縛られたまま空を駆けること暫く。
最初は現実逃避してしまう程に、少女が僕を抱えて空をまるで忍者みたいに駆けまわっていることに驚いた。
しかし人間というのは慣れる生き物で、食い込む猿轡の窮屈さに少しイラついていた。
僕は今どこに連れていかれているんだろう。
そう素朴な疑問を抱きながらも、口を塞がれているので質問をすることが出来ない。
ただ、どんどん山奥に連れていかれているのは分かった。
山の中を足も取られずに結構な速さで進んでいる。
どうなってるんだろうねコレ。
「終わってたら終わってたでどうしましょうかねぇ。」
終わる!?
終わるって何が!!?
ぼそりと呟く仮面女の言葉に不穏さを感じつつも、どうしようもなく担がれたまま。
すると、不意にとある音が聞こえてくる。
「Ah~~!!!」
木々がポキポキと折れる音や何かの破砕音。
そして....聞こえてくる綺麗な声。
その声は森の中を貫いていくように響き、明瞭に鼓膜を震わせる。
仮面女が進めば進むほど、両方の音が段々と大きくなっているのを感じる。
そして、仮面女はまるで走り幅跳びのように両足で地面を蹴る。
すさまじい風圧と共に、どんどん地面から離れていく。
あぁ...何回飛んでるんだよ....。
もう突っ込む気力すら湧かねぇよ。
どこに向かってるのか分からないし、爆音は大きくなる一方だし。
これは駄目かもわからんね。
本能がここでお前終わりかも知れんやでって言ってるわ。
あぁ...アリカ、お兄ちゃんが居なくなってもお前はしっかり幸せになるんだぞ。
死にたくねぇなぁ....自称魔法少女とかメッチャ心配なんですけど.....。
なんとか助からねぇかなぁ....。
愛しの妹のことを考えながらも、心中に不安を募らせる。
しかし、高く跳び上がったところであるものを自分たちの下に捉える。
さっきまで鬱蒼と続いていた森の中に、不自然に拓けた場所。
薙ぎ倒されたような倒木。
そして....。
「ジジジ.....。」
「すぅ~....Ah~~~~!!!」
蜂の羽に蜘蛛の胴体、そしてそこから生えるムカデ、芋虫、ハンミョウなどの頭が生えた三首の異形が機敏にもかさかさと地面を這いまわる。
そして、そんな異形に相対しながらもなんかマイクみたいなのに構えながら息を吸って歌う少女が居た。
歌を聞いて、妙に異形の動きが藻掻くかのような様相を呈している。
....夢かな?
あまりにも現実離れしすぎてるもんな、変な化け物と戦う女の子。
仮面女に嗅ぎまわられたからな。
こういう怖い夢見るのも自然なのかも。
夢の中で夢見るってよくあるし、マッチョマンの夢から唐突に場面転換したのかな?
つーか、そんな勝手に不法侵入されるわけないしね。
そっか夢なんだろうな。
ほら、女の子が歌とかで戦っているのも妹の自称魔法少女発言から来てるんだろうし~。
それにしては風とか音とかリアルだなぁ~。
明晰夢って奴ぅ?
夢と分かって、気持ちが落ち着いた僕はボケッーとそんな下の奴らを眺める。
どうやら戦っているみたいだ。
わぁ~すごぉ~い、大迫力~~~。
「へぇ~まだ立っていらっしゃるんですねぇ。相性が悪いですしぃ~さっさとやられちゃうかな~って思ってたんですけどぉ、流石ですわぁ~。」
仮面女はそんな彼らの近くの木の上に立つ。
そしてまるで他人事のように呟いていた。
そんな彼女に存在に気付いたのか、下で戦っている少女が彼女に視線を向ける。
「...アンタ、何一般人連れて来て....!」
あの~めっちゃ睨まれてませんか?
しかし、仮面女はまったく気にした様子を見せない。
「ん~?そんなことよりも気にするべきことあるのではなくって?」
仮面女がそう言った瞬間、虫の異形の首の一つである芋虫頭が仮面女を睨んでる女の子目掛けて伸びていく。
その気配を察したのか、彼女は顔を驚愕しながらもそちらの方向へと向き直る。
「伸びて....!?すぅ~~~...」
息を吸う。
多分歌で戦っているんだろうな。
異形が歌った時に悶えてたように見えたし。
しかし、その瞬間芋虫頭から明らかに毒々しい紫色のガスみたいなものが噴き出す。
そしてそのガスは彼女目掛けて流れていく。
「っしまっ..かはっ!がはっ...ごほっ......!!」
息を吸おうとしてそのガスを吸ってしまったのか顔を歪めながら咳き込む。
そして膝を突いた。
そんな彼女を見て、首はもとの位置へと戻っていきゆっくりと異形は彼女へと歩みを進んでいく。
...あれヤバいんじゃないの?
