなんだけど、良かったらそのハチロクのドライバーに会わせてもらえないかな?」
「そのくらいお安い御用ですよ。ちょっと天然ボケしてますけど、良い奴なんです。良かったら、バイト終わった後に呼びましょうか?」
「い、良いのか?」
「ええ、どうせこの後ソイツのところに遊びに行くつもりだったんで」
「助かる、それじゃあ頼むよ!」
数時間後
秋名湖畔
イツキからの連絡で、俺と拓海は秋名湖に来ている。
どうも、埼玉から“秋名のハチロク”の噂を聞いてやってきたハチロク乗りが、拓海と会いたがってるんだそう。
約束の場所に来ると、レビンが2台並んでいる。
1台はイツキのハチゴー、もう1台は初めて見るハチロクだ。
恐らく、これのドライバーが拓海と会いたがっている走り屋の車なのだろう。
「秋山渉だ、よろしく」
「藤原拓海です」
「中島隼人です」
互いに軽く自己紹介を終えた後、すぐにエンジンの話になった。
「エンジン積み替えたばっかり?」
「はい。俺、メカのことはあんまりよく分かんないんですけど、とにかく扱い辛くて……」
「この前、コイツの走りを後ろから追いかけて見たんですけど、以前のエンジンに比べて明らかにストレートの伸びが悪いんですよね。あんなトンデモないエンジン積んでるっていうのに。まあ、何かしらの方法でパワー封じてるのは確かですね」
「一体どんなエンジンなんだ?」
「ボンネットの中見ればすぐ分かりますよ、って訳でハチロクのボンネット開けてくれない?」
拓海はハチロクのボンネットを開けて、その中を渉さんが覗く。
直後、すぐに目を見開く渉さん。
「おいおい、マジかよ……!」
「これで遅いなんて普通は考えられないでしょう? でも実際明らかに遅くなってるんですよ」
渉さんは信じられないという顔だ。
「……本当に遅いのか?」
「え、ええ」
渉さんの質問に答える拓海。
「なんで分からないんだよ、自分の車の事も……」
「このハチロクは、正確には俺の親父のモノなんです。エンジンだって、親父がどこかから持ってきたモノだし……」
「もしかして、お前の親父ってレース関係の仕事してるとかか?」
「いや、ただの豆腐屋ですけど」
「は?」
ポカンとなる渉さん。
だよね、そうなんだよね。
あの親父さん、なんか色々ヘンテコなんだよな……。
「まあ、いいや。そんなに遅いっていうなら俺を乗せて走ってくれ、全開でだ」
拓海はそれを承諾した。
2人はそのままハチロクに乗り込んで、秋名を降り始めた。
当然、俺もインプレッサでついて行く。
しかし、やっぱり分からないな。
何であんなエンジン積んでてこんなに遅いのか?
だが、その理由は恐ろしく単純だった。
「分かったぜ、このエンジンがどうして
「「!」」
「恐ろしく簡単で確実な方法だったぜ。中島だったか、お前横乗りしてないんじゃないのか?」
「……ええ。以前横乗りした時に地獄見たんで」
「じゃあ分からない訳だ。メーター類見れば一発で分かるぜ」
そう促されてハチロクの中を覗くと、すぐに分かった。
「なんて事だ……。どうしてこんな単純な事に気が付かなかったんだ、馬鹿か俺は……」
まさかメーター類交換してないだけだったとは……。
これだけのエンジンを積むとなれば、水温計と油温計に加えてもっと上の回転数が表記されたタコメーターは必須なのに。
そりゃ
「コイツは、回転数を上げて
「……!」
「最初は、無知な奴が良いエンジン乗せただけのハンパな車かとも思ったんだが、足回りもブレーキもバランス良く強化されていてボディもしっかりしている。恐ろしく車を熟知した人間が仕上げているのは一目瞭然だ」
衝撃のあまり、拓海は言葉も出ない様子だ。
「……今まで俺は、ハチロク乗りに仲間意識を持つ事はあっても敵意を持つことは無かった。いくら
「‼︎」
「お前にだけは、絶対負ける訳にはいかない。近いうちに、必ず決着を着けてやる‼︎」
そう言い残して、渉さんは去って行った。
「大切な物が、ポッカリ……」
GT7で車買うのに金が足りない!
あと、分かっていたとはいえ頭文字DACと挙動が違いすぎる!