ハジメが○○の能力で無双短編集   作:グラドラル

1 / 4
ユーハバッハ編

その相手は爪熊にとって唯の餌のはずだった。

 

己の住みかとしているオルクス大迷宮。それも爪熊のいる深さまで、人間がたどり着くことは無かったからだ。

 

ウサギに嬲られていたそれは、取るに足らない弱者だったはずだ。

 

現に、容易く左腕をもぎ取りそれを腹に収めたばかりだ。

 

その体すべてを食らえばさらに腹は膨れるだろう。そう思って獲物を食らおうとした。

 

「食らったな……僕の腕を……」

 

獲物が何か言っているようだが、気にすることではなかった。

 

「取り込んだな……僕の血肉を……!!」

 

もうじき己の糧となるだけの存在なのだから。

 

「返してもらうよ……君の力と共に」

 

そのはずなのに……爪熊は己の全てをその存在、南雲ハジメに奪われていた。

 

自身が培ってきた全てを、たった今食らったハジメの血肉と共に奪われた。

 

爪熊は何も理解できぬままハジメの糧となっていった。

 

 

 

「召喚されたときにクラスメイト達に分け与えた力」

 

一度失った左腕を取り戻しながらハジメはつぶやく。

 

「未だ発展途上のその力、今返してもらうには惜しい」

 

特にこれから更に増していくだろう天之川光輝の力は、まだ奪うには早い。

 

「だからこそ、この魔物が溢れる大迷宮は僕にとって都合がよかった」

 

だからこそ、態々大人しくこの場所まで落とされたのだ。

 

「いずれはエヒトの力も手に入れるつもりだけど、それには僕の力はまだ弱い」

 

故にまずはこのオルクス大迷宮に存在する魔物たち。

 

「手始めに、この大迷宮は僕の糧になってもらうよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神界にて、エヒトは南雲ハジメと対峙していた。

 

召喚されたとき、最も脆弱な存在であったはずの存在。

 

それが今や己を超える力を持っていた。

 

エヒトが使う概念魔法はハジメには無力だった。

 

「これが、僕の本当の力だ」

 

単なる未来予知と判断していたその力。己の概念魔法の前では無力だと思いあがっていた。

 

だが違った、ハジメの能力はそんな領域のものではなかった。

 

全知全能(ジ・オールマイティ)は未来を見通す力じゃない。未来を改変する力だ」

 

神を自称するエヒトですら、その力の前では無力だった。

 

あらゆる未来において、エヒトはハジメに抗う事は不可能となった。

 

新たな魔法を作り上げても、何一つ通じることは無かった。

 

トータスを捨て別の世界へ逃げようとしても、それが叶う事はなかった。

 

エヒトに残された未来は一つだけだった。

 

事の始まり、遊戯感覚で地球の人間を召喚したことを後悔しながら、エヒトはそのすべてをハジメに取り込まれて消滅した。

 

             

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。