もう1人の虎   作:白黒トラベラー

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どうも黒トラベラーの方です。
また送ってきやがりました。
なんでも「…オマエ鯱みたいな服着てるな!よし!」らしいです。

不定期でダラダラ続くと思いますが、良ければお読みください。後、原作に則ってだいぶストレートな表現ありますのでご了承ください。


白と黒の魔物

牙闘(キリングバイツ)。非合法で四大財閥によって行われる娯楽。

そこで戦うのは獣の力を人の身に表した獣人達、闘獣士(プルート)

獣化法制定後、哺乳類、爬虫類、両生類問わず存在する獣人達。今では闘獣士ではないが延命の手段など医療的手段の一環として獣人になる人もいる。

 

 

 

 

 

 

司会「アンテロープダウン!勝者オルカ!!!」

 

司会の声が大きく響き、会場の富豪たちも合わせて叫ぶ。

大半が歓喜の声だが、中には悔しさを滲ませた声も混じっている。

血に飢えたこの姿は一般大衆がオリンピックのレスリングなどで湧いているのとなんら変わりはない。

 

 

祠堂「黒田君。君に、牙闘に出てもらいたい」

アングラ(地下)で闘技に明け暮れた俺みたいなろくでなしにわざわざ連絡を取ってきたこの男、「祠堂」は牙闘の管理者であり、獣化の手術に関わる一切を管理している者だ。

 

試合後、暇な時のために行った病院がどうやら牙闘関連のところだったらしく、そこでされた血液検査の結果、アングラの主催者と話をつけここまで来たらしい。

 

 

祠堂は来る無いなや、

「黒田 水翔(みなと) 君、18歳。血液型O型、6月20日生まれ。君のことは調べさせて貰ったよ。どうだい?もっと稼ぎたくはないかい?」

と言ってきた。

 

金のことに興味はあまりなく、1度は断った。

各財閥の持ち駒として必ず所属しなければならないというのが、日常生活に支障をきたしかねない。一応世間体としては「高校まできちんと卒業して、肉体労働をしてお金を稼いでいる」ので変に怪我が目立ちたくはないのもあった。

 

そこで、祠堂は「ヒトミ」という少女のことを話し、彼女と同じように直属として獣人なるのはどうかと聞いてきた。

そこでさらに話を重ね契約の内容としては

・祠堂の直属とする

・牙闘に出るかはこちらの一存。

・牙闘ではボーナスキャラとしてランダム出場

・デストロイヤルでは島内の各種設備の点検を戦闘の合

間に担当

・臨時雇いについてもこちら(黒田側)の判断に一存

という形で要は俺が出る出ないを決め、デストロイヤルではスタッフとして現地で裏方をするという契約の内容で受けることにした。ただ、相手が相手なので契約がいつまでも守られるようには思えないが。

 

その後は呼び出した店内に居た関係者(店の客全員)に連れられ、改造手術的なものを受けさせられた。データを取るために獣化、部分獣化、そしてシャチの最近の論文から得られた戦闘に使えるであろう情報などを教えられ、手術後1週間でそこそこ獣化を操れるようになった。

 

牙闘において大切なのはその生物の特徴を活用した戦術。食肉の海獣だとしてもそれはおなじ。陸地で使える能力を最大限に使う事が前提となる。

 

 

 

司会「勝者は黒と白の魔物オルカ!!アンテロープ選手、残念ながらボーナスは獲得ならず!」

 

昂った高揚感をなだめつつ少し息を吐いてギャラリーに一礼。今日の仕事は終わった。

 

 

 

 

俺と対戦する闘獣必要以上の攻撃を加えることは許されておらず、許されているのは獣化が解ける程度。だが、獣化を解くのは本人の意思次第でもあるので、その辺の裁量は難しい。

 

ボーナスステージチャレンジャーも俺自身が連戦することがあるので、自分以外のチャレンジャーにもチャンスを与えるために俺のことは執拗に外傷などを与えてはならないことになっている。

 

デストロイヤルなどについてはまた別だったが。

 

 

 

 

 

黒田「こちらオルカ。祠堂さん、カメレオンの始末、怪我人の回収終わりました。」

 

祠堂「ありがとうオルカ、こちらも終わったよ。今日をもって君は本格的に管理局の職員として働いてもらう。闘うのしばらくはお休みだ。」

 

黒田「分かりました。では、戻ります。」

 

