頭文字D 〜公道のハヤブサ〜   作:Many56

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皆さんご無沙汰しております、Many56です。
約10ヶ月もお待たせしまい大変申し訳ありません。
リアルの都合とモチベ低下のダブルパンチで全く書き進められませんでした。
さて、今回は伏線を張りまくってたあのキャラに言及するお話です!


Act.33 解かれる封印、現る宿敵

 

 

 

秋名から帰った後、俺はそこで起きた事を親父に話した。

 

「なるほど、タコメーター変えないで高回転ゾーンを封じているから馬力(パワー)が出なかったって訳か。お前な、何でそれに気付かなかったんだ?」

 

「いやだって、隣に乗りたくなかったし……」

 

「はあ……。まあともかく、それでハチロクのパワーが出なかったんだな。しかし、文太の奴も考えたな」

 

「うん。多分、拓海にもっとハチロクの事を理解して、愛着を持ってほしいんだと思う」

 

そんな話をしながら、夜は更けていった。

 

 

 

翌日

GSゼネラル

 

渉さんは、拓海にかなりエゲツない言葉を残した。

まさか、拓海もあんな事言われるとは思っていなかっただろうな。

いつにも増して、ボケーっとしている。

しかもボケーっとしているのは拓海だけではなく、イツキにもそのボケが写っていた。

どうかしたのかな?

そういえば、あの時しばらく渉さんの妹さんと2人きりになっていたな。

まさかとは思うが……。

そんな事を考えていると、GSに現れたのはその妹さん、秋山和美ちゃんだった。

すぐ様イツキが駆け寄る。

 

「和美ちゃん、どうしてここに?」

 

「ごめんね、仕事中なのに。イツキ君のバイト、何時に終わるのか聞きたいと思っただけなの。バイト終わってから会いたいなと思って。あたし今日は暇だから、どこかで時間潰して待ってるから」

 

「ちょ、ちょっと待ってて。2分、いや1分だけでいいから!」

 

そしてイツキは店の中に駆け込んで行く。

 

「店長! 俺、今日は一身上の都合により早退します‼︎」

 

「「「何ィ⁉︎」」」

 

マジか……!

俺や拓海、池谷先輩が呆然としている中、しばらくすると学ランに着替えたイツキが飛び出してきた。

そしてそのまま、和美ちゃんをハチゴーに乗せてスタンドを出て行ってしまった。

本当に行っちまったよ、イツキのヤツ……。

 

「全く、しょうがねーな。しょっちゅうやられると困るが、1回くらいは大目に見てやるか」

 

大丈夫なのかと思ったが、どうも店長は許すつもりらしい。

 

「なんか、ちょっとショックだな。本当にあの子と仲良くなっちまったのか……」

 

「別にそんな羨ましがる事もないでしょう。池谷先輩には真子さんいるんだし」

 

「別に羨ましがってなんかいないさ。俺の天使は真子ちゃんだけだからな。ただ、イツキの事だからそんなに上手くはいかないだろうって思ってたんだよ」

 

「アハハ。まあ、イツキですしね……」

 

池谷先輩とそんな会話をしながら、俺はイツキを見送った。

 

 

 

 

 

 

それは突然のことだった。

バイト帰り、家の郵便受けに1通の封筒が入っていた。 

その封筒には宛名や郵便番号などは書かれておらず、真っ白な状態だった。

封を破いて中を取り出すと、こう書かれていた。

 

ー果し状ー

明日の午後10時、赤城山頂にて待つ。

“赤城の零戦”

 

とうとう来たか……。

俺の家を知っていて、赤城で噂になるほどの実力、そして“零”という文字のパーソナルマーク。

差出人は、堀三(ほりみつ) (れい)で間違いない。

ヤツは、カート時代の宿敵(ライバル)だ。

かつて高いコピー能力を活かして、数々の大会を制していた俺から優勝を掻っ攫れて以降、コイツとは色々と因縁があるのだ。

今度こそ決着を着けてやる……!

そう考えていると、封筒からもう1枚の紙が出てきた。

 

『おーっす、久しぶりだな隼人 (*・ω・)ノ』

 

「………」

 

その瞬間俺は白目になった。

妙にクソ真面目な手紙を送って来たと思ったら……。

そう、こういうヤツなのだ。

たまーにこうなるのだ。

ふざける時は、とことんおチャラけるヤツなのだ。

こうなった時のコイツは死ぬほど緊張感がなくて、相手するのが凄え面倒なのだ。

 

『どうだ、こういう手紙も雰囲気あっていいだろ キリ!』

 

さっきまでの俺の緊張感返しやがれ、このクソ野郎!

