Together   作:地球の星

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ステージ1: 帰還

「おっ、2人とも目を覚ましたようだな。」

「リュウちゃん、早く起きなさい。」

「ギー、起きろ!大目玉をくらわせてやる!

 目を覚ましたボクたちの目の前には、ボクのお父さんとお母さん、そしてギーちゃんのお父さん(ギリアムおじさん)だった。

 このうち、お父さんは嬉しそうな表情だったが、お母さんとおじさんはどこか怒っているような感じだった。

 無理もない。ボクとギーちゃんは、今から500年後の世界(←ゲーム「ブレスオブファイアⅡ 使命の子」の世界です)に行ってしまい、しばらく行方不明になっていたのだから。

 でも、ボクたちは向こうの世界で出会った女の子、ノルカちゃんの髪飾りをしっかりと持ちながら、お互いの手をぎゅっと握っていた。

「あっ、お父さん。それにお母さんまで。お母さんもキャンプに来たの?」

「父ちゃん、わざわざオイラたちのためにここまで来てくれたの?」

 まだしっかりと目が覚めていないボクたちは、幸せそうな表情を浮かべながらそう言った。すると、お母さんとおじさんの表情がさらに険しくなった。

「もうっ!こんなにお洋服をボロボロにして!お父さんが寝ている間に勝手に剣を持ち出して、一体何をしていたのよ!」

「ギー。お前が勝手な行動をしたがゆえに、親にどれだけ迷惑をかけたと思っているんだ。答え方次第では許さんぞ!」

 一方、ボクたちはまだこの世界に帰ってきた余韻にしっかり浸っていたせいか、まだ笑顔を浮かべたままだった。

「あのね、お父さん、お母さん。ボクたち、滝つぼに落ちてから500年後の世界に行っていたんだよ。」

「そうそう。そこでオイラたち、ノルカちゃんっていう女の子に出会って、一緒に冒険をしたんだ。」

 そう言ったボクたちは、さらに続けざまに冒険の話をした。

 

 ノルカちゃんの両親が突然行方不明になってしまい、ボクたちが見つけてやると約束したこと。

 旅の途中、ボクたちが出会った人達もパレポリという邪教の力によって姿を消してしまったこと。

 彼らのアジトであるデセオ山のふもとに来た時に、ノルカちゃんまで連れ去られてしまったこと。

 その途中で、ディースさんからこのままでは元の世界に戻れなくなってしまうと言われたこと。

 デセオ山で捕らわれたノルカちゃんは、両親に再会できたものの、彼らは洗脳されていて、ひどいことをしてきたこと。

 パレポリ教の親玉が正体を現して、ボクたちはボロボロになりながら、そして2度とこの世界には戻れないかもしれないという絶望感の中で戦い、そして勝ったこと。

 ノルカちゃんが洗脳の解けた両親と本当の意味で再会を果たすことができたこと。

 その姿を見届けながらボクたちは彼女と別れたこと。

 その際、彼女は「ありがとう」と言った後、身に付けていた髪飾りをボクたちの手首にはめてくれて、泣きながら、でも笑顔でボクたちを見送ってくれたこと。

 そして、まだ次元のヒズミが埋まっていなかったおかげで、ボクたちはここに帰ってくることができたことを話した。

 

「何をそんなでたらめなこと言っているのよ。ちゃんと目を覚ましなさい!」

「いい加減にちゃんと目を覚ませ!いいか、こっちは怒っているんだぞ!」

 ボクたちが嬉しそうに体験談を話したにもかかわらず、お母さんとおじさんはまだ怒っていた。

「どうやら話がかみ合っていないようだな。だが、2人が持っているその髪飾りは確かに行方不明になる前は持っていなかったものだ。どうやら2人は本当に未来の世界に行っていたんだろう。」