「むーむー!!」
「...まぁここまで連れて来れたんだし、お話くらいはさせてあげますわ。」
そう言って猿轡を外す。
はぁ~、窮屈なのがなくなって解放感だわ。
そう思いながらも、僕は仮面女を見て口を開く。
「あの~これ多分夢だから態々言うのもおかしいんだけどさ、助けないとヤバいんじゃないの?」
「あ~そういう認識ですのね。まっ、質問に答えるとすると、私じゃアレにダメージ与えられないんですの。そんでもって....。」
僕の質問に答えたと思えば、僕を両手でつかんで自分の頭上に掲げる。
え?何する気なんだ?
戸惑っている間に彼女はそのまま.....僕をそいつらの方へと投げ飛ばした。
「えっ...ちょっ、えぇぇぇぇ!!!!?」
夢と分かっててもこれは滅茶苦茶だろぉ!!
うぉぉぉ!!すげぇぇ風浴びるし、すさまじい勢いで地面近づいている!!
怖い怖い怖いちびりそう、あっ....ちびった!!!
一瞬の滞空によるチン寒感覚。
しかしそれを一瞬で忘れさせるほどの激痛が襲ってきた。
「が、がぁぁぁああああ!!いってぇぇぇぇ!!!!」
めっっっちゃくちゃ痛ぇ!!!
これ、夢か!!?
夢とは思えないほどに痛いんだけどぉ!!?
「夢ではありませんですの。現実ですのよ、リアルって奴ですわね。オッケー?」
「ぜ、全然オッケーじゃない!!めっちゃ痛いし、こんな現実離れした光景がリアルなわけないし、そもそもリアルだとしたら不法侵入した挙句、こんな激戦地に一般男子高校生捕まえて放り投げるとか頭おかしいんじゃないのっ!!?!?」
僕が必死に言ってるのに、やれやれと手を広げる仮面女。
なんだその態度!!
怒ってる人間を目の前にしておかしいだろ頭イカレてるんか!!!
「わぁ~プンプンしていらっしゃいますわね。説明してあげても良いんですけど、そういう時間はなさそうなんでぇ~あなたの言葉は全部スルーするってことでお願いしますわぁ~。」
「そんな時間ないってなん..だ...よ....。」
仮面女に詰め寄ろうとした瞬間、地面が揺れる。
嫌な予感がして、ゆっくりとそちらの方向を見る。
「ギギ...ギギギ...ギチギチ.....。」
なんかギチギチ言いながら、異形がこちらに視線を向けていた。
あっ...これヤバイわ。
猛獣を前にすると気圧されて身体が強張るって聞くけど本当だったんだぁ~。
「稗..田ぁ..っごほっこほっ...さっさとそいつ連れてこほっ...にげ...こほっ....。」
けほけほと咳き込みながらも、こちらを見てそう言ってくる女の子。
あの子はこちらの心配してくれるのか。
「な、なんか今にもあの変なの飛びついてきそうなんですけど....アンタマジでどうするつもりなんだよ!?アンタあれにダメージ与えられないんだろ!?」
「さて、じゃさっさと済ませちゃいますか。このままだと私もやられちゃいそうですし。」
マジで話聞かねぇじゃねぇか....。
そう言って彼女は袴の内側に手を突っ込む。
不意に除く鎖骨や胸元。
...脇で抱えられたときにデカいなって思ってたけど、谷間の時点で相当だな。
ま、まぁ?目の前に居るのがイカレ女だとしてもおっぱいはただの肉の塊であって何の罪も相関性もないからな。
それにもしかしたら僕ここで死んじゃうかもだからな。
ガン見するくらい構わんやろ。
そしてそのまま手を引き抜くと、棒状の物。
それを掴んで引き抜くように動かすと、鞘から引き抜かれて鋭利な刀身が顔を出す。
....小刀?
「そ、それで切れば大丈夫とかか!?だよな!?なぁんだ~攻撃手段あるんじゃん!!私は駄目でも私の持つこれなら大丈夫ってやつぅ?憎いねぇ~...なんて言うと思ったか!!さっさと出せよって感じだよ!」
出し惜しみなんてしてんじゃねぇよ。
それが許されるのはヒーロー番組だけなんだよバカタレが。
そう思っていると、奴はニコニコしながらこちらに歩み寄ると、僕の背後に回り込んで肩に顎を乗っける。
....え?
「あの~、この状況になにやってるんすか?」
「ひと思いにいってやりますわね。ずぷ~って。ズプズプ~って。」
そう言いながら僕の腹に小刀を宛がい始めた。
....マジ?
「えっ...この状況になにやってるんすか?いや、この状況じゃなくてもアンタなにやってるんすか!?」
「あ~大丈夫大丈夫ですわぁ~。痛くない痛くない。痛くてもチクッとするくらいだからぁ~。」
や、やばい!こいつはマジでヤバイ!!!
な、なんとか逃げて....クソッ!そう言えば僕拘束されてるんだ!!
めっちゃきつく縛ってあるじゃねぇか!!
これじゃ処刑だわ!!!!