ナレーション台無しじゃねえか!

 

『たまにはこういう生真面目な雰囲気もアリかと思って、クソ真面目な果し状とか書いてみたんだ。筆ペン使って書いてみたんだ、センスあるだろ?』

 

こんなモン同封している時点でセンスもへったくれもねえわボケ!

 

『いや〜、筆ペン使うの大変だったんだぜ。何せ、普段全然使わねえからキレイに書くのが大変でよ〜、何度やり直したことか』

 

いや、そんな裏事情どうでも良いし。

 

『まあ、そのおかげでかなりの自信作……いや、名作が作れたんだけどな!』

 

いやそれ迷作の間違いだろ……。

ああ、ツッコむのもダルくなってきた。

てか何で手紙相手にツッコミしなきゃならねえんだよ!

 

『さて、話が脱線したな。何はともあれ、俺はカート時代からの勝負に決着をつけたい。遅刻とかすんなよ、したら罰金100万円な‼︎』

 

やれやれ、本当に面倒臭いヤツだ。

手紙の中でいきなりおちゃらけモードに入られたもんだからとりあえず疲れた。

だが、コイツとのバトルは俺自身も望んでいた。

この因縁に、ケリをつけようじゃないか。

 

 

 

●●●

 

 

 

同日

藤原とうふ店

 

隼人に“赤城の零戦”から挑戦状が届いていた頃、拓海の方にも挑戦状が来ていた。

 

「な、何でこの番号を……?」

 

『お前のハチロクに『藤原とうふ店』って書いてあるのを思い出してな、少し調べたらすぐに分かったよ』

 

電話の相手は、先日会った秋山渉だった。

 

『明日、俺は和美を連れ戻しに群馬に行くことになったんだ』

 

「連れ戻すって、何でですか?」

 

『最近、どうもフラフラと夜遊びしているみたいなんだ。今日もフラっと仕事中に出て行ったままらしいしな。そういういい加減な態度で仕事するヤツは、たとえ妹でも腹が立つんだ。だから、やる気がないようなら連れ戻す!』

 

(絶対イツキだ! ヤバいよ、何やってんだアイツ!)

 

『まあ、そんな事はお前には関係ないことだけど、そういう訳でそっちに行くんだ』

 

「は、はあ……」

 

『さて、ここからが本題だ。俺はお前とバトルがしたい! だから、明日の夜に時間を空けておいてくれ。ついでに、その時までにエンジンの性能全部出せるようにしておいてくれよ、そうでなきゃ意味がない。頼んだぜ、明日改めて連絡する』

 

そして、電話は切られた。

拓海は顔を引き締めて、ハチロクに乗り込んで出かけて行った。

 

 

 

●●●

 

 

 

明日のバトルに備えて準備をしていた頃、拓海が血相を変えてやってきた。

 

「どうしたんだ、拓海?」

 

「なあ隼人、急で悪いんだけどタコメーター探してくれないか? 1万回転以上のスケールのヤツ」

 

「……バトルするのか?」

 

その質問に、拓海は力強く頷いた。

 

「さっきスタンドに行って、池谷先輩にも探してもらうように頼んでおいた」

 

「そうか。でも、お前の親父さんの許可とかってもらってんのか?」

 

そう聞くと、拓海は首を振った。

 

「いいや。でも、どうせ正攻法で頼んでも素直に許してくれるとは思わない。だから、腹括って勝手にやろうって」

 

「そこまで言うならいいよ、俺も協力する。それで、バトルの日は?」

 

「明日やる」

 

「……ゑ、ごめんもう1回聞いていい?」

 

「明日やることになった」

 

「マジか……。分かった、親父に頼んで探してもらう。ただ、1万回転以上もスケールがあるタコメーターは数が少ないから、すぐに見つかる可能性は低い。だから間に合わなかったらごめんな」

 

「いいよ、多少無茶言ってるのは承知の上だから」

 

「よし、タコメーター見つかったらスタンドに持っていくよ。スタンドにある工具借りれば直ぐに済む」

 

話はすぐに決まり、拓海は帰って行った。

 

 

 

   という訳で、1万回転以上のスケールのタコメーター探してくれない?」

 