祠堂「……これから獣人のあり方は大きく変わる。君にも手伝ってもらうよ。」

 

デストロイヤルの決着後、勝者を抹殺するための「違反者」カメレオン。それらを「機械トラブル」の修理という名目で処理した。

獣人のあり方。そんなものに興味は無い。

 

 

 

鹿島「先輩、ご馳走様です〜!じゃ、行ってきますね〜」

 

部下の「海豚」(ドルフィン)こと鹿島 萌衣(22歳)が早くもこの後の宴会前に浮き足だっている

 

早田「黒田先輩、すみません。我々だけで行くことになってしまって…」

黒田「まあ、今夜のは局長からの仕事だから休みなんか関係ないからな。ちゃんとみんなのこと見張ってくれよ?早田さん」

 

部下の1人、「抹香」(マッコウ)こと早田 剛志(28歳)はこちらよりもかなり歳上である。

 

ここ、通称「海獣課」は水害時の特区での救助活動を行う。獣化した獣人を救助するには獣人というわけだ。

日常はそれぞれが当てられた異なる仕事をしている。

ドルフィンなら事務、マッコウは相談窓口での接客、そして俺は法外牙闘場の視察。

デスクで燻っていた俺を見かねて祠堂さんが与えてくれたポスト兼仕事だ。管理局の職員と言えど結局やることは対して腐った政治家と変わらなかった。好みの女と遊ぶ「上司」の姿は獣より醜悪だった。相手が「獣人風俗」のスタッフであればあるほど。

 

獣人風俗は要は「闘獣士になれなかった女性獣人」が食い扶持を繋ぐための場所。「恵まれなかった獣人の援助」という名目でそういった場所に夜は連れていかれ、昼はデスクでただ座って時間を潰すだけだった。

椅子に座ることを止め、代わりに尾鰭で体重を支え始めた頃、このポストは与えられた。

 

 

 

 

早田「大丈夫なんですか?ああいうのってプロもいるんでしょ?」

 

黒田「君らよりは闘えるよ。」

 

鹿島「さっすがぁ!じゃ、今度は先輩の奢りで行きましょう!!」

 

黒田「はいはい。さっさと行ってこい」

 

 

 

 

 

 

金網通(メッシュストリート)

裏の牙闘の会場として闘獣士「兎」が取り仕切っている。

 

 

黒田「さて、見つけてしまったからには放置出来ないんよなぁ〜ここ。」

 

獣人「あぁ?なんだテメェ?ここは部外者立ち入り禁止だぞ!」

 

黒田「すまんね。こちとら管理局の人間なんよ。」

 

獣人「だからどうした!怪我しねぇうちに帰んな!」

 

黒田「別に君らに用はない。兎に用があるだけだ。」

 

 

 

 

黒田「さて、久しぶりだねぇ〜。初さ〜ん??」

 

初「ひっ…!水翔さん!?今日は何用で…?」

 

黒田「簡単さ。管理局の人間だからね。ここは本来なら直ぐに潰すべき場所なんだけど…まあ、判断はこっちに任されてるし、君なら「たぶん」大丈夫でしょ。」

 

初「あ…ありがとうございますぅ〜!」

 

黒田「さて、んじゃ警察行こうか。」

 

初「なんでですか!」

 

黒田「お金。返してね?そろそろ裁判起こすよ?」

 

祐「おいテメェ!初さんに何してんだァ!?」

 

初「祐っち!あの、そのこれは…」

 

この獣人、見たことある。タスマニアデビル。最近プロになった若手だ。

尊夫人が後ろ盾になっていたはずだ。

 

黒田「管理局の職員としての視察と…借金取りかな。昔お金貸してたから。」

 

祐「初さん。」

 

初「何!?祐っち!」

 

「それは初さんが悪いっす。いつの金かは知らないけれど。」

 

下積み時代なので2年は超えている。

 

初「そんなぁ!」

 

黒田「すぐ返せるほど儲かってるだろ?たぶん。」

 

初「えーとそうですけど…そうだ!金網通の獣人とあなたで試合して、あなたが勝ったら返しますよ!」

 

そんなに金を返したくないかこの兎は。部屋に訪れた時1人で喘いでたのをバラしてやりたいが、それ言うと兎の彼氏みたいな反応されてしまうし何よりあの時兎自身が俺の尾鰭で「楽しんで」いたので胸の中に留めておいてやろう。代わりにここの選手には倒されて貰うが。