「いや、チクッとするくらいじゃすまないよね!?ズプッとしてブシャーだよね!?あの化け物にやられる前に死んじゃうよねぇ!?なに!?嬲られる前に楽にしてやるって魂胆!?諦めの境地じゃねぇか!!諦めんなよ、もっと頑張ってみろって!!」
しかし、小刀を僕の腹に宛がったまま離さない。
元から顔が仮面で隠れているから見えないが、姿自体が見えないのがめっちゃ怖い。
やべぇ...コイツ、僕の想定外に頭がおかしい...。
ただのシリアスキラーだった....。
ジェイソンの同類だった....。
「ギチチチッ!!!!」
異形はこちらに敵意を剥き出しにして足を曲げ始める。
あっ、やべ....来るやん。
前門のバケモン、後門のマジキチ。
「はい、じゃ切腹切腹ですわ~♪」
「ちょっ、まっ....!!?」
飛び掛からんとせん化け物を尻目にそのまま腹目掛けて振り上げた。
い、嫌だー!死にたくない!!
あぁぁああぁああ!刺さったぁぁぁぁあああああああ!!!
「いったぁぁぁぁ....くない?あ...れ.....?」
深々と腹に刺さっているのにも関わらず痛みがない。
しかし、意識が段々と遠くなって言って目の前が暗くなっていく。
へぇ~死に時ってこんなあっさり...なん...す.........。
見回すも、全てが暗く真っ暗な闇。
はえ~、あの世ってこんな感じなんすね。
死ぬ寸前は走馬灯を見るとか言っていたけど、そんなことはなかったようだ。
あーあ、死ぬ寸前くらい今までの良いこととか、妹の成長とかを見ていたかったな。
『....ー.....!』
ん?なんの声だ?
声のする方向に身体を向ける。
ふわふわと浮いている感覚。
どうやら僕は浮遊している?
『ヘー....!』
何かの声が聞こえてくる。
...なんか最近こんなことあったような。
疑問を覚えながら、平泳ぎの要領でその声の方向に泳いでいく。
すると、段々とその方向に光が見えてきた。
アレは...なんだろうか。
なんとなく、そこを目指して泳いでいく。
すると、そこにいたのは......。
『ヘーイ!やっと会えたなぁマイボーイ❤ずっとオレっちはユーの到来を待ってたんだぜ?さっそくオレっちを装・着DA♂合体!!アアアアアアァァァ!!!♂』
まるでボディービルのようにテカテカと黒光りした筋肉を剥き出しにしたムキムキマッチョマン。
黒い革ジャンとブリーフを身に着けたその様はまるで変質者。
そんな奴が手を広げて、こちらにどんどんと近づいてくる。
つーかお前.....。
「夢に出た筋肉ムキムキマッチョマンの変態じゃねぇーか!!!!」
声を出したら目の前が明るくなった。
周りを見回すと、腹に小刀をぶっ刺させれた場所。
目の前にはすぐ目の前で光を放ちながら浮遊する小刀。
そして.....。
「ギルルルルル!!!」
唸り声を上げながらも、芋虫頭がこちらの目と鼻の先にまで伸びてきていた。
しかもそれは、僕を薙ぎ払おうとしている。
「うわぁぁああ!!.......?」
ビビり散らかして痛みに備えて目を瞑る。
その瞬間、体中を何かが包み込む感覚。
そしてその直後に、身体が自由に動くことに気づく。
「何が....あれ?なんとも...ない?い、いや!なんじゃあこりゃ!!」
身構えていた痛みが来ないことで、ゆっくりと目を開く。
自分の手を見ると、何か籠手のようなものに包まれている。
いや腕だけじゃない。
足や胴体...いや視界に映る自分の体全体が何か銀色の装甲に包まれていた。
顔を触ると、硬い何かに阻まれている。
そして、僕の身体は相手の首を受け止めて跳ね飛ばされる。
薙ぎ払われたこと自体は痛くはない。
でも後ろの木に激突した時、少し痛かった。
『装着シークエンス、コンプリート。あぁ、俺っちの腕の中にユーが居るんだなって温もりで感じるよ....。』
「何がなんだか状況も何もかも分からないけど、お前が気持ち悪いってことは完全に分かったわ!!つーか耳元から筋肉変態の声聞こえるとかどうなってんだ!?地獄でしかねぇよ!!!」
なぜか耳元でうっとりした野太い男の声が聞こえる。
なんだよこれなんだよこれ!!
後ろを振り返ると、そこに既に仮面女は居らずかなり遠くの木の上でこちらを眺めていた。
一人だけ逃げてやがったのかよ!!しかも相変わらず説明がないし!!
「ギュルルル!!!」
「ちょっ、めっちゃこっちに走ってきた!!!」
首を元の場所に戻すと、異形はこちらにかさかさと近づいてくる。
感覚的に恐怖を感じた僕は、それから逃げる。
つーか、もうなんか縛られてないんだしこのまま家まで逃げるか!!