早速親父に、拓海のハチロクのことを説明した。

 

「探す必要なんて無いだろ。文太(アイツ)のことだ、どうせ政志あたりに用意させてるんじゃねえかな」

 

「ゑ?」

 

頭にクエスチョンマークが浮かんでいる俺を他所に、親父は電話をかける。

そして話が終わり、親父は電話を切った。

 

「あったぜ、1万回転以上のスケールのタコメーター」

 

「マジかよ……!」

 

「明日、スタンドにソイツを送るように頼んでおいた。祐一には俺から話しておく」

 

あっという間に話が決まってしまった……。

 

翌日

放課後、俺は足早に家へ帰ってその足でスタンドに向かった。

途中で拓海のハチロクと合流して、スタンドに入ると池谷先輩が迎えてくれた。

 

「待ってたぜ、2人とも。タコメーターはもう届いてるから、さっさと済ませよう」

 

すぐにハチロクを整備スペースに入れて俺達は作業を始めた。

俺と池谷先輩が説明して、それを聞いた拓海が作業を進めていく。

 

   あとはボルトで固定するんだ」

 

そして、作業が全て完了した。

 

「よし、これで完成だ。大して難しくはなかっただろ?」

 

「いや、2人のおかげですよ。俺だけじゃあ何がなんだか分からなかった」

 

だが、まだ最後の仕上げがある。

タコメーターの取り付け自体は終わったが、まだ全開バトルを行うには必要な要素がある。

 

「でも、これだけじゃダメだ。いくら高回転型エンジンと言っても、必ず回転数上限(レブリミット)がある」

 

池谷先輩がそれを指摘する。

 

「先輩の言う通りだ。どこまで回して良いのかをちゃんと把握しておかなければ全開バトルは不可能。このままバトルに行っても、せっかくのエンジンを壊すことになりかねないぞ」

 

「お前の親父さんなら知ってるはずだ。バトルまでに聞き出しておかないとな」

 

「……親父、か」

 

頭をかきながらそうこぼす拓海。

まあ、勝手にやったからその辺のこと気にしてるんだろうな。

すると、聞き覚えのあるエキゾースト音が響いてきた。

白黒ツートンのハチロクレビン、渉さんだ。

 

「よお、準備は出来てるみたいだな」

 

拓海は渉さんの言葉に頷いた。

そしてそこからは、2人だけの話だ。

多分、どこでバトルするのかとか話してんだろうな。

 

「よし分かった、それでいい。現地で待ち合わせだ」

 

そして話は終わり、渉さんは去って行った。

 

「いよいよか。俺達も応援に行ってやらないとな!」

 

「ああ。お前も来るんだろ、隼人?」

 

池谷先輩が聞いてくるが、それは出来そうにない。

 

「すみません、俺はパスで。今夜ちょっと予定が入ってるんですよ」

 

何せ、零とはカート時代からの因縁だ。

絶対に引くわけにはいかない。

 

「そうか、それなら仕方ないな」

 

「俺達が隼人の分もしっかり応援してやる!」

 

 

 

●●●

 

 

 

数時間後

藤原とうふ店

 

拓海がスタンドから帰ってくると、父である文太が店先でタバコを蒸していた。

いつもとは顔つきが明らかに違う拓海を見て、文太は何かを察したように口を開いた。

 

「どうした?」

 

「……俺さ、今夜バトルすることになったんだ。ハチロクのタコメーター新しいのに付け替えたんだ、どこまで回していいのか教えてくれ!」

 

「………」

 

「頼む……‼︎」

 

文太は咥えていたタバコを取り、深く息を吐いた。

 

「1万1000までキッチリ回せ」

 

「‼︎」

 

「勝ってこいよ」

 

拓海にそう言い残すと、文太は店の中へと入って行った。

 

「……サンキュー、親父」

 

拓海は再びハチロクに乗り込んで出発した。

向かう先は、埼玉県の正丸峠。対戦相手である渉のホームコースだった。

 

同時刻

中島自動車

 

こちらでは、隼人が車の最終チェックをしていた。

 

「油温水温共に問題無し、タイヤも交換済み、車の状態は万全だ。さて、この因縁にケリをつけに行きますか」

 

そして、隼人も出発する。

この日、秋名最強の2人の走り屋は最大の試練に挑もうとしていた。

 

 

 




またいつ投稿出来るかなんて全く分かりませんが、とりあえず来月投稿を目標にして頑張りたいと思います。
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