 

黒田「へぇ〜…いいの?怪我人出るよ?こっちは責任取らないからね。」

 

 

 

 

 

 

祐「なんで初さん本人は闘わないんですか?」

 

初「簡単よ。あの人、音使って攻撃するから私じゃ相性最悪なのよ。実際コウモリだとかの獣人相手だと10秒超えてないし…私の脚力でも脳震盪起こさないどころかこっちの鼓膜破ってくるから…」

 

祐「でも、他にも強い獣人いますよね?なんでウルフさんとか出さないんです?」

 

初「それは…経験よ!経験!」

 

祐「なるほど!初さんさすがです!!」

 

 

さて、相手は猪(ボア)。猪突猛進とは言うものの慎重な動物だ。

 

猪「おいあんた!本当にやるのか?」

 

黒田「もちろん。借金踏み倒されちゃね〜」

 

猪「フン!ちょうどいい!この後の試合のウォームアップだ!」

 

予想通り、ボアは突進してきた。

 

黒田「おぉ〜。すごいねぇ〜」

 

猪「跳んでよけれるとでも思ってんのか!?」

 

黒田「アンタ、馬鹿だよ。」

 

軽く跳ね、そのまま相手の頭を踏みつける。軽く蹴ってから距離を置く

 

黒田「はい、捕まえた。」

 

観客「おい、あいつ、獣化してないのにボアを止めたぞ!」

 

観客「あいつ結構やるじゃん!」

 

猪「ふざけんけてんのか!」

 

鯱「ふざけてるのはアンタだよ。」

 

久しぶりの獣化。骨と筋肉が少しずつ変化していく。手の皮膚が黒くなり、ツルツルとする。前腕からひれが生え、さながら逆手に持った刃のようになった。

 

鯱「そらよっ!」

 

いくらただのタンパク質の塊といえど刃状のものをそれなりの速さで振り抜けば獣人の筋力なら出血をさせることなど簡単だ。

 

司会「ボアダウン!勝ったのは管理局の謎の闘獣士です!」

 

 

観客「あいつ、案外強ぇぞ!」

 

観客「いいぞ、いいぞぉ!」

 

観客が富豪でないというだけで人間の本質は変わらない。きっとローマ帝国の時代、奴隷と猛獣の闘いを見ていたローマ市民もこうだったのだろう。かなり初期から庶民のための催しだった点はこの牙闘より優れている。

 

鯱「どうする兎?まだ続けるか?続けねぇならどんな手を使ってでも連れてくぞ?」

 

初「えーと…続けるって言っても…」

 

犀「俺が行かせてもらおう。アンタとは闘ってみたかった。」

 

鯱「犀(ライノ)か。アンタも物好きだね〜」

 

犀「そりゃ気になるだろう。こっちもかなりキャリアは積んでる。2年前、アンタはデストロイヤルに参加出来る程の猛者と張り合っていた。ラーテル同様表に出てこなくなったが、その強さは今の闘獣士ほど知らない。だが俺は知っている。チーターやベアに引けを取らないその力、試させてもらうぞ!!」

 

観客「マジかよ…あいつ、2年前の闘獣士なのかよ…」

 

観客「あんな獣人いたか?」

 

ライノは2年前のデストロイヤルに出てはいなかったがそれでもその実力は今では名を馳せている。面倒なことに今ここでバラされたくないことをバラされてしまったが。

 

鯱「分かった。ただここは法外な場所だ。ここで怪我しても、公式の試合では何も考慮されないからな。」

 

犀「そんなの分かりきっている。」

 

司会「おぉっと!突然始まった謎の闘獣士VS闘獣士ライノ!互いに2年前からのベテランだぁ!」

 

犀「こいつは闘獣士じゃねぇよ。」

 

祐「初さん、それってOKなんですか?ここにいて?」

 

初「大丈夫よ。だって彼は元々ある程度強い獣人にかけられたお金の倍率を引き上げる為のボーナスキャラのようなもの、試合結果は全く残ってないけど、それでも特例で参加出来てる。」

 

観客「闘獣士ではない?」

 

観客「すげぇ…表舞台に出てこなかった獣人が今目の前にいるんだぞ!」

 

観客「こりゃ楽しみだ!」

 

一体いつ始まるのだろうか。このまま待っても無駄だろう。

 

鯱「おい、猫科の嬢ちゃん。」

 

