三大始祖に転生したのでトレーナーになって推しをハスハスする   作:九龍城砦

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 タイトルを変えたので初投稿です。



いっぱい食べるキミが好き

 テレビであの変態を見つけてから、理不尽な事が続くなぁと、ゴドルフィンアラビアンは遠い目をしていた。

 

「おかわり下さい!」

「こっちも、おかずを追加で頼む」

 

 ズイッ、と目の前に差し出されるどんぶりと平皿。

 それを受けて、ゴドルフィンアラビアンは深々とため息をついた。

 

「はいよ、ちょっと待ってな」

 

 どんぶりに山盛りのご飯をよそい、平皿に出来たての肉野菜炒めを山と盛る。

 それを目の前で待つ二人に差し出せば、なんともまぁ嬉しそうな表情が顔を出す。

 

「どんだけ食うんだか、まったく……でも、ウチのチビ達に比べりゃかわいいもんだよ」

 

 ため息と共に微笑んで、ゴドルフィンアラビアンは気合を入れてエプロンの結び目を締め直した。

 

 

⭐⭐⭐

 

 

 事の発端は、道端で倒れている芦毛のウマ娘を見つけた所から始まる。

 トレセン学園の理事長室で秋川やよいと過去のレースで獲得した賞金についての話をして、駿川たづなと昔話に花を咲かせ。

 さて、後は帰るだけだとトレセン学園の正門に足を向けた所。

 

「しっかり! しっかりしてくださいオグリ先輩!」

「大丈夫だ……一眠りすれば、じきに……良くなる……心配するな……スパゲッティーソース……」

「スペシャルウィークです!」

 

 なんだ、あれは。

 正門前で倒れている芦毛のウマ娘に、純朴そうな雰囲気のウマ娘が寄り添っている。

 倒れている体を抱き起こすその姿は、どこかミュージカルチックだ。

 

「……何してるんだ?」

 

 ゴドルフィンアラビアンは、気がついたらその二人に声を掛けていた。

 絶対に面倒事の匂いしかしないのに、ゴドルフィンアラビアンは目の前の光景がほっとけなくて、自ら足を突っ込んだのである。

 筋金入りのお人好しである。

 

「あっ、見知らぬウマ娘さん! 助けてください、オグリ先輩が、オグリ先輩が……!」

「ふっ……だから、そんな顔をするなと……いってるだろう、サルサソース……私なら、大丈夫……だ」

「スペシャルウィークですっ!」

 

 ガクリ、とオグリキャップはスペシャルウィークの手の中で息を引き取った。

 そのお腹からは、ごぎゅるるるぉぉぉ、というこの世の終わりかと錯覚するほどの轟音が鳴り響いていた。

 ぶっちゃけ近所迷惑だった。

 

「……あー、なんだ。もしかして腹減ってるのか?」

 

 そうとしか考えられない。

 じゃなけりゃ、腹からあんな音は聞こえてこないだろう。

 

「そうなんです。オグリ先輩、今日お昼ご飯を3杯しかおかわりしなかったみたいで……」

「3杯もおかわりしたのにか???」

「かくいうわたしも、5杯しかおかわりしてないせいで目眩が……うぅ」

「5杯もおかわりしたのにか???」

 

 頭の上にハテナマークがいっぱい浮かんでいるゴドルフィンアラビアンなのだった。

 流石は天下のトレセン学園。変わり種のウマ娘達もたくさん揃っているようで何よりだ。

 

「ごめん、お母ちゃん……日本一のウマ娘になるって約束、果たせなかっ……がくり」

 

 オグリキャップと同じく、その場にパタリと倒れ込んでしまったスペシャルウィーク。

 その光景を目の前にして、ゴドルフィンアラビアンは少しの間考え込むと、ガシガシと頭を掻いてため息をついた。

 

「はぁ、まったく……世話の焼ける子たちだね」

 

 ヒョイッ、と二人の体を持ち上げ、そのままスタスタと食堂の方へと歩いていくゴドルフィンアラビアン。

 このままほっとくのも寝覚めが悪いし、何よりお腹を空かせた子が居るのなら放ってはおけない。

 ゴドルフィンアラビアンは、根っからの世話焼き気質だった。本人に言えば、即刻否定するだろうが。

 

 そんなこんなで、ゴドルフィンアラビアンはオグリキャップとスペシャルウィークを食堂へ連れて行くと、自らの手料理を振る舞って二人のお腹を満足させるのだった。

 なお、そのせいでトレセン学園の食料庫が半分ほどカラになったという事実は、もはや言わないお約束である。

 

 

⭐⭐⭐

 

 

「という事があったんですよ〜」

「って言うことがあったんだよな」

「えぇ……二人とも、トレセン学園めっちゃ満喫してるじゃないですか」

 

 時刻は深夜。

 バイアリータークが借りているマンションの一室に、三人のサラブレッドが集まっていた。ダイニングテーブルを囲んで全員がパジャマ姿。今までの経緯を話していたからか、淹れたてのコーヒーは少しだけぬるくなっている。