へっ!こんなのを着せて何をさせるつもりなのかは知らないがまともにお前らに付き合ってやる義務もないんだよ!
こちとら拉致されてここまで連れて来られたんだからな!!
「このまま帰っちまって.....!」
『そうなると、間違いなくあそこで二―を地面にキッスさせているガールは嬲られて死んでしまうんだろうがな。』
逃げていると、それを咎めるように耳元にマッチョマンの声が聞こえてくる。
後ろを振り返ると、めっちゃめちゃ僕を追いかけている異形。
そしてさらにその後ろで不安げな表情でこちらを見る少女。
...ぐぅぅ、まるでこのまま逃げたら人でなしって感じだぜ。
僕は結構な割合で被害者だと思うんだけどな!!!
「い、いや...さっきまで戦ってたんじゃん。それなら膝ついてないで自分で戦えば良いだろ!!?」
『...いや、あのガールはシング・ア・ソングしてバトッてる。そして目の前の異形は蟲毒。つまりストロングなトキシックを扱う妖魔だ。それの毒をバキュームしたことでスロートがやられて、しかも肺もファックされて身体がパラライズしてるんだろうさ。立つどころか膝を突いているだけでもミラクルってもんだぜ。』
「半端に英語混じってるせいで分かりにくいけど、つまりはあの子はもう自分では戦えないってことは分かった!!あ~~~~、なんでこんなことになってるんだよっ!!!」
逃げて逃げて、鬱蒼とした森の中に入る。
すると、異形も見切りをつけたのか足を止めると方向を転換する。
そちらは膝を突いて動けない少女の方向。
「っ....!す...がはっ...こほっ.....ダメ、か.....。」
息を吸おうとするも、やはり叶わない。
歯噛みしながら異形を睨みつける少女。
しかし、その揺れる瞳には怯えの色が見えて.....。
「ああぁぁぁぁ!!!分かった!!分かりましたよ!!!」
そもそも僕は部外者だろうが!!
一般男子高校生だぞ!何を期待してこうなった....っていうかどういうつもりでこういうことになったんだよ!!!
後でぜってぇー説明してもらうから!!!
でもどうするどうする!!?
僕はどうしたら良いんだよ!!
正直、僕はまともに戦いたくはない。
こんなデカい怪物となんて戦いたくないに決まってるんだろ!
あの子も連れて逃げてやる。
あとの始末はあの頭のおかしい仮面女にぶん投げてやる!
まだ離れでこちらを静観しているなあの女にな!!
でも、このまま走っていても間に合わないだろう。
まったく何をすれば良いのか分からないのに、異形に向かって走り出す。
『どうすりゃいいか分からねぇみたいだな。安心しな、オレっちを纏っている間に3度、パワーをブースティングすることが出来るぞ。』
「マジかぁ!?...いや3回!?たった3回!!?なんとなく分かるけど、お前あの小刀だろ?さっきのあたおかがお前秘密兵器みたいな感じで出して僕の腹にぶっ刺してやがったんだからこういうことの当事者なんだろ!?だったらもっと本気出せよ!!」
『いやそういう風にメイドされたのがオレっちだからな!まぁ、オレっち的には三度目のリアリー?とかブッダのフェイスも三度までとかと同じで超クールだと思ってるけどな!HAHAHAHAHA!!!』
HAHAHAHAHAじゃねぇよ...!
笑いごとじゃねぇだろ....!!
もうこの変態の相手してても頭が痛いだけってはっきり分かった。
とにかく、それを使ってどうにかするしかない!
どうにか....どうにか.....!
周りを眺めていると、ある物が目に入る。
地面に転がる倒木。
どのくらい力が強くなるのか分からないけど、やるしかない。
「じゃあ、もう3回で良いからさっさと力貸せ!!!」
『OK!それじゃ、アーユーレディー?....poweeeeer!!!!!』
なんでパワーとオーケーの所しかネイティブじゃねぇんだよ。
コイツもしかして似非外国人か?
そもそも日本刀の短刀の中の人が黒光りしたマッチョマンの変態外国人の時点でかなり意味不明だしな。
内心、耳元で話している変態に似非疑惑を掛けていると装甲から白いオーラが出ていることに気づく。
多分、力が増しているのか?
とにかく迷っている暇はないと倒木の方へと駆け寄る。
そして、倒木に手をかけて持ち上げようとする。
「うおっ...軽っ......!」
倒木はいとも簡単に持ち上がる。
まるで発泡スチロールを持っているかのようだ。
これなら片手でも持てるぞ。
片手で楽に持ち上げる。
そして、倒木を振りかぶった。
「おぉぉぉ!丸太は持ったぞぉぉぉ!!!ぜりゃああぁあああああ!!!!」
もはややけくそだ。
投げてみるけど、どこに当たるのか分からん。
だって倒木なんて投げたことないもん。
力一杯倒木を投げた。
僕の手から離れた倒木は異形目掛けて凄まじい速さで飛んでいく。
そして、異形の胴体に激突する。
「グギャァッ!?」
よしっ!当たった!!