司会「はっ、はい!」

 

鯱「俺は鯱(オルカ)。ライノが言った通り闘獣士ではない。ただ、今この場限り、闘獣士として闘わせてもらうぞ。」

 

司会「……では…スゥ…謎の闘獣士改め、海のギャングオルカ!VS突進要塞ライノ!2年前、有り得るも、成される事のなかった試合の始まりだァ!」

 

観客「「「うぉ〜〜〜!!!」」」

 

騒がしい歓声。いつぶりだろうか。

 

鯱「来いよ、ライノ。」

 

犀「言われるまでも!」

 

頭部の獣化、犀らしく突撃してくる。ただ、猪と違い、犀には上方向への大きな攻撃範囲がある。先程のような止め方は出来ない。

 

司会「闘獣士オルカ、ここは先程と同じ作戦なのでしょうか!?」

 

そこまで馬鹿じゃない。全身の骨、筋肉、それらを1度太くし、元の太さへ戻す。そのイメージさえあれば気づかれないまま体内のみの変化はできる。

次は尾てい骨付近に意識を向ける。そうすれば変化直前での維持ができる。後は身体を捻り、迫る瞬間に備えるだけ。

 

観客「どうしたあいつ?動かねぇぞ?」

 

観客「真正面から受け止めるつもりか!?」

 

犀「甘いぞオルカ!俺の突進を受け止めれるやつなんていない!」

 

おおよそあと2歩、その所までライノは迫っている。攻撃するのは最後の1歩が地面から離れ、奴が角を下げた時。

 

犀「吹っ飛べ!!」

 

鯱「惨戟(さんげき)、居合」

 

水中で40ノットに達する筋肉と骨、それらを陸地でその場での回転のみに使う時、とても回し蹴りなんて出来ないほどの勢いがつく。もちろん着地すら困難。

だが、相手を尾ひれの間合いギリギリまで引き付けた上で尾ひれを生やし、居合の用量で相手に打ち付ける。慣性によって折り畳まれた尾ひれの両端は「打ち付けると同時に二撃目を打ち付ける」ことが出来る。

 

 

傍から見れば突然生えた尻尾にライノが地面に横殴りに叩きつけられたようにしか見えないが、実際は一撃目で勢いを横からの力によって削がれ、二撃目で向かい合う力に頭を挟み込まれるようにして脳を揺らされ脳震盪を起こしただけである。

 

司会「なんと!オルカがライノを尾の一撃で地に叩き伏せました!流石のライノもこれには横転!そのままノックアウトだぁぁぁ!」

 

これで2人目。次辺りもベテランがくるのか、それとも終わるのか。

 

鯱「どうする兎。まだやるか?」

 

祐「私にやらせてください、初さん。」

 

名乗りをあげたのは制服を着た少女。さっきから兎と話していた奴だ。

 

鯱「…やめとけニュービー、いや、期待のルーキーの嬢ちゃん。腕は良くてもオマエ、学校あるだろ?オマエみたいな有望株がちょっとでもキズモノになると面倒なんだよ。」

 

祐「関係ねぇよ!私にも殺らせろ!それとも何だ?バテたか?その状態で私に負けるのが嫌か?」

 

バカかこいつは。こっちだって仕事で来てるし、オマエに手出し出来ない立場の人間だから困ってんだよ。

 

鯱「はぁ……ちょっと待ってろ…おい、萌衣、聞こえてるか?」

 

とりあえず、携帯の電源をつけっぱであろう鹿島に電話をかける。

 

鹿島「あ〜!センパァイ!どうしましたァ〜?来ますかァ〜??」

 

完全にベロベロだ。店の中で獣化していたら今度給料カットしてやろう。

 

海虎「ちょいと面倒な事になった。明日からしばらく俺いねぇから。」

 

鹿島「え?それってど…」

 

鯱「はぁ…減給で済むといいんだけどなぁ…」

 

問題起こしていなければいいのだが。

 

鯱「一旦携帯とか出させてくんねぇか?ぶっ壊れた後にねちっこく法廷で言われたかねぇだろ?」

 

祐「チッ…さっさと置いて戻ってこいよな!!」

 

 

鯱「本当にやるつもりかい?」

 

祐「何だ?怖気付いたか?」

 

司会「それでは、闘獣士タスマニアデビルVSオルカ、レディ……」

 

ファイトの掛け声に合わせて音が飛んでくる。

 

司会の嬢ちゃんが身震いしている。何かしたのか?