 メンツだけ見ると凄まじいのだが、ぶっちゃけるとただのお泊り会だ。

 

 ふらふらっとトレセン学園にやって来てゴールドシップに釣り上げられたダーレーアラビアンは、そのまま話し込んで気づけば夜。

 食いしん坊二人の料理を作り続けていたゴドルフィンアラビアンは、そのまま夢中になってしまって気づけば夜。

 とっくに終電の時間は過ぎ去っていた。

 

 要するに、二人とも自分の家へ帰れなくなってしまったのだ。

 

「いやー、しかしタークの部屋が近所で良かったな」

「本当ですね〜」

「まったく、感謝してくださいよね。ボクが居なければ、今頃二人揃って野宿してるところでしたよ」

 

 やれやれ、と呆れ顔でバイアリータークは両手を上げる。

 ダーレーアラビアンは家に電話して迎えに来てもらう事も出来るはずなのだが、本人がそれを拒否。

 なんでも、怒られるから電話したくないらしい。子供みたいな理由だ。というか、こうして無断外泊している時点で怒られるのは確定していると思うのだが。

 

「しっかし……」

 

 チラリ、とゴドルフィンアラビアンは部屋の中を見やる。そこには壁一面に貼られたアグネスデジタルのポスターに、棚の上に所狭しと並べられたアグネスデジタルのフィギュア。

 果てには、大きなキングサイズのベッドを埋め尽くさんばかりに並べられた、アグネスデジタルのぱかプチの存在がある。

 大、中、小、それぞれ十個づつ、というかそれ以上に並べてあるのが見て取れる。明らかに過剰だ。

 

「担当ウマ娘のグッズをこれでもかと買い占めてんの、たぶんお前だけだぞ」

「え、トレーナーとして普通のことでは?」

「普通じゃねーよこの変態」

 

 担当ウマ娘のグッズを買うトレーナーはけっこう居ると思うが、ここまで大量に買い込むのはこの変態だけだろう。

 アグネスデジタルがデビューしたての頃に販売していたキーホルダーから、最近になって作られた等身大フィギュアまで買い占めている始末。

 変態の担当ウマ娘愛は、まるで留まるところを知らなかった。

 

「ったく、なんだってそんなに夢中になれるんだか……」

「それはもう、デジタルさんがかわいすぎるからに決まってるでしょう!」

 

 ギラリ、とバイアリータークの目が光る。

 その瞬間、ゴドルフィンアラビアンは今の発言が失言だった事を理解した。

 

「まずデジタルさんの魅力として最も大きいのは、その可愛らしい容姿でしょう! 頭に乗せた大きなリボンに、チャームポイントのツーサイドアップツインテール! 果てはウマ娘ちゃんたちを観察している時に見せるあの表情! もうサイッコーにたまりませんね! 更には走っているときのデジタルさんもまたカッコよくて、何度尊死したことか! 名だたるウマ娘ちゃん達相手に一歩も引かず、常に全力で応えるその姿勢! 推し達とバチバチと火花を散らせ、その果てにお互いを認めあって握手するその輝かしい姿! これぞ青春! これぞ若人って感じですよね! あーもー! アオハル魂大爆発で見てるこっちが倒れちゃいますよ! そんなデジタルさんを大好きになっちゃうのは当然の帰結でしょう! ああデジタルさん、デジタルさんデジタルさん、あなたは何でそんなに美しく可愛らしいのですか……ぐふっ」

 

「あ、死んだ」

 

 こいつうるせぇな、なんて思いながらバイアリータークの話を右から左に受け流していたゴドルフィンアラビアンだったが、その当人が吐血して幸せそうな顔のままブッ倒れたのを見て、呆れ顔でコーヒーをすすった。

 どうせ十秒もすれば戻ってくるだろう。バイアリータークとはそういうウマ娘だ。

 

「えへへ……デジたんしゅき……ハッ!」

「お、生き返った」

「あれ、ボクはさっきまでデジたん国の首都・デジたんぶーるに居たはずなんですけど、ここはいったい……」

「そんな国はねーし、そんな首都もねーよ。ここはお前の部屋だ、このエクストリーム変態」

 

 不思議な顔をして、辺りを見回すバイアリーターク。不思議なのはお前の頭の中だ、とゴドルフィンアラビアンはため息をついた。

 

「んで、さっきから一言も喋ってねーけど、ダーレーは何して──」

「すぅ、すぅ……」

「寝てるし」

 

 椅子に座った体勢のまま、こくこくと舟を漕ぐダーレーアラビアン。セイウンスカイもビックリするレベルの早寝芸だった。

 本当に大人なのかと疑いたくなるほどマイペースなダーレーアラビアンであるが、一応年齢的には大人だ。それ以外はだいぶ怪しいが。

 

「あらあら、ダーレーったら相変わらずマイペースですね」

「こいつはマイペース過ぎるんだよ、レースも私生活も」

「確かに。レースではあんなに速いのに、プライベートでは羨ましいくらいにのんびりしてますからねー」

「こいつの周りだけ時間の流れが違うんじゃないか?」

 