異形は倒木がぶつかったことで吹き飛ばされる。
吹っ飛ばされた先で、木々を巻き込みながらも転がる異形。
しかし、その様子を見ている暇はない。
『Foo!Exstacy!!超気持ちよかったよなぁ~ブラザー?ちなみに残り2回だぞ?』
「お前にいちいち構ってる暇もないな!!」
なんかいつの間にか呼び方がブラザーになってた。
ふざけんな。
僕に居るのはちょっと痛いけど愛すべき妹だけだ。
筋肉ムキムキマッチョマンの変態な兄弟など必要ない。
そう思いながらも、少女に駆け寄る。
「おい、大丈夫か?」
「...ぅ...ごほっ...かほっ...ひゅー....貴方....こほっごほっ.....。」
どうやらしっかり話せないほどには重篤らしい。
まぁ呼吸器やられたんじゃ仕方ないな。
なんとか彼女ごと逃げないとな。
しかし残り2回。
あの強化が使えなくなれば俺はただ硬いだけの木偶の坊と化す。
だからこそ、彼女を持つのに力は使いたくない。
ならば、妹相手にいつもやってるおんぶか?
いや、アイツは首を伸ばせる。
背中に背負うのは危険だろう。
であれば抱っこか?
それでは視界に彼女が被って山道が降りにくくなる。
脇に抱えるのも、危ない。
であれば....残るのは....!
「これは人命救助だから深く考えんなよ!後でなんか言われても僕は悪くないからな!!」
一応念押しすると、そのまま彼女をお姫様抱っこした。
これなら視界も確保できる上に、位置的に俺の前だ。
それに、妹から何回かやってみせろよと言われたこともあって慣れている!
「ちょっ....ごほっ...ごほっ....!」
どこか戸惑っているように見えるが、そんなもの知らん!
命には代えられないし、僕念押ししたもん!
さっさと逃げちまおう!
一歩踏み出したその瞬間、背後で爆発音のような爆音が鳴り響く。
「ギャギャギャギャッ!!!ギチチチ!!!!!」
振り返ると、異形がゆっくりと起き上がってこちらへと向かってくる。
見ると、木々や枝が刺さって芋虫頭が紫色の液体が流しながら潰れていた。
威嚇するかのようにムカデ頭が顎を鳴らし、羽を擦らせてギチギチ音を鳴らす。
どうやら怒り心頭のようだ。
そして、羽を震わせると空へと浮かび上がる。
「あの巨体で飛べんのかよ....クソッ!インチキ生物が!!!」
どう見たってあの羽で巨体を空中に浮かばせることは出来ないだろ!!
そう思いながらも、一生懸命山道の傾斜を走り降りている。
気を抜けばすぐに足を取られそう。
遠目に街の光が見える。
「待って...こほっ...ごほっ....。」
腕の中で、彼女が不意に俺を止めた。
「正気か?ここで止まったら追いつかれるんですけど!?」
後ろではあのバケモンが飛びながら追いかけてくる。
アイツは空からこちらを追跡しているので、ただでさえ距離を詰められているのだ。
ここで一瞬でも立ち止まれば追いつかれるのは確定だろう。
彼女は俺の返答を聞いてもなお、苦しそうにしながら街の方向を見る。
「ここで...こほっ、このまま街に...ごほっ...逃げれば...街に被害が...がはっごっほこほ....」
そういうことか。
確かにあんな木々を薙ぎ倒したりとかできるような奴を街にまで連れて行ったらどうなるか分かったものじゃない。
僕たちの街、それは妹を始めとした家族...大切な人が住む街でもある。
それに、今は時刻は多分結構遅い。
みんな眠りこけている時間だ。
そんな時間にあんなものが街で暴れれば逃げ遅れる人が出るのは必至だろう。
八方塞がりじゃねぇか.....。
つまり、彼女が言いたいのは...。
「戦えってことか?無理だよ僕素人だよ!?アンタみたいにバリバリ戦えるわけじゃないんだよ!さっきの木だってまぐれで当たったようなものだし!ねぇ、なんとか動けたりしない!?歌以外にも攻撃方法があったり....」
「あったら...ぜー...ひゅー、やってる....こほっ!」
「ですよねぇ!!」
そりゃそうだわ。
だとしたらマジで手詰まりだぞ。
...いや、まだそうと決まったわけじゃない。
「お、おい...筋肉。」
『ん?オレっちのことか?オレっちは筋肉って名前じゃねぇーぞ。My name is 『KUNI卍MITU』.Ok?』
こんな時に呑気に自己紹介なんかやりやがって....