 お父さんは、全然怒る様子もなく、ボクたちの味方をしてくれていた。

「そうだよ、お父さん。ボクたち、本当に未来の世界に行ってきたんだ。そして、そこで500年後のディースさんに会ってきたんだよ!」

「ほお、500年後の彼女か。よく長生きするもんだな。」

「そうでしょ!?ボクたちもびっくりしたんだよ!」

 どうやらお父さんだけには会話がうまくかみ合っているようだった。

「おい、リュウ。優しさばかりじゃなくて、叱る時はちゃんと叱ってくれ。甘やかしすぎだぞ!」

「そうよ。ここで甘やかしたら、また勝手な行動をするわ!何かあってからじゃ遅いんだからね!」

 おじさんとお母さんは、ついにお父さんにまで矛先を向けてきた。

「まあまあ、2人とも。子供達がこんなに嬉しそうに冒険の話をしているんだ。じっくりと聞いてやろうじゃないか。」

「ちょっとリュウ!」

「お前までそんなことを!」

「とにかくニーナ、ギリアム。子供達の喜びを壊してしまってはまずいだろ。とにかく無事に戻ってきてくれたんだから、これでよしとしよう。」

「でも、でもっっ!私としてはねえ」

「今回ばかりはお前とかみ合わんな。」

 どうやらお母さんとおじさんもお父さんの態度の前に根を上げてしまったのか、これ以上怒るようなことはなかった。

 ボクたちは確かに親に心配をかけてしまったけれど、あまり怒られなくて済んだことで、内心ほっとしていた。

 

「それじゃあリュウ、ギー。そろそろ荷物をまとめて帰ろうか。」

「はい、お父さん。」

「おう!おじさん。」

 ボクとギーちゃんはそう言うと、早速片付けに入ろうとした。しかし、そこで1つ困った問題が発生してしまうことになった。

 それは、ボクたちがはめているノルカちゃんの髪飾りだ。

 このままではボクたちはそれぞれ片手しか使えない。

 そこで、ジャンケンをして勝った方がこの髪飾りを引き続きはめるということになった。

「それじゃ、いくよ。」(ボク)

「いつでもいいぞ。」(ギーちゃん)

「せーの、ジャンケンポン!」(2人同時)

「ポン!」

「ポン!」

 …まあ、何と言うか、またと言うか、なかなか決着はつかなかった。

「ほお…。あいこばかりとはなかなか面白いじゃないか。」

 お父さんはこんな時でも優しい目でボクたちを見守ってくれた。

「お父さん、ごめんなさい。待たせちゃって。」

「大丈夫。多分次は決着がつくんじゃないか?」

「うん。絶対に勝ってみせる。」

 ボクはそう言うと、気合を込めて「ジャンケンポン」と言いながらグーを出した。

 一方、ギーちゃんの出したものは…。

 

(あ~あ。結局ノルカちゃんの髪飾りはギーちゃんの手に渡っちゃったか。何としても勝ちたかったのになあ…。)

 ジャンケンに負けてしまった僕は、ガッカリしながら片付けの作業をしていた。

 一方のギーちゃんは「ノルカちゃん、見てる?」とでも言いたげな表情で、楽しそうに作業をしていた。

 さらに彼は時々その髪飾りの香りを嗅いで楽しんでいた。

 どうやら植物由来のいい香りでも感じるのだろう。

 それが本当なら、ノルカちゃんの両親は植物から薬だけでなく、シャンプーやリンスのような洗髪料も作っているのだろう。

 ノルカちゃんの両親かあ…。

 言葉を話せなかった彼女をあんなに明るく育ててくれて、薬を通じてあのおじさんの命を救って、町の人達から葉ッパの先生として慕われていて…。

 あの時は短い時間しか見ることができなかったけれど、できることなら色々話をしてみたかったな…。

 ボクはそんなことを考えながら、片付けをしていた。

 

 片付けが終わるとボクたち5人はキャンプ場を後にし、家に向かって歩いていった。

 その途中、ボクとギーちゃんは何度も後ろを振り返り、滝のある方角を見た。

(ノルカちゃん。急な別れになってしまって本当にごめんね。本当はボクたち、もっと話をしたかった。もっと一緒にいたかった。でも、ボクたちは無事に元の世界に帰ってきたよ。ボクたちのことは心配いらないから、どうかノルカちゃん、お父さん、お母さんと幸せに過ごしてね。)

 この世界に戻ってきた時はあんなに明るかったボクの表情は、いつしか寂しげなものになっていた。

 それはギーちゃんも同じで、彼は髪飾りをじっと見つめながら、寂しげな表情をしていた。

 ノルカちゃん…。別々の道を歩むことになったけれど、できることならもう1度会いたい…。でも、もう2度と会えないのかなあ…。

 

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