 

祐「よそ見してんじゃねぇ!!!」

 

突っ込んでくる黒い塊を難なく避ける。

 

祐「(チッ…魔唸(デアグロウ)が効かねぇか…)どうした?男は受け止めても女の私は受け止めねぇってか?そういう趣味でもあるのか?」

 

鯱「音を使った威嚇ねぇ……攻撃に転用出来ないのなら大したことはない…か。」

 

祐「なら…これはどうよ!」

 

噛み付いてくるタスマニアデビル。音で来るのなら音で勝負といこう。

 

祐「ふんっ!それで止めたつもりかよ!?そのまま腕を…」

 

海虎「兎、修理は自腹でやれよ。」

 

タスマニアデビルの言葉を遮り凝縮した音を放つ。

 

バキィィ!!

 

タスマニアデビルを貫き、背後の金網に大きな穴が空く。

 

祐「が……」

 

鯱「弾音(クリック)。ちょっとした「索敵用」の音だ。」

 

動けなくなっているタスマニアデビルの背中に一撃、無理やり顎を開いて口を離させる。

 

祐「そう簡単に外されるかよ!」

 

無理やり噛み付いてくるが、さすがに時間を潰すだけ潰したのでちゃんと相手してやる必要は無いだろう。

 

鯱「打戟(スマッシュ)。」

 

バチィィィィィィン!!!!!

 

なんてことの無い平手打ち。しかし、いかに毛皮に覆われていようとも、毛皮に覆われていない背中の肌、「ほぼ剥き出しの感覚神経」には十分すぎる。2年前、テストでは鉄筋コンクリートを手の形に抉りとった一撃、噛み付こうと開いた口から吐瀉物が溢れる。

 

祐「ゲホッ……ガ八ッ……!!」

 

観客「やれやれ!!ぶち犯すなり殺すなりしちまえ!!!!!」

 

無責任に叫ぶ観客。金を払って見ているのなら文句は言えないが、タダで殺し合わされているのだから暴言位許されるだろう。

 

鯱「うるせぇよ、食われてぇか?鯱は無駄に殺しはしねぇよ。それにしても、若い女の子によく言えたなオマエ?」

 

司会「ちょ、ちょっと!?!?」

 

ステージから降りて下卑た言葉を浴びせた奴を締め上げる。

 

鯱「悪いけどよ、これでも管理局の、しかも課長なんだわ。オマエさん見てぇなやつが居るような場所での違法牙闘は許せねぇんだわ。とっとと消えろ!!!!」

 

牙をむき出しにして怒鳴りつける。

その場にへたり込む根性無しを置き去りに、まだ吐いているタスマニアデビルに近づく。

 

鯱「骨は折れていないな?痣もないし問題は無い。それなりに内蔵に響いただろうが損傷はしないはずだ。」

 

祐「ゲホッ…それなら……!」

 

言うが早いか性懲りも無く噛み付いてくる。

 

祐「だいひらふんどだ!(第2ラウンドだ!)」

 

必死に噛み付いているが先程より威力は落ちている。上顎を抑え、下顎に膝をぶつけてより強く食い込ませる。

 

祐「ぎっ……!?」

鯱「分かっただろ?浅いんだよ、噛みつきが。それに、噛んでも血の一滴も出ねぇ様ななまくらじゃ勝てやしねぇよ。本当の「牙」ってのはな…」

 

歯だけを獣化させて首に軽く噛み付く。ボタボタと流れていく鮮血。タスマニアデビルと比べたところで鯨を餌にする鯱の歯の威力は桁違いだが。

 

初「祐っち!?」

 

口から自分の血を吐いても尚噛みつき続けるタスマニアデビル。確かに尊夫人も気に入るだろう。

 

シャチ「…本来なら闘獣士の資格剥奪か出場謹慎なんだが……見上げた根性だよ。こっちから頼んどくさ。」

 

祐「へ?」

 

鯱「管理局の視察員への攻撃、その時点で資格無しは普通だ。兎が取り仕切っていようとも、最低でも仕掛けてきた獣人はアウトだ。ただ、オマエの根性に免じて、猪や犀含めてお咎め無しにしてもらうさ。分かったらとっとと離せ。」

 

ぽかんとして口を開いたのか簡単に外れる歯。まだ少し刺さっているが。

 