 レースではのんびりした雰囲気のまま他のウマ娘を突き放して圧倒し、私生活ではただただマイペース。

 まるで猫みたいなウマ娘。それがダーレーアラビアンというウマ娘だった。

 

「むにゃ……えへ〜、ごーるどしっぷさん〜……」

「おや?」

「こりゃ珍しいな」

 

 ダーレーアラビアンの寝言に、キョトンとした顔になって顔を見合わせる二人。彼女が特定のウマ娘の名前を呼ぶなど、とても珍しい事だったからだ。

 

 ダーレーアラビアンは、同じサラブレッドであるバイアリータークとゴドルフィンアラビアンしか名前で呼ぶことは無い。

 それは、ダーレーアラビアンに付いてこれるのがこの二人だけだからである。それ以外のウマ娘は覚えるに値しないと、彼女は無意識のうちに線引きをしてしまっているのだろう。

 

 そのダーレーアラビアンが、寝言とはいえウマ娘の名前を呼んだ。

 その嬉しい事実に、二人はほっこりとした表情になっていた。

 

「ゴールドシップさんですか……なるほど、あの子ならダーレーが気に入るのも納得ですね」

「そんなに凄いやつなのか?」

「そりゃ凄いですよ、色んな意味で」

 

 本人に言ったらお前が言うなとか言われそうだが、事実は事実である。

 バイアリータークは完璧に眠ってしまったダーレーアラビアンを抱っこして、部屋のベッドに寝かせた。三人横になっても十分な広さのあるキングベッドは、もちろん寝心地も抜群だ。

 まぁ、その三分の一はアグネスデジタルのぱかプチに占拠されてしまっているのだが。

 

「さて、ボクたちもそろそろ寝ますか?」

「そうだな。私はソファーで寝るよ。お前はダーレーと一緒に寝てやれ」

「えー? あの頃みたいに三人で一緒に寝ないんですかー?」

「あのな、誤解を招くような言い方すんなよ」

 

 実はこの三人、昔は──昔から──結構わんぱくであった。

 同じレースに出走登録をして、同じホテルに泊まり、同じベッドに潜り込んだりしていたものだ。

 懐かしいなぁ、なんて思いながらバイアリータークは目を細める。

 

「もう大人なんだ。あの頃みたいなノリでやんちゃ出来るかよ」

「…………」

「ダーレーが一緒なんだから、それで十分だろ。私まで一緒になって寝る必要は……」

「…………」

「うっ……」

 

 じーっと、無言で、ひたすらゴドルフィンアラビアンを見つめるバイアリーターク。

 潤んだ瞳に、若干の上目使い。それは間違いなくカレンチャン直伝の、相手をオトすためのカワイイテクニック攻撃であった。

 

 年齢だけ考えればうわキツ、となるのだが、見た目だけで言えばバイアリータークはピチピチの二十代と言っても通用する。

 そんな美形に見つめられて、ゴドルフィンアラビアンの内心は揺れまくっていた。

 

「……ゴドルは、ボク達と寝るの嫌なんですか……?」

「い、嫌だなんて言ってないだろ。いい大人なんだから、そういう事は控えろって言ってるだけで……」

「じゃあ寝ましょう! 一緒に! 朝まで!」

「だから言い方! 言い方を考えろ!」

 

 結局、折れたのはゴドルフィンアラビアンの方だった。

 アグネスデジタルのぱかプチをソファーの方に移し、熟睡中のダーレーアラビアンを真ん中に挟んで川の字になる。

 ちなみに、身長はダーレー、バイアリー、ゴドルの順に並んでおり、胸の大きさはバイアリー、ゴドル、ダーレーの順で並んでいたりする。

 

 速報・ダーレーアラビアン、ロリ巨乳である。少なくとも外見は。

 

「えへへ。ありがとうございます、ゴドル」

「すぅ……むにゃむにゃ……」

「ったく……お前は意外と寂しがり屋だよな」

 

 しょうがないな、という表情を浮かべてゴドルフィンアラビアンは横で眠る二人を見やる。

 嬉しそうに笑うバイアリータークと、気持ちよさそうに眠るダーレーアラビアン。

 

「ふっ」

 

 現役時代ぶりのその光景に、ゴドルフィンアラビアンは無意識に口元を綻ばせた。

 

「あ、ゴドルが笑ってるの久々に見ました」

「うっせぇ、はよ寝ろ」

「はーい」

 

 その会話を最後に、二人は揃って目を閉じる。

 今日はいい夢が見られそうだな、なんて思いながら、二人は穏やかな眠りにつくのだった。

 




 ダーレーアラビアン。

 スピード・SSS+スタミナ・SSS+パワー・S根性・SSS賢さ・A

 スピード、スタミナ、根性のステータスが限界突破している。もはやウマ娘以上のナニカ。つよい(小並感)
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