イラっとしながらも、話を続ける。
「分かった、国光。アレをなんとか素人の俺でも倒せる方法ないか?アイツの毒?とかについても教えてくれただろ?...正直、アンタだけが頼りだ。」
「誰に....かひゅ...話し...かけて..る....?」
僕がそう言うと、腕の中で彼女が怪訝な表情を見せる。
...どうやら僕が一人で喋っているように見えているらしい。
正直、勘弁願いたいが今は国光の言葉が頼みの綱だ。
『方法はシンプル、そしてオンリー!あのワーム頭が潰れたから毒は使えないはず。であれば、ギリギリまで粘って引き付けて、十分来たところでジャンピングパンチ!!ノックアウト!!!』
「...かなり博打要素が高いな。」
相手が望み通り来てくれるとも限らない。
そして、空中に居れば殴ろうとしても....いや、違うな。
十分近づいたら足の力を強くしてジャンプ、そして殴れってコトか。
残り2回しかないならそれしかない。
でも、それでもギャンブル要素が強い物だ。
『ピンチを切り抜けるには、ギャンブルしかない。度胸を見せろブラザー!』
度胸を要求してくる国光。
そもそも僕はさっきまで眠りこけていたパンピーだったんだぞ。
そんなのに覚悟見せろとかおかしいだろ。
でも.....。
「あの街にはアリカが今も寝ていて....そして、俺が帰らなきゃ誰がアイツの面倒を見るのかってことか。いいぜ、やってやるよ。」
俺の妹は変な子だ。
中学3年にもなって自分のことを魔法少女とか自称している。
手放しでお前はもう僕が居なくても心配いらないとは到底言い難い。
そして、あの街はアリカが寝て、起きて学校に行って友達に会う。
そんな街だ。
断じて、あんな意味の分からない者に滅茶苦茶にされるわけにはいかない。
迎え撃つには、身軽で両腕の自由が効かないといけない。
だからこそ、僕は腕の中の少女を近くの木に置く。
「何を...するつもり....。」
彼女は此方を見ながら、問いかけてくる。
そんな彼女に質問に僕は答えない。
答える暇はない。
僕はやるべきことをやるだけだ。
こちらに来るか分からないではない。
こちらに来させるのだ。
それには何が必要か。
確実に殺してやると思わせる必要があるんじゃないか?
それだったら.....方法はいくらでもある!
「おい、デカブツ!!ぶんぶん飛びやがって羽音がうるせぇんだよ!!デブはデブらしく地面這って埃でも食ってろよ!!」
僕は怪物に向かって、声を上げる。
怪物はこちらに首を向けてくる。
首を伸ばしてくるつもりか?
そうはさせない。
「なんだよまた首伸ばし?勃起したチ〇コみたいな攻撃ばっかしやがって...そうか!直接戦うと勝てっこないもんな!怖いよなぁ首片方潰されたんだから?痛かったろ?なんせカリ首潰されたんだからよぉ!?」
思いつく限りの語彙で目の前の奴を揶揄して、挑発する。
異形は首を伸ばそうとしていたのをやめて、こちらをジッと見てくる。
ちょっと身体が小刻みに震えていた。
怒ってるのか?
「プルプル震えやがって...ごめんなぁ、怖かったよなぁ...勝てっこない相手に怒鳴られてブルっちまったんだろ?可哀想だから言わないで置いてやるよ。お前の首が震える様がまるでチ〇コみてぇだってよ。こんなところで飛んでいるより、特撮現場で男性器怪獣とかそう言うのやってる方が似合っていると思うぜお前。」
ドンドンと震えが激しくなる。
そして、ギチギチと激しく羽音を鳴らした。
怒ってる怒ってる....ここでトドメだな。
手を招いて、中指を立てる。
「もうそういう怒ってますアピ要らないからさっさとかかって来いよ、腰抜け。コケ脅しのデカさのせいで目障りだ。」
「ギルルルギュルルル!!!」
異形は空気を唸り轟かせる。
そして、羽を揺らしてこちら目掛けて降下する。
よかった....人の言葉を介している奴で。
「国光!!!」
『OK!Fooooooo!!!!....poweeeeer!!!!』
ハードゲイみたいな雄たけびを挙げる国光。
すると足元に濃密な白いオーラが纏わりつく。
これでいけるってことだよな。
両足で地面を蹴る。
宙へと躍り出る僕の身体。
すると、今度は腕にオーラが纏わりつく。
風を纏いながらも、奴に肉迫する。
みるみる内に、距離を詰める。
「ギチュッ!?」
奴は空中に居る自分にここまで素早く肉迫するとは思い寄らないのか、驚きの声のような鳴き声を上げる。
拳を握る。
「うおぉぉぉぉ頼む!!当たってくれぇぇえええ!!これで終わりにしてぇぇええええええ!!!!!」
放たれた矢のように化け物に突貫していく、僕の体。
そして突きだした拳は、対応しきれなかった化け物の胴体へと突き刺さった。
めり込む拳。
その拳を中心に、何か紋様のようなものが現れる。
これって.....。
「陰陽のマーク...か?」
『Yes!This is Ying-Yang symbol!!妖魔に打ち込まれし、正義のフィスト!!俺の神秘がmonnsterをキル!!』
なんか何言ってるのか全然わかんないけど、その紋様が体表に現れた時から異形がかつてないほどに苦しんでいる。
怪物の体表が紋様の部分を中心に罅のようなものが走る。
それはどんどん大きくなっていき、亀裂へと変わっていく。
そしてそれが決定的になった瞬間、バラバラと崩れていった。
これで....終わったのか?
