頭文字D 〜公道のハヤブサ〜   作:Many56

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頭文字D ACでとりあえず霊夢と魔理沙のアクリルスタンドゲット確定。
射命丸のは逃しそう。
マジで下手くそだと思う。
オンラインも勝てないし……。


Act.4 秋名に舞い降りるハヤブサ

 

 

 

10時になり、タイムアタックが開始される。

池谷先輩の要望で、まずは上りからって事になった。

今回の対策で、池谷先輩のS13はマフラーとコンピュータを交換してそれなりに馬力を上げたものの、結果は予想通り惨敗であった。

池谷先輩もそれは分かっていただろうけど、それでもやはり悔しそうだった。

 

「池谷先輩、お疲れ様です」

 

「ああ。目一杯やってはみたけど、やっぱり俺じゃあこのくらいが限界だ……。下りの方は任せたぞ」

 

「ええ、任せてください」

 

「勝てなくてもいい。とにかく、無事に戻って来てさえくれれば良いから」

 

「とか言って、負けたらドヨーンと重い空気になるんじゃないですかね? 大丈夫、心配無用です。ここ1週間ミッチリ練習したおかげで、このコースの攻略方は分かりました。例え高橋啓介が相手でも、この車と俺のドラテクがあれば負けはしないと思います」

 

そんな会話を終えて、FDの隣に車を並べる。

 

「中島隼人です」

 

「高橋啓介だ。そういや、あのハチロクは走らないんだな。てっきり、お前が上りでハチロクが下りだと思っていたんだが」

 

「ええ。ハチロクのドライバーは、今日走るつもりないそうですから。ていうか、俺が下り担当するって言ったじゃないですか。挑戦したかったら、タイムアタックが終わった後に話しかければいいですよ」

 

「そうだな。それじゃあそろそろ始めるとしようぜ!」

 

「ええ、よろしくお願いします!」

 

そして、同時に車へと乗り込みシートベルトを締める。

そして、アクセルを踏んでエンジンを吹かす。

 

「それじゃあ、カウント始めるぞ! スタート10秒前……9……8……7……6……5……4……3……2……1……GO‼︎」

 

そして合図と共に、俺のインプレッサと相手のFDはホイールスピンさせつつ、弾かれたように同時に飛び出した。

スタート直後は駆動方式の差で最初はインプレッサが前に出たけど、エンジン馬力の差でじわりじわりと前に出られ、第1コーナーに入る前には先行はFDになっていた。

だが問題ない、途中でまた抜けばいいんだから。

こうして、下りのバトルが始まった。

 

 

 

●●●

 

 

 

第1コーナーまでに先行したのは高橋啓介のFDである。

そのすぐ後ろを、隼人のインプレッサが追従する。

 

(遠慮はしないぜ。何せインプレッサの中身は元々の時点でかなりのモンスターだからな。それこそ、俺の大嫌いなGT-Rやランエボに劣らない。前回負けたのは、コースの熟練度が低かったのと、油断していたから。テクニックで俺に勝るのはアニキくらいのもんなんだ。今回は絶対俺が勝ってやる!)

 

そして2台は第1コーナー手前でブレーキングとシフトダウンを行い、超高速ドリフトで強烈なスキール音を立てながらコーナーを突っ切って行く。

 

「速っえー、高橋啓介のFD! とんでもない速度で曲がっていきやがるぜ」

 

「流石は国産最強のコーナリングマシン、マツダRX-7!」

 

「でも、後ろのインプレッサもとんでもなかったぜ! 高橋啓介のあれだけのツッコミに容易くついていきやがった!」

 

「これはどっちが勝つか分かんねえぞ!」

 

そして2台はそのまま立ち上がり加速していき、すぐに次のコーナーへと入って行った。

 

(やっぱり大分走り込んだみたいだな、以前よりスキがない。でも、ついていけない訳じゃない。というか余裕でついていける。とりあえず、しばらくは様子見に徹するとしますかね)

 

隼人はそう考えて、タイヤを温存させつつFDに食らい付いて行った。

相変わらずのランデブー状態で、3つ目、4つ目と次々にコーナーを駆け抜けて行く。

そんな中、啓介はやや苛立っていた。

 

(クソッ! まだベッタリ貼り付いてやがる。鬱陶しいったらありゃしねえ!)

 

そう考えながらアクセルを踏んでいく。

そしてそれにインプレッサが続く。

連続したヘアピンを抜けて、秋名で最も長いストレートへと出る。

 

そのタイミングで、頂上スタート地点に携帯で連絡が届く。

 

『こちらスケートリンク前のストレート、今2台が通過した! FDの後ろにインプがベッタリ貼り付いて、啓介が煽られてる! ここの長いストレートで少し突き放したけど、この先ヘアピンが続くからちょっとヤバいかもしれない』

 

「涼介……」

 

「誤算だったな。秋名にここまでハイレベルな相手がいたとは」

 

レッドサンズのメンバーは、隼人のハイレベルさ驚きを隠せずにドヨドヨとしていた。

一方、その様子を見たスピードスターズのメンバーは顔色が明るくなる。

 

「すごい……! 隼人のヤツ、あの高橋啓介と互角に渡り合ってるぞ」

 

「こりゃ、もしかするかもしれないぞ」

 

「隼人! 頑張れ!」

 

あまり好ましくない状況にも関わらず、高橋涼介の心境としては喜ばしいものだった。

 

(あのインプレッサ……スタートダッシュを見る限り、中身はほとんどノーマルだろう。いくらWRCで優勝争いするような車とはいえ、今の啓介のFDがあのインプレッサに劣っている部分はせいぜい低速域からの加速くらい。その上、啓介のテクニックはサーキット仕込みのハイレベルなもの。つまり、相手はそれ以上のテクニックの持ち主という訳か)

 

それが涼介の分析であった。

実際、隼人のインプレッサは高橋啓介のFDにベッタリとついて行っていた。

それどころか、割と余裕をかましながら走っていた。

 

(うーん、流石は350馬力。長めのストレートだと、少し差が開くな。でも、ブレーキングと立ち上がりで余裕で差を詰められる。相手のレベルは大体分かった。そこそこ上手いけど、苦戦するほどじゃない。それじゃあ、そろそろ抜きに掛かるか!)