鯱「兎、約束だ。とっとと金返せ。そうすりゃココの事は問題無しにしとくからよ。」

 

初「またまた〜…元々見過ごしてくれるんじゃ…」

 

鯱「ウチは表向きはセーフな課なんでね。悪いけれど他の人のようにここを無傷するのは簡単じゃねぇんよ。それに…取り仕切ってるやつが借金泥棒とは…ねぇ?」

 

初「分かりました!返します!返しますから!!」

 

黒田「それでよし!じゃあ、せいぜい頑張れよ。」

 

初「は…はい〜……」

 

 

 

 

祐「いいんスか初さん?」

 

初「(本当は保身だけど)彼も言った通り有望株が出場停止になるのは…私の下積み時代の借金で君たちまで迷惑を被る訳にはいかないからね。」

 

祐「それにしても、アレとどういう知り合いですか?というかいくら借りてたんですか?」

 

初「(まずい…1人でヤッて喘いでたことなんか言ったら…それに借金も多いし…)えっと…下宿させて貰ってたというか…養って貰ってたっていうか…うん。同居してた…。めっちゃ弱い時に全く稼げなくてそのまま家に……一人暮らしになった後も弱っちかった頃はずっと…」

 

祐「それで初さんがあんなに下手に出てたんですね?……え!?初さん同居してたんですか!?」

 

初「(やっちまった〜!!)そ、そそ、そうじゃなくて!!なんというか…寮?民泊?まかない?って行ったら良いのかな??マジで路頭に迷ってて…というか「兎」じゃん私?今と比べてかなり賭けて貰えなかったのよ……今でこそこうだけれども、兎って理由で…ちょっとね?(うわ〜!あらぬ過去を作ってしまった〜!)」

 

祐「やっぱり、初さんも苦労したんですね…。」

 

初「そりゃするよ!祐っちだって今回の負けだったり私の借金なんて気にしなくていいから!相手はホント、虎とかにも並ぶぐらいだろうし…ね?」

 

祐「それで、結局幾ら借りたんですか?」

 

初「(言わなきゃダメ…かな?ごめんなさい水翔さん!)………万…。」

 

祐「へ?」

 

初「900万…。約730日で900万…利子無し、月毎の増額可能。今は返せなくていいから強くなって、先輩としてしたわれるようになってらからって……あんなに優しかったのに…」

 

祐「初さん…あの人、ああなったの初さんのせいじゃないっスか?」

 

初「確かに…昔は兎「さん」だったり初「さん」だったのに……」

 

祐「でも返せって言われたってことは認めて貰ったってことなんじゃないですか?管理局の人間にも認められるなんてやっぱり初さん凄いです!!!」

 

黒田「(……今度電話で小言でも言うか…)」

 

 

 

 

祠堂「ふむ…まぁ、それならば仕方ないかな。」

 

黒田「すいません、祠堂さん。」

 

祠堂「いや、君の参加はいい刺激になったんじゃないかな?とりあえず、今日はお疲れ様。頼んでた仕事の件、追って話をするよ。」

 

黒田「わかりました。では。」

 

明日から始まる新しい「仕事」まともな教育など受けていないが大丈夫だろうか。

 




長ぇわ!!
原稿用紙何枚送ってくるんだアイツは!!!

さて、皆さんから見ればしょうもない1人芝居のようにしか見えないことはやめておきましょう。

漫画「キリングバイツ」は黒トラベラーの方もチラチラ読んでいるのですがまぁヤバい。
ヒーローズコミックの本なのですが、作者さん、他にも「ヒメノスピア」なんて本もありましたね。(これも大概かも。)

設定的なお話?

鯱なんですが地味に黒トラベラーからするとリアルで触れ合う機会多い動物です。仕事の都合もありますけどね。
彼らの(´・ω・`)アソンデのハグで足とか脇腹折れたりするのでチマチマ物書きやってたら話が飛んできました。(鯱が意外と書き手としての本格始動の立役者)
なんで、構成やってる相方からすると「ある程度知識のある奴が近くにいるから鯱を主人公にしよう」というしょーもない理由で作られた作品です。

でもこういったバトル作品みたいなのは読んでて楽しいので嫌ではないですね。(書くのはまあ別として。)

この作品は結構原作とは変わってることもあるので(というかクロスオーバーって原作に介入することでそれなりにオリジナリティが出るのでは?)読む際はお気をつけくださいませ。
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