化け物の破片と共に地面へと落ちていきながらも、考える。
....いや、待てよ....俺また落ちているのか?
今日、どんだけ地面に落ちるんだよ。
「...がほっ....痛くはないけど...身体が痺れた....。」
背中から落ちた衝撃で体中に衝撃が伝わってジーンとする。
その直後に轟音と共に、あの妖魔?の破片がバラバラと空から降り注ぐ。
首の部分だったムカデとハンミョウの頭だけがびくびくと動きながらも、林へと這うようにして這っていった。
『Oh、どうやらあの妖魔は沢山の妖魔が集まった集合型だったようだな。仕留めきれなかった部分の奴が逃げて行った。...まぁ、あの様子じゃあまりにもWeakness。気にする必要もないってワケよぉ!!』
「そもそも僕はアレ以外の妖魔を知らないよ。」
だから集合型がどうだとか言われても困るんだけど。
ジーンとする感覚が引いていくまで待つと、僕は立ち上がって彼女の元へと向かう。
なんか粉っぽい物を頭からかぶってしまっている。
...多分、僕が撃墜した奴の細かい破片なんだろう。
こう....なんだろうな。
妹の身だしなみを整えたりしている身としては、そういうのはちょっと気になってしまう。
まぁ別段、なんか言われることもないだろう。
事実上、僕は彼女を助けたことになるわけだしなっ!!
彼女の髪や肩に着いた細かい破片埃を払う。
「...こほっ...ありが...ごほっ..とう.....。」
「....困るもんだな。事情も分からないのに礼を言われると...。まっ、これでちゃんとアンタの代わりに倒したわけだし!あの怪物は何?とか戦っているアンタらは一体何者だとか色々聞きたい事が....。」
『オレ達、良いコンビだな!クールタイムに入るからよぉ、次に使えるのは24 hours later。so you わけで、Good bye brother!!』
僕が目の前の少女に色々聞こうとした瞬間、その言葉と共に装甲が霧散する。
そして目の前に一本の小刀が現れて、地面に落ちた刹那、身体中に激痛が走った。
「あ、あが....あがが!!か、身体中の筋肉が痛い痛い痛い!!一ミリも動けないんだけど!!これ結構ヤバい奴じゃないか!?全身筋肉痛なったみたいになってるし、....首も動かんやん!!!?」
身体を一ミリでも動かそうとすると、自分の身体が悲鳴を上げる。
ビクビクと身体を痙攣させながらも、一ミリも動けずに姿勢を維持することしか出来ない。
それをしていても、なおジンジンと熱を持って痛みを感じる。
質問どころじゃないってコレ!!
このままじゃ、ここで夜を明かすことになってしまう....っ!!
「よく頑張りましたわね。結構見応えがありましたわね。」
女の声が背後で聞こえる。
どうやら終わったのを見て、俺の背後にあの仮面女が立っているんだろう。
少女は、俺の背後を睨みつける。
....なんか位置的に俺が睨まれているみたいだからやめて欲しいんだけど。
「...これで..ごほっこっほ...アンタの思い通りに事が運んだって...がほっこほっ...こと?...ニヤニヤしやがって、アレの..こほっ...討伐、相性が悪いのに...こほこほっ...私にやらせて.....。」
「はい、そうですわ。喉のことについては申し訳ありませんですの。でも、ちゃんと予想通りに事が運んでワタクシ満足していますわ。ワタクシの計画通りボロお雑巾のようになっていただきありがとうございました。」
「はぁ...クソ...こほっ...女....ごほっごほ.....」
彼女は咳き込みながらも、仮面の女に対して悪態を吐いている。
仮面越しであろうに、表情とか分かるのか。
...つーか、もしかして今仮面付けてないんじゃねぇの?
そんな懸念を抱くも、首が動かせない以上は確認する術はない。
でも、耳は正常だ。
それなら、一番聞きたかったことは聞ける。
「つーかさぁ、俺一般人なんですけど。アンタに拉致されて連れて来られた一般男子高校生なんですけど?なんつーか今回なんでここに連れて来られたのかとか色々説明してくれよ。なぁ。」
僕がそう言うと、後ろでクスクスと奴が笑う。
何笑ってんだよ、滅茶苦茶切実な要求だろうが。
こちとらなんか戦いの渦中に放り投げられて、切腹させられたかと思ったら鎧身に着けて戦わせられたんだぞ。
何も知らずに!!
こんなこと実の父親がやったとしても許されないわ!!今は新世紀じゃねーんだぞ!!