 

そう考えながら、次のコーナーを高速で旋回して行った。

そしてしばらくの間、いくつか高速コーナーが入り混じった区間を進んでいき、左の高速コーナーへと差し掛かる。

 

(よし、ここだ!)

 

隼人はそこを、四駆の高いグリップ力を利用してほぼノーブレーキで突っ切り、立ち上がりでFDと並ぶ。

 

(なんだと⁉︎ ここでそうくるのかよ!)

 

啓介としては、やられたという心境だった。

次の右のヘアピンに備えて、FDはややオーバー気味にコーナリングしていたのだ。

一方のインプレッサは、コーナーの出口でガードレールスレスレになるまでアウトに寄せていた。

その結果、立ち上がり加速で並ばれる結果となったのだ。

そして、次はコースのほぼ中間にある右のヘアピンである。

FDはアウト側になっていて、イン側を抑えているのは隼人のインプレッサであった。

同時にブレーキングを行い、グリップ走行によるコーナリングへと移る。

そして、インプレッサがインベタの最短距離を突っ切り、FDの前へと出た。

 

(よし、抜いた! ここから先は全開走行。一気に突き放して勝負を決める!)

 

そして、隼人はペースを上げていった。

 

(クッソ! あんなに鮮やかに抜かれるとはな。だが、この先長いストレートがある。ここで詰めて、もう一度前に出てやる!)

 

啓介もまだ諦めるつもりはないらしい。

実際、次のゆるい右を曲がれば、またストレートに出る。

ところどころ曲がっている地点があり、ストレートとは言い切れないものの、FDの馬力ならば詰めるのは容易である。

実際、ヘアピンに突入する頃にはテールトゥーノーズの状態になっていた。

 

(よし、いけるぜ! ストレートで詰めればチャンスはある!)

 

だがしかし、啓介のそういった考えは容易く潰える事となる。

次のヘアピンを抜けた瞬間、異常に差が開いていた。

たった1コーナー抜けただけで、20メートル以上は離されていたのだ。

理由は簡単である。

ブレーキング、ライン取り、立ち上がり加速、全てにおいて隼人が啓介を上回っており、特に立ち上がりにおいて致命的に差があった。

 

(かなり上手いけど、ところどころでアクセル踏みすぎなんだよな。有り余るパワーで暴れそうになっているのを、タイヤのグリップで強引に抑え込んでいる感じになっている。とっ散らかりそうになっているのを抑えるのにタイヤのグリップを割きすぎて、立ち上がりの加速でワンテンポ遅れている。アレを四駆の前でやるのはさすがに致命的だ。せっかく350馬力ものハイパワーがあるというのに、それが宝の持ち腐れになっている)

 

それが、隼人の分析であった。

実際、ヘアピンを抜けた直後の立ち上がり加速が段違いであった。

啓介は必死に追い縋るが、前回のバトルを再現するかのように、インプレッサはコーナーを抜ける度にFDを離していった。

そして、コースの後半に存在する5連続ヘアピンへと突入する。

ここは正確には、5連続ヘアピンとは言いがたい。

4連続でヘアピンが続き、少し長めのストレートを挟んでさらに2つのヘアピンが存在する。

つまり、4連続ないし6連続ヘアピンだ。

そしてその頃、頂上のスタート地点には5連続ヘアピンにインプレッサが到着した事が伝えられた。

 

『こちら、5連続ヘアピン。インプレッサが来た! FDは……エンジン音は聞こえるけど、まだ来てない……』

 

そして、隼人のインプレッサがコーナーへと侵入する。

 

『うわぁ、完璧なブレーキングドリフト、凄えツッコミだ! 四駆のインプをあんなに振れるのかよ! 立ち上がりも上手い、ガードレールスレスレからのとんでもねえ加速だ‼︎』

 

「………」

 

高橋涼介はそれを無言で聞き入る。

 

『FDも来た! けど、こんなに差があったらどうやっても詰めれないぜ……』

 

「そうか……。今日の交流戦は、俺達の敗北だな。だが、啓介には中々良い薬になるかもしれないな」

 

落ち着いた声で、涼介はそう言った。

 

「おいおい、気楽すぎないか? どうするんだよコレ」

 

レッドサンズの外報担当をしている史浩が聞く。

 

「いずれ必ず借りを返しに来るさ。今度は、俺のFCでな」

 

約1分後

ゴール地点

 

「来たぞ、どっちだ?」

 

「インプレッサだ!」

 

タイムを測っていた者はインプレッサが通り過ぎるのと同時に、ストップウォッチを止めた。

 

「FDも来たぞ」

 

「マジかよ、啓介が完全にちぎられて負けるなんて……!」

 

そして、FDのタイムも測る。

 

「うわ、7秒も差がついてやがる……!」

 

「完敗じゃないか……」

 

こうして、赤城レッドサンズ対秋名スピードスターズの交流戦は終わった。

とんでもないダウンヒルのコースレコードを秋名に残して。

この結果、その特徴的なステッカーを貼ったインプレッサから、隼人はこう呼ばれるようになる。

 

 

 

 

 

   “秋名のハヤブサ”と。

 

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