「そうですわねぇ...今言える範囲で言えば、貴方は十束剣が一つに選ばれて防人となったんですの。歓迎致しますわ、共に街を守りましょう?」
「説明になってねぇよ!!十束剣とか防人とか専門用語使ってんじゃねー!まったくこれっぽっちも意味がわからねー....ガッッッ!!?」
説明とは到底言えない説明に吠えると、首元を凄い勢いで打撃された。
身体から糸が切れたかのように脱力して、うつ伏せに倒れる。
地面に身体がぶつかって、悲鳴を上げていた身体が痛い。
声も出そうとすると身体が痛んで出せない。
クソッ...そもそも体に力が入らねぇ......!!
「どうせそんな体の状態じゃ痛みで話が入ってきませんわ。だから気絶させますわね。」
「...アンタ....ッ!!」
「あらら...調さん?そんな怖い顔なさらないでくださいましぃ~?仮にもワタクシ、あなたよりも上の立場ですのよ?分を弁えなさって、どうぞ?」
俺が気絶したものとして、話を続ける仮面女。
全然気絶してねーよ。
なんならさっきから体の痛みに耐えてるよ。
首トンやるんだったらちゃんと気絶させろ。
めっちゃ痛かっただけだわ!!
「彼は筋肉痛で動けなくなるでしょうし、貴方は毒でやられて暫く動けない。だから、ワタクシちゃんと回収の手筈を整えていたのでしてよ。....来なさい。」
するとパンパンと手を叩く音が聞こえる。
それと同時に、ガサガサと林が揺れる音が聞こえてくる。
なんだ?...うつ伏せだから何が起こってるのかまったくわからねぇ....。
すると、急に両腕を掴まれたかと思えば歌舞伎に出てくる黒衣が二人がかりで俺に肩を貸していた。
周りには同じような連中が何人も居る。
胸らへんが膨らんでいるし、もしかしてこれみんな女なのか?
...あの仮面女、女侍らせてるの?
そう思っていると、歌の少女が周りを見て呟く。
「稗田機関の、こほっ...使いっ走り共....ごほっごほ.....」
この人達そういう人なんだ。
使いっ走りってかなりひどい言い方だなぁ。
...つーか稗田機関ってなんだよ?
分からん事ばっかでちんぷんかんぷんなんだけど。
戸惑う僕を他所に、仮面女は向こうの方を指さす。
そこには、時代劇とかでしか見ない乗り物の駕籠があった。
「それじゃ、詳しい話はワタクシの屋敷で。ある程度、処置とかもしないといけませんし、丁度いいですわ。ジャストタイミング、まるでこの時の為にって奴ですわね。」
どういうことだよ。
でもあの駕籠に乗っけて、仮面女の家に運び込もうとしていることは分かる。
....いや、待てよ。
既に段々と辺りは明るくなってきている。
どこにその屋敷とやらがあるのか知らないが、今からそんなところに行っては家に帰れないし、なんなら学校にも行けないじゃないか!!
「あら?なにやら焦っているようですわね明日野様。学校...かしら?でも直近で必要な知識は学校で習うものじゃなくて、ワタクシの口から紡がれる物ですわ。それに、そんな体で学校に行けるわけありませんものねぇ?...さっさと駕籠に二人を詰め込みなさい。」
無茶苦茶だよ....。
人の都合を何だと思ってるんだ。
仮面女がそう言うと、連中はそのまま俺と彼女を駕籠の中へと放り込んでいく。
そして、駕籠の簾を下した。
「....これは、こほっ...マジないわ.....かほっこほっ....。」
本当それな。
適当に放り込まれたことで、俺と彼女は二人して川の字に横になっている。
....寿司詰めじゃねぇか!!
なんだこれ中世の奴隷船か!?
奴隷船より狭いぞこれ!!
これが仮にも戦わせた人に対して行う対応か!!
しかも隣の女の子はわざと相性の悪い奴と戦わせられたらしいし、めっちゃ可哀想じゃん!!!
そんな俺達を他所に、駕籠は持ち上げられる。
そして外から仮面女の快活な声が聞こえてきた。
「ふぅ~一仕事が終わりですわ。ワタクシいい仕事しましたわね。帰ったらバスタイムにしますわ。使用人に伝えておきなさい。」
お前、何したの?
つーかこの時間から風呂を使用人に沸かさせる予定なのか?
どんだけ傍若無人なんだよ。
コイツがいっちょんヤバい奴やん!!!
こんなのが自分の暮らす街に居たとか戦慄なんだけど!!!
今まで自称魔法少女や自称勇者でヤバイヤバイと言っていた自分が恥ずかしい。
やはりどんな世界にも上には上が居る。
俺はそんな世の中の真理を今ここで痛感したのだった。
仮面の女・・・ぐう畜系お嬢様ヒロイン。現状やってることも言っていることもカス。ぶっちゃけお前じゃなくてあっちの歌っている子がヒロインなんだろ。だまされんぞ。
3回だけ強くなって解除すると筋肉痛で動けなくなるとか強くない...なくない?ハズレじゃない...?唯一の利点とか面白外国人枠が色々教えてくれるだけじゃん、つっかえ!!